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1950-11-18 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十八日(土曜日)     午後二時二十九分開議  出席委員    委員長 松井 豊吉君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小淵 光平君 理事 小平 久雄君    理事 青野 武一君 理事 池田 峯雄君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       奧村又十郎君    金光 義邦君       川端 佳夫君    小山 長規君       野村專太郎君   橋本登美三郎君       金塚  孝君    笹森 順造君       床次 徳二君    吉田  安君       前田 種男君    井之口政雄君       田代 文久君    石野 久男君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局災害復         旧課長)    川名 進一君         衆議院参事         (法制局第二部         第一課長)   打田 畯一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  派遣委員調査報告聽取  小委員長報告聽取  閉会審査事件報告書作成に関する件     ―――――――――――――
  2. 松井豊吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  本委員会におきましては、さきに災害復旧工事に関する小委員会を設置し、災害復旧工事の適正なる遂行を期するため調査いたしたのでありますが、その事例調査のため、閉会中の委員派遣に関する七月三十一日の委員会決定に基き、去る十月二十日委員長より所要の手続をとり、議長承認を得まして長野県下に委員を派遣いたしました。この点御了承を願います。それでは派遣委員橋本登美三郎君よりその調査報告を伺いたいと思います。
  3. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 本調査団は十月二十五日議長承認を得て、松井委員長金塚孝君及び私の三名を一行として、十一月六日、七日の両日にわたり、上田付近千曲川流域及び天龍川田原堰付近視察したのでありますが、以下視察の結果について、その概要を御報告申し上げます。  本調査は、長野県下における災害復旧工事進捗状況調査目的とするものでありますが、また先般八月松井委員長外三名の一行東春近田原堤防視察の際、工事設計通りにできていなかつたその点を指摘したことが、長野県の県会その他で大きな問題となつたので、その後の手直し状況をもあわせて視察いたしたのであります。工事設計通りにできていないということは、單に長野田原堰のみの問題でなく、広く全国的に考えられる問題であり、毎年四、五百億円にも上る国民よりの血税によつて行う災害復旧工事には、大なる影響を與えますので、われわれとしても重大の関心を持つて視察いたした次第であります。  まず本調査団は、六日上田市において県の河川課長上田市長及び県議会土木委員長ら多数の案内により、千曲川流減上田北天神町、中之條、鴨池及び塩尻字新屋視察いたしたのであります。  第一に視察いたしました北天神工事は、昭和二十四年八月三十一日のキテイ台風により護岸堤防の決壊を見たもので、復旧工事延長四百三十メートル、法長十四メートル、査定額一千六百万円でありまして、現在では大体二百五十メートルほどできており、今年十二月までに完成予定であります。この復旧工事が遅延して災害を受けた場合は、專売公社上田タバコ工場信越線上田駅及び鉄道線路五百メートル及び道路四百メートル、民家百七十戸、畑五十町歩に及ぶおそれがありますので、その完成を急いでいる次第であります。  次に視察いたしました中之條工事は、本年八月五日の豪雨により被害を受け、昭和二十五年度国庫補助河川災害復旧工事として承認されたもので、工事延長百七十メートル、法長十五メートル、査定七百万円であり、今年度の災害復旧費一億七千五百万円の配分があり次第とりかかる予定になつておるのでありますが、この付近は水量多く、また対岸の塩尻村新屋の工事と同時に行わねばならない関係上、工事相当困難を予想されておる次第であります。  対岸の塩尻字新屋は、本年八月四日の豪雨にて決壞し、ために濁流耕地に浸入、信越線路に迫り、翌朝まで列車運転不能となり、人家の浸水十七戸、田畑の浸水五十町歩に及ぶ被害なつたものであります。本工事は、昭和二十五年度国庫補助河川復旧工事として承認され、工事延長四百九十メートル、法長十四メートル、査定額三千四百万であり、来年五、六月までに完成予定でありますが、工事はいまだ緒についたばかりであります。なお、鴨池も本年八月四日の災害によるものでありまして、今年度国庫補助河川災害復旧工事として承認され、延長百九十メートル、法長十四メートル、査定額六百万円でありますが、工事はまだ始められておりません。  以上四箇所にわたり時間の許す限り視察いたしたのでありますが、工事予算関係その他により、また本格的に始められておりませんが、工事着手中のものはおおむね設計通りに良好にできているように思われた次第であります。  第一日の視察は以上をもつて終り、第二日はまず上田建設事務所において、林県知事土木部長河川課長県会土木委員長監査委員に対し、約一時間にわたり視察団より災害復旧工事進捗状況、特に問題となつ天龍川田原堰の八月視察後の状況について質問し、前述の人によりそれぞれ説明がありました。  まず土木委員長より先般視察後の県議会土木委員会活動状況証人喚問による証言内容について概説説明し、土木委員長としては、先般の御注意により、工事が全面的に計画通りにできたことは、調査団に対し感謝している旨の発言があり、土木部長より工事に関する種々の説明があつた後、当時十分でなかつた点があつたので、根本的にやり直させ、今度は絶対に大丈夫との確信をもつていると述べられ、林県知事よりも、土木部長に命じて根本的にやり直させたので、今度は計画通りにでき、八月程度の水害であれば、他の箇所が決壞しても最後に残るものは田原堰であるとの強い保証的証明を表示せられたのであります。また監査委員よりも、先般の委員長の指摘されたことは、終戰来惰性的であつた工事に対する警告であつて、他意はないものと考えられ、また土木関係者に大きな反省を與えられたことは、土木行政に対する一大覚醒なつたことを厚く感謝する旨述べられたのであります。調査団といたしましては、これらの人人の責任的証言を了とし、これに信頼して現場視察に出発したのであります。  