○
門司委員 私はこの
地方税法案の討論を行いまする以前に、質問がすべて終了いたしておりまするので、
従つてやがて提出されようとする修正案に対しての意見でなくして、私
どもの意見をこの際開陳しておきたいと思うのであります。
第一に申し上げたいと思いますことは、附加価値税に対してであります。附加価値税はすでにいろいろ私
ども論議をいたしまして、さらに
当局の説明を聞いて参
つたのでありますが、この税は、前
国会におきましては、流通税と收益税との中間であるということの
当局の説明を承
つたのであります。しかしながらこれが、流通税であるということを本議会において明確にいたされました。これにつきましては、従来の取引高税が非常に悪税であ
つて、
従つてこれを廃止するのだという
政府当局の意見とは、ま
つたく食い違
つた意見であると
考えざるを得ないのであります。従いましてこれが流通税でありますならば、当然物価の値上げとな
つて現われなければならないことにな
つて参りますので、これは單なる税の負担の公平あるいはいろいろな理由がつけられてはおりまするが、結論といたしましては、物価の値上げとして大衆
課税であるという結論に相な
つて参るのであります。私
どもはそれと同時に、この
税法はいまだ世界に見ざる
税法でございまして、まだ研究の余地が非常にたくさん残
つておるかと
考えておりますので、これの全廃をいたしたいと
考えております。さらに全廃をいたした後における暫定的の処置といたしましては、現行の事業税及び特別所得税に対しまして、
政府はこの案においては御
承知のように従来の法人あるいは個人に対しまして、おのおの百分の十八——この
数字は都市計画税を含んだ
数字でございますが、都市計画を含んで、
政府は従来の百分の十八でありまするものを、普通法人におきましてはこれを百分の十二に改め、個人におきましても同じように改められて参
つておるのであります。また特別法人に対しましては、
政府は従来の百分の十二を百分の八に改めておるのでございますが、私
どもはこれによりましても、今回示されました
資料の、いわゆる従来の取引高税をそのまま使用するといたしますと、七百三十億の税收入があるということが、一応参考
資料の上に、
はつきりいたして参
つておりまするので、もしこの
資料が正しいといたしますならば、いわゆる税所要額でありまする四百十億を差引いて参りますならば、当然ここに従来の事業税の四割五分の値下げが、
数字的に行われなければならないと思うのであります。
従つて私
どもはこれに対しまして、普通法人に対しては百分の十とし、さらに個人に対しましても、第一種事業といたしましては、百分の十とし、特別法人に対しましては百分の七とし、さらに個人にありましては、第二種事業に対しては百分の七といたしたいと
考えておるのであります。同時に農業協同組合あるいは生活協同組合等に対しましても、従来はかけてお
つたのでございますが、これをかけないことにする。ことに中小企業等の協同組合、あるいは新聞等の従来問題を起しておりましたものに対しましては、免税にいたさなければならないと
考えているのであります。その次に特別所得税の中の第一種業務であります。やはりこれは現行法によりますと百分の九・六にな
つているのでございますが、これも
政府は百分の六・四と訂正いたしているのであります。さらに第二種業務に対しましては、同じく現行法の百分の十二を、
政府原案によりますと百分の八に減額されて参
つておるのであります。これも先ほど申し上げました四百十億の所要額を満たすということにな
つて参りますならば、当然第一種業務に対しましては百分の五・三、第二種業務に対しましては百分の七で、その
数字は十分つかみ得るものであるということを申し上げておきたいと思うのであります。
次に
市町村民税であります。
市町村民税に対しましては、従来
政府の
提案されましたものがそのままここに出ているので、私が重複して申し上げる必要はないと
考えておりますが、従来の
市町村民税、いわゆる住民税というものは、都道
府県税あるいは
市町村税を含めて、一千四百五十円と規定いたしておりましたものが、今回の
税法によりましてそれを廃止いたしまして、大都市における均等割を八百円とし、中都市においては六百円とし、その他
