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1950-08-28 第8回国会 衆議院 水産委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年八月二十八日(月曜日) 午前十時五十八分
開議
出席委員
委員長
冨永格五郎
君
理事
小高 熹郎君
理事
川端 佳夫君
理事
田口長治郎
君
理事
林 好次君
川村善八郎
君 鈴木 善幸君 田渕 光一君 永田 節君 平井 義一君 福田
喜東
君 松田
鐵藏
君 岡田 勢一君 小松 勇次君
水野彦治郎
君
委員外
の
出席者
農林事務官
(
水産庁漁政部
長)
松任谷健太郎
君
農林事務官
(
水産庁漁政部
漁政課長
) 戸嶋 芳雄君
農林事務官
(
水産庁生産部
水産課長
)
水野
榮君
経済安定事務官
(
建設交通局次
長)
山崎小五郎
君 專 門 員 杉浦 保吉君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
漁業経営
安定に関する件 —————————————
冨永格五郎
1
○冨永
委員長
これより
会議
を開きます。
漁業経営
安定に関する件を議題といたします。この際政府より発言を求められておりますので、これを許します。
松任谷漁政部長
。
松任谷健太郎
2
○
松任谷説明員
この際
委員会
におかれまして、
水産庁
といたしまして現在
大蔵省
に提出中の
予算
の諸
事項
につきまして、御
検討
を煩わしたいと思いまして、その
内容
につきまして概略御説明申し上げたいと存じます。
予算
の
進行状況
は、現在
農林省内部
におきましては、各局の
予算要求
を官房でも
つて
査定いたしまして、それをとりまとめて
大蔵省
に提出しております。そこで
大蔵省
では各省との
予算要求
の振合い、並びに全体の
経済情勢等
をにらみ合せて査定いたしまして、それを指示して参るわけでございますが、その内示につきましては、実のところきようかあしたとい
つた
ような予定に
なつ
ておりまして、現在
大蔵省
がいかなる
事項
をどの
程度
査定して
参つて
いるかという点につきましては、まだわからないのでございます。従いまして、これから御説明申し上げまする
予算事項
は、すべて
農林省
の
大蔵省
に提出した原案に基きまして御説明申し上げたい、かように存ずるのでございます。 お手元にお配り申し上げましたのが、
水産庁
の
昭和
二十六
年度
事項別概算要求
の
内訳表
でございまして、一から三十三まで
事項
があるのでございます、これはここにもございますように、
一般会計
に
なつ
ておりまして、このほかに
漁船保險特別会計
は昨
年度
実績二億三千万円
程度
であ
つて本年度
二億九千万円、二十六
年度
約五億の
予算
とさらに
公共事業費
、これは
漁港関係
でございますとか、あるいは
営繕関係
というものが別に
なつ
ておるのでございます。
公共事業費関係
は、大体
要求
としましては、
漁港
につきましては五十億
程度
を
要求
しておるのでございます。それから
営繕関係
といたしましては一億四千万円
程度
を
要求
しておるのでございます。総計的に申しますると、
一般会計
につきまして、ここにございますように、昨年の
一般会計
が九億九千九百万円、約十億であ
つたの
でございまして、それに対しまして、来
年度
の
要求
といたしましては三十三億八千四百万円
程度
、約三・四倍とい
つた
ふうに
なつ
ておるのでございます。しかしながら、この内訳を見ますと、
終戰処理費
、たとえて申しますると、八番の
漁業
の
制限
に伴う
損失補償
とい
つた
ような
予算
につきましては、あるいは
終戰処理費
の中からまかなわれるかもしれぬということに
なつ
ておりますし、それから先ほど申しました
北海道開発関係
の、ここにございますように、二十七番の
北海道
の
漁港修築費
でありまするとか、あるいは三十番の
北海道水産孵化場
の
予算
でございまするとか、三十一番の
北海道水産開発
とい
つた
ような
予算
につきましては、
北海道開発庁関係
の
予算
として一億一千二百万円
程度
が見られてございますし、そのほかに二十一番にございますように、
漁船関係
の二十六
年度
の
予算
の中には、
平衡交付金
に該当するような
部分
が千九百万円ほどございます。それから先ほど申しました
営繕費等
の
関係
の一億三千八百万円等も含まれておりますので、そうい
つた
部面
を合計しますと、約八億八千万円
程度
になるわけでございますが、それを三十三億から引きますと、二十五億
程度
になるのでございます。従いまして本
年度
の実質的な
予算
の
関係
は、昨年に比べまして二・五倍
程度
とい
つた
ふうな
状態
を示しておるのであります。
事項別
に入ります前に、先に
一言人件費
の
関係
につきまして、総括的に申し上げておきたいと思います。
人件費
につきましては、極力
行政事務
の
内容
の
充実
と能率の
合理化といつた線
に
沿つて
、なるべく人を増さないで
仕事
が実質的にできるという心がけをもちまして、
予算
を組んだのでございますが、やむを得ずしてどうしても
増加
する
部面
が出て参ります。前
年度
の
予算額——
前
年度
と申しますのは本年の
予算
でございますが、二十五
年度
の
予算額
と二十六
年度
の
予算額
とを比べますと、総体として百四十二人の
増加
に
なつ
ておるのでございます。すなわち二十五
年度
の
予算定員
は千四百十四人でございますが、二十六
年度
におきましては千五百五十六人ということに
なつ
ておるのでございます。それは
本省
で八十人
程度
の
増加
、
水産研究所
で二十一人
程度
の
増加
、第二
水産講習所
が四十一人
程度
の
増加
、これはもちろん船員の
関係等
も考慮しての
増加
に
なつ
ておるのでございます。 人の
関係
は以上のようなことでございますが、
調査指導船
の
建造
と申しますが、これも非常に
建造費
を要する。それから時期的の
問題等
もございまして、二十六
年度
において
建造
を予定しておりますのは、
水産研究所
の
観測船
と
調査船
というものが二隻、それから
水産講習所
の分が一隻、合計三隻の
建造
を見込んでおるのでございます。以上が
人件費
と
建造
の
関係
、それから全体の
予算関係
に
なつ
ておるのでございます。 次にその
一つ一つ
につきまして
事項別
に御説明申し上げまして、この
事項
の中でどういう
事項
が
重点
的な
事項
として考えられなけばならぬかというような点につきまして、
水産庁
の方針を一応御説明申し上げたいと思います。 第一項の
水産庁一般行政
、これは要するに長官以下の幹部の
人件費
を
中心
にしたものでございまして、この中に本
年度
は
災害補償制度
の
調査費
約百万円を計上しておるのであります。
人員
につきましては、
会計等
を
中心
にしまして、三名の
増加
に
なつ
ておるのでございます。 それから二番目の
職階制実施
につきましては、
職階法
の
実施
に伴いまして、
水産庁
におきましても各職場の職階を確立し、
維持
して参る必要がございますので、五人の
担当官
を設置いたしまして、それに必要な
運営
の
予算
を組んだのでございます。 それから三番目の
漁船乗組員養成事業
でございますが、これは御
承知
の大
日本水産会
に毎年委託して、
漁船乗組員
の短期の
養成
をや
つて
おるのでございますが、本
年度
におきましては
船員法
の
改正
もございまして、二十トン未満にも適用になるというような
状態
にございますし、また
水産物
の
利用関係
から申しまして、船に
冷凍機
をつける船が多く
なつ
て参りましたし、そうい
つた
ふうな
事項
につきまして、
講習事項
を附加いたしまして、それを
予算
的に処置して参りたいということを考えたのでございます。
人件費
の
関係
につきましては、昨年通りでございます。
内容
的に
増加
しておる。しかしながらいずれもこれは大
日本水産会
の方に委託して
講習
をさせるという建前でございます。 それから第四番目の
漁業制度改革
の
経費
でございます。これは二十五
年度
に比べまして、四、五億
程度
の
増加
に
なつ
ておるのでございます。この点は二十六
年度
が
ちようど漁業権
の切りかえでもございますし、
補償関係
も同時に出発する時期でもございますので、特に
漁業証劵交付
の
関係
につきまして、三億
程度
の
予算
が出ましたのと、それから
船員名簿
をやはり毎年つくらなければいかぬという
経費
でございますとか、あるいは
免許登録
に対する
仕事
の
調整
の
事務
でありますとか、あるいは
漁業法
の
実施
