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1950-09-01 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月一日(金曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 西村 直己君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大上  司君    佐久間 徹君       高間 松吉君    田中 啓一君       三宅 則義君    武藤 嘉一君       内藤 友明君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君  委員外出席者         公正取引委員会         委員      横田 正俊君         総理府事務官         (公正取引員会         事務局総務部         長)      内田 藤雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局総務部         総務課長)   柏木 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君         大蔵事務官         (銀行局検査部         審査課長)   福田 久男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  金融問題に関する件     —————————————
  2. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 これより会議を開きます。  本日は主として金融問題に関する質疑を行います。佐久間委員より質疑要求があります。この際これを許します。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 議事進行について……。私は昨日の本委員会におきまして、特に徴税問題について高橋国税庁長官出席を求め、われわれは北海道を初め各地をまわりまして現地調査をいたしました結果、ぜひ適切なる資料国会議員に提出するように申したのでありまして、夏堀委員長初め各班の委員方々は、それぞれ現地において適当に各税務署より参考資料、たとえば滞納に関しまする問題とか、あるいは今後の整理の状況とか、そういうような詳細なる資料を拝承いたしたのであります。しかるにかかわらず私の選挙区でありますところの岡崎税務署であるとか、あるいは佐久間代議士選挙区であります千葉市であるとか、有田委員選挙区である大阪の阿部野税務署というようなところにおきましては、言を左右とは言いませんが、国税局を通して言うというような、非常に官吏独善見解をもつて答弁しておりました。なお高橋国税庁長官国税庁にこれをとつて議員にお配りするというような間接的なお話があつたのであります。もちろん国税局あるいは国税庁が、直接各税務署からいろいろの資料を御参考におとりになるのはけつこうでありますが、いやしくも国会議員現地に向つて、そういうような国会の権威のもとに要求したものにつきましては、当然国会に対して直接資料を提出するのが任務であると私は思つておる。国会議員というものは行政官を監督し、これに対しまして決議いたすというのがわれわれ議員任務でありますから、ぜひこの際、本日は高橋長官は出て参つておりませんが、そういうような資料要求があつた場合におきましては、国会に直接これを送付いたしてわれわれの調査の便益に資し、もつて国政の改革に邁進いたすことに協力いたしたいと思いますからして、委員長から嚴重にそのことを高橋国税庁長官に進言せられんことを、議事進行として申し上げたいと存じます。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの三宅委員の御質問に対しては、私も委員長として御同感であります。特にこのたびの大蔵委員会としての国政調査は、シヤウプ使節団に対する報告をしなければならぬという重大使命を持つておりますので、このためにこの資料要求することに対して、何かまわりくどく間接的に国税庁で一応これを検討して云々というようなことは、私はどうも当らないというような考えを持つております。昨日の高橋国税庁長官答弁はまだはつきりしておりませんので、この点は適当な機会に明確な答弁を求めたいと存じております。佐久間君。
  5. 佐久間徹

    佐久間委員 私は金融の一環であるところの損害保險事業に関して、多少疑義を持つておるのであります。それについてこのたび公取がいろいろ申しておるのでありますが、この問題をひとつ簡明にして行きたいと思うのであります。それはすなわち最近金融公庫が融資するということによつて住宅の建設をする。それに保險を付する。その料率についていまだかつてつたことのない入札を行わしめた。こういうことであります。それからいろいろの疑義が生じて来ておるのであります。というのはその料率なるものについての疑点がたくさん出て来ておる。もちろん公共性を持つておるのでありますから、料率は安くするのが最もよろしい。本来ならばただにでもすべきであろうと思うのであります。しかしながらそのために大きなマイナスを来すということも考えられるのでありまして、ただ單にたたいてしまつて安くするということだけ考えて、社会公共のためであるという理念をもつてこれに臨むというならば、そこに大きな錯誤が生じて来るのではないか、こういうことを私は考えざるを得ないのであります。この点に関しまして今日特に公取方々に出ていただいて、どういう根拠に基いてやるのか。また将来どういう責任をもつてこれに対処して行くか。この点を明確にしたいと思うのであります。どうかひとつ所信を御披瀝願いたいと思います。
  6. 内田藤雄

    内田説明員 簡單に御説明いたします。住宅金融公庫保險の問題につきましては、ただいまのお話によりますと、公取入札を特にやらせたというふうに私ども了解いたしましたが、必ずしもそういうわけではなかつたものと私は了解しております。それは何分にもああいつた制度でございますので、保險料は家を建てます人が支拂うわけになりますから、できることなら今お説のごとく、なるべく安い方が望ましいということはむろん考えられます。しかし同時に保險というものは特殊ないろいろな事情もございますし、公取といたしまして入札制度でなければならぬとか、入札にしろとか、こういうことを公社側に申したというわけではないと私は了解しております。ただ向うから相談がございまして、全部一致して——私の了解しておりますところでは、たしか全部の保險会社が一致してきまつた料率でそれを共同引受けする、こういつた形のことがいいかというふうに言われましたので、それでは独禁法第四條の違反になる疑いがある、こういう消極的な意思表示をしたと思います。しかし、しからばどういうやり方でやれということにつきまして、非常に強制的と申しますか、命令的といつた形で申したことはないと私は了解しております。
  7. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御説明によりまして、入札を強制的に申したことはない。この点は了承いたすのであります。ただ同一料率ということについて、独禁法に触れるというわけであります。独禁法の番人として、さようにお考えになるのは当然だと私も思います。しかしこの独禁法の規定するところによりまして、保險料率というものが同一のものであつてはならないが、その反面におきましては、この料率というものは、これはたしか法律によつて定められたところの料率算定会によつて一つ標準料率が出るわけであります。この標準料率というものは、そう簡單にはできるものではないのでありまして、これは凡百のものをここに総合いたしまして、莫大な経費と、しかも分類統計によるところの日本全国のあらゆる統計数字が、よつてつてここに来るのでありまして、簡單に一社あるいは二社程度のものが、わずかの部分的な統計をとつて標準とするということは、これこそ統計学上から見ても非常な誤りであります。従つてこの料率算定会なるものが認定されて、ここで標準料率をつくつて各社はこれによつて大蔵省認可を得て行く、こういうことになつております。ところが大蔵省におきましては、やはりただいま私が申し上げました通り、資材資料というものを持つておりません。何によつてその尺度をきめるかというと、どうしてもこの算定会の非常に深い研究に基いたところの料率によらざるを得ないのであります。こういう現況をよくごらんくださつて、これが独禁法に触れるというようなお考えを持たずに、この算定会がきめたところの料率従つて各社が自然にそこに来たというぐあいに大きく解釈して行かないと、この仕事というものはなかなかできない、こういうことになるだろうと思うのであります。これは欧米の例を御研究なさればわかるわけでありまして、私から説明する必要はない。いやしくもここに法をもつて臨もうとする者が、そのくらいの御研究はあつてしかるべしだと思う。しかるにそういうことを考慮に入れずに、しろうと考えで、ただ單にそういつた法律だけを当てはめて、これを規制して行こうというところに非常なむりがある、こう私は考えざるを得ないのであります。はたしてそういうことについて御研究なさつておるかどうか、その所見の一端を承ることができれば幸いだと思うのであります。
  8. 横田正俊

    横田説明員 保險の問題に関しまして、いわゆる料率団体法制のできました趣旨などお述べいただきまして、まことに私も御同感に存ずる次第でございます。御承知のように外国におきましても、保險につきましては独占禁止法上いろいろ特別の考慮が拂われておりまして、日本におきましても独占禁止法関係法令適用を除外いたします法制が、制定当時もございましたし、その後多少の改正をしまして、ただいまお話料率算定団体に関する法律というようなものができております。従つてこの法律に準拠して保險会社等が正当にいろいろやつていただきますれば、もちろん独占禁止法適用が、その範囲においてないことになります。ただ独占禁止法の施行を法律によつて命ぜられております公正取引委員会といたしましては、はたして具体的の場合につきまして、保險会社等のおやりになりますことが、この適用除外法令従つてなされておりますか、あるいはそれをはみ出した部分がありはしないかという、その問題につきましては、やはり役所といたしまして、いろいろ研究もいたさなければならぬわけでありまして、ただいまお示しの住宅保險の問題につきましても、最近いろいろ問題がございまして、せつかく調査をいたしておる段階でございます。もちろんいたずらに法律をもつてきつい態度で臨むというような趣旨は毛頭ございませんし、まつたく公平な態度をもつて法律の命ずるところに従つて処理いたすつもりでございます。なお保險法制に関しましては、われわれはなはだ微力ではございまするが、絶えず研究をいたしまして、ことに独占禁止法上特別な関係に立ちますことも十分に認識いたしまして、特に保險関係につきましては愼重な態度をもつてつたつもりでもございますし、今後も大いに勉強いたしまして、独占禁止法精神も生かし、なお業界の保險事業発達も阻害しない、むしろその発達を助長するという方向に向つて邁進いたしたい覚悟でございます。
  9. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御答弁について満足の意を表する次第であります。ただ單に法律だけを守つて行けばそれでよろしい、仕事はどうなつてもよろしいのだというような——あなたの部下にそういう不心得者がある。現にそういうことを放言して歩いていて、それではつぶれてしまうじやないか。つぶれるのは一向さしつかえない。一社が残つたらその一社に対してまた独占禁止法をかければいいのだ。そのときにまたわれわれは考えればいいのだ。そういう乱暴なことを平気で言うておる部下がある。よくその点を考えていただきたい。あなたはそういうりつぱな精神を持つておるが、あなたの部下にはそうでない。傲然傲慢な態度をもつて民衆に臨んでいる。そのために思想的に非常に悪い影響を與えつつある。われわれがきれいな政治、親切な政治、親心ある政治を行おうとする平面において、ただ法律のみにとらわれて、そうして四角四面にそれをもつて適用する。これはまだしも許すべきことでありまするが、それ以外にゼスチユアが、まことに傲慢無礼な態度に出ておるということをよくひとつ考えいただかなければ、日本政治は逆の方向に行くということを、私はここに警告しておきたいと思うのであります。同時に私はここに解釈の点について一応御説明を伺いたいことがある。それは独禁法但書のうちに、「一定の取引分野における競争に対する当該共同行為影響が問題とする程度に至らないものである場合には、これを通用しない。」という但書が書いてある。これは解釈いかんによるもりでありまするが、保險業のような認可事項関係にあるものは、しかも大蔵省の厳重な監督下にあるために、共同行為影響というものが問題となるべきものでないと考えておつたのであります。その点はいかに御解釈なさるのでありましようか、お伺いしたいと思います。
  10. 横田正俊

