○
有田(二)
委員 今
長官からの全国のいろいろな話がありましたが、われわれ
調査しました結果、やはりこれはたぬきときつねという感じを受けるのです。まじめな
納税者、まじめな
税務吏員を除きまして、よくない
納税者、よくない
税務吏員を比較しますときに、たぬきときつねの化かし合い、化かした方が勝ちだというような感をわれわれは受けるのです。それでわれわれとしては、もちろんこの際
国民大運動を起して、正しく納める。あるいは現状では、
税金をとられたらとられ損だ、よけい出したら来年またよけい出さなければならないというような
考え方のもとに、なるべくごまかそうとする結果に
なつたことは、その本人が悪いことはもちろんだけれ
ども、
税務の方においても、行政の方面においても私は
責任があると思う。たとえば今回の減額承認の問題にしましても、六月十五日に行うのに、
大阪の天王寺の
税務署の
ごときは、六月十三日に
管内の各幹部を集めて減額承認書を出すように、しかしなるべく出してくれるなという
指導をして六月十五日に締切る。た
つた二日であります。そういうような減額承認という
方法を
国会において設けても、実際においては各
税務署の
指導方針というものはこれをやらないということで、お互いがはなはだどうも尖鋭化した状態である。われわれとしては正しい
税金を納める者については、将来できる限り勲章を出す、あるいは報奨を出す、奨励の道をとり、
税金を納めるということが、個人の誇りであるという
方向に持
つて行くならば別でありますが、よけい
税金を納めると、
税務署が来年は減額承認を許さない、こういう
制度があるために、なるべくこれをごまかそうとする。今日のごまかそうとする
責任の一端はもちろん
納税者にもあるでしようが、これは徴税者にもある。特に
更正決定の点において非常に遺憾の点が多い。いずれ数字をも
つてこまかく
国税庁長官の
意見を徴取いたしますが、とにかくあなたが
アメリカへ行かれてお帰りに
なつたことを大いに期待している。もちろん日本と
アメリカとは非常に違うのであります。
アメリカの
制度そのままを日本に持
つて来たところで、今日の日本の
納税者の気持というものは、
アメリカの
納税者の気持とは
相当の隔たりがある。
従つてアメリカの
制度のまままねても、はたしてそれに
相当するところの
税金がとれるかどうか疑わしい。
従つてあなたの
アメリカにおける経験を十分生かすとともに、日本の
納税者の気持をかえて
行つて、両々相ま
つて将来理想的な運営に進むという必要が私はあると思う。われわれは
税務署の方方のいけないことはいけないとして申し上げる。しかし
税務吏員に対してわれわれが何らの
同情と何らの感謝もしていない、かように解釈をされては困るのであります。薄給に甘んじて非常な御苦労をなさ
つている
税務吏員に対しては、感謝の気持を持
つて来た。決して誤解はしていない。しかしわれわれが
調査した中であまりにも
人権蹂躙の事実が多いし、あまりにも
考え方が間違
つている。あるいはか
つて明治十年前後の悪い役人、あるいは悪代官のような言葉を使うような
税務吏員が非常に多い。こういうようなことはひ
とつ急角度に是正をして、言葉は丁寧、
態度はいんぎんであ
つても、
税務吏員としてその職務を執行して行く点についてはどんどん遠慮なくや
つて行く。しかしながら
態度なりあるいは言葉なりは、あくまでもいんぎん丁寧である。そうしてただいま
長官が申された
通りにお得意先である、
お客さんである、かような
考えでできるだけそういう
方向でや
つて行く。またわれわれがこれはよくないと感じたものは、もつと
査察官制度を研究してもら
つて、
査察官をもつとふやすなり、
査察官制度をもつと研究していただいて、そういうものはどんどん
査察官の手によ
つてや
つて行く。そうして普通の正しい人に対して、あるいは弱い人に対して、今日一部とられている
税務署の悪
行為に対しては、断固排撃していただかなければならぬ。この点はおそらく御同感であろうと思う。どうか
長官はその点でわれわれと手を握
つて努力していただきたい。今までのような
やり方でなく、ま
つたく
国税庁とわれわれが一体にな
つて現情の悪弊を打破しない限り、日本は救われない。かように実は
考えているのであります。ひ
とつこれに対する
長官の御所見を伺いたい。