○
平田政府委員 お話の
通り、
シヤウプ博士は今月末多分
日本に着かれる予定のように、私
ども聞いております。
税制の
改正問題につきまして、おそらく今回は昨年の
勧告に対しまして若干の
検討を加え、さらに必要な補正的補充的な
勧告をするのが
目的じやなかろうかというふうに、私
ども承知いたしているわけでございます。
大蔵省といたしましては、大体におきまして
前回の
シヤウプ勧告の
ラインに基きまして、若干の調整は加えましたが、基本的にはその
ラインに基きまして提案して、国税の分は御
承知の
通り先般御
審議を煩わしまして成立し、実行いたしております。
地方税につきましては、目下参議院で
審議中という状態でございまして、基本的な点につきましては、
あまり大きく変更するというのはこれはどうもいかがであろうか。やはり
税制の
根本は
あまりたびたびかえるというのは適当ではございませんし、
シヤウプ勧告にもありましたように、
根本的な
制度等につきましては、なるべく長期に安定した
税制ということを言われているようでもございますから、これを再び
根本的にかえるというようなことはどうであろうか、そういうことにはおそらく行かないのじやないかというふうに
考えております。ただ問題はまだいろいろございまして、まあ私
どもとしましてはさらに強く
願つて、
勧告してもらいたいような
事項もございますし、それからさらに新らしく
税法の
実施状況等を見てもら
つた上で、
相当細目の
点等につきましては、再び
勧告してもら
つた方がいいような
事項が
相当あるようにも
考えられます。かような
事項につきましては、私
どもとしましてもでき得る限り
事前に研究いたし、あるいは
資料等をとりそろえまして、
日本の
実情に即して、税の問題ができるだけ円滑に、かつ
目的を達成し得るようにいたしたい、まあこのよう趣旨で目下いろいろの
資料を集めまして
検討中でございます。
その中で、いろいろ問題がございますが、私
どもとしまして一番大きな問題は、
所得税、
酒税、
物品税、こういうような種類の
税率控除等の問題を、でき得る限りさらに一層合理化する。碎いて申しますならば、
相当減税に努めるということになるわけでありますが、この問題は一面におきましては、来
年度の
予算をはたしてどの辺まで圧縮できるか、そういう問題にかか
つていると思います。そういうことにつきましても、大体のところにおきましては目下
見通し等もいたしまして、いろいろ
検討いたしておりますが、具体的にはやはり
各省から
予算の要求がありまして、それを査定した上でないと、はつきりしたことはなかなかできにくいという点がございますので、
大臣も
お話にな
つておりますように、ごく大づかみの見当としましては、目下いろいろ
考えておるわけでありますが、まだ最終的に
所得税や
酒税やほかの税をどのくらい減税し、合理化し得るかという
段階までは実は参
つていないのであります。できますれば
所得税につきましても
基礎控除、
家族控除等を引上げ、さらに
税率等につきましても、
前回の
委員会で御
指摘になりましたような個々の不十分な点を
——相当よく
なつたと思いますが、なお不十分であることは
指摘された
通りでございまして、そういう点につきましては、さらに一層合理的なものにかえるように努めたい、このように
考えております。
なお
物品税、
酒税その他の
税率につきましても、とにかく
相当高い
税率でございますことは、皆さんからたびたび御
指摘を受けておる
通りでございますから、これも
財政事情等をにらみ合せまして、できる限り合理的な
軽減をはかるように努めたい、こういうふうに
考えております。かような問題につきましては具体的に
資料が集まりまして話がつきますのは、おそらく
大分あとの方じやないかと思
つております。私
どもできるだけ材料をとりそろえまして、
十分検討してもらうつもりでおるのであります。それに関連しまして、朝鮮の事変を
中心にしまして、
日本の
経済の
情勢が若干かわ
つて来ておりますので、そういうような問題が、あるいはある
程度考慮に入れられるのじやないかとも
考えられますが、かようなことにつきましても、極力よく注意いたしておきまして、できるだけ所期の
目的を達成するように持
つて行きたい、このように
考えておるのであります。
それからその他の問題といたしましては、
制度の面におきましても、
細目の点につきましては、やはりもう一歩進んで
検討してもらう問題がありはしないかと思うのであります。なお
前回シヤウプ勧告がありまして、本議会までに実現を見なか
つた事項も
相当ございます。たとえば
社会保障税の
問題等は一応研究はいたしましたが、まだ
実行案として
国会に提出するに至
つておりませんが、その問題をどうするかということが
社会保障計画と相関連しまして、
一つの問題であろうと
考えます。
それから例の株式の
名義書きかえの
問題等につきましても、一応株価の
情勢等にかんがみまして、
一般経済界に著しく影響を與えるような
措置は見送ることにいたしておるのでありますが、そのような問題につきましてもどうするかという問題につきましては、やはり
検討をする必要があるのじやないかと
考えております。
それから
税務代理士の
制度等につきましても、いろいろ研究いたしましたが、成案を得るに至りませんので、御
