運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-28 第8回国会 衆議院 考査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 篠田 弘作君    理事 島田 末信君 理事 塚原 俊郎君    理事 内藤  隆君 理事 小松 勇次君    理事 久保田鶴松君 理事 横田甚太郎君       鍛冶 良作君    黒澤富次郎君       小玉 治行君    佐々木秀世君       田渕 光一君    福井  勇君       大森 玉木君    猪俣 浩三君       坂本 泰良君    梨木作次郎君       松本六太郎君    岡田 春夫君  委員外出席者         証     人         (東京燃料株式         会社取締役社         長)      廣瀬與兵衞君         証     人         (農林省東京木         炭事務所長)  内藤 信行君         証     人         (農林省林野庁         薪炭課長)   濱田  正君     ————————————— 本日の会議に付した事件  薪炭需給調節特別会計赤字問題     —————————————
  2. 篠田弘作

    篠田委員長 これより会議を開きます。  薪炭需給調節特別会計赤字問題について調査を進めます。ただいまおいでになつておる証人の方は廣瀬さん、内藤さん、濱田さん、三人ですね。たいへんお待たせいたしましたが、ただいまから薪炭需給調節特別会計赤字問題につきまして証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人内藤信行君各証人を代表して朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又何事つけ加えないことを誓います。
  3. 篠田弘作

    篠田委員長 では宣誓書署名捺印をお願いいたします。  廣瀬さん、内藤さん、濱田さんの順序で証言を求めることになりますから、内藤さんと濱田さんはしばらく元の控室でもつてお休み願いたいと思います。  廣瀬さんにお尋ねいたします。御注意申し上げますが、これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際はその都度委員長の許可を得てなされるようにお願いいたします。なおこちらからの質問をしておるときはおかけになつてよろしいですが、お答えの際は御起立を願いたいと思います。  証人薪炭関係の御略歴をひとつお話願います。
  4. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 若いときから薪炭の業を営みまして、統制になりますまで、東京薪炭問屋同業組合組合長をいたしておりました。それから昭和十五年四月に薪炭統制になりまして、東京燃料卸商業組合というものができまして、その理事長をいたしました。それから昭和十八年十月三十日に薪炭燃料小売商業組合というものがありましたのが、卸と小売と合併されまして、東京燃料配給統制組合というものが設立されまして、十八年の十一月一日に創立いたしまして、この理事長をいたしました。それから昭和二十一年十二月九日にこの組合は解散いたしまして、東京燃料林産組合になりまして、昭和二十一年十二月十日に創立いたしまして、この組合長になりました。それから薪炭登録制になりまして、これが閉鎖機関になつたものですから、東京燃料林産株式会社になりまして、この社長になりました。それから司令部の從通によりまして、この会社を三つに分割することになりまして、その一つである東京燃料林産株式会社取締役会長になりまして、今日に至つております。
  5. 篠田弘作

    篠田委員長 全国燃料団体連合会はいつごろ、いかなる目的で設立されましたか。
  6. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 昭和二十年十一月二十八日に、普通のプライベートの組合でありまして、やはりお互いの親睦、あるいは業務の刷新とかいうようなことを目的に創立されました。これが全国組合閉鎖機関になりましたので、昭和二十四年二月二十五日に全国燃料団体連合会となつて今日に至つております。ともに私が会長をやつております。
  7. 篠田弘作

    篠田委員長 旧燃料配給組合閉鎖機関に指定された前後における同組合主要財産及び手持薪炭の処置はどういうふうにされておりますか。
  8. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 財産は大してございませんでしたが、その当時閉鎖機関になるということは存じませんでしたが、登録制になる。登録制になると配給統制組合ではいかぬから、登録制にするか、あるいは公団にするか、どつちかになるだろう。司令部の方の意向がそうだから、何か用意しておかぬと都民の配給にさしつかえる、何か用意しなくちやいかぬというような話が農林省からございましたので、われわれ組合員が全部寄りまして、公団はどうも成績がよくないようだ、むしろ登録制の方がいいだろう、登録制になるべくしてもらおうじやないかということで、他に会社を設立いたしまして、一部の財産はその方へわけました。それで他は残つておりまして、閉鎖機関に入りました。それからその当時薪炭は少しもございませんでした。これは登録制になりますと、新しい登録店がこれを売らなければ民主主義ではないというような御意向から、二箇月間というものは、農林省から払下げをせずに、ある品物を売つてしまいまして、新しい会社ができた時分には一俵の炭も、一把のまきもなかつた。こういうわけでございます。
  9. 篠田弘作