問題となりました東春近田原工事場は、延長二百五十メートル、法長九メートル、一千四百万円の予算によつて工事は進められたものでありますが、今回視察にあたりましては、先般の不備は是正され、堤防の玉石、セメントはもちろん、木工沈床聖牛等十分につくられ、県当局が県の模範工事と言われたように、りつぱにできつておりました。しかし工事箇所はよくできておりましたが、それに続く昔つくつた堤防には、年月のたつたためか、亀裂の生じているものも見えましたので、その箇所もあわせて修理するよう注意を與え、県当局もこれを了承した次第であります。  次に建設省直轄工事であります西島工事場視察いたしたのでありますが、西島工事延長八百五十メートル、六千二百万円の予算で行うことになつておりますが、予算関係上、今年度といたしましては四百五十メートル、一千五百万円の予算で行うことになつており、十一月までに基礎工事ができることになつております。工事は九月より始めたものでありますが、日に百五十人から二百人くらいの人員で、日当百六十円より二百円くらいで工事をして来たのではありますが、現在農繁期のため人手が足りず、工事進捗状況は一時停頓している感が深いものがありました。本工事は以前工事中に災害に会つたものでありまして、その原因は、この辺が河床の変動激しく、乱流の傾向にあるため、沈床が前に傾き、ずつたものであるという説明がなされたのであります。  以上は一般的視察状況であります。今回の長野県下の視察目的は、災害直後視察をした際に、東春近田原堰復旧工事設計通り工事されていなかつた事実を、数点にわたつて松井委員長から指摘されまして、これがこのまま完成して、誤つて認可ということになれば、不正工事として取扱われる危險性をはらんでいたわけであります。たまたま工事中であり、その工事中に警告されましたので、上述のごとく本格的にやり直しを断行して、不正工事になる危險を事前に防ぎ得たのでありますが、この種のことは必ずしも長野県のみとは考えられないのであります。上述の長野県の監査委員の証言にもありますように、戰時中並びに終戰直後資材不足に伴う工事の粗漏が惰性となつて、完全なる工事のできる今日においても、工事請負業者の惰性と監督者の無責任な態度によつて、一部にはいいかげんな工事が行われたということであります。しかるにこれらの復旧工事は血の出るような国民の税金によつて行われるのであつて、ルーズな工事が施行されているということは、まことに遺憾にたえない次第であります。よつて調査団としては、公共事業、特に災害復旧工事がその名によつて呼ばれるごとく緊急工事であり、復旧工事であるとの気分から、ややもすれば設計においても工事施行においても不十分な場合が往々にして起きているような状態等からかんがみまして、本委員会においては臨時国会において、これらを監督すべき立場といたしまして、特に本委員会事務局を設置して数名の專門家を置き、年間予算を設定して、常時調査行つて復旧工事の促進をはかるとともに、工事施行にあやまちなからしめる措置を行うことは、国民血税を預かる国会の当然の責務と考えるものであります。委員長においては、本委員会に諮り、次の臨時国会にぜひとも事務局設置具体的決定をいたされることを提議するものであります。  第二の点は、建設省直轄工事であります天龍川西島工事場、これは調査団としては、一箇所直轄工事と認めておりませんけれども、他の方面からの情報によりましても、直轄工事が比較的に進捗しておらない。この西島の工事の場合においては、同事務所長は十一月一ぱいには基礎工事ができる予定だということを言うておりますけれども、当日われわれ視察団が見たところでは、三分の一程度の工事が進んでおるだけあつて、とうてい十一月中にこの基礎工事完成するとは考えられないのであります。こういうような遅延しておる状況については、事務所長農繁期のため工事人夫不足である、こういうような理由を言うておりますけれども、同じような箇所にあるところの田原堰工事はすでに完成しておる。こういうような実情から考えましても、工事人不足決定的原因とは考えられないのであります。その原因として考えられますことは、直轄工事事業量事業予算との均衡がとれておらない。すなわち建設省が厖大なる直轄事業量を持つてつて、しかもそれをまかなうべき予算があまりに僅少である。こういうことは予算関係から考えて結果的にはそういう結果を招来いたしておるのであります。従つて事業量に対する人件費というものが、請負事業全体から考えますと、割合に人件費が食い込んでおるという実情が考えられるのであります。従つてこれらの点を是正するためには、従来建設省の本来の直轄事業というものは、日本全国の基本的な水系整備に主眼を置いて直轄事業を置いたものであつて、その後いろいろな理由からして直轄工事が増加されておるのでありまするが、これを以前の基本的な水系整備に主眼を置くという方向に直して、それ以外のものはこれを地方公共団体に移して、彈力のある工事施行をせしめることが得策ではないかと考えるのであります。もちろんこの点については、一、二の点をもつて論ずることは不可能でありますから、建設省当局においてこの直轄工事直轄工事予算の量との研究をされまして、建設省直轄工事となすべき基礎的な水系整備とそれ以外とを区分して、これらの本来の水系以外はこれを地方公共団体に移すというようなことを前提としての調査研究を、建設省当局においてなされんことを切望するものであります。以上簡單でありますが、災害委員として現地調査の結果を御報告申し上げます。  なお続いて災害復旧工事に関する小委員会の審議の経過について簡單に御報告申し上げます。本委員会は、御承知のごとくに台風及び豪雨などによつて被害状況が起きました際に、それらの災害復旧事業予定通り進捗しておるか、あるいは当初の設計通り工事が進行しておるかどうか、その問題を調査するために小委員会が設定されまして、九月二十二日に十五名の委員をもつて結成されたのであります。その具体的例といたしましては、ただいま申し上げましたような長野県下の千曲川筋及び天龍川筋災害復旧工事状況視察する、こういうことであります。今後この小委員会が設定されまして、去る十五日の日に第一回の委員会を開いたのでありますが、従来の調査の結果から考えましても、先ほど御報告申し上げましたように、従来の常任委員会あるいは特別委員会制度によるところの調査派遣では不十分であつて、どうしてもこれだけの小委員会を設定して、基本的に十分なる国会監督権を発動するがためには、ぜひとも調査機関を設けなければならない。すなわち事務局の設定が必要であるということに小委員会でも意見の一致を見たわけであります。  なお直轄事業の運用の問題については、一、二の例をもつては十分にこれを推し進めることができないのでありますから、この問題については建設省当局が数字をあげて参考資料を小委員会に提出せられるように指示をしたわけでありますが、以上二点が十五日の小委員会の決定の條項であります。なお今後事務局が設定されますれば、これに従つての具体的な案を小委員会においても考慮したいと考えておる次第であります。以上小委員会の経過を御報告申し上げます。
  4. 松井豊吉

