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櫛田参考人 国民金融公庫の
櫛田であります。
公庫の
現状を御
参考までに申し上げ、また
公庫の窓口から見ました最近の
情勢につきまして感じたことを二、三つけ加えてみたいと存じます。
御
承知のように昨年の六月一日に
公庫といたしまして発足いたしましてから、十三箇月たちました六月までの
現状を申し上げますと、直接窓口にお見えになりまして申込まれた件数が約九万六千件ございます。その
金額が九十七億円、そのほかに私
どもといたしましては、全国に四百二十ほどの代理所を持
つております。これは無盡会社、及び市街地
信用組合にお願いをいたしておるわけでございます。そちらの方の
申込み状況は完全な統計がと
つてございませんが、大体推測いたしますると、少くとも私
どもの窓口に直接お見えに
なつた方の、半分見当になるのではないかというふうに推定いたしております。従いまして大体百三、四十億の
申込み、十二、三万件の件数というものがあつたかと存ぜられるのであります。ただこの
状況をさらに二十四
年度と本年の四月以降の二十五
年度とにわけまして観測いたしますると、二十四
年度におきましては、直接にお越しに
なつた方は、平均いたしまして月七千件、一日二百八十件、
申込みの平均が九万円見当でありましたが、二十五
年度四月以降を見ますと、月に八千七百件、一日三百五十件見当、平均いたしまして
金額が十三万五千円、件数並びに
金額ともに大体五、六割の急激な
増加を示しておるのであります。これらはもちろん全般的な
金詰まりの現われでありますが、ことに最近におきまして
——最近と申しましても本年に入りましてからでございますが、感ぜられますことは、大都会における
中小企業——私
どものところに参ります方々は、
豊田さんのところにお越しになる少し下とでも申しますか、
中小企業と申しましても
中小企業の下くらいから小企業、零細企業ということになりますが、それらの方々の共通的な現象と申しますのは、昨年と比べまして
運転資金の
需要が非常にふえたということでございます。去年あたりは大体
資金需要の六割見当は
運転資金であ
つて、四割見当が
設備資金の
需要でございましたが、本年に入りましてからは大体八割見当が
運転資金ということになりました。大企業、大会社等からの
資金の不拂いと申しますか、売掛代金が非常にかさんでおるというのが、きわめて特徴的な共通現象であります。ところが今度は中都市の方に参りますと、私
どもの窓口にお越しになる方々の
資金の
需要は、やはり
運転資金がふえて参りましたが、これは主として
農村の
購買力が減少したというところに、
相当大きな
原因があるように観測いたされます。さらに私
どもが痛感いたしますことは、一月、二月といつたような短い
期間で追われる
資金ではなしに、同じ
運転資金でありましても、十箇月、二十箇月というような長い
資金の
需要というものが、非常に望まれておるということであります。そういう
方面に私
どもとしましては、できる限りのごめんどうを見ておる次第でありますが、業種別に見ますと、大体工業
関係が五割、商業
関係が三五%、その他一五%という割合にな
つております。かくのごとき
需要に対しまして、私
どもといたしましてどの
程度の
資金の供給ができたかということを顧みてみますと、過去一年一箇月の間に、これは貸付の累計でありますが、件数にいたしまして二万九千件、
金額にいたしまして二十二億五千万円を供給いたして参りました。そして六月末の現在高にいたしますと、件数で二万六千件、
金額で十七億円という
残高を示しております。つまりその差額が
回收という形でぐるぐるまわつたという形であります。そういう
状況にな
つておりますが、それをさらに二十四
年度、二十五
年度にわけてみますと、二十四
年度におきましては総額約十四億の貸出しをいたしました。二十五
年度に入りまして、三箇月間に約八億というものを供給して参りました。
本年の
資金計画でありますが、国民
金融審議会というのがございまして、