    篠田委員長 東京燃料林産株式会社が旧燃料組合から約六十万俵の譲渡を受けておりますが、この薪炭はすでに入庫してあつたものにかかわらず、駅渡しと同様に手数料をとつており、他の卸業者と均衡を逸するおそれがあるということが言われておりますが、この点はどうですか。
  10. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 さようなことはないはずであります。
  11. 篠田弘作

    篠田委員長 それから横持料の決定及び長尺まき値下げ等に関して、全国燃料団体連合会運動をしたということが言われておりますが、そういうことがありますか。あればその経緯並びにその理由について御説明願います。
  12. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 横持料をくれということの運動はありませんでしたが、マージンを値上げしてくれということを申しまして、それが横持料になつて現われたわけであります。それは全国的に運動いたしました。長尺のまきの値下げ砥全国的でなく、各県の会社なり組合がやつたはずでありまして、それは全国的にはいたしません。
  13. 篠田弘作

    篠田委員長 薪炭特別会計業務停止当時において、卸業者に多数の薪炭代金未納者があつたということは、これはどういう理由でしようか。
  14. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 これは惡い炭を一ぺんに政府が送つて参りまして、そうして何でもとれということでありまして、これをむりやりに小売屋なり需要家に押しつけましたので、従つて代金が回收できなかつたのであります。自然に貸しがふえてしまつて、その結果政府に入らなかつた、こういうわけであります。
  15. 篠田弘作

    篠田委員長 登録卸売制の実施以来、政府薪炭需給計画の強行にあつて、非常にむりを要求されたというようなことがありませんか。
  16. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 ございます。
  17. 篠田弘作

    篠田委員長 どういう事例でしようか。
  18. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 登録制になりますということは、今までは統制配給でありまして、これを各県に割当して配給いたしまして、そこでとつてもらつた。ところが登録制自分の好きな店から買うということでありますから、いやな品物ならばとらなくてもよろしいのでありますから、品物が惡くてもとつてもらうということができないはずでございます。そこでいいものをどうしてもとりたがる、惡いものでは売れない、こういうことでありましたが、政府の方からどしどし送つて来て、しかもそのときに、何か進駐軍の方から三千トンだとたしか記憶しておりますが、これを運搬しなければ鉄道の責任が負えぬじやないかというようなことで、あらゆる品物をどしどし運んでしまつて、しまいに惡い品物、腐つたようなものでも、駅のそばにあるものは、どしどし東京へ運んでしまうというようなわけで、何でもかでも品物が来たらむりやりにとらなければ困るというわけでとつたことが、先ほど申したようにこれが滯貨となつた。あるいはむりやりに小売屋にぶつつけたり、需要家にぶつつけたりしたことになるわけであります。
  19. 篠田弘作

    篠田委員長 そういたしますと、卸業者政府からむりに押しつけられるものを拒否するという権限はなかつたのですね。
  20. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 権限はあるはずでございますが、やはり十年間も、いわば商売人でありまして、ごやつかいになつておる。そこでどしどし来たものをいかぬということになりますと、停車場に山になつてしまいます。実際に山になつたのであります。それをむりに押しつけられた、こういうことでございます。
  21. 篠田弘作

    篠田委員長 それから小売屋にやる場合には、必ずしも金をとらないでもやるようにしたのか、あるいはまた何か切符のようなものを出して、小売屋からそれを卸商に提出された場合には、卸商としてはそれを拒否するということは実際上できなかつたような慣習になつてつたかどうか、その点を伺いたい。
  22. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 その当時は切符制でございませんで、登録制でありますから、小売屋さんにむりにとつてもらう、こういうことでありました。ことに大口需要家にはとつてもらうという形式よりも、むりに預かつてくれ、置場がないから頼むというようなぐあいで預けたような次第でございます。
  23. 篠田弘作

    篠田委員長 従つてそういうようにむりに押しつけた、そのときに現金引きかえというわけにいかなかつたのですね。
  24. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 そうです。
  25. 篠田弘作

    篠田委員長 それが多額薪炭代金未納になつた一つ原因になるというのですね。
  26. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 そうです。
  27. 篠田弘作