    松井委員長 ただいま橋本委員より調査報告を聽取いたしましたが、何か質疑なり御意見がありますれば、これを許します。
  5. 石野久男

    石野委員 ただいまの橋本委員報告に対しまして、二点ほどお尋ねしておきたいと思うのでございますが、第一点の災害対策委員会事務局を設置するという趣旨の中に、しばしば委員会として災害対策に対する事業についての監督云々という言葉が載せられておつたのでありまするが、この事務局はそういうような意味においてというのでありまするかどうか、あるいは私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、事務局趣旨がそういう点にあるとしますると、これは問題があると思いますので、一応お尋ねいたしたいと思います。  それから第二点は、直轄工事の問題につきまして、事業量予算との点から非常に工事進捗が思わしくないという結論でございました。そのためになるべく直轄工事地方公共団体に移管する方がよろしいというような御意見でありまするが、この点につきまして、一事業量に対する予算が非常に僅少だという意味合いからしますると、地方公共団体にかりに移したとしましても、その予算量を増加するということの保備する責任がむしろかえつて地方公共団体に移管されることになりまして、地方財政を圧迫するというような結論が出て来るようにも思われるのでありまして、そういう点についてはどういうような御意見でありましようか。むしろ量に対する予算増額ということについての方向意見がまとめられて行くのが至当ではないかというふうに考えられますけれども、この点についてどのような御意見でありますか、この二点について小委員長にお尋ねいたしたい。
  6. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいま石野委員からの御注意がありましたが、私が監督という言葉を使つたので誤解があつたようでありますが、その内容意味はわれわれ調査団が実際に現場調査いたしまして、設計が十分でないというのはある程度規模――それは予算から制約せられておるようであります。予算から制約せられたために、七メーター、八メーター法長堤防をつくることが必要であつても、災害復旧、原則的には原形復旧という建前から設計がなされるという場合があるのであります。しかし建設者においてはもちろん原形復旧とは言いながらも、十分に将来のことも考慮して原形復旧以上のことはしておるようでありますが、どうも格段の対策を立てることができないうないろいろの制限があるようであよります。設計上から考えても、この点は相当設計を嚴重にすべきものが、予算関係なり、従来の関係からして十分でない設計が行われる場合があるようであります。これは関西風水害を見た場合にその感を深くしたのであります。それから工事進行状況が、もちろんいわゆる法律的な監督権じやありませんが、しかし国会予算を扱つている以上は、その予算が適正に行使せられているかどうか、あるいは行政府工事行つているのですが、その行政府国会として監督するという建前での監督国会行政府に対する一種の監督権、これはあるわけでありますから、そういう広い意味での監督権はもちろん国会にあつてよろしいし、従つてこの特別委員会にそういう広い意味での監督権は当然あるべきだと考えるのであります。それにいたしましても、実際上專門委員を持つておらない、あるいは必要に応じて調査ができない、こういう不便のために一小部分のみを対象としてわれわれは現在は考えざるを得ないのでありまして、その点は年間災害復旧だけでも五百億前後の莫大なる予算を費しておるのでありますから、国会予算の適正な行使が行われておるかどうか、国時にまたその設計行政府としてはもちろん行政手段であるけれども、それには国会として注意もしくは警告並びに勧告すべき権利がありはしないか、こういう点から広い意味での監督という言葉を使つたわけであります。その点については石野委員も御了承なさると思うのであります。  第二の事業量事業予算の問題ですが、その他も相当にあることは石野委員もお認めのようでありますから、その結果地方団体に委譲した場合において、地方団体の経済的な負担となりはしないか、こういう御意見であります。本年度の二十五年度予算は、災害復旧全額国庫負担ということになつておりますから、直轄工事であろうとなかろうと、本年度工事に関しては全額国庫負担でありますけれども、従来は大体において三分の二を国庫負担として、三分の一が地元あるいは県負担ということになつております。来年度は一部においては全額国庫負担を継続すべしという御意見もあるようでありますから、あるいはいろいろの財政上の措置いかんによつて、三分の二が国庫負担ということになるような傾向でありますので、当然一部の負担地方においては行われなければならぬのであります。のみならず一般建設業の場合においては、災害でない場合においては、一部は地元負担ということになつておりまして、当然国庫負担によつてその他の事業は行われておらないのでありまして、ただ一応国家がこれを立てかえて工事行つて、あとでその一部分を拂いもどしをとるというような建前をとつております。そういう点から考えて、全然地方財政影響がないということは言えませんけれども、たとえばこれが県の工事として行われる場合においては、当然その一部は県の負担ということになりますけれども、それは従来も災害復旧の場合においては、その一部の県の負担というものは平衡交付金なり、あるいは地方起債なりを認めることによつて、県の負担増額を緩和しておる、こういう制度をとつておりますので、現在の場合においては、国庫でこれを行う場合には政府で公債を発行しないという建前からして、一事業量というものは普通の県工事でやる場合には三年間で行うべきものでも、国家事業でやる場合においてはこれを長期にわたつて行わなければならぬ。こういうような結果になつております。従つて現実委員諸君現場を見てごらんの通りに、一部が国家事業として行われておつて、それらが何年たつて完成せぬがために、他の場所が県、もしくは地方公共団体工事として完成しておりながらも、常にその一部が水害に見舞われておる。こういう現実の事実もあるのでありますから、もちろん日本の全国的な水系の調整、あるいは整備、こういう点に関するものは、これは全国的な規模を要するからして、当然直轄事業としてなすべきでありますけれども、必ずしも直轄事業としなくてもよろしいような中小河川直轄河川になつておる。これにはいろいろの政治的事情がありますけれども、そういう政治的事情に災いされて、必要以上に直轄事業を行うということは決して国家利益でない、のみならず明治当初のごとき、土木事業がまつたく幼稚であつた場合においては、国家が指導的な立場に立つて直轄工事を進める。こういうことも一つの方法でありますが、最近のごとくに、相当に優秀なる土木事業者が多くなつて来た現在においては、土木資本を活用するという建前から考えても、むりに大量の直轄事業を行うということは、国家利益の上から見て不得策ではないか、こういう点がわれわれの言うところの不必要なる一部を直轄工事から引離してはどうかという点にあるわけであります。以上御説明申し上げます。
  7. 石野久男

