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1950-11-18 第8回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年十一月十八日(土曜日) 午後二時二十九分
開議
出席委員
委員長
松井
豊吉君
理事
青木 正君
理事
飯塚 定輔君
理事
小淵
光平
君
理事
小平 久雄君
理事
青野 武一君
理事
池田 峯雄君 青柳 一郎君
岡延右エ門
君
奧村又十郎
君 金光 義邦君 川端 佳夫君 小山
長規
君
野村專太郎
君
橋本登美三郎
君
金塚
孝君 笹森
順造
君 床次 徳二君 吉田 安君 前田
種男
君
井之口政雄
君 田代 文久君
石野
久男君
委員外
の
出席者
農 林 技 官 (
農地局災害復
旧
課長
) 川名 進一君
衆議院参事
(
法制局
第二部 第一
課長
) 打田 畯一君 ――――――――――――― 本日の
会議
に付した
事件
派遣委員
の
調査報告聽取
小
委員長
の
報告聽取
閉会
中
審査事件
の
報告書作成
に関する件 ―――――――――――――
松井豊吉
1
○
松井委員長
これより
会議
を開きます。 本
委員会
におきましては、さきに
災害復旧工事
に関する小
委員会
を設置し、
災害復旧工事
の適正なる遂行を期するため
調査
いたしたのでありますが、その
事例調査
のため、
閉会
中の
委員派遣
に関する七月三十一日の
委員会決定
に基き、去る十月二十日
委員長
より所要の手続をとり、
議長
の
承認
を得まして
長野
県下に
委員
を派遣いたしました。この点御了承を願います。それでは
派遣委員橋本登美三郎
君よりその
調査報告
を伺いたいと思います。
橋本登美三郎
2
○
橋本
(登)
委員
本
調査団
は十月二十五日
議長
の
承認
を得て、
松井委員長
、
金塚孝
君及び私の三名を
一行
として、十一月六日、七日の両日にわたり、
上田
市
付近
の
千曲川流域
及び
天龍川田原堰付近
を
視察
したのでありますが、以下
視察
の結果について、その概要を御
報告
申し上げます。 本
調査
は、
長野
県下における
災害復旧工事
の
進捗状況
の
調査
を
目的
とするものでありますが、また先般八月
松井委員長外
三名の
一行
が
東春近
村
田原堤防視察
の際、
工事
が
設計通り
にできていなかつたその点を指摘したことが、
長野
県の
県会
その他で大きな問題と
なつ
たので、その後の
手直し状況
をもあわせて
視察
いたしたのであります。
工事
が
設計通り
にできていないということは、單に
長野
県
田原堰
のみの問題でなく、広く全国的に考えられる問題であり、毎年四、五百億円にも上る
国民
よりの
血税
によ
つて
行う
災害復旧工事
には、大なる
影響
を與えますので、われわれとしても重大の関心を持
つて
視察
いたした次第であります。 まず本
調査団
は、六日
上田
市において県の
河川課長
、
上田市長
及び
県議会土木委員長
ら多数の案内により、
千曲川流減
の
上田
市
北天神
町、
中之條
、鴨池及び
塩尻
村
字新屋
を
視察
いたしたのであります。 第一に
視察
いたしました
北天神
町
工事
は、
昭和
二十四年八月三十一日の
キテイ台風
により
護岸堤防
の決壊を見たもので、
復旧工事延長
四百三十メートル、
法長
十四メートル、
査定額
一千六百万円でありまして、現在では大体二百五十メートルほどできており、今年十二月までに
完成
の
予定
であります。この
復旧工事
が遅延して
災害
を受けた場合は、
專売公社上田タバコ工場
、
信越線上田
駅及び
鉄道線路
五百メートル及び道路四百メートル、民家百七十戸、畑五十町歩に及ぶおそれがありますので、その
完成
を急いでいる次第であります。 次に
視察
いたしました中之
條工事
は、本年八月五日の
豪雨
により
被害
を受け、
昭和
二十五年度
国庫補助河川災害復旧工事
として
承認
されたもので、
工事
は
延長
百七十メートル、
法長
十五メートル、査定七百万円であり、今年度の
災害復旧費
一億七千五百万円の配分があり次第とりかかる
予定
にな
つて
おるのでありますが、この
付近
は水量多く、また対岸の
塩尻
村新屋の
工事
と同時に行わねばならない
関係
上、
工事
は
相当
困難を予想されておる次第であります。 対岸の
塩尻
村
字新屋
は、本年八月四日の
豪雨
にて決壞し、ために
濁流耕地
に浸入、
信越線路
に迫り、翌朝まで列車運転不能となり、人家の浸水十七戸、田畑の浸水五十町歩に及ぶ
被害
と
なつ
たものであります。本
工事
は、
昭和
二十五年度
国庫補助河川復旧工事
として
承認
され、
工事延長
四百九十メートル、
法長
十四メートル、
査定額
三千四百万であり、来年五、六月までに
完成
の
予定
でありますが、
工事
はいまだ緒についたばかりであります。なお、鴨池も本年八月四日の
災害
によるものでありまして、今年度
国庫補助河川災害復旧工事
として
承認
され、
延長
百九十メートル、
法長
十四メートル、
査定額
六百万円でありますが、
工事
はまだ始められておりません。 以上四
箇所
にわたり時間の許す限り
視察
いたしたのでありますが、
工事
は
予算
の
関係
その他により、また本格的に始められておりませんが、
工事着手
中のものはおおむね
設計通り
に良好にできているように思われた次第であります。 第一日の
視察
は以上をも
つて
終り、第二日はまず
上田建設事務所
において、
林県知事
、
土木部長
、
河川課長
、
県会土木委員長
、
監査委員
に対し、約一時間にわたり
視察団
より
災害復旧工事
の
進捗状況
、特に問題と
なつ
た
天龍川田原堰
の八月
視察
後の
状況
について質問し、前述の人によりそれぞれ
説明
がありました。 まず
土木委員長
より先般
視察
後の
県議会
、
土木委員会
の
活動状況
、
証人喚問
による
証言内容
について概説
説明
し、
土木委員長
としては、先般の御
注意
により、
工事
が全面的に
計画通り
にできたことは、
調査団
に対し感謝している旨の発言があり、
土木部長
より
工事
に関する種々の
説明
があつた後、当時十分でなかつた点があつたので、根本的にやり直させ、今度は絶対に大丈夫との確信をも
つて
いると述べられ、
林県知事
よりも、
土木部長
に命じて根本的にやり直させたので、今度は
計画通り
にでき、八月程度の水害であれば、他の
箇所
が決壞しても最後に残るものは
田原堰
であるとの強い
保証的証明
を表示せられたのであります。また