    篠田委員長 卸業者生産地県庁のいわゆる林務部長とか、そういう人たち多額の金員を貸興した、そういう事実がございますが、これはまたどういう事情で、どういう性質のものが貸與されたか。それは個人的なものであるか。あるいはまた生産地県に対して生産をするために、そういう県の林務部長というような者を通じて、いわゆる生産資金として貸與されたものであるかどうか。たとえば福島県の林務部長に対して東京燃料株式会社その他の卸業者多額の金を貸興しておるというよろな事実が調査の結果わかつておりますが。
  28. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 他府県のことは存じませんが、東京は五百万円貸したことがございます。これは政府以外には売ることはできぬ、しかも政府が買入れを中止したというようなことで、生産者が非常に困つてしまつて県庁に押しかけた。県庁はどうすることもできませんから、今までのよしみで金を貸してくれ、こういう話であつたのであります。そこで私どもそういう金を貸す理由はないのでありますが、長い間、品物が少いときには、福島県にも、岩手県にも、どうぞどんな惡い炭でも何でもいいから出してくださいということの出荷懇請に毎年行つてつたのでありますから、そういう義理がありますので——しかしこれは一応断つたのでありますが、たしか東京都だと思いましたが、東京都に相談して、こういうことをやつていいかどうかという話をいたしましたところが、まあやつてくれ、今までやつかいになつたのだからというようなことで、たしか五百万円を貸したと思います。これはただちに回收いたしまして、一箇月か一箇月半で金が返つたはずでございます。
  29. 篠田弘作

    篠田委員長 薪炭特別会計赤字原因というものはいろいろあるでありましようが、そのうちの重要なものについて、証人のお考えをひとつつていただきたい。
  30. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 非常にむずかしいことでございまして、端的に申しますならば、士族の商法、こういうことになるのではないかと存じます。
  31. 篠田弘作

    篠田委員長 役人が商売したということが結局だめだつたというのですね。
  32. 廣瀬與兵衞

    廣瀬証人 はい。
  33. 篠田弘作

    篠田委員長 委員諸君の中で、廣瀬証人に何かお尋ねになりたいことがありましたらお尋ねください。——なければ廣瀬証人尋問はこれで打切ります。どうも御苦労さまでした。
  34. 篠田弘作

    篠田委員長 内藤信行さんですね。
  35. 内藤信行

    内藤証人 はい。
  36. 篠田弘作

    篠田委員長 証人はただいま東京木炭事務所長をやつておられるのですか。
  37. 内藤信行

    内藤証人 はい。
  38. 篠田弘作

    篠田委員長 それ以前は何をやつていらつしやいましたか。
  39. 内藤信行

    内藤証人 そのすぐ前は、林野庁薪炭課主任技官をやつておりました。その前は東京営林局事業部事業課長です。
  40. 篠田弘作

    篠田委員長 東京木炭事務所における薪炭の受拂い数量金額幾らくらいになつておりますか。これはもしおわかりにならなければ、年度別の表をあとで出していただいてもいいのです。
  41. 内藤信行

    内藤証人 それではあとで表をお出しいたします。
  42. 篠田弘作

    篠田委員長 薪炭の減耗及び現物不足数量は大体幾らくらいになつておるか、これも長いことですから、もし御記憶がなければ、年度別の表を委員会の方に提出してもらいたいと思います。  そのおもなるものとして、有名な北海道のいわゆる冷凍木炭というものがありますが、その冷凍木炭とは一体どういうものかということについて説明してください。
  43. 内藤信行