    横田説明員 ただいまの御質問は、第四條の二項に関する御質問でございまするが、この解釈につきましては、実は独占禁止法自体がはなはだ新しい法律でございまして、なおこれに関する判例等も裁判でどうもまことに寥々たるものでございますので、現にこの解釈につきましては、研究を盛んにやつておる時期でございまして、ただいまの第二項の解釈の仕方につきましても、非常に広く解したいという考え方と、比較的狭く解して行きたいという傾向と、この二つがあるのでございます。結局法律を運用いたします上におきましても、そこに相当の差違が出て参ると思うのでございます。この運用のいかんによりましては、独占禁止法日本のいろいろな経済事情に適合させて、適当なる結論を得るということもできる次第でございます。ただ、ただいま抽象的に保險料率をきめるという問題については、大蔵大臣認可もあるので、従つてたとえば料率が一本でやつても、その影響というものが軽微ではないか、そういう御質問でございまするが、この問題はただいま具体的案件もかかつておることでございまするし、なお十分研究いたさなけれげならぬ点もございまするので、この席において私の見解をはつきり申し上げることはいかがかと存じます。しかしそういうような点も、十分考慮余地はないではないということは、申し上げてもいいかと存じます。
  11. 佐久間徹

    佐久間委員 何分新しい法律であり、またこれを一々業種に当てはめてお考えになる期間が、はなはだ少かつたと思うのでありまして、これに対する適確なる御意見を伺うことができないことは、やむを得ざることでございましようけれども、はなはだ遺憾とするところでございます。従つて問題となりました保險会社料率、これがいわゆる独禁法に触れて常にまちまちの料率をもつておるということが、あるいは独禁法精神から言えばそうでなければならないかとも思うのでありますけれども、事実それが不可能であるということを御研究いただけば、お気づきになるだろうと私は思うのであります。第一にそういうような場合におきまして、再保險取引というものが円滑にできなくなつてしまう。そうなりましたら、戰争中と同じように、保險をつけるということについてなかなか簡單にできなくなる。一々各社寄つて、そうしてそれを裁定するという非常な手数をかける。簡易化すべかりしものが、むしろ複雑化して来て、経費をかけなければやつて行けない、高くならざるを得ないというようなことを憂慮するものであります。第二点といたしましては、そのために無謀な競争が起つて来る。大きい会社だけはあるいは残るかもしれませんけれども、弱小会社はそのためにつぶれて行くということになるだろうと思うのであります。それをしもやはり禁止法からいえばそうあるべき姿である、こうおつしやるならば、これはもはや議論の余地はないのであります。昨日も同僚有田議員から税務のことについて引例されました中で、鶏を育成して卵を生ませることが真髄でなければならぬということがありましたが、これはやはりこれにも当てはまる至言ではないかと思います。根本をなくして何の国税であるかということも、言い得るのではないかと思うのであります。いやしくも法を行う上において十分この点を御考慮に置かるべきであると、私は考えざるを得ない。なお保險は非常に国際性を持つておる。国際取引がまさに開始されようとしている場合、これでは国際間の信頼は受入れられないであろうと考えるのであります。これはひとつ特に御研究をしていただきたいと思います。公取はこういう面に向つて十分戒告をしていただきたい。ただ單に法律適用すればそれでよろしいのだというような甘い考えで、事情研究せずして、さも驕慢な態度をもつてこれに臨む場合には、民間事業を萎縮させるような威厳をここに示そうとする。こういう時代逆行行いがかりにあるとするならば、日本政治を暗くするという意味から見て、断固としてこれに反対しなければならぬ、こういうことになるのであります。われわれは非常にこれに信頼を置いておるのでありますから、皆さんの態度、そういつた言動、そういうことも十分ひとつ考えて、民生を育成して行く親心をもつて今後臨んでいただきたいと思うのであります。いろいろの意味から規制されてしかたがありませんけれども、政治がかり威道に出るというようなことであるならば、日本の再建は思いもよらない。むしろ思想をだんだんわれわれが思わざる方面にかり立てて行くような結果になりはしないかということを、私たちはおそれておるのでございます。この点を十分御考慮いただきたい。こう私は思いまして、この点に関しましての御質問を申し上げたのでありますが、いまだ研究中でございましようし、結論を得ようとしてもむりであろうと思いますので、なお一層御研鑚あられんことを私は切にお願い申し上げて、私の本日の質問を打切りたいと思うのであります。わざわざお越しをいただいて、御好意に対して感謝の意を表する次第であります。
  12. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 あと御質問ありませんか。——それでは船山銀行局長出席するまで、暫時休憩いたします。     午後一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時十八分開議
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  銀行局長出席されましたので、この際立案中の金融業法に関して説明を聽取いたします。
  14. 西村直己

    西村(直)委員 ちよつと議事進行について……。実は銀行局長においでを願つて一時からお伺いしたいというので、一時間半もわれわれこうして漫然と待つておりましたが、どういうわけで御出席が遅れるのでありますか。非常に困るのですが……。
  15. 舟山正吉

    舟山説明員 参りましたのがたいへん遅れましたのは申訳ございませんが、実はこの委員会の席上で質問があるかもしれないというある特殊の事項につきまして、関係の方がお見えになりまして、いろいろ御懇談申し上げておりましたので遅れた次第であります。あしからず御了承願います。
  16. 西村直己

    西村(直)委員 その関係の方というのは個人委員ですか。それとも総司令部関係で御折衝になつてつたのか。たとえば個人委員でこういうふうに一時間半も待たされるのは、非常にわれわれ議事の運営の上から困るのです。昨日は主計局長がお見えにならぬので非常に困つた委員の間で大きな不平があるわけでありますから、その間の事情を明らかにせよと言うのではありませんが、今後国会があるときは、なるべくひとつ時間は御励行願いたいと思います。
  17. 舟山正吉

    舟山説明員 今後十分気をつけます。
  18. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 それでは御説明願います。
  19. 舟山正吉

    舟山説明員 金融業法につきましては、先般関係方面から示唆がございまして、次の通常国会に提出の見込みをもつて用意をするようにという話があつたのでございます。そこで当局におきましては、とりあえず大蔵省銀行局試案という程度の心構えをもちまして一案をこしらえまして、これを関係先担当官と逐次折衝して参つたのであります。そこでこの大綱につきましていろいろ申し上げてもよろしいのでございますが、実は法案をいろいろ細目にわたりましてごらん願つて、あらかじめ御審議願つた方がいいのではないかと存じまして、これを御配付いたすことにいたしましたから、これにつきまして担当課長から大綱につきまして御説明申し上げた方が、御理解に便宜かと存ずるのであります。
  20. 大月高