    石野委員 二つの件につきまする小委員長のただいまのお話は大体了承いたしましたが、問題点はやはり第一の事務局設置につきまして申されました監督という言葉については、それが広義であろうと、狭義でありましようとも、事務局設置そのものについての目的なりあるいは趣旨というようなものの中に、こういう字句はなるべく削除された方がよろしかろうと私は思うのであります。趣旨は大体よくわかりますけれども、将来に対していろいろの問題をかもすだろうと思いますので、この点は今後これを取扱う上においてお考えを願いたいと思うのであります。  第二の直轄工事の問題が諸種の理由がありましようとも、とにもかくにも工事進捗が遅れておる。そのためにこれを進捗せしめるための一方策として、事業量をなるべく地方公共団体に移管せよという趣旨には私は全面的に賛成であります。ただその場合に、どうしても地方公共団体財政的負担がその後において相当継続的に過重なものになつて行くだろうという危險性はどうしても残るように思いますので、この点についてはいま一応小委員会のただいまの結論に対して、十分な御検討の上にお取扱い願いたいというふうに私は思うのであります。こういう点はひとつ委員会としましても御配慮願いたいと私は思つております。大体了承いたしました。
  8. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今石野委員からの御注意ごもつともでありまして、最後の第二点の直轄工事の問題は、一応建設省当局においてこの問題について研究を進められたい。なお直轄事業量直轄事業費予算及び進捗状況資料を提出してもらいたいというのが小委員会結論であります。その点御了承願います。
  9. 松井豊吉

    松井委員長 石野君にちよつと第二の問題を補足して申し上げますが、綜合的にわかりやすく申し上げれば、建設省の明治維新以来やつております直轄区域というものがだんだん拡大されまして、そこで工事実情を見て、長野県の天龍川の筋を実調いたしましたが、二千メートルは決潰されております。これらは根本が何であるかと申しますと、半年で大体計画立つた仕事完成すべきものが、一年たつてもその工事場工事金額によつて一切の材料あるいは人件費がまかなえぬ。そこで半年遅れると人件費というものが半年加算する。それを工事費から出すから、遂に十分な工事ができないという結論なんです。そこでわれわれの今小委員長中心報告されたことは、その仕事をその金額そのままで県に委譲すべきが妥当でなかろうかということを研究されたのです。別に地方負担増額はないと信じておる。便宜上その予算は県が代行いたしまして、県が專属に技術者を持つて監督すべきものを監督する。そうして経費等あらゆる面で非常に節約する。こういうことを一応考慮願つておきます。
  10. 井之口政雄

    井之口委員 一つ御質問いたします。災害を受けた地方自治団体で聞くところの苦情によりますと、国会議員が調査に来る、あるいはいろいろな役人が調査に来る、国が来る県が来る、さまざまの者が調査に来まして、多くのむだな費用をほとんどそれとの折衝に費さなければならぬ。のみならず、決定する権限はいろいろなところにありまして、法律上は公明にできているようであるが、実際の場合は何らかの運動をしない限りは、なかなか自分の方に予算がまわつて来ないというふうなことを、自治団体の方において非常に苦にしておるのであります。こういう点に対して、これを防止する方法――これを一元化して、簡素で公正なる方針の貫かれるようなことを、小委員会として何か考えられましたか、どうですか。考えられたら、その点をひとつ聞かしてもらいたい。  もう一つは、災害の起つた場合に、国家からのこれに対する予算の割当並びに工事の着手が非常に遅れる。遅れるために地元においては手もつけられないし、自分で進んでもやれない。国家の方からやつて来るのを長い間べんべんとして待つていなければならぬというふうな点が苦になるようであります。これを急速に決定して、この工事を迅速化するというふうな方策について、小委員会の方において何か具体的な方法を考えられたか、この点をひとつ
  11. 松井豊吉