に伴いまして、訴訟その地の
関係
がいろいろと起こりますので、それに必要な
経費
というようなところに
重点
を置きまして
予算
を組んだのでございます。人の
関係
について申しますと、昨
年度
六十二人の定員を百五人にする。すなわち四十三人ほど
増加
しておる、この切りかえと、それから証劵の問題を円滑に
実施
して参りたいというふうに考えておるのでございます。 それから第五番目の
沖合漁業取締り
並びに
指導調整
の
事項
につきましては、これは
北海道
の入会問題、あるいは山陰の入会問題、あるいは
太平洋方面
の
入会調整
の問題というふうに、沖合の底びき
漁業等
を
中心
にしまして
漁業調整
を要する
関係
が出て参りましたし、
漁業法
の
実施
に伴いまして
漁場計画
との
関連
をどう結びつけるかというような点も出て参りましたし、
調整
をいたしました後の
生産秩序
と申しますか、
操業秩序
の
維持
をいたしますためには、どうしても
取締り
が
重点
にならざるを得ないとにいような
意味合い
から申しまして、これに
駐在所
を
中心
にして四隻の
傭船
をや
つて
取締船
に当らせるというふうな輿論に
なつ
ておるのでございます。大体六十トン、二百十
馬力級
の
漁船
を四隻
傭船
しまして、
北海道
、仙台、香住、徳島とい
つた
ふうなところにその
漁船
を配置しまして、入会の
調整
、
操業秩序
の
維持
というような点を強化して参りたいというふうに考えておるのでございます。なおそのなかに瀬戸内海の
取締船
については
傭船
二隻、三十トン級を考慮しております。 それから第六番目の
漁業制度改革
、これは内
水面
の
事項
でございますが、この内
水面
につきましては、
沿岸
と多少趣を異にしておりまして、
資源
の
維持培養
とい
つた
ふうなところに
重点
があり、またそれに伴う
管理委員会
とい
つた
ところの
知事選任
の
委員会
があるのでございますが、そういう
委員会
の
運営等
につきまして、従来
沿岸
の
委員会
と
予算單価
が
大分開き
を見せてお
つた
。それを二十六
年度
は
実施
の段階になりますので、とにかく
沿岸並
に
委員会
の
経費
を
増加
して参るということとか、あるいは
増殖
を
中心
とする内
水面
の
漁業権付與等
に関しまして、
地区調査
をさらに徹底して進めて参るというような
事項
が
増加
の
内容
に
なつ
ておるのでございます。 それから第七番目の
水産増殖
の
経費
につきまして、これは二十五
年度
の
予算
に比べまして七、八千万円
程度
の相当の
要求増
に
なつ
ておるのでございますが、この点はいろいろと二十六
年度
の見通しを考え、
わが国漁業
の将来を考えましても内
水面
、浅海にわたる
増殖事業
ということにつきましては、どうしても
重点
を入れまして
振興
をはからなければならぬというような
気持
からいたしまして
水産増殖振興費
に
相当多額
の
増加
を見込んで
参つて
いるのでございます。
内容
の
事項
につきましては、あとでこまかにお話申し上げたいと思います。 それから第八番目の
漁業
の
制限
に伴う
損失補償
でございますが、これは御
承知
の
演習地設定
に伴うところの
漁業
が受ける
損失
を補償する
予算
でございます。この点は
国会
におきましていろいろとお
せわ
を申し上げたのでございますが、
閣議決定
の線に沿いまして、極力これを
予算
化して交付して参る、本
年度
の
補正予算
とい
つた
ようなものとの
関連
におきまして、来
年度
も
要求
をしているのでございます。
内容
は大体十二箇処の分を考えておるのでございます。 それから九番目は
荒廃漁場復旧
でございまして、これは
国会
の小
委員会
におかれまして、いろいろと御
指導
を願い、
調査等
につきまして御援助を
願つた資料
に基きまして、戰時中のいろいろの
漁場障害物
を除去するというような
経費
でございまして、海上保安庁との
予算分担等
を考えまして、この
程度
の
復旧費
を考えておるのございます。 それから十番目の
水産業協同組合指導監督
に関する
経費
でございますが、これは現在四千に近い
組合
及び
連合会
がございますが、それを育成いたしましてその誤りないお
せわ
を申し上げたいというようなことで、
人件費
を
中心
とし
指導費
、
監督費
とい
つた
ようなものが
要求
されておるのでございます。 それから十一番目の
水産業協同組合検査
でございますが、これは
新規
の実行でございまして、御
承知
の
通り農業協同組合
におきましても、
法律改正
によりまして
検査制度
を施行いたしまして、毎年必ず定期的に
検査
を行うというようなことによりまして、
協同組合
の将来の発達の
堅実化
を期して
参つて
おるのでございますが、
水産業協同組合
につきましても同様のことを考えまして、それに伴う
予算
を
要求
しておるのでございます。なおこの
予算
の問題につきましては、当然法律の
改正等
も前提といたしておりますので、いろいろと御
審議
を煩わす機会が出て来るものと思うのでございます。それからこれは
本省
の
職員
の五名の増ということを考えておるのでございます。 それから十二番目に
沿岸漁業魚価維持対策
という
事項
が
新規
に出ておるのでございまするが、これはいろいろ
国会
でも愼重に御
検討
くださ
つて
おりました。
補給金
の打切りでございますとか、あるいは
魚価
の低落とい
つた
ような事態に備えまして、
漁業経営
を全国的に何とか安定した線に持
つて
行きたい。それにはどうしても箇々の
指導
でありますとか、あるいは業者の自主的な
関係
というようなことのみに期待すべきではなく、国が当然財政的に
めんどう
を見るべきであるというようなお話もあ
つたの
でございまして、
そういつた線
に沿いまして、主として
生産地方面
におきまして、
協同組合
を
中心
としました
冷蔵庫
あるいは
冷蔵庫
というようなものの設置の
補助
を考えているのでございます。大体
冷蔵庫
につきましては、五トンのもが二十箇所くらい、十トンのものが十箇所くらい。それから
冷凍関係
につきましては、四十箇所くらいというような
程度
に考えておるのでございます。この点は
魚価維持対策
という
名前
には
なつ
ておりますが、この
気持
を表わした
名前
といたしまして出ているのでございます。 それから十三番目の
漁船保險実施
に要する
経費
でございまするが、この点は昨
年度
と違いましたのは、
宣伝啓蒙費
あるいは
講習会
、
組合補助金
、
漁船保險組合補助金
というものが、二十五
年度
予算
まではいわゆる
保險料
に基く
特別会計
によ
つて
経理されておりましたものを、これを
一般会計
に移す、組みかえるというような操作をしたわけでございます。これは次に出て参りまする十四番目の、
漁船
再保險
特別会計
繰入れの一億八千七百万円
程度
の
予算
と同様な趣旨でございまして、前
国会
におきまして、いろいろと
漁船保險制度強化充実
の御
審議
御
検討
の際に、御示唆を受けました
事項
に基きまして、
予算
を
要求
しているのでございます。すなわち十四番の一億八千七百万円という
特別会計
へ
一般会計
から繰入れるその金は、
漁船保險制度運営
の
基金
というような性質を持つわけでございまして
異常災害
の
損失
をカバーしましたり、あるいは従来の
漁船保險特別会計
の
損失補填
という問題でございますとか、さらに
漁業経営
の安定に資するために、
漁船保險料
の
未納等
の額を了定いたしまして、それを
基金
によ
つて
ある
程度
運営
上カバーして、
漁船保險制度
の
運営
を円滑にいたして参るというような
意味合い
が含まれておるのでございます。 それから士五番目の
水産物取引改善
でございますが、これは
統制廃止撤廃
に伴いまして魚市場の
監督
の問題でございます。さらに
生産者等
に対しまして市況を
一般
的に周知徹底させることが必要に
なつ
て参るというような
意味合い
から、それらの
事項
を
中心
にいたしまして
予算
を
要求
して
参つて
おるのでございます。もつとも
内容
的には、
人件費
から申しますると、二十五
年度
に比べまして、二十五
年度
が三十人の
予算定員
に対して二十六
年度
は七名、二十三名の減少に
なつ
ているのでございます。この点は
統制廃止
というような
意味合い
から申しまして、
統制
上必要でありました人は、極力
配置転換等
によりまして圧縮しまして、
必要最小限度
の
人員
でその
関係
をや
つて
参るということに
なつ
ておるのでございます。もつともその
予算
上切られました二十三名の分につきましては、
新規
に
増加
する
部分
でカバーして参り、実際上の
運営