    大月説明員 ただいまお手元に配付いたしました銀行及び金融業務等に関する法律案について、あらましのお話を申し上げます。  この案は、実はここに日付が入つておりますように、七月に一応成案としてこしらえたものでございまして、その後も連日関係方面折衝を続けております。現在の考え方はまたこれから相当の変化を示しておりますので、あるいは不満の点が多分にあるのではないかと思うのでありますが、その当時から問題になつておりました点は、依然として重要な問題でございますので、この法案をごらん願いますについて、ポイントとも申すべき点について御説明申し上げたいと思います。  この第三次案に入つております考え方は、簡單銀行だけについての法規ということでなくて、信託会社相互銀行信用組合、これらの金融機関を一括いたしまして、なおかつそのほかに信用調整に関する事項を加えてあるのであります。そこを一貫して流れでおります考えといたしましては、銀行というものは、預金を受入れてこれを貸すものである。資金の受入れとこれの融通、こういう流れで一貫いたしまして、そういう仕事をいたします金融機関を、この法規で全部総括いたしたいという考えでできておるのでございます。ただその後の交渉の結果といたしまして、ここにございます相互銀行及び信用組合は、場合によつては別の法律にした方がいいのではなかろうか。これは事務上の手続、法案の体裁その他の面からそういう考えもございまして、今考えておりますところは、銀行信託会社及び信用調整に関する問題を、とりあえず銀行法としてまとめるという方向に向つております。ただ相互銀行及び信用組合の問題も、当然並行して御審議願う別の法律になることかと存じます。この新しい考えといたしましては、最近財政関係におきましては財政法会計法ができまして、税の関係におきましては、シヤウプ勧告に基く税制の改正がございまして、財政金融の面では、金融関係法規がまだ残つておるわけでございますが、御存じのようにインフレーションの段階でもありましたし、健全財政に伴う健全金融というような点も、なかなか貫きがたかつた情勢でございます。最近インフレもとまりまして、外資導入というような観点から、金融機関考え段階になつたのでございますが、諸外国のいろいろな観測をもとにして考えますと、日本銀行のオーバー・ローンの問題、資産構成が堅実でないという問題にくわえまして、日本法制がまだ遅れておる。従つて日本銀行に対する諸外国信用がまだ不十分であるというところが、外資導入一つの障害になつておる、こういうことなんであります。従いまして新しい法案といたしましては、国際的基準にのつとつた新しい意味銀行をつくり上げるということを、ポイントにしておるわけでございます。ただ日本の現状といたしまして、先進資本主義国アメリカイギリス並制度をすぐに採用することは、はなはだ困難な点がございますので、それを日本の実情に応じて若干修正をしつつ、新しいレベルの高いところに持つて行くというところをねらつておるわけでございます。  この法律のおもな目的は、近代的な商業銀行というものを主眼といたしまして、その銀行預金を預かり、貸出しをするという面から、預金者を保護するという点に一貫しているわけでございます。第一條の目的がその点をはつきりいたしておるわけでございまして、最近問題になりました大銀行産業支配という観点から、独禁法的な不当競争を排除するという意味をそこに盛りまして、あわせて信用の維持、広い意味金融の秩序を維持するということをそこに織り込んだわけであります。この條文は相当條数において多いのでございますが、おもな点だけについて申し上げます。  一つの問題は銀行資本金でございます。この案では最低三千万円ということになつております、現在のところでは、これでは若干低いので、あるいは五千万円を最低にしたらよかろうかということも検討いたしておりますが、かりに三千万円といたしますと、現在の銀行のうちで八行ばかりがそれに不足いたしておりますので、いずれ増資の必要があろうかと思います。五千万円で十四、五行それに欠けております。これも増資その他によつてまかなえる。必ずしも資本金によつてふるいをかけるという意図は蔵されておりません。  それからこの銀行法の問題で最も重要な点は、銀行の資産の流動性を確保するという問題でございます。その観点から種々な規定が置かれておるわけでありまして、たとえば不動産融資の制限、あるいは銀行が持ち得る不動産の額の制限、あるいは一人に対する貸出しの制限、そういう新しい規定が入つております。逐次申し上げますと不動産融資の制限でございます。不動産融資は御存じのように、最近不動産融資の面が非常に欠けておると言われておりまして、そのために最近発行法をつくりまして興銀、勧銀その他に債券を発行さすことによりまして、若干不動産金融に寄與しておるわけでございますが、商業金融機関といたしましては、不動産担保というような流動性の少い面に貸出しをするということは、本来は好ましからぬ点でございます。従つて不動産担保貸出しに銀行の金が行つてしまうということを制限しようというのが、一つのねらいでございまして、この法律におきましては第五十六條の不動産担保貸出しの制限でございまして、「不動産を担保として貸出をする場合においては、当該不動産の評価額の百分の七十に相当する金額を越えてこれをしてはならない。」それから第二項が不動産担保貸出しの総額の制限でございまして、「銀行は、その定期的預金の総額の百分の六十に相当する金額と実質資本の金額とのいずれか高い金額をこえて不動産を担保とする貸出をしてはならない。」こういう二つの項目がございます。これによつて不動産担保貸出しが無制限に行くことを、制限しようとしたわけでございます。ただ不動産担保貸出とには問題がございまして、いたずらに不動産担保貸出しを制約することが趣旨ではございません。地方の要望に応ずるという点もございます。従いましてこの案ができましたあと、今考えられております点は、掛値の七〇%という問題、それから総額を制限するという点は、かわつておらないのでございますが、ほかに第三点といたしまして、銀行の不動産担保貸出しの期限を原則として五年に限定する。これはこの條文には出ておりません。その後の経過でございます。ただ元勧業銀行がやつておりましたような割賦償還の貸出しにつきましては、毎月あるいは毎年定期に返つて来る貸出しでございまして、必ずしも確実性に乏しいわけではないということで、割賦償還貸出しに限りまして、二十年以内の割賦償還貸出しは認めよう。ただそれのもう一つの制限といたしましては、十年以内に貸出し金額の百分の六十は確実に返済される。そしてその残額が二十年以内に返る。こういう條件のついた割賦償還貸出しならばいい。これによつて本来の不動産貸出しの道を開いたわけでございます。それから不動産抵当と申しましても、日本の現状におきましては、まだ有価証券も十分に流通しておりませんので、大体担保に入れるといえば、土地とか建物とかいうことになりますので、たとえば根抵当というようなもの、当座貸越し契約をするとか、あるいは商業手形等で金を借りる場合に、一般的に入つておる不動産、これは本條の適用外にするということにいたしまして、個々の貸出しについて、不動産または不動産の権利を表示する。それから不動産を担保とする貸出しだけを、この規定で縛るということに緩和いたしております。それからわが国で不動産と申しましても、広い意味がございまして、たとえば船舶とか、あるいは工場財団、工業財団、鉄道財団、あるいは立木というようなものにつきましては、これは不動産とみなされる、あるいは物とみなされることになつております。物を担保とする金融は、いわば近代的な金融でございまして、本来銀行が確実に担保としてとるならば、必ずしも制限する必要はないということで、ここの意味の不動産は、土地及び土地の定着物という狭い意味になつております。これによりまして、家を抵当に入れるから金を貸してくれ、土地を抵当に入れるから金を貸してくれ、そういう個々的な結びつきのある不動産金融を縛る。それからもちろん商業銀行の性格といたしまして、短期の貸出しを縛る趣旨はございませんので、この期限が六箇月を越えない貸出しについては、不動産が担保に入つてつても、やはりこの制約の中には入れない。  それから最後に、無担保で金を貸しておりまして、その貸出しがあぶなくなつた。その債権を保全するために、急に不動滝を担保にとつたというような場合には、やはりこの不動産抵当の制限からはずす。こういうことにいたしまして、現実には銀行として正常なる金融活動をやるについて、支障がないというように例外を設けて参つております。今の段階はこういうところでございまして、多分この辺のところで成案になると考えてよろしいかと思います。  それから資産の流動性の面におきまして、銀行の不動産の所有を制限しておるわけであります。銀行は少くとも金を借りてこれを貸すという建前でありますので、なるべく不動産は持たさない。最小限必要な不動産はいわゆる店舖でございます。業務用の必要な店舗以外のものは持たさないのだという原則を、はつきりいたしております。六十二條及び六十三條でございます。六十三條では、担保流れその他やむを得ない事情で不動産を取得する以外は、不動産を持つてはいけない。たとえば森林を持つとか、田畑を持つということは絶対に禁止いたすつもりであります。そういたしまして、必要な業務用の不動産につきましても、いたずらに大きな支店をつくるとか、あるいは高層建築をつくるということで、みえを張るのでは弊害がございますので、店舗その他の業務用の不動産についても、資本金額の百分の七十以内で業務用の不動産を持つという制限を、ここに置いておるわけであります。現在のところ、この制限にかかる銀行は数行しかございませんが、これも増資をしてこの制限を免れるということになつております。  それから銀行の貸出しが一つの面に固定しないということを、非常にやかましく言つておるわけでございまして、第五十七條の問題でございますが、これに対する貸出しの制限の規定が置かれております。これは非常に重要な規定でありまして、従前からも関係者の間で、いかにしてこの規定を妥当に適用し、あるいは規制すべきかということを、熱心に研究して参つたのでございますが、現行法においては、一人に対する貸出しについては、何ら法律上の制限はございません。ただこの一人の人に貸出しが固定するということは、嚴に戒むべきことでありますので、銀行局に対する報告の中では、資本金の十分の一以上の金額をもつてする貸出しは、これを報告しろということになつております。しかしただ報告事項でありますので、相当一つ会社についてつぎ込んでいる銀行でございまして、資本金の二倍、三倍、あるいは数倍に達する貸出しを持つておる銀行も現にあるわけでございます。そういうことになりますと、かつての台湾銀行と鈴木商店というような、ああいうことになりまして、いわば会社銀行が心中するということになることも適当でありませんので、今回の案におきましては、一人に対する貸出しが、当該銀行の実質資本金額の百分の二十五に相当する金額を越えてはならないというように、規定したわけであります。ただ本来の商業銀行としての機能から申しますと、普通の商取引に基く貸出しはどんどんやるべきものでございます。たとえばある商人が品物を買つて、それを売るというような商売をやつている場合に、それがための金融は当然無制限にやらすべきでございます。その商人が品物を買つて売れば、すぐにその貸した金は返さるべき建前のものでございます。銀行としてもあまり危險もございませんし、本来大いにやるべきものでございまして、そういう安全確実であり、しかも商業銀行としての性格として当然やるべきことは、制限外としてはずそういうのが例外の規定でございます。第二項にあります表現は、今のところ若干かわつて来ておりますけれども、考え方はかわつておりません。今この案ができまして以降、考えられておりますところは、一つは制限外に置くべき貸出しといたしまして、地方公共団体に対する貸出しを、制限外に置こうということを考えておりますが、ここには入つておりません。それから国債あるいは地方債を担保とする貸出しも、全然あぶなげがないから、これを例外として置く。これはここに第二項の四号に書いてございます。それから政府が元利保証をする貸出し、あるいは政府が元利保証をしておる有価証券を担保とした貸出し、こういうものも十分信用してしかるべきものでありますので、制限外にされることになつております。それから先ほど申し上げました商業手形、これは当然例外とすべき建前にありますので、真正な商取引に基いて振り出された期限六箇月以内の手形の割引、あるいはそういう手形を担保とした貸出し、こういうものを例外として自由にやれる。それから担保がとつてある貸出しであつて短期のもの、これは当然銀行としてやるべきものでございますので、これを無制限にしよう。もちろんその担保は先ほど申し上げましたように、不動産では固定性がございますので、十分に市場性を持ち、滅失のおそれがない、いわゆる本来の意味の商品を担保にした短期の貸付は全部この制限外とする。こういうように、本来の商取引に関連する短期金融を例外といたしますと、銀行としても大した苦痛もなしに本来の姿において金融ができる、こう考えております。ただ日本の現状といたしましては、二倍、三倍あるいは数倍にわたる貸出しをしておる向きも例外的にございますので、これとこの精神とを調和いたしますために、五年間の経過規定を設けることになつております。そのうちの最初の三年はこの規定を適用しない。あとの二年間は二五%、五〇%ということでひつぱつて行こう、そうして五年後に初めてこの理想の状態に入れる、こういう考えでございます。これでほぼ法律の運用としては妥当なところへ行くのではなかろうかと考えております。  それから別の大きな問題といたしましては、銀行の業務といたしまして債務保証をやらない。それから有価証券貸出しという業務をやめる。業務の問題は五十二條であります。これはやめる規定でございますので、ここに書かれてはおりません。従来銀行がやつておりまして、今後やらないようにしようということでございます。ここに書いてあるものは、大体において今やつている業務を並べたのでございます。有価証券の貸出しをやらないことにする。それから預金あるいは貸出しの銀行間における代理をやめよう。この三つが大きなポイントになつております。  第一の債務保証をやめようという問題は、現在御承知のように、たとえば酒税の延納の担保であるとか、あるいは織物消費税の担保であるとか、あるいはアルコールの買受け代金の延納の場合であるとか、そういう場合には有価証券を担保に入れるか、あるいは銀行の保証があればそれを認めよう、こういうことになつております。有価証券として国債がだんだん少くなりまして、その国債を担保に入れることもむずかしくなつて参りましたので、銀行保証に置きかえてあるわけでありますが、国債を担保に入れる場合も、銀行から国債を借りまして、銀行の側から言えば、その国債を貸して、その借り受けた人が政府にそれを担保に入れて、それで税金を待つてもらう、こういう制度でございます。それで債務の保証の問題は今のように税金の関係で多いのでございますが、その他にも一般の取引銀行が保証すれば金を貸してやろう、こういう問題がございまして、若干そういう事例がございますが、そういう例は多くはございません。その他現在では、たとえば手形を引受けるということも、実際はこれは保証に類することでございます。それから貿易関係信用状を発行いたしますことも、将来金を拂つてやろうということでありまして、保証の一種でございますが、そのうちで信用状を発行し、あるいは手形を引受ける、こういう規定は、当然一般の商取引としてやるべきものだということで認めることといたしまして、その他の債務の保証を禁ずるという趣旨でございます。銀行の本来の姿といたしまして、金を預かつて、金を貸すべきものだ。ところが債務の保証ということは、金がなくても何億までは保証するということになりますと、手数料は入るわけでありますが、万一被保証人が弁済を怠ることになりますと、とたんに銀行の方にかかつて来る思わぬ損失を招く。こういうことでありまして、非常に危險性が多い。しかも自分の金を持たないで貸したようなかつこうになるということで、禁止するわけであります。現に最近も債務の保証をしたために、いろいろな損害をこうむつておる事例もございまして、当然禁止してしかるべきものと思うのであります。ただ国税の関係その他につきましては、たとえばその制度保險会社保險させるとか、あるいはその他国国税関係についてだけ例外を認めるか、その辺のところはむりがないように、過渡的な措置を講ずる必要があろうと考えられております。有価証券の貸付につきましても、数量は次第に減つておりますが、若干残つております。これも銀行は金を預かつて、金を貸すべきものだという本来の姿から言つておかしいということで、やらない。それから預金の代理とか、あるいは貸付の代理ということも非常に不見識な話だ。たとえば現在勧業銀行と地方銀行の間に行われております貸付の代理というようなものがございます。それからたとえば住宅金融公庫の金を銀行を通じて貸す。それからかつては復興金融金庫の代理貸しというようなこともございました。こういうような復興金融金庫とか、あるいは住宅金融公庫とかいうような政府機関の貸出しの代理は、これは当然といたしまして、市中銀行相互間で代理貸しをやるということは非常に不見識だ。たとえば先ほど申しました勧業銀行と地方銀行関係はどうなつておるかと申しますと、地方銀行で勧業債券を引受ける。そういたしますと、その引受けた金額の二五%の範囲内で、地方銀行は勧業銀行の名前で不動産抵当貸しをやるわけです。そうしておいて地方銀行がその貸出しを保証するというかつこうをとつております。これは裏から申しますと、人の名前で金を貸しておいて、その判断は地方銀行がやるわけでありますが、勧業銀行といたしましては、自分で判断を加えておらない。しかも責任を負うという態勢であります。しかも地方銀行といたしましては人の名前で貸すということでありまして、非常に無責任になる。もちろん保証はしておるわけであります。そういう意味で保証が濫用される面もありまして、そういう制度を禁じておる。ただそれと同じような法律的効果は、今の勧業銀行の場合で申しますれば、二五%に相当する金を勧業銀行が地方銀行に預託してやつて、そして地方銀行の責任において貸すということになれば、おのおのその間に責任の分界ははつきりいたしまして経済的な効果は同じであろう、そういうような責任態勢をはつきりするわけであります。こういうお互いの銀行の間の関係をつけよう、こういう意味でございます。これらにつきましても具体的には非常な摩擦が起きないように、経過的なことは考えなくてはいけないと考えられておりますけれども、方向としてはそういう問題が大きな問題でございます。  それから少額預金者の保護という問題がございます。百二十九條によりますと、銀行の破産の場合における少額預金の優先という規定になつておりまして、現在アメリカの制度におきましては、少額預金者を保護いたしますために、預金保險制度が立つております。この場合には預金保險に加入いたしております銀行がかりに破産いたしますと、預金保險会社でそれを拂つてやる。多分五千ドルになつておつたかと思いますが、五千ドルまでは全額拂つてやる。そのかわり銀行としては保險料預金保險会社に拂つてやるという関係でございます。日本制度といたしましては、やはり保險料の負担ということだけでも、銀行に負担をかけるということでありまして、かわりの制度として優先権を認めたわけでございます。預金につきましては、十万円以下の部分につきまして優先権を與えまして、その他の十万円以上の部分を遅らす。これによつて少くとも銀行に事故がございましても、十万円までは確実に返つて来るという方法で、預金保險と同じ効果をこれで期待いたしておるわけであります。  それからこの法律の大きな問題といたしましては、信用調整の問題でありまして、ここに規定されておりますところは、第七章信用調整というところ、第七百一條から七百十一條に出ておるところでございますが、三点ございまして、一つは連邦準備制度と同じ支拂い準備制度をとる。第二点といたしましては有価証券担保の貸出しにつきまして、大蔵大臣ないし日本銀行政策委員会において、信用調整の手段を講ずる。第三点といたしまして金利の調整の権能を規定するということでございます。支拂い準備の制度は御存じのようにアメリカの連邦準備制度の本質をなしておりまして、各加盟銀行は、連邦準備銀行に一定限度の預金をする義務を持つております。その義務となつております預金の額を、連邦準備銀行が上げたり下げたりすることによりまして、ある場合には金融を締め、ある場合にはこれをゆるめるという信用調整の手段に使う。そのほか預金の引出し等がありました場合、この連邦準備銀行に対する預金を引出して使うという支拂い準備の機能、この二つを兼ねておるわけであります。日本の現状といたしまして日本銀行の貸出しが千四百億、五百億と言われておる場合には、逆に日本銀行に預けさすということは、いわば両建になる勘定でありまして、銀行としては日銀への預金は無利息であるし、貸出しを受ける部分が幾らかの金利を拂うということになりますけれども、金利の負担になるだけであつて、効果はあるまいという意見もありますし、本来金融がだぶついて来る場合のいわば金融引締めの一つの手段とも考えられるわけでございますので、日本にただちに採用することがよいかどうかという根本的な議論もあるわけでございますが、この法案の中には経過規定を入れることといたしまして、制度としてしいておこうというわけでございます。その制度のあらましといたしましては、銀行を大銀行と小さい銀行との二つの種類にわけて、大銀行の預け金の割合を強くいたしまして、小銀行の預け金の割合を若干軽くする。第七百一條の規定でございます。「定期的預金の総額の百分の一に相当する金額と要求預金の総額の百分の五に相当する金額との合計額以上の日本銀行預け金」というのが大銀行の場合でございまして、小さい銀行は「定期的預金の総額の百分の一に相当する金額と要求預金の総額の百分の三」その合計額を日本銀行に預けて置く。そして通貨金融の情勢によりまして、必要がある場合にはこの率を大蔵大臣が上げる。上げる限度は今申し上げました数の三倍以内で適宜運用する、こういう建前でございまして、もしこの義務に違反いたしますときには、その不足額に相当する金額に若干の過怠金を課することにいたしまして、その制度の運用をはかる。それから意識的にこの義務を守らないというような場合には、大蔵大臣は警告を発して、さらに役員を解任し、あるいは営業の停止をするというような制度考えておるわけであります。  それから第二点といたしましては、有価証券を取得及びこれを保有するための金融の制限でございまして、七百七條に規定してあるところでございます。七百七條は、大蔵大臣は通貨金融の情勢に顧み必要があると認めるときは、日本銀行政策委員会の議決に基き、銀行信託会社、その他の金融機関が貸出しをする場合には、担保としてとる有価証券の種類及び担保額の限度を定め、または変更することができる、こういうことになつております。この案ができましたあと、いろいろ研究いたしました結果によりまして、この七百七條では、有価証券担保の貸出しのあらゆる場合にこれを適用するようになつておりますが、今のところでは銀行は有価証券の取得または保有のために必要な資金の貸出しをなす場合に、担保としてとる有価証券の掛値を決定したり、変更したりすることができる。つまり株式市場のブームと申しますか、騰貴によりましてどんどん株なら株が上る。その上つた株を担保にして金を借りる。そしてまたそれで買う。その結果株が上る。またそれで貸出しを余分に受けるということで、順順に循還的に買いあおるということがないように押えようとする規定でございまして、その必要な限度において制限すればいいのではなかろうか。アメリカではマージン・リクワイヤメントと申しておりますが、いわゆる掛値の制限という意味で、信用調節の一つの手段として考えております。  第三点は第七百八條以下でございまして、現在臨時金利調整法に規定されておりますところの金利の調整の規定を、恒久立法としてここに入れようという点でございます。金利は本来法定すべきものかどうかという本質論がございまして、あるがままにまかせればいいという問題もあるわけでございます。現在独占禁止法との関係によりまして、銀行における預金あるいは貸出しの協定が禁ぜられております。しかし、さればといつて自由放任にするということは、もちろん弊害が多いわけでございまして、本来独占禁止法関係におきまして、当然きめるべき貸出しないし預金の金利を、この法律によつて法定しようというわけでありまして、これに伴いまして臨時金利調整法は、これを廃止しようという考え方でございます。  その他若干の制度がかわつております。たとえば四十一條の監査役の制度の規定でございまして、現在改正商法の精神によりまして、監査役の機能が次第にかわつて来ております。現在いわば並び大名的な役目を持つておりますのを、公認会計士的な会計監査の嚴重な権能を與えるという方向に進んでおるわけでありまして、公認会計士の制度から申しますと、現在年に一回どういう会社におきましても、公認会計士の監査を受けたくてはいかぬということになつておるわけでございます。銀行は御承知のように、銀行検査の制度を持つております経理のいわば專門の会社でございますので、公認会計士の力を借りることなしに実行しようという意味で、監査役を公認会計士的にかえるというところが重点でございます。ここにございますように、監査役の一人を主任監査役として、残りの監査役を補助監査役というようなかつこうにいたしまして、全責任をこの主任監査役に負わすほか、一般の商法に定められております権限のほかに、監査役が各営業所について業務の状況を監査し、あるいは銀行の経理に関する事項について取締り監督し、あるいは銀行大蔵大臣に提出する経理に関する書類を監査するというような、特別の権限を與えることにいたしております。  最後に、新しい制度として業務監理という制度が設けられております。第十一節でございますが、たとえば銀行の業務内容が悪くなつたような場合には、すぐに営業停止をするなり、あるいは営業免許の取消しをすることなしに、一時大蔵大臣の指名する業務監理委員を任命いたしまして、できれば立直りを策してやる。そうしてうまく立直れば計画にのつとつて再開いたしますし、どう見てもうまく動かないという場合には、これの営業停止なり営業免許の取消しに移る。今の規定にはその強行的な規定がございませんので、新しい規定として入れたいというわけでございます。  それから銀行検査の考え方でございますが、現在も銀行法に基きまして銀行の検査をいたします。しかし銀行に対する大蔵大臣の監督権といたしましては、個別的な業務に干渉することはなるべく避けまして、その運営を自主的にする。しかしその融資その他については厳重な検査をして、もしそこに非違があり、あるいは不健全なものがあれば、これを嚴重に取締るという態勢が、民主的な銀行監督ということになるわけでありまして、銀行検査の制度は戰時中に比べて戰後格段に強化されております。アメリカの新しい検査の方式を取入れまして、銀行その他金融機関をまわつているわけでありますが、この法律におきましても銀行検査の回数を規定しまして、ここでは九十二條において、各銀行につき毎年少くとも一回これを行うということに規定してございます。もちろん今の銀行検査のスタッフとしてはとても手がまわりませんので、できるだけこの趣旨に合うように、その後の考え方としては二年に一回というようにしてございますけれども、本来の姿としてはぜひ年に一回は必ず見て、非違を正すべきものは正す、こういうことでございます。この銀行検査官の人員の充実ということが非常な問題になつておりまして、現在も予算折衝の過程において大いに努力しておるわけでございますが、銀行検査の重要性というものについて特に規定があるわけであります。  大体大きな項目は今申し上げましたような点でございますが、あと若干こまごました決議規定等がございまして、あまり興味をお持ちにならない点もあるいはあるのではないかと思います。またお読み願いまして、御質問でもありましたらお答えいたすことにしたらどうかと思います。
  21. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま説明員の方から、長時間にわたつてきわめて丁重にこの法案に対する内容の御説明をいただきましたが、私は銀行局長に根本趣旨についてお伺いいたしたい。と申しますのは、第七回国会におきまして池田大蔵大臣が、中央におけるところの金融の梗塞状況、並びに地方におけるところの金融の不円滑状態にかんがみまして、地方においては地方銀行の設立を今後積極的に許可して行きたいという方針を、明らかにされたのでありますが、ただいま説明員の御説明を聞いておりますと、この法案があらゆる方面に強くわくがはめられ、またはめられつつあるような感じがひしひしとするのでありまして、この点池田大蔵大臣の言明、政府の方針に反しはしないかということを心配いたします。さらに銀行局長から私の質問に対して要点だけ、なおかつこの法案趣旨の大要について、御意見を承れればけつこうと思います。
  22. 舟山正吉