    内藤証人 では冷凍木炭について御説明申し上げます。ちようど昭和二十二年の年末でございましたが、東京都としましては、毎年正月前に木炭を一俵ずつ家庭配給するという公約をやつております。ところで二十二年度年度当初からの東京都に対する入荷の実態は、東京に入る予定の計画数量の約六割以下でございまして、正月前に一俵配給するにはとうてい及びもつかないような数字でございました。それで当時薪炭課としましても、また東京都としましても、どうしてもこの一俵配給数量を確保しなければならぬということで、北海道に手を打ちまして、北海道木炭を船で東京に入れる計画をしたわけでございます。ちようどその当時、十一月の統計でございますが、北海道には釧路港頭に十貫俵で約五万俵あるということで、それをぜひとも東京へ入れようというので、薪炭課からも係員を派遣しますし、また当時新聞紙上にもありましたように、東京都から都会議員が十名内外も参りまして、これを持つて来るいろいろな折衡をやつたわけでございます。当時北海道としましては、これを輸送するのに包装資材、むしろ、なわが不足しまして、この関係で船で持つて来るにもなかなか持つて来られないというようなことで、非常に包装資材獲得に苦心したわけです。それで新潟から、あるいは青森からもこの包装資材を取寄せまして、ようやくこの五万俵のうち約四万三千俵ばかりを東京に持つて来たようなわけでございます。その当時、北海道としましては木炭を従来鉄道によつて東京に入れていたわけでございますが、鉄道運送が非常に窮迫しておりまして、これを船で持つて行く計画に切りかえたわけです。ところで釧路には倉庫もございません。そういうような関係で、山から港頭に持つて来たものは、線路の両側に山となつて露天積みにしてあつたようなわけでございます。これが雨が降り、また霧がかかつて濕気を帯びまして、冬になるに従つて凍りついた。それはほとんど乱俵状態になつておりまして、中にはわらも入つている、なわも入つている、それに粉炭がたくさん入つている。これが凍りつきまして、粉炭あるいはわらくずといつたものを、ふるつて選別して俵に詰めるということはできなかつたような実情にあつて、それをつるはしで砕いて俵に詰めてへ東京へ持つて来たわけです。その船がちようど十二月の二十三日に東京に到着しまして、それによつて公約しておりました一俵配給も、南多摩、北多摩方面の一部を除きまして、全家庭に一俵ずつ配給できるような実情にあつたわけです。そのあと一月、二月にもやはり船が入りましたが、一番ひどかつたのが二月の十八日だつたと思いますが、この船が一番凍りついたものが入つていたわけなのです。十二月、一月、二月に入つた木炭はすべてそういうような品物で、氷が混合した木炭であつたがために、冷凍木炭と一部で言われておるわけであります。
  44. 篠田弘作

    篠田委員長 それでこちらの暖いところへ持つて来たから、向うで俵に詰めたときには十貫匁あつたけれども、こちらへ持つて来て氷が解けたときには、六貫匁しかなかつたというような事実はあつたのですか。
  45. 内藤信行

    内藤証人 つまり木炭普通天然乾燥状態において、中身が十貫なら十貫なくてはならぬわけであります。ところで雨にぬれ、霧にぬれて、しかもそれが凍りついているような木炭であるがために、俵に詰めても、これを正確にはかることがむずかしかつたというようなわけでございます。結局相当水分、氷、あるいは來雑物の入つた木炭東京に入つた。実際天然乾燥状態において中身が十貫なければならないものが、やはり水分が含まつているがために、正確にこれをはかつて梱包することができなかつたわけであります。それが結局東京に着きまして、いろいろな事故となつて現われたわけであります。
  46. 篠田弘作

    篠田委員長 北海道のしかも釧路といえば、一番寒い所ですが、十一月から二月までに野積みの炭を俵に詰めて持つて来るということになれば、北海道事情がわかつている人から見れば、もうそういう結果になるということは当然わかるのですが、なぜもう少し早くそれを運ぶことができなかつたか。
  47. 内藤信行

    内藤証人 あの当時、海運の方はそれまでは日通が引受けてやつてつたわけであります。しかも乱俵になつたようなものを梱包して、船に積み込むことも日通がやつていたわけです。ところで二十年、二十一年、二十二年、二十三年の中ごろまでは、包装資材が非常に拂底しておりまして、特に北海道は極度に困つてつたわけで、なかなか包装資材を集めるに困難を来した。それで包装資材を集めながらこれを梱包するというようなことで、その当時俵に非常に困つたという実情は、いろいろ北海道のお話を聞かれればおわかりになると思います。北海道庁としては、この薪炭を供出するについては、包装資材に一番頭を悩ましていたわけです。戰時中から戰後三年間というものは、包装資材獲得に非常に頭を悩ましておつたという事情であります。
  48. 篠田弘作

    篠田委員長 冷凍木炭による損害は金額にしてどのくらいありましたか。
  49. 内藤信行

    内藤証人 金額にして幾らちよつとわかりませんが……。
  50. 篠田弘作

    篠田委員長 それではあとで……。  その次に協力輸送関係、いわゆる大口消費者自家輸送をやつて自家輸送をやつたものの半分なら半分を事務所に渡して、あと自分で特配を受けるというような制度があつたそうですが、それは事実ですか。
  51. 内藤信行