につきましては、
配置転換等
によりまして
運営
して参るということに相なるのではないかと考えておるのでございます。 それからその次の十六番目の
漁業用資材対策
、この点も
資材
の
配給統制
と申しまするのがいろいろと整理して来ておりまして、一部には
統制
を解除されたような
資材
も出て来て
参つて
、だんだんとそういう傾向になるわけでありまするが、現在はおもに燃油でありますとか
綿漁網等
の漁具を
中心
にしまして、どうしても
割当配給統制
というものが行われなければならぬことに
なつ
ておりますので、二十五
年度
十七名に対して二十六
年度
十二名、五人の減少ということに
なつ
ておるのでございますが、この点も
先ほど取引改善
で申し上げました線に沿いまして、実際上は
運営
して参るということに相なると思うのでございます。 それから十七番の
水産物加工改良
の
関係
でございます。これは
新規
の
予算
でございまするが、南氷洋の鯨肉の
検査
の
関係
でありますとか、あるいは
カン詰
の
検査
の
関係
でありますとか、あるいは
水産機械
の
検査制度
の問題でありますとか申しますように、主として
加工品
の
改良
につきましての
検査制度
に要する費用として
要求
されておるのでございます。 十八番につきましては、海藻の
利用工業振興
に要する
経費
でございます。これは御
承知
のように、従来利用さるべくして利用されなか
つた
海藻類
、特に
褐藻類等
につきまして、寒天、アルギン酸、
ヨード等
のいろいろの
加工品
が考えられまして、これはいろいろ未
利用資源
を利用するというのみならず、
わが国貿易
に寄與する面も大きいわけでありますので、何とかしてこういう
貿易加工工業
というものを
振興
する必要を考えておるのでございます。現在の状況を見ますると、個別にいろいろと
各種
の
工業
が起
つて
はおりまするが、それが総合的に
運営
されておらないというような
意味合い
で、
工場採算
の面から非常にやりにくい点ができておるようでございます。そこでそうい
つた
総合的な
工場
の経営を何とか確立させる必要がありはしないか、またどうしてもそういう方向に将来は動かさなければ、
貿易振興
の問題もなかなか
実施
がむずかしく
なつ
て来るというような
意味合い
におきまして、これは主として
工場
に委託をしてそうい
つた
部面
を調査するというような
予算
を組んだのでございまして、その
実施いかん
によりまして、将来業界がそれを目指してや
つて
参るというような意図を含んでおるのでございます。
内容
的に申しますると、全国に二箇所
程度
の
工場
を選定しまして、そうい
つた
総合経営
を委託調査して、国が
機械等
の
めんどう
を見て参るというふうな
予算
の
内容
に
なつ
ておるのでございます。 それから十九番の
水産物輸出振興
でございます。これは
新規
の
予算
でございまして、通産省の
関係等
に非常に
関連
する
事項
でございまして、従来はなかなか
予算
が組みにくか
つたの
でございますが、何とかして
水産庁
におきましても、
輸出振興
に関する
予算
を計上して行きたいというような意図から、
農林省
全体のまとま
つた意見
といたしまして、
水産庁
の
予算
としましては、
展示会
でありまするとか、あるいは
海外宣伝等
の
経費
を組んだのでございます。 それから二十番の
遠洋漁業取締り
並びに
指導監督
に関する
経費
でございます。この点は従来の遠洋の
指導監督経費
と大体同じでございますが、
傭船関係
といたしまして、以西並びにかつを、
まぐろ
に
監視船
を八隻配置するのほか、おつとせい
関係
に二隻の
監視船
を出すというふうな
予算内容
に
なつ
ておるのでございます。これは
母船式かつ
を
まぐろ
でございますとか、あるいは
アメリカ式きんちや
く網に対する
取締り
でございますとかいうふうな
新規
の
取締事項
もできておりますので、それに伴いまして
予算
が多少
増加
したということに
なつ
ておるのでございます。 次の二十一番の
漁船管理
及び改善の
経費
でございます。これは
国会提出
によりまして
実施
を見ました、
漁船法
の完全な
実施
をして参りますための
予算
でございまして、
建造許可
でありまするとか、
漁船登録
でありまするとか、
漁船研究
でありまするか、あるいは
漁船
の
無線関係
でありまするとかいうふうな
各種
の施設、そのほかに従来
漁港課
で組んでおりました
漁船救難施設
というものをこれに加えまして必要な
経費
を組んでいるのでございます。
予算
がふえましたのはもつ
ぱら漁船検査
の
関係
で、すなわち
依頼検査
の
関係
で、分室の
職員
を
増加
するとい
つた
ようなことが
中心
になるのでございます。
人件費
の問題は二十五年の百十七人に対しまして、二十六年は百二十九名、十二名の
増加
、このほかに
地方職員
も七十八名
程度
の
増加
を考えているのでございまして
漁船法
の
実施
に伴う
人員
のやむを得ない
増加
というふうに考えておるのでございます。 二十二番の
漁船研究所
でございますが、これは従来からの
漁船研究所
につきまして、
研究関係
の機械を
充実
いたしましたり、あるいは
試験項目
を
増加
いたしまして、極力
研究所
の
内容
の
充実
をはかるとい
つた
ような点につきまして、
増加
を
要求
しておるのでございます。 二十三番の
漁港修築
の
経費
でございまするが、これは
国会提出
の
漁港法
の
実施
に伴いまして、必要な
経費
すなわち
漁港審議会
の
経費
でございまするとか、あるいは
漁港指定
に要する
調査費
でございまするとか、あるいは
漁港管理
に関する
経費
でご
ざいまするとかというふうな経費
が、
内容
の主体を占めているのでございまして、
人件費
につきましても、従来二十九人の
人件費
を三十九名すなわち十人
増加
いたしまして、
地方
につましても
漁港法実施
の
担当職員
を百十七名
増加
したいというような
内容
に
なつ
ておるのでございます。 その次の二十四番の
水産資料館建設
の
予算
でございますが、これは
水産関係
の
各種
の
資料
がいろいろと分散いたしまして、
行政
なりあるいは
調査研究
に対しまして一々照会をしましたり、とりに行かなければ参考にならぬというようなことがあ
つて
は困りますので、ひとつ会館をつくることにいたしまして、そこに
資料
を恒久的に保存しまして、
行政庁
並びに
一般
の
関係
の便に資したいというような
予算内容
に
なつ
ているのでございます。 それから二十五番目の
水産資源対策
でございます。これはもつ
ぱら水産研究所関係
を
中心
にする
予算
でございますが、
内容
といたしますのは、現在
水産研究所
が八海区ございますが、その八海区の
水産研究所
のいろいろな
試験研究
の
方案等
につきまして、統一
調整
して運用して参るとい
つた
ような、
協議会
を
中心
にする
予算
でございます。あるいは鯨の
年齢組成
を研究するとい
つた
ような
事項
でございますとか、あるいは民間の
研究所
に
補助
をするとかい
つた
ような
事項
がこの
内容
に盛られているのでございます。 それから二十六番目の
水産業改良普及
の
予算
でございますが、これは新しく
予算
の
要求
をしたのでございまして、御
承知
の
通り農業関係
、
畜産関係
、
養蚕関係
につきましては、古くから
農業技術員
という
制度
がございまして農家がいろいろと実際に作物をつくり、あるいは経営する場合におきまして、その
技術員
が
相談相手
になりまして、
試験研究
の
技術成果
をそこで伝習をしましたり、あるいは農家の相談に応じて、いろいろと役所との連絡をするというような一種の
せわ役
とい
つて
いいような
指導員
がお
つたの
でございます。
水産関係
につきましては、ようやく
調査研究部
が一昨年から出発を見たとい
つた
ようなことで、
農業
におけるような
技術指導関係
というものの態勢がつくられていなか
つたの
でございます。そのためにいろいろと
漁業者
の方々に、連絡上あるいは
技術
の
浸透といつた面
のことが欠けてお
つたの
でありますが、二十六
年度
はぜひそうい
つた
部面
につきまして、
水産
の
関係
も態勢を確立して参りたいということを考えて、この
予算
ができたのでございます。従いましてこの
内容
といたしますのは、
技術普及員
というものを
養成
いたしまして、それを二十六
年度
に配置するということを考えて、目標は大体
県ごと
に、県の試験場を
中心
として三百名、
組合等
に三千名の目標を定めまして、初
年度
はその半分づづをや
つて
行く。二
年度
に今申しました
人員
の配置を完了するということを考えております。初
