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1950-07-28 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午後二時九分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 川本 末治君    理事 塚田十一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    河原伊三郎君       小玉 治行君    清水 逸平君       中島 守利君    野村專太郎君       龍野喜一郎君    鈴木 幹雄君       床次 徳二君    大矢 省三君       久保田鶴松君    立花 敏男君       林  百郎君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官  岡崎 勝男君         国家公安委員長 辻  二郎君         海上保安庁長官 大久保武雄君  委員外出席者         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 七月二十六日  委員梨木作次郎君及び米原昶辞任につき、そ  の補欠として立花敏男君及び横田甚太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員横田甚太郎辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二十五日  土石採取業に対する附加価値税を第二種に指定  の請願苅田アサノ君外一名紹介)(第四七三  号)  トラツクに対する自動車税軽減等に関する請願  (中野四郎紹介)(第四七四号)  同(金光義邦紹介)(第四七五号)  同(佐瀬昌三紹介)(第四七六号)  同(小野瀬忠兵衞紹介)(第四七七号)  同(清水逸平紹介)(第四七八号)  同(川西清紹介)(第四七九号)  同(赤松勇紹介)(第五三七号)  同(川崎秀二紹介)(第五三八号)  同(橋本金一紹介)(第五三九号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第五四〇  号)  同(亘四郎紹介)(第六〇〇号)  同(福田一紹介)(第六〇一号) 同月二十六日  地方税法制定促進並びに地方財政経理資金の確  保に関する請願山本猛夫紹介)(第六三〇  号)  遊興飲食税免除に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第六五七号)  ホテル事業に対する地方税減免に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第六五八号)  生活協同組合に対する地方税免除請願岡良  一君紹介)(第六七一号)  固定資産税使用者課税廃止に関する請願(野  村專太郎紹介)(第七一七号)  金属鉱業に対する地方税免除に関する請願(小  金義照紹介)(第七三七号)  監査委員制度改善に関する請願藤田義光君紹  介)(第七三八号)  農地に対する固定資産税評価倍率引下げに関  する請願足鹿覺紹介)(第七四二号)  消防団員公職選挙立候補等に関する請願(川  本末治紹介)(第七六〇号)  地方税軽減等に関する請願小林運美紹介)  (第七七七号)  電気ガス税非課税範囲是正等に関する請願(  河原伊三郎紹介)(第七九六号)  旅館業に対する地方税減免請願野村專太郎  君紹介)(第七九七号)  トラツクに対する自動車税軽減等に関する請願  (川野芳滿紹介)(第八〇九号)  川崎市における平和集会禁止処分に関する請願  (今野武雄紹介)(第八六七号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十五日  電気税につき使用量課税標準とする陳情書  (第八二号)  公職選挙法第四章選挙人名簿住民票改正の  陳情書(第  九五号)  地方議会機構法制化に関する陳情書  (第九六号)  地方税法案不成立に伴う措置に関する陳情書  (第一〇一号)  地方事務費国庫負担陳情書  (第一〇七号)  地方議会機構法制化に関する陳情書  (第一〇八号)  地方税法案不成立に伴う措置に関する陳情書  (第一一五  号)  地方税法案の一部改正に関する陳情書  (第一一六  号)  東北、北海道地方に対する平衡交付金増額に関  する陳情書  (第一一九号)  自治体警察職員退職手当に関する陳情書  (第一三九号)  一時借入金利子全額国庫負担に関する陳情書  (第一四二  号) 同月二十六日  地方行政調査委員会議委員全国都道府県議  会の代表者参加陳情書  (第一六三号)  自治体警察制度改善に関する陳情書  (第一  六四号)  地方税法案の一部改正に関する陳情書  (第二一〇号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第二一四号)  地方議会費予算提案権及び執行権の独立に関す  る陳情書  (第二一五号)  公職選挙法の一部改正に関する陳情書  (第二一六号)  地方税法案成立促進に関する陳情書  (  第二一八号)  地方税法案の一部改正に関する陳情書外六件  (第二二〇号) 同月二十七日  平衡交付金増額に関する陳情書  (第二二五号)  地方財政平衡交付金配分に関する陳情書  (第二五  三号)  地方財政の確立に関する陳情書  (第二六二号)  治安対策に関する陳情書  (第二六三号)  万座温泉に対する課税及び行政合理化に関す  る陳情書  (第二六七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまより会議を開きます。  警察に関する件を議題といたしまして質疑を許します。ただいまお見えになつておりますのは、岡崎官房長官辻国家公安委員長のお二人であります。お二人に対する質疑を許します。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 私はただいま問題になつておりまするところの警察予備隊の問題につきまして、政府から御説明を承りたいと思います。すでに新聞にも概要が出ておりまするが、本日、新聞ラジオ等におきまして、さらに一段と従来より具体化したように報道されておりまするが、この際政府におかれまして、明瞭に、しかも国民に対しまして、その趣旨が奈辺にあるやを、誤解を生じないように、ひとつ御説明をされることが必要であると思います。特に国会もすでに閉会が迫つておるのでありまして、なるべくすみやかに国会にこの問題に対して政府として説明をされることが適当であると考えられます。どうかこの機会に長官より御説明を願いたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいま新聞ラジオ等にいろいろ出ておるとおつしやいましたが、政府側としましては、新聞ラジオに今まで発表したことは、マツカーサー元帥書簡以外には何もございません。従いましてそういうものがありますれば、これは観測の記事だろうと思いまするから、その点は御了承願います。  そこで今申し上げ得る限りのことを申しますと、この警察予備隊と申しますか、これは仮の名前でありまするが、マツカーサー元帥書簡によりまして指令されましたものの数は、御承知のように七万五千であります。これは現在の国家地方警察または地方自治体警察この方面警察事務とは一応関係のないものであります。但しこれらの警察事態收拾に十分でない場合に出て来て治安維持任ずる。こういうことになる。なおこれに関しましては、いろいろ考慮してつくり上げなければなりませんので、ただいま組織その他の問題は研究中でありまして、これは司令部側関係当局と協議して、共同研究中でございます。まだ結論に達しておりませんので、この点は申し上げる段階になつておりませんが、できるだけ早く研究を結了したいと思つて、ただいま努力中でございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 これまた新聞に伝うるところによりまするならば、来月早々ポ政令によりまして、大体組織がきまるということでありますが、来月早々におきまして発表されるならば、むしろその事前におきまして相当の程度まで発表をし得る状態にあるのではないかと思うのであります。国会に対しましてこの問題を解明せられることは、同時に国民に対しましても、その趣旨を明らかにするゆえんであります。もう少しその点は腹案等を御説明になる必要があるのではないか。全然まだ確定しないという御答弁でありますが、確定しなくても大体の方向はおわかりかと思うのであります。ただいまの御説明だけではあまりに少いと思うのであります。もう少し追加して御説明ありたいと思います。
  6. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 私もできるだけ今床次さんのおつしやつたようにして、早く大綱なりとも発表できるようにいたしたいと思つて努力中であります。但しこの問題につきましては、とかくこれが将来の日本軍隊のもとになるのじやないだろうか、あるいは警察国家にまたもどるのではないか、あるいは特高みたいなことをやるのじやないか、こういうことがとかく疑惑の種になるようでございまして、この点はここでも明らかにいたしておきますが、軍隊基礎になるものでもないし、警察国家をつくり上げようという意図のもとに出されておるものでもないし、また特高を復活しようという考えもごうもないのであります。しかし先の組織になりますると、今申し上げましたように司令部側共同作業でありまして、司令部側の方でも外国通信員等から非常に執拗に質問を受けておりますが、まだでき上らないものを何か言うということは、かえつて誤解を招く種にもなるし、将来かわる場合がずいぶんあるので、大綱といえどもまだ話合いがきまらないものを発表しない方がよろしいということで、司令部側でもそういうふうにやつております。従つて日本側でもとにかく結論が出る前に発表しない方がいいと考えまして、司令部側共同歩調をとつておるわけであります。しかしながらできるだけ早く大綱なりとも出したいという気持はまつたく同じでありますので、この方面努力をいたす考えでおります。
  7. 床次徳二

    床次委員 非常に問題が問題でありますので、政府が愼重な取扱いをなさることはまことにけつこうであると思います。私どもといたしましては、こういう種類のものができますことについては賛意を表しておるのでありますが、ただいまもお話がありましたように、軍隊の再現であるとか、あるいは特高警察の復活であるとか、あるいは警察国家になるのではないかという誤解が起ることを、私どもも非常に憂えておるのであります。一日も早くこういうことを解消していただきたい。ただいまの御説明はそういうものではないという御説明があつたのでありますが、どういうものだという意味のことはあまりはつきりいたしておりませんので、そこで重ねてお尋ねするわけですが、性質上はポ政令によつてマツカーサー元帥書簡基礎にあつたものの取扱いと解釈いたしますが、実際上はこれは警察法によつて所管すべき性質のものである。あるいはもう一歩進んでお尋ねするといたしますならば、直接警察法範囲ではないが、いわゆる自衞権範囲内において行われるところのものである。あるいは純然たる、それとも別に單なるマツカーサー元帥書簡によるポ政令関係のものであるかというような点について、大体御説明いただきたいと思います。
  8. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今お話の点になりますると、これは国内の治安維持考えまして、万一治安が乱れるような場合に、そうして現在の警察で足りない場合にこれを補うための警察であります。従いまして名前はまだきまつておりませんけれども、普通にはマツカーサー元帥書簡でごらんにもなりますように、ナシヨナル・ポリス・リザーブと申しまして、予備言つて——予備という言葉は正しくないか知れないが、ポリス・リザーブであるというような点が明らかになつておると思います。なおこれはマツカーサー元帥の手紙に基きまする、つまりデイレクテイブとなりますので、政府としてもこの趣旨に間違いのないよう実行いたすべく万々の研究を進めているわけであります。
  9. 床次徳二

    床次委員 一応その程度で了解せざるを得ないかと思いまするが、この問題は将来の日本国家の本質として取扱わるべきものだと思う。單なる一時的のものでないのだと私どもは解釈いたしたい。従つて明年度以後予算等においても、いろいろな問題が出て参りまするので、でき得る限り一日もすみやかにこれを国家常態のものとして取扱つていただきたい。警察法の中に加えるものなら警察のものとして扱う。單にマツカーサー元帥書簡によつてデイレクテイブ取扱いという形でありますると、将来の日本組織建前から言うと、これは特殊な扱いになり過ぎる。私たちはこれは平常の、常態のものとして取扱われるような制度機構のものになつた方がいいのではないかと考えておるのであります。どうか政府におかれましても、すみやかにこの問題を解決していただきたい。国民に対して明らかにしていただきたいと思つております。特に予算に関しましては早晩これは問題になることであります。今月中に間に合わなければ、これは予算の問題も議論のしようがないのでありますが、いずれ来予算等においても問題になることでありますから、政府としましてはこの取扱いを一時の便法から申しますると、マツカーサー書簡によつて、あるいはポ政令によるものとして取扱うことも便利ではなかろうかと思いますが、国民の側から申しますると、それだけでは納得ができない。やはり一つの国家機構としてこれを扱うのがいいのではないかと思う。ひとつぜひすみやかにそういう方針によつて進んでいただきたいということをお願いしまして、一応私の質問を終りたいと思います。
  10. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいま床次さんから将来の取扱いについていろいろ御示唆がありまして、この点は御意見は尊重いたしまして、十分考慮することにいたします。
  11. 門司亮