町村におきましては四百円とし、さらにそれを均等に賦課するということにいたしまして、前年度納めた所得税の一割八分が、これに加算されて参
つておるのであります。しかしながらこの
考え方というものは、従来この種の
税法をかけられておりました個人にありましては
資産割、法人にありましては資参割並びに資本金割というようなものが控除されて参
つておりまするので、
政府の申されておりまするような、ただ予算面だけの、従来の二百七十億が五百七十五億までにふえることによ
つて、二倍半になるというような
数字は
考えられないのであります。
従つて私
どもは
政府の申されておりますように、二倍半にするということにな
つて参りまするならば、やはり以前と同じように、この
税法の
徴收の
建前を、個人におきましては
資産割を加算し、さらに法人におきましては單なる低率なる均等割でなくて、当然
資産割並びに資本金割をこれに附加いたしまして、従来納められておりましたいわゆる個人と法人とに対して、この中の五〇%をこれから
徴收することによ
つて、
政府の言う個人の納付いたしまするものが、初めて
倍率になるというような
考え方で参るのであります。
従つて私
どもはこの
税法の中には、ぜひ個人に対しましては
資産割を挿入し、さらに法人におきましては、
資産割並びに資本金割の
制度をこの中に設けなければならないと
考えておるのであります。従いまして、人口五十万以上の都市に対しましては、現在の
政府原案の八百円を四百円とし、中小都市に対しましては
政府原案の六百円を三百円とする。さらに
町村に対しましては、原案の四百円を二百円とすることが、私
どもは正しいのではないかと
考えておるのであります。それと同時に一世帯内の稼働人員に対しましては、従来は世帯主だけでありましたが、今度の
税法によりますと、当然稼働人員ことごとくにかけられて参りますので、小さい子供等が親の生計を助けますることのために、やむを得ません事情から勤労いたしておるものに対しましても、やはり均等割がかかり、さらにこれに所得割がかか
つて参るというようなことは、あまりにも生活の現状を無視した方法ではないかと
考えておりますので、これらに対しましてはぜひ低減の施策を講ずべきだと
考えておるのであります。ことに農業を唯一の收入財源といたしておりまする農村に対しましては、これをことさらに世帯主だけにかけなければならないと
考えておるのであります。
さらに非
課税の範囲におきましては、
法案によりますと六十歳以上、あるいは学童に対しましては、多少の減免の規定はあるようでございまするが、われわれといたしましては六十歳以上のもので、勤労によ
つてその生計を営んでおりますもの等に対しましては、当然均等割等は排除しなければならないと
考えておるのであります。
そのほか農業協同組合、あるいは消費生活協同組合、中小企業協同組合、あるいは漁業協同組合、水産加工協同組合、同じくこれの連合会、さらに失業者等に対しましては、当然非
課税の対象の中に入れるということが、正しいのではないかと
考えておるのであります。
なおこれらに対しましては、先ほどから申し上げておりますように、理論上当然前年度の所得税に対しましても、個人に対しましては百分の九を
課税することが正しい
税法の
建前であり、また
実情に即したものであると
考えておるのであります。
次に
固定資産でございまするが、
固定資産につきましては農地以外の
土地、及び
家屋につきまするところの
倍率は、当然五百倍とすることが私は正しいと思うのであります。
さらに農地にあ
つては、自作農創設特別措置法の第十六條に規定いたしまする
価格の十二・五倍を、当然
調整係数といたしまして、それの
倍率をかけるということにしたいと
考えておるのであります。しかしこの
倍率は
昭和二十五年の二月一日以降において、農地の公定
価格が引上げられました場合におきましては、それに応じてこの
倍率を引下げて行きたいと
考えておるのであります。これは委員会の審議におきましても、しばしば申し上げましたように、現在の
日本の
土地、
家屋の一切の
価格というものが、
東京においてわずかに九百十九倍であり、大阪においては最高六百六十六倍という
数字が出て参りますると、その他の都市においては大体四百倍ないし五百倍であり、ことに
政府の二十二年の財産税設定のときに、物納といたしまして納めましたものから買上げましたその
