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1950-07-24 第8回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十四日(月曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 大上  司君 理事 奧村又十郎君    理事 小山 長規君 理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       鹿野 彦吉君    川野 芳滿君       佐久間 徹君    高間 松吉君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    武藤 嘉一君       内藤 友明君    宮腰 喜助君       高田 富之君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君         大蔵事務官         (国税庁総務部         長)      正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁総務部         徴收課長)   田所 正幸君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      松田 文藏君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 七月二十二日  委員島村一郎君辞任につき、その補欠として佐  久間徹君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 七月二十二日  謄写版用加工原紙に対する物品税免除請願  (大野伴睦紹介)(第一六四号)  釣用具類に対する物品税減免請願池見茂隆  君紹介)(第一六五号)  旧軍都転換特別措置に関する請願池見茂隆君  紹介)(第一六六号)  同(江崎真澄紹介)(第二〇七号)  観音崎国際観光ホテル建設に米国対日援助見返  資金融資請願永井要造紹介)(第一六七  号)  北村山郡北部に葉たばこ收納取扱所及び尾花沢  販売所設置請願志田義信紹介)(第一六  八号)  勤労学生所得一定額学資金として非課税  とする請願成田知巳紹介)(第一六九号)  揮発油税軽減に関する請願圓谷光衞紹介)  (第一七〇号)  同(天野公義紹介)(第一七一号)  同(大澤嘉平治紹介)(第一七二号)  同外十六件(小淵光平紹介)(第一七三号)  同(黒澤富次郎紹介)(第二四九号)  同(星島二君紹介)(第二五〇号)  同(藤井平治紹介)(第二五一号)  同(大西禎夫紹介)(第二五二号)  同(田中重彌君紹介)(第二五三号)  同(片岡伊三郎紹介)(第二五四号)  同(佐伯宗義紹介)(第二五五号)  同(早川崇紹介)(第二五六号)  同(飛嶋繁紹介)(第二五七号)  同外一件(西村直己紹介)(第二五八号)  同外三件(今村長太郎紹介)(第二五九号)  酒税引下げに関する請願早川崇君外二名紹  介)(第一七四号)  同(渡邊良夫君外一名紹介)(第一七五号)  同(石原圓吉紹介)(第一七六号)  同(田中角榮君外二名紹介)(第一七七号)  同(塚田十一郎君外二名紹介)(第一七八号)  同(奧村又十郎紹介)(第一七九号)  同(松野頼三君紹介)(第一八〇号)  同(夏堀源三郎君外一名紹介)(第二六〇号)  同(牧野寛索君外一名紹介)(第二六一号)  同(川崎秀二紹介)(第二六二号)  同(木村俊夫君外一名紹介)(第二六三号)  同(山手滿男紹介)(第二六四号)  同(吉田安君外二名紹介)(第二六五号)  同(天野久君外三名紹介)(第二六六号)  同(千葉三郎君外一名紹介)(第二六七号)  同(並木芳雄紹介)(第二六八号)  同(青柳一郎紹介)(第二六九号)  同外六件(佐伯宗義君外一名紹介)(第二七〇  号)  同(佐藤榮作君外二名紹介)(第二七一号)  同(松本一郎紹介)(第二七二号)  同(龍野喜一郎紹介)(第二七三号)  同(大和田義榮紹介)(第二七四号)  同(小山長規紹介)(第二七五号)  同(瀬戸山三男紹介)(第二七六号)  同(松野頼三君紹介)(第二七七号)  揮発油税撤廃若しくは軽減に関する請願江崎  真澄紹介)(第二〇八号)  碁石及び碁盤に対する物品税免除請願佐藤  重遠君外五名紹介)(第二四七号)  接收資産の再評価時期延期に関する請願(奧村  又十郎紹介)(第二四八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  徴税状況に関する件     —————————————
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 これより会議を開きます。  徴税状況に関する件を議題として質疑を続行いたします。竹村奈良一君。
  3. 竹村奈良一

    竹村委員 国有財産農地拂下げについて質問したいのですが、これは簡潔にするために、大体所等を申し上げたいと思うのであります。所は愛媛県松山市の埴生町でありますが、これは元海軍の吉田浜飛行場用地に一応買い上げるということになつて、買い上げられたのであります。大体関係面積は百五十七町九反三畝二十歩であつて、事実は飛行場に関する用地であるということで、そのまま農地であつたわけであります。ところがこれはそういうふうになつ農地であつて、国に買い上げられたものは、これはもうすでに御承知通りでありますが、つまり旧軍用地の処分については、昭和二十一年の八月十九日の農林省次官通牒や、あるいは大蔵、農林、安本両省の覚書とか、そういう点で大体農林省移管がえして、そうして農地調整法によつてこれを処分する。こういうことに政府の方で決定されておるのにもかかわらず、その所轄出先管財局松山財務部支部では、これを大蔵省が直接そのまま元の旧地主に拂い下げている。こういう事実があるのでありますが、これに対して管財局はどういうふうな見解を持つておられるか、お伺いしたい。
  4. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまの旧軍用地拂下げの問題でございますが、これは原則といたしましては、ただいまお話のように、農耕地として適当と認めるものについては、なるべく農耕地として処理をするということが問題になるわけでありますが、これは必ずしもそういうふうに限つたわけではないのでありまして、また一方におきましては旧所有者にこれを拂い下げるということも、これも一つ考え方であります。大体の場合は旧所有者農地所有者であり、また場合によつて耕作者である場合も多いわけでありますから、そういうふうな扱いをした例もあるかと思うのであります。その場合は大体農地委員会等十分連絡をした上で、そういう措置をしているかと思います。
  5. 竹村奈良一

    竹村委員 ところが遺憾ながらそうではないのです。事実はあの水田でありまして、耕作者が現在いるわけです。従つて地元の農民は、この大蔵省松山管財局決定がされたと伝え聞くや猛烈な反対運動を起して、そうして県の農地部その他に抗議を申し込んだ。これはもつともだ。もつともだが、一応大蔵省は、農林省移管がえされていないから、われわれは手が出ないのだということであります。しかも奇怪なことには、大体これは現実耕作者があつて——耕作者がなかつたら、この問題は旧所有者に拂い下げられても問題はないわけですが、現実耕作者があるということは、現場が水田であるということではつきりしている。ところが拂下げ価格にいたしましても、一旦これは雑種地やあるいは原野、こういうふうに考えて、一反当りわずかに百四十一円という価格に見積つているわけです。しかも耕作者がどんどん反対運動を起して県なんかに陳情するから、現在はこの拂下げ決定して、そうして地主に対して分與するという事務を、一応中止しなければならないような状態に立ち至つたわけであります。こういう点について、もちろん直接それだけの報告が来ているかどうかわかりませんが、今おつしやるように、ときによつてはというのでありますならば、農地調整法との関連において、私は非常に問題が起ると思うのでありますが、こういう場合には一体どうされるか、これをお聞きしたい。
  6. 吉田晴二

    吉田政府委員 ただいまの具体的な点につきましては、実はまだわれわれの方に報告が来ておりませんので、具体的な価格その他については存じていないのでありますが、一般的にそういう場合においては、これはやはり県の農地部でありますとか、関係方面十分連絡した上で、最後の決定をすることになるかと思います。
  7. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは私はこれ以上申しませんが、こういうふうにはつきり申し上げているのでありますから、少くともこの拂下げ価格に対する点が一つ。もう一つ農地調整法を踏みにじられている実情が一つ。こういう点をひとつ至急調査されまして、できるだけ近い機会に、本委員会を通じて回答してもらいたいということを要求して私の質問を打切ります。
  8. 吉田晴二

    吉田政府委員 お言葉の通り調査いたしまして御回答申し上げます。
  9. 奧村又十郎

  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は最初に西川大蔵政務次官にお尋ねいたし、次に国税庁政府委員にお尋ねします。私の考えでは、第五国会、第六国会、第七国会と、ずつと税法に関しまする改革案を研究し、またその案の達成に努力して参りました。前国会すでに通つておるのでありまするが、今回シヤウプ博士がおいでになるにつきまして、わが国の税制に関して、一応体系は整つたと申しながら、部分的には修正を要するところがかなりあると思うのであります。たとえば物品税のごとき、零細工業もしくは農業、水産業等関係のありまする小さいものについては、相当大幅にとりはずすべきものがあると思う。こういう点について、政府は次の国会税制改革試案を出すべく、今日用意があるだろうと思うのでありますが、これに対しまする政務次官の御回答を求めます。
  11. 西川甚五郎

    西川政府委員 お答えいたします。実はこの二十七日にシヤウプ博士が参ります。今のところ来年度七百億ぐらいの減税をしたい、あるいはできれば一千億ぐらいの減税をしたいというような構想を持つておるのでありますが、シヤウプ博士が参りましてから、十分に相談いたしまして、ことに今おつしやいまする物品税の問題は、昨年一応すつかり整理をいたしまして、その後私ども参議院の方において委員をいたした関係上、いろいろ陳情も各方面からいただいております。このうちで物品税の中で真に生活につながるもの、あるいは輸出関係のあるもの、こういうものについてはよほど考慮いたしまして、でき得れば免税点あるいは税率をできるだけ引下げましてやつて行くようにするのが、大蔵省の今の考え方でございます。それだけお答えいたします。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の西川政務次官の御答弁は抽象的でありまするが、ややわが意を得ておると思うのであります。私はもう一歩政務次官につつ込んだことを言いますから、大蔵本省に帰られたら、大臣以下各局長とも相談していただきたいと思います。と申しますのは、およそ物品税のことについては、西川さんもおわかりだろうと思うのでありますが、正当に税金を納めた者と、不正直に物品税を納めないでおりまする者との間におきましては、商取引もしくは市価においては非常な差がある。正直に納めた者は値段が高くて、不正直に脱税いたしておる者は安いということで、正直者がばかを見て、不正直者が得をしておる。こういう段階を今私どもは十分知つておるわけであります。ですからわが自由党といたしましては、物品税の中の奢侈品等はやむを得ないかもしれませんが、日常雑品、ことにわれわれの生活必需品に属するものは、いち早くこれを免税いたして、国民の信頼にこたえるようにやつてもらいたい、かように思うのでありまして、政府といたしましては、必ず最近試案ができ得るものとは思いまするが、この臨時国会が終りましても、また継続いたしまして、本委員会とも連合いたして研究し、もしくは審査する用意があるかどうか、これを承りたい。
  13. 西川甚五郎

    西川政府委員 実はこの物品税の問題でありまするが、これは各税務署物品税を調べますときに、一応材料から何からすつかり載せまして、これだけの物品税が出て来るという調査をいたしておりますが、やはり業者が多いために物品税相当拔けておる分があります。これにつきましては、何か証紙にでもかえたらどうかという案もあるのでありまするが、相当複雑になりまするから、今おつしやいましたように、なるべく生活に直結するものは、物品税をなくして行く方が一番いいのでありますが、今日の税收入の点から見まして、努力はいたしまするが、急速にそれができるかどうかということは、政府といたしましてお答えは申し上げかねます。  それから連続して委員会研究会をやるというお話でありまするが、もちろん委員会から仰せつかれば、いつでも出て参りまして、御相談に乗りたいと申し上げておきます。
  14. 有田二郎

    有田(二)委員 物品税の話が出ましたから、関連してこの点について政府当局の御意見を承つておきます。今三宅委員からもお話がありましたが、物品税については非常に不合理な点が多いのであります。一例をサツカリンにとりましても、サツカリン税金が三千円幾ら、しかもサツカリンやみ値が三千円を割つておるというような現状であります。私が商工省におりましたときも、商工省大蔵省との連絡がうまく行つていない。大蔵省税金さえとればいいのだ、商工省生産さえすればいいのだという態度で、横の連絡一つもとれていない。今の三宅委員のおつしやつた、まじめな者が損をして、ふまじめな者が要領よく世の中を渡るというような問題を招来いたしておるわけであります。これは私はサツカリンの一例を申し上げたのにすぎませんけれども、とにかく所管の他の生産省とよく連絡をとつていただきたい。お酒の場合にもやはり農林省十分連絡をとつて脱税の面をでき得る限り防いで、そうして全体の税收入がとれれば目的を達するわけでありますから、生産省との連繋を十分とつていただきたい。サツカリン税金がたしかキロに対して一万二千円のときに、やみ値が一万円を割つておるのにかかわらず、当時の安本物価局長答弁は、やみ値を三万六千円と国会報告をしておられる。それはいろいろ調べてみますと、約一年ほど前のやみ値調査国会において報告しておるというように、お役人さんが非常にスロー・モーシヨンで、自分の月給がなかなか上らないから、世の中移りかわりについて行けないという観があるのは、私は同情するのでありますが、時代の推移というものをよくお考え願つて、やはりその線に沿うて、大蔵省としても、また関係官庁としても、十分なる御盡力を願いたいと思います。どうかひとつ物品税の問題については、他の省から頼みに来たから聞いてやるという態度でなくして、むしろ積極的に物品税はいかにすべきかという問題を、大蔵省それ自体が解決して行くという真劍な態度が望ましいと思う。結局は予算に盛られた一つの金額をとつて行くということで、成績をあげればいいわけなんですから、その間における弊害を少しでも少くして行くために、十分なる御協力を願いたいと思う。私の要点を申し上げますと、ただいま申しました生産省大蔵省とが積極的に話合いをする。私の方は税金をとればいいのだという行き方でなくして、税金をとると同時に、まじめな者が損をして、ふまじめな者が得をするというようなことが少しでも少くなるようにする。これは脱税をなくするということは、どろぼうをなくするということと一緒でありますから、全部なくしてしまうということは、おそらく不可能なことでありましよう。しかしながら、そういつたものが少しでも少くなつて行く政治をやつていただくことが、われわれの最も念願するところでありますから、この点ひとつ西川政務次官の御答弁を頂戴いたしたいと思います。
  15. 西川甚五郎

    西川政府委員 私も参議院大蔵委員をしておりましたときに、あなた方とほとんど同じ意見でありました。おつしやる通り極力その方向に努力をいたします。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは今度は国税庁長官高橋氏の代理の正示政府委員にお尋ねいたします。物品税のことをもう一つ言いますと、物品税を正直に納めておる者はほとんどないということを、俗に言われておるのでありまして、私は前々国会におきまして、物品税の半分ぐらいは納まらぬだろうということを、想像のもとに質問いたしたのでございますが、業者等のほんとうの意見をガラス張りにやつてみますと、場合によるとそれ以下である。たとえばはなはだしいものは三割とか二割ぐらいしか納まらぬと言つておるのであります。実際事務当局といたしまして、物品税については完璧を期しておるとお考えになつておりますか。それともやはり私と同じようなお考えを持つておられますか。その点を正示政府委員に伺いたい。
  17. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 物品税につきましては先ほどお話がございましたように、前国会相当程度整理合理化が行われたのであります。その結果私どもとしましては、先ほど三宅委員有田委員からの御趣旨によりまして、物品税課税の面につきましては、せつかく国会整理合理化をはかつていただきました点も十分心にとめて、注意をいたしておるのであります。しかしながら先ほどお話がございましたように、なお相当程度税率の高いのがあるのでありまして、これらのものにつきましては、特に戰後の生産業界の相当混乱した状態とも関連がございまして、今日なお完璧に行われておるということはとうてい断言できないと存じます。状態は品目によつて相当違つておると思うのでありますが、税率の高い品物等によりますと、相当程度にいまだ課税が充実しておらない面もありはしないかと考えまして、課税の面につきましては、今後一層努力いたすと同時に、先ほど政務次官からお話がありました通り税率等につきましても一層の合理化が望ましい、かように考えている次第であります。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政府委員の御説明によりまして了承いたしたのでございますが、次の国会はぜひこの物品税に関しまする改廃の国会たらしめたいと私は思つておるのでありまして、本委員会から要求がありましたならば、どうか詳細なる物品税課税状況、あるいは徴收方法についての資料を出していただきたいと思います。  次にお伺いいたします事柄は、やはり高橋国税庁長官代理の正示さんに伺うのでありますが、この前も有田委員からも御説明があつたのでありますが、昭和二十三年までは確かに各国税局に対して割当があつたのであります。二十四年からないということを言われておりましたが、その後私も各地方をまわつてみますと、確かに割当がないということを言つておりますが、事実は各税務署ごと地方国税局に対して、本年の收入もくろみ書を出しておる。たとえば予定申告と申しますか、そういうものを出しておる、こういうことを言い、また各国税局もあなたの言われる国税本庁の方に対して、予定申告といいますか、とれ高の予定を出しておる。もちろん行政面でありますから予想をとることはけつこうでありますが、その予想をつくるにあたつて、はたしてどういう結果によつてつくつておるか。たとえて言うと、末端のものはよく審査をしてつくつておるか、それともぶつかけてやつておるかということについては、あなたはすでに監督しておられると思いますが、いかなる方法をもつてそれをとつておられるか承りたい。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先般も有田委員から、その点につきまして御指摘がありまして、お答えをいたそうと存じましたが、資料提出ということで、お答えを差控えたのであります。これは率直にありのままを申し上げる方が、御理解がいただけると思いますので申し上げますが、御承知のようにシヤウプ勧告にもございますように、二十二年度、二十三年度は、税收確保の面に追われまして、結局目標額指示ということが行われておつたのであります。これは税務行政の、いわば非常措置でございまして、かようなことはわれわれとしては、きわめて排斥すべきやり方であるということは、当時いろいろ御指摘もありましたし、私どももさように信じておつたのであります。そうしてさような措置は、できるだけ早くやめたいという気持を持つてつたわけであります。この措置につきましては、本委員会におきましても、またその他の機会におきましても、たびたび御説明がありましたように、本来の趣旨とするところは、いわゆる割当ではなくて、單なる、何と申しますか、税務行政面のバランスというようなことに、本来の意図があつたのでありまするが、それから本来の意図を逸脱して濫用され、あるいは弊害を生じたということにつきましては、先ほど申しましたように、この点を率直に認めまして、できる限り早く廃止をいたしたい、こういう気持参つてつたのであります。たまたま昭和二十四年度すなわち前年度でございますが、国税庁が六月一日に発足をいたしまして、税務行政面の改善ということについて、国会でもいろいろと御忠告をいただき、われわれとしても非常な決意をもつて臨んだわけであります。年度当初からの目標指示ということは絶対にいたさない。ただ、これまたシヤウプ勧告の中にも明らかにしておられるのでありますが、昭和二十四年度はたびたび局長会議部長会議等において、各局から自発的に、先ほど指摘のような見積りというものを出さしておる。これは勧告にもはつきり書かれております。これに対して、われわれは実に神経質になるほど注意をいたしたのであります。きようは関係者一同参つてはおりますが、ちよつとこちらが、あなたの方の見積りが少いとかいうようなことを言いますと、これが第一線に対して非常な影響を及ぼすということについては、十分承知いたしておりますので、局長会議部長会議等において、見積りが出たような場合におきましては、きわめて神経質に、本庁としての意見は、これに対して具体的には申さない。しからばこれはどういう結果になるかというと、各局はほかの局の見積り十分参考に見る機会がある、こういう程度のことでございまして、いわば上から下への指示という形にはならないように、結果的にそういうことになつては、これはシヤウプ勧告にもありましたように、また非常な弊害が生ずるという点に特に注意をいたしまして、局長会議部長会議等におきましては、本庁としては十分注意をいたして参りました。そこで各局見積りを出すような場合でございますが、これはもとより管内の税務署から、やはり同じような方式で見積りをとつてつたのであります。さような際におきましては、先ほど申した本庁会議におけるような注意を、各局においても十分拂つて参るように指導して参つてつたのでありまして、先ほど申しましたような見積り提出に際して、それに伴う弊害を結果的に生じないということについては、非常な注意をいたして参つたのであります。しかしながら有田委員からも、先般御注意もありましたし、また三宅委員のおつしやられましたように、二十二、二十三と、両年度にわたつて目標指示が、一つの、何と申しましようか、惰性をつくつてつたような結果になつてつたのではないか。この点につきましては、機会あるごとに注意を加えて参りましたが、單なる見積りを部内限りのものとして、さような拘束力を持つべきではないのでありますが、さように誤解があつたようなことがあれば、これは私どもとしてはせつかく努力をしたが、努力の成果がまだ十分でないという点があつたかと存じます。これらの点につきましては、すでにシヤウプ勧告にもございますように、所得税制度を理想的に運用して行くために、目標指示はもとより、單なる見積りを自発的に出させるということも、これはとるべきことではないということをはつきり指摘されております。二十五年度以降はこの線を強調いたしまして、先ほど申しましたように、單に惰性的に多少の弊害が残つておるとすれば、さらに一段の努力によりまして、これを拂拭して参りたい、かように考えておる次第であります。
  20. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 三宅委員の御質疑に関連して、委員長からちよつと簡單に質問をいたしたいと思います。三宅委員の御質疑は、いわゆる割当額というふうな制度がいまだにあるやに思うが、あるかないか、そういう御質問のように感じましたが、その御答弁に対して、政府委員からはそういうことはないというふうな、否定的な御答弁でありましたが、この際お伺いしたいことは、本年の四月に大蔵委員が各地方に対して国政調査をやりましたときに、各税務署長から大蔵委員長あてに報告書が参つております。その報告書の記載によりますと、たとえば報告書の三十七ページには、大阪国税局管内の東成税務署長はその記載の中で、特に本税務署国税局よりの指示額の約九○%に相当する金額を、確定申告額といたしております。割合としては本署が最高であり、この点も注目すべき点であると思われる、こういうふうに出ております。同じく報告書の五十七ページを見ますると、上京の税務署長の報告書には、同じく国税局の参考指示額に対する決定額の割合は約八○%である、こういうふうになつて報告がそれぞれ出ておるところを見ますると、参考指示額という言葉ではあるが、実際はかなり強制的であつて、これによつて税務署の徴税がかなり強制せられ、あるいは左右せられるというふうに考えられるのでありますが、この点についてはかかる事実があるかないか、重ねて明白に御答弁を煩わしたいと思います。
  21. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま委員長から、重ねての本委員会の国政調査の結果に対する御質問でございます。先ほども私申しましたように、二十二年、二十三年の両年度にわたりまして、指示額という制度を行いまして、これがつい一つの惰性的な考え方を生じておつたということを、私は先ほども申したのであります。その辺が実は税務署から出しました書類の上に、つい不注意に現われておるのであります。これは正直なところであります。私どもは不注意にさようなことが現われたということの最も重大な点は、さような心組みであるということが、課税にむりを生ずるということになりますので、その点につきましては、先ほど申しましたように、本省の会議におきましても、局の署長会議におきましても、ほんとうに神経質に、そういう影響の生じないようにという配慮をいたして参つた、こういうことを実は申し上げたのであります。おそらくただいま御指摘のように、上京の署長が、参考指示額——参考という言葉を入れたのは、ややその影響が出ておる。こういうふうに正直に御理解願うのが私自然であろうかと存じます。なお東成の署長の報告につきましては、これはまつたく不注意でありまして、さような点につきましてはその都度注意をしておつたのであります。先ほど申しましたように、今までわれわれ努力をいたしましたが、完璧ではなかつた。今後におきましてはシヤウプ博士の御指摘の線に沿いまして、かような残滓的な影響をも拂拭して参りたい、かようにわれわれはせつかく決意しておるわけであります。この点につきましては、委員各位におかれましても、どうぞ今後の御監視を賜わり、また御指導をいただきたいと思います。
  22. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 まだ率直な御答弁とは思えません。これは特に昨年度の徴税成績がはなはだ悪い。滯納千二百億に達するということに対する一つの大きな原因でないか。税務署長がこの参考指示額によつて、むりに徴税をしいられるということが、この滯納の一つの大きな原因でないか、こういうことに考えられますので、なお重ねて私は御答弁を願いたいと思いますが、また別の機会に讓ることにいたしまして、私の質疑はここで保留いたします。
  23. 有田二郎