監査委員
よりも、先般の
委員長
の指摘されたことは、終戰来惰性的であ
つた工事
に対する警告であ
つて
、他意はないものと考えられ、また
土木関係者
に大きな反省を與えられたことは、
土木行政
に対する
一大覚醒
と
なつ
たことを厚く感謝する旨述べられたのであります。
調査団
といたしましては、これらの人人の
責任的証言
を了とし、これに信頼して
現場視察
に出発したのであります。 問題となりました
東春近田原工事場
は、
延長
二百五十メートル、
法長
九メートル、一千四百万円の
予算
によ
つて工事
は進められたものでありますが、今回
視察
にあたりましては、先般の不備は是正され、
堤防
の玉石、セメントはもちろん、
木工沈床
、
聖牛等
十分につくられ、
県当局
が県の
模範工事
と言われたように、
りつぱにでき
上
つて
おりました。しかし
工事
の
箇所
はよくできておりましたが、それに続く昔つく
つた堤防
には、年月のたつたためか、亀裂の生じているものも見えましたので、その
箇所
もあわせて修理するよう
注意
を與え、
県当局
もこれを了承した次第であります。 次に
建設省
の
直轄工事
であります
西島工事場
を
視察
いたしたのでありますが、
西島工事
は
延長
八百五十メートル、六千二百万円の
予算
で行うことにな
つて
おりますが、
予算
の
関係
上、今年度といたしましては四百五十メートル、一千五百万円の
予算
で行うことにな
つて
おり、十一月までに
基礎工事
ができることにな
つて
おります。
工事
は九月より始めたものでありますが、日に百五十人から二百人くらいの人員で、日当百六十円より二百円くらいで
工事
をして来たのではありますが、現在
農繁期
のため人手が足りず、
工事
の
進捗状況
は一時停頓している感が深いものがありました。本
工事
は以前
工事
中に
災害
に会つたものでありまして、その
原因
は、この辺が河床の変動激しく、乱流の傾向にあるため、沈床が前に傾き、ずつたものであるという
説明
がなされたのであります。 以上は
一般的視察状況
であります。今回の
長野
県下の
視察
の
目的
は、
災害
直後
視察
をした際に、
東春近
村
田原堰
の
復旧工事
が
設計通り工事
されていなかつた事実を、数点にわた
つて
松井委員長
から指摘されまして、これがこのまま
完成
して、誤
つて認可
ということになれば、
不正工事
として取扱われる
危險性
をはらんでいたわけであります。たまたま
工事
中であり、その
工事
中に警告されましたので、上述のごとく本格的にやり直しを断行して、
不正工事
になる危險を事前に防ぎ得たのでありますが、この種のことは必ずしも
長野
県のみとは考えられないのであります。上述の
長野
県の
監査委員
の証言にもありますように、戰時中並びに
終戰直後
の
資材不足
に伴う
工事
の粗漏が惰性とな
つて
、完全なる
工事
のできる今日においても、
工事請負業者
の惰性と
監督者
の無責任な態度によ
つて
、一部にはいいかげんな
工事
が行われたということであります。しかるにこれらの
復旧工事
は血の出るような
国民
の税金によ
つて
行われるのであ
つて
、ルーズな
工事
が施行されているということは、まことに遺憾にたえない次第であります。よ
つて
本
調査団
としては、
公共事業
、特に
災害復旧工事
がその名によ
つて
呼ばれるごとく
緊急工事
であり、
復旧工事
であるとの気分から、ややもすれば
設計
においても
工事施行
においても不十分な場合が往々にして起きているような
状態等
からかんがみまして、本
委員会
においては
臨時国会
において、これらを
監督
すべき立場といたしまして、特に本
委員会
に
事務局
を設置して数名の專門家を置き、
年間予算
を設定して、常時
調査
を
行つて
、
復旧工事
の促進をはかるとともに、
工事施行
にあやまちなからしめる措置を行うことは、
国民
の
血税
を預かる
国会
の当然の責務と考えるものであります。
委員長
においては、本
委員会
に諮り、次の
臨時国会
にぜひとも
事務局設置
の
具体的決定
をいたされることを提議するものであります。 第二の点は、
建設省直轄工事
であります
天龍川
の
西島工事場
、これは
調査団
としては、一
箇所
直轄工事
と認めておりませんけれども、他の方面からの情報によりましても、
直轄工事
が比較的に
進捗
しておらない。この西島の
工事
の場合においては、同
事務所長
は十一月一ぱいには
基礎工事
ができる
予定
だということを言うておりますけれども、当日われわれ
視察団
が見たところでは、三分の一程度の
工事
が進んでおるだけあ
つて
、とうてい十一月中にこの
基礎工事
が
完成
するとは考えられないのであります。こういうような遅延しておる
状況
については、
事務所長
は
農繁期
のため
工事人夫
が
不足
である、こういうような
理由
を言うておりますけれども、同じような
箇所
にあるところの
田原堰工事
はすでに
完成
しておる。こういうような
実情
から考えましても、
工事人
の
不足
が
決定的原因
とは考えられないのであります。その
原因
として考えられますことは、
直轄工事
の
事業量
と
事業予算
との均衡がとれておらない。すなわち
建設省
が厖大なる
直轄事業量
を持
つて
お
つて
、しかもそれをまかなうべき
予算
があまりに僅少である。こういうことは
予算
の
関係
から考えて結果的にはそういう結果を招来いたしておるのであります。
従つて
一
事業量
に対する
人件費
というものが、
請負事業
全体から考えますと、割合に
人件費
が食い込んでおるという
実情
が考えられるのであります。
従つて
これらの点を是正するためには、従来
建設省
の本来の
直轄事業
というものは、
日本全国
の基本的な
水系
の
整備
に主眼を置いて
直轄事業
を置いたものであ
つて
、その後いろいろな
理由
からして
直轄工事
が増加されておるのでありまするが、これを以前の基本的な
水系
の
整備
に主眼を置くという方向に直して、それ以外のものはこれを
地方公共団体
に移して、彈力のある
工事施行
をせしめることが得策ではないかと考えるのであります。もちろんこの点については、一、二の点をも
つて
論ずることは不可能でありますから、
建設省当局
においてこの
直轄工事
と
直轄工事
の
予算
の量との
研究
をされまして、
建設省
が
直轄工事
となすべき基礎的な
水系
の
整備
とそれ以外とを区分して、これらの本来の
水系
以外はこれを
地方公共団体
に移すというようなことを前提としての
調査研究
を、
建設省当局