    門司委員 この前の委員会大橋法務総裁に、今日政府考えておりまするごく大綱だけでも、ひとつ資料を出してもらいたい。決定的のことでなくてもいいから大綱だけでもお考えになつていることを一応示していただきたいと、実は要求いたしておつたのでございまするが、まだ大橋さんもおいでになりません。私は官房長官に聞きまする前に、辻さんにちよつとお伺いいたしたいことがあるのであります。それは警察予備隊の問題が起つて参りまして、そうしてこれはもちろん先ほどお話のように書簡によることであることは間違いはないと考えておりますが、日本警察制度の上から考えてみますると、ほんとうにこういう予備隊の設備が必要であるかどうかということが、私はまず日本独自の建前から考えられなければならないと思う。その場合に、従来警察問題はしばしば問題となつておりまして、過去二箇年にわたつて新しい警察制度のしかれましてから今日まで、自治体警察国家警察の間には、いろいろ問題もありましたし、また議論も行われております。従つてそれを何らかの形で修正をする、あるいは是正して行つて治安の万全を期したいということは、前の樋貝国務大臣のときから、しばしば問題になつたことでありまして、警察制度改正ということが、非常に大きく取上げられておつたことは御存じ通りであります。最初に公安委員長としてのお考えをお聞かせ願いたいと思いますが、現在の警察制度の欠点はいろいろあると思いますが、それらの是正はもう少しさきになされなければならなかつたのではないか、またそれを急にすべきではないかと私は考えておりますが、公安委員長は、これを一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  12. 辻二郎

    辻政府委員 新しい警察制度行政管理をしてから二年になります。その間新しい制度に対するいろいろな不便な点の資料も今まで十分に集つておるし、また民主化の上におきましてよい点の統計資料も持つております。それらの資料によりまして、不便の点はこれを直していただくようにということについては、もう発足早々から研究を進めておるのでありまして、今日もなおかつその研究を進めて、関係方面折衝をいたしております。その点につきましては、今度の予備隊のできるできないという問題と別個に、これは今後の問題として進めたいと考えている次第でございます。しかし今回の予備隊の問題につきましては、これは過去の二年間とつい最近の数週間とでは、国際情勢も相当かわつておるようでありますし、この予備隊性格については、私どもも皆様と御同様に現在全然わかりません。国家公安委員会とは別の線において、政府がこれを研究されることになつていることは、御承知のごとくでありますから、私どもとしては、新しい予備隊がいかなる性格のものであるかということと、それができてからそれと見合つた上で、今後の警察制度改正ということについても、考え方をはつきりときめたいと考えている次第であります。警察制度改正問題につきましては、目下引続き研究中でございまして、私どもとしては、現在はこの予備隊の問題が起りましても、国家地方警察行政管理に関する限りは、何ら今までの考えを修正することなしに、警察法に定められたところをそのまま推進するつもりでおります。
  13. 門司亮

    門司委員 この前の委員会大橋さんに今度の予備隊性格並びに任務というようなものについて、一応お聞きしたのでありますが、そのときには大橋さんの御答弁も、やはり今度の新しい警察予備隊は、現在の警察官としての行政に携わるのだ、何ら警察官性格と違つたものでもなければ、また行うことについても、治安の確保その他で、まつた警察行政とかわりがないのだというようなお話であつたように私聞いておるのであります。そうなつて参りますと、現在の警察制度は幾多の欠陷を持つているが、それが是正されない前に、そういう大きなものが一体必要であるかどうかということであります。七万五千という数字は、現在の警察制度の面から考えますと、非常に大きな数字であります。御存じのように戰前の警察官の総数は九万三千であり、戰後は十二万五千で、さらにこれに七万五千という数字は、数字から考えてみても非常に大きな数字であつて、同じ仕事をするこれだけの数字警察官をふやさなければならないということについては、私が先ほど申し上げておりますように、まず日本現行警察制度の上における欠陷是正して、治安の万全を期するということを第一段階に行われるのがほんとうではないか、そうして、どうしてもこれら十二万五千の警察官では足りないという結論が出て参りまするならば、またふやすこともやむを得ぬかと考えておりますが、その今までの警察制度欠陷というようなものを何ら是正されることなくして、ただ考えている、研究しているという程度でははなはだ困るから、この警察予備隊というものを必要と認められる事態が、今日どの程度まで起つているかということを、日本公安行政を受持つておられます公安委員長から、ひとつ率直にお聞かせを願いたいと思います。
  14. 辻二郎

    辻政府委員 現存まで私どもが管理いたしておりますのは、国家地方警察行政管理に限られておりますが、その面から考えまして、国会において改正していただきたいという点は多々ございます。その点については、先ほども申し上げました通り関係方面とも数回折衝を重ね、政府とも協議をいたしておりますが、今日いまだに結論を得ておりません。しかし今回の七万五千の予備隊の問題は、マツカーサー元帥書簡によるものでありますから、私からその可否についてお答えを申し上げることは差控えたいと思います。
  15. 門司亮

    門司委員 それではもう一点だけ聞いておきたいと思います。連合軍からの指令によつてつたものであるから、その点については意見をさしはさむことはできないという御答弁であつたのでありますが、七万五千をふやすということが、書簡による必然的な命令であつて、やむを得ぬからこれを承認するという形も、やむを得ざる立場に置かれている辻さんとしては、一応やむを得ぬことだとは思いますけれども、私の聞いておりますることは、先ほどから率直に申し上げておりまするように、日本治安状況というものは、この七万五千の予備隊を置かなければならないような事態に、一体なつておるのかどうかということなんです。この点をもう一度率直にお聞かせ願いたいと思います。
  16. 辻二郎

    辻政府委員 政府説明が今日までどうであつたか私は存じませんが、実態を申し上げますれば、国家地方警察の三万では、数におきまして大幅に不足であるということは考えられます。その点について、その数を増してほしいという希望は、かねてから折衝中でございます。しかもこの四週間以前から、御承知のごとく国際情勢が激変をいたしておりますから、今後は、現状のままではこの数がますます不足であろうということは考えられます。その点につきましては、その範囲においてはお答えできると思います。つまり、現在の国家地方警察の員数では、今後数において絶対に不足であるということは、明白な事実のように考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 私はそれ以上公安委員長にお聞きすることはどうかと思いますが、公安委員長としてひとつお考えを願いたいと思うことがあるのであります。それは、私は別に過去を責めるわけではありませんが、日本警察制度の上に欠陷があつて是正すべきものがあつたならば、こういう問題が起つて参りまする前に、事前是正をして万全を期しておいてもらいたかつたということで、こういう問題にぶつかつてどもはそれを強く考えておるのであります。従つて警察制度改正に関しても、いつまでも考えておる、研究中だというようなことでなく、現実の問題として、できるだけすみやかに改正していただきたい。また政府の言いまわしが非常にはつきりしないから、私も申し上げるのでありますが、従来の警察行政と同じような職務を行う警察官が、この際七万五千も必要であるかどうかということについては、私どもは非常に疑問を持つております。ところが政府は依然として従来の警察官と同じだというような御答弁であります。そういう御答弁を聞けば聞くほど、一体こんなに警察官が足りなかつたのかどうかということについての疑問を非常に持つておりますので、特に御留意が願いたいと考えておるのであります。  それから官房長官にお聞きをしておきたいと思いますことは、床次さんの御質問に対しましても、政府としては発表したことがなく、そういうことはまだ知つていないというお話であります。この前の会議においても私は大橋さんにこの点は特に申し上げたのでありますが、政府は何も知らないと言つておる、従つて国会には何らの相談もしない、また話もしてくれない。ところが新聞にはそれがどんどん書かれる。ここで聞いてみますと一向知らぬ、存ぜぬということであるが、あくる日の新聞には大綱が出ておる。この前そのことを追究いたしましたが、その追究をいたしました翌日また新聞に書かれておるのであります。そうしてきのうの新聞を見ますと、警察予備隊の原案成るということで、しかも三段拔きで書いてある。政府が正式に発表したのではないから、新聞がかつてに書いたのだから、責任は負わぬと言えばそれまででありますが、こういうことが出る。しかも会議に列席された諸君の名前まで書いてある。そうしますとこれは全然話合いがなかつたのでも何でもないと思う。かりにこれだけのことが新聞に書かれるとすれば、あるいはこれはどなたがお話なつたかしりませんが、とにかく公に全国に知れておりますものが、この範囲でも私は国会に報告されないはずはないと思います。なぜこれが一体国会に報告されないか。でありますから、私は今そういうことを前提としてお聞きをしておきたいと思いますが、今度の警察予備隊は七万五千というものを、永久に日本に置かれる予定であるが、あるいはこれが臨時的の処置であるか、その辺はどういうことになつておりますか。
  18. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 ただいまのお話ですが、まず新聞記事につきましては、マツカーサー元帥書簡をよく読みまして、それに常識を加えればある程度推測記事は書けるのであります。おそらくそういう意味で私は書いたのだろうと思います。政府としては先ほど申しましたように、発表したことは何もない。それから永久に置くかどうかというお話でありますが、むろん先の先のことまでは私はわかりませんが、マツカーサー元帥書簡によりますと、普通の民主国家の持つ警察の数の水準まで達することは、この際適当であろうということになります。この七万五千は、少くとも普通の民主国家の持つ警察の水準にまで強化するものであるということは明らかであります。従つてこの程度のものは将来あることと予想しております。
  19. 門司亮

    門司委員 それでは法務総裁に、さらにその次に聞いておきたいと思いますが、今官房長官は普通の民主国家に必要な警察力であるから、この程度のものは将来とも必要でないかというようなお話でありましたが、私どもは民主国家としてという、そういう根拠を実は持ち合せておりませんので、普通の民主国家では一体警察力というものがどのくらい必要となつておるか、もし参考になるものがございますならば、この際お示しを願いたいと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、この予備隊は所属をどこにされるかということであります。日本警察法によりますと、警察法自体の建前から見ましても、警察予備隊という字句は一つも使つてありません。実際の問題としてはこれはわかりませんので、この警察予備隊ができれば、これは一体どこに所属されるかということであります。
  20. 大橋武夫