    有田(二)委員 この問題については、先般材料を請求しておきましたが、材料がありません。御存じの通り民主党の北村氏が大蔵大臣のときに、塚田委員からの質問に対して、当時そういう見積り予算というようなものはない、そういつた参考的なものは出していない、かような答弁大蔵委員会でなさつておられるのであります。そうして今また正示君のお話がありましたけれども、こういうようなことをいくら繰返してみても現実あるのです。しかも公文書となつてはつきり現われて来ておるし、われわれが地方国税局へ参りましたときに、やはり割当が多いので、何とか割当を少くしてもらわないと困りますということを、国税局の部長連中から耳にしておるわけです。ですから二十二年度、二十三年度といいますと、北村大蔵大臣のときで、北村大蔵大臣は、あなた方税務関係の方から、言つてもらつたら困ると言われたので、おそらくそういう答弁をしたのでありましようけれども、絶対にそういう指示がないということは当らない。大阪の東成についても、たしか十億六千万円、かように私は聞いておるのでございますけれども、とにかく各税務署に現在も現実にそういうふうなものが行つておるのです。行つておることがいいとか悪いとかいう問題は別にして、今委員長代理からお話があつたように、滯納が非常に多いというようなことについては、この税金決定の仕方がむりであつたことは、おそらく国税庁としても痛感なさつておられると思います。むしろわれわれはそれによつて責任を追究してどうこうという考えを持つておるのではなくして、今日の税務署と被徴税者との問のいろいろなトラブルなり対立を少しでも緩和して、そうしてなごやかに納税のできるような方向に、われわれ進めて行きたい。しかも若手の税務吏員の中には、まじめな方がたくさんおられるけれども、非常によくない方もおられる。そのために被納税者が非常に困つておるというような事態も、たくさんあるのであります。しかも私は先般要求しました資料を頂戴いたしておるのでありますけれども各局の税務吏員の非行が多いという点から考えまして、いずれこの点については、後日あらためて質疑をいたしますが、むしろ正示名総務部長におかれましては、ひとつ大蔵当局とよく御相談して、この際ぶちまけて、そういうものがあるのだ、あるのだけれども、これに対しては、今度シヤウプ氏がお越しになつたら、その線に沿うてこれからはそういう方向で進んで行きたい、かようなお話をなさつた方が——本委員会ではおそらくこのために硬化して、国税庁と対立すると思う。少くとも私は対立する覚悟を持つておる。ですからむしろそんなことよりも、打割つた話をして、実はこういうことがあつたんだ。あつたけれども、これからはシヤウプ氏と相談して、こういうような線で行く、また大蔵委員会の御協力を得て、こういう方向に進んで行きたい、かような話合いの方がいいのじやないか。しかも国政調査に基いて、東成税務署と、京都の税務署からのはつきりした答弁があるにもかかわらず、なおそういうようなものがありませんという、頭を隠してしり隠さずというようなことは、本委員会は了承できぬ。さらに正示名総務部長の御答弁をお願いいたします。
  24. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 重ねての御質疑でございますが、実は私も先ほど来申し上げておりますように、惰性ということが、そういう一つ考え方を残し、その考え方から指示はしなかつたのでありますが、参考の見積り書というふうなものに対して、署なら署の署長あるいは署員の受取り方が、結果的に見るとさような指示を受けたような印象を持つてつて、ことに国会の議員の方々の御調査の際に、そういうような答え方をいたし、また書類として出しておつた。従いまして私がここで指示をしたかしないかということについてはしなかつた。これは天地神明に違つてうそではないのであります。お前は指示しないと言つたが、結果としては同じじやないか、国政調査に対する回答の中にもそういう考え方が残つておるのじやないか、そういう御議論ならば、その不十分な点は今後ますます努力をいたしまして、さような弊害をさらに一掃して参りたいと考えております。またこういう影響が残つてつたがために、ただいまも有田委員からお話のように、一部職員の間に不正事件を誘発し、あるいはむりな課税が行われておつたというような点も、これは事実として認めざるを得ないと思います。先般の滯納整理につきましてはここで申し上げたのでありますが、そのときの基本線にはさような影響も残つておるということを考慮に入れまして、課税のむりな点については謙虚に率直に反省して参るということを、前提として立てておるような次第でございますので、さような点で御了承をいただきたいと存じます。
  25. 有田二郎

    有田(二)委員 ここで総務部長さんから、私は天地神明に誓つてさようなことはないという答弁を頂戴して、非常に意を強くするのであります。近く国税庁の長官がアメリカからお帰りになつたときには、全国の国税局長が東京にお集まりになり、全国の国税局長を本委員会に呼び出して、そうして全部をひとつ調べ上げる。さらに全国の税務署長を本委員会に呼び出して、このことに対して命令を聞かなかつた局長並びに所轄署長に対して断固たる処置をとつて、この際行政整理にもなることですからやめさせるよう、この点を私は委員長に特に要望しておきます。国税庁の総務部長としては、天地神明に誓つてさようなことはないと言われる。しかるに地方においてそういう事実があるとすれば、国税庁は浮き上つてしまつておる。これはほとんど地方分権で、地方でかつて税金とつたり、かつてなことをやつておるようにわれわれは考えるのであります。近く行われる国税局長会議には、全員を本委員会に出頭させて、この問題についての今の総務部長の御返事に対してかつてなことをしたものは、この際辞表を提出させてやめさせるというような方向に、本委員会も御努力あらんことを委員長にお願いいたします。
  26. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して……。ただいま有田委員から質問された問題でありますが、正示総務部長の御答弁を非常に奇異に感ずるのであります。むしろそういうように計画的に徴税されることは、私は少くとも現在の段階においてはよいのではないか。やつておることをもつと大胆率直に述べられる方が、むしろ国税庁当局が、現実の事態をよく把握しておるということにもなると思いますので、有田君はその問題に対する今後の本委員会としての処置を留保せられておるのでありますが、私はもつとこの問題を明らかにしなければならぬと思います。計画的に徴税してもらいたいということを私が申し上げるのは、ほかでもございませんが、最近非常に引上げ超過になつて来ておる。滯納整理等が相当残つてつても、国の年度内のいろいろの予算の執行にさしつかえないというこの嚴然たる事実が、いかに計画的な徴税でなく、最近はどんどん税金をとつておるかということの裏づけになるだろうと思います。滯納が年度にまたがつて、おそらく一千億あるいは突破するかもしれないだけのものを残しておつて、その年度の徴税を見込んだところの予算の遂行が完全に遂行されて、しかもなお大蔵当局には相当財政的な資金の余裕を持つて、次の年度に行けるというのが現実の財政状態だろうと思う。それはなぜかといえば、最近は追加決定がひんぴんと出て来ておる。これは税法に従つて、何年前であろうと、所得のあつたことがわかつたら、税務署はとつてさしつかえないのだ、こういう態度で二十二年度、二十一年度にさかのぼつてどんどん取立てておる。そういうようなものがあるから、少くとも二十四年度所得の問題については、これはまだ滯納その他の関係につきましても予算の遂行にさしつかえないどころか、年度をまたがつて相当の余裕金を政府が持越したままで臨んでおる、こういう現実が現われて来ておる。私はむしろ政府当局が主張するように、二十四年度においても補正予算において相当減税をやる、二十五年度もやる、こういうようになつて来ておるなら、国の必要なものだけを税金で取上げるということにすべきで、現在のように明らかにデフレの状態にあるときの形から見ますならば、インフレ状態のときに幾らか産業資金なり設備なり、そういうようなものがリザーブされておるものまでも、最近何か隠密みないな形で国税庁当局が取立てるということこそ、私は考えなければならぬと思う。最近のように全体のわくが減税という形において、政府の言うように非常に圧縮されておるものだとすれば、そのわく内において、計画的に余裕を残した形において徴税されることは、私はむしろやるべきことだと思うのです。ところがそういうことが実際にやられずに、今本委員会の国政調査によつて明らかなように、各税務署ごとに、これは今総務部長が天地神明に誓つて、そういう指示をしたことはないという点は、私も一応信用いたします。しかし各税務署ごとに、それはどこから、あるいは局の段階から出したものであるかどうか知りませんけれども、各税務署がそれぞれ目標額を持つておる。これは私は事実だと思う。われわれもそういう折衝に参りますと、これに対して何十パーセント、こう言つてパーセンテージをわれわれに見せる。国税庁と本省との間に直接的なつながりがないということは、今の総務部長の答弁でわかつたわけでありますが、私は一応そういう各税務署が持つておる目標額から考えれば、現在の税金というものは、大体二十四年度徴收予定を持つてつたものにどれだけ上まわるかということ、それももちろん聞きたいと思う。それが最近のいわゆる引上げ超過である。ものすごい隠密的な形における徴税の強行という形になつて現われて来ておると思う。そういう点から私は総務部長に重ねて伺いたい。私はむしろそういう従来の、これは税法によつて所得のあるところは完全にとつてしまうのだという、そういう考え方、これもシヤウプ勧告案の方針の一つだそうでありますが、それと、今までやつて来ておるところのいわゆる割当課税というものがからんでおるところに、問題の重大性があると思うのでありますが、この点に関する正示政府委員の御所見を伺いたいと思います。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 田中委員から御指摘の点は、事態が非常に困難になつておる。先ほど申し上げたような弊害がそこから出て来ておるという一つの分析として、私は非常に傾聽に価すると思います。建前といたしましては、われわれはどこまでも税法に従いまして課税する、こういう建前で進むべきでありまして、この点につきましては疑いがないと存じます。ただ調査が不十分であつた。あるいは記帳が十分行われていない。課税標準の把握ということはなかなか困難でございますが、そこに税法通りとるという單純な原理で終始すべきものが、非常に複雑な様相を呈して参るわけでありまして、この点税務行政の困難性がそこから出て来るわけであります。その点については私もさように考えます。そこで計画課税といいますか、計画徴税というふうなことが必要ではないかという議論でございますが、この点につきましては、根本的な計画はやはり国会におかれていろいろ御審議になり、予算税法が総合的に国会において定められるわけでありまして、われわれはその基本的な線に沿つて、なお実行計画をつくるということになるわけでありますが、その際見積りをとつてそれを指示するということが、すなわち先ほどお話になりました目標指示として二十二、二十三年に行われ、それが本来の意図を逸脱し、結果的に非常にバイプロダクトの結果があつた、これが非常な弊害を生じた、こういうことであろうと存じます。そこで私は二十二、二十三年に行われましたような目標指示ということも、二十四年度はつきりとこれを廃し、單なる見積りを徴するにしましても、これを上から下に流すということは、極力神経質にさような印象を與えることすらも避けて来た、こういうことを申し上げたのでありまして、いわば計画徴税といいますか、それは基本的な問題であり、この目標指示するということは、きわめて末梢的な問題であるのでありまして、最後をその指示ということに持つて来ると、非常な弊害があるということなのであります。われわれはその弊害の面を避けておるのでありますが、これをさらに一層将来においてははつきりといたしたい、残滓的な影響も除去して参りたいということを、先ほど来申し上げておるのであります。ただこれは主税局長から御答弁つた方が適当かと存じますが、国庫收支を時期的に計画的にいたして、国民経済に対する財政の影響というものをできるだけなだらかに、また適時適正に持つて参るということは、もとより非常に大切なことと存ずるのであります。この点はいわば大蔵本省において、基本的にいろいろと考えておられることであります。しかしながら根本はどこまでも先ほど申し上げましたように、税法によつて課税いたすのでありますから、われわれとしては税法の各納期ごとに、税目別にどのくらいの收入が上るかというふうなごとを、本省の先ほど申した基本計画を樹立する際に国税庁としての分担を出して、そういつたことを総合的に織り込んだ資金の時期的收支計画、こういうものが本省及び安本あたりにおいてつくられておるということであろうと思います。しかしながらそれらと指示ということは全然別なのでありまして、われわれとしてはその指示という形は絶対に避けて参りたい、こういうことを実は申し上げておるのであります。なお六月末一千百三十九億になつておりますが、この厖大な滯納の原因として、今まで行われて来た指示というふうなことで、課税にむりがあるのじやないかという点につきましては、先ほど申しましたように、私は一部にそういう影響が残つておるということは否定できないと思いますので、今後においてこれらの点につきましてはなお努力を要する、かように考えております。
  28. 大上司

    ○大上委員 ただいま奧村委員長からお話がありましたが、その当時私も立会つたのでありますが、報告書と聞いたことと完全に一致しておると思います。なお有田委員から正示総務部長にお話がありましたが、これを完全に否定しておられましたので、私はお尋ねいたしたいことがあります。まずそこに当時の国税局の松田総務部長がお見えになつております。なおその当時の直税部長の村山さんが所得税課長として、政府説明員としてお見えになつておりますが、前々国会におきましてこれは速記にも載せておきましたが、いわゆる昨年の更正決定の二倍、または三倍を必ず申告せよという、非常に脅迫的な通知が出ておつた。これを本委員会で取上げまして、そのまま主税局長答弁で留保しておきましたが、これはいわばわれわれが第六国会ででつち上げたところの税法と、全然違う旧法であります。その当時そういうふうな資料が行つておる。しかもこれはどつちかと申しますと、いわゆる指示目標と申しますか、あるいは努力目標というか、いろいろとその当時の説明局長からそういう表現で聞いたと思いますが、これが各納税者に対して、当初の決定の、大きいのは七割、八割ときめて来い。しかも各税務署ごとに大阪国税局管内においては違つておる。また人々のパーセンテージも違つております。これはわれわれの考えといたしましては、今言つた努力目標、あるいは指示目標から流れたところの、地方の直税部長のおとりになつ一つの行政措置とは思いますが、これと関連性があると思いますので、ひとつ説明願いたいと思います。
  29. 村山達雄

    ○村山説明員 ただいまの御質疑にお答え申し上げます。昨年度において目標指示額等があつたかないかについては、総務部長の御答弁がございましたので省略いたしますが、ただいまの申告額について税務署がいろいろある目安を示した。それと指示額と関係があるかというお尋ねと思いますが、私はないと思つております。少くとも国税庁におきましてはそういう指導はやりません。しかし考えられますのは、たしかこの前の国会のときにも御質疑があつたと思いますが、予定申告の際の、いわゆる期待倍数という言葉で表わされておる、こういう表現であります。これは上半期におきまして各業種ごとに調べました統計数字がございます。念のために申しておきますと、二十三年度におきまして納税者を実調いたしましたのは、遺憾ながら一〇%弱であります。昨度年は非常に努力して参りまして、約二〇%近くの実調をやつたのであります。しかし爾後の八〇%につきましては、それをもとにして、いろいろな外形的な標準とか、そういつたものから推定せざるを得ない状態にあつた。しかしそれにもかかわらず、もし税務署の見込額に対して不当に低いと思う場合には、税法の規定に従つて仮更正決定なり、本更正決定なりをせざるを得ない、そういう立場になる次第であります。そこでいろいろそういう実調の結果をもととして、各納税者の個人調査を大体二回やつたのであります。一人々々の者につきまして見込みを立てたときに、税務署の現在の段階ではこのような調査になつておる、従つてもしそれよりも低い場合においては、遺憾ながら更正決定をせざるを得ないということを、念のために御通知したわけでございます。もちろんこちらでもつてお知らせした金額よりも、ごくわずか低いという場合には、あえて更正決定はやつておりません。それは何といつてもそういつた不確定な作業でありますので……。しかしどう考えても、常識から考えてこんなに低いはずがないというものに対しては、更正決定をやつておるわけであります。確定申告につきましては、国税庁においてもすでに調査は完了しておりますので、期待倍数というようなことは特に作業としてはやつておりません。しかし個々の税務署で、いろいろ自分のところで一年間やつた結果、そうやつた方が非常に納税者の方に結果として親切になるんだということで、やつておるようなところもあるようであります。私の知つておるある例でも、大体調査額がきまつたときにあらかじめ知らしておるようであります。そうして税務署としては、それ以下の場合にはどうしても更生決定をせざるを得ない。更正決定をいたしますと、追徴税の二割五分が自動的に働きまして、それが納税者に本税のほかに非常に重い負担になりまして、二十二年、二十三年に非常に御迷惑がかかつ         たという事例もありますので、そういつた見地からお知らせするわけであります。従いましてただいまの御質問に対しましては、指示額といわゆる申告指導のラインの数字は、無関係であるということを申し上げておきます。
  30. 大上司

