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鈴木(善)
委員 北海道の
水産孵化場の問題は、先ほど申しましたように、私はこの
予算は非常に適切な
予算であると
考えるのでござい
ますが、ただ
北海道と同様な関係にあり
ますところの
内地の、特に
東北方面の鮭鱒
孵化場についても、何ゆえに
北海道の
孵化場と同様な
施策を講じなか
つたか。これは二十五
年度の
予算編成にあたりましても強調してあ
つた点でありまして、当時飯山
長官は、二十五
年度においてまず
北海道に着手するが、二十六
年度以降においては、逐次
内地にもそのような
施策を講じたいということを言明しておられる点からいたしまして、何ゆえに同様の鮭鱒
孵化放流事業を対象としたところの
東北方面の
孵化場についても、
北海道と同様の
施策をとらなか
つたかということを
お尋ねいたし
ます。
さらに
予算全般を通じまして私の感じ
ます点は、
水産業協同組合に封ずる育成の裏づけが、きわめて貧弱きわまるものであるという点であり
ます。なるほど
魚価維持の対策として、主として
漁業協同組合等を対象として、製氷冷凍工場等の助成をするというようなことを
予算化し、また組合の検査であるとか、
指導、監督ということをうた
つており
ますけれ
ども、
経済的な面における協同組合の育成助長の政策がきわめて貧困であるように痛感するのであり
ます。具体的に申し上げ
ますと、現在の
水産業協同組合の系統団体は、
漁業協同組合の
水産業系統団体の古い債務の重圧のもとに、非常に苦しんでおるのであり
ます。この古い債務は四十億になんなんとしておるのでありまして、またこの旧団体から新しい協同組合がいろいろな資産を引継ぐにあたりまして、出資金が貧困であり
ます関係から、やむを得ず資産とともに債務をも継承しておる。その関係から、非常に旧債の利息及び延滞利子等の重圧のもとに、現在の経営すら非常な危機に瀕しておるのが実態であり
ます。この問題につきましては、農業団体におきましても同様の事情があるのであり
ますが、いち早く農業団体に対しましては、
政府が強力なる
指導を加え、また農業系統団体を督励いたしまして、再建整備の具体的な工作を着々と講じており
ます。来るべき
国会においては、農業団体の古い債務の利子補給について、国庫から助成をするというような具体的な対策をさえ立てておるように承
つておる。にもかかわらず、
漁業団体の四十億の古い債務、それから生ずるところの多額の利息の重圧に苦しんでおる
段階におきまして、これに対して利子補給等の、
水産業系統団体の再建整備、更生計画に寄與するような具体的な
予算措置が、何ら行われていないということを、私は非常に遺憾に思うのであり
ます。さらに御承知のように、四月一日の
水産物の全面的統制撤廃によりまして、その善後措置がまずか
つた関係もありまして、焦げつきが
相当できており
ます。一例をあげ
ますと、私の出身地であり
ます岩手県におきましても、一億五千万円の焦げつきを生じた。これは統制が始ま
つて以来十年余りの間に、岩手県下の
漁業団体が、
政府の指定を受けた集出荷機関が取扱
つたところの総取扱い高から見
ますと、この一億五千万円はわずかに一%にすぎません。従
つてこれは、これらの団体が経営の放漫とか、あるいは役員、職員の背任行為とかいうような、経営のずさん乱脈によ
つて生じたものではなくて、きわめてまじめなる経営を、国家の要請に従
つて行つて来たのであり
ますけれ
ども、統制撤廃前後における善後措置の不徹底からいたしまして生じたところの、不可抗力とも称すべき焦げつきが一億五千万円であり
ます。しかもそれは統制期間中に取扱
つた全総額の一%にすぎない。これを薪炭特別会計であるとか、現在ひんぴんとして摘発されており
ますところの、いろいろな公団等のリスト等から比較してみ
ますならば、きわめてまじめなる、不可抗力によ
つて生じたところの
金額であり
ます。これは当然国家が
補償してしかるべきものと私は
考えるのであるが、
全国の系統団体出荷機関が、統制撤廃の前後において生じたところの焦げつきは数十億に及ぶと思うのであり
ます。これに対して、
政府は何らか国家として救済の手をさしのべる御用意がないかどうか。その
予算化について
当局は総理あるいは
大蔵大臣、
農林大臣等に対して、真剣に取上げて御折衝なさ
つたいきさつを承りたいと思うのであり
ます。
このようにいたしまして、沿岸
漁業者の
経済の中枢機関であるところの
漁業団体に対する再建整備に対し、あるいは統制撤廃後のこれらの焦げつきの救済等に対して、何ら
予算の上に手を打
つていないということは、大衆
漁民に対する
当局の冷淡と申し
ますか、無理解と申し
ますか、そのようなことを指摘されても弁解の余地がないのではないか。これはわが
自由党が大衆
漁民の立場を絶えず
考えて、あらゆる政治を推進しており
ます。この
自由党内閣のもとにおきまして、その
指導下にあるところの
当局が、何らその党の政策、現内閣のその強い線に沿うたところの
施策を講じてないというふうに、私
ども遺憾に思うのであり
ますが、この点について
長官から明確なる御
答弁を願いたいと思うのでござい
ます。