価格は、大体百二十倍から二百二十五倍に当時相な
つておるのであります。これを今日の物価指数から勘定して参りましても、
政府のとりました処置を勘案いたしまして、当然五百倍には
改正しなければならないと
考えるのであります。ことにこれは御
承知のように法令によりますると、適正なる当時の
時価ということが、
法律の文面に
はつきりいたしておりますので、この
倍率も、大体
時価に即応した
倍率をとることが正しいのではないかと
考えておるのであります。
さらに政令の定めまするいわゆる特殊の積雪寒冷地蔕及び政令には定めておりませんが、農村に対しましては、特に
平均降雨量を常に越えておりまする地域に対しましては、当然農地以外の
土地、
家屋に対しましては、やはりこれに即応する
調整係数をかけて行かなければならないと思うのであります。この係数は大体
土地、建物に対しましては
賃貸価格の四百倍とし、農地につきましては
調整係数の十倍とすることが正しいと思うのであります。
さらに
償却資産につきましては、私
どもといたしましては、
税率を〇・八八とすることが正しいのではないかと
考えておるのであります。これは
前回の
国会において提出されて参りました
政府の
資料に基きますならば、
償却資産の総額は一兆三千億を越えておるのでございますが、これに所要額の九十三億の税收入をとろうといたしまするならば、私
どもは
徴税率を八〇%と見て参りましても、当然その
税率は〇・八八で、十分
政府の所要額は、
徴税ができ得るものと申し上げなければならないのであります。
さらにこの税に対しまする非
課税の範囲でございますが、非
課税の範囲に対しましては、
政府原案によりまするならば非常に縮小されて参
つておりまするが、私
どもは先ほど住民税の点でも申し上げましたと同じように、やはり農業協同組合、消費生活協同組合、中小企業等の協同組合、あるいは漁業協同組合、水産加工協同組合、
土地改良及びその他の連合会に対しましては、当然非
課税の対象にすべきだと
考えておるのであります。
御
承知のようにこれらの協同組合というものは、おのおのその事業の育成と、民生の安定と、これらの業務に従事いたしておりまする諸君の生活の安定を期することのために、
政府が特別法人として、特別法をも
つて保護しておりまする団体に対して、他の
償却資産を持
つております企業を営んでおりまするものと同じように、
税率をかけて参るということは、はなはだ不穏当だと
考えておりまするので、
政府がこの保護育成をするという
建前から、当然これを非
課税の範囲に入れなければならないと
考えております。
さらに農業用の
償却資産、あるいは遊休、未稼働
資産、あるいは隧道であるとか、あるいは小型漁船であるとか、学術、試験、研究のために行いまするところのすべての施設であるとか、海運業、地方鉄道、及び軌道業、発電事業、ガス事業の
固定資産の
評価に関しましては、地方財政委員会の定めるところによ
つて、一定率を減額することが正しいのではないかと、私
どもは
考えておるのであります。
さらに
法案によりまするならば、免税点を二万五千円にいたしておるのでございまするが、これは当然五万円に引上げることが、順当ではないかと
考えておるのであります。
さらにこの問題で最も大きな問題が起りますのは、この地租、
家屋税の値上りによりまして、当然起
つて参りまする地代、家賃への転嫁の問題であります。しかるに本
法案に対しましては、この地代、家賃に対しまするところの転嫁の防止の方法が講じられていないのであります。これは
シヤウプの
勧告案を見て参りましても、地租、
家屋税は上
つても、今日の現行の状態から見るならば、地代家賃を値上げするの必要はないということが、
シヤウプ勧告案の中に
はつきり書いてあると
考えられておるのであります。従いまして私
どもはこれらの処置に対しましては、当然そういう転嫁することのできないような、防止するための処置を講じなければならないと
考えております。
なお
法案につきましては、問題にな
つておりまするいわゆる三百五十條、上まわる下まわるというような言葉が使われておりまするが、こういう不定確な條項は、どともはぜひ削除しなければならぬと
考えておるのであります。
さらに遊興飲食税に対しまする問題でありまするが、遊興飲食税に対しましては、料理店、貸席、カフエー、バーその他当該