    ○大上委員 ただいまの説明でわかつたようなわからぬようですが、結局は目安、目標、あるいは非常に低額なものについては法律上更正決定をするから、あらかじめそのようなことのないようにしてくれというふうに、私は受取つたのでありますが、受取つた納税者としては明らかに脅迫と考えます。同時にこれを役所へ持つて行きますと、現実に私が当つたのですが、国会議員が悪いのだ、あなた方がそういう税法をきめるから悪いのだ、こういうお説である。なお今次の予定申告においても当然そういうことが出て来る。われわれは税法上のいわゆる法律上のものは全然責任を負うけれども、前国会においても申し上げました通り、いわゆる事務規程、内務規程その他のものはわれわれはわからないのです。だからこの全資料を出してくれなかつたら、第六国会においては所得税法案その他の法案をあげることはできないと言つたが、最後に高橋長官が持つて来たのは、いわゆる公報だけであつたのであります。われわれも時間がないので疎漏でありまして、これは国民に対して陳謝いたします。けれども今のお説のようなお話では私はちよつと納得できない。なぜならば、これを整理してみますと、いわゆる期待倍数を、あるいは目安というものをつけ、あるいは見込みが低いと言つて、なお努力目標、あるいは標準目標といいますか、言葉こそ非常に違つており、おつしやる表現方法は違つておりますが、指示があつたように考えます。現実割当てがあつたように考えます。これは大きな問題であります。なぜならば最後の末端におきまして、われわれ国会議員のいわゆる疎漏であつたということを納税者におつしやる以上、われわれはどこまでも責任をとらなければならない、このように考えるわけですが、従つて最後にとりまとめまして、結局期待倍数と、目安と、努力目標あるいは標準目標と申しますか、どれだけの違いがあるのか、その点を一点、今度は正示総務部長にお尋ねして一応関連質問を打切ります。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど来だんだんお話がございましたが、ただいま大上委員からの御質問の点につきましては、村山直税部代理お答えした通りであります。指示というのは、結局先ほど申しましたように、二十二年度、二十三年度に、当時は主税局でありますが、主税局、財務局、税務署、この三つの税務機関の問に上から下へ指示されておつた、こういう関係があつたということは確かでありまして、二十四年度にはこれがなかつたということを申し上げておるわけです。そこで期待倍数でございますが、これは先ほど村山君からお話申し上げましたように、税務署として極力予定申告の段階までに調査をいたすのでありますが、これはなかなか全部の調査はできませんし、できるだけ納税者の方々に、先ほど話のありましたような追徴税とか、そういう不利な結果にならぬように念を押す、御注意を申し上げる、こういう考え方で——期待倍数という言葉は私は非常に不適当だと思います。むしろこちらの一つ調査に基くお知らせをする場合の数字、こういう考え方で、各署におきまして管内の業態別にある程度の調べをする。その調べから類推せられるところによりますと、大体納税者のAならA、BならBという方は、予定申告の段階においてこの程度申告をされるということであれば、先ほど申し上げた更正決定が避けられる、こういう数字を税務署において調べた結果、税務署の責任において一応お知らせしたのであります。従つて上から下への関係は全然ございません。もつぱら税務署における調査に基くお知らせの数字である、かように御了解願いたいと考えます。努力目標というのは、先ほど申しました指示額について、当時いろいろこれが弊害があつたのでありまして、そういう際にどういう趣旨で流したのかという一つ説明の表現であつたのであります。税務署として努力する目標として指示されたのである。こういうことをあとで御説明したときに、そういう一つ趣旨の、あるいは目的の面を説明した表現であつたと存じます。これがなお、先ほどお話のありますように、あとに糸を引いておつた、そういう考え方から、つい單なる見積り努力目標というふうに誤解し、あるいはそういうふうな影響を持たしておつた点があつたのではないかという点は、先ほど来御指摘通りであります。この点については先ほど答弁申し上げた通りであります。  なおこのほか参考とか、いろいろの言葉を使つております。これはとりもなおさず、先ほど申し上げました上から下に流した指示ということが、非常に強い拘束力を持つてつたかのごとく受取られましたので、そうではない、これはむしろ参考程度にというふうな説明のために、そういう言葉ができておつたかと存じます。二十四年度の、局に署から出しました自発的な見積り、あるいは局が本庁に出しました單なる見積りというものは、われわれとしてはきわめて参考の意味で見ただけでありまして、それをもとにして上から下への指示は絶対にない、こういうことを先ほど来申し上げておるのであります。一応区別につきまして御説明申し上げます。
  32. 大上司

    ○大上委員 ただいまの区別の説明はわかりましたが、それでは関連してお尋ねいたします。いわゆる指示目標について税務署の責任において云々という言葉がありましたが、あるいはそれは自発的にいわゆる目標といい、あるいは皆さんの上級官庁の方へ提示される。その場合に一番問題となる点は、いやしくも直税課長、しかも大阪市内における直税課長が——私はその際に各署長、奧村委員、並びにその当時の社会党の川合議員がおられましたが、あなた方は管内における一人当りの国民所得額は御存じですか。それがわからなかつたならば、メリヤス業者、あるいは洗濯業者、あるいは呉服業者のその管内々々において特殊事情があります。一例を申し上げますと、一つの燃料費におきましても、北海道の燃料費と大阪の燃料費は違う、かかる意味において、おおまかでよいけれども、あなたの管内における業種別の、あるいはこれを割つた国民一人当りの所得がおわかりですかと言つたら、全然そんなことはわからない。それでは何をもとにして課税なさるのですか。その場合に、実額並びに権衡調査ということがあつたが、それは下がやつて、あなたが総体的なことをにらんでおられるのであつて、かかるものが一律平等に来た場合には、これは危險だと思う。これがわれわれの言う、役所に割当てて来ているのと違うか。メリヤス業者に一千万円と来たならば、それを各業者割当てるのと違うか。こういう質問をいたしましたところが、それはわからぬけれども、大体けつをつかんでばらばらにわけるのだ、こういうお話であつた。その当時の記録を持つておりますし、現在もまだ直税課長をしております。なお東、北その他主要の直税課長に会いましたが、結局その管内の国民所得をつかんでおらない。ということは自信がない。自信がないということは、さいぜん申しました指示目標というか、努力目標というか、期待倍数というか、国税庁並びに国税局指示せられたものに必然的に動いているんじやないか。理論的に私はそう考えます。従つてこの問題は、後ほど同僚の有田委員が留保せられておりましたが、高橋長官が帰られまして、国税局並びに税務署長会合の上で、その記録をもつて質問を留保しておくという立場だけにしておきます。  それからその直税課長において国民所得額がわからないのを、将来どのような方法をもつて教育なさるか、どのような方法をもつて、われわれがきめた税法が適切に国民に適用せられるか、この二点を伺います。
  33. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 国税庁から詳細なことはお答えになるかもしれませんが、大分重大な問題につきまして、御意見がたびたび繰返されておるようでございますから、私からも一言御参考までに申し上げておきたいと思います。  目標の制度につきましては、たびたび国会におきましても御討議を煩わしたわけでありますが、実は御承知通り昭和二十二年度におきまして税の徴收が非常におもしろくない。しかも経済情勢が激変を続けつつありまして、インフレは加速度的に進展する。そのまま行きますと、おそらくますますはげしくなるのではないかというようなことからしまして、たしか私主税局長になる直前であつたかと思いますが、一種の努力目標額を示しまして、それで税務官庁に努力してもらう、こういうことになりましたのが、いわゆる努力目標としての指示額であります。これは二十二年度、二十三年度におきましては、前から申し上げましたように、やむを得ざる施策としていたして来たわけですが、もともと理論的に考えますと、税金というのは、まつたく税法に従つてのみ徴收すべきものでありまして、一体納税者との関係におきましては、税法が実は唯一の税務官吏の根拠でありまして、それ以外に納税者に対してりくつをつけたり、あるいは何かするような理由は一つもないわけです。所得のある各納税者ごとに收入を調べまして、それに基きまして所得税法で計算して税金を納めてもらうし、税務署もまたそれを調べて徴税する。これだけでありまして、それ以上のことはすべてよけいなことになるわけですが、今申し上げましたように、経済界は激変いたしますし、税の徴收は悪い。ほつておきますと、大きく申しますと、かえつて非常に不均衡を生ずる。そういうような点から、緊急事態に対するやむを得ざる方策といたしまして私どもこういうことは決して好ましいこととしてやつたわけではございませんが、やむを得ずやつたわけでございます。従いまして、それに対する功罪はおのずからいろいろな議論があるものと思いますが、やはりこういうのは、非常なピンチの場合の緊急事態としては、やむを得なかつたということも言い得るかと思います。しかし税法の本来の運用から言いますと、邪道の邪道であります。なるべく早くこういう事態をなくするようにするのが、行政府として努力しなければならないことであると考えますし、また一面税法全体の合理化をはかりまして、それによつてこのような必要をなくするようにする。同時に経済につきましても、混乱から安定へ行きまして、そのような変な措置をとる必要はないように持つて行くというのが、国税の行くべき道じやないかと考えるわけであります。そうしまして二十四年度は、税法といたしましては、御承知通り非常に重い税金でありますが、事態も前と比べますと大分よくなつておりますし、先ほど正示部長も言いましたように、弊害の面がむしろ多く現われて参るというようなところからいたしまして、私どもも関知しておる一員でありますが、国税庁において国税局目標額指示するということはやめておるものと、私は了解しておつたわけであります。ただやはり一応見込みをつけるだけにしまして、その見込みをとるということによつて、結果におきましてそういつたような惰性に流されまして、非常にそれにとらわれてしまう。これは実際問題として、やはり御指摘のように相当あつたんじやないかと思います。従つてこれに対しましては、私どもも将来はさらに反省して考えて行かなくちやならないのではないか。幸いに、所得税その他も、先般の改正で大分合理化せられておるのであります。まだ負担は相当重いのですが、しかし前と比べますと、国会の御審議を経まして成立しました税法によると、よほどよくなつております。事態もまた御承知通り、一時に比べますと混乱の度も減つて参つております。こういうことになりますと、やはりこれは常態に復しまして、政府の行政というものも一種の権道から正道にかえるべき時代に、だんだんなつて来つつあるんじやないか。そういう点から見ますと、見込み自体をとるということに対しましても将来は反省を加えて、そういうような弊害を除きまして、最初に申し上げましたように、税金というものは、要するに税法によつて各個人がそれぞれ納めるものである。また税務官庁も各個人ごとに必要ならばよく調べて更正決定をやる。納税者ももちろん税法の規定に従つて、自分で所得を計算して納める。こういうような行き方に一刻も早く行くべきものじやないかと考えております。しからば今年から飛躍的になり得るかというお尋ねでありますと、やはり今までの状況から行きまして、そこまで言い切るのは言い過ぎかと思いますが、相当そういうような方向に行き得る事態になるのじやないか。少くとも行政官庁としましては、そういう方向に努力すべきものだと思います。過去のいろいろな点につきましては、役所といたしまして反省材料は山ほどございます。委員の方たちの御鞭撻なり御叱正をいただきまして、行政の改善と、税法の一層の合理化に向いまして努力してみたい、このように考えておる次第であります。
  34. 有田二郎

    有田(二)委員 関連して……。反省する点が多々あるとおつしやつておられますが、主税局長やあるいは国税庁の最高幹部の方々は、あるいはそういう気持を持つておられるが、地方国税局なり税務署の末端の方々は、ほとんど反省どころでなく、ますます悪くなつておる。村川所得税課長が大阪の直税部長時代だつたと思いますが、一例を申し上げますと、大阪で産婆さんの税金について、私が当時陳情に参つたことがございます。産婆さんというのはやみがないのです。赤ちやんが生れると、必ず区役所なり保健所に届け出て、どの産婆さんが一年に幾人扱つたかということははつきりいたしておる。しかるにその税金は東の税務署では三百円、西の税務署では千円、福島の税務署は八百円、生野の税務署は七百円、一人の赤ちやんを扱うところの一人の産婆さんの税金が、三百円、千円、八百円、七百円——、五百円、六百円というのもありますけれども、そういうふうに非常に違つておる。西区と東区というのはひつついておる。西区の赤ちやんが特別大きい、また特別長いことかかつて生れて来るというのなら別でありますが、西区の赤ちやんも東区の赤ちやんも大体十箇月で生れて来る。しかるに西区の赤ちやんが千円で、東区の赤ちやんが三百円、しかも西の税務署へ産婆さんが陳情に行くと、お前たちは医者と結託して堕胎でもうけておるから、そのような税金が拂えないことはないと言う。福島の税務署に行くと、あなた方は、拂えなかつたら二号さんになつて、旦那から金をもらつてつたらよい。こういうような失礼千万なことを言う。時の責任者の直税部長が村山さん。従つて私はその点をつつ込んだ。なぜこうなつたか。つまり当時はやみ華やかなりしころで、東の区では相当大きな会社がやみでもうけておる。従つて大きなところにぽんぽん持つてつて、残つたのが少くなつたから赤ちやんが三百円、西は焼野原だから、結局そういう大きなやみ会社ができなかつたために、赤ちやんが千円、こういう不合理千万な現実の事実がある。これは一例でありますが、おそらく各委員ともいろいろな調べを持つていると思うので、これからゆつくり大蔵当局と御懇談を申し上げて——單に国税庁とか主税局長さんだけをいじめたところで何にもならぬ。全国の税務署長なり国税局長なり、あるいは場合によつては一税務吏員の行動まで、一々この本委員会にひつぱつてゆつくり料理したい、かような考えを持つておりますから、できるだけ御考慮願います。
  35. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほどから目標額指示したとか、しないとか、そういう問題についていろいろ御説明つておるのでございますが、しかし事実は末端におきましては実際において割当をもらつておる。徴税に当る人が事実そう言うておる。しかも二十四年度の滯納整理等にあたりましては、実に無謀きわまることをやつておる。しかもそれに対していろいろ納税者が、そういうことはむだじやないかと言いますと、それは国会できめたじやないか、それはお前らが選挙した国会議員に言つて来い、こういうふうに言つておる。こういう問題については、これはわれわれが指示したのではない。しかしそういう誤りを犯しているような感じを受けたかもしれないというだけでは、問題は解決しない。それだけでははなはだ国会議員も迷惑である。われわれは決してそういう無謀な徴税をやれということをきめたわけではない。ところがそういうことを現実にやられておる。たとえば東京都のどまん中で行われておる。台東区においてたとえば吉竹博信というような大蔵省事務官が行つて、千円くらいの滯納に対して、一万円も一万五千円もするようなものを差押えて、しかも奥さんが泣いて何とか近所で借りて来るからと言うたけれども、おれは国会できめた命令によつて差押えに来た、こう言つて差押えをした。こういうような現実に対して、しかも一方においては商売がつぶれてもよいというような差押えをしておる。しかもそれが国会できまつたのだという名前のもとにやられておる。こういうことについて国民がもし不当な圧迫と損害を受けた場合、大蔵省は一体どういうふうな責任を持たれるのか。もちろんそれは正当な手続に従つて、損害賠償を訴えてくれたらいいとおつしやいますけれども、大きな会社は別ですが、個人ではそういうものを相手にして訴訟するほどの力もない。その場合この損害に対して、大蔵省は一体どういうふうな処置を考えておられるか、どういうふうな責任を果されるか、明確にしていただきたい。
  36. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 目標指示につきましては、先ほど来各委員お答えいたした通りであります。今後とも努力の余地のあるということは私どもも率直に認めておりますので、御了承いただきたいと思います。  滯納処分の際の滯納税額不相応のものを差押えるということは、嚴に戒めておるわけでありまして、さようなことがありますれば、個々のケースにつきましてまず職員の責任ということを、われわれとしては追究したいと存じます。御承知のように国税庁発足以来、事務の監督につきましては監督官、職員の身分上の監察につきましては監察官制度を、本庁直属で特設いたしたのでありまして、さような場合におきましては、とかく税務署なり国税局におきまして、自分の局なり署の職員につきまして、いわゆる同僚についていろいろ調べるということになると、ついかばうという非難がございますので、監察官は長官直属にいたしておりまして、これを各地の署なり局に派遣いたしまして、さような事例がございますればこれを調査し、職員に対する責任を嚴重に追究いたしておるのでございます。なおただいま御指摘のように、納税者の方が不当なる損害を受けたというようなことにつきましては、その事案を調べまして、ただいま申しましたように責任者を明らかにすると同時に、必要ある場合には納税者の宅に臨みまして、善後措置を講ずることもございます。本来の筋としてはさようなことによつて大体解決していただきまして、なお不服のある場合には、法律に従つて訴訟を起すというようなことにいたしております。
  37. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは重ねてもう一つお伺いしておきますが、そういう場合には相当な処分をする。それでは私はそういう事例をずいぶん多く持つておる。これは百くらい持つておるのですが、そういうような場合においては、一つ一つ実際の事例をあげてあなたの方へ申し出ますと、その署員は責任を持つて首にする、こういうふうにおつしやるのですか。首にすると言つたつて問題の軽重があるでしようが、実際の問題において、たとえばこういう例がある。九千円の更正決定を十日前によこして一回も督促せずに、十日後には令状を持つて来ずに世帶道具を全部押えて、なお不足だというので家財道具も押えておる。しかも警察官を連れて来て、トラツクで品物を引上げて公売しておる。あすから商売もできないというような事例もある。そういうような実際において不当なことをやつておる場合には、これは口だけでなしに、はつきり責任をとらすかどうか。とらすとおつしやつておりますけれども、事実がそうであるならば、これは実際とつてもらわないと、国会議員も非常に迷惑だ。商売をぶつつぶしてまで税金をとれということはきめてない。自由党の諸君だつてそうだと思う。そういう不当なことをやつておる者は必ず免職するということを、はつきりお答えしてもらいたい。
  38. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 職員の紀律を嚴正にするということにつきましてはまつたく同感であります。ただ免職だけが行政処分ではないのでありまして、公務員法に従いましていろいろな処分の態様がございます。事案を調べまして、その非行にちようど合つた程度の懲戒処分にするということにいたしたいと存じます。なおあわせて申し上げますが、国会においておきめになりますのは法律であり予算であるのでありまして、それ以下の執行手続き等につきましては、それぞれわれわれの方で定めておるわけであります。それらの点について、一切国会のきめたものであるというふうなことは絶対に避くべきことである。その責任の限界につきましても十分部下を督励して参りたいと思います。  それからまた先ほど申し忘れましたが、監督官、監察官制度のほかに、本庁及び各局に苦情相談所というところをつくつて、とかく税務署は近寄りがたい所であるというような一般の印象があるようでございますので、そうではない。ぜひともただいま御指摘のようなケースについては、納税者自身が苦情相談所にでもお持ちくださつて、きわめて気軽にこういうことがあるが、これについてはどうかというように教えてくださいますれば、私どもとしても苦情相談所において、できるだけ丁寧にいたすようにいたしておるのであります。あわせてつけ加えてお答えといたします。
  39. 小山長規