    松井委員長 お答えいたします。第一の点でありますが、本年を期しての災害ばかりでなく、二十二年以来の災害をこうむつた全国の被害地から、ただいま井之口君の言われるごとき御意見もあつたのであります。それをいろいろ整理して、なるべく被害地に負担をかけないということは、それぞれその機関を通じて勧告も申合せもしております。そこでわが災害対策特別委員会は一応実際の調査をいたしまして、地元被害地府県の報告と、現地の工事被害状況調査いたしまして、それが適正であるかないかということを重点としてやつております。委員長といたしましては、実調のまとまつたものを派遣委員からいただき、また班長になつた人々の御意見も承り、建設当局及び農林当局に必要に応じて相談をいたしまして、予算をとるべく安本、大蔵、必要に応じては連合国方面まで参りまして協力する。災害対策委員会としてはそれをやつております。それに対して農林省の役人が行き、あるいは建設省の役人も行き、あるいはそれぞれの機関を通じて行くこともあるが、一方においては実際調査をする必要があつて参るであろうと思います。地元といたしましてもそれぞれ陳情に参りまして、局長とか、あるいは課長行つてもらいたいというような要求もあるのです。ですからこれらの問題は研究いたしまして、そうして今井之口委員の言われるような弊害のないように、努めて今後いたすつもりでありますが、わが対策委員会といたしまして調査に参りますときは、むすびを持つて、たびをはいて、巻きやはんで行くということを原則として行つておりまして、地元負担が少しでも軽減するようにやつております。要は、根本は委員会の使命、それを果すべく今日はやつておりますが、他の調査機関については、われわれがくちばしをいれるところではございませんけれども、これらはそれぞれ関係の省に参りまして、今後再びないように注意いたしたい、こう思つております。それから第二の、各方面からいくら調査員が参りましても、陳情に参りましても、なかなか予算の配分がないので、工事に着手しておらぬという事実は聞いております。そこで一言申し上げますが、六月、八月の災害、これらの予算に対しても、御承知のごとく百億の予備費があるから、この百億の予備費で随時請願順にやるべきが当然だ。だれが考えても、前第七国会においてとつ予算であるから使うべきでしようが、そこがなかなかむずかしい。安本とかなんとかああいうふうな機関があり、向うの方面が一応関係する。これらもずいぶん努力しております。かろうじて五十億円の予算をとり、また小出しに二十二億円とかいうことになつておりますが、これについてももう少し向うの方面に刺戟を與えて、なるべく使う金は調査が終つたらすぐに被害地へ配分いたしまして、実行すべきが当然だ、こう信じております。そこで大体今まで調査報告をされ、予算措置もとられておられるようでありますが、公共事業費の配分から行きましても、向うの方面が三割減かあるいは半減するか、そんな声も聞いておりますが、それらも全面的につかえております。近いうちにこれをはつきりして、一応予算を配分すべく努力いたしたいと思つております。簡單でありますが、一言申し上げておきます。
  12. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまの問題でありますが、たとえば百億の予算がもうすでに決定されておつて、なおかつそれでさえも使うのに向うさんの方からのいろいろな制限を受けるというようなことになりますと、日本国会はほとんど自主性がないというふうに考えられるわけであります。こういう方面に対して、当然憲法なり何なりで保障されている国会としての権限を十分に発揮するためには、いかなる方法をもつてされたらよいだろうか、その辺ひとつお伺いたします。
  13. 松井豊吉

    松井委員長 今後十分研究いたしまして井之口委員の希望に沿うようにいたしたいと思いますから、御了承願います。     ―――――――――――――
  14. 松井豊吉