    大橋国務大臣 民主国家における警察力の基準というものは、各国それぞれいろいろな国内の事情によりまして、必ずしも一律のものではないと思います。しかしながらマツカーサー元帥書簡におきましては、それらの点を考慮いたしまして、現在の七万五千を増加いたしましても、他の諸民主国家における警察力と比較して多きには失しないと思います。こういうことを言われておるわけであります。  それから第二の門司君の御質問で、この警察予備隊の所属ということでございますが、これは私どもおそらくは総理府の所轄に属せしめられるものではなかろうかと予想いたします。
  21. 門司亮

    門司委員 総理府あるいは内閣の直轄ということになると思いますが、さらにそれから参りますものとしての一応の構想でありますが、この構想は一体どういう配備がされるかということであります。御承知のように、日本の国警は六管区にわけておりまして、おのおの配備されておりますが、この警察予備隊は一体どういう形で、これが全国に配備されるか。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 具体的に幾つの管区あるいは單位にわかつて、何箇所に分駐せしめられるかという点については、今調査中でありまして、明確な御答弁をいたしかねますが、大体想像されるところとしては、四箇所あるいは六箇所くらいに、相当まとまつた部隊の本部を置き、その他枢要の地に小部隊の本部が置かれます。そういうふうな姿になろうかと思います。
  23. 門司亮

    門司委員 もう一言そのことでつつ込んで聞いておきたいと思いますが、この警察予備隊が従来の警察行政と何らかわりのない一つの警察官の職務を執行するのだということになつて参りますと、これは国家警察の設置のときの私ども考え方であり、またそういう意見を申し上げたのでありますが、実現しなかつたのであります。日本の現在の行政区画は、たとえば農林省の林野局にいたしましても、あるいは鉄道の関係におきましても、郵便局の関係におきましても、大体八つぐらいにわけられておる。ことに高等裁判所の配置を見ますと、これは八つにわけられております。それでこれと密接不可分の関係を持つております警察行政の管区は、やはりそれと同じような形で行われることが、警察行政の上から非常にやりよいのではないかというように考えられますが、今の大橋さんのお話では大体六つくらいにわけたいということで、今の国警の管区とほとんど同じような形になると思いますが、その点はどういうようにお考えになつておりますか。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 行政によりましていろいろ管轄区域がわかれておりますが、この管轄区域をいかに定めるかということは、それぞれの行政の目的によつて、必ずしも同一でなければならぬという理由はなかろうと思います。しかしながら現状におきましていろいろな行政について、ほとんど同じような八つのわけ方があるときに、ただ一、二の行政についてのみ、しいてこれと異なつたわけ方を存続させる必要があるかないかという点についての、ただいまの門司君の御意見につきましては、私どもこれは傾聽すべき御意見なりと存じております。警察の管区の問題につきましても、交通あるいは治安状況、その他から絶えずその管区の所在地というものが、真にわが国の国内治安維持するために、適切な区画にわけられておるということを保つて行くように、常に調査もし、またさようにあらしめるために努力もしなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけでありまして、今後におきましても現行の国家警察の管区が、常に警察上きわめて適当である、もしこれが明らかに適切を欠いておるという場合におきましては、すみやかに警察の目的を達成するために、これを改めて行かなければならぬというふうな態度をもつて行くべきものである、かように考えております。しかしてこのたびの警察予備隊の区わけと申しますか、区画と申しますか、これは多少国警の管区というような観念とは違つた考えをもつて、取扱わなければならないものではなかろうか、こう考えております。何となれば予備隊というものは全国治安維持するために設けられたものでございまして、必ずしもこれを幾つかの区画にわけて、その区画内における予備隊は、常にその区画内の治安にのみ任ずるのが原則であるというような建前をとるべきではなく、国内におけるすべての予備隊の総力をあげて、国内すべての治安に機動的に、その区画にとらわれずに対処して行く、こういうふうにあるべきものである。こう考えておるわけであります。従いましてこれをいかなる地方に配置するかということは、結局警察予備隊の全体を構成いたしておりまする幾つかの部隊を指揮するのには、どの地に指揮所を置くことが適当であるかという見地から、その所在地をきめて行く。いわゆるある区域の管轄を定め、その管轄内における治安維持するには、どこに所在地をきめればいいかというような見地から所在地をきめ、あるいは区画をきめるのではなく、この予備隊の場合におきましては、予備隊のすべての警察力を全国的に機動的に動かすためには、どこに指揮所を置けばいいかというその指揮所の位置からきまつて来る。また指揮所の数に応じて隊を幾つにわけるかということもきまつて来るのではないか。従来の国家警察における管区の観念と、この場合の区画の観念とは観念上大分違つておる、こういうふうに私は予想いたしております。
  25. 門司亮

    門司委員 大体の全貌はだんだんわかつて来たような気がするのでございますが、もう少し明確に答えてもらえれば、もう少しよくわかつたろうと思います。  その次に聞いておきたいと思いますことは、これの法律的の措置でありますが、これはこの前も一応お聞きをいたしたのでありますが、われわれはどう考えてみましても、それを政令で出されるということについては、今日の日本警察法建前から申しましても、あるいは現状から申しましても、はなはだ穏当でないと実は考えておるのであります。それは單に警察行政の上の手続、あるいは警察行政範囲における変更というような事務的のものではなくして、実際はこの前の委員会でも申し上げましたように、人件費だけでも大体年間百三十億は越えるでありましようし、さらに本年度といたしましても九十億を必要としはしないか。それに設備とか、宿舎、庁舎というものがありますので、かりに現在の六管区の学校というものが、この宿舎に当てられるという便宜上の処置をとられるといたしましても、いずれそれらのものも設備しなければならないのであります。同時に装備はきわめて必要でございましようから、それらのものを勘案して参りますと、少くとも五百億近いものが初年度あるいは次年度ぐらいにおいては支出されなければならないということは、当然だと思うのであります。これだけのものがかりに国民の税金の中から負担されるということになりますと、これは非常に大きな税額になつて参るのであります。單に国家警察だけではありませんし、海上保安庁もこれにさらに八千人の人員を加えるということになつておりますので、両方で八方三千という大きな数字がふえて参りますと、そういう非常に大きな国家予算を必要とする事態になるかと考えておるのであります。従つてこれが單なる政令で、先ほども申し上げておりますように警察行政、あるいは警察事務の所管がえというわけには参らないと、私は思うのであります。少くともそれらの費用を出して参りまするには、どうしても法律的な措置が行われなければならないかと考えておるのでありまするが、これは私の仄聞するところで、はつきり申し上げられませんが、政府の用意しておりまする法令は、政令にいたしましても、法律にいたしましても、大体十二、三條くらいから成立つのじやないかというようなうわさを聞いておるのでありまするが、実際そのくらいの範囲で行われるものであるかどうか伺いたい。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在のいろいろな條件から見まして、この警察予備隊の設置はポツダム政令によつて出されるようになろう、かように予想いたしております。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際ちよつとお諮りいたしますが、警視総監田中榮一君がお見えになりましたので、警察の件に関しまして参考人として説明及び意見を聽取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認めさよう決します。
  29. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、法律的の措置によらないで政令でやるということになるというお話でありまするが、費用はそれなら一体どういう形でお出しになるかということであります。財政法の三十四條ですかに規定してありますることから見ますると、これは当然予算措置を伴うから、やはり国会の承認を得なければならないというように、われわれあは考えるのでありますが、そういうことは一体政府は必要ないというようにお考えになつておるかどうか。
  30. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予算措置につきましては、現行予算によつて支出をいたすようにいたして参りたい。しかしながら現行予算の中には、当該費目の予算額がございませんから、これはマツカーサー元帥書簡にありまする通り、債務償還費から流用をするという措置をいたすようになろうかと思います。しかしてこの流用措置につきましては、財政法の規定によりまして国会の議決を要する次第でありまするが、この点につきましては、書簡趣旨もございまするので、ポツダム政令によつて別段の定めをいたさなければなるまい、かように考えております。
  31. 門司亮

    門司委員 どうも何でもかでもポツダム政令だというお話でありまするが、予算の流用にいたしましても、全然費目のない、所管のない、新しいものでありまして、従来持つておりまするものが、その範囲における流用なら、まだ私ども一応考えようがあるかと存じますが、しかしいずれにいたしましてもこういう新しい費目でありまして、全然予算の中になくて、国会の承認を得ておらぬ費目になつておるのでありまして、たといこれがごくわずかのものでも、一応国会の承認を得て、そうしてその費目について金が足りないから流用するというのなら、また一応考えられる点もありますが、全然国会の承認を得ておらない。これらの費目に対して、私はいかにマツカーサーの書簡があるからと申しましても、これの予算措置国会に諮らないで、政令でおやりになるということについては、われわれといたしましては実際問題として承服はしがたいのであります。ことにその費目も、先ほど申し上げておりますように、非常に大きな税額になつて参りまするので、本年度はかりに債務償還の費用がこれに充てられるといたしましても、来年度におきましては当然これが必要になつて来る。来年度はこれを予算に計上するんだ、今年だけはとりあえずこれでやつて行くんだというお考えだと思いますが、しかしそれではあまりにも実際問題といたしましては、国会を軽視しておるんじやないか。ことに国会の開会中であります。われわれが仄聞いたしますると、ごく近い機会にこれが政令で出されて、そうしてただちに人員の募集をする。本格的にこれに乗り出すんだというようなことを聞いておるのでありまするが、もし国会が今月一ぱいで終りまして、そうして八月一日あたりからこれが実行されるということになつて参りますと、一体国会に何のためにこうして暑いのにおいでになつて、そうしてまた暑いのにわれわれも集まつて議論をしておるかということになるのでありまして、そういう予算的な処置については、政府内部の——きようは大蔵大臣がお見えになつておりませんので、大蔵大臣の意向を聞くわけには参りませんが、法務関係といたしましては、そういう処置はとらなくてもいいのだという、はつきりした大橋さんに御確信があるかどうかということをお伺いいたします。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、マツカーサー元帥の指令に基く措置といたしましては、指令の趣旨に従うほか道はないと考えております。ただいま門司君の御意見もございますが、御意見のいかんにかかわらず、政府といたしましては、立場上連合国最高司令官の指令に対しては、ただちに従うという以外には選択の余地がない、かように考えておる次第であります。
  33. 門司亮