    舟山説明員 昨年池田大蔵大臣が、従来のいわゆる一県一行主義を打破いたしまして、地方銀行もその地方で独占的な気持で営業をやつてつてはならない。銀行の必要があり、そして希望者のある所には、これを認可して行く方針であるということを、新しい政策として指示されたのでございますが、これと新金融業法との関係は、一つのつながりがあるわけでございます。アメリカ式の考えによりますと、銀行の営業というものについては、ただいま御紹介いたしましたような考え方がその一点でありますが、いろいろの制約がつくのであります。大きさについての制限、業務区域についての制限あるいは貸出先についての一人当りの金額の制限、その他いろいろなものがありまして、銀行の営業はきわめてやかましいものになつている。その反面、もし銀行の設立を希望するものがあればこれを認めて行く。これを裏から申しますれば、銀行の設立認可はアメリカにおきましては比較的簡單に認めるのでありますけれども、その業務その他資格要件等につきましては、がんじがらめの制限がついている。こういう考え方で一連の金融政策の基本方式というものができていると思うのであります。わが国におきましては、従来それとは多少異つた考え方で、運営されて来たのじやないかと思うのであります。しかし昨年以来、決して現在あります銀行にその営業を独占せしめるということでなく、但し金融界の安寧とかあるいは経済界に及ぼす影響とかを考えまして、堅実な銀行ができるという見込みがあります場合には、新らしい銀行認可して行くという方針をとつている次第であります。
  23. 有田二郎