年度
実施
して参る
内容
としては、たとえば合成繊維の漁網等の使用方法でございますとか、あるいは処理加工方法の
技術
的な
部面
でございますとか、あるいは浅海漁場の科学的な利用方法とい
つた
ふうな点等を考慮いたしまして、手取り早く
漁業者
が
技術
的に知りたいというような
事項
を
中心
にしてや
つて
参りたい、かように考えて
予算
を
要求
しておるのでございます。なお
本省
関係
といたしましては、二十六人の
人件費
を
要求
しておるのでございます。この
水産業改良普及
の
関係
につきましても別途法律を必要とするのでございまして現在
水産庁
におきましてその原案を練
つて
おるのでございます。いずれ
国会
の御
審議
、御
検討
を得る機会があることと存ずるのでございます。 それから二十七番目の
北海道
の
漁港修築
の
関係
でございます。これは従来通りでございまして、
人件費
の五十一名というものをそのまま認めまして、
北海道
におきます
漁港
の修築工事の
指導
、
監督
、企画とい
つた
ようなところを
中心
に
職員
を配置するということに
なつ
ておるのでございます。 その次の二十八番目の
水産
業基礎調査でございますが、その
内容
としますところは基礎調査員、
予算
上百四十六人、一県当り三人
程度
の基礎調査員の
経費
と、それから企業体の調査、それは漁家経済調査に対応しまして、企業体について調査をするという二十五
年度
からの変算を引続きやる問題と、それから
水産
試験場に対する
経費
という大体三つの項目から
なつ
ているのでございます。
水産
試験場につきましては、要するに
水産研究所
を
中心
にいたしまして、いろいろと
試験研究
やるわけでございますが、それの実用化等につきまして、民間との連絡
関係
は
水産
研究会を
中心
にしてやらせるという従来の建前を継続いたしまして、従来通り
水産
研究会に
経費
を
補助
するという
内容
を存しているのでございます。 それから二十九番の
水産
業動態
指導
、
資料
調査、
新規
でございますが、これはいろいろと
統制廃止
という事態から申しまして、
水産物
の取引の配分
関係
がどう
なつ
ておるか、あるいは漁況の
状態
がどう
なつ
ておるか、あるいは物価、災害
関係等
がどう
なつ
ておるかというようなことを、動態的にいろいろと調査する必要を
行政
上生じて
参つて
おりますので、それに必要な
予算
を
要求
しているのでございます。 それから三十番の
北海道水産孵化場
に関する
経費
でございますが、これは昨
年度
と同じような
内容
をもちまして
実施
するのでございまして御
承知
の通り
北海道
に遡河して産卵して参りますさけ、ます等を
中心
にしました孵化場、親魚の採卵等、それからその卵を孵化したものを育成して放流するというような段階になるわけでございますが、そうい
つた
一連の事業の
経費
を見込んでおるのでございまして、二十六
年度
におきましては、特に孵化場の
関係
と
取締り
の
関係
に
重点
を置きまして、その
増加
を考えておるのでございます。 それから三十一番の
北海道水産開発
でございますが、これは大体昨
年度
と同様でございまして、
北海道
におきまする魚田開発の
関係
でございますとか、あるいは漁場の測量でございますとかい
つた
ような
事項
を
内容
といたしまして、
人件費
を三十四人
程度
そのまま継続して認めてもらいたいという
内容
に
なつ
ております。 それから次の三十二番の
水産研究所
の
予算
でございますが、これは
人件費
におきまして二十五
年度
が、これは八海区あるのでございますが、全部で五百七十四名、二十六
年度
は五百七十七名、大体三名
程度
の
増加
を考えておるのでございます。
予算
が一億六千万円
程度
もふえておりますのは、当初お話申し上げました
観測船
の
建造
、これは五トン
程度
の
観測船
一隻と、それから
調査船
七十五トン
程度
のものを一隻、二隻を新造するというような
予算
がこの中に含まれております。 それから
資源
調査を徹底的にやるというような
意味合い
から申しまして、さばでありますとか、さんまあるいは底魚とい
つた
ようなことにつきましてその調査
事項
を
増加
しておりますのと、さらに紀伊水道の調査
関係
、あるいは全国の海洋調査
関係
全部を、海洋調査につきましては
新規
に全国的にや
つて
行くということでございまして、そういう
予算
が
増加
しておるのでございます。 最後に、三十三番目の第二
水産講習所
の
予算
でございますが、これは御
承知
の通り、二十六
年度
をもちまして一応学級が完了する。五年制でありまして、来
年度
になりましてその五年制が完了するということになりますので、その学級完了に要する
経費
がふえておるのでございます。すなわちそれに伴う教官の
増加
でございますとか、あるいは実習地の
増加
でありますとか、さらに当初申しました
講習
所の練習船これは二百トン級の船を一隻
建造
するというような
事項
を含めまして
予算
を
要求
しておるのでございます。人の
関係
から申しますと、二十五
年度
が百四十四名で二十六
年度
の
要求
が百八十五名、四十一名の
増加
というふうに考えておるのでございます。 以上の合計がここにございますように、昨
年度
約十億に対しまして、本
年度
三十三億八千万というような
予算内容
になり、実質的には二十五億
程度
になるというふうに
なつ
ておるのでございます。当初お断り申し上げました通り、この
予算
は今日か明日
大蔵省
の査定内示を受ける原案でございまして、その後の状況につきましては、また機会をつくらせていただきまして御説明申し上げたいと存ずる次第でございます。 以上が大体
事項別
の
予算
でございますが、
水産庁
といたしまして、どうしてもこの
予算
の中に努力をして参りたいというような
事項
を考えてみておるのでございます。大体
水産関係
は、
資源
の
維持培養
関係
と、事業経営の安定
関係
、それから
水産物
の完全利用並びに
貿易振興
とい
つた
ような三本の
事項
が一つの方針としての
中心
になるのではなかろうかということが考えられますので、そうい
つた
意味合い
から、この
重点
的な
予算
を何とかして考えて参りたいと思
つて
おるのでございます。そこで前
国会
からのいろいろの
水産庁
の説明でお約束しております
事項
等もございますので、そうい
つた
ものをかみ合せまして、
重点
的な
事項
といたしましては、五番目の
沖合漁業取締り
並びに
指導調整
の問題、これは主として
取締船
を
傭船
するというところに
重点
を置きまして、沖合
漁業
の操業の秩序の
維持
確立というところを目的にして考えて参りたいということでございます。それによ
つて
資源
の
維持
というものがはかられるということをねら
つて
おるのでございます。 その次は、七番目の
水産増殖
の
予算
でございます。これは御説明するまでもなく、要するに生産力をとにかく人為をも
つて
増加
するというようなことになりますと、
増殖
以外には、
水産関係
として手段がないわけでございますので、積極的にそういう浅海並びに内
水面
の
増殖
関係
を強力にや
つて
参りたいということでございます。 それから次は、九番目の荒廃漁場の復旧の
予算
でございます。これは漁場を何とか回復いましまして、
漁業者
の生産に便宜を與えてやらなければいけないというような
意味合い
から、
重点
的に考えて参りたいということでございます。 なお本件につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、本
水産
委員会
の小
委員会
におきましても、強力に取上げていただいて促進鞭撻を受けておる
事項
でございます。 それからその次の四番目といたしましては、十二番目の
沿岸
漁業
の
魚価維持対策
という
事項
でございます。これは事業経営安定の面から申しましても、何とかして国の財政支出ということに
なつ
て事業経営のてこ入れができましたならば、これに越したことはなかろうというような
意味合い
で、極力これを固持して参りたいということでございます。 それから五番目は、十四番目に書いてあります
漁船
再保險
特別会計
の繰入れでございまして、これも前
国会
の御討議の際いろいろと御示唆を受けたようなことでございまして、再保險
特別会計
制というものの
内容
を
充実
させまして、
漁船保險制度
の
運営
を円滑にする、それによ
つて
漁業経営
の安定に資するところにねらいを持つのでございます。 それから六番目の
重点
事項
といたしましては、十八にあります海藻
利用工業振興
というものでございまして、これは先ほど概略申し上げましたように、海藻