四半期ごとに事業計画及び
資金計画を定めまして、国民
金融審議会の御
意見に従いまして、その結果を
大蔵大臣から御認可をいただいておるわけでありますが、当初は、本
年度は月二億五千万ぐらいの貸出しをすることにいたしまして、新たに
政府から十二億の出資をいただくことになり、上半期におきます九月までの
資金の
回收を大体三億と見まして、大体四月から九月までの間に、十五億見当の貸出しを実行いたそうというプランを立てたのでありますが、四月以降、ことに五月、六月と
資金の急激な
需要でありまして、またその
内容から申し上げますと、私
どもの見るところでは、大体貸金
需要の三割ないし四割の方々はぜひとも供給すべきものである。また供給いたしましても百パーセント、これを御活用願える、また国の
経済復興に十分にお役に立ち得ると思われる方々のみでありますが、そういうような
状況でありますので、五月、六月には大体三億ないし三億五千万見当の貸出しを実行せざるを得ない
状況でありました。かような
状況でありまして、他方貸付金の
回收が予定よりも非常に多く見込まれるに至りましたので、大体八月までに十六億の貸出しを実行いたします。その
資金の内訳は
政府資金十二億、
回收金が約五億、合計十七億の
資金が八月末までに入るわけであります。それに対して十六億の貸出しを実行いたしまして、あとの一億を九月のために残すという
状況にな
つたのであります。かようなわけでありまして、
現状をも
つていたしますと、大体手持金といいますか、使用し得べき
資金は八月末でも
つて大体なくなりまして、九月以降
現状のまま推移いたしますならば、毎月の
回收金大体一億見当をかれこれ流用して行くほかはない。他方毎月の貸出しは少くとも三億五千万見当、ないし四億見当のものを必要とするのではないかという
状況にあるわけであります。かような
状況でありますので、過般来
政府御当局におきましても、
預金部の
資金三十億を新たに貸し付けていただき、それを新規
資金として使わしていただく計画をお立てになりまして進行して参
つたのでありますが、私
どもの方がこれをいただいて使いますためには、予算の補正を必要といたします
関係にあるのでありますが、やむを得ざる事由によりまして今
国会においてはその運びに至りませんで、次期の
国会にこれが繰延べに
なつたという
関係から、私
どもといたしましては、次期の
国会をできるだけ早くお開き願いまして、できるだけ早く
預金部から新規
資金をいただくことを待望しておるような
状況であります。
なお最近の
朝鮮動乱の
影響が私
どもの窓口にどんなに響いておるかという点を申し上げてみますと、まだ急激には響いて参りません。逐次いろいろな特需
関係の下請の下請というようなところが、窓口に御相談にお見えになります。これはやがてだんだんと多くな
つて来ることかと存じております。御
承知のように私
どものお客様方は何と申しますか、デフレのときにはまつ先にその
影響をお受けになる方々だろうと存じます。ところが景気が若干上向くとかいうときになりますと、その
影響はむしろ遅れてお受けになる。直接すぐに反響があるというよりは、めぐりめぐ
つて来られる。そういうような
状況にあるように存じますので、そういつた
意味におきまして、
経済の
状況が非常にかわるというようなときにおいては、いろいろな
意味で私のところにまつ先におかけつけにな
つて、いろいろ御相談になる。つまり景気がよくな
つて来るときには、その恩典に浴することがおそい、景気が悪くなろと、まつ先にその
影響を受けるという
関係で、
経済の
状況がかわりますと、すぐに
金詰まりというものをひしひしと受けるという方々でありまして、私
どもといたしましてはこういつた方々に、ほんとうの
意味でいろいろめんどうを見てあげたいと思
つておるのであります。この
資金量の増大、並びにつけ加えて人手の
関係並びに店舗の増設といつたようなことにつきまして、百方苦心をこらしておるような
状況であります。
簡單でありますが、
現状を御報告申し上げました。なお御
質問等によりまして補足さしていただきたいと思います。