    有田(二)委員 この際銀行局長にお尋ねしたいのですが、預金の祕密制ですね。先般来、国政調査で大阪、広島各国税局管内をいろいろ調べてみましたが、一税務吏員が名刺一枚で銀行を調べる、そういつた行き過ぎがありますために、もう銀行には預金しない、銀行みたいなところに預金しておつたら困る、もう絶対銀行預金しないのだという声が大阪方面相当あがつている。預金も最近漸次減つて来ているように私聞いている。預金の祕密制について銀行局長の所見を承りたい。
  24. 舟山正吉

    舟山説明員 金融の立場から申しますと、銀行預金について祕密制を存置いたしまして、預金が集まるようにしたいことは山々でございます。しかし一面税の問題がありまして、特に昨年のシヤウプ勧告等にありましては、預金の祕密制ということはそう顧慮する必要はない。総合課税を徹底すべきであるという趣旨の意見が開陳せられたのであります。大蔵省といたしまして、従来税の方面からと金融方面からとの意見の調整に非常に苦んでおりまして、財務局長その他の出先の者に対しまして、まあ滯納処分とか脱税祕匿その他嫌疑のある場合、こういうような場合には預金を調べられるようにするということでやつておりましたが、一面税の方の調査権の立場から申しますと、銀行につきまして預金が調べられるということも、一応筋の成立つことかと考えるのであります。そこでただ問題はただいま往々にしてその例がありますように、税務官吏が銀行に行きまして調査をするその結果が、非常に行き過ぎになるということを是正しなければならぬということではないかと思うのであります。従つて金融業法におきましては、まだ確定案はございませんが、それに苦心をいたしまして、一つの條項を設けたい。税務官吏は銀行について預金を調べる場合には、人及び事項というものを特定し、かつ上長の許可証を持参するといつたようにしたらというふうに研究中でございますが、一面におきましては、税務官吏の調査権を全然否定してしまうわけには参らぬ。反面現在ときどき現われて参ります行き過ぎを是正するような規定を設けたい、こういう態度をもつて研究しておるのであります。
  25. 有田二郎