    内藤証人 輸送協力について御説明申し上げます。輸送協力というやり方は、戰時中から始まつたものでございまして、特に軍需工場軍需品生産するためにぜひとも木炭がいるといつたときに、東京に入つて来る一般の家庭配給、あるいは業務用配給のものだけではとても足りないといつたような実情にあつたわけでございます。その節につまり特例としてそういうことを認可したわけで、つまり国としては、特に優先的に配給しなくてはならない工場に対して、そういう特別な措置をとつたわけでございます。それで終戰後もやはり同じような行き方でやつてつたわけでございますが、それは戰時中のように特に軍需工場だけに適用したわけではなしに、いろいろ各方面からのやむにやまれない申請によりましてこれをいたしたわけです。けれどもそれをやるについても、やはり東京都として、その申請者工場なり会社の内容を調査して、どうしても優先的にやらざるを得ないと考えたものについて、これをやらせたわけであります。そういう建前でやつてつたわけであります。ところで中には、東京都にそういう申入れをしないで、産地に直接出かけて、産地の地方庁の方へ働きかけて持つて来て、あとから認可を受けるといつたようなこともあつたわけであります。それでそういう建前で、結局輸送する場合に、やはりトラツクで持つて来るわけでございますが、貨車で持つて来れば一俵十円かそこらで持つて来れるが、トラツクで持つて来るとすれば五十円も百円もかかるといつたような、余分の経費がかかるわけです。その当時としては、貨車が非常にきゆうくつで、貨車だけに依存していては、産地には物があるが、東京にはなかなか入らないといつたようなところが相当ありましたので、そういうところのものを選んでトラツク輸送させたわけでございます。その代償として三割とか四割とか、それはつまり距離の遠近によつて、または道路の難易によつて、その割合をきめて行つたような事情にございます。
  52. 篠田弘作

    篠田委員長 ところが実際は協力輸送というのは、大口需要者がそれをやらないで、中にブローカーがそれを引受けてやつている。そうして結局事務所の方にも半分くらいは渡すというようなことをして、ブローカーが途中から自分の運んだ物をやみ売りしたというような事実はありますか。
  53. 内藤信行

    内藤証人 ではその点をお答えいたします。この協力輸送申請者は、自分の車で直営する場合と、下請を頼んでやる場合と二通りあつたわけであります。直営の場合は割合に問題はありませんでしたけれど、下請をした場合に、その下請者惡性な者がおりまして、これを横流しをしたといつたような実情にあつて事務所としては、今それの整理にあたつておるわけであります。その輸送やり方につきましては、初め協力輸送申請書を出して東京都の認可を受ける。そうすると、その認可書従つて東京事務所産地事務所の方へ連絡をとる。そうすると、産地事務所産地農業会連絡をとる。農業会はそれによつて輸送証明書発送報告書とを持たして、東京に出さすわけです。ところでその輸送証明書発送報告書は、着地卸機関の店頭に持つて行つて、一応その書類を提示するし、それから卸機関東京都のさしずによつて、それの何割かをその輸送者に渡すというような仕組みになつておるわけでございますが、惡性輸送者は、輸送証明書及び発送報告書を卸の機関に渡さないで、そのまま自分工場なりあるいは会社なりへ持つて行く。そうして横流しあるいは自家消費をする。それでそのまま知らぬ顔をしているというような事情にあつたわけであります。そういうやり方はいつまでもやつたわけではございませんで、そういう惡性な者がいて、横流しするような実態がわかつたので、今度は産地事務所着地事務所連絡をとりまして、発送報告書は直接発の事務所から着の事務所の方へ郵送するようなことにして、それからはそういう問題は起らなかつたわけでございますが、ある期間そういうことが起りまして、それが現在の行方不明の木炭、あるいはまだ收入未済の木炭になつておるわけであります。
  54. 篠田弘作

    篠田委員長 それは刑事上の問題か何かになつておりますか。
  55. 内藤信行

    内藤証人 刑事上の問題になつておるものもあるのです。それはほかに惡いことをやつた関係で、それと関連して刑事上の問題になつているものもあります。それはほんのわずかです。
  56. 篠田弘作

    篠田委員長 何か委員諸君の中から御質問がありますか。
  57. 内藤隆

    内藤(隆)委員 冷凍木炭という、まことにわれわれ何のことだかわからなかつたのでわわますが、大体了承しました。要するに北海道の奥地から木炭を送つて来て、それが乱俵になつておるということですね。そうしてその中にはわらがあり、なわがあり、あるいはまた氷のかけらや、石があつたりして、これは炭か何かわからぬものだと思いますが、昭和二十二年から北海道から東京へ向けて運ばしたようになつたのですね。
  58. 内藤信行