    小山委員 今の最初の指示目標の問題から移りまして、滯納処分の問題になつたのでありますが、また追つてこれを議題にしてやることにいたしますけれども、ちよつと関連して政府の行政処置として伺つておきたいことがある。と申しますのは、指示にいたしましても滯納の差押えにいたしましても、国税庁あるいは主税局長はこういうことになつておるはずだと言つておられますが、納税者各人にはその通知が行つていない。それで今後そういうむちやな執行をしないようにするためには、行政官自身がこの問題については良心的に確信を持つておるということでやらせるために、税務署が納税者に対して呼出しをするときには必ず責任者の名前を出しておく。それから執行する場合には執行に来た人の名前を必ず出すと同時に、これに対して苦情があります場合には、監督官もおりますし、監察官もおります、あるいは苦情処理機関もありますということを印刷にして出すようにしていただけば、この問題はおのずから解決すると思いますが、その御用意がありますか。これをこの際関連してお何いしたいのであります。
  40. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま小山委員からの御指摘は、まことに剴切な点をお突きになつたのでありまして、シヤウプ勧告にも、どうもとかく従来の税務行政がうまく行つていないのは、税務に関する宣伝、広報活動が不十分であるという点を指摘されております。国税庁はその点を考えまして、広報課というものを特設いたしまして、できる限り税法なり税法に基く命令その他の点につきまして、納税者の方に周知徹底をはかつておるわけであります。もとより非常に困難な問題ではありますが、相当努力いたしておると存じます。なおただいまのような点につきましては、監督官、監察官あるいは苦情相談所につきましても、広報課においてできるだけ周知をはかつたのでありますが、いまだ十分周知されておらぬようにも存じておりますので、機会あるごとにパンフレツトなり、あるいは新聞広告なり、また新聞記事なりラジオのニユース、あらゆるメデイアを動員いたしまして税務に関する周知徹底方について努力して参りたいと考えております。なお税務に関する周知徹底上、当委員会委員各位にはまことに御協力を賜わつておりますので、先ほど来各委員からもお話がございますように、国会の開期中であるといなとを問わず、常に緊密に御連絡を申し上げて、また各地における納税者のいわば代表として、十分われわれの方の計画その他についても周知を願いまして、これを納税者の一般に周知徹底方をおはかり願うように御協力くださいますれば、まことに好都合かと思つております。
  41. 小山長規

    小山委員 私が申し上げたのは、一般の納税者にそういうことを周知徹底することはもとよりのことでありますが、そういうふうな一般的なことではなしに、問題は要するに呼び出された納税者あるいは執行を受けた納税者である。この納税者が不平たらたらでおることに非常な問題があるのであります。また同時に執行官なり税務署の署員も、自分に確信のないことをやつておる。全然納税者の所得もつかんでいない。そういう確信のないことをやつておることからこの問題は生ずるのでありますから、税務署の官吏も確信を持つたことをやる。それから納税者もそれに対してはどこにでも訴えるところがあるということを知らせる意味において、通知が行くときには、一つの文句をつければよいのでありますから、これに対して御苦情があるならば、こういうところに訴えてくれということを一つ一つ書いて、その当該納税者がすぐ見られるようにしておけば、こういうような問題はおそらく半年か一年のうちには絶えてしまう。たとえば先ほど竹村君が言われたような事例があつた場合に、私の執行方法が不当だと思つたならば監察官制度がある、あるいは監督官制度があるからそれに訴えてくれ、その他いろいろな問題があるときに、その執行をする人がこういう方法もあるのだ、たとえば現在の刑事訴訟法であなた方を調べますが、不利なことは言わなくてもよろしいのでありますということを一々前もつてつておくように、税務署の署員も自分自身確信のあることをやるという建前ならば、そういうことをやられていいと思う。たとえば税務署が呼び出して、呼び出したのにやつて来たら、だれもいなかつたというようなことがないようにするためには、呼出しについての確信があるように、私はこういう者であります、せつかく貴重な時間をつぶしておいでになつたときに、私がいないようなことがあつたら、私の態度が悪いのだから監督官に通知してくれ。こういうふうに本人が一々責任をもつてやるようにしておけば、納税者の苦情あるいは税務署に対する苦情というものは、おのずから時間がたつにつれてなくなると思うのでありますから、そういうように一つ一つのケースについて税務署の署員が、私がその責任者であるということを書いた書類を出す。それから同時に不当な差押えその他について、もし御苦情があれば、私の態度が悪いというならば監督官もあります、監察官もありますというような書類を先方に示してやる。こういうような御用意はないかということをお聞きいたします。
  42. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどお答えが少し不十分でありました。納税者の方に通知を差上げるような場合、あるいは正式の書類を差上げるような場合には、ただいまのところ、原則として係官の名前を示すというふうに指導いたしておるわけであります。現に差押え等の場合には係官の名前を示しておると思います。なおまた税務署においでのような場合にも、担当係官がだれであつたかということが、納税者の方があとでおわかりにならぬという御意見もございましたので、その点につきましてもできるだけこの問題は、名前を一般の納税者の方にわかりやすく掲示をするような指導もいたしておるわけであります。さらに個々のケースの場合に税務署員が責任をもつて事を整理する以上、そのことについて御不服があるような場合には、こうだということを示すべきであるという御意見は、まことにごもつともだと思います。今後もそういう方法によつて指導して行きたい。やはり職員の素質ということが一番大切でありますので、われわれとしては、先ほど申し上げましたような監察官制度以外に、職員の教養、訓練を向上させることに最大の努力をいたしておるのであります。先般来、試験で新しいものを採用し、また講習所において講習も強化いたし、何と申しましても帰するところは、一人々々の職員が責任をもつて事を処理するということが、一番大事だろうと思いますので、御指摘のようなあらゆる手段を講じまして、責任の所在を明確にし、納税者のいわゆる不要な不満というものを解消して行くように、努力して参りたいと思うのであります。
  43. 奧村又十郎

    奧村委員長代理 これにて休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  44. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  徴税状況に関する件を議題として質疑を続行いたします。三宅則義君。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は午前中に引続いて質疑を行いたいと存じます。関連質問が多かつたためにあらためてただいまから申し上げます。つきましては国税庁長官代理示政府委員並びに主税局長平田敬一郎氏、その両政府委員にお尋ねいたしたいのですが、まず正示政府委員にお尋ねいたしたいと思います。  私が第五国会以来常に大蔵委員として要求いたしますることは、徴税方法等につきまして私の調査によりますると、割合若い官吏が重要な役割を演じておるのでありまして、たとえて申しますと昨年の四月のごときは浦和の税務署事件が起きて、私も衆議院の視察団の一員として参つたのでありますが、二十歳の青年官吏が徴收に当つてつて、二重取りをいたしたという例があります。最近わが愛知県の西尾税務署におきましても、直税課員が八名も検察当局に検挙せられたという事件があつたのでありますが、政府といたしましては徴税に対しましては、そういう弱体な経験の足りないチンピラ青年にまかせるということでなしに、もつと常識もあり経験もある親切に取扱う徴收官吏を採用してもらいたいと思いまするが、今も全国的に見まして正示政府委員はどういうふうに考えておられますか、その点を伺いたいと思います。
  46. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。御指摘のように税務官吏の年齢が非常に若い者が多いのであります。この点は毎国会におきましても、いろいろと税務行政の不備なるために、御迷惑をかけておる点を御指摘になつておるのでありますが、その最も重要な原因は、お話のように終戰後税額が急激に膨脹いたしましたために、課税を行います税務職員を、ある程度拙速主義で採用いたしました結果が、今日のような事態の原因になつておると考えるのであります。御指摘のように徴收に当る者が非常に年が若い。そのためについでき心で、せつかく納税者の方が粒々辛苦された税を、正当に納付の手続をとつておらぬ、横領しておるというふうな事例がございまして、これらの点につきましては、それぞれ処置を講じておるのでありますが、問題はかような事態を未然に防止するごとく、それぞれの重要な仕事はそれにふさわしい年齢の者、ふさわしい教養なり、品性を持つた者を充てるべきであるという御趣旨には、私はまつたく同感でございます。実は昨年行政整理をいたしました際にも、平素これらの点につきましては十分調査をいたしておりまして、まずさような不適格な者から整理をいたしたのであります。なおまたその後も午前中も申し上げましたような監察官制度を非常に強化いたしまして、不届きな行為のありましたものにつきましては、それぞれ処分を講じておるような次第であります。しかしこれは消極的対策でございまして、積極的な対策といたしましては、私どもは現在の職員の教養訓練を高めるとともに、今後は先ほど指摘のような非常な若年者を多く擁しているような事態を、一日も早く是正をいたしたいという見地から、新規に採用いたしますものにつきましては、一定の年齢の制限、一定の学業を修めたものという制限をつけまして、なおまたこれに対して厳重な試験を行つておるのであります。ちようど昨年の十一月に第一回の試験をいたしたのでありますが、最近もまた調査官及び徴收官について採用試験を行つたのであります。徴收官につきましては御指摘のように従来非常に若い者が多いので、今回は満二十五歳以上のもので、原則として大学または高專、その他大体これと同等の学識経験を持つ者というふうなことで募集いたしましたところ、幸い非常に優秀な多数の人材が応募されましたので、近く徴收官として新しく各局に配置する予定になつております。お話のように私どもとしては一定の年齢、一定の経験、一定の教養というものがどうしても必要でありまして、そういうものを具備されたりつぱな人材を政府部内に吸收したい、こういう方針でやつております。なお愛知県の税務署についてのお話につきましては、実はただいま調査をいたしておりますが、今後の検察当局の処断とも十分にらみ合せまして、必要な行政処分を行いたい、かように考えております。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 午前中、各委員からの質疑に対しまして政府の御答弁がありましたが、私が昨年から本年に至りますまでに国政調査をいたしました際におきまして、各税務署ごとにやると大体において平均年齢が二十三歳ないし二十四歳、経験年数は二箇年半もしくは三箇年、こういう状況でありましたが、その後正示政府委員の御説明によりまして、多少年齢もしくは経験につきまして向上と言いますか、経験を経ましたものになりましようか。その辺をひとつ承るとともに、昨年の調査によりますと、先ほど村山説明員もお答えなつたようでありますが、納税者のうち農業所得者を含めた者は一人で一千百件を決定し、商工業者を含めた者は一人で大体五、六百件を決定しておつたと思うのであります。かようなことであつて、実際の調査をやるものは、先ほど村山説明員もお答えになりましたように、一〇%ないし二〇%以内でありまして、あとの八〇%というものは見込み決定もしくは帳簿台帳決定、こういうものが出ておるのでありまして、はなはだ不謹愼きわまるものがあると思いますから、本年はもう少し実調をたくさんおやりになる用意があるかどうかということが一つ。     〔委員長退席、苫米地(英)委員長代理着席〕 もう一つは、愛知県の碧南附近は、私どもの郷里といたしましてことに土器、かわらというものは全国一であります。ところがその値段というものは、かわらにおきましても二十四年一月一日は十四円何がしであつたものが、年末には八円に下落しております。こういうものになりますると、六割ないしは八割の減額ということになるわけでありますから、こういうものについてはよほど親切な態度をもつて申告もさせ、また決定をしなければならぬと思うのでありますが、一様に二十二、三歳の若い青年がやつて参りまして、お前さんのところは昨年よりも下げてはいかぬ、こういうことでつつ返しておるのであります。これは、私ども国会において政府委員と応答したところと相反すると思うのでありまして、この間におきまして、あらためて正示国税庁長官代理にお伺いするのでありますが、かようなことは愛知県だけではありません。各府県におきましてもこういう事例があると思います。最近各地方国税局長を招集せられて会議があるそうでありますが、そのときにぜひ各局長に対しまして、あまりむりがないように実情を調査して、しかるのちに決定せよということを嚴重に言渡してもらいたいと思いますが、正示政府委員の責任ある御答弁を承りたい。
  48. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。先ほど申しましたように、新規にとりますものは徴收官は満二十五歳、それから先般税法が改正になりまして、新しく協議官という官職が設けられました。これは特に経験、常識というものが豊富な者をとりたい、こういう趣旨から、主として協議官の候補者としては満三十五歳以上の者、こういうことで試験をいたします。これまた幸いにして相当優秀な応募者がございまして、近く正式に発令になるわけであります。かように新規に一定の年齢以上の者を募集いたしましたので、これらの方々が発令になりますると、私は平均年齢は必ず上ると思います。実はただいま採用手続中でありますので、現職者の方は去年申し上げましたよりも、少し若い者が整理された面が出ておるかと思いますが、一応新規に採用されました満三十五歳あるいは満二十五歳以上の者が入りますると、ある程度平均年齢は上るものと考えております。その発令がまだございませんので、これを加味した平均年齢という調べはまだいたしておりませんが、大体上るものと考えております。  それから御指摘のように若い署員がとかく実情を無視してやるという御非難は、実はたびたび伺つておるのであります。私どもも率直にある程度年功を積み、経験を積み、また一般の知識、経験というものがございますると、納税者の方に応待をいたします場合にも、おのずから態度に現われて来るものと確信をいたします。しかるにとかくそういう経験なり常識なりが備わつておりませんと、いきなりりくつに走りまして、権力をかさに着て一方的なやり方をやる。そのために非常に不必要に感情を刺激し、またいわゆる強権的に押えつけるような態度に出るという御非難が多いのである、かように考えております。それらの点につきましては、先ほど申しましたように、根本的には素質を改善するということで対処いたしておるのでありますが、また他面現在の部下につきまして各局長においても十分戒める、こういうふうに指示をいたしておるのであります。  なお税務行政を根本的に改善し、刷新して参りますためには、三宅委員のおつしやられましたように、いわゆる権衡課税というものを、できるだけやめてもらうということが理想であることは、私もまつたく同感であります。この点についてはシヤウプ博士勧告の中にも指摘されておるのでありまして、われわれは先般の国会において相当程度に——この所得税もまだ十分とは参りませんが、従来に比べれば相当程度に負担が軽減され、合理化されておるわけであります。納税者の数もある程度今度は減るのであります。こういう機会に実額調査をさらに拡充いたしまして、二十四年度は約二〇%程度まで行つておりまするが、これを飛躍的に増加して参ることがどうしても必要であると考えております。他面青色申告制度が新しく設けられまして、この制度を一方においては育成強化し、なおまた御承知のような予定申告の法定化ということが行われております。これまた実額調査のために、税務職員が去年よりも、より一層多くの時間を活用できるわけであります。そこで納税者の方々に記帳をできるだけやつていただく。青色申告をしていただく方も、しからざる方も、できるだけ記帳をやつていただく。これがまた調査の上に非常な便益になるわけでございますから、それらの各般の施策を相互に最大限度に活用することによりまして、個々の納税者の実情を調べました上で課税するという、いわゆる所得税制度の大理想に向つてさらに一層実現をはかつて参りたい、かように考えておるわけであります。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員 今、正示政府委員の御答弁によりまして大略わかつたのでありますが、私と正示政府委員との質問応答そのものを、ぜひ各国税局長にお伝えを願いたい。先ほどお話によりますと、国税局長会議が最近にあるということでありますが、そのときにはぜひわれわれ大蔵委員も列席して、先ほど有田委員も申されましたように、その旨を伝達したい。あなたを信用しないわけではありませんが、ほんとうに心を打割つて懇談したいと思います。今申しました碧南税務署のように、若い税務吏員によつて圧制的に申告をやらされるということのないように、最も民主的に、自主的にやられるようにしていただきたい。昨年の例によりますと、二十四年一月一日の値段より、二十四年の十二月三十一日の値段がたいへん下つた場合におきましては、その所得の申告については減額して申告してよろしい、こういうことが本国会で言われておる。ところが末端に行くととんだ間違いでありまして、そんなことはない。何でもかんでも昨年通りにしなければならないといつて、強要して歩いておりますが、私どもは、もう少しく実情を把握せられて課税の対象とせられるよう、嚴重に各国税局長にお示しを願いたい。  次にお尋ね申し上げたいと思いますのは、青色申告が非常に強調せられるわけでありますが、なかなかむずかしいのでありまして、この事柄は前国会でも私は言つているのであります。農山村もしくは農漁村におきましては、割合に簡單な現金出納もしくは銀行帳の程度でいいと思います。このくらいの簡單な制度によつて、商工業者もしくは農民等につきましては、今までのような規則づくめの六冊も七冊もあるような帳面でなくして、売つたつた、いわゆる仕入れ販売、現金出納帳、銀行帳くらいをもつてきめるというような青色申告書を、前の政府委員はとると言つておられますが、今正示政府委員はどう考えておられるか、承りたいと思います。
  50. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 青色申告制度に対する私どもの基本的な方針は、ただいま三宅委員がおつしやられましたように、これを育成助長して参る。最初のうちはどうしてもむずかしいということで、個人の営業者なり、農民の方々はとつつきにくいというような印象を、非常に持つておられるように承知いたしております。ぜひともこれは最初のところを何とかして——いわゆる食いつきにくいところがありますが、思い切つてつていただきまして、そしてだんだん理想的な形に持つて行きたいと考えております。極端な例でときどき納税者の方々に御説明いたしておるのでありますが、おばあさんが小さなあめ屋、菓子屋なんかをやつておられるような場合に、鉛筆で毎日の金銭の出入りを書いておく。それが全然間違いなく書いておられるというようなときは、どうしても税務署はそれを認めざるを得ない、こういうことになろうかと思うのであります。その際複式簿記の原理がどうであつたかということは、むしろ二の次の問題でありまして、まずもつて正直な記帳、正しい記帳ということが先決條件であると考えておるのであります。もとより納税者によりますと、最初から相当高級な複式簿記の原理によつて、やつていただける方もあろうと思いますが、これをすべての方に求めるというきことは不可能でございますので、その納税者の方の実情をよく調べまして、いわゆる誠実な、正確な記帳ということに重点を置きまして入つていただきましたら、これをだんだん育成助長して行くという方針で、やつて参りたいと考えておるのであります。お話のように、これはやはり青一色に塗りつぶして行くようにするのが理想なのでありますが、いつまでたつてもお互いに両方川を隔てて呼び合つているのではいけないのでありまして、どつちかで近づいて行つて手を握ることが必要である。その意味におきまして、基本的には誠実正確なる記帳、その方法についてはこちらで十分相談し指導して参る、こういうような考え方を持つて行きたいと考えているのであります。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは昨年もずつと私言つたことでございまするが、今の正示政府委員お話によりまして、協議団とおつしやいましたが、この協議団につきましては問題があると思います。私の最初の観点は、各地区に一人ないし二人の所得調査委員があつたわけでありますが、これが戰争中になくなりました。所得調査委員とは別個に、各市町村に十五名くらいの財務調査団を置けということを、前から言つているのでありますが、これは今回の改正によつて置かぬということにいたされました。ところが国税局に協議団を置いて、民間出身者を二人、税務官吏出身者一人、合計三人を協議団員とする、こういう構想を池田国務大臣は御答弁になつたのでありますが、私はむしろ実際面から考えまして、国税局に置くだけでは物足りないと考えます。随時随所に各税務署にこれを配置してと言いますか、派遣いたすと言いますか、もつと簡略に協議団の制度を実行したいと思うのであります。もう一つ重大な問題は、民間の出身者から二名とると言いましても、かつて税務行政に携わつてつた古手官吏を、民間人と称して採用しては断じて相ならぬと思いますが、これに対して政府は今どういう構想をもつてやられておるか。私は純然たる業界の先輩であるとか、あるいは農業協同組合長でありますとか、あるいは各種業種団体の代表者であつたものを、協議団に入れたらよろしいと思いますが、それに対して政府はどういう考えを持つて今後紛争を除去し、税務行政の円滑を期したいと思つておられますか。これに対しまして説明を求めます。
  52. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。協議団制度につきましては、その沿革上往年の所得調査委員制度に類するような、いわゆる公選の委員会制度がいいのではないか、これがより適当ではないかというふうな有力な意見もあつたわけであります。その点につきましてはシヤウプ・ミツシヨンにおきましても十分検討しました結果、今日の協議団制度というものに移りました。この沿革は三宅委員も十分御承知通りでございます。私どもは協議団制度の運用につきましては、この沿革に十分に心を用いなければならぬと考えております。すなわち何といたしましても、わが国の在来からございます調査委員制度にかわるものとして、協議団制度というものが導入されて、そこにいわば新しい形態であるが、その運用については、十分そういう制度にかわつたものとしてできたということについて、注意をしなければならぬと考えているのであります。そこでまず協議団の配置でございますが、これは一応国税庁国税局に置くということに法制の建前はなつております。しかしそれでは実際納税者の方から審査の請求があつたような場合に、納税者の方にもおいでをいただくようなことになるのでありますから、これは非常に御不便が多いかと存じます。そこでただいまのところ、大体各国税局に置きました協議団のうち、管内の県の事情を調べまして、原則として最小限度一県に一箇所、さらにまた非常に広大な都道県になりますか、そういうところにおきましては二箇所あるいは三箇所というふうに、その地域及び交通の状況等を考えまして、県下の税務署のうち適当な所に、一種の支部を置くことを考えているのであります。これはいわば国税局に付置せられました協議団の分室とも言うべきものでございまして、そこに役所が新しくできたという考え方ではないのでありまして、いわば納税者の方との接触の利便を考慮いたしまして、そこに一種の分室的な事務室を置きまして、納税者の方においでをいただくような場合に、もつぱらその利便をはかる、こういう考え方でいるわけであります。  第二に構成の問題でございますが、これにつきましてはただいま三宅委員からお話のように、大体民間の方から会社その他の事業の経験を持たれた方を、先ほど申しました協議官として新しく募集をいたします。ただシヤウプ勧告にもございましたように、いわゆる公選された委員という考え方は、どこまでも排除されておるのでありまして、これは国会におきましても十分御審議をいただいた点でございます。そこで專門の公務員になつていただかなければならぬ。従いまして実はその前歴につきましては、制限は設けておらぬのでありますが、大体われわれの考えておりまするところは、やはり純然たる民間の方々で、いわば常識も相当具備しておられて、專門的な面にも相当経験を積んでおられるというような方々で、今回の協議官の試験に応募された方々が相当あるようであります。これらの方々に試験を受けていただいたわけでございますが、目下大体選考の手続は完了いたしました。近く発令になることになつております。発令の上は、まず一応税務に関する最小限度の知識をつけていただきまして、それから協議官として審査請求の処理に当つていただくという考え方でございます。すなわち構成はあくまでもいわゆる門戸開放主義で、あらゆる階層の方々のうちで試験を受けられた方、こういう方に協議官として新しく就職をいただくという考え方で募集をいたしておる。従いましてお話のように、特に農業なら農業の專門家、あるいは商業なら商業の專門家というふうにして、募集をいたしたのではないのでありますが、大体各階層から応募しておられますから、そういう方々につきましていよいよ採用決定の上は、やはり農業の方の知識経験を持たれたような方に、農家所得の方の協議に携わつていただくということになろうかと存じます。一応採用試験は人事院の規定方式によりまして、一般公開競争試験でやつたのであります。結果はただいまのところまだはつきり出ておらぬのでありますが、そういう方針でやりましたことを申し上げておきます。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員 財産税のことでちよつとお伺いしますが、昭和二十一年でありますか、財産税を物納いたして、家屋あるいは土地を政府に納めてしまつたところで、国税庁ですか、あるいは主税局が怠慢のために登記未了になつておる。してみますると家屋税なり地租なりその他の税金は、物納したにかかわりませず、元の者にかかつて来る。これははなはだ不見識きわまるものと思つておりますが、こういうことは実際政府といたしまして考えておるのかいないのか。国民の不便というものは承知であるのかないのか。これはひとつしつかり聞かなければならぬと思いますが、いかがですか。
  54. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 物納財産不動産の登記が終つていないということは、まつたく私どもとしても遺憾と思います。ひとつ具体的にお教え願えばさつそく処置したいと思いますが、一般的な問題として、さような場合には私どもは具体的な事例を、午前中も申し上げました苦情相談所にでもお持ちいただくとか、あるいは税務署に言つていただきますれば、すぐ処置をいたすように指導いたしております。何の原因か存じませんが、場合によりましたら具体的に伺いますれば、すぐ処置をつけたいと思つております。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 具体的な例を示したいと思いますが、もし政府といたしまして、あまりに不見識きわまることであつて、一方的に解釈せられて、法律論ばかりやつてつては困りますけれども、そういう事例がありました場合におきましては、それは国税局ですか、それとも苦情処理相談所でありますか、どこへ持つて行けばよろしいのですか、はつきりと示して、そういうことのないようにひとつ天下国家に公表してもらいたい。これが物納いたす者の心理だろうと考えます。
  56. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 財産税の問題につきましては、徴收するまでは税務署の責任なのであります。従いまして徴收のひとつ方法といたしまして、物納されるわけでありますが、物納された不動産を管理するのは、現在のところ財務局の管財部でやつておるわけであります。もとは財務局は税と国有財産の管理と両方やつてつたのでありますが、国税庁設置のときにわかれた次第であります。そこでただいまの問題は、管理の問題ということになりますと、おそらく財務局の系統の責任かとも存じまするが、しかし徴收をいたしました税務署として、責任は免れるべきものではないと存じます。すみやかに連絡をとりまして、所要の手続をとるべきものと考える。そういう場合にはまず第一に、所轄の税務署お話くださいましたならば、当然なすべきことを行うであろうと存じます。それがなお期日が遷延するようでございますれば、国税局なり、その上の国税局と同格に財務局というのがございますから、どちらへでもお話くださればできるかと存じます。なおまた一般の方々には、先ほども御説明申しましたように、とかく役所ということでは、お近づきになるのが億劫であるというようなお気持があるようでございますので、そういう場合のために苦情相談所という所ができております。これは本来の趣旨は税務職員に対する不平と不満ということになつておりますが、結局税務職員の行為というものとは密接不可分でありまして、職員が当然行うべきことを怠つておるという関係にもなりますので、今日のところ苦情相談所にずいぶんそういう種類の苦情が持ち込まれております。私どもとしてはこの機会にはやはり第一義的には所轄税務署、それからなおそれが不十分な場合には国税局なり財務局、こういう上級官庁に持ち出していただきまして、なお直接国税庁へお出しいただきますれば、すみやかに連絡をはかりたいと思います。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 そういたしますと、今仰せになりました過分納、二十三年、二十四年、二十五年の三箇年分の所得税なり地方の附加税なり、あるいは地租、家屋税というものを三箇年分も過分納したような場合におきましては、全部金利をつけて返す用意がありますか、その辺をはつきりしておいてもらわないと国民は困る。
  58. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは具体的にお伺いいたしませんと何でございますが、実際調べまして役所側の手落ちのために、二重にお納めになつたという例がございますれば還付をし、しかもそれは加算金をつけまして還付をいたします。
  59. 有田二郎