においてなされんことを切望するものであります。以上簡單でありますが、
災害委員
として
現地調査
の結果を御
報告
申し上げます。 なお続いて
災害復旧工事
に関する小
委員会
の審議の経過について簡單に御
報告
申し上げます。本
委員会
は、御承知のごとくに台風及び
豪雨
などによ
つて被害状況
が起きました際に、それらの
災害復旧事業
が
予定通り
に
進捗
しておるか、あるいは当初の
設計通り工事
が進行しておるかどうか、その問題を
調査
するために小
委員会
が設定されまして、九月二十二日に十五名の
委員
をも
つて
結成されたのであります。その
具体的例
といたしましては、ただいま申し上げましたような
長野
県下の千曲川筋及び
天龍川筋
の
災害復旧工事
の
状況
を
視察
する、こういうことであります。今後この小
委員会
が設定されまして、去る十五日の日に第一回の
委員会
を開いたのでありますが、従来の
調査
の結果から考えましても、先ほど御
報告
申し上げましたように、従来の
常任委員会
あるいは
特別委員会制度
によるところの
調査派遣
では不十分であ
つて
、どうしてもこれだけの小
委員会
を設定して、基本的に十分なる
国会
の
監督権
を発動するがためには、ぜひとも
調査機関
を設けなければならない。すなわち
事務局
の設定が必要であるということに小
委員会
でも
意見
の一致を見たわけであります。 なお
直轄事業
の運用の問題については、一、二の例をも
つて
は十分にこれを推し進めることができないのでありますから、この問題については
建設省当局
が数字をあげて
参考資料
を小
委員会
に提出せられるように指示をしたわけでありますが、以上二点が十五日の小
委員会
の決定の條項であります。なお今後
事務局
が設定されますれば、これに
従つて
の具体的な案を小
委員会
においても考慮したいと考えておる次第であります。以上小
委員会
の経過を御
報告
申し上げます。
松井豊吉
3
○
松井委員長
ただいま
橋本委員
より
調査報告
を聽取いたしましたが、何か質疑なり御
意見
がありますれば、これを許します。
石野久男
4
○
石野委員
ただいまの
橋本委員
の
報告
に対しまして、二点ほどお尋ねしておきたいと思うのでございますが、第一点の
災害対策委員会
に
事務局
を設置するという
趣旨
の中に、しばしば
委員会
として
災害対策
に対する
事業
についての
監督云々
という
言葉
が載せられておつたのでありまするが、この
事務局
はそういうような
意味
においてというのでありまするかどうか、あるいは私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、
事務局
の
趣旨
がそういう点にあるとしますると、これは問題があると思いますので、一応お尋ねいたしたいと思います。 それから第二点は、
直轄工事
の問題につきまして、
事業量
と
予算
との点から非常に
工事
の
進捗
が思わしくないという
結論
でございました。そのためになるべく
直轄工事
は
地方公共団体
に移管する方がよろしいというような御
意見
でありまするが、この点につきまして、一
事業量
に対する
予算
が非常に僅少だという
意味
合いからしますると、
地方公共団体
にかりに移したとしましても、その
予算量
を増加するということの保備する
責任
がむしろかえ
つて
地方公共団体
に移管されることになりまして、
地方財政
を圧迫するというような
結論
が出て来るようにも思われるのでありまして、そういう点についてはどういうような御
意見
でありましようか。
むしろ量
に対する
予算
の
増額
ということについての
方向
に
意見
がまとめられて行くのが至当ではないかというふうに考えられますけれども、この点についてどのような御
意見
でありますか、この二点について小
委員長
にお尋ねいたしたい。
橋本登美三郎
5
○
橋本
(登)
委員
ただいま
石野委員
からの御
注意
がありましたが、私が
監督
という
言葉
を使つたので誤解があつたようでありますが、その
内容
の
意味
はわれわれ
調査団
が実際に
現場
を
調査
いたしまして、
設計
が十分でないというのはある
程度
の
規模
――それは
予算
から制約せられておるようであります。
予算
から制約せられたために、七
メーター
、八
メーター
の
法長
の
堤防
をつくることが必要であ
つて
も、
災害復旧
、原則的には
原形復旧
という
建前
から
設計
がなされるという場合があるのであります。しかし
建設者
においてはもちろん
原形復旧
とは言いながらも、十分に将来のことも考慮して
原形復旧
以上のことはしておるようでありますが、どうも格段の
対策
を立てることができないうないろいろの制限があるようであよります。
設計
上から考えても、この点は
相当
に
設計
を嚴重にすべきものが、
予算
の
関係
なり、従来の
関係
からして十分でない
設計
が行われる場合があるようであります。これは
関西風水害
を見た場合にその感を深くしたのであります。それから
工事
の
進行状況
が、もちろんいわゆる法律的な
監督権
じやありませんが、しかし
国会
が
予算
を扱
つて
いる以上は、その
予算
が適正に行使せられているかどうか、あるいは
行政府
が
工事
を
行つて
いるのですが、その
行政府
を
国会
として
監督
するという
建前
での
監督
、
国会
の
行政府
に対する一種の
監督権
、これはあるわけでありますから、そういう広い
意味
での
監督権
はもちろん
国会
にあ
つて
よろしいし、
従つて
この
特別委員会
にそういう広い
意味
での
監督権
は当然あるべきだと考えるのであります。それにいたしましても、実際
上專門委員
を持
つて
おらない、あるいは必要に応じて
調査
ができない、こういう不便のために一小部分のみを対象としてわれわれは現在は考えざるを得ないのでありまして、その点は
年間災害復旧
だけでも五百億前後の莫大なる
予算
を費しておるのでありますから、
国会
が
予算
の適正な行使が行われておるかどうか、国時にまたその
設計
が
行政府
としてはもちろん
行政手段
であるけれども、それには
国会
として
注意
もしくは
警告
並びに勧告すべき権利がありはしないか、こういう点から広い
意味
での
監督
という
言葉
を使つたわけであります。その点については
石野委員
も御了承なさると思うのであります。 第二の
事業量
と
事業予算
の問題ですが、その他も
相当
にあることは
石野委員
もお認めのようでありますから、その結果
地方団体
に委譲した場合において、
地方団体