    有田(二)委員 どうも銀行局長さんは少し弱過ぎる。少くとも預金の祕密性というものは確保されてしかるべきものであると思う。銀行局長大蔵大臣が主税出身であり、またシヤウプ氏の勧告があつたからいたし方がないというような御答弁のようにも、われわれにはとれるのでありますが、アメリカの方では預金の祕密性ということはどういうようになつておりますか、承りたいと思います。
  26. 大月高

    大月説明員 アメリカの制度につきましては、こちらへ来ております司令部の勧告官等から実情を聽取し、その他法例的な調査等もいたしておりますが、大体におきまして、税務官吏の権限は無制限でございます。ただ実際の運用といたしましては、日本の現状と違いまして、非常に紳士的に行動いたしております。たとえば法律の規定からいたしましても、支店長に対して質問ができるというような規定になつておるのであります。できるわけでございますから、ただいま日本でやつておりますように、あらゆることについて質問ができるわけでありまして、それについて隠すとかあるいはうそを言うということになりますと、罰則がついております。しかし実際の運用といたしましては、支店長もそう偽り隠すというようなこともありませんし、税務官吏の質問も、決してこの支店に預けておる預金者、何万円以上の預金を全部調べるというようなことも言いません。非常に脱税の疑いがあるとか何とかいう場合に、そういう質問をするというだけの運用になつておるのであります。この点は日本と税の運用の点がはなはだ違つておりますので、必ずしも紳士的にというだけでは行かないということで、この金融業法九十二條の四項に一つ條文が入れてございます。「銀行取引信用を保持するため金融検査官が前三項の規定により銀行の検査を行う場合又は大蔵大臣部下の職員を指定して調査を行わせる場合を除き何人も検査又は調査のため前項に掲げる行為をしてはならない。但し、他の法律により認められた目的及び権限の範囲内において、人及び事項を特定して、これをする場合は、この限りでない。」という表現にしてありますが、これにつきましては、目下省議あたりの空気では反対の空気が強いようでございまして、こういう規定は入れるべきではないという意見が、非常に強いのであります。ただアメリカの制度その他から行きましても、なかなか運用と法律の規定とはマッチしないということでありまして、何かのかつこうにおいて銀行の祕密性を保つ條項を入れたいと極力考えておりますが、いい具体案というものはまだ検討中であります。
  27. 有田二郎

    有田(二)委員 大阪では税務署長並びに各局の部長くらいまで権限を委譲して、その署長の紹介がなければやれない、あるいは部長の紹介がなければやれないということになつておるのに、実際私の調べたところでは一税務署員が名刺一枚で調べに来ておる。しかもその調べる態度が、ときには銀行の脱税を調べるかのごとき態度もある。そのため銀行もそれに対して非常に恐怖の念を抱いているというような事態もありますので、その点大阪の国税局長に話をしたら、そんなことをしておるのかと国税局長が驚いておるくらいの越権行為が、行われておるのであります。私の考えではアメリカのような税制であり、アメリカのような富の状態である場合は、決してそういうことはありませんでしようが、日本のような今日の敗戰後の状態としては、何としても銀行をできる限り伸ばして行くことが必要なんで、少くとも裁判官の令状を持つ以外の者はこれを調べることができない。国税庁は査察官制度を設けて、査察官が検察庁あるいは裁判官の令状を持つて調べるという場合においてこれを認める。但しその会社に限るというような方向を限定すべきもので、日本の今の状態のままで行くならば、銀行預金する者は少くなるのではないか。今日千円札が出ておる折柄千円札で現金取引をするというやり方に行く傾向が強いのではないか。しかも今日の国税庁の税のかけ方あるいは更正決定のや方方には相当のむりがある。誤謬訂正が非常に多い状態から考えてみても、非常なむりがある。従つてそのむりが銀行に波及して銀行預金をきらう、あるいは銀行を使うことをいとうというような習慣が、急角度に現われて来るのではないかということを、非常に私は杞憂するのであります。従つて銀行局長お話では、シヤウプ氏の勧告だから、当然税金をとるために最もよい方法をお考えになるに違いない。その場合に税務官吏が名刺一枚で調べるというようなことも、絶対にないとは考えられない。そういう場合に銀行局長としてはもつと腹をすえて、銀行界の将来のために確固たる方針をきめるべきである。少くとも裁判官の令状を持つて来る。もしそれがなければ銀行を調べることを得ずというくらいな確信を持つておやりにならなければ、今までのようなことでは、だんだん銀行を利用する人が少くなるのではないか。私が大阪で調べたのでは、ただいま私が申し上げたように銀行を利用するのは困る。銀行預金をしておると税務署からやられるから、現金取引でやるという声が高まりつつあります。しかも今月一ぱいで無記名がなくなる。そのため郵便貯金にかわるというような状態なんで、ひとつ預金の祕密性ということについては、銀行局としてもう少し信念のある方向をきめていただきたい。われわれはそれに応援するにやぶさかでないのであります。  さらにお尋ねしたいのは、無記名預金が九月一ぱいでなくなるというので、最近預金が非常に減つて来ておる。しかもそれが郵便貯金にかわつて行く。郵便貯金にかわつて行くということが、零細者を保護するという建前ならいいのですが、今度は脱税を目的としてこれにかわつて行くという傾向が多くなつて銀行預金相当つて来ておる。いずれあとで資料要求いたしますが、無記名預金が今月一ぱいでなくなるというのを、もう少し延期して、これらの銀行預金に対する秘密性をどの程度確保するかというようなことが、決定されない現段階において、無記名預金が全部なくなつてしまうということによつて来るところの銀行預金への影響、これらに対する銀行局長の御所見を承りたい。
  28. 舟山正吉

    舟山説明員 銀行預金の祕密性の問題につきまして、税務官庁として一応の調査権があることは、これは理論的には認めざるを得ないことだということを申し上げた次第でありますが、この銀行預金も、一つの国民の資産であります以上、これに対して適正な課税をするということ自体につきましては、適当であると認めざるを得ないのでありまして、祕密性を認め、そうして脱税が公々然と行われるということを認めるわけには参らぬと思うのでございます。そこで私どもは、結局課税限度、あるいは課税方法といつたようなものを適正にする。その際には、郵便貯金等特殊の保護のある預金とも権衡をとりまして、そういう制度をきめる。そうしてその上税務官吏が銀行に臨みまして、必要以上の、あるいは悪質の調査をするということは、極力法律の保護規定等によりましてこれを嚴に戒める。この点につきましては、まつたく御質問の御趣旨に御同感の次第でございます。最近の銀行預金が減つておる原因は、経済界の事情等いろいろの要素が働いておるのでありまして、必ずしも無記名の預金を今月中に廃止するということだけによつておるということは考えておりません。また郵便貯金も最近は増勢が少し鈍化したというふうにも聞いておるのであります。しかしこの銀行預金に対しまする課税の問題も、ただいま申し上げましたような考え方をとつておりますので、この際無記名預金廃止を延期するといつたようなことは、ただいま考えておらないことを御了承願いたいと思います。
  29. 有田二郎

    有田(二)委員 無記名預金が、私の聞くところではたしか八百億ほどあつたように聞いておるのですが、この金額はおわかりになりませんか。
  30. 舟山正吉

    舟山説明員 無記名定期預金残高は、四月末ごろでは八百九十一億ございましたが、五月末には七百七十八億、六月末には五百七十億と次第に減つております。この定期制預金の残高に対します割合が、従つて七月末には三八%、八月末には三〇%、九月末には二二%というふうに推移しております。
  31. 有田二郎

    有田(二)委員 銀行局長お話では、今日預金の減つて来たのは、無記名預金のみでなくて、一般の経済情勢から来るものであるというお話がありましたが、ただいまの御説明で、四月に八百九十一億無記名預金があつたのが、六月末までには五百七十億に減つて、三百二十一億減つておる。さらに九月一ぱいでこれがなくなつてしまうという場合に、これらが現金にかわつてたんすの中にしまわれて行く、あるいは郵便貯金にかわるということも考えられるわけです。郵便貯金についてはいずれ大蔵大臣の御所見を伺うつもりでおりますが、零細な方々預金を保護するということはけつこうであります。しかしながら、結局はそういう方面に投資されて行くということに対して、政府としてはどういう方針をとつておるか。これらをひとつ銀行局長としての立場から御意見を承りたい。
  32. 舟山正吉

    舟山説明員 最近は定期預金の引出しにあたりまして、新規定期に乗りかえる率がにぶつて来たということも事実のようでございまして、これは別途問題になつております資金が購買力に向うという問題、投機、思惑に向うという問題と関連して考えなければならない大事な点であろうと思いますが、とにかく事実はそういうふうになつております。郵便貯金との関係でございますが、郵便貯金は、御承知の通り今年の一月ごろから六月ごろまでは、毎月四十億から四十五億ぐらいふえたという異常な増加の情勢でございました。大体不景気なときは郵便貯金は増加する。昭和初年にもそういつたような現象はあつたのであります。そこで預金の増加という問題に対しましては、できるだけ税制その他において恩典をつけまして、資本の蓄積ができるということを望むのであります。特に民業の預金と官業の預金とにつきましては、官業が不当の特典を受けておるということではいけない。むしろ民業を主といたしまして、官業はこれを補完するという立場に立つことが、望ましいのではないかというふうに考えておるのであります。ところが現在郵便貯金は一人三万円を限度とするということで免税の取扱いになり、名寄せにもならず、税務官吏の検査も受けないという建前であります。ところがこれが濫用されておるといううわさもございます。少くとも民業と官業とは同一の立場に置いてもらわなければ困る。それで資本蓄積の立場からは、両方ともできるだけ寛大であることが望ましいのであります。最近郵便貯金の方のそういう特権の濫用につきましては、大蔵省から郵政省に申入れをいたしまして、そういうことのないように取締り方をお願いしたのであります。
  33. 有田二郎