    有田(二)委員 今の問題でちよつと関連して……。正示さんのお話になる問題を各税務署に話してくれということですが、そういつた問題は国税庁の大きな手落ちで、そういうことがあればさつそく国税庁から各局あてに厳重な通達を出して、地方税務署に文句を言うてやれというような、そんな不親切な答弁はあるべきものじやないと思う。とにかく役所の手落ちで、いやしくも国家に物納でちやんと納めて、それが国の名前に登記ができていないというような事態は、国税庁長官はこれだけでもやめさせる必要があると思う。それが地方税務署にそちらから言うてくれということでなく、そういうこと自体は少くとも国会議員である三宅さんが本委員会お話なつた以上、国税庁から正式に全国の国税局へ通達を出して、そして登記ができていないものはないか。またそういつた御迷惑をかけておるものに対しては、国家として補償するのが当然のことで、私は国税庁として各局へ厳重に通達を出すと同時に、むしろ私はそういうものが全国的にあるかどうかという調査をしていただいて、調査報告を本委員会報告していただきたいと思う。
  60. 田中織之進

    ○田中(織)委員 国税徴收関連しまして、重要な問題で少しお伺いをしたいと思います。問題はこの間の第七国会で通つた税法の改正によりまして、前年度所得よりも今年の所得が少くなるということが感じられるものにつきましては、減額申告ができることに相なつておると思うのでありますが、大体本年度の申告は今月一ぱいでありますけれども、減額申告の締切りはすでに行われておると思うのであります。減額申告はどの程度に出ておるでありましようか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  61. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。先般の国会におきまして、所得税法の改正を見まして、本年度から新しくいわゆる予定申告の法定化が行われておるのでありますが、その結果、前年最終決定額よりも少くなるという方につきましては、いわゆる事前承認の制度というものが創設されまして、本年は七月末日が第一期予定申告の期限になつておりますが、事前承認の締切期限は六月十五日ということであります。六月十五日で締切りました事前承認の出されました全体の納税者に対します割合は、大体目下の調査では六・六%くらいになつております。
  62. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大体一〇%に足らないということでありますが、これは事前承認の申告の手続をとりました場合にも、税務署の方で拒否しておる。そういう傾向があるから、六・六%程度しか、納税者のうちで事前承認の申請を受付けてもらつておらない。実際には申請をしたものは、相当あると思うのでありますが、いろいろの理由を設けて、税務署が拒否する方針をとつておる。私はその点は、たとえば最近における安本からの発表の、二十五年度における国民所得、これは三兆二千五百億程度の予算編成当時のものが、約三千五百億減じて、二兆九千億の台にまでなつたということを、政府の方から本委員会提出された。これによつても明らかになつておるのであります。そういう意味で国全体の国民所得の減少におきましても、当初予算編成当時よりも、三千五百億程度の減少を見込まれておる。これは各納税者にとつてみますれば、簡單に考えて、去年より今年が一体收入は多いか少いかということは、営業している者の立場からみまするならばよくわかる。そういう見地から見まして、実際には相当事前承認制度というものが設けられておるという趣旨が、第一不徹底であつたということもございましようけれども、この手続をとりに税務署の方に相談に参りましても、いろいろこういう政府の統計みずからが、本年度の国民所得は減少しておる、従つて二十四年度の最終所得決定よりも、ことしは減少する見込みだということを、いろいろ理由をあげて説明しても、税務署の方は、なかなか頑としてきかないのじやないか。こういうように考えておるので、この点はすでに事前承認の申請の締切りも行われた後でありまするから、今後のたとえば更正決定なり、あるいは審査の過程において、本年度は特別に考慮されなければならない問題ではないか。かように考えておりまするので、その点について事前承認制度の承認の締切期間を、いまさら延ばすわけにも行きますまいけれども、本年度の特殊性は、現実政府がわれわれに出しておる資料の中でも、三千五百億からの国民所得の減少をみずから認めておるのでありますから、私はその点についての取扱い上の留意をお願いしたいのであります。  なお、これに関連いたしまして、農業所得の問題で、事一村に関する問題でありますから、私はお伺いをしておきたいのであります。群馬県の佐波郡に宮郷村という村があります。この村は長野県との県境になるそうでございますが、大体この村の二十四年度の農業所得税総額が、千九百万円ということに相なつておるのであります。ところがその農業所得課税にあたりましては、土地の賃貸価格あるいは反收等について、一村あるいは一部落の中においてすらも、いろいろの等級のあることは、正示総務部長も御承知のことと思うのであります。ところがこの宮郷村に関する限りにおいて、村当局と税務署との間に連絡の行き違いもあつたと聞いておるのでありますけれども、賃貸価格にいたしましても、あるいは反收の関係から見ましても、佐波郡の一等地の最高をもつて、全部一律に課税をしました関係から、非常な増徴の形に相なつておるのであります。村で最近税務対策委員会というものをこしらえまして——賃貸価格並びに等別級で、伊勢崎の税務署と、その郡内の各町村との間に、賃貸価格あるいは反收別のリストに基いての表ができておりますが、特殊の過誤拂いの形で五百万円くらいは拂い過ぎになる。宮郷村以外の佐波郡の各町村の率から申しますと、約五百万円くらいの拂い越しになる。しかしこれは多少滞納もあるようでありますけれども、これは何とかして納める、かように申しておりますけれども、問題は、二十五年度の七月末の予定申告の問題について、伊勢崎税務署は、もう六月十五日という事前承認の期日が過ぎておるからして、一応前年度の最終決定で出してもらわなければいかぬ、受付けないという問題が起つているのです。これは石井繁丸代議士から、伊勢崎の税務署と折衝をするということに相なつておりまするが、これは明らかに賃貸価格その他の点で、税務署が等級差というものを見ていないで、最高順位で課税しているというところに、非常に前年度所得決定というものが過当に高いということがあるわけです。こういうような場合、その村が税務署もおそらく納得するであろうとして、各隣接町村との率を考えてつくり出した賃貸価格、あるいは反收等の農業調整委員会の議を経た率に基いて、やはり一筆々々ごとの的確なるものを、事前申告として本年度は出したいということで、すでに準備をしておりますけれども、伊勢崎の税務署は、六月十五日の事前承認の締切り期間が過ぎておるということを、ただ一つの理由といたしまして、これを実は拒否している事実があるのであります。一週間ほど前も陳情が参つたのでありますが、こういうことは国税庁まで行かなくとも、伊勢崎の税務署で話ができることであろう、こういうことで帰しておりますけれども、これはひとつ国税庁の方からも、伊勢崎の税務署に私はしかるべき処置を願いたいと思うのです。先ほど私がお願いをいたしました事前承認の締切りが、すでに経過したことと、これが実情を知らないということと、一面本年度徴收予定額を上げなければならないという税務署当局の関係から、相当の理由のあるものでも、事前承認として受付けてもらつておらない件数が相当あるのであります。この問題は一村全体に響く問題でもありますので、この際具体的な事例をあげて、国税庁の御処置を伺つておきたいと思います。
  63. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 事前承認制度がまつたく今回新しくできました関係もございますので、われわれとしては法律の公布後、極力この制度の周知徹底方については努力をいたしたのであります。たしか資料にして御提出申し上げたと思いますが、新聞、ラジオその他一切の報道機関を活用いたしまして、相当周知徹底に努めたと考えております。しかしながら何しろ新しい制度でございますし、一部には十分その趣旨が理解されていなかつた向きもあつたかと存じます。その点について今後の運営上、十分注意して行くようにという御趣旨でございましたが、この点については十分注意して参らなければならぬと考えております。先般一部農家で災害等がありましたような向きにつきましては、七月十日までにさらに出していただくような通知を出しました。これは関東信越国税局管内で一部そういう例もございました。それについてただいまお話のようなケースは、おそらく前年度課税が非常に問題を残したままになつておる。そのままで前年通り所得を出すというのはむりじやないか、こういう御趣旨かと思います。これは私どもといたしましても、税務署におきまして、一般に審査の処理をまず片づけるということを、一般方針として指導して参つたのであります。審査ということでなくて、お話のようなケースは一種の誤謬訂正のケースかと思いますが、さような場合には、やはりそれをまずもつて処理をするということが、必要であろうかと存じます。今のところ伊勢崎署の特別の話は実は聞いておりませんが、御指摘によりましてただちに調べたいと存じます。なお今後の注意といたしましては、一般的には締切り期限は延長いたしませんですから、七月末日でもつて第一期申告をしていただくわけでありますが、申告漏れあるいは申告不足の方には、税額通知ということになりまして、一応この第一期の申告と納税は、前年の最終決定所得でやつていただく。税率控除等の関係で税額は相当減るといたしましても、所得はそういうことになるわけであります。これらの方が、実際所得が減つておるような場合には、十月に更正の請求ということが、まず認められておるわけであります。それから最終的には、もとより御承知のように一月の確定申告のときに、あるいは農業につきましては一部二月の確定申告のときに清算いたしまして、過納になりました分につきましてはこれを還付する。こういう手続によりまして、最終的な処理が行われるわけであります。個々のケースにつきましては、税務署長におきまして処理することになるわけでありますが、先ほど有田委員より御注意がありましたように、本委員会で問題になりましたような事柄は、ただちに国税庁からも下の方に通達をいたしまして、処理いたしたいと思います。
  64. 竹村奈良一