の経済的な
負担
となりはしないか、こういう御
意見
であります。本
年度
の二十五
年度
予算
は、
災害復旧
は
全額国庫負担
ということにな
つて
おりますから、
直轄工事
であろうとなかろうと、本
年度
の
工事
に関しては
全額国庫負担
でありますけれども、従来は大体において三分の二を
国庫負担
として、三分の一が
地元
あるいは
県負担
ということにな
つて
おります。来
年度
は一部においては
全額国庫負担
を継続すべしという御
意見
もあるようでありますから、あるいはいろいろの
財政
上の
措置いかん
によ
つて
、三分の二が
国庫負担
ということになるような
傾向
でありますので、当然一部の
負担
は
地方
においては行われなければならぬのであります。のみならず
一般
の
建設業
の場合においては、
災害
でない場合においては、一部は
地元負担
ということにな
つて
おりまして、当然
国庫負担
によ
つて
その他の
事業
は行われておらないのでありまして、ただ一応
国家
がこれを立てかえて
工事
を
行つて
、あとでその一部分を
拂いも
どしをとるというような
建前
をと
つて
おります。そういう点から考えて、全然
地方財政
に
影響
がないということは言えませんけれども、たとえばこれが県の
工事
として行われる場合においては、当然その一部は県の
負担
ということになりますけれども、それは従来も
災害復旧
の場合においては、その一部の県の
負担
というものは
平衡交付金
なり、あるいは
地方起債
なりを認めることによ
つて
、県の
負担
の
増額
を緩和しておる、こういう
制度
をと
つて
おりますので、現在の場合においては、
国庫
でこれを行う場合には政府で公債を発行しないという
建前
からして、一
事業量
というものは普通の
県工事
でやる場合には三年間で行うべきものでも、
国家事業
でやる場合においてはこれを長期にわた
つて
行わなければならぬ。こういうような結果にな
つて
おります。
従つて現実
に
委員諸君
が
現場
を見てごらんの
通り
に、一部が
国家事業
として行われてお
つて
、それらが何年た
つて
も
完成
せぬがために、他の場所が県、もしくは
地方公共団体
の
工事
として
完成
しておりながらも、常にその一部が
水害
に見舞われておる。こういう
現実
の事実もあるのでありますから、もちろん
日本
の全国的な
水系
の調整、あるいは
整備
、こういう点に関するものは、これは全国的な
規模
を要するからして、当然
直轄事業
としてなすべきでありますけれども、必ずしも
直轄事業
としなくてもよろしいような
中小河川
が
直轄河川
にな
つて
おる。これにはいろいろの
政治的事情
がありますけれども、そういう
政治的事情
に災いされて、必要以上に
直轄事業
を行うということは決して
国家
の
利益
でない、のみならず明治当初のごとき、
土木事業
がまつたく幼稚であつた場合においては、
国家
が指導的な
立場
に立
つて
直轄工事
を進める。こういうことも
一つ
の方法でありますが、最近のご
とく
に、
相当
に優秀なる
土木事業者
が多くな
つて
来た現在においては、
土木資本
を活用するという
建前
から考えても、むりに大量の
直轄事業
を行うということは、
国家
の
利益
の上から見て不
得策
ではないか、こういう点がわれわれの言うところの不必要なる一部を
直轄工事
から引離してはどうかという点にあるわけであります。以上御
説明
申し上げます。
石野久男
6
○
石野委員
二つの件につきまする小
委員長
のただいまのお話は大体了承いたしましたが、
問題点
はやはり第一の
事務局設置
につきまして申されました
監督
という
言葉
については、それが広義であろうと、狭義でありましようとも、
事務局設置そのもの
についての
目的
なりあるいは
趣旨
というようなものの中に、こういう字句はなるべく削除された方がよろしかろうと私は思うのであります。
趣旨
は大体よくわかりますけれども、将来に対していろいろの問題をかもすだろうと思いますので、この点は今後これを取扱う上においてお考えを願いたいと思うのであります。 第二の
直轄工事
の問題が諸種の
理由
がありましようとも、とにもかくにも
工事進捗
が遅れておる。そのためにこれを
進捗
せしめるための一方策として、
事業量
をなるべく
地方公共団体
に移管せよという
趣旨
には私は全面的に賛成であります。ただその場合に、どうしても
地方公共団体
の
財政的負担
がその後において
相当
継続的に過重なものにな
つて
行くだろうという
危險性
はどうしても残るように思いますので、この点についてはいま一応小
委員会
のただいまの
結論
に対して、十分な御検討の上にお取扱い願いたいというふうに私は思うのであります。こういう点はひ
とつ
委員会
としましても御配慮願いたいと私は思
つて
おります。大体了承いたしました。
橋本登美三郎
7
○
橋本
(登)
委員
今
石野委員
からの御
注意
ごもつともでありまして、
最後
の第二点の
直轄工事
の問題は、一応
建設省当局
においてこの問題について
研究
を進められたい。なお
直轄事業量
と
直轄事業費予算
及び
進捗状況
の
資料
を提出してもらいたいというのが小
委員会
の
結論
であります。その点御了承願います。
松井豊吉
8
○
松井委員長
石野
君にちよつと第二の問題を補足して申し上げますが、綜合的にわかりやすく申し上げれば、
建設省
の明治維新以来や
つて
おります
直轄区域
というものがだんだん拡大されまして、そこで
工事
の
実情
を見て、
長野
県の
天龍川
の筋を実調いたしましたが、二千メートルは決潰されております。これらは根本が何であるかと申しますと、半年で大体計画立つた
仕事
が
完成
すべきものが、一年た
つて
もその
工事場
の
工事金額
によ
つて
一切の材料あるいは
人件費
がまかなえぬ。そこで半年遅れると
人件費
というものが半年加算する。それを
工事費
から出すから、遂に十分な
工事
ができないという
結論
なんです。そこでわれわれの
今小委員長中心
に
報告
されたことは、その
仕事
をその
金額
そのままで県に委譲すべきが妥当でなかろうかということを
研究
されたのです。別に
地方負担
の
増額
はないと信じておる。便宜上その
予算
は県が代行いたしまして、県が專属に
技術者
を持
つて
監督
すべきものを
監督
する。そうして
経費等
あらゆる面で非常に節約する。こういうことを一応
考慮願
つて
おきます。
井之口政雄
9
○
井之口委員
一つ
御質問いたします。
災害
を受けた
地方
の
自治団体