資源
というものが未利用のまま打捨てられているということと、それからわが国の
貿易振興
の建前から、ぜひこれを
重点
的に総合的な
工業
指導
というものを行いまして、上記の目的に資したいということを考えておるわけでございます。 それから第七番目といたしましては、
水産
業の
改良
普及
関係
、これはただいま御説明申し上げました
事項
でございまして、比較的原始産業である
農業
とい
つた
方面につきましても、従来から態勢が整備されておりますのに、
水産関係
では、まだそうい
つた
事項
すら頭が出ておらなか
つた
というようなことにつきまして、何とかして来
年度
からでもいいから立法化を行いまして、この
制度
を確立して参りたいということを考えておるわけでございます。 大体七項目を
重点
といたしておるのでございますが、このほかの
事項
が
重点
ではないというようなことではなくして、こうい
つた
予算
はうんと努力しないと通りにくかろう——その他必要な重要
事項
につきましては、大体昨
年度
と同様の
内容
を持ち、昨
年度
からちよつと
増加
したような
事項
でありますので、そう力を集中しなくても大体通る見込みがあるのではなかろうか。そこで今申し上げました七項目の
事項
につきましては、
水産
行政
からいいましても、非常に重要な
事項
でもございますし、かつなかなかその
予算
を
大蔵省
あたりで認められにくいような
内容
を持つように感ぜられますので、そうい
つた
意味で特に七項目を取上げまして
重点
事項
としてプツシユして行くということを考えておるのでございます。従いましてこの
予算
に対する
水産庁
の方針ということは、先ほど申しました
水産
資源
の
維持
でありますとか、経営の安定でありますとか、あるいは
水産
利用確保とい
つた
ような三項目を
中心
に、強力にプツシユするわけでありますが、その場合におきまして、以上申し上げました意味の七項目を
重点
的に取上げたい、こういう意味でございますので御了承を願いたいと思うのでございます。 以上が大体現在までの
予算
の経過なり、その
内容
でございまして、
水産庁
といたしまして是が非でも二十六
年度
におきましては
予算
の
増加
をはかりまして、
水産
行政
を強力に促進して参りたいというように考えておりますので、いろいろと各方面からの御
指導
、御援助をお願い申し上げたい。かように存ずるのでございます。
冨永格五郎
3
○冨永
委員長
ただいま
昭和
二十六
年度
事項別概算要求
内訳
に関して
水産庁
より説明を聽取いたしましたが、これに関する質疑は明日午前十時定刻より開会いたしまして委員の御発言をお願いするようにいたしたいと思います。 この場合田淵委員から発言を求められております。これを許します。
田渕光一
4
○田渕委員 ただいま
予算
の
要求
に関した政府側の説明がありましたが、これに関しまして一応各委員の国政調査御出張御不在中にありましたことを御報告申し上げたいと思います。 それは去る八月十五日に農林
委員会
の八木公共事業小
委員長
から、東京
水産
委員の本員に
連絡
がありました。要旨は八月十七日に緊急に農林
委員会
を開き、そして
公共事業費
の
予算
の
要求
をするから、
水産
委員会
と
関連
して進行いたしたい、ぜひ出てもらたい、こういうわけであ
つたの
であります。
委員長
は調査に出張されているし、各委員もされておりますので、私よく考えたのでありますが、事公共事業に関することであり、ことに臨時
国会
を開くとか開かないとか議論の最中でありますし、開かんとすることに対して農林
委員会
は研究に入
つた
というときに、八木委員からのお話がありましたので、それでは
委員外
発言を許していただけるならば、機会があれば
委員外
の発言をお願いしよう、こういうようなわけで私は承諾いたした次第であります。各党の委員に御了解を得られなか
つた
ことは、かような時間的な
関係
でありましてお留守でありましたから、委員部と
連絡
をとりましてこの
会議
に出席することが必要なりと考えまして出席いたした次第であります。 農林
委員会
の
審議
状況
を見ておりますと、大体今申し上げましたような、臨時
国会
を開かない点と、農林
関係
で食糧、一割増産ということを閣議で決定した。これに対する
予算
的措置の裏づけがあるかどうかということが大蔵大臣に対して答弁を求めた点でありまして、また極東情勢の変化による南鮮からの食糧輸入、あるいはその他の変化によるところの食糧増産積極政策として公共事業、土地
改良
に一千億必要だというような御
要求
でございまして、非常に與党、野党とも活発な意見の交換を行いまして、大蔵大臣の答弁を私靜かに聞いてお
つたの
であります。ところが何といたしましても、例の佐竹主計官が、
大蔵省
が出して来るところの
予算
を切捨てすればよいというような、結局不誠意な、われわれといたしましては、
委員外
ではありますけれども、納得の行かないような答弁でありました。そこで最後に私は、
委員外
発言を求めて許されましたので、大蔵大臣に、大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、農林
委員会
、
水産
委員会
に対しても
関連
する公共事業に対するはつきりしたけじめを言わぬ。私もここへ出て来たのであるから、ぜひひとつ、農林の方は農林
委員会
から言われたから、私は
水産
委員であるけれども先刻申し上げました
通り
、各委員が
地方
に国政調査に出張されており、
委員長
もおられない。ことに八月中に
予算
のわくが大体きまる。二十六
年度
は十五箇月
予算
を組むというような重大時期でありまして、あるいは各委員が急遽帰られて開かれるかもしれない。開かれれば
水産
委員会
として
要求
いたしますが、万一開かれなか
つた
場合には、ただいま
資料
を持
つて
おりますところの、
漁港関係
の五十億一千余万円のこの
公共事業費
というものは特に考慮するという、大蔵大臣の答弁をひとついただきたいと求めたのであります。ところが大蔵大臣は、特に農林
委員会
、
水産
委員会
に便宜を與えるどうとかいうことは、速記にも残るし、他省にも
関連
いたしまするので、それは言いきれないけれども、本日の
審議
の
状況
と、私のこの好感を持
つて
おるところの精神をも
つて
御賢察願いたいという答弁がありましたので、大体了承いたしまして、その八月十七日の
委員外
発言は終
つたの
であります。大体かような
委員会
に出ましてまことに僭越でありましたけれども、時間的余裕と
連絡
をとる余裕がございませんので、まず
水産
委員会
にプラスになるかマイナスになるかということをよく考えて、その時期を見まして、最後に発言を求めて、以上のようなことを申し上げておきましたことを御了承願いたいのであります。この点を御報告申し上げます。
冨永格五郎
5
○冨永
委員長
この場合田淵委員の御苦労に対して謝意を表明いたします。 なお松田委員から安定本部に対して御意見があるようですからこれを許します。
松田鐵藏
6
○松田委員 ただいま
水産庁
から二十六
年度
の
予算要求
の説明がありましたが、その中で最も必要なものは七項目であるという指摘を受けておるのであります。もちろんでありますが、私どもこのたび四国、九州を国政調査でまわ
つて
来たものであります。四国、九州方面の
状況
は、東北や
北海道
の方面と多少は異
つて
おるのではなかろうかという考え方を持
つて
お
つたの
であります。なぜならば、早くから開けておる優秀な県であるから、必ず東北や
北海道
またはその附近とはかわ
つて
おるような感じを持
つて
お
つたの
でありますが、行
つて
その調査の結果といたしまして、まことに残念なる
状況
を見て参
つたの
であります。それは第一に、この第五に掲げておる
沖合漁業取締り
並びにその
指導
調査という問題でありますが、この点に対する本
年度
の
予算
は三億五千万円しか組んでいない、しかもその
内容
を聞いてみるのに、ただいまの説明だとよそから船を借り入れて応急の間に合せるような御説明であ
つたの
であります。元来日本の
漁業
というものに対して、現在
委員会
においてどのような行動がとられておるかとい
つた
ならば、おそらく與党がほとんど野党の立場にあるがごとき
予算要求
の
状況
を示しておるのであります。これはどういう原因から出て来ておるかとい
つた
ならば、終戰後における漁民の道義の頽廃から、今日の
漁業
制度
というものがほとんど頽廃しておる。ゆえに各県における——四国、九州においてもなおしかり。
漁業
取締り
の
関係
から言
つた
ならば、非常な乱脈に
なつ
ておる。こうしたときにおいて、よそから借りた船をも
つて
して
取締り