    竹村委員 田中委員に対する減額承認申請についての御答弁で、一応わかつたのでございますが、特にもう一つはつきりしておきたいのは、今の御答弁によりますと、たとえば減額申請を出したものは大体六・六%で、その他の減額申請は期限が過ぎておる。しかし少くとも十月のいわゆる修正申告、あるいは農業においては二月の確定申告において減額申請をしなくても、運用の面で、十分所得が得られたならば、それを承認するように税務署に徹底させる、こういうふうに受取つてよろしゆうございますか。
  65. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 一般の営業所得の方または一般の農業の方々は一月末日、單作農家はたしか二月末日までには清算されまして、正しい実績課税に切りかわる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  66. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちよつと私ほかの予定がありますので、恐縮ですが、ほかの委員の方より先に正示部長にさらにお伺いしたいのでありますが、本年度に入りまして前年度からのいわゆる滯納処分が、相当強行せられておるのであります。この滯納処分の問題につきまして二、三お伺いしたいのでありますが、まずこれにつきましては、先般の大蔵大臣の御答弁によりましても、現在滯納額が相当額に上つておりますけれども、その中には異議申請をいたしまして、審査中のものが相当ある。従つてこの関係においては審査の結了を待たなければならないし、審査の結了を待てば、現在の滯納額のうちから少くとも三、四百億程度のものが、あるいは誤謬訂正その他の形で訂正をされて参りまする関係から、実際の滯納額というものは、現在俗に言われておる数字よりももつと減る、かように大蔵大臣から承つたのでございます。大体この滯納整理にあたりまして、私はまず異議申請の出ましたものの審査を完結するということが、先決問題であろうと思うのでありますが、大体その審査の進行状況がどういうようになつておるのでありましようか。滯納整理の基本方針と関連いたしましてお伺いをいたしたいと思います。  なおそれに関連いたしまして、私はもちろん異議申請の出ましたものでも、現在の税法から申しますならば、差押えなりあるいは徴收はしてもさしつかえない。もしそれが過拂いになるというようなことになれば、利子をつけて返せばいいということには相なつておると思いますけれども、再審査の申出がありまして、それを受付けて審査がまだ結了しない問においては、私はかりに差押えをいたしましても、差押えをする物件を本人に保管を命ずることによりまして、あと審査が結了するまでは、その差押え物件の競売等は差控えるべきが至当じやないか、かように考えるのでありますが、実際はそういう審査中のものであろうと、とつてもいいのだ、競売してもいいのだという考え方で、かなり乱暴なことをやつておるようでありますけれども、私は少くとも審査中は、かりに差押えをいたしましても、物件を引上げて競売にするというような最終的な処置は、猶予することが——やはりそれぞれ理由があつて審査請求をやつておるわけでありますから、当然の処置ではないかと思うのでありますが、今申しました点についての御答弁を願いたいと思います。
  67. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。本二十四年度の申告所得税だけを、これはおもに申告所得税のお話でございますから、一応申し上げますと、審査請求をなさいました納税者の数が約百七十九万くらいに上つております。これは全体の納税者の四三%くらいになつているわけであります。お話のように滯納者が非常にふえましたので、先般来滞納整理に非常な重点を置いているわけでありますが、滯納の整理をいたしますためには、まずもつて審査請求になりましたような方に対し、その処理をすべきであるという御議論は、われわれもまつたく同感に考えているのでありまして、先般滯納整理に関しまして大蔵大臣の談話が出ておりますが、その中にも、まず審査を処理するその処置が非常に強調されているわけであります。しかしながら一方におきましては、拙速でもつて処理いたしますれば、その結果はどうしてもいろいろ弊害もございますので、審査の処理にあたりましては、先般も当委員会において申し上げましたように、課税に対して謙虚に反省する。行きがかりにとらわれないで、個々の納税者の実情を十分調べ、また納税者の方からの申入れについては、その内容をよく検討して、課税の面にむりがないか、あるいは誤りがないかということを、十分念査するようにということを、通牒を出し指示をいたしたのであります。幸い今日まで一応私の手元に参りました報告では、先ほど申し上げました全請求権者の約九五%が、請求申請を処理されたことになつております。なお一部処理が残つておるわけでありますが、大体大部分が処理を完了したことになつております。この結果どの程度の減額になりますか、あと五%ほど困難なものが残つておりますのでわかりませんが、やはりお話のように税額におきましても、二百億あるいはそれ以上は訂正減というふうなことになろうかと考えております。そこで田中委員の御趣旨は、そういう審査の片づかないような場合に、いわゆる滯納処分をして物件を引上げ、競売にするというふうな点についての御意見であつたのであります。結論的に申しますと、原則的にはわれわれも先ほど申しましたように、まずもつて役所の方でなすべきことをなすというのが、順序であろうかと考えております。従いまして従来の指導方針は、税法の建前から行きますと、審査請求中といえども徴收の猶予はしないということになつておりますから、むろん猶予はいたしません。従いまして延滯加算税というものがつくわけであります。しかし競売処分のようなことは、よほど自信のあるような場合でないとしないことになつております。大体今までのところでは、審査が未了であるにかかわらず、競売をやつたというようなことはあまりないのではないかと思つております。もし行過ぎになつておるようなところがありますと、納税者の方に非常な御迷惑をかけることになりますので、その点は強く注意をいたしておるのであります。すなわち差押えする場合でも、審査請求中のような場合には、大体審査の処理をいたしましても、十分であるかどうかということを、相当程度確かめる必要がある。そこで御承知のように、徴收税務署の総務課でやつておりますし、課税は直税でやつておりますが、そういう事例の場合には直税のものと照合させまして、個々のケースについて一応念を押した上で差押えをする、こういうやり方でやつておるのであります。課税に対するむりが徴收の面にまで及びまして、納税者の方に不測の御迷惑をかけることのないようにと、いろいろ意を用いておるわけでありまして、今後もそういう面については十分注意をして参りたいと考えております。
  68. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今総務部長からお答えになつたのでありまするが、私の手元に、今度の滯納整理に伴います、いわゆる不当差押え並びに競売に対する陳情書というものが、ここに約十四、五件参つておるのであります。この中には再審査を請求中であり、しかも申告分についてはほとんど納めておる。ただ更正決定と申告分との間の開きについては、審査請求をしまして、現に審査中のものにもかかわらず、相当差押えあるいは物件の引上げ等を強行しておる事例があるのであります。陳情書の形式になつておりますので、これを総務部長の方へまわしまして、個々のケースについてお調べを願いたいと思うのでありますが、その中にはまことに気の毒な、いわゆる生活保護法の適用を受けておるような、相当年配の老夫婦のごくわずかばかりの滞納分、しかもそれは争いのまだ確定しておらないというようなものについても、いきなり差押えをやり物件を引上げておるというような事例が、ここに示されておるのでありまして、私はそういうことは非常に遺憾なことだと思うのであります。これはわが党の淺沼稻次郎議員並びに民主党の園田直議員が実地を調査されたそうでありますが、七月十七日に台東区の谷中初音町三丁目に集団的な差押えを強行しておるのであります。谷中税務署の総務部の次長を先頭といたしまして、税務署から約三十数名の徴税隊がトラツク二台をもつて、要所々々には谷中署の警官を配置して、まつたくものものしい形で約百二十五件の差押えを強行しておるのであります。それに先だつて大体七月の十七日ごろから、谷中署の徴税官だろうと思いますが、一事務官吉武博信という税務署員が参りまして、相当滯納整理を強行して来ておるのであります。     〔苫米地(英)委員長代理退席、委員長着席〕 主人が不在中で奥さんだけしかいない。しかも千円足らずの金であるので、何とかするから十七日ごろまで待つてもらいたいという理由を申して、立会いあるいは差押え調書への署名等も拒否しておるにもかかわらず、間野竹一郎というやはり谷中初音町の四丁目の方でありますが、滯納額九百十円に対しまして、時価約四千円ばかりのものの差押えを強行しておる。あるいはやはり同じ初音町四丁目二十八番地の北島ハルエさんというところでは、二十四年度の加算税を二千円滞納しておる。これはもちろん加算税だけの問題だそうでありますが、これに対しましても約一万円くらいの物件の差押えをやつておる。そういう七月の十二日ころからの滯納整理の過程を経て、十七日に集団的な差押えを行うことになつたようであります。この間同地にある共産党の細胞の諸君が、この差押えに対しまして異議を申し立てて、税務署員との間に多少のいざこざがあつたやに聞いておるのであります。またその点につきましては、共産党の細胞の名による、この税金は戰争のために使われるのだというような宣伝ビラ等が出ておるということも、私は実地を調査いたしました淺沼議員から伺つておるのでありますが、百二十五名の差押えを受けた者すべてが共産党員ではないと思う。従つてかりに共産党の細胞のいわゆる反税運動的な点があつたといたしましても、全然関係のない町民諸君に対して、しかも警察官を動員してまで差押えを強行しなければならない理由はないと思うのであります。ここに実情調査のために国会から議員を派遣してもらいたいという請願書が出ておるので、きようは締切日でありますから、この請願書を提出するつもりでありますが、こういうように、その中には相当審査請求でまだ未確定なものもある。全然税金を納めていないのではなく、申告分なりあるいはその後において相当納めておる。わずか残つておる部分について、ここまで大げさな人心に不安を與えるような課税までして、滯納整理を強行しなければならないということは理解できないのでありまして、これもここでいきなり問題を出しましても、総務部長としてはおそらく実情を調査するというよりほかに、答弁のしようがないかと思いますが、問題は東京の膝元でありますから、開会中にも私ども一度向うへ出向いて、実情を調査いたしたいと思いますけれども国税庁の方においてこの事実についての調査を進められまして、この会期中にも本委員会に対して、御処置その他について御報告を願わなければならないと思うのであります。すでに問題は国会連絡があつて、議員が行つたような大騒ぎをした問題でありますから、あるいはお聞きになつておるかもしれませんが、その間の事情について総務部長は御存じであるかどうか。この件についてどういう御処置をなされる御方針であるか、伺つておきたいと思います。
  69. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 下谷税務署管内の差押え問題につきましては、相当多数の方々を差し押えたために、いろいろ問題があるというふうに聞いておりまして、目下その実情を調査しておるわけであります。個々の実情につきましては、いまだつまびらかにいたしておりませんが、至急に調査いたしまして、後刻御報告申し上げたいと存じております。
  70. 田中織之進

    ○田中(織)委員 最後にもう一点だけ伺つておきたいのでありますが、これはやはり東京の浅草税務署関係でありますけれども、これまた滯納整理につきまして、浅草税務署の山田何がしという者であります。申請者は馬道三丁目二十一番地室川芳男という人でありますが、本人から六万円の申告をいたして、その分の納税は済んでおります。それに対して当初二十四万円の更正決定が来まして、これは最近におきまして審査が完了いたしまして、六万四千五百円におちついた。税務署の更正決定が間違であつたということで、六万四千五百円で決定を見たのであります。ところが四千五百円の分についての差押えが、七月十四日に行われておるというような、きわめて非常識な問題が起つておるのでありまして、この山田何がしという浅草税務署の徴税官は、そのほかにも浅草一帯について相当むりな滞納整理を強行しておる。しかもそれは私の伺つた件数に約十件ばかりございますが、そのほとんど全部がいずれも更正決定に対する再審査を請求中のものであるということであります。二十四年度から二十五年度へ繰越した滯納額が、大きな問題になつていることもよくわかります。けれども一面午前中にも申し上げましたように、約一千億からの滯納を残して、結局少くとも一千億近い引上げ超過になつておるという現実があるわけです。私はそこに二十四年度課税そのものが過当であつたということが、もうはつきり言えるのじやないかと思う。そういう見地からこの問題についても具体的に名前をあげましたので、御調査を願つて本会期中に御回答をいただきたいと思うのでありますが、こういう事例によつて明らかなごとく、参議院の選挙の済んだ後は相当滯納整理が行われる。ことに地方税が一昨日本院を通過して参議院にまわつておるのでありますが、この地方税がかりに参議院を通過成立するといたしましても、八月から九月にかけて相当地方税の徴收が行われまして、国税徴收との間に競合するのであります。あるいは国税庁当局といたしましては、地方税の徴收関係でこれまた一般住民が目をむくであろうから、それより前にあらかじめ国税の面を思い切りとつておこうという、あるいは御方針かもしれませんけれども、この点は今後の国民経済の上、大きく言えば政府の金融政策の上にも、大きな考慮を拂わなければならない問題だと思うのであります。しかも少くとも二百億、三百億というものが、更正決定と実際の再審査の結果おちつくものとの間に開きが出るということ自体が、税務当局がやつておる更正決定そのものが非常に過当なものであり、ある意味から見ればずさんなものであるという一つの一裏書きになると私は思うのであります。そういう点からこの問題は個々のケースについて御調査を願うとともに、先ほど有田委員から御注意がありましたように、国税庁当局といたしましては、この二十四年度以前の滯納整理の問題につきましては、そうした点について税務当局の手落ちもあることですから、実情に即した形において、少くとも納税者との間に不測の問題を起さない、また税源をとにかく絶やさない、こういう見地によつてすでに相当な引上げ超過で、余裕金すら持つて国家財政がまかなわれておる現状でありますから、もちろん当然とらなければならぬものはとつてよろしゆうございますけれども、再審査その他ができまして、争いのあるものについては、十分理由を聞いてやつて適正な徴收をやつていただきたい。そういう点でこの際滯納整理の問題につきましては、管下の全税務署に対して、特に末端の総務部関係の徴税官に徹底してもらいたい。ことに先ほどの少くとも審査中は、最終的な公売処分というようなことには移らない方法を講じたという総務部長のお言葉は、私非常に適切なことだと思うのでありますが、末端の差押えの第一線に立つ税務署員に、総務部長の思いやりのある気持が徹底するような御処置を願いたいと思うのでありまして、この点についての総務部長の所信を伺いまして、私の質疑を打切ります。
  71. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 地方税法成立とともに、今後国税と地方税の收納時の関係から、またいろいろとむずかしい事態が起りはしないか。そこで国税庁としてこの際何でもかんでも、地方税の納期が来る前にとつておるのではないか、あるいはおるかもしれないというようなお話でございますが、私どもとしましては、やはり法律によつて定められました納期によつて徴收するということで、進んでおりますことはもとよりであります。ただ滞納整理はまことに困つたことでありまして、厖大な滞納を擁しております。ことに申告所得税において大きな滞納があるというとは、今後の税制改正、所得税の負担軽減というような関係からも、われわれとしては非常に重大な問題でありまするので、先般来特に滞納整理については重点を置いておるということは、この委員会におきましても御説明を申し上げたのであります。ただ整理に急なるあまり、その措置よろしきを得ないで、税務に対する信用を失墜するようなことではいかぬと思うのであります。どこまでも年々税務に対する信用を回復し、これを高めて行くということに重点を置いてやつて行かなければならぬと思つております。先般滞納整理に関する方針につきましては、特に部長さんあたりにも参集していただきまして、まず課税の面について十分再調査をする。また強徴処分、いわゆる差押え、物件引上げなり公売処分を行うような場合には、特に誠意をもつて、納税に努力しておられるような方と、資力もありまた課税が正しいにかかわらず、漫然として滞納しておられるような方と峻嚴区別して、おのずから負担の公平なり、納税者に対する公平なる扱いというようなことについて、重点を置いてやらなければならぬということについて十分打合せをいたして、ただいま御指摘のような事例が、十分おつしやいました上で措置よろしきを得ないような場合には、相当の処分を行いたいと考えておりまするが、基本方針はどこまでもただいま申し上げました通り、税務の信用を回復し、それをさらに高めて行くように、個々のケースの扱い方についてあらゆる面から注意を拂つて行く、こういう方針で指導いたしておるのであります。従いましてたまたま実際の事例において、さような方針にもとる者がございますれば、御注意によつて調べて適当に処分を行いたい、かように考えております。
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員 緊急に質問したいことがあるのです。実は鹽見広島国税局長が、数百万円かの涜職の容疑で他の数名とともに、取調べを受け、送検せられたということを聞いたのでありますが、その真相をこの際発表していただきたいと思うのであります。もしそういうことがあつたとしますれば、はなはだ威嚴を失墜すること大なるものがあると思いまするが、この点につきましてはつきりしたことをこの際本委員会に発表せられたいと思います。
  73. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 広島国税局に何か刑事上の事件があるということを、実は一昨日の新聞記事で見まして、私非常に驚いておるのでありますが、詳細はわかりませんので、さつそく広島局に電報照会をいたしましたところ、本日局長はきわめて健在に上京して参りまして、どういうわけで新聞記事が出たのかにつきましてはまだわかりませんが、これは私は何かの間違いではないかというふうに今のところ考えております。実はけさほどからずつと委員会の方に出ておりまして、まだ局長と十分ゆつくり話をするひまがございませんが、東京に出て来て健在であるということだけははつきりいたしております。従いまして收容されておるという事実はございません。
  74. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は地方国税局長がそういう疑いを受けるということは、はなはだ穏当を欠いておると思う。これは綱紀の粛正上も必要であると思いますから、ごく最近の機会に本委員会にも出席を求めて、この真相をただし、もつて災いを転じて福となすという方法にいたしたいと思いますが、いかがですか、承りたいと思います。
  75. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 とりあえず私の方から、委員会が終りましたあとで局長に会いまして、どういういきさつであつたかよく調べました上で、一応御報告をいたしたいと思います。
  76. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは明日にも、われわれとしましては本委員会に一ぺん喚問して事情を調査して、こういうことのないようにする範を示したい、かように思いますが、委員長に嚴重に申し入れたいと思います。
  77. 有田二郎

    有田(二)委員 今三宅委員からお話がありましたが、ひとつ広島の国税局長を明日本委員会に出頭を命じて、その問題を国民に明らかにすると同時に、徴税全体の問題について全国の国税局長を代表して、われわれの質問に答えていただくというようなことを、委員長においておとりはからい願いたい。  さらに総務部長にお尋ねしたいのでありますが、差押え並びに競売については、各局の総務部あるいは各税務署の総務課関係において、おもしろ半分にやつておるようにわれわれには見られるのですが、どうお考えになりますか。
  78. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 税務職員の中に、一部非常に年も若い、思慮分別の足りないというようなために、納税者の方が非常に困つておられるにかかわらず、不謹愼な態度で臨むというような者がございまして、何だかこの重大な問題をいわずおもしろ半分でやつておるのじやないかというような御非難は、かつても耳にいたしたのであります。私どもは決してさようなことであつてはならないと思うのでありまして、特に今日の困窮した経済のもとにおきまして、相当の税負担をしていただくのでありますから、十分納税者の心を心として、税務職員はその職務を執行しなければならぬということを、かねがね注意を加えておるのであります。まだいろいろと不備な点があるのでありますが、おいおいそういう不謹愼なことをするものにつきましては、国会の方からの御指摘の線に十分沿いまして処分を加え、なお職員の素質の向上についてはいろいろと努力をいたしております。なかなか理想の域には参りませんが、おいおいと改善を加えておるのであります。いやしくもただいま有田委員のおつしやられましたような、おもしろ半分に差押えをしたり、公売処分をするというようなことがあつては絶対いけないということは、常に注意を加えておるのであります。
  79. 有田二郎

    有田(二)委員 差押え並びに競売のみでなくして、一般の税金を調べに行く査察あるいは調査その他の直税課員あるいは源泉係、こういうような人たちが調査に行かれるときの態度、これはわれわれ国会において、徴税をしていただくということは、国家として非常に大切なことであるから、税務吏員にこの権限を付與した。その権限を悪用して、一ぺん総務部長さんも——正示さんのような方ばかりが税務吏員だと、非常に日本国全体がうまく行くと思う。しかしながら多くの税務吏員というものは、われわれが付與した権限を悪用して、罵詈雑言、あるいはまた個人的なトランクをあけさしたり、あるいはいろいろ机をあけさしたりするときの態度たるや、実に犯罪人を取扱うにもそういうことをしないようなことまで税務吏員が行う。そのために一般国民が非常に萎縮して、産業の振興を阻害すること非常に大である。今正示さんはあらゆる面から努力をしておるとおつしやるが、一体どういう努力をしておるのか。具体的に努力の実体を御説明願いたいと思います。
  80. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 国税庁ができましてからは、根本の方針を職員の素質の改善向上ということに置きまして、まず昨年は御承知のように定員法による行政整理を相当数行つております。そういう機会に不適格者を排除したこと、これを第一優先順位で行つたことは当然であります。その後もなお不適格者の排除の点ということに、非常に力をいたしておるのでありまして、そのために先般も申し上げましたように、監察官制度というものを国税庁の直属で置きまして、本年度に入りましては先般の国会において、監察官の権限を強化していただきまして、国税庁監察官に司法警察官の権限の一部を行わせるというような措置を、お願いいたしたのであります。今日監察官はこの新しい権限を持ちまして、職員の非行調査に当つております。この新しい権限を與えていただいたことは、警察その他との連絡も非常に好都合に参りまして、今後それらの職員の非行調査につきましては、一段と強化することができるものと考えております。それが消極面でございますが、積極面の対策としましては、部内職員に対しまして随時講習会を開催することをやつております。中央におきましては、税務講習所の本所におきまして、大体中堅あるいは幹部職員の講習を行つております。なお各局に普通科の講習所を付置いたしまして、これは大体新任職員の教育に当つておるのであります。教育期間中は專門的な知識の体得はもとよりでありますが、徳性の涵養ということにつきましても非常な重点を置きまして、講習所長には前の東京大学教授北山冨久二郎先生を聘しまして、教育訓練に力を置いてやつておるわけであります。  さらに従来、とかくいわゆる手当り次第に人を採用し、その結果税務職員が平均年齢もきわめて若く、また知識、経験に乏しく、教養の上からも不適格者が多いというような御非難が多かつたと思いますので、特に昨年十一月以来、新規採用につきましては人事院の御指導のもとに、一定の試験をやつておるのであります。なおまた受験資格におきましても、年齢の最低限度を設けまして、徴收官は満二十五歳以上、協議官は三十五歳以上というふうな制限を置きまして、しかも学歴等につきましても大学、專門学校またはそれと同等の学歴を持つ者というような制限を設けまして、一般の公開競争試験を行つております。これは税務行政上の画期的な措置でありまして、従来とかく税務署において、あるいは地方の局において一定の指導方針なく人を採用しておつたころには、どうもそのときどきの都合で採用いたしますため、税務百年の計画にふさわしくないような人が入つて来るという弊害があつたのでありますが、これは今後におきましては、相当面目を一新するものと期待しておる次第であります。なおまた私どもは常に一般輿論の批判を聞くということに、非常な重点を置きまして、先般国税庁に苦情相談所を設けまして、主として職員の態度あるいは執務方法等に関する納税者の声を聞く。こういうことによつて、部内の一人の悪い税務職員が、税務職員全体の名誉を害しておるというような事例があつてはいけないという見地から、苦情相談所に持ち込まれる事件は、それぞれの監督の地位において十分調査をいたしまして、そのよつて来る原因を取除くように、具体的の措置を講じておるような次第であります。今日経済再建の重要なときに、税務行政の占めております重大性ということには常々深く思いをいたし、職員全体がそういう観念に徹しなければいかぬというふうに指導を加えておるのでありますが、なお今日以後におきましてもその方針を強化いたしまして、現在職員の教養、訓練、徳性を高めるとともに、将来部内に新しく入られるような方々の中にも、いわゆるすぐれた新しい知惠を期待いたしまして、その新しい知惠を注入することによつて、さらに全体のレベルを高めて行く、こういうことに邁進いたさなければならぬと心得えております。たまたま長官もただいま渡米中でありますが、税務の執行面についてはつぶさにアメリカの実情を視察して帰られると思います。その結果は、わが国の税務行政の改善に資する点も非常に多いものと、期待いたしておるのであります。われわれとしては、十分そういう方向に向つて今後も努力して参りたいと思います。
  81. 有田二郎