で聞くところの苦情によりますと、
国会
議員が
調査
に来る、あるいはいろいろな役人が
調査
に来る、国が来る県が来る、さまざまの者が
調査
に来まして、多くのむだな費用をほとんどそれとの折衝に費さなければならぬ。のみならず、
決定
する権限はいろいろなところにありまして、法律上は公明にできているようであるが、実際の場合は何らかの運動をしない限りは、なかなか自分の方に
予算
がまわ
つて
来ないというふうなことを、
自治団体
の方において非常に苦にしておるのであります。こういう点に対して、これを防止する方法――これを一元化して、簡素で公正なる方針の貫かれるようなことを、小
委員会
として何か考えられましたか、どうですか。考えられたら、その点をひ
とつ
聞かしてもらいたい。 もう
一つ
は、
災害
の起つた場合に、
国家
からのこれに対する
予算
の割当並びに
工事
の着手が非常に遅れる。遅れるために
地元
においては手もつけられないし、自分で進んでもやれない。
国家
の方からや
つて
来るのを長い間べんべんとして待
つて
いなければならぬというふうな点が苦になるようであります。これを急速に
決定
して、この
工事
を迅速化するというふうな方策について、小
委員会
の方において何か具体的な方法を考えられたか、この点をひ
とつ
。
松井豊吉
10
○
松井委員長
お答えいたします。第一の点でありますが、本年を期しての
災害
ばかりでなく、二十二年以来の
災害
をこうむつた全国の
被害
地から、ただいま井之口君の言われるごとき御
意見
もあつたのであります。それをいろいろ整理して、なるべく
被害
地に
負担
をかけないということは、それぞれその機関を通じて勧告も申合せもしております。そこでわが
災害対策
特別委員会
は一応実際の
調査
をいたしまして、
地元
被害
地府県の
報告
と、現地の
工事
被害
状況
を
調査
いたしまして、それが適正であるかないかということを重点としてや
つて
おります。
委員長
といたしましては、実調のまとまつたものを
派遣委員
からいただき、また班長に
なつ
た人々の御
意見
も承り、建設当局及び農林当局に必要に応じて相談をいたしまして、
予算
をとるべく安本、大蔵、必要に応じては連合国方面まで参りまして協力する。
災害対策委員会
としてはそれをや
つて
おります。それに対して農林省の役人が行き、あるいは
建設省
の役人も行き、あるいはそれぞれの機関を通じて行くこともあるが、一方においては実際
調査
をする必要があ
つて
参るであろうと思います。
地元
といたしましてもそれぞれ陳情に参りまして、局長とか、あるいは
課長
に
行つて
もらいたいというような要求もあるのです。ですからこれらの問題は
研究
いたしまして、そうして今
井之口委員
の言われるような弊害のないように、努めて今後いたすつもりでありますが、わが
対策
委員会
といたしまして
調査
に参りますときは、むすびを持
つて
、たびをはいて、巻きやはんで行くということを原則として
行つて
おりまして、
地元
の
負担
が少しでも軽減するようにや
つて
おります。要は、根本は
委員会
の使命、それを果すべく今日はや
つて
おりますが、他の
調査機関
については、われわれがくちばしをいれるところではございませんけれども、これらはそれぞれ
関係
の省に参りまして、今後再びないように
注意
いたしたい、こう思
つて
おります。それから第二の、各方面からいくら
調査
員が参りましても、陳情に参りましても、なかなか
予算
の配分がないので、
工事
に着手しておらぬという事実は聞いております。そこで一言申し上げますが、六月、八月の
災害
、これらの
予算
に対しても、御承知のご
とく
百億の予備費があるから、この百億の予備費で随時請願順にやるべきが当然だ。だれが考えても、前第七
国会
において
とつ
た
予算
であるから使うべきでしようが、そこがなかなかむずかしい。安本とかなんとかああいうふうな機関があり、向うの方面が一応
関係
する。これらもずいぶん努力しております。かろうじて五十億円の
予算
をとり、また小出しに二十二億円とかいうことにな
つて
おりますが、これについてももう少し向うの方面に刺戟を與えて、なるべく使う金は
調査
が終つたらすぐに
被害
地へ配分いたしまして、実行すべきが当然だ、こう信じております。そこで大体今まで
調査報告
をされ、
予算
的
措置
もとられておられるようでありますが、
公共事業
費の配分から行きましても、向うの方面が三割減かあるいは半減するか、そんな声も聞いておりますが、それらも全面的につかえております。近いうちにこれをはつきりして、一応
予算
を配分すべく努力いたしたいと思
つて
おります。
簡單
でありますが、一言申し上げておきます。
井之口政雄
11
○
井之口委員
ただいまの問題でありますが、たとえば百億の
予算
がもうすでに
決定
されてお
つて
、なおかつそれでさえも使うのに向うさんの方からのいろいろな制限を受けるというようなことになりますと、
日本
の
国会
はほとんど自主性がないというふうに考えられるわけであります。こういう方面に対して、当然憲法なり何なりで保障されている
国会
としての権限を十分に発揮するためには、いかなる方法をも
つて
されたらよいだろうか、その辺ひ
とつ
お伺いたします。
松井豊吉
12
○
松井委員長
今後十分
研究
いたしまして
井之口委員
の希望に沿うようにいたしたいと思いますから、御了承願います。 ―――――――――――――
松井豊吉
13
○
松井委員長
この際
災害
防止国土保全法案起草小
委員長
より、その
経過
報告
について発言を求めておりますので、これを許します。小平小
委員長
。
小平久雄
14
○小平(久)
委員
災害
防止国土保全法案起草小
委員会
におきまする審議の
経過
並びに結果について、ごく
簡單
に御
報告
申し上げます。 本小
委員会
は、
災害
の復旧及び予防の
対策
を講じ、も
つて
国土の保全をはかるために何らかの立法
措置
を講ずる
目的
をも
つて
、去る七月十四日設置され、不肖小
委員長
に選任されました。今
国会
におきましては、最初に前
国会
において起草しておりました案を基礎にしまして、前後五回にわたり
調査
を続け、特に国が国土保全計画に基く
事業
の実施に要する費用に充てるための
災害
防止国土保全基金の問題について
研究
をいたしたのであります。その結果ただいまお手元に配付いたしてありますような
災害
防止国土保全資金特別会計法案要綱試案を一応作成いたしたのでありますが、去る十六日の小
委員会
におきまして、第一に、国土総合開発法との
関係
もあり、第二に、
災害