    松井委員長 この際災害防止国土保全法案起草小委員長より、その経過報告について発言を求めておりますので、これを許します。小平小委員長
  15. 小平久雄

    ○小平(久)委員 災害防止国土保全法案起草小委員会におきまする審議の経過並びに結果について、ごく簡單に御報告申し上げます。  本小委員会は、災害の復旧及び予防の対策を講じ、もつて国土の保全をはかるために何らかの立法措置を講ずる目的をもつて、去る七月十四日設置され、不肖小委員長に選任されました。今国会におきましては、最初に前国会において起草しておりました案を基礎にしまして、前後五回にわたり調査を続け、特に国が国土保全計画に基く事業の実施に要する費用に充てるための災害防止国土保全基金の問題について研究をいたしたのであります。その結果ただいまお手元に配付いたしてありますような災害防止国土保全資金特別会計法案要綱試案を一応作成いたしたのでありますが、去る十六日の小委員会におきまして、第一に、国土総合開発法との関係もあり、第二に、災害防止国土保全資金に関して財政法規の関係から種々難点があり、また第三には、現行行政機構との関係もありまして、この際むしろ本委員会におきまして、各委員より従来強く要望されて参りました災害復旧対策に関する基本的事項を内容とする法律を制定し、実質的効果をねらう方がより適当であろうということになりまして、お手元にお配りいたしましたような災害復旧基本法案要綱を作成いたしたのであります。  この詳細につきましてはお手元に配りましたものをごらん願いたいと存じまするが、本要綱中に規定されておりまする主たる点について申し上げますならば、まず第一には災害被害額、復旧費等の査定を適正化すること、第二に災害復旧事業原形復旧主義を緩和したしまして、必要なる改良事業をも同時に施行し得るように規定したこと、第三には復旧事業が原則として災害年度から三箇年以内にこれを施行すること、第四には災害復旧費の財源として国は過去五箇年における災害復旧費の平均額を下らざる額を予算に計上することとしたこと、第五に予算作成後に発生した災害についてはすみやかに補正予算国会に提出するようにしたこと、この場合はその財源といたしまして公債の発行、富くじの発売及び借入金、これらをなし得るものといたしたことであります。第六には予算の配分はすみやかにこれを行うこと、災害発生第一年度において事業費の三分の一以上を配分すること、これを規定いたしております。第七には災害復旧費の一部を地方公共団体負担せしめる場合におきましては、地方公共団体はその財源に資するために国の許可を受けずして起債をなし得ることといたしました。第八には安本総裁の諮問機関といたしまして、災害復旧対策審議会を中央に設けることにいたしました。これは要綱をごらん願いますればわかるのでありますが、国会議員及び各省の次官、学識経験者、これらのもの二十二名をもつて組織する案となつております。但し本審議会はただ單なる諮問機関というばかりでなく、必要と認めたる場合はみずからの発意によつても活動し得ることといたしております。第九には国土総合開発計画と災害復旧対策との調整につきましては、内閣総理大臣が国土総合開発審議会及び災害対策審議会、この両者の意見を徴して行うことにいたしております。  大体以上でありますが、なお本要綱につきましては、主として土木関係災害対策について規定をいたしておりますので、さらに農林関係災害復旧事業及び学校その他の公共施設についての災害復旧事業等につきましてもその規定を加えること、及び審議会の権限につきましてさらにこれを強化する方がよろしいのではないか、できればむしろ独立した行政機関にする方がより適当ではないかといつたような意見のあつたこともこの際申し加えておきたいと思うのであります。  そこで本要綱の今後におきまする取扱いでありますが、申すまでもなく本特別委員会は各国会の会期ごとに設けられることになつておりますので、本日に至りましては本委員会の残存機関と申しますか、存続する日時は幾らもございませんので、小委員会の希望としましては、ここにお配りいたしましたこの要綱を本委員会のやはり決定の案として採用願いまして、委員長から本会議に御報告を願いますとともに、委員長より政府に対しまして、本案に準拠したすみやかなる立法措置を講じてもらいたい、こういう勧告をいたしてもらいたいと思うのであります。以上きわめて簡單経過並びに結果を御報告申し上げます。
  16. 松井豊吉

    松井委員長 ただいま小平小委員長より御報告のありました災害復旧対策基本法案要綱につきまして御意見なり、御質疑がありますれば、小委員長及び法制局の方もお見えになつておりますので、これを許します。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 災害防止国土保全資金特別会計法といいますか、それが決定された経過について御質問申し上げるのですが、こういう資金を設定いたしまして、その資金の運営を総理大臣のさしずをもつてやるという場合に、今までいろいろな委員会の状態なんか見てみますと、これが政治的な色彩に運営されたり、あるいは土建業者、そういうものとの結託が密接になつて、こういう資金の運営が非常に不正をはらんで来ているような気がするのであります。これに対して民主団体の自主的の参加を許して、その嚴重なる、つまり発言権というものを保障して、公正にこれを運営するというふうなことに対して、委員会においては十分な考慮を拂つた上で研究されたかどうか、そういう民主団体の参加を当然これは許すべきものでありますが、もし許すとすればどういう方法で、どういう範囲で許されるか、そういうものも研究されたことがあるか、ちよつとこの点御質問申し上げます。
  18. 小平久雄

    ○小平(久)委員 井之口君の御質問の災害防止国土保全資金特別会計に関しまして、特にこれが運営、あるいは委員の選任についての御質問でありましたが、先ほどお聞き取りだつたと思いますが、この国土保全資金特別会計というものを設けようかという実は考えのもとにこの案を得たのでありますが、先ほども申し上げました通り、單なる特別会計をつくるというよりも、むしろ予算災害復旧費を確保するということがより重要であろう、より基本的であろうというので、今回の災害復旧対策基本法案要綱なるものをつくつたのであります。従いましてこの災害防止国土保全資金特別会計法なるものは、いわば小委員会としては廃案なんであります。ただ今回のこの基本法案要綱によりますと、審議会なるものができまして、これは先ほども申しました通り二十二人の委員からなるのでありますが、この委員は経済安定本部の総裁が任命をいたすことになつております。従つてそのうちの学識経験ある者という中に、これは安本総裁がその良識をもつて委員は任命をされるものとわれわれは考えております。
  19. 前田種男

    ○前田(種)委員 今の小委員長報告に対して私は別に質問もないわけです。ただ私の意見として、むしろ要綱を書き上げてもらつたことに対してその労を多としたいと思います。もちろん正式な法律案になるためには、條項、その他の内容等についてももつと十分に検討の要があろうと思いますが、この大綱はけつこうでありますから、この綱を本委員会が採択して、委員長報告として本会議に出されるように希望します。さらに政府が進んでこうした法律案を政府提案として出すという決意がありますならば、政府みずから出してもらうことに賛成しますが、政府が躊躇いたしますならば、本委員会の職責から申し上げましても、また各党派それぞれの議員の立場からいたしましても、臨時国会は会期が短かいのでございますが、来るべき通常国会の劈頭にこの法律案を政府が出さない場合には、議員提出として出すように、各党派がそれぞれ責任をもつて推し進めるという意味を付帶いたしまして、小委員長報告を了といたします。
  20. 床次徳二