    有田(二)委員 ただいま総務部長から報告を聞きましたが、私はまだまだ足らぬと思う。全国の税務職員を指導するのにもつと具体的な——一々東京に呼ばなくてもよいから、その局なりあるいは税務署にこちらから出張して指導する。今の国税庁の指導は、何でもいいから税金をとれという指導であつて、国民の今の非常に苦しい状態を察して、上手にとるという取り方の研究が足りないと思う。鶏を殺してしまつたのでは、先般も申し上げましたように卵は生まれない。今気息えんえんたる鶏を育成しながら、卵をできるだけたくさん取上げて行くというのが、私は一つの徴税方法であろうと思う。ところが今の徴税の方法は、気息えんえんたる鶏を殺してしまつて、そうしてすき焼きにして食つてしまうこと以外には考えていないのが、今の徴税の方法であると思います。十分鶏を育成しながら卵をとつて行くということに、国税庁としてはできるだけ努力していただきたい。まず税務署長から教育してもらいたい。先般申し上げましたように、今大阪の淀川の税務署長をいたしておりますところの丹羽君のごときは、大蔵大臣の言うことも聞かずに、とにかくどんどん公売に付せと言う。大蔵大臣は、差押えしたのを競売したところで二束三文だ、競売に付さないで、できるだけ上手に税金をとつて行くというのが、大蔵大臣の考え方であろうと思います。ところが鶏を、卵はいらぬから殺してすき焼きにしよう、かような行き方だと思いますが、この点についてはさらに国税庁としてももつと検討してもらつて、單なる要領のいい答弁ではなくて、実際に即した方法でやつていただきたい。先般私が資料を要求した中で、ここに非行事件の件数が報告されておりますが、この税務署の非行事件というのは非常に多いのです。芸者を抱いて寝たり、あるいはコミツシヨンをもらつたりしているようなことが非常に多い。ここに出ておるのはおそらく表面に現われたわずかなものであろうと思いますが、私の管内に起つた非常に困つた一例をあげますと、大阪の局の査察調査部の調査官の人が言うには、調査したところが、調査してあとで便所に行く。ちやんとトランクをあけて、二度も三度も便所に行く。その人が私の所に来て、有田さん、あれは金を入れてくれという暗示じやないかと思うということを私に相談に来られて、答弁に非常に困つた。はなはだ要領のいい税務吏員がおります。その上に、さらにその税務署員をたずねて行つたところが、その家庭は非常に裕福であり、そして非常にぜいたくな生活をしておる。現状の代議士の月給すら知れているのです。一税務吏員の給料というものは、ほぼ想像にかたくないのでありますが、これらの税務吏員の家庭をお調べ願いたい。しかもさらに監察官ということを総務部長がおつしやいましたが、監察官はみな税務吏員の古手ばかりだ。こんなものを監察官にしたところで、これはミイラ取りがミイラになるようなもので何にもならぬ。税務吏員に関係のない監察官を置いて、そうして相当辛辣に税務吏員を調べ上げたら、いろいろと非行を未然に防ぎ得る面も相当あるのではないか。ところが今の監察官をおつくりになつておられるのはみんな税務吏員で、月経のあがつたような、税務吏員をやめられたような、そういう古手の棺おけに片足をつつ込んだような男を、監察官にして調べさせておるというようなこと、こんなことではたして全国の税務吏員の非行が、全国的に十分調査できるかどうか。この点も総務部長の御答弁を願いたい。  さらに、この非行の中に出ておりますが、東京全体で処分件数は一千九十五件のうち、懲戒免職になつているものがたつた六十件であります。あとは戒告あるいは減俸、あるいは降職あるいは転勤が千三十五件、しかも東京国税局に至つては、処分されたものが非常に少く、調査継続中が二百一件ある。こういうようなところも、私は非常に不合理な点があると思うのです。一体国税庁の方でお考えになつている非行事件は大体どういう事案があるか。ひとつ実例を総務部長から承りたい。
  82. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 監察官制度を設けましたが、監察官にその人を得ていないのではないかという御趣旨のようでございますが、実は監察官として適当な人を得るのに困難な面が多いのであります。しかし今日監察官として発令をいたしておりますものは、部内の職員のうちから最もその方面に、いわゆる人格識見その他の点において、最も適任者を網羅しておるわけでございます。全体に非常な老齢者あるいは老朽者ではないかという御趣旨でございまするが、この点は監察官の中には、まだ相当若い将来のある人もむろんおるのであります。ただ事柄が事柄だけに、ある程度の年齢を重ねられたような人が調べました場合の方が、行き届いた調査をするというふうなこともありまして、比較的高年齢者が多いのでありますが、決してもう役に立たぬようになつた老朽者という意味では全然ないのでありまして、われわれとしては先ほども申し上げましたように、人の素質を改善するということが最も大切なことでありますから、監察官には最も適任者を選ぶべく、常に注意をいたしておるようなわけでございます。将来さらにこの監察は強化し、特に先般一応司法警察職員の権限の一部も認められたのでありますが、その際十分御説明をいたしましたように、これによつて警察方面の税務職員に対する検挙その他の関係が、何らの影響を受けないことはもとよりであります。われわれとしては常に部内において——これはあとで申し上げます非行事件の態様とも関連があるのでありますが、いわゆる徴税なりあるいは課税の專門的な技術とからみ合つた犯罪がございますだけに、税務の技術的な面に通暁した者が、常に監察官として一応監察いたし、そこから罪状を集めまして、その程度に応じて司法処分なり行政処分を行うということがやはり必要であり、それが監察官に新しい権限を與えられました根本的な理由である、こういうふうに存じております。従いまして一応それらの技術的な面に通暁しました職員のうちから、監察官としての適格者を選考いたしまして、現在監察事項をやつていただいておるわけであります。  非行事件でございますが、これは何といいましても税務の特殊性から、課税関連いたしましての納税者との関係の犯罪、これが一つの態様でございます。收賄あるいは饗応を受けるというようなことが内容になつておるわけであります。もう一つは公金を扱つておる、主として徴收面の職員に起ることでございますが、公金をいろいろの手段でもつて横領するという態様でございます。これはたとえばその一つ方法としては、仮の領收書を発行して、一応税金として納められるものを受取つて、それを成規の手続で納めることを怠りまして、着服するというふうな場合もございますし、あるいは成規の領收書は出すが、数字を改竄いたしまして一部を着服する。こういうふうなことがしばしば行われる方法なのであります。その非行事件のそれぞれの態様に対しまして、一応それらの内部的な事務手続に詳しい監察官が常に監察に当ることによつて、たとえば税務署について始終監査を行い、それによつて領收書と帳簿とのつき合せを行う。部分的には納税者の方に伺いまして、何月何日に税を納められたかというようなことを引き合せました上で、それを実際帳簿によつてつき合せる。今いろいろな手続によりまして、いわばチエツクをして、そして非行事件を探り出すというような方法で監察に当つておるわけであります。このほかに暴力事件とか突発的な異例な事件も多少はございますが、大きくわけますと対納税者の関係におきましての收賄なり饗応を受けるような事件と、公金に関する公金費消事件あるいは着服の事件、こういうふうなものがあるかと存じます。  なおこの中に懲戒免職の件数が非常に少いじやないかというお話でありますが、この点は実は昨年は御承知のように行政整理がありました。行政整理の分はこの中に入つておらないのであります。行政整理で一応すつかり洗つて、そのあとでいわゆる公務員法に基く処分として行つたものだけをあげまして、比較的少く出ております。その点お含みを願います。
  83. 有田二郎

    有田(二)委員 この際総務部長にお願いしたいことは、一般税務吏員のうち、庶務課とかの大した仕事でない者は別ですが、査察あるいは調査、あるいはそういつた方面の非常に收賄の危險性の多い係官には、国税庁なり国税局の方でその帰りをつけて歩く。大分毎晩飲みに行つている者が相当あると思う。それをわれわれは摘発したいのですが、それを案内しているのはわれわれの選挙の応援者の中にいる。連れて行つて芸者を抱かしておるというような報告をいろいろ聞くのですが、そういう事実は非常に多いと思う。おそらく各代議士も各選挙区でいろいろな情報をお聞きになつていると思う。しかし一番いい方法は査察とかあるいは調査課の人たちの帰路をようしてお調べになると、ほぼ私はわかると思う。たいがい行きつけの場所にきまつている。査察官の何という人はどこの何という待合に行くとか、どの料理屋へ行くとかいうことは、ほぼ常識的にきまつておるわけです。十分御調査を願つて、非行事件が起らない以前に、本人の将来のために十分に御指導を賜わりたいと思います。  さらに最後に一点お聞きしたいことは、どうも税務署に参りましてわれわれの受ける感じは、下剋上であります。下へ行くほどいばつている。署長がいくら偉そうにしたつて、署長が何だというように、上から持つて行くと、下がかえつてしりをまくつてよけいやる。またある一つの事件を査察なら査察でやりますと、おれが一ぺん手をつけたのだから、何か出さなければおれは帰れないのだ、おれの面子があるのだというようなやり方をする。鶏を育成するというような精神はなく、自分の成績を上げることに汲々としておる。これは結局は税務署長が下剋上で浮き上つておるということにも原因しておるし、また課長あるいは係長、班長、その他上役の人が部下を十分把握し得ない。それにはいろいろ原因があるでしよう。痛いところを握られておるというようなことも、私はその中にあるのじやないかと思うのでありますが、これらの下剋上のために来るところの影響として、せつかくの国税庁の名総務部長である正示さんの御方針が、末端にまで伸びないうらみが私はあると思う。従つて下剋上のないように、少くとも課長は課員を把握し、署長は署員を把握して、そして国民が納得し得るところの徴税の方法をとらしめることが、必要であると思うのであります。私は下剋上と申し上げましたが、これについての総務部長の御所見を承りたいと思います。
  84. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えいたします。ただいま有田委員のおつしやることは、まつたく同感でありまして、昨年の行政整理の前までは、特に組合運動の行き過ぎというふうな関係から、一部非常に下剋上の傾向があつたのであります。その後におきましても、なお各收税官吏、あるいは調査官、査察官、こういう面にさような態度が相当残つておる点があるという御指摘であります。さようなことはまことに遺憾と考えます。われわれとしては、いわゆるいたずらなる自分の上司に対する反抗心というようなものを、除去することは当然でございますが、また他面幹部は常にただいまお話のように、その部下を掌握して参らなければならぬのでありまして、その点税務署が急激に膨脹して、そのために部下の職員数が急激にふえたために、どうも署長なりあるいは課長、係長という幹部の部下に対する掌握力が欠けておるというような批評をも、たびたび耳にいたすのであります。そういう場合には、部下職員の教養、訓練を十分高めるとともに、幹部が掌握力、統率力をまず身につけなければならぬわけであります。そのために先ほど申し上げましたように、これまで税務講習所におきまして、幹部教育ということにも力をいたしておるのであります。これは一つの例でございまするが、先般協議官制度の発足に伴いまして、全国の税務署長の中から、約二百人くらい今回新しく協議官に任命を見たのでありますが、この二百人のいわば税務署の幹部、これはほとんど署長級でありますが、これを東京に集めまして、二十日間講習をいたしました。かようなことはまつたく前例がないのでありますが、今日の税務の重大性から、私どもは当然のこととして、これをあえて行つた次第であります。実はその間一人犠牲者が出て、たいへん遺族にとつては気の毒であつたのでありますが、それほどまでにして、幹部が必要な徳性を磨き、統率力を持つということが大事である、かように考えまして、各局におきましても、署長なり課長等におきましても、必要に応じて幹部教育をいたしております。今後とも幹部につきましてはその掌握力を高め、部下に対しましては謙虚に、命令系統について秩序整然たる執務を行うように持つて参りたい、かように考えておる次第であります。
  85. 有田二郎

    有田(二)委員 最後に一つ総務部長にお願いしたいのは、ひな型をつくつてもらいたい。たとえば査察あるいは調査官、その他いろいろな係官が、各家庭あるいは会社を訪れて調査をするときに、最初にどういう言葉を使う。——調べることは嚴として調べていただいてけつこうでありますけれども、その言葉の上に、少くとも今日は国民に主権があるのであります。昔の天皇陛下の何千万分の一かみなそれぞれ国民が持つている。従つて主権在民の国民の税金を調べるのについて、相手の人格を十分尊重して、そしてこういうような調べ方をする。言葉はこういうふうに使う。かりに税務署へ参りましても、お前はだれだ、何だというような、まるきり昔の警察官でも使わないような悪い言葉を平気で使つているというような事態を、われわれ往々にして見、また聞くのであります。従つて総務部長の方でひとつ御計画をお立て願つて税務署にたずねて来られた方に対して、一番最初の言葉の使い方に対して、ちよつとしばらくお待ちくださいませ、言葉はやさしく、調べることは嚴として調べる。これは私は調べることは嚴としておやりになるのもけつこうでありますが、その調べるにあたつて態度が、昔の封建的な時代の警察官でもやらないような調べ方をするということを、往々にして承るのであります。これらについての総務部長の御所見を承りたい。
  86. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 税務職員の態度なり言葉使いが非常に大事であるということは、ただいま指摘された通りでありまして、実は私どもも、いわゆる税務の職分に応じての必携と申しますか、常にそれを携行して、注意すべき点を明らかにしたような、税務職員必携というようなものをただいま計画いたしております。まず監督官あるいは調査官、査察官、こういう面にそれを持たせ、またそれから国税の徴收官にもこれを持たせたいと考えております。その点について、これはアメリカの例でございますが、ただいま有田委員の御指摘のような必携をみな持つておるようであります。また税務署に参られる方に対する応待等につきましても、こまごま注意いたしておるようでございます。私どもも国民の公僕としての心得は、いくら強調してもし過ぎることがないと考えますので、こまかい面につきまして、さような点の注意を常にさせなければならぬと考えております。大体徴收官、調査官、査察官、監督官、それらのものから順次仕事の種類に応じましての必携をつくりまして、納税者に対する態度、また応接の方法等につきましても、知らないときにそれが態度に現われて、いわばこけおどしをするということにもなろうかと思いますので、まず必要な知識を身につけさせて、そしてその知識をどういうふうにして表現するかという点についても、こまごまと注意をしたような、いわゆる必携を持たせるようにいたしたい。午前中もお話がございましたように、姓名を書かせて、自分がどういう人間であり、どういう仕事を担当しておるかということを納税者の方にも一目瞭然知らせるとともに、その人が最初から必携を持つておるということが、ただいま御指摘のように必要な措置であると考えまして、今準備をいたしております。
  87. 有田二郎

    有田(二)委員 必携を持たすと同時に訓練をしてもらいたい。各税務署で課長級が寄つて税務吏員を呼んで、調べるときの訓練——部屋へ入つてつて調べるときにはどういう言葉を使つて、どういうように調べて、どうする、そして少しも徴税にあたつて一般の国民に非常なる反感を持たせないように、しかたがないという程度気持を持たせるように、私は最善の努力をしていただきたいと思います。
  88. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 お諮りいたします。先ほど問題になつた塩見広島国税局長を、本委員会に出席を求めて説明を聽取すべしという三宅有田委員よりの御発言がありましたが、いかがいたしますか。     〔「さよう決定願います」と呼ぶ者あり〕
  89. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 ではさよう決定いたします。そのように手続をとります。
  90. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 私は今まで直税でありましたが、間税の大宗をなしておる酒税について、総務部長並びにきよう御列席の間税部長さんに少しお尋ねいたしたいと思います。  第一は、今大分酒税の滯納が珍しくできて来まして、今までほとんどないような酒税の滯納が、しかも五億数千万円の滯納がある。かくのごときことは酒税始まつて以来おそらくないであろうと思いますが、かようなことが始まつて来たことと思い合せて、非常に購買力が低下していることから、第一に総務部長から国税庁を代表してお答え願いたいのは、政府は酒税を引下げる用意と言いますか、心構えをお持ちになつているかどうか。もしあるならば、なるべく近い機会にそれを実行したい御意向があるかどうか、ひとつ総務部長さんにお尋ねしたいと思います。
  91. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 酒税の税收入全体の中に占める重要性にかんがみまして、酒税行政はきわめて重大視されておるわけであります。今日の経済の実情から考えまして、酒税が非常に高率に過ぎるということは、私どももさよう考えております。従いまして、これは適当な時期に折衝していただきたいと存じておるわけであります。ただただいまのところ税制の改正は、非常に総合的な問題を提起しておるのでございまして、その順位、たとえば所得税と酒税とどういうふうな順序において軽減をはかるか、その時期等につきましては、最高方針として決定せらるべき問題であろうかと存じます。国税庁すなわち税務の実施を担当しております役所といたしましては、今日酒税の状況は今のところまだ順調でありますが、いろいろと問題をはらんでおりますことを承知いたしておりますので、適当な時期に適当な程度において改善されることが望ましい、かように考えております。
  92. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 もう一度総務部長さんにお尋ねしたいと思いますのは、御承知シヤウプ勧告にありまする酒税の部面でありますが、あそこに書いてあります酒は奢侈品である、また自分が見ている日本の酒は高級料理屋で使う酒ばかりであるかのごとく、シヤウプの報告書は書いてあるのでありまして、農村、漁村あるいは鉱山地帶あたり、あるいは大都会における労働者のごとき者が用いております酒のようなものは、ほとんど認められていないような実情でありまするが、この第一の問題であるシヤウプ勧告の片寄つたところの酒に対する観察を、大蔵省は近く二十七日に来朝するところのシヤウプ博士に対して、この勧告が幾分間違つておるものであるということを訂正し、是正してもらう意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。
  93. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 シヤウプ・ミツシヨンの報告の中に、ただいまお述べのような酒に関する記述がございます。これは私どもとしましても、そればかりを指摘されるということは実際事実に合わない。一部にさような面もあろうかと思いますが、ただいまお話のように労務者の元気回復用としてのアルコールの存在という面は、これは当然御認識を願い、またおそらく御存じであられると思うのであります。今回再来朝をなさいます機会に、一つの大きな問題として酒税の合理化軽減の問題があります以上、これらの問題につきましては、さらによく事態を説明いたしまして、御認識、御了解を得なければならぬと考えておるわけであります。
  94. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 ぜひ大蔵省から積極的にシヤウプ博士に説いていただたきいと思うのでありまして、現在すでに衆議院に出ております陳情、請願書その他をトラックでここへ運んだというのは、これは別にあながち業者の運動ではないのでありまして、全国八千万のうちの酒を用います消費者の声を、十分この際シヤウプ博士に聞いてもらわなければならぬと思います。要するに、あの報告書の通りであるとすれば、これははなはだもつて皮相な報告書をつくられたものと、私は酷評してさしつかえないと思いますので、これはぜひ大蔵省におかれましても、関係官庁として積極的にこの報告書の是正方をお願いしたいと思います。  次にお願いしたい問題は、販売機構の問題でありまして、これは御列席の松田間税部長さんにお尋ねしたいと思います。これは今販売機構に甲という機関と乙という機関がありまして、甲の機関は一応大蔵省が非常な保護奨励策を立てているような建前になつている。しかもこれは全国にこの甲という機関だけありますのが、二十数箇県あるはずであります。これはどこから出て来たかというと——これは実は大蔵省考え出してこういうことを地方業者に勧めたというと、GHQにしかられるかもしれませんが、実は政府の慫慂でできたようなものであつて生産者と消費者と両方ででつち上げた会社が甲機関、もしくは株式会社で單独につくつたものもありますが、私の申し上げるのは、生産者と小売業者とででつち上げましたところの全国の甲機関というものが、主として協同組合の形式で営まれている。従つてこれが非常にぼろを出しているところもあるかもしれませんが、必ずしも全国的にぼろばかりではない。これが意外に成績をあげている点もあります。というのは、小売と生産の方と一体になつてでつち上げてありますから、いい面も多大であることが認められているのであります。そこで最近大蔵省の省議とかで、甲一本の府県では困るから、どんどん乙を許すというような御意見である。いわゆる直接卸をする小規模のものを認める御意見であると聞いているのでありますが、これはある程度やむを得ないとは思いますが、一面から見ますと、これは現在二十数県にまたがつてあります甲機関に対しては、非常に弱体化を来すところの理由になるのであります。しかも同時にどんどん許されることになれば、甲機関は立ちどころに業務を停止せざるを得ないような実情になつて来るのであります。これは間税部長さんの御見解を承りたいのですが、現在そういう甲機関が独占的であるからというて、非常に非難しておりますのは、主として五つにも足りない全国の大メーカーでありまして、この大メーカーのために大蔵省が動くということになりますと、清酒において約一万あります。また蒸溜酒と申しますしようちゆう、合成酒においてはおそらく百五十くらいあるだろうと思いますが、このたくさんの全国の小さい業者を犠牲にして、大メーカーのためにのみでき上るものが、今度の乙機関の増設部門ではないか、こういう結論になりはせぬかと私は思う。決して私は乙を認めることがいけないというのではありませんが、非常に愼重におやりにならぬと、立ちどころに全国二十数県にまたがつております甲機関は業務を停止し、しかも内容が非常に悪いようなものには大蔵省も迷惑すれば、業界全体が迷惑すると思うのでありまして、この場合においては非常に愼重におやりくださる必要があると思う。ことに今申しますように、全国一万に近い清酒業者、それから小さい業者は実に二百くらいもあるだろうと思いますが、五つの指に屈せられる大メーカーのために、こういうことが行われるようにも見られるのでありまして、私は決して独占的のものが今いいというのではありませんが、そういうふうな懸念が見られる。さらにまた現在におきまして、大蔵省がそういう生産者と消費者との協同による協同組合を奨励しておきながら、一方またそれをぶちこわすようなことを大蔵省みずからがやるということは、これは松田部長は当時御在任でないからその責任者でないので申しませんが、これは数年前の大蔵省意見によつてできたものである。大蔵省が一方において甲を保護し奨励しておるが、一方においてこれをぶつつぶすようなことになると、これは大蔵省としてははなはだ矛盾した政策をおとりになるということになる。のみならずこれがために非常に混乱を来し、ひいては徴税において非常に障害を来すというふうに私は考えるのでありますが、この点に対して大蔵省の御方針は、どの程度まで認めて行くという御方針であるか。松田部長さんの御意見を承りたい。
  95. 松田文藏