府県の條例で定めておりまするこれに類する遊興飲食税の
標準に対しましては、現行法によりますと、百分の四十と規定しておりまするが、われわれはこれを百分の二十に減額したいと思うのであります。これは一面私
どもの立場から申し上げまするならば、奇異の感じを持つのでございますが、私
どもは同時に同じ項目にありまする宿泊及び前号の飲食以外の飲食の料金に対しましても、現行法の百分の二十を、同じ率で百分の十に減額いたしたいのであります。これはしばしば申し上げておりますように、業者の陳述その他を聞いて参りましても、大体千五百九十億の商いがあると
言つておりながら、その税收入というものは昨年においてはわずか九十八億、本年度において百二十億が見込まれて参
つておるのであります。もし業者の言うことが正しいといたしまするならば、これに最低百分の二十、最高芸者の花代、これは百分の百でございますが、あるいは中庸をと
つてこれを百分の四十と仮定いたして参りましても、何ゆえにこの業者の申しております收益と税金との間に、大きな
開きがあるかということであります。もし業者の申しております一千六百億の
数字が正しいといたしまするならば、これに一割の
税率をかけて参りましても、当然百六十億の收入がなければならないはずであります。しかるにこういう高率な
税率をかけて参りましても、なおかつ本年度において百二十億の税收が見込めないということは、非常にこの税制がむりであ
つて、当然課することが困難である税金の
税率をかけておりますために、ことさらに脱税を助長しておるような形を示して参
つておりまするので、とり得る税金、納め得る税金にこの
制度を改めることによ
つて、料理飲食税の收入が当然はかられるものだと
考えておるのであります。
なお外食券食堂その他におきましても、同じように税金がかか
つて参つておりまするので、家庭で生活をいたしまする者に対しましては税金はかか
つて参りませんが、外食券を利用しておりまする諸君の外食に対して税金がかかるという不当をなくしますると同時に、一面今日
ほんとうに働いておりまする肉体労働者が、帰りに一日の労働によ
つて非常に疲れておりまする体を一ぱいのしようちゆうで休めることに対しても、なおかつこれに百分の二十あるいは百分の四十の税金がかけられて参
つておるのであります。従いまして、それらの
ほんとうにあすの労働力のかてとして補いまするわずか一ぱいのしようちゆう
程度に対しましては、やはり免税にすることが正しいのではないかということを
考え合せまするときに、一ぱいのコーヒーにも、一ぱいのしようちゆうにも現行法のように高率の
税率をかけることをやめまして、そうして百円未満のこれらの飲食に対しましては、
課税しないようにいたしたいと
考えておるのであります。
なお宿泊に対しまして、今日例外なしに税金がかけられて参
つておりまするが、これに対しましても、引率者のありまする学童及びこれに類する学生生徒の団体の宿泊に対しましては、
課税しないのが穏当ではないか。いわゆる今日の引率者のありまする学童その他の宿泊というものは、営業のためでもなければ、あるいはぜいたくごとでもないのであります。これはみずからの知識見聞を広くするために行われております。これらの行為に対しましては、当然税金を課してはならないと
考えておりまするので、これに
課税しないということにいたしたいと
考えております。
なお電気ガス税でありまするが、電気ガス税に対しましては、
政府案は料金を
課税標準といたしておりまするが、これは使用量を
課税標準として
課税することにいたしたいと思うのであります。今日
日本の化学産業が非常に遅れておりますることは御存じの通りであります。従いましてわれわれはこれら化学産業に対しましては、当然ある種の助長、ある種の援助を與えるということが正しいと思いまするが、これを税の面で申し上げまするならば、電気がその産業の三分の一あるいは四分の一というような非常に大きなウエイトを占めておりまする場合におきましては、これを一応その産業の原料であり、あるいは材料であると
考えても決して過言ではないと思いまするので、それらの業態に対しましては、やはり非
課税の対象にすべきではないかと
考えておるのであります。いわゆる鉄鉱石であるとかあるいはマンガン鉱であるとか、アルミナであるとか、苛性ソーダ、ソーダ灰、そのほか各種の化学肥料であるとか、ことにセメントのごときは、今回の電気ガス税がかか