などはとうていでき得ないところである。はつきりした
農林省
の
取締船
でなか
つた
ならば、
取締り
などということはとうていでき得ないことである。ましてや
北海道
や東北
地方
においてはなおしかりである。しかるにわずかに三億五千万円よりこれを組んでいない。かような点から言
つた
ならば、安本当局はこの点に対してどういうようにお考えになるか。私どもはこの倍額もそのまた三倍も組んで行かなか
つた
ならば、日本の
漁業
を守
つて
行くことはでき得ないと思う。要するに紀伊水道の問題あり、瀬戸内海の問題あり、また有明海の問題、
北海道
の
入会
の問題あり、かような点から言
つた
ならば、真にまじめな漁民を育てて行くということから言
つた
ならば、この
取締船
を嚴重にすることによ
つて
、初めて漁民も政府の施策に適応した方法をとることになるのであ
つて
、この点に対する
水産庁
の
予算要求
は、あまりに微々たるものであるという考え方を私は持つのでありまして、安本当局としてもどうかこの点に対しては、笑いごとでなく、——今聞けば三千五百万円ということである。これは三億五千万円でも不足しておるのに、三千五百万円というのはとんでもないことである。この点に対してもう一回訂正した
要求
をすべきであると思う。 それから言葉は非常に麗々しい文句によ
つて
現われておるが、
沿岸漁業魚価維持対策
というものに対して二億四千万円、かような微々たる金額をも
つて
、日本全国の現在値下りをして苦んでおる
魚価
対策などということは、とうていできないことである。これは十億以下であ
つた
ならばとうていでき得ないことである。この点に対して、もつとまじめな態度をも
つて
要求
をしてもらいたい。私どもは第八
国会
の当初において、
水産庁
に対して今
年度
の
予算
内示をする以前に、われわれの意見を現してくれということを申してお
つた
はずである。ところがこの打合せというものは今までなか
つた
。
魚価
対策というものに対して二億四千万円くらいの金額をも
つて
、日本の
水産物
の
魚価
の
維持
対策などというものは、とうていでき得るものでないことを、私は断言しておく。これは十億以下であ
つた
ならば、とうてい
維持
対策などというものはでき得ないのである。この点に対して、もつともつと真劍なる態度をも
つて
予算
の
要求
をしてもらいたいし、私は安本の大臣にけさ
委員会
の前にこの問題を話しておるのであります。この点に対して、私はまだあるのでありますが、この二つの点に対して十分なる考慮を持
つて
水産
行政
に協力していただくように、特に安本当局にお願いするものであります。
山崎小五郎
7
○山崎説明員 私経済安定本部の建設交通局の次長をしておりまして、ただいま承りました御質問の点については、これは大体
大蔵省
と
水産庁
と直接の交渉のあ
つた
問題でありまして、私は主として
漁港関係
のことをや
つて
おりますので、その点はひとつ
水産庁
の方にお願いしたいと思います。
冨永格五郎
8
○冨永
委員長
この場合鈴木委員より発言を求められております。これを許します。
鈴木善幸
9
○鈴木(善)委員
予算
の問題につきまして、休み中にわが自由党の政務調査会におきまして、党として二十六
年度
予算
の編成にあた
つて
、党が国民諸君に公約いたしましたところの施策を、できるだけ実現するように、いかにして合理的な
予算
の編成をするか、また今後政府において
予算
の編成の作業を進めて行くのであるか、党としていかに政府に申し入れをいたしまして、この政策を実現するかという問題につきまして、政務調査会の各部長
会議
を二十三日に党本部において開催いたしたわけであります。その
会議
の経過及びその際における申合わせにつきまして、委員各位に御報告を申し上げておきたいと思うのであります。 御
承知
のように党におきましては、政府與党としての責任の重大性から、二十六
年度
の
予算
編成にあたりましては、党として政府に対して
予算
編成の基本方針なるものを政府に提示いたしまして、党の
要求
及び二十六
年度
において実現すべき具体的政策については、その基本線を中入れをいたしてお
つたの
であります。そこでその党の
予算
編成基本方針に基いて、党出身の閣僚、政務官諸君は、忠実にこれが具現のために各省を督励して進んでおると思うのであるから、しばらく
大蔵省
の査定があるまで、党としては大臣及び政務官の政治力に期待をして静観をすることにしよう、一応
大蔵省
の省議がきま
つた
ならば、それを党の申入れの基本方針に照して、いかようにこれを
閣議決定
前に修正をするかということについて、政務調査会の各部長は
委員会
等を緊密に
連絡
をして、党政策の実現に万全を期してもらいたいという申合せをいたしたわけであります。その際に政務調査会長から大体内示がありましたところの基本方針といたしましては、二十六
年度
の財源におきまして、二十五
年度
として余裕の見られる財源としては、当初一千二百億を予定してお
つたの
であるが、タバコの專売益金の百億の收入減というものが考えられるから、一千百億の
新規
の財源である、この一千百億をいかに使うかという問題でありますが、まず参議院選挙を通じてわが党が公約をいたしましたところの七百億の減税は、何が何でもこれを実現しなければならない。そういたしますと、残る財源はわずかに四百億であります。その四百億のうちから、これも公約
事項
でありますが、公務員諸君の給與べースの引上げ、広汎なる社会保障
制度
の
実施
、及び食糧一割増産を
中心
とするところの土地
改良
その他の
農業
投資の強化、あるいは警察予備隊の費用、こういうようなものを党の公約の建前から、また時局の
関係
から、優先的に見て参りますと、四百億の財源をも
つて
しては、これらの諸公約を
実施
するだけでもその財源はきわめてきゆうくつな事態にあるわけであります。そこで
大蔵省
においては、各省の
要求
に基いて査定案をつく
つて
おるそうでありますが、各省の復活
要求
を大体予定をして、その
調整
の費用として雑百億というものを考えておるわけであります。しかしこの雑百億の財 源の中にはいろいろな
関係
でひもつきのものがあるであろうから四、五十億の余裕しかないであろう、こういうような
状況
であ
つたの
であります。でありまするから、ただいま
水産庁
当局が御説明になりましたところの
要求
内訳表
、これを実現することにおいても、非常なる困難が予想される、なかなか楽観を許さない
状態
であります。特に今松田委員等が御指摘になりましたような、
水産
政策上喫緊の
事項
をどうしても実現するといたしますならば、これは
水産庁
当局においても、当
委員会
としても、よほどの決意と努力をも
つて
しなければこれらの
予算
の獲得は困難であろうかと私は思うのであります。つきましては三十一日あるいは来月早々
大蔵省
議決定に基く案の
予算
の内示が各官庁にあると思うのでありますが、当
委員会
においては、その内示案を
検討
したしまして、すみやかにこれに対する
予算
対策の確立を期せなければならぬと思うのでありますし、また政府與党でありますところのわが党におきましても、
水産
業の重要性から見まして、当
委員会
と一体に
なつ
てこれが実現を期せなければならん、こういうぐあいに考えておる次第であります。この見地から、党の
水産
部長といたしまして、各委員の、特に
委員長
の全面的なる御協力と御援助をお願いするものであります。
冨永格五郎
10
○冨永
委員長
川端委員の質問を許します。
川端佳夫
11
○川端委員 私はただいま鈴木委員並びに先ほどの松田委員の発言に
関連
いたすのでありますが、今
水産庁
関係
の
要求
額の内示を拝見いたしまして、私がいつも愚言を呈するのでありますが、
水産庁
関係
は何と言いますか、非常に弱いという感じを持つのであります。その一つは、私はこの
予算
の編成過程のものをちよつと拜見いたしたことがありますが、先ほども松田委員から言われました
沿岸
漁業
の価格
維持
の項を例に取上げましても、当初は困難な額ではなか
つた
と思います。少くともこれに倍する
相当
額のものが考えられてお
つた
にかかわらず、これが
要求
額としてわれわれの前に出て来るときには、こういう
程度
のものになる。これは全部拾
つて
みても、どれも大体内輪に
なつ
て来ておるという感じがするのであります。先ほど鈴木委員が言われましたように、限られた
予算
の中で
水産
の
振興
のためにできるだけの費用を出すように努力したいというのでありまするから、制約はもちろんありますけれども、
水産
業
関係
について帶に短かしというような
程度
のものが
相当
に含まれているという形に陷
つて
しま
つて
いるのではないかという感じが強いのであります。この
予算額
でありまするから、私は多くを言いませんけれども、これは