    有田(二)委員 銀行局長にさらに重ねてお尋ねしたいのは、預金の祕密性について、今私が申し上げました裁判官の令状を持たない者は調べることができないようにする。これは御存じの通り、ただいま申し上げた通り査察官制度があつて、裁判官の令状は簡單にもらえる。しかし裁判官の令状をとる場合に、やはり愼重を期するということになるのであります。そういうところがこの銀行の祕密性、それから税金をとるという建前と両面から見て、一番公正妥当な考え方でないか。もちろんこれについては、今までと違つて各裁判所に査察官を兼務の者を置いて、そしてその土地にそれぞれ区の検察庁があるわけですから、それらのところから裁判官の令状をもらつて調べる。私どもの国政調査によつて調べたところによると、今人権蹂躙の事実が非常に多いのです。それが裁判官の令状をもつてすることも今日許されておらないときに、何ら裁判官の令状を特たない一税務吏員が徹夜をして調べる、あるいは家宅捜査を自由に行つたり、あるいは尋問をしたり、あるいは恐喝をしたり、脅迫をしたり、いろいろな事態が私の手元に調査済みになつておるのであります。従つて今日われわれが、特に私が公平に考えて、裁判官の令状を持たざる者は、預金した銀行調査することを得ずということが一番公正妥当ではないか、シヤウプ氏の御方針にも沿うのではないかと考えるのでありますが、銀行局長としての御答弁を伺います。
  34. 舟山正吉

    舟山説明員 預金の祕密性の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますことは、税制としてたとえば税務署へ行けば、人の申告書までも見得るといつたような建前のもとにおいては、預金だけについて祕密性を厳守するということは不可能じやないかということを申し上げたのであります。そこで税務官庁によります預金調査の濫用ということは極力防ぎたい。つきましては裁判官の令状を持つておる場合に限つて銀行に行つて調査ができるということにしてはどうかという御提案もあつたのでありますが、しごく有益な御意見のように拝承いたしますので、なおこれについては研究して行きたいと思います。
  35. 有田二郎

    有田(二)委員 今の局長のお話では、税金は自由に見ることができるというお話でありますが、税制がかわりますとそれは見ることができなくなる。ある程度の金額を知らせる程度で、それ以外のところへ立入つて見ることができなくなつて来る。あなたのお考えは以前の旧法だが、税制がかわつて来ておる。そういうことを御検討願つて今の銀行の祕密性ということについて、銀行局がもつと積極的に銀行の将来をお考えになつて、確固たる御方針をおきめ願いたい。その点は銀行の各位の銀行協会というものがあるわけですから、銀行協会の各位の意見もよく徴されて、また国税庁あるいは主税局あたりの意見も、またシヤウプ氏あたりの意見もよく聞かれて、これからの銀行のあり方ということについても、われわれも重大なる関心をもつて協力をして行く覚悟でおりまするけれども、銀行局においても十分ひとつその点について、積極的に御検討あらんことを希望して、私の質問を終る次第であります。
  36. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 局長に簡單にお尋したいのでありますが、金融機関でこれに漏れておるものがあると思います。たとえて申しますと農林中央金庫、商工中央金庫、そのほか金融機関の完全なものではありませんけれども、国民金融公庫でありますとか、これは何か別におこしらえなさるのでありますか。それともそれはしばらくあのままにしておかれるのでありますか。それをちよつとお伺いしておきたいと思います。
  37. 舟山正吉

    舟山説明員 戰後、金融につきましては制度自体に根本的な改正を加えるとを避けまして、もつぱらその運営の改善に努めて参つたのでありますが、経済状態、金融状態も平常的な状態におちついて来たから、この際仕上げとして制度についても司令部の指導によりまして、理想的な状態におちつけたいということで、新金融業法の草案をつくつたわけであります。こういう意味から申し上げますると、銀行のみならずほかの金融機関につきましても、従来の制度というものに再検討を加えまして、所要の改正を加えるべき時期に到達したと思われるのでございます。そこできようごらんに入れました金融業法には銀行信託会社、それから無盡会社信用協同組合、これらのものをいわば一般的な金融機関と申しますか、一般的な法規に基きましてたくさん認可を受けてできる金融機関、これについての法規をさしあたつて問題にしたわけであります。このほかに農林中金、商工中金など、それとは別でありますが、保險会社保險業法につきましても検討を加えまして、漸次手が間に合います限り、逐次御審議を願うことになろうと考えております。
  38. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 これは内容の質問じやないのでございますが、近ごろ物品販売株式会社というものがしきりに方方にできるのであります。これは一種の金融じやないかと思います。甲と乙と物を買うということをいたします。その買つた物を貸してやる。金を貸してやる。毎月々々日掛けで金を集めて来る。ずいぶんあつちこつちにあるのであります。これは一種の脱法行為でやつておることなんだと思うのでありますが、あれは何か取締られるお心持があるのでありますか。それとも野放しにされるのでありますか。
  39. 舟山正吉

    舟山説明員 今例におあげになりましたようなものは、あるいはみなす無盡等とも紙一重の相違のあるような仕事、これは非常に世間に多いのであります。これは各種の金融法規に抵触するというきつかけをつかまえまして、これを禁止しておるのであります。特に貸金業の取締りに関します法律に基きまして、さしとめをしておる例は相当数に上つております。
  40. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それは甲が乙に物を売る。そうすると甲に対してその金をこの会社が拂つてやる。そのかわりに乙から毎月々々月掛けで相当高利なものを集めておる。だから表面は物を買うときに援助してやるという形になります。だからおつしやる通り紙一重なんでありますが、これが方々に非常に多いのであります。相当の金を動かしておる。中には話合いで買つたことにしようじやないか。表面は物はちつとも動いておらないけれども、お前は買つたと言え、おれは売つたと言うからというので金融しておるのがある。調べに行くと物を買つた。この自転車はそれだと言うのですが、こういうものを何か取締らなければいかぬのじやないかと思いますが、これは無盡なんかの許可をあまりやかましく言われるものだから、遂にそういう脱法行為が起きるのではないかと思うのでありまして、預金者保護という立場から相当考えなさらなければならぬのじやないかと思うのであります。これは別にどうということはないのですが、そういうことがあるということを御存じだろうと思うのであります。もし何なら私はほんとうに実例などを申し上げてもいいが、こういうふうなものをお考えなさるときに、あわせて考えておかなければならぬことじやないかと思うのでありまして、これはお答えをいただこうとは思つておりません。ことに農林中金は近く改正なさるのですか。改正なさらぬのですか。
  41. 舟山正吉

    舟山説明員 農林中金は早晩何らかの改正を加えなければならない運命にあると思います。
  42. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それはいつごろですか。
  43. 舟山正吉

    舟山説明員 それは銀行法が確定いたしますと、銀行法で律していいかどうか、あるいはその特殊性を認めまして、單独法で行かなければならぬかどうかという最後の決心を、司令部側においてなされると思うのであります。従来の交渉経過によりますと、農林中金の特殊性というものが十分にのみ込めないために、組合金融というものは何でこういうものを置いておく必要があるか。特に商工中金あたりにつきましてはバンク——一般銀行にしてしまつていいではないかという疑問が、繰返し繰返し発せられておつたような状況であります。そこで一方において銀行とは何であるかということが法律ではつきりきまりますと、それこそその中に包含していいか、あるいは他の單独要素かどうかという結論が出ます。そうしますとそこで農林中金法あるいは商工中金法も現状のままでいいとは考えておりませんから、所要の改正を、加えるという機会は参ると思います。
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は本日委員長を通じまして政府に申し上げたいことが二、三あります。  その第一は、御承知の通し本委員会は休会中でありますが、金融問題あるいは徴税問題その他の経済問題につきまして、熱心にやつておられるわけであります。国会法律をつくり、審議するところとなつておりますが、今のところ專門員もおりまして、一応政府の方で原案をつくつておられるわけであります。本日は幸い銀行局長がおいでになりまして、こういうような試案をお示しになつておりますが、大蔵委員会に審議なさるときには、司令部を通つたものの結末のみを御説明なさらなくて、今のこの銀行業法の改正と同様に、事前に、もしくはわれわれと共同いたしまして、内容を説明するという事柄は、本委員会の権威におきまして当然だろうと思うのでありますから、今後の諸法案につきましては、委員長から嚴重に政府を督励されまして、提出前に一応この委員会にこれを見せて検討を加える、こういう気持を十分に発揮してもらいたいと思いますが、委員長からそのことを申し上げてもらいたいと思います。いかがでありますか承りたいと思います。
  45. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいま三宅君の御質問に対しては、ちようどこの前に有田君から、何かなめたという問題で、これを取上げて、大蔵大臣に対して、なめたという問題は議会を軽視することであつて、ゆゆしき問題であるから、そういうことのないようにということで、事前に審査していろいろ打合せをするように、そうして專門員との間に緊密な連絡をとるようにということを申し入れまして、了承いたしましたという御答弁にあずかつております。銀行局長及びその他の方もたしかそれは御了承のことと存じますので、この休会中といえども專門員とは緊密な御連絡をとつて、こういう重要な法案が議会に提出せられる前に、お互いに議員との間に緊密な連絡を持つて行くように、あらためて私から申し入れておきます。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員 それに関連いたしまして、内容のこまかいことは本日は聞くことを遠慮しますが、最近の機会において一応これに対する検討を加えたいと思いますから、政府の方もそれだけの時間と熱意を示されまして、時間にはひとつ問に合うように、先ほど西村委員からもお話がありましたけれども、ぜひ御出席願つて、われわれと協力いたしまして国政に参画する。この線を強く要望いたしたいと思います。
  47. 西村直己