    内藤証人 はあ。
  59. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、東京事務所だけで約一千万円の現物の不足になつておるということになりますが、そういう事実がありますか。
  60. 篠田弘作

    篠田委員長 資料があつたら出してもいいですよ。持つて来ているのでしよう。出してください。
  61. 内藤信行

    内藤証人 ちようどそういうことになつております。
  62. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからあなたの証言の中にもありました、同年の十二月二十三日に着いた大栄丸というのがありますね。これが何か事故がありまして、積荷の約四五%が消えうせておる。そうしてこの金額が三百七十九万円という程度に上つておる。こういう事実がありますか。
  63. 内藤信行

    内藤証人 はあ。
  64. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからもう一つ、あなたの証言の中にもありましたが、最もひどい欠損のあつたのは、二月十八日の船だということを聞きましたが、それは何という船ですか。
  65. 内藤信行

    内藤証人 やはり大栄丸です。
  66. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうしてその欠損額はどのくらいですか。
  67. 内藤信行

    内藤証人 それは二月の十四日であります。これが一二・三〇となつております。一二%でございます。
  68. 内藤隆

    内藤(隆)委員 要するに昭和二十二年度のわずかな短期間だけでも、この東京木炭事務所のいわゆる欠損というものはそういう大きな数字に上つておる。この欠損は一体国家の損失となつておるのかどうか。
  69. 内藤信行

    内藤証人 この損失につきましては、船蔵選者の方に薪炭課の方として今話をしているわけです。
  70. 内藤隆

    内藤(隆)委員 その欠損を取返すためにですか。
  71. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  72. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからもう一つ聞きますが検收なり、あるいは積込みなり、荷おろしは日通がやつてつたのですか。
  73. 内藤信行

    内藤証人 それは日通です。発の方の、つまり釧路港の検收は日通がやつております。それから着の検收は検收員がやつております。
  74. 内藤隆

    内藤(隆)委員 木炭事務所の検收員がやつているのですか。
  75. 内藤信行

    内藤証人 はい。
  76. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、この船は船舶運営会の船だということですが、船舶運営会としては、輸送上の責任は全然追究されないのですか。
  77. 内藤信行

    内藤証人 そこは自分たちにもよくわからないのですが、船輸送の責任問題でありますが、これは責任を追究されるという話もあるし、されないという話もあります。自分たちとしてはそこのところはよくわからないのです。
  78. 内藤隆

    内藤(隆)委員 これほど大きな欠損が国家において負担される場合において、その責任の帰趨を追究するということは当然でしよう。わからぬじやいけない。要するにどこをつけばこの欠損はわかるのか。どこに重点があるかということを聞くのです。その点あなたは今おわかりにならないのですか。
  79. 内藤信行

    内藤証人 最後の折衝は、結局船輸送の契約は本省と船舶運営会、とにかく船会社でやつておるわけです。
  80. 内藤隆

    内藤(隆)委員 やつてつて木炭事務所としてはタツチしない、そういうわけなんですね。
  81. 内藤信行

    内藤証人 はい。
  82. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからもう一つ協力輸送関係ですね。ただいま委員長に対する証言でほぼ盡きておると思いますが、一体山元すなわち生産地、栃木あるいは群馬、福島から昭和二十一年、二十二年度にいわゆる大口需用者がトラツクでもつてつて来ておる。ところが、実際においては大口の会社自体が動かなくて、ブローカーを動かしているという事実をさつき聞いたのですが、そうすると、ブローカーなるものが許可証明書か何かを二重にも三重にもこれを行使しておるという事実はありませんか。たとえば大口のある会社にわくがきまるでしよう。そうするとそれの許可証明書というか何というか、わくの証明書を二重にも三重にもブローカーが使用しておるということはありませんか。要するにブローカー横流しをするでしよう。トラツクに積む俵というのは、二百俵なら二百俵とたいてい限定されておるわけでしよう。それが横流しをするということは、それよりも数が多く積んで来ておるものだから横流しができるわけでしよう。
  83. 内藤信行

    内藤証人 許可証明書は、たとえばわくを一万俵とか二万俵という許可を都の方で與えるわけです。それによつてそのブローカー産地に行きまして、農業会からそれをひつぱり出して来るわけです。その際にわくの一万俵あるいは二万俵よりもよけいに持つて来たということはやはり予想されるわけです。
  84. 内藤隆