審議を煩わしていないのでありますが、こういう問題につきまして、もう一応
検討しましてはつきりした案を立てるようにして参りたい、かように
考えております。なおそういう問題がいろいろございます。
それから各税の中におきましても、
細目の問題はいろいろあろうかと思いますが、私はやはり一番大きな問題は、
税務の
執行面に実はあるのではないか。ことに
申告所得税、
申告納税を
中心にしまして、今度の
税制の
改正で
申告納税制度をいかにすればうまく行くようになるかということについて、いろいろ
制度面の
改革を御
承知の
通りいたした次第であります。
青色申告の
制度、前年の
実績による
制度、
協議団の
制度、その他
税法の上におきましても微細の点にわたりまして合理化なり、
民主化等につきましても妥当なる
改正をはかるというようなことにして、いろいろ
改正を加えて来たわけであります。この
運用の
改善ということはなかなかむずかしい問題でありまして、そのことにつきましてはたびたび
委員会等におきましても御
指摘を受けておる
通り、なかなか一がいに
制度の
改正と違いまして、簡單に行かない問題であると思います。何といたしましても、この
運用がうまく行くように努めなければ、結局
制度の
改正ができましても、いつまでた
つても
租税の紛争の問題が絶えないということになりますから、こういう
申告納税制度の合理的な運営という問題と関連しまして、これが
改善をはかるためには、どういうふうにすべきかとい
つたような問題につきましても、今後さらに立ち入
つた検討を加えて参りたいというふうに
考えております。
理想としましては、たびたび申しておりますように、
申告納税制度でありまするから、
更正決定について実は個別的によく調べて、調べた人についてだけ
更正決定をやる、それで
相当の
收入を上げ得る、こういうところに行かなければ、
ほんとうの
理想ではないのでありまして、外形的な
調査等でやむを得ず
一定期間までに
決定をはかりまして、そうして
收入を確保するというような
措置は、実は
申告納税制度の本旨から申しますると、やややむを得ない
措置としてや
つておるわけであります。将来の
理想としましては、やはりよく調べて、調べた人についてよく
事前に話合うと同時に、
更正決定をや
つて行く。それによりまして、円滑に
納税をはか
つて行く。ただ、今の
状況では遺憾ながらそういう
方法をやりますると、
收入は
申告の高さが非常に低いために、なかなかうまく行かないという
事情がありまして、今年からはやはり
申告制度においては、前年の
実績によるという
制度を採用いたしております。
経済界の
事情も大分おちついて来ておりますので、今までほど急いで
年度末までに、ある
程度の
調査で
更正決定をや
つて片づけてしまうというような行き方をする
納税が、どつちかというと、今後は若干少くなるのではないか。そうな
つて来ますとやはり丁寧に調べまして、
更正決定等も愼重にやる。一方
納税者につきましても、
税法の普及なり、
申告の
指導等を十分にいたしまして、
申告で
相当な
税額を納めるようにする。
理想を申しますと、私はやはり
申告納税制度というものは、少くとも徴收すべき人聞から申しますと七、八割、
税額から行きましても八、九割
程度は
申告で納まる。
あとの二、三割を
税務署でよく調べて
決定をする。
税額としましても、それによ
つて比較的少くて済む。こういうふうに行くのが将来の
理想であるというふうに
考えておるわけであります。はたしてどうすれば、そういうふうに行き得るか。それからそういうことにつきまして、いかなる対策を講ずべきかという問題につきましては、
委員会等の真劍に御討議にな
つております
事項を
十分考慮に入れまして、今後どうするかという問題は、これは私
どもよほど
検討に値する問題であると
考えておるのであります。このような
運用面の
改善、それに関連した
制度の
改正というような問題は、やはり
一つの大きな問題として
十分検討に値する問題ではないか、このように
考えております。
それから
地方税の問題につきましても、
地方財政の
実情につきまして、やはりよく
検討を加えるということは必要でないかと私
ども考えております。一般的に
地方財政が最近まで非常に窮迫して来たということは事実であります。必ずしも一律でないようでありまして、ところと場所、
団体によ
つて相当違うようでありますが、その辺の事実をよく把握いたしまして、
地方財政制度につきましてもさらに若干の補正を加える必要があるかどうか、このような問題についてもなおよく
検討する必要がある、かように
考えておるわけであります。かようないろいろの問題につきまして、できる限り私
ども勉強をいたしまして、
日本の
実情によく即しまして、
租税問題は非常に皆様に御迷惑をかけておる点がございますから、かようなことが
あまりなくして、スムースに
相当の
税收が入り得るような
方向に一刻も早く行くには、どうすればよいかというような点、これが一番の
中心にな
つておりますが、かような点につきまして一段と
検討を加えまして、よりよき
租税制度及び
租税の
運用ができますように、勉強して行きたいと
考えておるわけでございます。
なお
細目はいろいろございますが、一応それだけ
お話をしておいて、
あと質問に応じてお答えいたしたいと思います。