相当
程度
大蔵省
と打合せして、
大蔵省
の内意というものを参酌して落ちついた点かどうかということをも考えていますけれども、今後私はなお
委員会
の方でもこの
予算
について
相当
努力をし、援助をしなければならぬ問題が多いと思います。従
つて
私たちも多少は行きがかりについて知
つて
おりますけれども、本日の段階においては
予算
の
要求
額を出されたのでありますから、これの沿革についても明日の質疑の際にかなり参考的に聞きたいのであります。そういう点をひとつ御用意願
つて
おきたいということと、それから
人件費
の
関係
でありますが、今度公務員の給與も上げることになるが、これはただ余裕をそちらへまわすということと同時に、
行政庁
内をもう少し合理化するということが條件なのだ。ところがこの
人件費
、人間の出入りの
関係
の御説明をざつと聞いておりますと、あちこちへまわして行
つて
、かえ
つて
二十六
年度
は——もちろんふやさなければいかぬ
人員
もありますけれども、
相当
にふえて行くのではないかというふうな感じを持つのでありますが、
人員
関係
の増減と、それを裏づけする理由の点をひとつ御用意願
つて
おきたいということを、鈴木委員が申されました点と同じでありますが、これの
大蔵省
査定額の決定が行われ次第、早急に示してもらいたいというような点をお願いいたしておきたいと思うのであります。 それから項目でちよつと一つ、ついででありますから申し上げておきますが、この五番の
沖合漁業取締り
並びに
指導調整
という問題が先ほど出ましたからお尋ねするのでありますが、瀬戸内海の
取締り
の問題を今度きめられるそうでありますが、これにも
相当
に
予算
がいると思います。しかも瀬戸内海の
取締り
の
関係
、その整理と離れてまた
取締り
の
関係
というようなことは、御
承知
のように特に瀬戸内海は輻湊いたしておる特殊事情がございます。これに対処する道が考えられておるかどうか。私も四国、九州の国政調査に参加いたしまして、
取締り
の
関係
を非常に要望されて来たのでありますが、そういう
関係
からその御用意も願
つて
おきたいと思います。一応明日の質問をいたすためにあらかじめお願いしておく問題を申し上げまして終ります。
田渕光一
12
○田渕委員 ちよつと
関連
して……。私は各省へいつも言
つて
おるのですが、
水産庁
でも、こういう点はあすの
委員会
に用意して来ていただきたいのですが、大体データをつく
つて
出してしま
つて
、それでどうこうとわれわれに言
つて
も、結局
事務
当局の方で出しておりますものを、
大蔵省
が主として握
つて
しまう。それで願いたいのは、
水産庁
の今後の
運営
も——大体
事務
当局でも、あるいは議員でも、人間は万能ではありませんけれども、衆知を集めてよいものができるのであります。大体それができたときに、どうでしようという
連絡
の機会はあるのだ。要するに民主的な
運営
をしなければならぬということを私どもは絶えず言う。あなた方もそうではないでしようけれども、長い間の官僚根性でも
つて
、相かわらず天皇政治のような時代でおる。今日最高の権威を持
つて
いる
国会
のわれわれに、
事務
当局が
相談
もせずにこんなことをしでかして、今度は
事務
当局と
事務
当局とけんかするところへ、
国会
が何ぼ言うても
事務
当局に逃げられるのですから、何の
運営
にしても
相談
して損はなかろうと思う。むろん案をつくる前に、われわれ委員にひとつよく
相談
していただく。そうしてお互いに、納得した上で出すということの時間的差がなければしかたがありませんが、そうでない限りそういう方法にしていただきたい。たとえば
地方
に指令を出すような場合でも、この間松田委員がちよつとお尋ねしたときにもあるプリントができておる。こういうものを見せてもらえば、こんなことではいかぬということを申し上げることができるのであります。一つの例を申し上げたのですが、決してあなた方は官僚根性でや
つて
おるとは申しません。まことに民主的にや
つて
おられると思うが、依然として欠陷がそこにあるものだから、
国会
軽視のような結果が出て来て、われわれ委員がでくの棒みたいだ。われわれ議員が決死隊でなければ、
水産庁
の
予算
獲得というものはできない。ほんとうに
運営
というものについては
相談
をして損はなかろうと思います。損なことは切り捨てればよろしい。ですからどうかプラスになるように、遠慮なく一応
相談
してや
つて
いただきたい。これに対して、今後そういうふうに
運営
して行く意思がありやいなやということを、よく次長は長官と
相談
してや
つて
いただきたい。
冨永格五郎
13
○冨永
委員長
この場合御報告を申し上げ、また
水産庁
当局の意見を一応聞いておこうと思います。それはけさ專門員室で、東京都中央卸売市場長、東京都主事中島義平氏と、東京都
水産物
卸売人協会長寺田省一氏との御両氏がお見えになりまして、
水産
委員会
が四月三日に
水産物
卸売手数料等に関する件の議題につきまして
水産庁
当局に申入れをいたした問題、すなわち今度市場の手数料が
法律
的には一割まで認められているけれども、現下の情勢にかんがみて、現行五分を七分にいたしたい、御了解を得たいとの申出がありましたが、
委員会
といたしましては、四月三日政府当局に申入れをいたしました考え方に何ら変更があるものではないが、しかしながら、現在の経済情勢において東京都がこれに対して処置する問題に対して、
監督
官庁直接の責任はないが、
水産庁
としてそれぞれ措置をいたしておるものと考えるから、
委員会
において、なお
水産庁
当局の考えを承
つた
上、善処することにいたしたい、かように答弁をいたしておいた次第でございます。従
つて
この場合
水産庁
当局の考え方を承
つて
おいて、さらに明日委員各位の御意見をまとめておきたい、かように考えております。この場合
水野
説明員の説明を求めます。
水野榮
14
○
水野
説明員 ただいま
委員長
からお話になりました、
水産物
の卸売人委託販売手数料の値上げの問題でありますが、本
委員会
から四月三日付で
水産庁
に要請されました点につきましては、
関係
都道府県に、将来この現行の卸売手数料五分を変更する場合には、一応打合わしてもらいたいという通牒を出してお
つたの
であります。それが四月の幾日か、本
委員会
から
水産庁
へあの要請がありました直後と記憶しておりますが、そういう通牒を出してあるのであります。その後東京都を初め、六大都市の中央卸売市場長並びに卸売人協会長が再三私どものところに陳情に見えて、この値上げの問題について話されたのであります。先ほど
委員長
のお話にもありましたように、この現行法から申しますと、手数料は一割の範囲内で業務規程できめることに
なつ
ているのでありまして、その業務規程を認可しております以上、われわれといたしましては、五分を七分に上げてはいかんということもちよつと言い得ないのでありますが、われわれといたしましては、現在の生産者の立場もありまするし、また卸売人の
経営
の困難なところもありますが、
監督
官庁といたしましては、何としても市場が公正妥当な取引をするということが最も必要であると思いますので、現在の五分をどうこうするということについては、われわれといたしましては何の権限はありませんので、この際以下申し上げまするような條件を、強硬に六大都市の市場開設者に申入れをしておこうと思うのであります。 それは第一点としては、現在産地の荷主に対しまして代金の未拂いがあるのでありますが、この未拂いは至急に返還計画を立てて実現方をはかるということ、それからまた四月に
統制
撤廃をされまして、いよいよ卸売
制度
が開始されたのでありますが、この卸売
制度
というものが、現在のところ明朗な態度をと
つて
おらないので、この際公正妥当なセール
制度
の確立をはかるということ、同時に委託人の仕切りにつきましては、鮮魚については三日以内、加工
水産物
については七日以内に荷主に対して仕切りをする。この仕切りの励行を要望することであります。 その次はもし委託手数料というものを上げるということにでもなりますれば、その手数料の一部を積み立てまして、将来荷主に対する委託人の販売代価の支拂いの担保にさせるということ、それからその次は検貫とか仕切りというようものを、現在いろいろごまかしておるのでありますが、そうい
つた
ごまかしをしないように十分に
監督
するように、そうしてそういうごまかしをするようなものについては、産地からの要望があ
つた
場合には、必ずこれを取消し処分をするというようなこと、それから現在卸売会社の
経営
が非常に放漫に
なつ
ておる。これは複数制になりましてある
程度
やむを得ない点があるかもしれませんが、極力切りつめて行くように、経理
監督
を開設者において
実施