防止国土保全資金に関して
財政
法規の
関係
から種々難点があり、また第三には、現行行政機構との
関係
もありまして、この際むしろ本
委員会
におきまして、各
委員
より従来強く要望されて参りました
災害復旧
対策
に関する基本的事項を
内容
とする法律を制定し、実質的効果をねらう方がより適当であろうということになりまして、お手元にお配りいたしましたような
災害復旧
基本法案要綱を作成いたしたのであります。 この詳細につきましてはお手元に配りましたものをごらん願いたいと存じまするが、本要綱中に規定されておりまする主たる点について申し上げますならば、まず第一には
災害
の
被害
額、復旧費等の
査定
を適正化すること、第二に
災害復旧事業
の
原形復旧
主義を緩和したしまして、必要なる改良
事業
をも同時に施行し得るように規定したこと、第三には復旧
事業
が原則として
災害
年度
から三箇年以内にこれを施行すること、第四には
災害復旧費
の財源として国は過去五箇年における
災害復旧費
の平均額を下らざる額を
予算
に計上することとしたこと、第五に
予算
作成後に発生した
災害
についてはすみやかに補正
予算
を
国会
に提出するようにしたこと、この場合はその財源といたしまして公債の発行、富くじの発売及び借入金、これらをなし得るものといたしたことであります。第六には
予算
の配分はすみやかにこれを行うこと、
災害
発生第一
年度
において
事業
費の三分の一以上を配分すること、これを規定いたしております。第七には
災害復旧費
の一部を
地方公共団体
に
負担
せしめる場合におきましては、
地方公共団体
はその財源に資するために国の許可を受けずして起債をなし得ることといたしました。第八には安本総裁の諮問機関といたしまして、
災害復旧
対策
審議会を中央に設けることにいたしました。これは要綱をごらん願いますればわかるのでありますが、
国会
議員及び各省の次官、学識経験者、これらのもの二十二名をも
つて
組織する案とな
つて
おります。但し本審議会はただ單なる諮問機関というばかりでなく、必要と認めたる場合はみずからの発意によ
つて
も活動し得ることといたしております。第九には国土総合開発計画と
災害復旧
対策
との調整につきましては、内閣総理大臣が国土総合開発審議会及び
災害対策
審議会、この両者の
意見
を徴して行うことにいたしております。 大体以上でありますが、なお本要綱につきましては、主として土木
関係
の
災害対策
について規定をいたしておりますので、さらに農林
関係
の
災害復旧事業
及び学校その他の公共施設についての
災害復旧事業
等につきましてもその規定を加えること、及び審議会の権限につきましてさらにこれを強化する方がよろしいのではないか、できればむしろ独立した行政機関にする方がより適当ではないかといつたような
意見
のあつたこともこの際申し加えておきたいと思うのであります。 そこで本要綱の今後におきまする取扱いでありますが、申すまでもなく本
特別委員会
は各
国会
の会期ごとに設けられることにな
つて
おりますので、本日に至りましては本
委員会
の残存機関と申しますか、存続する日時は幾らもございませんので、小
委員会
の希望としましては、ここにお配りいたしましたこの要綱を本
委員会
のやはり
決定
の案として採用願いまして、
委員長
から本
会議
に御
報告
を願いますとともに、
委員長
より政府に対しまして、本案に準拠したすみやかなる立法
措置
を講じてもらいたい、こういう勧告をいたしてもらいたいと思うのであります。以上きわめて
簡單
に
経過
並びに結果を御
報告
申し上げます。
松井豊吉
15
○
松井委員長
ただいま小平小
委員長
より御
報告
のありました
災害復旧
対策
基本法案要綱につきまして御
意見
なり、御質疑がありますれば、小
委員長
及び
法制局
の方もお見えにな
つて
おりますので、これを許します。
井之口政雄
16
○
井之口委員
災害
防止国土保全資金特別会計法といいますか、それが
決定
された
経過
について御質問申し上げるのですが、こういう資金を設定いたしまして、その資金の運営を総理大臣のさしずをも
つて
やるという場合に、今までいろいろな
委員会
の状態なんか見てみますと、これが政治的な色彩に運営されたり、あるいは土建業者、そういうものとの結託が密接にな
つて
、こういう資金の運営が非常に不正をはらんで来ているような気がするのであります。これに対して民主団体の自主的の参加を許して、その嚴重なる、つまり発言権というものを保障して、公正にこれを運営するというふうなことに対して、
委員会
においては十分な考慮を拂つた上で
研究
されたかどうか、そういう民主団体の参加を当然これは許すべきものでありますが、もし許すとすればどういう方法で、どういう範囲で許されるか、そういうものも
研究
されたことがあるか、ちよつとこの点御質問申し上げます。
小平久雄
17
○小平(久)
委員
井之口君の御質問の
災害
防止国土保全資金特別会計に関しまして、特にこれが運営、あるいは
委員
の選任についての御質問でありましたが、先ほどお聞き取りだつたと思いますが、この国土保全資金特別会計というものを設けようかという実は考えのもとにこの案を得たのでありますが、先ほども申し上げました
通り
、單なる特別会計をつくるというよりも、むしろ
予算
上
災害復旧費
を確保するということがより重要であろう、より基本的であろうというので、今回の
災害復旧
対策
基本法案要綱なるものをつくつたのであります。従いましてこの
災害
防止国土保全資金特別会計法なるものは、いわば小
委員会
としては廃案なんであります。ただ今回のこの基本法案要綱によりますと、審議会なるものができまして、これは先ほども申しました
通り
二十二人の
委員
からなるのでありますが、この
委員
は経済安定本部の総裁が任命をいたすことにな
つて
おります。
従つて
そのうちの学識経験ある者という中に、これは安本総裁がその良識をも
つて
委員
は任命をされるものとわれわれは考えております。
前田種男
18
○前田(種)
委員
今の小
委員長
の
報告
に対して私は別に質問もないわけです。ただ私の
意見
として、むしろ要綱を書き上げてもらつたことに対してその労を多としたいと思います。もちろん正式な法律案になるためには、
條項
、その他の
内容
等についてももつと十分に検討の要があろうと思いますが、この大綱はけつこうでありますから、この綱を本
委員会
が採択して、
委員長
報告
として本
会議
に出されるように希望します。さらに政府が進んでこうした法律案を政府提案として出すという決意がありますならば、政府みずから出してもらうことに賛成しますが、政府が躊躇いたしますならば、本