    ○床次委員 私は小委員会におきまして、この法案の要綱の作成に関與いたしました立場からいたしまして、ただいま前田委員のおつしやつたことに対しまして全面的に賛成なのであります。ただこの機会に一言お願いを申し上げておきたいことは、この災害内容におきましては、土木に関しましては、一応本年の例によりまして事業費の全額を負担するという立場をとつております。また農林その他に関しましては、従来の慣習をそのまま踏習いたすように考えられておるのでありますが、今後の災害に関しましては、でき得る限り国庫においてよけい負担して、その災害の復旧を容易ならしめるという方針をできる限り強く主張して、これを実現するようにお願いいたしたいと思うのであります。  第二点は、先ほども小委員長からお話がありましたが、第十の審議会の問題であります。この審議会が現在の災害復旧事業を迅速に、しかも簡單な手続において決定し、実施ができますような働きができますように運用いたしたい。規定におきましてはこれが諮問機関で、また必要がありますときはみずから調査審議することができるようになつておりますが、実質におきましては、この審議会が十分に自発的立場におきまして災害調査もし、その対策決定いたしまして、そうして必要なる費用を割当て、その実施に当らせるというようなところまでこの審議会が活動できるように、ひとつ特別な御配慮をいただきたいのであります。でき得れば法文等におきましてもそういう改正をいたしたいとは私ども考えておつたのでありますが、現在の行政機構との関係上、とりあえず現在のような形でやむを得ないと思いますが、できますならば、将来これはもつと所期の目的を達し得るような形まで持つて行けるようにひとつお考えをいただきたい。これは特に委員会等においてもいろいろ研究いたしたいのでありますが、適当な言葉がありませんので、とりあえずはやむを得ないと思いますが、将来におきましては、ぜひともこの点はお考えをいただきまして、その本来の目的を達成できるようにひとつ御配慮いただきたい、特にこれをお願い申し上げます。
  21. 松井豊吉

    松井委員長 その他災害対策について質疑がありますれば、農林省より災害復旧課長がお見えになつておりますので、これを許します。
  22. 前田種男

    ○前田(種)委員 私は建設省関係の方がお見えになりましたら一、二質問いたしたいと思いましたが、おいでになりませんから、実は委員長を通じてお願いいたしたい点が一、二あります。ジエーン台風に対するところの本委員会のいろいろな努力に対しては感謝いたしますが、地元大阪といたしましては、その跡始末等につきましても、実は御承知のように大阪港を中心にする港湾の復旧、それから河川の復旧等が入り組んでおりますが、そのことのために、運輸省と建設省との関係において所管争いといいますか防潮堤の問題、あるいは恒久対策等について、いろいろ各省の摩擦があるわけです。これを急速に解決してもらつて、できるだけ早く対策を立ててもらわなければ、両省の争いのために遅れるということになりますと、水は来年の高潮時が待ち切れないというようなことになるわけです。もちろん両省ともいろいろな関係において根本的な対策もいろいろ立てられておりますが、そういうことのために数年費すということになりますとたいへんなことになりますので、どうぞ事務当局に対しましても、あるいはこの間のあつせんを安本当局がやつてもおりますか、なかなか結論がまだ出てないというような状態もございますから、こういう点についても、委員長からできるだけ両者の事情もお聞き願うことはけつこうですが、早く結論を出してもらうようにお願いいたしたいというのが第一点。それから聞くところによりますと、災害復旧予算が二分の一や三分の一に削られるというようなことがいろいろうわさに上つておるのでありますが、もしそうういことになすりまとたいへんなことになりますから、ぜひこういう面等につきましては、委員長立場で強く趣旨を徹底するように今後の努力を願いたいと思います。  それからジエーン台風の跡始末の一つとして、淀川の河川工事があの当時応急に直轄工事としてなされたわけです。それぞれ各工事に分担して、応急対策としてやり上げましたが、府市がやつた点につきましては、もうすでにでき上つたものに対しては支拂いをしておりますが、直轄工事建設省が直接やつたものに限つて、金がないということのために、いつ支拂えるかわからないというようなことになつておるということは、今後の工事対策、あるいは事業等にも影響することが大きいと思いますから、こういう面につきましてもすみやかに――直轄工事であるだけなおさらそういう点について最善の努力を講じてもらうように、以上の点をお願い申し上げます。当局がおりますならば、もつと詳しく質問して、当局の立場から答弁を願いたいと思いましたが、おられませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  23. 松井豊吉