    門司委員 これ以上聞きましても水かけ論になるかと思いますが、最後に聞いておきたいと思いますことは、幸い大久保さんがおいでになつておりますので、海上保安庁の関係でありますが、今七万五千の警察予備隊が非常に問題になつておるのでありまするが、海上保安庁といたしましても、さきの委員会お話いたしましたように、また答弁されましたように、現行の法律で許されておりまする範囲内の設備も、まだ十分にできておらない。ことに艦船の方にいたしましても、大体半分もできておらない。五万トン許可されて百二十五隻が大体許されております。その範囲内の半分にも達していない。人員も大体限定されて、一万幾らかの人員でありましたが、これも十分整備されていない。またその上に八千人の人員が増加するということになつて参りますが、これも警察制度と同じように——警察制度よりもつと悪いと思う。今までのものが全部整備されておつて、これでも足りないからこれだけ整備するのだというなら話はわかりますが、今までのものが半分にもできておらないにもかかわらず、さらに今までとほとんど同じような数の隊員をふやして来るということになりますると、われわれはその間の事情というものがはつきりわからぬのであります。再度ここでお聞きしておきたいと思いますが、この海上保安庁の八千の増員に対する構想なり、あるいは整備についてのお考えが一体どのくらい今、進んでおるかということ、さらにこれの予算的の処置は、一体どういうふうにお考えになつておるかということであります。これは陸上の警察官と違いまして、ただ人間だけをふやせばいいというのではありませんで、実際の問題として相当大きな装備と申しまするか、そういうものが必要になつて参りますので、これの予算的処置をどういうふうにお考えになつておるか。それから同時にこれが完成する目安は、いつごろそれらのものが整備することを目標に置かれておるかお伺いいたします。
  34. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 門司委員にお答えいたします。海上保安庁の現有船艇の能力からいたしまして、一隻当りの哨戒区域が三百海里くらいになるわけでありまして、これは通常考えられまする一隻当りの担当区域の数倍ないし十倍くらいの過度の労働をかけておるのではないか。かように考えられる次第でありまして、海上保安庁の船舶あるいは職員をこの際至急ふやすことがどうしても必要である、かように考えるわけでございます。そこでその八千人の職員を配乗せしめます船の計画につきましては、いろいろ研究を重ね続けて来ておるわけでございますけれども、まだ適確なる具体的な結論に到達しないわけでございまして、引続き研究を進めまして、一日も早く具体案を立てたい、かように考えておる次第でございます。なおまたこれが実施の方法につきましては、政府においてとられる一般的な方法とあわせまして処置いたしたいと考えておる次第であります。
  35. 門司亮

    門司委員 もう少しはつきりわかりやすく話してもらいたいと思うのですが、今の御答弁は文章に書けば、そういうことがあるいは言えるかもしれないが、実際はそうではないと思う。船というのは御存じのように、きようこしらえてあしたできるものではございませんし、一ぱいの船をこしらえるにいたしましても、相当な時日を要する。従つてそう急に人間をふやしたから、船もふえるというわけに行かないと思う。私がお聞きしたいのは、そういう事態が実質上の問題としてありますので、八千人の人間をふやすにいたしましても、一体それらの装備を、具体的に言うならばどこかにそういう船があるのかどうか。ただちにこれが出動できるような準備が近い機会にできるのか。これから造船計画を立てて造船所にたのんでこしらえるということになると、一年先になるのか半年先になるのかわからないと思う。従つてもう少し具体的に、今足りない船の補充についてはこういうふうにするとか、その予算的処置はこうなつておるとか、そういう具体的な計画をひとつ知らしておいていただきたいと思います。その点を承りたい。
  36. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 門司委員は船に対してなかなかなかろうとでありますから、十分御承知と思いますが、ただいまの日本の船舶の状況は漁船、商船ともに相当の余裕船舶もあるわけでございます。しかし海上保安庁の目的とひき比べまして、適船を見つける、あるいはその構成をどうすべきかということを、いろいろ考究をすべき点が多数ございます。ただしかし新造船も海上保安庁将来のためには、ぜひスタートいたしたいと考えておるのであります。その辺の船舶の組合せその他が非常に困難でございます。目下いろいろな面を検討いたしておるということを、御説明申し上げておきたいと思うのであります。
  37. 門司亮

    門司委員 それ以上私は聞きませんから……。一体人員を要求して海上の警備に当るということになつて、一番大事な船の問題を、どうしてこしらえるのだかわからぬというようなことでは、実際これ以上私の方で質問する勇気がなくなつてしまつて聞くことができないのでありますが、もう一応大橋さんにお聞きをしておきたいと思いますことは、この七万五千の警察予備隊の完成の時期は、一体いつごろを目標にされておるか。
  38. 大橋武夫

    大橋国務大臣 なるべく急速にと考えておりますが、的確にいつごろどの程度できるかということは、関係方面と目下協議中でございまして、具体的な目途はいまだ立つておらないのであります。
  39. 門司亮

    門司委員 それからもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、先ほどから申し上げておりまするように、われわれの知りたいと思いますることは、非常に大きな財源を必要といたしますることのために、必然これは国民の血税によつてまかなわれなければならないものでありまする以上は、われわれもこれはただ單に勅令で出るからそんなものは、いつ出るかわからない。どういう構想でどういうふうに出るものか、自分たちはわからぬのだというわけには参らない。従つてすでに会期は迫つておりまするが、われわれの心配しておりまするのは、会期が終ると、すぐにこれが勅令になつて現われて来るのではないかという懸念を持つておるのであります。こうなりますと、国会の権威と申しますか、議員としての職責から申しましても、そういうものを知らない間に政府が出してしまつた。しかも国会が開かれておらなければ別でございますが、きのうまで開かれておつたが、それには何ら具体的なものが示されていなかつた。翌日ただちにそういう大きなものが出て来たということになつては、われわれの職責上からも、はなはだ不本意でありますし、政府といたしましても、国会を尊重される御意思が十分あつたならば、その間の事情というものは、もう少し詳しく国会にお知らせくださることが、私は当然だと考えておりまするので、これら勅令の草案が十二條になるか、新聞には十三條と書いてありますが、十三條になるかわかりませんが、草案がまとまつて、そうしてこれの実施に移されまする時期は、一体いつころにお考えになつておるかということであります。
  40. 大橋武夫

    大橋国務大臣 巷間あるいは八月一日ということが伝えられておるかもしれませんが、私の個人的な見通しといたしましては、八月一日にこれが公布されるというようなことは、まずまずとうてい困難である。実際はもう少し遅れるものである。こういうふうに考えております。  なおまたこの制度創設の実現に至る前におきまして、国会議員の立場として何らか事前に内容を知つておきたいという、ただいまの門司君の御希望につきましては、私どもまことにごもつともと存じまして、十分に御趣旨のあるところを尊重して参りたいと考えております。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に委員長に、実はこの問題の取扱い方についてお聞きしたいのでありますが、先ほど床次門司委員からも話がありましたが、われわれとしては政府の見解とまつたく異なつておりまして、これは明らかに機構の問題については、立法的な措置を講じて国会にかけるべきものである。また予算的な措置については補正予算を組んで、やはり国会の承認を経べきものだという見解を、かたく持しているものであります。そこで本日地方行政委員会へ法務総裁、官房長官、田中警視総監、大久保海上保安庁長官等がお見えになつて、大分ものものしい顔ぶれがそこに並んでおるのでありますが、これは皆さんが一応ここへ来て、地方行政委員会にごあいさつをして、あとはポ政令で出すからよろしくという意味で、一応のごあいさつに来ておるのか。あるいはこの地方行政委員会の方で、所管事項であるから、委員会として各政府委員を招集して事情を聽取しようとしておるのか。この点をお聞きして、これがもし政府みずからが地方行政委員会へ出席されて、ここで説明しただけで能事終れりという態度であるならば、われわれはこの政府の態度に対しては断固反対しなければならない。その辺は委員長はどういうお考えであられるのか。この取扱いの問題について、まずお聞きしたいと思います。
  42. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これは先般皆様から本日お見えの方々を呼んでいただきたい。そうして質疑をするからというお話でお呼びしたのです。ですからできるだけ御質問つたらけつこうです。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、当地方行政委員会の要請に基いて、政府の各責任者が来て説明をするのであつて政府の各責任者が地方行政委員会へ来て一応の説明をしただけで、あとはこの問題について国会に対して責任を負わないという意味ではないというふうに、解釈していいと思うのでありますが、いいですか。
  44. 前尾繁三郎

    前尾委員長 要するにきようは御質疑を願います。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう解釈でいいですね。
  46. 前尾繁三郎

    前尾委員長 答えられる限りはお答えになると思いますから、御質疑つたらいいと思います。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、そういう建前からひとつお尋ねしたいと思うのでありますが、まず大橋法務総裁にお尋ねしたいのだが、あなたは先ほどから、もうこれは最高司令官の命令である。そこでポ政令で出すことは当然だという建前から、お話をしておるようでありますが、私はここに非常に重要な問題があると思う。そこであなたがこれを最高司令官の命令であるというように、解釈される根拠をまずお聞きしておきたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 マッカーサー元帥の日本政府に対する命令であるということを、なぜそう解釈しておるのか。これはこの書簡並びにこの書簡に付随して、関係当局より説明せられたる事項を総合いたしまして、これが命令であると解釈いたしたわけであります。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 書簡のどの点が命令と解釈されるのであるか、指示願いたい。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 書簡の全体の趣旨として命令であるという、これは権威ある解釈でありますことを申し添えておきます。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 書簡全体の趣旨から言いますと、むしろ司令官の書簡としては、日本政府において適当な措置を講ずることを許可するんだ。要するに前前から日本政府にそういう希望があつた。希望があつたのを今の段階においては、それを許可する段階に来たと思うから許可するから、日本政府は必要な措置を講じたらどうかというように解釈するのが、この書簡の権威ある解釈だと思うのであります。そこで私がそう指摘します点を申しますと、たとえばこの書簡の内容におきまして、かつて一九四七年の九月十六日の書簡において、日本の全警察力を十二万五千に増員し、三万の国家地方警察を新設するとの日本政府の進言を承認した。このとき、政府の意向は、この十二万五千というものは、人為的に決定すべきものではない。適当な機会にこれは彈力性を持ち得るんだという含みであります。そこでこの十二万五千が決定的な人為的なものでなくて、彈力性を持つんだということの日本政府の見解に、この書簡によりますと、「私もまたこれに全面的に同意した。」そうしてその次に「従つて私は日本政府に対し七万五千名から成る国家警察予備隊を設置するとともに、海上保安庁の現有海上保安力に八千名を増員するよう必要な措置を講じることを許可する。」こうあるのであります。そうすると、これはあらかじめ日本政府において警察官の増員の希望があつて、それがずつと続いておつて、連合国最高司令官としては、ここで増員してもよろしい段階に来たと思うから、これを許可するということであつて、これは日本政府の意向いかんにかかわらず、こうしろというような命令ではないと思うのであります。あらかじめの日本政府の意向に対して許可をする。従つて日本政府は必要な措置を講ずるべきだというように、われわれは解釈するのであります。そのもう一つの材料といたしましては、実は一九四五年の十月十一日の司令部の覚書で「一九四五年十月五日作戰参謀副官に提示せられた日本警察力の員数及び武装を強化すべき旨の日本政府の提案に対しては、好意ある考慮を拂うことはできない。」と言つて警察官増員の拒否の意向が、一九四五年の十月にもありました。また一九四九年の降伏四周年のマ元帥の声明の中にも、現警察制度で秩序維持は十分だと考える。こういうことが書いてあるのであります。これは「現在の機構と人員とをもつた警察制度では、あたり前の法律や秩序を維持することすらできないというような危險はあり得ないことである。」とはつきり言つている。そこで実は吉田内閣としては樋貝国務大臣の責任問題にまでなつたのでありますが、あらかじめ警察の増員を希望していたのでありますが、この声明が出てから、齋藤国警長官も現在の警察力で十分だ、また既定の方針通りで十分だということの声明をわざわざ出すようになつたのであります。こう見ますと、この書簡の本旨は、むろん日本政府の要請に対して向うが許可を與えたという形で、決して向うがこうしろというデイレクテイブを與えたのではないというように解釈するのが正当だと思うのであります。この点大橋法務総裁は、われわれと見解を異にするのであるか、お聞きします。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 林君の博引傍証せられましたる御見解はよく承つたのでありますが、この問題は水かけ論の問題ではないのでありまして、具体的にいずれの解釈が権威があるかということは、成文法上確定いたしておるということを申し上げたいのであります。すなわち一九四五年九月三日付の指令第二号の第四項をごらんいただきますと、連合国最高司令官の権限により発せられたるいずれかの訓令の意義に関して、疑義が発生いたしましたるときは、発令官権の解釈をもつて最終的のものとする。これがすなわち権威ある解釈である。これは今日すでに成文法上いずれの解釈に従うべきかということは確定いたしておるのでありまして、ここに林君と私とが議論を交える何らの余地のない問題であります。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 もしそういうことを言われるならば、われわれはこれはあくまでマツカーサー元帥の許可を與えたものであるから、この書簡の内容にもあるように、日本の国内的な必要な措置を講ずるべきだという見解をとつております。ところが今あなたが読んだ指示によつて、この書簡を與えた権限者の解釈によつて決定されるというならば、政府関係方面折衝したその折衝の内容、すなわちこれは命令だということを、われわれ国会議員が納得するような材料をここに出していただきたいと思います。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点は本年七月八日、総司令部におきましてホイツトニー将軍より、その権限に基きまして政府側の代表者に口頭をもつて示達せられたるところであります。
  55. 前尾繁三郎