    西村(直)委員 私ちよつと二つの点をお伺いしておきたいのですが、これは非常にお忙しい中を、御親切に大体いい御説明をいただきまして、ありがとうございました。ただ問題は、これはどの程度の交渉経過であるか、いつの国会——もちろんこれは閣議等をまだ通つていないと思うのでありますが、いつの見通しであるか。それがもしややこしければ、速記をとめて御説明願つてもけつこうだと思います。あわせてこの機会に立ちましたから、お願いを委員長にいたしたいと思いますが、本大蔵委員会は御存じの通り、税制の小委員会、それから金融制度に関する小委員会、そしてそれぞれの小委員長もはつきりおきめ願つたわけであります。近く金融におきましても活動を開始せねばならぬ。従いましてこの法律案等に関連いたしまして、政府出資の金融機関、あるいは日本銀行等に対して、小委員会といたしまして現地機関において資料等を御提供の上、いろいろわれわれとしてもお尋ねをし、あるいはまた調査もいたさなければならぬ点もございます。従いまして委員長から大蔵大臣あるいは銀行局長等を通じ、政府出資の機関に対しまして、大蔵委員会からそういう調査を開始する。従つて調査項目等については、もつと委員長の方で、あるいは小委員長の方でお示しを願うという趣旨を、この機会にお願いしておきます。第一点の方は、この法案に関する直接のものであります、第二の方は、金融問題全般に関する調査を、金融制度の小委員会で始めるわけであります。その事前あるいは直接の問題といたしまして、いろいろ調査をいたして参りたい。それには日本銀行なりあるいは政府出資の金融機関に対して、直接おじやまに上つて資料等もいただき、御説明を願わなければならぬ点もあります。調査項目等は委員長あるいは小委員会の方でまとめて、いずれ銀行局長の方へ、あるいは大蔵大臣の方へお伝え願いたい。拔打ち的に行つてお互いが摩擦を生じ、あるいはお互いにそこに期待はずれがあつてもいけません。事前に十分な連絡がほしい、こういうことであります。
  48. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 了承いたしました。小委員会としては、活動を活発にするために、参考人として金融機関の人を当委員会に呼んで、いろいろお聞きになることはけつこうだと思います。また銀行等にお出かけになつて調査になるときは、大蔵省銀行局等を通じ、ひとつ便宜をはかつていただくように、あらかじめお願いいたしておきたいと思いますが、いかがでしようか。もし第一の点で交渉経過が非常にややこしければ、速記をとめてでもけつこうであります。
  49. 舟山正吉

    舟山説明員 第二の点からお答え申し上げますが、当委員会あるいは小委員会において御調査になりますときには、私どもの方でできるだけの御便宜をおはからいすることに異存ございません。また喜んでその措置をとりたいと存じます。  それから第一の金融業法、これは題目もはつきりまだきまつておりませんのですが、銀行だけで参りますれば銀行法になると思います。その他の金融機関を入れれば金融業法となるかと思いますが、この法案の経過は大体かように御了解願つておけばけつこうだと思うのであります。それは私の方でいろいろ留保をつけまして、大体銀行局試案の程度としてひとつ交渉してくれ、そういう含みで関係方面折衝しておるのでございます。従つて国会の御意向あるいは輿論の御意向というようなものは別途に出て参ります。そういうものは私といたしましてはできるだけ織り込んで、理想的な根本法規をこしらえたいという気持であります。
  50. 有田二郎

    有田(二)委員 いずれ金融制度の小委員会でも検討いたすというお話でございますが、銀行局長からもひとつ銀行局の立場から御所見を承りたいと思います。それは最近御存じの通りに債権確保という建前から、ある程度のことをおやりになることについては、われわれもわからないことはないのでありますが、最近における石川島、新潟鉄工所、トヨタ自動車、あるいは川南、それらの会社銀行関係から端を発した勢力争い、たとえば川南においては最近株主総会においてなぐり合いがあり、あるいは株主の争奪戰があつた。これはバツクは富士銀行である。かような情報を聞いておるのであります。それから石川島、新潟鉄工所の場合は第一銀行、並びに新潟鉄工所については勧銀が関係している。とにかくこれらの銀行が債権があるという建前から、銀行の業務から逸脱したところまで行くということが妥当であるか。さらにトヨタ自動車の場合は帝国銀行でありますが、專務を銀行から出している。こういつたことがいかに債権確保のためとはいえ、そういつた事業経営の内容にまで深く立ち入つてつて行くことが、銀行局として銀行の運営上正しいやり方であるかどうか。こういう点について基本的な御所見を承りたいと思います。
  51. 舟山正吉

    舟山説明員 銀行がその債権確保上適当な手を打つということは、預金者に対する拂いもどし危惧の点からも、これは認めざるを得ないところであり、こういう個々の問題は銀行局長といたしましては、銀行検査のときに、これこれの債券については管理が十分でないとか、あるいは回收を促進する要があるといつたような指示はするわけでございますが、しかし銀行が債権保全の範囲でとどまるか、あるいはそれより進んで金融が産業を支配する程度になるかという境目は、きわめてデリケートであります。私はその金融支配の批判が起ることのないように、債権確保に力を盡す必要があるが、決して行き過ぎのないようにという一般的な注意は申しておるのでございます。個々の問題につきましては、いろいろ利害が錯綜いたしまして、官庁といたしましては、必ずしもこれをあれこれとさしずをすることは適当でないと認めまして、ほうつておくことが多いと思いますが、そういう抽象的な注意はしておるわけであります。
  52. 有田二郎

    有田(二)委員 銀行局長の御趣旨はよくわかつたのであります。われわれも委員会においてよく通産関係とも連絡をとつて銀行局長のその基本的な方針の線を逸脱しているかいないかといろ点も、検討してみたいと思います。その節は銀行局長の御協力をいただきたいと思います。どうぞひとつよろしく……。
  53. 大上司

    ○大上委員 ただいま有田委員からも御質問のありました点について、私も二、三お尋ねいたします。今の銀行がいわゆる債権確保のために出た処置云々については言わないが、これは大きく銀行の所管というか、監督をしておられる皆さんから見ると、いわゆる不良貸付を出したそれ自体が銀行業務の逸脱である。これは失敗である。それをそこまでさす。それは抽象的に云々という言葉がありましたが、さらにこれについてわれわれの考えとしては、もはやその時期に銀行それ自体が失敗しておるのではないか。そうなると善良なる意味においての預金者の保護という建前から言つて、当然銀行それ自体をまず皆さん方が検査するように、立法的にも規定に織り込むべきではないか、このように考えますが、局長はどう考えるか。  それからもう一つ、いわゆる独占禁止法それ自体から見まして、非常にわれわれが予期せざると申しますか、俗語に言うておるところの金融が産業を支配するとか、金融の独裁とかいうようなことをよく聞くのですが、それの実例があるかないかという点をお尋ねします。  その次に、いずれ金融の小委員会の折にいろいろお尋ねしたいと思いますが、でき得ればさらにその問題にからんで、大銀行のいわゆる産業資金の供給の実例と申しますか、これにからんで大体どういう方法で現在まかなつてつておるか。この三点をお伺いいたしまね
  54. 舟山正吉

    舟山説明員 第一の点は、銀行が債権保全の方策をとらなければならぬようになつたこと自体が、銀行の貸出しの誤りではないかということでございますが、銀行は最近相当に貸出しにあたりまして注意いたしておりましても、こういうような客観情勢のかわりますときには、貸付が固定することがあるのはやむを得ないことだと考えます。また事前に大蔵省に貸出しについて伺いを立てるというような制度は全然ないのであります。銀行の責任において貸すのでありまして、監督官庁といたしましても、これを事前に阻止する方法はございませんが、今後定期検査を励行いたして参りますれば、前に失敗の跡がありますればそれを指摘し、その後の貸出しについて十分の注意を発することができるようになろうと考えております。  次に金融が産業を支配しておるかどうか。これは銀行相当大口の金を産業に融資いたしまして、相当強力な発言権を持つておる場合もございましようが、これはどの程度持てば金融が産業を支配しておると見るかということにつきましては、なかなか一言には言えないことではないかと思うのであります。  次に大銀行の産業に対しまする資金供給の状況等につきましては、御要求によりまして、また資料を調製してお目にかけたいと思う次第であります。
  55. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 この際お諮りいたします。今後大蔵委員会といたしまして、税制調査委員会及び金融制度調査委員会におきまして、税制の調査あるいは金融制度等の調査を進めて参りたいと存じます。その場合参考人を呼んだり資料要求も種々あることと存じますが、その際一々委員会を開くわけにも行きませんので、その点あらかじめ各小委員会に一任しておきたいと存じます。この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定することにいたします。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十三分散会