    内藤(隆)委員 もう一つ、たとえばその会社ブローカーを使つたといたしましても、責任は会社にあるんだから、その会社に向つて代価を請求するのがほんとうじやないかと思います。そうやつておりますか。
  85. 内藤信行

    内藤証人 そういうことでやつております。それでそういう協力輸送によつて事故になつた件数は相当あります。ところで、その後いろいろ調査し折衝した結果、ほとんど金は回收しております。それからまた和解に持つて行つて、回收計画を立てまして回收する手続になつております。
  86. 内藤隆

    内藤(隆)委員 今あなたはほとんど回收できておるとおつしやいましたが、実際においては、たとえば木炭の四万二千俵の半分がまだ未回收だということにこちらの方に調べがついておりますが……。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  87. 内藤信行

    内藤証人 いつかお話申し上げましたが、全部で百五十三万円になつております。そのうち現在残つているのが四万五千七百八円というものと、十万九千円というもののほかは、ほとんど代金納入済み、あるいは和解が成立したものになつているわけです。これは最近になりまして、訟務局の方の御協力を得まして毎日やつております。そういう結果、そのような違いがあるのじやないかと思います。
  88. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それともう一つ協力輸送ということが非常に弊害が多かつたという事実は認められますね。
  89. 内藤信行

    内藤証人 そういうことです。
  90. 内藤隆

    内藤(隆)委員 そうすると、何といいますか、そういう不完全な機構を持つた協力輸送から生じた欠損は一体たれが負うべきものだと思いますか。たとえば消費地の知事がこれを負うべきものだとか、あるいは生産地木炭事務所が負うべきものだとか、その責任の所在はどこにあると思いますか。
  91. 内藤信行

    内藤証人 やはり直接そういう仕事をやると言つた会社なり工場なりに責任があると考えられます。そういうことで、現在どこまでも追究しているわけです。
  92. 内藤隆

    内藤(隆)委員 それからあなたの東京木炭事務所としては、現在の卸業者で未收になつている大きな会社、たとえば米田物産株式会社は約五千万円、それから東京燃料株式会社は約二千五百万、これを両社とも政府の主張通りに認めていないということですが、それはどういう理由で認めていないでしようか。
  93. 内藤信行

    内藤証人 米田物産及び東京燃料株式会社に対する債権というふうに一応考えられておりますが、これにつきましては、政府として保管費も拂わなくちやならぬ、それから出すときの回送賃も拂わなくちやならぬ。それでなお債権の対象になつている薪炭でございますが、政府が卸に渡す薪炭が、つまり規格品通りのものであるとすれば統制の価格、つまり卸業者に渡す卸売価格で請求すればいいわけです。ところが実際に入つて来るものには、また実際入つて来たものには、やはり貫軽もありますし、それから品がいたんで相当の値引きをしてやらなくちやならぬというものもあります。それからなお実際に入つて来た数量というものが、左から右に売れる限度において入つて来ればようございますが、実際の入荷の事情というものは、生産地生産事情あるいは小運送事情によつて計画の半分ぐらいも入らない場合もあるし、あるいは計画の二倍あるいは二倍半も入る場合もある。つまり計画以上に入つた場合は、季節によつては消費地ですぐ売れないような品物も入つて来るようなことがございます。そういつたものは、やはり相当期間売れるまでこれをストツクしなくちやならぬ。ストツクする場合にも、倉庫が今のところ東京にはございません。米田株式会社あるいは東京燃料株式会社も十分な倉庫を持つておらないようなわけです。それでこれを登録店舗に預ける。ところで、露天積みの場合が多いわけで、やはり売れるまでには相当荷いたみがするわけです。それで品物が惡くなるし、見ばが惡くなるということで、実際の卸売価格そのままではなかなか売れないという事情にあるわけです。そういつたものをやはり卸売業者と政府の間で話をつけて、どれだけにするかということできめることになつておるわけです。
  94. 内藤隆

    内藤(隆)委員 両会社に対しては目下処理の最中なんですね。
  95. 内藤信行

    内藤証人 そうでございます。
  96. 内藤隆

    内藤(隆)委員 処理の見通しはどうですか。
  97. 内藤信行

    内藤証人 東京燃料株式会社の方は訟務局の方にお願いしまして、今整理を申立てて、一応会計の帳簿を審査した上で話をきめようということになつております。
  98. 内藤隆