    前尾委員長 林君、もし岡崎官房長官に対する御質問がありましたら、官房長官はもう十分しかここにおられませんから、もしおやりになるのだつたら、それを先にお願いします。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 では岡崎官房長官にお尋ねしますが、政府の方針としては、これはまだポ政令で出すかどうかということは決していないのですか。
  57. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今聞きますると、法務総裁からも、一応お答えがあるようでありますが、私の考えも法務総裁の考えと同様であります。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたは先ほどポ政令で出すかどうかまだわからない、検討中だと言われていたのです。ところがあなたの留守に大橋法務総裁に聞いたら、ポ政令で出すときまつておりますと言われております。同じ政府の責任者で見解が違うことはおかしいと思う。どうしてそういうふうに見解が違つていたか、お聞きしたいと思うのです。
  59. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この問題に関連しまして申し上げますると、私は先ほど林君その他の諸君に対しましてお答えいたしたところは、ポツダム政令によつて出すことに政府の態度は決定したというふうなことは申しておりません。ポツダム政令によつてなされるであろうということを、予想いたしておるということを申し上げた次第であります。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 ところが先ほど岡崎官房長官の話では、それもまだきまつておらない。全然まだ政府としてはその方針はきまつておらないと言つておるわけです。それならば大橋法務総裁岡崎官房長官との間の答弁に食い違いがありますから、実はお聞きしておるわけであります。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 岡崎官房長官からきまつておらないと言われたことは、これは事実であります。そしてきまつておらないことを、こういうふうにきまるであろうという個人的な予想をもつて言い得ることも、これは理論上あり得るのでありまして、この間において矛盾を感ずるということは、これは私どもには理解できないことであります。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 私は押し問答はしませんが、結局政府はどこまでもほほかむりをして、国会の目をくらまそうというから、そういうように頭隠してしり隠さずになると思うのであります。ポツダム政令で出すなら出すと、はつきり言われたらどうです。新聞には條項まで出ているのです。火のないところに煙は出ないので、国会議員には知りません。存じませんと言つておいて、新聞にはポツダム政令十三條の内容が出ているのであります。まつた国会議員は愚弄されております。もう少し吉田内閣は国会に対して権威を認めてもらいたいと思うのです。この点を私は言いたかつたから、今の点を言つたわけです。この問題はこれ以上申しませんが、そこで大橋法務総裁にお聞きしたいのは、要するにこれは関係方面の命令であるということをお話になつたのでありますが、そうすると国会の審議を経ずして、ポ政令で出すということを、関係方面の意向と考えていいかどうか、その点をお聞きしたい。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この書簡意味合いは、そういう意味をも含めてあるものと解釈せられるのであります。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこの書簡の中で、国会の審議を経ずして、ポ政令でかけてよいという意味はどこにありますか。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 書簡全体から意味を解釈すべきものと考えます。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうくだらない答弁をされているのでは話にならないと思います。あなたも御存じだと思いますが、ポ政令で出すという場合には、特に連合国最高司令官のなす要求にかかわる事項であるということ、これは御存じ通りであります。それから特に必要ある場合において、命令をもつて法律の事項を定めることができる。これもあなた御存じ通りだと思います。そこでこの二つの要件、最高司令官の要求、それから特に必要がある——その特に必要だという点は、この書簡の中でどこに認められるか。全体の意味でと言われますが、全体の意味がどこにあるということを、もう少し誠意ある回答をしていただきたいと思います。
  67. 大橋武夫

    大橋国務大臣 司令官の書簡は、いかにこれを解釈するかということは、司令官の解釈をもつて最終的のものであるということになつておることは、今申し上げた通りであります。従いましてポツダム政令によるところの最高司令官の要求にかかる事項である。これは書簡に基くものでありまするから、もとより申し上げる必要もないと思います。その上どういう点が特に必要があるかという御質問でございますが、これは先ほどから申し上げましたる答弁の全体を通じてお察し願いたいと思います。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 全体の答弁を通じて少しもお察しできないので、お察しするような材料を出してもらいたいとこつちで言つているわけです。それが出て来なくてお察し願いますと言つても、それはむりな話だと思うのです。そこで私の特にこれをお伺いするのは、実はあなたの閣内でも池田大蔵大臣のごときは、債務償還費二百億——大体二百億らしいのですが、厖大なる債務償還の費用をこうした警察費の課目に使う。また部局の違う面へ移用、流用する場合には、これはどうしても国会にかけるべきだという理論を持つておる閣僚もあるやに聞いておるわけです。閣内ですらそういう意見がある際に、なお大橋法務総裁が、いやこれはポ政令で足りる。しかも日本の財政史上かつて例のない予算措置までがポ政令でなされる。こうなればこれは国家予算それ自体すら、まつたく一片のポ政令でどうにもすることができるということになるので、これは実に由由しい問題だと思う。それから国会予算に対する審議権、こういうものは一切無視される。これは日本国会史上、財数史上重要な事例になると思うのです。それをもし少くともわれわれを納得させるような説明なくして、ただこの書簡によりすがつて書簡の全般的な意味から、書簡の全般的な趣旨からというだけでは、われわれは納得できないのです。だから少くともポ政令で出すというならば、なぜ特にそうしたポ政令で出す必要があるのか。また関係方面との交渉の結果、関係方面の意向として、これはこうしろと言われておるのかどうか。その点をもう一度はつきりさしてもらいたい。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これはわが国国会史上、前例のない措置であると林君は言つておられますが、予算措置にかわるべき措置をポツダム政令によつてつた実例というものは、すでに昨年の四月にもございます。これはあなたのお考え違いであります。それから特別の必要があるということが、関係方面の意向であるというならば、その点をはつきり言つてくれというお話でございまするが、これは先ほど来たびたび申し上げておるところであります。
  70. 前尾繁三郎

    前尾委員長 林君、ちよつと藤田君が官房長官質問があるそうですから、藤田君に先にやらしていただきます。
  71. 藤田義光

    藤田委員 官房長官は御多用で時間がないようでございますから、簡單にお伺いいたします。  先ほど床次委員質問に対する御答弁を中心にお伺いしたいと思いますが、マ書簡にありましたナシヨナル・ポリス・リザーブという言葉でございますが、これは今度の予備隊性格を決定するのに重要な点でありますのでお伺いしたいと思います。今度の予備隊は依然として現行警察法に規定するナシヨナル・ポリスである。リザーブというのは形容詞であるというふうに解釈せられるのか、あるいはリザーブが本質であつて、ナショナル・ポリスというのを形容詞的に考えられるのか、その点をお伺いしたい。
  72. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 私はマツカーサー元帥書簡にありますナシヨナル・ポリス・リザーブというのは、これはコンモン・ネームでありまして、ただ普通名詞を使つたのだと思います。従つてどれとどれがどういうように強調されるというようなことはないと思いますが、趣旨はやはりリザーブということが趣旨だと思います。そうしてこの国家地方警察という名前のものがありますから、ナシヨナル・ポリスというと、何かそれと関連するようにとられまするけれども、そうではなくして、全然別個のものであろうと考えております。
  73. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの官房長官の御解釈は、ナシヨナル・ポリスと本質的に違うという意味に解釈してよろしゆうございますか。
  74. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 本質的に違うということはないと思います。というのはいずれも治安維持に当るものであると思いまするから、その点では同じものだと思いますが、ただ今の国家地方警察は、公安委員会のもとにありまして、警察法に基いて行動しておるものであります。今度できますものは公安委員会のもとになくて、政府のもとにありまして、治安維持に当るものである、こう考えております。
  75. 藤田義光

    藤田委員 この設置の法律上の根拠あるいは所轄の問題、これは十分わかります。ただこの問題は、この際設置の目的をひとつはつきりさせていただけば、自然と現行警察法国家警察との相違も出て来ると思いますが、設置の問題に関しまして、簡單にお答え願いたいと思います。
  76. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 これは先ほど床次さんの御質問に対してもお答えしたのでありますが、設置の目的は治安維持でありまして、先ほども申しましたように、警察国家をつくるのでもなければ、軍隊をつくろうとする下心でもないことはもちろんであります。なお普通の警察事務は現行の警察に依頼して、特に治安維持の必要がある場合に、この警察が使われるのだ、こういうふうにわれわれは考えて準備を進めております。
  77. 藤田義光