    ○松田説明員 甲機関をどういうふうに考えておるかという問題でありますが、まず考えておりますことは、甲機関は現在の段階においては十分その機能を持たせなければならぬと考えております。現在のように酒税が非常に高率になつておりますので、これを生産者のみで負担していただいて、そこで徴税するということは若干むりがありますので、これを甲機関と乙機関とが相分担して負担して、負担分散と申しますか、そういうかつこうにおいて徴税して行くことが、現在の段階としてはいいと思つておりますので、甲機関をなくするという考えは持つておりません。ではこれに対して競争的に乙機関をふやすということは、矛盾するのではないかということで、御意見があつたようでございますけれども、一方において考えなければならぬことは、経済の全般の情勢が自由主義経済になつて来まして、公正にして妥当な競争は極力これを奨励して行くということによつて、企業全体の能率を上げて行く。あるいはその経営の合理化をはかる。これが経済の全般の態勢でありますので、この一般的な基調を無視して、甲機関に対して独占的な利益を與えるというところまでこれを保護助長して行くのは、この時代の趨勢に合わぬのではないか。こういうふうにも考えておりますので、甲機関に対して若干の競争者をこの際ふやしてもいいのではないかということが、まず一つ言えますと同時に、そうすること自体が甲機関に対して刺激を與えて、みずから経営の内容をよくして行き、堅実なる経営をやらせるということになるのではないか、こういうふうにも考えておるのであります。その間の調整は非常にむつかしいかと思いますけれども、長年われわれは販売機関の指導なり、あるいは育成に関する相当の経験も持つておりますので、その問の調整をうまくとつて、甲機関に対して適当なる刺激を與えるという意味において、販売機関をふやし、また経済全般の基調である、公正にして競争的な企業態勢に持つて行きたいと思つております。それで乙機関を若干ふやして行きたいとは考えておりますが、まだ決定したことではありません。それは内部的にわれわれの方でいろいろ資料をとつてまだ研究中であります。しかし考え方としてはそういう考え方を持つております。
  96. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま松田間税部長さんの御答弁を聞いておりますと、乙機関を今後許す方向に研究を進めておる、こういう御答弁であつたようであります。しかし先ほど武藤君が申し上げましたように、今日酒税が滯納を来しておる。これは歴史始まつて以来の大きな問題であると私は考えます。今日どうして酒税が滯納を来しておるか。この原因を調べてみますと、酒税が高い、こういうことはもちろんでありますけれども、高い半面に卸機関が競争をさせられておる。これが大きな原因であります。そこへ先般シヤウプ氏が参りまして、酒税に関する大勧告をやりました。その勧告の内容につきましては、酒をぜいたく品といたしまして酒税を上げる、こういう一項目があつたわけでありますが、その反面に卸機関の強化ということをうたつておるわけであります。この上酒の値段を上げるということになりますと、おそらく酒は売れないであろう、あるいは売れましても掛売りに相なるであろう、こういう意味合いのもとにおきまして、どうしても卸機関を強化しなければならぬというので、ことさらに卸機関の強化ということをうたつたのであります。そこでシヤウプ勧告を基本といたしまして酒税を上げました以上は、一方においては卸機関の強化ということを、政府は当然やるべき責任があると私は考えるわけであります。しかるに現在ですら、甲機関が非常な競争をもつてかけひきを演じておる。こういう事実の認識を欠かれまして、さらにこの上乙機関を許す方向に研究されておる。こういうような考えは当を得ざるもはなはだしいものなりと言わざるを得ないのであります。ゆえにどうか松田部長におきましては、現在の甲機関が数億万円の借金を埋めるために非常に苦しんでおる、こういう現実もよく御調査になり、さらに全国の酒造業者というものは非常に困つておる。酒を現在掛売りにしなければ売れない、こういう実情もよく御調査に相なりまして、現在の酒造界がいかなる現況下に置かれておるか、こういうことをひとつよく御認識いただきまして、その結果認識を新たにされまして、酒造税というものをある程度思い切つて下げない以上は、卸機関というものは相当に強化すべきである、こう私は考えまするが、この点について松田部長の答弁を求める次第であります。
  97. 松田文藏

    ○松田説明員 お説の点につきまして、まず私卸機関の競争のはげしい地区におきまして、さらに卸機関に免許して、その競争をはげしくさせて行くという考えは持つておりません。むしろ卸機関において競争のない地区において、これを若干免許を與えて競争させて、そしていろいろな内部の企業の合理化をやらせ、また経営意欲を促進せしめる、こういう方向に持つてつてよけいに酒を売つて行く、こういうふうに持つて行きたいと考えております。それから全般のいろいろな状況について、さらに十分調査するようにということでありましたが、これはまことに仰せの通りございます。私も就任して間もないのでありますが、今後せいぜい努力して事態の把握に努めたいと思つております。
  98. 武藤嘉一

    ○武藤(嘉)委員 次に松田部長さんにお尋ねしたいのは、密造対策に対する国税庁の方針その他でありますが、最近非常に密造対策に対して、官民と申しますと語弊がありますが、民間側にも呼びかけられて、密造に対するいろいろな政策をおとりになつているのは、業者として非常に喜んでおるのであります。しかしながら最近一番私が痛切に感じますことは、これが最後において何らの大した効果にならない。というのは、きようはここには法務府からおいでになつていないから申し上げられませんが、実はこれがいよいよ検挙されて、裁判所へ行つて判決が下りますと、非常に軽いのです。これはこの際よく総務部長さんのお耳に入れておきたいのですが、ほとんど執行猶予になるか、非常に軽い。何のために非常な労力と危險と金を使つて、密造退治をやつたんだかわからぬような、検察の方はともかくも、裁判所の判決は軽過ぎる。そこで何べん税務署が密造退治を身命を賭してやられたところで、裁判所の方の結果は非常に軽いようでありますから、そこでこれはどうぞ私ども大蔵委員会にも、でき得れば法務府から御出席を願つて、国家の大きな財政の、しかも二四%に近い国家予算を占めておる酒税の確立をはかろうとして、非常に大蔵省努力して、密造退治をやるにかかわらず、裁判所の結果は非常に軽い、何のためにやつているのだ、それこそ費用倒れになつてしまうのじやないかという結論になりますので、ぜひこの機会に、判決が軽過ぎるんだから、これでは何もならないということを、ひとつ御留意願いたいと思います。  それから、なお密造対策について、最近では相当に民間からも費用を出しております。私の関係のある財務局でも、四つの県からこの間二百万円の金を出しました。私の県の税務署でも、各税務署が二十万円ずつ金を出しておりますが、九つあれば百八十万円であります。こんな大きな金も單に一県もしくは一財務局だけの問題でありますが、全国的に見たならば、この金額はおそらく数千万円どころか数億にも達するかもしれませんが、これほど大きな金をかけて、われわれはなお効果が上るかどうか心配しておるのです。政府みずからは千三十億をとろうという予想を立てておきながら、一体これに対する対策費というものは、聞くところでは三千数百万円であるとか聞くのですが、これは次の国会その他予算の補正のときに、大幅に密造対策費を増額する意思が政府においてあるように希望したい。そうしませんと、今私の申し上げた通り、一県だけでも百八十万円、四県でもつて二百万円、しかもこのほかに必ず相当あると思いますが、かような苦しい現状において、酒の業者にこんな政府の法律のエンフオースメントというか、法律の励行ができないために、われわれがこれに対して苦しい世帶からなお数百万円、あるいは全国的には数億に対する金を出さなければならないということは、根本においては酒税が高いという、非常に間違つたことによるとしても、政府みずからこれに対する対策費が少いということは、いかにも心外だと思いますが、これに対する総務部長及び間税部長さんの御意見を承りたいと思います。
  99. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま御指摘の、密造犯を検挙いたしました場合に、非常な犠牲を拂つてやるわけでありますが、その判決が軽過ぎて効果がない、こういうお話であります。司法の方は独立にやることでありますが、そういうお話がありましたことは、よく関係向きにお伝えいたします。  それから、経費が非常に不足をしておるという御指摘でございますが、実は私ども予想以上に密造犯がこのごろふえているようであります。この密造の取締りを強化しますには、何としても経費がかかるのでありますが、目下主計局ともいろいろ相談をいたしておるわけであります。将来なお適当な補正予算その他の手続をも、お願いいたさなければならぬことと思いますが、お話のように、政府で当然やるべきことを民間の業者の方々の負担においてやるということは、これは極力避けなければならぬと考えております。今後事態の推移を見ました上で、必要な措置を講じたいと考えております。
  100. 松田文藏

    ○松田説明員 先ほどの罰科金と申しますか、判決が軽いということにつきましては、実は私どももその点は承つておりますので、検察庁ともその点についてわれわれの要望するところを伝えておきました。先月の末に検務局とその問題の取扱い方につきまして協議をいたしまして、なお研究いたしております。これは一つは、たとえば罰科金に例をとつて参りますと、裁判所の方ではあまりに高過ぎるので、結局これが判決となつて現われても、負担力がないので、かえつてそれが逆効果のかつこうで低目な取扱いになつておるのだ、こういうふうな意見もあるようでありまして、現在の酒税法で定めておる罰科金等の基準について、再検討いたしております。この点については、御趣旨もありますので、早急に検務局と相談をして、適切なる処罰が早めに実行されるように、われわれとしても処置したいと思つております。  それから経費の問題については、先ほど総務部長のおつしやいました通りであります。内部的にも許せる範囲において経費の増額をお願いしております。業界の方に御迷惑をかけることは、極力避けたいと思います。さよう御了承願います。
  101. 川野芳滿

    ○川野委員 一点だけお尋ね申し上げておきます。実は二、三日前でございましたか、大蔵大臣がお見えになりましたので、大蔵大臣に対しまして、密造の問題について質疑を試みたわけであります。大蔵大臣の答弁は、現在の予算をもつて事足りる、人員の配置転換をもつて密造を徹底的に取締る、要約いたしますると、こういう答弁であつたわけであります。そこで私の考えといたしましては、これは税務吏員だけで取締り可能な問題でございますならば、配置転換をもつて効果を上げるものと考えておりますが、実際においては警察の援助のもとに取締りをやつておる現在の実情から申しまして、配置転換ぐらいではとうていこの密造の対策は不可能である、こう確信いたしておるわけでございます。大蔵大臣はこういうようなことで事足りるという答弁をされたのでございますが、私の察知いたしまするところによりますると、大蔵大臣は地方の実情にお通じない。言葉をかえて申しますならば、取締りの任に当つておられる国税庁からの注意が、足らないのではないかと私は思いますので、現有の予算面においては、とうてい密造取締りの対策は不可能である、こういう点を大蔵大臣の耳から頭に拔けるように、ひとつ詳しく御説明を願いたいと存じます。  さらにただいまも武藤君から御質問がありましたが、地方の酒造家は、実は寄付をいたしておるわけであります。そこで景気のいい時代でございましたならば、ある程度の寄付はともかくといたしましても、そう苦痛はないと感ずるのでありますが、現在のごとき酒造業者が非常に困つておるときに寄付を出されるということは、酒造家の台所も非常に苦しいと考えますので、この点に対しましても実は質問をいたしました。ところが大蔵大臣は、地方の酒造家に対して寄付をもらうことはできないという通牒を出すという答弁でありました。そこで実際監督の任に当つておられる国税庁から各地の税務署に対して、取締りの寄付をもらうことはできないという通牒を、ひとつ大蔵大臣の趣意に従いまして、国税庁も出していただきたいと思いまするが、この点につきましての御答弁を願いたいと思います。
  102. 松田文藏

    ○松田説明員 大蔵大臣に密造の状況について、国税庁の方から十分説明がしてないのではないかというお話は、あるいはそうでありますれば、さらに私の方から最近の状況を十分お伝えいたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思います。  それから経費の問題につきましては、大蔵大臣が言われます通りでありまして、国税庁としましても、この密造対策の経費について業者の側から寄付を求めることは避けるべきだというふうに、先般の局長会議の際にも一応申し上げてあるのでありますが、密造対策自体が当面の問題として非常に緊急を要しております。従つて今ここで予算を計上するなり、あるいは別途の経費を充当して、ただちに間に合うかどうかという問題がありましたので、実は絶対にその経費の寄付を求めてはいけないというところまで、ほんとうを申しますと、私どもとしまして断言できなかつたのでありますけれども、幸い一方におきまして、相当の経費を増額してもらえるような事情にだんだんとなりつつありますので、その趣旨に従つて措置して行きたいと思つております。
  103. 竹村奈良一

    竹村委員 時間の関係があるので、いろいろの点はあとにいたしまして、一点だけお伺いしておきたいと思います。それは二十四年度の滯納整理のことでございますが、滯納整理の基本的、根本的な基礎は一体どういうふうに置いておられるか、この点であります。たとえば前々国会だと思いますが、大口滯納の問題についての整理関係について質問いたしましたときに、政府当局はたとえばその滯納の差押え等を強行することによつて、その企業がつぶれるということは、次の徴税にさしつかえるから、それは行政的な措置で諸般の事情を考えてやつておる、こういう答弁をされておるのでありますが、最近におきまするいわゆる中小工業者以下小さい商売人等の滯納整理における差押えの状況を見ておりますと、実際差押えをやつて行くならば、再びこの営業を続けることができ得ないということが、何人も判然とするような状態に至るまで、差押えを強化されておる事実を各所で見るのでございます。従つて現在この滯納者に対しましては、たとえば大口の件については諸般の事情を考慮して、その企業の継続ができ得るような考え方をもつてやる。そして中小工業者以下の、まして小さい商売人等は、少くとも商売を閉鎖しなければならない程度までもやる。こういうような考え方じやないかしらんとわれわれは考えるのでありますけれども、この点について滯納整理をやられる基本、たとえばこれは当然納めるものであるから、もう商売はつぶれてもかまわない、やつてしまうのだ、こう一律にお考えになつているのか、あるいはその点についてはいろいろな行政的な考え方をもつて、再び延納を認めるとか何とかして商売を続けさすという考え方でおられるのか、この点だけを一つお伺いいたしておきたいのであります。
  104. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 滯納整理の基本方針としまして、大口滯納者と中小企業と小口の滯納の場合を、何か差別して考えているのじやないかという御質問の御趣旨でございますが、この点は何ら差別はいたしておりません。なお先般大蔵大臣の談話として発表せられました通り、また当委員会におきまして、すでに数回にわたつて申し上げました通り、われわれとしては今日の経済の状態が非常に重大な状況であつて課税面に熱心なるあまり、納税者の実情を無視して滯納整理を強行するということだけでは、かえつて犠牲を多くするにすぎないという点も、すでに大臣の談話の中にもあるのでありまして、そのためにはまず課税について謙虚に反省を加える。そして個々の納税者の実情をよく把握して、その上で先ほど申し上げましたように、資力があつてなお慢然と滯納しておられるような者に対しては、峻嚴に法の定めるところによつて処分する。精一ぱいに納税のために努力しておられるような方には、いわゆる督励にまわりました際に、その納税計画というようなものをはつきり示していただく。それによつてできるだけ法令の許す範囲内において、納税者の立場も考えながら現金の收入をあげて行く、こういう方針でやらしておるわけであります。従いましてわれわれとしては、どこまでも法令の定めるところによつてやるわけでございますが、その法令の範囲内におきましては、現下の困難な経済、金融の情勢を十分考慮に入れて、実情に即するごとくやつて行く、こういう方針でやつております。
  105. 竹村奈良一

    竹村委員 大体そういう方針でやられるとしますならば、もし末端においてそういうような考え方をやめて、差押えをすれば当然あすの日から営業ができない、預金も何もないから分納させてくれと言つておるのに、むりにやつた場合には、朝から御答弁願いましたように、その地方の苦情処理委員会に持ち込んで行く。但し苦情処理委員会に持ち込むということにつきましても、実際現地においてはその税務署にあるのだから、なかなか受付けてくれないと思いますが、もしそこに持ち込んで行つて受付けられなくて、国税庁に直接持ち込んで行くということにいたしましたならば、おそらく処理されることと思いますし、もし現地において先ほどおつしやつたように、商売をつぶしてしまうという考えはないのだ、とるものはとるけれども、しかし商売をつぶしてまでとるという考えはないのだという考え方を、末端の税務署員が聞かない場合におきましても、これはやはり公務員法によつてその者に対する警告その他の方法をお與えになるかどうか、重ねてお伺いしたい。
  106. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま竹村委員の御質問でございますが、苦情処理委員会というものは、おそらく先ほど申した苦情相談所のことかと存じますが、これは国税庁国税局に置いておるわけであります。いわば上級官庁に置いて、下級官庁のやつておることに対する苦情を承る、こういう趣旨でございますから、御了解いただきたい。なお滯納整理において営業をつぶさないという方針のように承知するがというお話でありますが、私どもとしては営業をつぶす目的で滯納整理はいたしません。しかしながら法令の定むる最大限度の考慮をいたしましても、なおやむを得ないで整理をいたし、その結果営業できなくなるような事態も、これはあり得ることと考えるのでありまして、さようなことは絶対いたさないという趣旨ではございませんが、しかしそれを目的にやることは絶対いたさない。できる限り納税者の実情を聞き、法令の許す範囲においての考慮は加えて行くという趣旨でございますから、その点は誤解のないように御了解いただきたいと思います。なお法令あるいは通牒その他一般的に常識から考えまして、非常に不当な処分が行われたような場合、上級官庁に出されましたような場合におきましては、必要な処置を講ずることはもちろんであります。さらにまた責任者について必要な処分も講じなければならぬと考えております。
  107. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時三十二分散会