つて参りまするならば、一躍一四%の原価の値上りをしなければならないと見ておりまするので、これらに対しましては、従来非
課税でありましたので、この際やはりこれを非
課税に取扱うことが正しいと思うのであります。さらに電解、電炉工業いわゆる金属ソーダ、青化ソーダ、あるいは塩素酸ソーダ、過塩酸アンモン、過酸ソーダであるとか、過硫酸アンモンであるとか、これらのものに対しましても、当然これを非
課税の対象とする。ことに電解鉄におきましては、従来電解鉄は鑄鉄におきましても、ことごとくこれが非
課税の範囲に数えられておりましたものが、今度はそれが除外されておるのであります。しかも今度の
法案によりますると、同じ電解鉄にしましても、可鍛鑄鉄に対しましてはこれを非
課税の対象にいたしておりまするが、電気炉鑄物に対しましては、これを非
課税の対象にしていないのであります。
従つてこれらの問題はやはり非
課税にすべきであると
考えておるのであります。そのほかヨードであるとか、あるいはメタノールであるとか、原油であるとか、アルマイト被膜加工であるとかいうようなものに対しましても、これを非
課税の対象とする。さらに電気自動車施設規則による電気自動車の充電であるとか、あるいはガス税を課するガスはガス事業法の適用を受けるガス事業者の製するものだけに、これを集約いたしたいと
考えておるのであります。
さらにこの項で申し上げておきたいと思いますることは、私
どもは農業用の電力に対しましては、ぜひこれを非
課税の対象としなければならないのであります。これにつきましてはしばしば論議いたしておりますので申し上げるまでもないのでありますが、今日の農村の灌漑用水に使います電力は、ま
つたく農民が採算を度外視いたしまして、ただ食糧確保のためにのみこれが使用されております。この灌漑用水に対しましては、当然私
どもはその電気料すらこれを免除すべきであると
考えておりますのに、これになお税金を課するというようなことは、不当もはなはだしいと
考えておりますので、農業用の電力に対しましてはこれを非
課税の対象にいたしたいと
考えておるのであります。
さらに入場税でありますが、入場税に対しましては、国及び公共団体の営みますところの動物園であるとか、図書館あるいは博物館であるとか、さらに展覧会等に対しましては、これは当然非
課税といたしたいと
考えておるのであります。この点は従来におきましてもいろいろ問題があ
つた点でございますが、今回の入場税が県税一本にな
つて参りました以上は、地方の公共団体、いわゆる
市町村が行いまするこれらのものに対しまして入場税がかか
つて来るということが想像されて参りますので、当然これは非
課税の対策の中に、
はつきり入れておくべきだと
考えておるのであります。さらに入場税の
税率でありますが、これに対しましては、とかくの技術的な異論があるといたしましても、現行百分の百は少し高過ぎるのではないかと
考えておりますので、これは百分の五十として、文化施設の向上をはかることこそ、現存の社会に即応した正しい行き方であると
考えておるのであります。
その他の税種でありますが、その他の税種に対しましては、先ほど申し上げましたような意見で、私
どもは勘定して参りますならば、そこには当然減税をしなければならぬ面が出て参るのであります。県税に対しましては後ほど申し上げるといたしまして、私
どもは今回の税制
改正の中で、廃税にな
つておりますものの中に、多少の異論はございましようが、電話であるとか、金庫であるとか、あるいは余裕
住宅であるとか、使用人税であるとかいうようなもの、さらに不動産取得税というようなものに対しましては一定の限度を設けて、当然これらは税の
徴收をすべきではないかと思うのであります。もとより個々の問題につきましては異論はあろうと思うのでありますが、やはり税金である形におきましては、担税能力を持つものからこれを
徴收するという
建前が正しいのではないかと
考えておるのであります。その反面に今日の庶民生活になくてはならないいわゆる自分の足の代りに使
つております自転車、自分の肩の代りに使
つております荷車、あるいは接客人税等のごときは、当然これを廃止すべきであると
考えておるのであります。
さらに酒消費税につきましては、昨年までは税金の百分の五というものが、地方税として地方で