    藤田委員 政令案ができるとすれば、当然設置の目的というものは、第一條に来なければならぬ重大な点でございまして、私はおそらく非常事態の宣言、またはこれに準ずる程度の場合に、本格的な活動をするというふうな想像をいたしておるのですが、その点に関しては、はつきりした御答弁を得ないようでございますから、次に進みたいと思います。  次にお伺いいたしたいのは、本年かりに予備隊の経費を債務償還費の流用で、国会にかけないということになりました際におきまして、明年度からは当初予算に編成されるということは、はつきり確定いたしておりますかどうか、ちよつとお伺いしたい。
  78. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 今おつしやつたことについては、明年度につきましては、私も当然御意見のようになることと考えております。
  79. 藤田義光

    藤田委員 先ほどからいろいろ問答を聞いておりますと、関係方面の命令だから政令でやる、あるいは指令だからやるというような印象が非常に強いのでございます。これは考え方によりまして、この設置の責任を関係方面に押しつけるという印象を受けるのであります。われわれは昨年の臨時国会におきまして、警察力の増強に関する決議案を出しております。従いましてこの決議案の趣旨にかなつた適宜な措置という解釈をとつておりますが、どうも官房長官、法務総裁の解釈は、機動的な新機構の設置というような印象を受けます。日本のため非常に適当な措置である、命令もあるが、われわれもこの点に対しては非常に適宜な措置であるというお考えも当然あると思いますが、この機会に官房長官のこの点に関する心境を、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  80. 岡崎勝男

    岡崎政府委員 まつたく今藤田さんのおつしやる通りでありまして、われわれも非常に適切な措置だと考えております。  なお私はちよつと渉外の事務があつて参りますから、大橋法務総裁とはこの点において一心同体でございますから、ひとつ法務総裁からお聞き願いたいと思います。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 やおちよう質問なら許すのか、私はまだ官房長官にお聞きいたしたい点があつたのであります。それで法律的な取扱いの問題は見解の相違だと思います。少くとも二百億の厖大な予算が、部局が全然違う、款項目が全然違うところへ移用して、しかも国会の審議を経ずしてなしたという例はありません。それはあなたのお考え違いですから、よく調べてください。私はこの点はあなたと問答していてもむだですから、次の問題に移ります。  そこで問題の警察の目的の点であります。これは私は岡崎官房長官にもお聞きしたいと思つてつたが、今帰られてしまつたからしかたないのでありますが、先ほど岡崎官房長官答弁によりますと、自衛権の範囲内で、治安維持の任に当るという答弁をされたのであります。ところが治安維持の任というのは、これは現行警察法におきましても、警察法の総則の第二條の第一に、公共の秩序の維持ということをはつきり書いてある。これは今の警察法でもちやんとある。それから日本の国の警察制度設置の際の関係方面の指示の中にも、警察に関する連合国指令の中にも、日本の国の警察の権限の中の第三に、治安維持、生命財産の保護、こういうことがあります。それから第四に騒擾の抑圧ということはちやんと書いておるわけです。そこでわれわれは治安維持あるいは騒擾の抑圧という意味ならば、現行警察をもつて足りる。なぜさらにこうした七万五千のものを設ける必要があるか、この点について政府の見解をただしたいと思います。
  82. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの林君の御質問は、すでに治安維持そのものを目的として現行警察法ができておる。しかるにこの警察予備隊をつくるならば、なぜ警察法のわく内においてこれをつくらないのか、こういう御質問であつたかと思います。御承知通り現行警察法は、国家地方警察並びに自治体警察、これによつて日本警察組織することが建前になつておるのであります。しこうして現行の国家地方警察及び自治体警察の実情から申しまして、今日の場合、現在のごときよく治安の守られた状態を、今後も一層持続いたして参りますためには、これだけでは不十分である。このほかに新しい警察力を持たなければならない、これがこのたびの警察予備隊の創設せられるゆえんであります。従いましてこの警察予備隊を設けまする場合に、これを国家地方警察の延長として考えることもできましよう。また自治体警察の延長として考えるという方法もありましようけれども、しかしながらいろいろな事情から考えまして、これは国家地方警察及び自治体警察以外の新しい警察予備隊として設けることが適切である、こういう考えのもとに現行警察法のわくの外にこの予備隊を置く、こういうことにきめた次第であります。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 ただいまの法務総裁の答弁答弁になつておらぬ。従来にも警察の任務の中には、第一條に治安維持ということがあるし、それから関係方面の指令の中にも治安維持、騒擾の抑圧、鎮鎭圧ということがある。それを特に七万五千を設けて治安維持しなければならぬような必要がどこにあるか、またそういう情勢がどこにあるかということの説明を私は求めておるわけであります。
  84. 大橋武夫

    大橋国務大臣 質問がなつていない場合には、答弁もこれに即応するのが当然だと思います。そこで今言われて、ようやく林君の質問される趣旨がわかりましたから、これに対してお答え申し上げます。現在七万五千の警察予備隊をなぜ新しくふやさなければならないか、これはマツカーサー元帥書簡にもあります通り、現在までの警察国家地方警察並びに自治体警察とも、すこぶるその成績を上げ、能率的に運用せられ、わが国の治安がよく維持されておるが、しかしながらややもすると社会の紊乱を事とし、不法の行為を常習とするところの一部の少数分子の社会に対する動きかけに対して、社会の治安を今後とも維持して行くためには、こういう七万五千の新しい警察力が必要である。それが書簡趣旨でありまして、私どもはこの点につきましても、まつたく同感に考えております。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで法務総裁にお聞きしたいのは、先ほど私が読みましたように、昨年の九月二日のマ元帥の声明によれば、現在の警察力によつて十分あたり前の法律秩序を維持することができないという危險は、もうないのだと言つておるのだが、この際特に法務総裁の言う、法の違反や平和と公安を乱すことを常習とする不法な少数者によつて、こういう必要が出て来るということならば、この法の違反や平和と公安を乱すことを常習とする不法な少数者によつて乗ぜられるすきというのが、一体七万五千もの特別の警察隊を設けなければ、これを取締ることができないような事態がどこに起きておるのか。またどうしてそういう危險性が見られるのか、その点を説明されたい。
  86. 大橋武夫

    大橋国務大臣 昨年の九月二日には、警察制度改正の必要はない、こういうことになつてつたことはその通りであります。その後今日までの事態をお考えいただければ、なぜ七万五千をふやさなければならぬかということは、おのずから明らかだと思います。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 そこが非常に重要な点で、昨年と今年とでは情勢が変化しておるというのは、どういう変化があるのか、しかも池田財政の根幹とも言われておるところの債務償還費の中から、二百億もの厖大な金をさいて、この予備隊を設けなければならない情勢の変化がどこにあるのか。
  88. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点につきましては、先ほど答弁いたした通りでございます。もうこれ以上申し上げる余地はございません。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 法務総裁はいつでもここを読むのです。あなたはどこの委員会に行つても、この法の違反や、平和と公安を乱すことを常習とする不法な少数者によつて乗ぜられるすきを與えないような対策を確保するというところを、意味ありげに読むのだけれども、そんなに意味ありげに読むならば、どういう具体的な事例があつて日本政府としてもこの七万五千の予備隊を必要とするのだということを、あなたは説明しなければならぬわけです。またもし書簡にこういうことがあるならば、関係方面ではどういうことをさしてこれを言つておるのか。昨年までは十分だと言つてつたのが、海上保安庁も入れて十万近くのものをふやさなければならないという原因がどこにあるか、またどういう事態がそれを示しておるのかということを説明してもらいたい。
  90. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この点はここで簡單に一口に申し上げることはできないくらいたくさんあるのであります。御必要ならばまた申し上げたいと思います。たとえば治安上いろいろな困難が最近において生じておる。この点はもうすでに他の方は御承知通りでありまして、ことに一、二の例を申し上げるまでもないと存じます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 他の方はわかつて私だけにわからない、そんなばかな話がありますか。それこそ人を愚弄しているではありませんか。もし朝鮮事変が起きたために、国際的なあるいは軍隊だとか何か設けなければいけない。しかしそれは表面に言えないから、警察という名前にしておくというのならそれでわかります。それならそれではつきり言つたらどうです。朝鮮事変との関係で、こういうものが必要になつて来たと正直に言つたらどうです。
  92. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これはさような警察の形を借りた軍隊というような意味の問題ではなく、国内の治安維持、そういう事態において必要を生じておるわけであります。特にその例をあげろと言われますならば、最近におきまする各地の職業安定所を中心にいたしました種々の不法行為の問題でありますとか、あるいはまた一部の反米分子の活動に伴う問題とか、これらの問題が国内においていかに人心を不安に陷れ、また治安を乱しておるかということは明らかであります。これがためかかる新措置も当然必要と、私どもは痛感をいたしておる次第であります。
  93. 立花敏男

    立花委員 ちよつと関連して……。さつき法務総裁は七万五千の配置の問題につきまして、これは一地区一地方に限るものではなく、全国的に重点的に四つか六つの場所に置いて、しかもそれは全国的な問題に対して使用できるように指揮系統なり、駐剳地帶をきめるというふうに言われたのですが、いろいろ聞いておりますと、職業安定所の問題とか、反米分子の何とかと言つておりますが、そういうことは全国的に七万五千人に機動性を持たせて動員して、鎭圧しなければならないような情勢ではないと思う。いくら一箇所の職業安定所に失業者がおりましても、東京で一番多いところでたかだか千五百人くらいである。それに対して全国的に動員するような七万五千人がいるのですか。この点が私どもは納得がいかない。
  94. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この職業安定所に関係する問題一つを取上げましても、これは單に一地区の問題ではございません。全国に同時多発的な性質を持つておるものであります。そうしてこれを放置いたしますならば、これがあるいは暴動的な事態に発展するということを、大いに心配をしておかなければならない事態であると私ども考えております。またその他の問題にいたしましても、あるいは重要な交通機関、あるいは産業上の機関に対する一部分子の破壊的な行動であるとか、あるいはまた各種の集団犯罪でありますとか、あるいは今日の軍事輸送に対する妨害、あるいは反米活動、それからまた特に社会に虚偽の宣伝と謀略をまき散らしておりますところの一部の党派的なる宣伝活動、これらのものはすべて今日わが国の治安におきましては、重大なる問題でございまして、これらの各般の事例を総合いたしまして政府といたしましては警察力の拡充を、特に必要なりと痛感をいたしておる次第であります。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで私は田中警視総監にお尋ねをしたいのですが、田中警視総監は、管内の職業安定所において、あぶれの労働者諸君の職をよこせという切実な問題が起きました。これに対してはその後十分治安が確保されておりますが、この職業安定所の失業者の職を求めるいろいろな闘争を押えるためには、七万五千人の警察予備隊を動員しなければおさまりがつかないと思いますか。
  96. 田中榮一