委員会
の職責から申し上げましても、また各党派それぞれの議員の
立場
からいたしましても、
臨時国会
は会期が短かいのでございますが、来るべき通常
国会
の劈頭にこの法律案を政府が出さない場合には、議員提出として出すように、各党派がそれぞれ
責任
をも
つて
推し進めるという
意味
を付帶いたしまして、小
委員長
の
報告
を了といたします。
床次徳二
19
○床次
委員
私は小
委員会
におきまして、この法案の要綱の作成に関與いたしました
立場
からいたしまして、ただいま前田
委員
のおつしやつたことに対しまして全面的に賛成なのであります。ただこの機会に一言お願いを申し上げておきたいことは、この
災害
の
内容
におきましては、土木に関しましては、一応本年の例によりまして
事業
費の全額を
負担
するという
立場
をと
つて
おります。また農林その他に関しましては、従来の慣習をそのまま踏習いたすように考えられておるのでありますが、今後の
災害
に関しましては、でき得る限り
国庫
においてよけい
負担
して、その
災害
の復旧を容易ならしめるという方針をできる限り強く主張して、これを実現するようにお願いいたしたいと思うのであります。 第二点は、先ほども小
委員長
からお話がありましたが、第十の審議会の問題であります。この審議会が現在の
災害復旧事業
を迅速に、しかも
簡單
な手続において
決定
し、実施ができますような働きができますように運用いたしたい。規定におきましてはこれが諮問機関で、また必要がありますときはみずから
調査
審議することができるようにな
つて
おりますが、実質におきましては、この審議会が十分に自発的
立場
におきまして
災害
の
調査
もし、その
対策
を
決定
いたしまして、そうして必要なる費用を割当て、その実施に当らせるというようなところまでこの審議会が活動できるように、ひ
とつ
特別な御配慮をいただきたいのであります。でき得れば法文等におきましてもそういう改正をいたしたいとは私ども考えておつたのでありますが、現在の行政機構との
関係
上、とりあえず現在のような形でやむを得ないと思いますが、できますならば、将来これはもつと所期の
目的
を達し得るような形まで持
つて
行けるようにひ
とつ
お考えをいただきたい。これは特に
委員会
等においてもいろいろ
研究
いたしたいのでありますが、適当な
言葉
がありませんので、とりあえずはやむを得ないと思いますが、将来におきましては、ぜひともこの点はお考えをいただきまして、その本来の
目的
を達成できるようにひ
とつ
御配慮いただきたい、特にこれをお願い申し上げます。
松井豊吉
20
○
松井委員長
その他
災害対策
について質疑がありますれば、農林省より
災害復旧
課長
がお見えにな
つて
おりますので、これを許します。
前田種男
21
○前田(種)
委員
私は
建設省
関係
の方がお見えになりましたら一、二質問いたしたいと思いましたが、おいでになりませんから、実は
委員長
を通じてお願いいたしたい点が一、二あります。ジエーン
台風
に対するところの本
委員会
のいろいろな努力に対しては感謝いたしますが、
地元
大阪といたしましては、その跡始末等につきましても、実は御承知のように大阪港を中心にする港湾の復旧、それから河川の復旧等が入り組んでおりますが、そのことのために、運輸省と
建設省
との
関係
において所管争いといいますか防潮堤の問題、あるいは恒久
対策
等について、いろいろ各省の摩擦があるわけです。これを急速に解決してもら
つて
、できるだけ早く
対策
を立ててもらわなければ、両省の争いのために遅れるということになりますと、水は来年の高潮時が待ち切れないというようなことになるわけです。もちろん両省ともいろいろな
関係
において根本的な
対策
もいろいろ立てられておりますが、そういうことのために数年費すということになりますとたいへんなことになりますので、どうぞ事務当局に対しましても、あるいはこの間のあつせんを安本当局がや
つて
もおりますか、なかなか
結論
がまだ出てないというような状態もございますから、こういう点についても、
委員長
からできるだけ両者の事情もお聞き願うことはけつこうですが、早く
結論
を出してもらうようにお願いいたしたいというのが第一点。それから聞くところによりますと、
災害復旧
の
予算
が二分の一や三分の一に削られるというようなことがいろいろうわさに上
つて
おるのでありますが、もしそうういことになすりまとたいへんなことになりますから、ぜひこういう面等につきましては、
委員長
の
立場
で強く
趣旨
を徹底するように今後の努力を願いたいと思います。 それからジエーン
台風
の跡始末の
一つ
として、淀川の河川
工事
があの当時応急に
直轄工事
としてなされたわけです。それぞれ各
工事
に分担して、応急
対策
としてやり上げましたが、府市がやつた点につきましては、もうすでにでき上つたものに対しては支拂いをしておりますが、
直轄工事
で
建設省
が直接やつたものに限
つて
、金がないということのために、いつ支拂えるかわからないというようなことにな
つて
おるということは、今後の
工事
の
対策
、あるいは
事業
等にも
影響
することが大きいと思いますから、こういう面につきましてもすみやかに――
直轄工事
であるだけなおさらそういう点について最善の努力を講じてもらうように、以上の点をお願い申し上げます。当局がおりますならば、もつと詳しく質問して、当局の
立場
から答弁を願いたいと思いましたが、おられませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
松井豊吉
22
○
松井委員長
今日は
建設省
の方とも連絡をして、政務官か事務官が来る
予定
にな
つて
おりましたけれども、遺憾ながら参りません。ただいま前田
種男
委員
から第一、第二、第三の御指摘に対しては、十分私も
調査研究
しておりますから、
地元
の希望するように一日も早く実行促進方に努力いたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
池田峯雄
23
○池田(峯)
委員
農林省の方が来ていますから、実際の問題で
簡單
にお尋ねしたいと思います。小貝川の去年の決壞
箇所
の北相馬郡の高須村というところは、
堤防
の決壞によるいわゆるけどという草炭の層がたんぼの上に莫大におおいかぶさりまして、そのために
相当
広い耕地がだめにな
つて
おるのであります。ここへ
相当
の
国庫
補助をも
つて
復旧の
工事
が行われておるようであります。この場合に村の人たちはこの