    松井委員長 今日は建設省の方とも連絡をして、政務官か事務官が来る予定になつておりましたけれども、遺憾ながら参りません。ただいま前田種男委員から第一、第二、第三の御指摘に対しては、十分私も調査研究しておりますから、地元の希望するように一日も早く実行促進方に努力いたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  24. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 農林省の方が来ていますから、実際の問題で簡單にお尋ねしたいと思います。小貝川の去年の決壞箇所の北相馬郡の高須村というところは、堤防の決壞によるいわゆるけどという草炭の層がたんぼの上に莫大におおいかぶさりまして、そのために相当広い耕地がだめになつておるのであります。ここへ相当国庫補助をもつて復旧の工事が行われておるようであります。この場合に村の人たちはこの工事に労力を提出して、それにより災害によつて受けた被害を幾分なりとも補いたい。こういう希望を抱いておるにもかかわらず、伝え聞くところによりますと、村長が請負契約権をとりまして、そうして個人の土木組に請わせるというようなことをやろうとしておりまして、そのために村内に非常な不安動揺が起つておるということを聞いておるのであります。もしそうだといたしますならば――村民の意思を無視して、人夫をみずから持つておる請負業者に請負わせて、そうして村内の失業者、半失業者を救済することをやらないということを村長がやりました場合に、農林省の方でこれに対して何らかの監督権あるいは勧告権というものがあるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  25. 川名進一

    ○川名説明員 ただいまのお話、私初めてお伺いしたわけですが、実を申しますと、農林省の方の災害復旧事業としましては、従来これは全面的に県の知事に委任しておるのでありまして、国は県に補助金を流して、県の知事の監督のもとに一切をやつてもらつておつたわけであります。従つて正式にそういう点につきまして、監督権というものはないように思いますが、しかし小貝川の決壞などにつきましては、これはそういう問題とは別にしまして、農林省としましても非常に関心を持つておりますので、お話の点がもしか事実といたしましたならば、私の方としましても、県の関係の人とできるだけ話合いをしまして、町村の人の失業救済にも支障のないように話はいたしたい、こういうふうに思つております。
  26. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと農林省にお聞きしますが、農村が災害を受けた場合に、たとえば暗渠や小さな道路がやられたというとき、今度の法案では十五万円以下はこの限りではないという但書になつておりますが、小さいもので、あつちこつちちびちびとやられて、一つ一つつてみるとみんな十五万円以下である。ところが全体をとると非常に多額なものになるというふうで、実際の場合にこの法案が農民保護の法案にならないということがしばしば起るのですが、そうものに対して農林省としては、どういうふうな救済の方法を考えておられるか。またたとえば作物に対しては何らの補償がない。供出を幾分安くするとか、補正するというふうなことぐらしかないのでありまして、その作物全体を国家において補償するというふうなことは法案には何らない。そのために農家は災害を徹底的に受けるのみならず、これに対する金融もほとんど道がない。また、あるものは金利が非常に高いために、家を建てても農舎を建てても、その金利に追われるし、またの抵当がむずかしい抵当で、かつ保証人をやかましく言うというふうなことで、実際上農家は災害を受けても救済されないという事実を見るのでありますが、これに対して農林省としては、もつと徹底的に農家保護のために、災害補償のいろいろな法案を考える意思はないものかどうか、この点をお聞きいたしたいと思います。
  27. 川名進一

    ○川名説明員 ただいまの御質問の第一の、十五万円以下ということになつておりますが、この点につきましては、この法律をつくりますときにもいろいろ議論もあつたわけでありますが、農林省としては、今のところこの程度を限度としてやるよりしかやむを得ないということに一応なつておるのであります。しかしながらこの一個所十五万円と申しますが、あの法律には御承知のように、一事業主体につきまして、ある程度間隔を持つてそれが点点としてあるものについては、一箇所の基準の中に入れて採用ができることになつております。それからなお一定の間隔で災害を受けているもので、それを一箇所だけやつたのではその効用を発揮できないというような場合には、ある程度の緩和策が設けられております。ただ十五万円以下のものをそれではどうするかということにつきましては、零細な経済の農民でありますし、これをそのままほつておくこともできませんので、農林省としましては、今問題になつております農林漁業の金融公庫、あれがもしできましたならば、あれで大体救えるのではないか、あれで救うような数字を今あげて、関係筋に要望しておるわけであります。ただそれがもしかだめだとしましたならば、また別に方法を講じなければならぬというふうに考えております。  それから第二の作物の被害につきましては、これは私の管轄ではございませんが、農業災害補償法でございますか、あれによりまして保險の制度が設けられておるようであります。ただその点私は詳しく存じません。
  28. 井之口政雄

    井之口委員 災害一單位が全部をまとめて十万円であろうと、十五万円であろうと、災害の一單位を全部まとめて復旧するというふうな法律にはならないものでしようか。あつちこつちちびちびしたところで、一災害でさつとやられるのですから、これはみんな総計して復旧するというふうな法案にはならぬでしようか、どうしてそれがならぬかとふしぎに思うのですが……。
  29. 川名進一

    ○川名説明員 お話の点も従来いろいろ考えたのでありますが、事務的にもいろいろあります。事務的に複雑だということだけではもちろんいけないわけでありますが、国が補助するという建前から、その間に経営の單位とか、あるいは農家規模の大小とか、そういつたいろいろの方面から考えなければならないので、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、なおこの点につきましては、将来研究する余地があるだろうと思います。     ―――――――――――――
  30. 松井豊吉

    松井委員長 この際お諮りいたしますが、本委員会は去る七月十三日に設置いたされまして以来、台風及び降雨等による被害状況調査、または災害復旧工事に関する調査、あるいは災害復旧対策基本法案要綱の作成、災害対策等の樹立に努力して参りましたが、臨時国会も来る二十一日に召集になりますので、全般的にわたり結論を出すことは困難でありますから、本委員会の審議経過についての報告書を議長に提出いたしたいと思いますが、その案文作成手続等については、委員長に一任して報告書を提出するに御異議ありませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松井豊吉

    松井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもつて閉会いたします。次会は公報をもつて通知いたします。     午後三時三十九分散会      ――――◇―――――