    ○田中参考人 お答えいたします。ただいまのところ管内の職業安定所に起つております集団暴行事件につきましては、現在のところでは、私どもの警備力をもつて十分であろうと考えておりますが、将来起り得る事態に対しましては不十分であります。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 結局法務総裁はいろいろ言つておりますが、軍事的な性格もこの中に含まれておるために、それをはつきり言うわけにいかない。たとえば七万五千を全国的に機動的に動員するということは、職業安定所の失業者を彈圧するためには必要ないと思う。これははつきりそういうことを言えないために、あなたはそういうことを言つておるのだと考えて、私は次の問題に移りたいと思います。  そこで問題は訓練の問題になるのでありますが、どういう訓練をするのですか。
  98. 大橋武夫

    大橋国務大臣 訓練はこの目的を達成するに必要な隊員になるための訓練であります。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 だから目的を達成するために、具体的にどういう訓練をするのかということを聞いておるわけです。
  100. 大橋武夫

    大橋国務大臣 訓練の内容は目下調査中でありますが、おそらくその性質上から見まして、集団的な暴行犯罪に対して、これを取押えるというようなところを重点としての訓練が行われるのではないか、こういう予想をいたしております。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 もちろん集団的な軍隊的な訓練が行われるものだと思いますが、そこでこの武装なり武器はどういう程度のものを持つのですか。
  102. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この武器は関係方面と協議中であります。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 武器を持たせることは持たせるのですか。
  104. 大橋武夫

    大橋国務大臣 もちろんであります。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 法務総裁の法務委員会での答弁を仄聞しますと、自動火器あるいは催涙ガスの使用等は許すというようなことを言われておるそうですが、当委員会ではどの程度のことを御答弁になりますか。
  106. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私は催涙ガスとか自動火器とかいうようなことは、どこの委員会でも申し上げたことはございません。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 法務委員会でも、また外務委員会でも、小銃程度のものは持たせる考えである——これは速記録をごらんになればわかりますが、だからその程度のものはここでもお答えになるのかどうか。
  108. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まだ未定でありますが、予想といたしましては、おそらく少くとも小銃程度のものは、各個に持つことになるであろうと存じます。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 その小銃にもいろいろあるのですが、自動小銃ですか。
  110. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その辺も未定でありますが、私が予想いたしました小銃程度というのは、自動小銃ではございません。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 相当の武器を持つて集団的な訓練をするということはわかりましたが、これ以上はおそらくむりだと思いますから私ども問いませんが、この任務を遂行する場合に、国家警察自治体警察と、どういう関係を持たせるのか、この点をお聞きしたい。
  112. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは国家地方警察並びに自治体警察警察力の不足を補充するという立場において行動することに相なります。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると国家警察自治体警察と、この警察予備隊とが相互に援助関係、たとえば警察法御存じ通りに、自治体警察国家警察とは適当な場合、相互に救援を求めることになつておりますが、この相互救援関係は、この警察予備隊国家警察自治体警察とは相互に援助関係があるのかないのか、またどういう場合に相互援助を求めることができるのかどうか、こういう具体的な場合についてのお考えを聞きたい。
  114. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この辺はまだ未決定の部分でありますが、この協力あるいは相互援助の関係は、おそらく事実上の関係として調整されて、これを法的ないかなる関係下にするというような措置はとられないだろうと思います。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると国家警察自治体警察とは、事実上偶然一緒になる場合があつても、法制的に同時に援助関係を求むる場合を想定しないのですか。
  116. 大橋武夫

    大橋国務大臣 援助関係の行われることは事実上想定されますけれども、それにつきまして特別な法規的な制約は、今予想いたしておらないということを申し上げたわけであります。
  117. 立花敏男

    立花委員 現在の警察法におきましても、特に自治体警察国家地方警察との相互援助の規定は、特に一章設けてつくつてあるはずです。特に現在問題になつております性格のあいまいな警察予備隊をおつくりになる場合に、今までの警察との関連を何ら法的に示さないということは、明らかにここに拔け道がありまして、しかも国家が中央で全国的に統一する警察が、自治体警察、あるいは地方警察全国的に統轄するという形が、はつきり現われて参りました。これはマッカーサー元帥が去年の書簡で警戒しておる国家警察への復活にほかならない。なぜこの規定をおつくりにならないか。あなたの言われるように、国家治安を守るという建前警察であれば、当然従来の警察との協力関係を明白に規定すべきであると思う。それをやらない限りは、これは国家警察の復活と断じてもいいと思いますが、その点をひとつはつきりしていただきたい。
  118. 大橋武夫

    大橋国務大臣 なぜつくらないかと言われますが、この点は、まず御了解を得たいのは、初めから未決定の部分である。ただ予想を申し上げたという意味に御了解を願いたい。それにしてもなぜつくらないかという御質問はあり得ると存じますが、これは必要がないからつくらないのであります。
  119. 立花敏男

    立花委員 必要がないからじやない。今の警察法におきまする自治体警察国家地方警察の相互援助の問題で、特に一章を設けられましたのは、特に必要があつたからつくつたのです。御承知のように従来の戰争前の警察は、いわゆる国家警察でございまして、これがわれわれを戰争に導き、敗戰に導いた大きな根本的な原因であつたわけです。だからこの警察を自治体の警察にいたしまして、また国家地方警察をつくりまして、警察はつきり民主的なものにしたわけです。しかもその上で特に国家地方警察自治体警察の混淆、あるいはかつて国家警察の形が出てはいけないから特に一章を設けて、協力関係を規定したわけだ、だから必要がないとは言えないわけであります。さらにこの上に第三のえたいの知れない警察ができて来る場合には、特にこの関係はつきりする必要がある。あなたは必要がないと言いますが、それは終戰後の日本警察民主化という線に逆行すると思う。この点ないとすれば私どもは承服しかねるので、もう一度はつきりしていただきたい。
  120. 大橋武夫

    大橋国務大臣 立花君の御質問は現在の警察できわめて十分であり、またこれが一番よろしい、こういうお考えのもとに出発しておられるのじやないかと思いますが、私どもは現行警察だけでは今日の治安確保の上からいつて不足である、従つてこれを補うということを主眼にして考えておるのでありまして、それがためにはかような協力等の関係はなるべく自由にすることが、この予備隊の活動を自由にならしめる上からいつて適切である、かように考えております。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 大橋法務総裁答弁には非常な矛盾があると思う。あなたは現行警察では不十分であるからこれを補うというが、補うなら相互の関係をどう密接にするかということが、最も重要な点になるわけです。ところが補うと言いながら、どういう場合に相互に協力するかということは考えておらない。それは事実上一緒になる場合があるが、これは補うことにはならない。結局あなたの言うのは、同じ警察であれば相互援助の関係をもつと密接にしなければならない、ところが同じ警察という名前を付しておりながら、自治体警察国家地方警察の相互関係を規定しないということになれば、警察ではないということになる。警察でないから相互関係も協力関係考えていない。明らかに先ほど立花君が言つたように、国家警察あるいは軍隊の伏線ということを、われわれが考えても当然じやないですか。訓練は集団的にやる。武器は小銃を持たせる。警察とは全然独立した別個な行動をとらせる。全国的な機動性を持たせる。これではあなたは軍隊でないと言うが、どこが軍隊でないのですか。ただ名前だけが警察ということじやないのですか。もしこれも警察というならば、国警と自治体警察との間に密接な援助関係を規定するのは当然だと思うのでありますが、その点はどうですか。
  122. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国警、自治警との間に密接不可分の関係があることはもちろんであります。従いましてこの密接不可分なる関係について、種々な法律的な制約を加えること自体が、この密接不可分の関係を妨げる、こういう考えのもとに、私どもはただいまのところ、物に法律の規定をもつて、その関係を規律するということは予想いたしておらない、こういう次第であります。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 それじや辻公安委員長にお聞きしたいのですが、日本の国の警察制度が公安委員制度になりまして、公安委員の管理下に置くということは、これは終戰後の連合国並びに極東委員会日本警察制度民主化の線に沿つた重要な基本的な方式だつたと思います。ところが今の警察を聞きますと、これは公安委員の管理下に置かない、政府直属にするということになりますと、いわゆる警察民主化のために、政府機構とは別個な制度にして、公安委員の管理下に警察というものは置くべきだという、この日本警察制度民主化の線とは、むしろ逆行する方向へ今度の警察予備隊制度は行くように、われわれには考えられますが、この点について私は警察予備隊に対する公安委員長としての辻さんの考えをお聞きしたいのであります。
  124. 辻二郎

    辻政府委員 先ほども申しました通り、現在まで過去二年間におきましては、民主化の線に沿うて、われわれは鋭意国家地方警察行政管理をやつて参り、またそれは多くの欠点もありましたが、多くのよいところも国民に認められたと思つております。しかしながら昨年の九月から今日に至るまでの間には、社会情勢も相当に変化をいたしておりまして、現在では、現在の国警の警備力では足りないということは、さつき申し上げました通り事実でありまして、その点については再三政府とも折衝し、司令部とも折衝をいたしておりまして、まだ結論を得ないとさつきお答え申した通りでございます。しかし今後創設されるべき予備隊の問題につきましては、私ども公安委員といたしましては、これが在来の民主警察の線に沿うことをもちろん希望をいたしておりますし、そういうものができるであろうと考えております。しかしそれはいかなるものがつくり上げられるかという具体案を見せていただきませんと、現在では何とも申し上げることができないのでありまして、今まで官房長官も法務総裁も、今後の予備隊については、まだ未決定であるということで明示をいたされませんので、私としては現在では何とも意見を申し上げることができないのであります。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると公安委員長考えですと、今の警察に対して、——質問をここで整理しますが、第一には、今の警察力では情勢の変化で不十分になつて来た。そこであなたのいう情勢の変化というのはどういうことを指すか、これが第一。  第二としては、あなた自身警察民主化のために、公安委員の職にあるものとして、新しい警察制度がこれと別個の形でつくられることは、警察制度民主化の線に沿つていると考えられるかどうか、これが第二点。  第三としては、新しい警察予備隊から公安委員に協力を求められる場合、公安委員長としてはどういう措置をされるのか、また公安委員長としては、どういう場合には協力に応ずるという点を、やはりはつきりと法制上きめておいた方がいいと考えられるかどうかという点、これが第三。  そのほか第四としてもう一つお聞きしたいことは、これは実は消防隊も国家警察と協力する形になつておりますけれども、この消防隊と国家警察と、それから新しい予備隊との関係、これも公安委員長としてどういうふうに関係をすべきかということを、あなたの意見としてはどういうことを考えられておるのか、これをお聞きしたい。
  126. 辻二郎

