○武藤(嘉)
委員 たいへんできるだけ御尽力願
つておることは、感謝しなければならぬ点であろうと思いますが、しかしよく掘り下げてみますと、事ここに至つた原因は税の比率が非常に高いということであります。それからまた同時に、大蔵省の当事者は非常にお
考えに
なつていらつしやいますが、どうも最高幹部においては理解がないのか、統計上酒は非常に例年通り出ておるのであるからよいのではなかろうかということで、実際はただいま
お話の通りに売掛に
なつて、回收が非常に遅れておるというようなことをお気づきにならないで、ただ数字の上の売上げだけをおとりに
なつて減税問題その他に対して熱意がないように聞いておるのでありますが、ぜひ部長におかれてはこの際積極的に上司に働きかけて、一日も早く根本問題であり、拔本的政策である減税の方へ持
つて行
つてもらいたいと思います。なおこの
機会に
金融の面も非常に御努力願
つておることは、今申します通りまことに感謝いたしておるのでありますが、酒税に対する大蔵省の方針が、近ごろ多少占領治下であるからかもしれませんが、かわ
つて来ましたので、これがどうもぐらついて来ておるので、問題が起
つておるのではないかと思います。元来比率の非常に高い酒税を扱われておりますので、私
どもの
考えでは、独占というと悪いのでありますが、半專売に近いような形態の業態であるのであります。それが一面自由経済、放任経済、こういうことがうたわれて、酒も同じように放任経済であるかのごとき観をやや呈しておりますので、これに錯覚を起されまして、いかにもこれも自由経済でよかろう、こういうことに
なつて来るようでありますが、実際に自由経済であれば、今までこんなに全国に清酒において約一万、合成酒において、しようちゆうというような面から申しますと百もあるようなたくさんの業者があるはずがありません。もしほんとうに自由経済で超資本主義時代であれば、全国の
会社が五つか六つに併合さるべき運命ではないかと思います。それにはいろいろ技術の面において集中生産の行われない面があります。ことに清酒においてはしかりでありますので、そういう事情でここまで来ておる。従
つて大蔵省の従来の方針というものは、なるほど自由経済でないからいけないという点もあるかもしれませんが、非常に独占的であ
つて、何と申しますか、親心をも
つて業者をかわいが
つておる。何というかパトロナイズすることが盛んである。ところが最近は今の自由主義の勢いで、大企業でもどんどんこれを小企業とも同等に競争させる、こういうことであれば、全国の七千あるいは一万の清酒業者の過半
——おそらく残るものはわずかに数軒でありまして、大部分はこれで一応倒産するようなことになりはしないかということを、私は第一に憂慮するのであります。そういたしますると、その結果しからば全国の五社か六社かの業者によ
つてその運行ができるかというと、これはできないのでありまして、現在全国津々浦々にあるから最近まで配給は円滑に行
つておる。これがもし全国五社か三社に
なつて、たとえばビールの製造
会社のごとく、三社なら三社ということに限定されて来ましたならば、おそらく配給面においては非常に支障を来すのではなかろうかと思うのであります。のみならず、はたしてかようなるウルトラ・キヤピタリズムというようなものが出現することがいいことであるかどうかは、現在独占禁止反対の強い時代において、私はこれは当然
考えていただかなければならぬ問題であると思う。こういう点から、大蔵省は従来もや
つて来たところの親心主義を、ぜひともこの際積極的にや
つていただきたいのであ
つて、自由主義の風に吹かれて、これに幻惑と申しますか、錯覚を起されまして、大きいものは大いに伸ばすのがよろしい、小さいものはつぶしてもよろしいという弱肉強食のような方向に持
つて行
つていただかないで、ほかのところはよろしいが、酒税は税の比率が売価の七、八割を占めておるのですから、ぜひともこの方針は過去以上に強化されてもらいたいと思いまするが、部長の御方針はどうでございまするか。