する。そうして卸売会社の
経営
内容
の非常に悪いものは、とかく産地の荷主に対して迷惑を及ぼすのでありますが、そういう迷惑を及ぼすような事態を未然に防ぐような措置を講ずること、そのほか荷主の苦情を聞いてやるような措置を講ずること、それから現に市場にありまする卸売機関の中には、すでに機能を停止したようなものもあるのでありますが、半身不随に
なつ
たような卸売会社が、産地に非常に迷惑をかけておるような事例があるのであります。そういうものにつきましては、至急に整理をするような措置を講じてもらいたいというようなことを、強硬に申し入れるということにいたしたいと思います。われわれといたしましては、卸売の手数料を一割の範囲内で引上げるということにつきましては、法制上何ともこれは言えないのでありまして、むしろわれわれといたしましては、セール
制度
が始ま
つたの
を機会に、明朗な取引を市場でできるように、市場開設者を
指導監督
して行くことに
重点
を置いて行きたい、こういうふうに考えております。
鈴木善幸
15
○鈴木(善)委員 ちよつとお尋ねしたいのでありますが、この卸売手数料引上げの問題について、卸売業者の協会でありますか、
組合
でありますか、そういうところから全体の意見として、当局に対して申入れがあ
つたの
であるかどうか、これは公正取引
委員会
等の面からいたしまして、こういう問題を同業者が申合せをして、そうして一方的に手数料等をとりきめをするということは、公正査取引
委員会
の嚴重なる
監督
を受ける建前に
なつ
ているわけでありますが、これに対してどういうぐあいの取扱いに
なつ
ておるかどうか、それが一つ。 もう一つはただいいま
水野
課長から、條件として以下御説明がありましたようなことをお述べになりましたが、委託された販売物の代金を支拂うということは当然のことでありまして、何ら條件として当局から申渡すべきものではない。これは当然卸売業者が委託販売金、仕切金は返還すべきものである。また検貫、正しい目方をはかるということもこれまた当然のことであります。また仕切金等の支拂いについて、すみやかにこれを
実施
するというようなことも卸売機関としてはその職務上当然のことであります。いろいろお話がありましたが、これらのことは卸売機関として当然なすべきことを従来していなか
つたの
であります。むしろこれはそれぞれの
監督
の衝に当る当局の
取締り
の怠慢であるとわれわれは考えるわけでありまして、何ら手数料値上げの條件として提示すべき事柄ではない。むしろこの際
行政
当局としては現在の
漁業経営
の実態その他諸般の経済諸情勢を冷静に
検討
、判断をされて、そうしてまた荷受機関等の
経営
の合理化の画あるいは濫立に
なつ
てお
つて
共倒れの感がないかどうかといういろいろな角度から総合的に判断をして、適切な
指導
をなすべきものであると思うのであります。ただ中央卸売市場法に、一割以内であれば何分でも適当にきめられるということで、手放しでそれをなすべきものではなく、政府は大所高所から、業界全般の健全なる発展のために適切なる
指導
をなすべきものであると考えるのであります。従いまして当然なすべきことを條件のごとくにお話に
なつ
て、これが満たされぬのであれば、暗に手数料の値上げもまたやむを得ないというような印象を與えることは、当
委員会
四月の決議の趣旨にも反するわけであります。この点につきましては、
水産庁
当局は、十分愼重なる態度をとられんことを要請するものであります。
松田鐵藏
16
○松田委員
委員会
として四月
水産庁
に対して申入れしたことは、
委員会
の意向であ
つて
、これは現在の規則の上から言
つて
、その効力を制肘するものではないのであります。この点に対しては、鈴木委員と私とは意見が異
つて
おるのであります。但し、私はこの点に対して、今
水野
課長からお話のあ
つた
ことに対して、一言私の質問したいことがある。それは戰時中から都道府県において六大都市の卸売市場というものは、公認として知事から認可されておるものである。その
内容
においても、あらゆる点が是なりとしてこれを審査して許可したものである。しからばこの全体の責任は都知事または県の知事、これらが責任があるものである。ゆえにこの知事の責任において公認をされておる業者が、たとい自由経済に
なつ
たところで、その認可を一応取消して新たにするのならいざ知らず、前から公認されておる業者が、荷主に対してその代金を拂わなか
つた
場合においては、知事の責任においてこれらの弁償をしなければならないものであると私は考える。今日
水産
業者が出荷したものに対しての焦げつきを生ずるか、または不渡りを生ずるか、とにかく
相当
の金額というものが現在停頓しておる
状態
である。その事実がはつきりしておる。これに対して、單なる取引であるがゆえに、
水産
業者と卸売業者との折衝にまかせておるというのが現在の姿である。あの市場法から言
つて
、認可をして公認に
なつ
ておる者の責任を、その知事の責任において経済面においても、ただいま申し上げますように弁償するのが、法の建前から言
つて
も至当なことであると、私は考えるのであります。この点に対する
水産
当局の御意向及び知事の考え方に対して、私ははつきりした答弁を聞きたいと思う。今の手数料の点に対しては、われわれ
水産
常任
委員会
の一つの意見として申し上げただけであると、かようにと
つて
もらえばけつこうだと考えます。
水野榮
17
○
水野
説明員 鈴木委員の質問にお答えいたします。卸売人の皆からこうい
つた意見
が出る。つまり共同して値上げの
要求
をするということは、これはたしか公正取引
委員会
の
取締り
の対象になると私は思
つて
おります。しかしわれわれが聞いておるのは市場長の話でありまして、これはずつと以前に四月に、手数料を変更する場合には打合せてくれというような通牒を出しておりますので、実際のところはその変更に対する打合せだと私どもは解釈をしておるのであります。 それからなお卸売人が現地の焦げつきを支拂うのは当然じやないか。これは仰せの
通り
当然でございまして、私が申し上げたのは、開設者である知事が責任をも
つて
返還計画を立てさして、知事の責任において焦げつきをや
つて
いる卸売人に対して、早く返すような方法を講じなさい、こういうことを申し上げているのであります。 その他検貫をごまかさないとか、すみやかに拂うというようなことは当然のことでありまして、その当然のことが現在行われておらないのでありまして、これは御指摘のように、大所高所から
指導
をせよと言いまして、われわれの方は恐れ入るところでありますが、これを機会に、明朗な市場になるように
監督
をして行きたいと思
つて
おります。 それから松田委員からの御質問でございますが、
統制
経済から自由経済に移行をいたしまして、現在のところはまだ
統制
経済時代に公認をしました荷受機関が、そのまま一応中央卸売市場における卸売代と
なつ
ておるのでありますが、これは各市場とも仮の認可ということに
なつ
ておりまして、近く正式な認可をいたしまして、各市場ともみな不良な卸売業者は整理をしようという計画を立てておるようであります。私どもといたしましても、不良会社の整理ということにつきましては、しばしば開設者の方に対して申入れをしておる次第でありますが、これも何と申しますか、常業の自由と申しますか、何かなかなかやかましいことを言いまして、取消しについては、あるいは司令部に陳情するとか何とかいうような措置に出まして、開設者当局としても、直接の
監督
の立場にありながら、この整理には非常に困
つて
おるようでありますが、今度新しく正式に認可したような場合には、そうい
つた
不良なものは取消すというような、條件づきの認可をしておけばいいじやないか、そうすれば、当然に取消せるじやないかということを、われわれは開設者に対して申入れておる次第であります。そうして焦げつきを支拂うのは知事の責任ではないか、こういう御意見でございましたが、われわれといたしましても一半の責任があるのでありますが、先ほど申しましたように、都が卸売会社に償還の計画を立たさせて、これを督促をするというふうなことで、知事の責任をとるようにいたさせたい、こういうふうに考えております。
冨永格五郎
18
○冨永
委員長
ただいま質疑いたした
水産物
卸売手数料等に関する件につきましては、四月三日
水産
委員会
から政府当局に申入れをいたしております点について、
水産
委員会
は再確認をいたしておくという考え方に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
冨永格五郎
19
○冨永
委員長
御異議なしと認めます。 この場合
水産庁
当局におかれましては、すみやかに適切な措置を講じていただきたいことを申入れいたすものであります。 本日はこの
程度
で散会いたします。 午後一時二分散会