    辻政府委員 どういうふうな情勢の変化があつたかということは、さつきからいろいろ政府委員の御説明がございましたので、私が今さらここで申し上げるまでもないと思いますから、省略させていただきます。  民主警察の線に逆行しはしないかという点は、そういうふうであつては困ると考えるのは、私どももまつたく同様でございまして、現在までの警察法を遵法するわれわれの立場から、そういうものができるはずはないと考えております。但しそれはいかなるものができるかということが、少しもまだ明示されておりませんから、今日申し上げることのできないのを遺憾とする次第でございます。  相互の応援関係でございますが、これも私といたしましては、やはり今後の予備隊の任務と権限というものがきまりませんと、国家、地方警察といかなる相互援助関係にあるべきかということを考え資料がございませんので、これはお答えすることができません。  それから消防隊でありますが、消防隊は現在は、御承知通り消防吏員と消防団と二つございますけれども、消防団は今日まででは警察力が非常に手薄になつた場合、何か大きな事件がありまして、警察官がある都市から大半他に応援に出たというような場合に、その留守をあずかつて、火災とか交通とかの仕事を手伝つて治安維持の援助をするというだけの目的に使われることになつておりまして、それ以上は消防団としては行き過ぎのことであると思いますので、そういう積極的な治安の、暴動等の場合の鎭圧には、期待することはできないと思うのであります。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 時間もたちますし、他の委員に御迷惑ですから進めて行きますが、次に人員の採用の問題であります。これは大久保海上保安庁長官にお聞きしたいと思いますが、大橋法務総裁にも同時に聞きたいと思います。予備隊もまた海上保安庁の方も、どういう資格の人を採用するのか。聞くところによると、もとの海軍の兵学校、あるいは陸軍士官学校の卒業生で、正規の軍人として追放を受けない者については、優先的に採用するというようなことも伝えられておるのでありますが、この点について採用の資格はどうなつておるのかということをお聞きしたい。ことに大久保海上保安庁長官については、これは海上保安庁の規則の中では、公然と海軍の軍人を採用することもできるようになつておりますが、特に海上保安庁として前の海軍の訓練を受けた者に対して、優先的な採用をするというように考えられておるかどうか。この採用の資格の点について、お聞きしておきたいと思うのであります。
  128. 大橋武夫

    大橋国務大臣 採用資格につきましては、これまたただいま折衝中の事項でありまするが、私どもといたしましては、民主主義国家における警察隊員として、最もふさわしい人を選びたいという考えのもとに、追放せられたる旧軍人というような者は、今考慮のうちに全然入れておりません。
  129. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 海上保安庁の採用方針といたしましては、士官におきましては、航海科、機関科は甲種海技免状の所有者といたしております。それから、一般的に普通船員という部類の職員でございますが、これは海員養成所卒業者、小学校卒業者にして、海上経験を有する者、かようにいたしておるわけであります。その他の点は、一般の規定に従いまして、機会均等にいたしたいと思います。なおまた海上保安庁の規則で、旧海軍の軍人を使つていいことになつているという御質問つたと存じておりますが、海上保安庁の規則ではございませんので、海上保安庁ができますときの関係方面からの指示によりまして、ある特定の部署に限りまして、特定の軍人を使つてよろしいという指示を受けておるわけであります。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、このたびの八千の海上保安隊の増員の中には、その海軍の軍人を採用していいという特殊部門も、その中にあるのかどうか、それから今大体海上保安庁で、海軍の軍人がどのくらい採用されておるか、これを大久保さんにお聞きしたい。それから大橋法務総裁には、私の質問先ほど軍人として追放された者は当然除外されるが、追放されなくて、軍関係の学校で訓練をされた者に対しては、優先的に考慮をするということがきまつたようでありますが、その辺をお聞きしたい。それであなたの言う民主主義のもとにおいて、警察官として適当な人というのは、具体的にどういう人を言うのか、お聞きしておきたい。
  131. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さような人も、追放されていなければ採用される場合もあろうと存じますが、別に優先的にそういう人を採用したいというような考え方は、毛頭持つておりません。
  132. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 御質問の第一点の八千人と軍人との関係でございますが、法規上さしつかえない限り、私が先ほど申しました資格の範囲内において、機会は均等であると思います。なお海上保安庁が指示によりまして使つております軍人は、約二千名でございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 その海上保安庁の中で、海軍の軍人を官制上使うことのできる部門があるわけでしよう。これはこの前の運輸委員会であなたにお聞きしたのですが、その部門もまた今度の増員の中に入つているかどうかということをお聞きしているのです。
  134. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 今回の増員の八千名は、海上保安官及び船舶乗組員であつて、随時警戒の任に任ずるもの、かように解釈いたしております。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大体軍人も採用はする。特別に優先的でないというような答弁でありました。そこで訓練の期間でありますが、これもすでに新聞紙の方が、むしろ詳しく報道されておるのでありますが、大体三年ごとぐらいに訓練して、むしろ退職金を準備しておいて、やめるときの退職金を十分してやつて、三年ごとかあるいは一定の期間ごとに、更新訓練するということが伝えられておるのであるが、この点は具体的にどう考えておられるか、大橋法務総裁にお聞きしたい。
  136. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この予備隊の隊員は、作業の性質上、ある限度をもちまして年令を限るということは、必要ではないかと思つております。しかしながらその停年と申しますか、一番上の年令を何歳にするかというようなことは、まだ研究中に属しております。  それからどれくらい訓練するかという御質問でありますが、この予備隊の隊員を採用いたしまするのは、訓練のために採用するのではなく、予備隊員として活動させるために採用するわけでありますから、特別の訓練期間がどうこうというようなことは、ただいまのところ考えておりません。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし火器を持たせる、小銃を持たせるならば訓練しなければ初めから撃てつこない、当然訓練すると思う。それと一定の期間ごとに交代するということはどういうことなんですか。一定の期間勤務させて、一定の期間が来ると更新してまた新しい者を採用するということですか。
  138. 大橋武夫

    大橋国務大臣 訓練というのは隊に属しておる間は、常に訓練する必要があろうと思いますから、特別に何年間が訓練期間であるというようなことは考えない、こういうことを申したわけであります。それから交代させるというようなことも別に考えておりません。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 一定の期間で交代させることになると思うと、あなたは先ほど言われたが、そうではないのですか。
  140. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さような考え方もありまするけれども、これはまだ現在のところ計画として何ら決定いたしたものではございません。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 あと二点ほどで讓りたいと思います。大事な点はこれが時あたかもちようど吉田総理から言わせると、何か共産軍が日本の国へ侵入して来る、その場合に自衞権を発動し、義勇軍をつくらなければならないというようなことを言つておる。また田中最高裁判所長官も自衞上義勇軍をつくることは、憲法解釈上違法でない。また大橋法務総裁も憲法上日本の国が自衞上義勇軍をつくることは可能である。こうなると、これをあたかも朝鮮事変を契機として、こういうものができるとなると、義勇軍とこの警察予備隊というものは、あたかもまつたく概念が一致するように考えられるのであるが、大橋法務総裁の言う自衞の必要上、義勇軍を持つことは憲法上違法でないという、あなたの言う義勇軍という概念はどういうものですか。
  142. 大橋武夫

    大橋国務大臣 義勇軍と申しますのはどういうものですか、私もよくわかりません。なおまたただいま自衞上必要があれば義勇軍を持つことも、憲法上違法でないというような発言を、私がどこかでいたしたというようなことを前提としての御質問でございまするが、私は自衞権という観念は、これは国内法上の観念ではなく、国際法上の観念であると考えております。従いまして自衞権の発動ということは国際法上、それが許されるということを意味するのでありまして、国内法上許されるかどうかということは関係がないことである。かように私は法律的には観念をいたしております。従いましてそれはどういうことであるかというと、自衞権として義勇軍を持つというようなことが、憲法上許されるというようなことは、それ自体一つの断定として無意味なことではないか、言いかえますと義勇軍が許されるかどうかということは、これは憲法上の問題として論ぜられておる。しかしながら憲法上の問題であるならば、あくまでもこれは国内法上の、憲法上の論議においてされるべきものであつて、それの結論が国際法的な観念から、許されるとか許されないとかいうような性質のものではなかろう、こう思つております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 結局私の聞きたいことは、ちようどこの警察予備隊と相呼応して、方々にこの義勇軍の問題がのろしを上げておるわけです。しかも今警察予備隊機構、装備、いろいろと聞くとまつたくことを一致しておる。そこで私の考えることは、国内的には民主的な勢力をこれをもつて彈圧する、国外的にはこれを万一の場合の反共的な義勇軍として動員するということが将来考えられると思うが、この点について大橋法務総裁はどう考えておるか。
  144. 大橋武夫

    大橋国務大臣 憲法の第九條によりますると、政府が外国との交戰を目的として、戰力を保持するということは、これは憲法上禁止せられております。従いましてこの警察予備隊はいかなる意味におきましても、外国との交戰に使用されることはない、こう私は考えるのであります。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に私がお伺いしたいことは、大橋法務総裁は、この警察予備隊の設置の問題については、常に法の違法や、平和と公安を乱すことを常習とする不法な小数者云々ということを、あなたは唯一のたよりにしておるわけであります。それがわが党の議員が質問しますと、これはどういうことをさすかというと、それは諸君の方がむしろよく知つておるのだという、あてこすりを言つておるわけであります。そこで私がここで真劍にあなたに考えてもらいたいのは、降伏後の対日基本政策の中に、こう書いてある。日本の国は陸軍も海軍も空軍も、また祕密警察組織、または特高的な警察制度は一切これを解消しなければならないということが、はつきり書いてあるわけであります。これが一つと、もう一つは日本の国の民主化のために、力が行使されておる。それは占領軍に関係ない限り、日本の封建的な反民主的な勢力を一掃するために、民主的な勢力を行使することは許されるということが、はつきり対日基本政策には書いてあるのであります。この大きな極東委員会の政策、また対日基本政策とこの警察予備隊——このたび大橋法務総裁考えておるような警察予備隊とは相反するような方向へ行くと、私は断定せざるを得ないのであります。この点について法務総裁の所信を伺いたいと思うのであります。
  146. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私はこの警察予備隊は、ただいま御指摘になつたような線を守るためのものであると思つております。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 こういう線を守らんとしておる。ところが大橋法務総裁あるいは吉田内閣の政策に、これを使うことになると、そういう線にならないと思います。そこでもしそういう線に沿わないような事態が起きた場合には、大橋法務総裁はもちろん、吉田内閣は責任を負われる覚悟があると思いますが、その点はどうですか。これをもつて私の質問を終ります。
  148. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その点はあらためて申し上げるまでもございません。
  149. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、残りの質疑は明二十九日午後一時から開会いたして続行いたします。なお明日は請願及び陳情書の審査をいたしたいと思いますからさよう御了承を願います。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時十九分散会