工事
に労力を提出して、それにより
災害
によ
つて
受けた
被害
を幾分なりとも補いたい。こういう希望を抱いておるにもかかわらず、伝え聞くところによりますと、村長が請負契約権をとりまして、そうして個人の土木組に請わせるというようなことをやろうとしておりまして、そのために村内に非常な不安動揺が起
つて
おるということを聞いておるのであります。もしそうだといたしますならば――村民の意思を無視して、人夫をみずから持
つて
おる請負業者に請負わせて、そうして村内の失業者、半失業者を救済することをやらないということを村長がやりました場合に、農林省の方でこれに対して何らかの
監督権
あるいは勧告権というものがあるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
川名進一
24
○川名
説明
員 ただいまのお話、私初めてお伺いしたわけですが、実を申しますと、農林省の方の
災害復旧事業
としましては、従来これは全面的に県の知事に委任しておるのでありまして、国は県に補助金を流して、県の知事の
監督
のもとに一切をや
つて
もら
つて
おつたわけであります。
従つて
正式にそういう点につきまして、
監督権
というものはないように思いますが、しかし小貝川の決壞などにつきましては、これはそういう問題とは別にしまして、農林省としましても非常に関心を持
つて
おりますので、お話の点がもしか事実といたしましたならば、私の方としましても、県の
関係
の人とできるだけ話合いをしまして、町村の人の失業救済にも支障のないように話はいたしたい、こういうふうに思
つて
おります。
井之口政雄
25
○
井之口委員
ちよつと農林省にお聞きしますが、農村が
災害
を受けた場合に、たとえば暗渠や小さな道路がやられたというとき、今度の法案では十五万円以下はこの限りではないという但書にな
つて
おりますが、小さいもので、あつちこつちちびちびとやられて、
一つ
一つ
と
つて
みるとみんな十五万円以下である。ところが全体をとると非常に多額なものになるというふうで、実際の場合にこの法案が農民保護の法案にならないということがしばしば起るのですが、そうものに対して農林省としては、どういうふうな救済の方法を考えておられるか。またたとえば作物に対しては何らの補償がない。供出を幾分安くするとか、補正するというふうなことぐらしかないのでありまして、その作物全体を
国家
において補償するというふうなことは法案には何らない。そのために農家は
災害
を徹底的に受けるのみならず、これに対する金融もほとんど道がない。また、あるものは金利が非常に高いために、家を建てても農舎を建てても、その金利に追われるし、またの抵当がむずかしい抵当で、かつ保証人をやかましく言うというふうなことで、実際上農家は
災害
を受けても救済されないという事実を見るのでありますが、これに対して農林省としては、もつと徹底的に農家保護のために、
災害
補償のいろいろな法案を考える意思はないものかどうか、この点をお聞きいたしたいと思います。
川名進一
26
○川名
説明
員 ただいまの御質問の第一の、十五万円以下ということにな
つて
おりますが、この点につきましては、この法律をつくりますときにもいろいろ議論もあつたわけでありますが、農林省としては、今のところこの
程度
を限度としてやるよりしかやむを得ないということに一応な
つて
おるのであります。しかしながらこの一個所十五万円と申しますが、あの法律には御承知のように、一
事業
主体につきまして、ある
程度
間隔を持
つて
それが点点としてあるものについては、一
箇所
の基準の中に入れて採用ができることにな
つて
おります。それからなお一定の間隔で
災害
を受けているもので、それを一
箇所
だけやつたのではその効用を発揮できないというような場合には、ある
程度
の緩和策が設けられております。ただ十五万円以下のものをそれではどうするかということにつきましては、零細な経済の農民でありますし、これをそのままほ
つて
おくこともできませんので、農林省としましては、今問題にな
つて
おります農林漁業の金融公庫、あれがもしできましたならば、あれで大体救えるのではないか、あれで救うような数字を今あげて、
関係
筋に要望しておるわけであります。ただそれがもしかだめだとしましたならば、また別に方法を講じなければならぬというふうに考えております。 それから第二の作物の
被害
につきましては、これは私の管轄ではございませんが、農業
災害
補償法でございますか、あれによりまして保險の
制度
が設けられておるようであります。ただその点私は詳しく存じません。
井之口政雄
27
○
井之口委員
災害
一單位が全部をまとめて十万円であろうと、十五万円であろうと、
災害
の一單位を全部まとめて復旧するというふうな法律にはならないものでしようか。あつちこつちちびちびしたところで、一
災害
でさつとやられるのですから、これはみんな総計して復旧するというふうな法案にはならぬでしようか、どうしてそれがならぬかとふしぎに思うのですが……。
川名進一
28
○川名
説明
員 お話の点も従来いろいろ考えたのでありますが、事務的にもいろいろあります。事務的に複雑だということだけではもちろんいけないわけでありますが、国が補助するという
建前
から、その間に経営の單位とか、あるいは農家
規模
の大小とか、そういつたいろいろの方面から考えなければならないので、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、なおこの点につきましては、将来
研究
する余地があるだろうと思います。 ―――――――――――――
松井豊吉
29
○
松井委員長
この際お諮りいたしますが、本
委員会
は去る七月十三日に設置いたされまして以来、
台風
及び降雨等による
被害
状況
調査
、または
災害復旧工事
に関する
調査
、あるいは
災害復旧
対策
基本法案要綱の作成、
災害対策
等の樹立に努力して参りましたが、
臨時国会
も来る二十一日に召集になりますので、全般的にわたり
結論
を出すことは困難でありますから、本
委員会
の審議
経過
についての
報告
書を
議長
に提出いたしたいと思いますが、その案文作成手続等については、
委員長
に一任して
報告
書を提出するに御異議ありませんでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松井豊吉
30
○
松井委員長
御異議なしと認め、さよう
決定
いたします。 本日はこれをも
つて
閉会
いたします。次会は公報をも
つて
通知いたします。 午後三時三十九分散会 ――――◇―――――