徴收いたしておりましたが、今回の処置によりますならば
政府は酒の値下げをしないで、酒の値段はそのままの姿において、地方税を百分の五だけ減額いたしまして、その税金総額五十一億というものが、
政府予算の中に繰入れられて参
つておるのであります。私
どもは当然酒消費税のごときは従来のように国民全体が均霑いたしまして納め得るものとして、これを地方に返すべきだと
考えておるのであります。そのほかこういう措置をと
つて参ります過程におきまするところの税の不足額につきましては、地方財政平衡交付金の増額を当然求めなければならないのであります。
政府が昨年制定されました地方配付
税法によ
つて本年度もし
政府に收納いたしますところの法人税、さらに所得税の総額の三三・一四をかりに地方配付税として配付するということにな
つて参りまするならば、当然九百五十億を配付しなければならないのであります。しかるに今回の平衡交付金の一千五十億の中には、わずかにこれは大百六十七億しか含まれていないということは、
政府の説明書の中にも明記されておるのであります。
従つて従来の税から
考えて参りまするならば、酒消費税において五十一億、地方配付税において二百八十億の税金が、従来地方に配付され、地方に收用されておりましたものが、そのままの姿で
政府に集約されておりますので、私
どもは、先ほど申し上げました処置によ
つて減税いたしまする約三百億の財源というものは、当然
政府が責任を持
つてここから支出すべきであろうと
考えておるのであります。さらに暫定的の処置といたしましては、四—七月の空白時代におきまする修正による地方税の減收部分は、先ほど申し上げましたように平衡交付金の増額において行いますると同時に、
税法の処置といたしましては、地方財政委員会の中にはやはり労農、中小企業の代表者をこれに参画せしめまして、この機構が全民衆の意思の上に地方財政の
基礎の確立をすることが正しいと
考えておりまするので、ぜひ地方財政委員会の中には、労農あるいは中小企業の代表者を参加せしめる機構を置いていただきたいと
考えておるのであります。
それから税務の責任者の問題でありますが、税務職員に
徴税に関しまして不当な行為がありました場合においては、何らこれを処罰するの規定が設けられていないのであります。税務吏員は、従来ならば財産の差押えをする、あるいは捜査をいたします場合には、当然司法警察官を伴わなければ、その行為は行えなか
つたのでございまするが、今回の
税法の
改正によりまして、これが
徴税にはみずから單独で錠前をはずし、あるいは封印を切
つて捜査することができるように相な
つておりまするので、この危險を防ぎますることのためには、万一それらが拒否の問題について、あるいは不当の行為のありました場合においては、当然これを処罰する
法律がこれに織り込まれて参らなければならないかと
考えておるのであります。いたずらに——いたずらという言葉を使いますと、あるいは誤解が起るかしれませんけれ
ども、納税者の方におきますならば、たとえば自転車税の場合におきましても、自動車の申告を怠
つたということによ
つて三万円の過料を仰せつけられ、さらに不正の申告であ
つたということによ
つて、これに対しましては罰則が設けられ、あるいは係官の質問に対して答えなか
つたということについても、罰則が設けられておるのであります。刑事訴訟法によりましても、当然人権を尊重することにおいて、御
承知のように黙秘権が承認されておるにもかかわらず、
税法におきましてはその黙祕権をま
つたく無視いたしまして、係官の質問に対して答えなければこれを処罰するというような圧制がここに設けられておるのでございますので、これらに対しましても私
どもは当然修正を加えなければならないと
考えておるのであります。
さらに、税金に対しまする
決定でございまするが、これにつきましては、やはりおのおのの業者の代表者というようなものが、これに関與いたします機会をつく
つて、これを民主化する
制度を当然設けなければならないと
考えておるのであります。
さらに苛酷な取締りでありまするところの、国税犯則取締令に関しまする適用は、この際ぜひ除外していただきたいと
考えておるのであります。
以上きわめて簡單ではございましたが、この
税法全体に対する私
どもの立場と意見を申し上げておきたいと思うのであります。