    内藤(隆)委員 米田の方は……。
  99. 内藤信行

    内藤証人 米田さんの方は大塚さんの方が済んでからさつそくかかるということでおるわけでございます。一応東京燃料株式会社の方を先にやつているわけでございます。
  100. 島田末信

    ○島田委員長代理 他に御尋問はありませんか。
  101. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 先ほどの証人のお話では、冷凍木炭、いわゆる何か夾雑物が非常に多く入つた木炭にあらざるものを入れたものが大分あつた、こういうことなんです。それはしかも北海道から来たというのですが、それではだれがそういうものを入れたかということは調査せられましたか。
  102. 内藤信行

    内藤証人 ちようど二十二年の暮れから正月にかけまして、あの当時としましては、消費地では木炭の入荷が非常に惡くて、なかなか正月前の一俵配給もできなかつたような事情にあつたわけです。それで戰時中からもそうでございますが、特別会計としましても、また消費地としましても、とにかく何俵でも、裸炭でもいいから、一かけらでもよけいに消費地に送つてもらいたいというような実情にあつたわけです。それだからといつて惡いものでいいというわけじやありませんけれども、その当時の産地事情としましても、そういう惡いものでも、東京に速急に正月前に、冬の寒い間に持つて来なくちやならぬということで、結局そういう夾雑物なり、あるいは氷の入つたものをよりわけて、いいものだけ持つて来るという余裕がなかつたわけでございます。そういつた事情で、とにかくそれでもけつこうだからひとつ俵に詰めて送つてもらいたいというようなことで東京に入れたわけでございます。
  103. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 どうもわからないですね。われわれも木炭産地に近いところにおりますし、また木炭製造業者の実態もある程度知つておるわけですが、木炭製造者が雪のかたまりを入れたり、なわくずを入れたり、そういうことはあり得ないと思うのです。それは途中においてだれかが入れるか、もしくは商人がそういうことをことさらにやるか何かしなければ、山元で炭焼きをしている人が炭俵の中に氷を入れたり、なわくずを入れたり、そういうことは絶対にないとわれわれは確信しておる。だから、あなた方はどこでそういう不正行為がなされたか、そういう不正な品物を出した責任は一体どこにあるかというようなことは、当然調査せらるべきではないかと思う。そういう点について、たとえば山元でこれは入つたのであるとか、あるいは港で船に積むまぎわにそういう不正が行われたとか、もしくはそれがこつちに着いてから、長く積んであるのを奇貨としてそのような不正をやつたものがあるとか、何かその辺の事情についてもつとつつ込んで調査がなされておらなければならぬと思うわけですが、そういう点について調査をせられておるかどうか。
  104. 内藤信行

    内藤証人 じやちよつと御説明いたします。ただいま生産者がそういうものは入れないというようなお話でありましたが、それに間違いありません。実は釧路から東京木炭を入れる場合には、十貫俵の五万俵の中から、先ほど申し上げましたように、最大四万三千俵も船に積んで持つて来なくちやならぬ。そうすると、一般にまとめるまでは、つまり産地の駅頭から釧路の港に着いたものを一応一船にまとまるまではストツクしなくちやならぬ。ところでストツクするのに倉庫がないというようなことで、露天積みされていたわけです。それで長い期間にそれが乱俵になり、また風雨にさらされまして、さらに凍りついた。乱俵になつた関係わらも入つておりますし、なわも入つておる。それをふるいわける余裕がなくて、そういうものでも東京正月前あるいは寒い間に持つて来なければならぬということで、それを早急に俵に詰めて持つて来たようなわけであります。それで生産者がそういうものを入れたわけではなしに、中継地である釧路において詰めたわけです。詰めるのにも、そういう特別な事情によつてそういう結果になつたわけであります。
  105. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 今のお話を聞きますと、大体その間の動きはわかるような気がしますが、そういうストツクをしておる間にいろいろ乱俵ができたりして、その乱俵を整理する場合に、炭だけ入れたのでは足らなくなるから、結局そういうようなものを入れた。こういうお話なのですが、そうだとすれば、そう大量に冷凍炭というものが出るわけはないと思います。たとえば百俵のストツクができても、そのうちでどうしても足らなくて、そういういういろ混入したものをつくらなければならぬというのは、わずか三俵ぐらいつくればそれで終るのであつて、大量にそういうものができるということは考えられない。従つてこの問題を非常に大げさに、何百も何千も冷凍木炭があつたかのごとく言われるが、そうではなくして、そういうものがたまたま一俵か二俵あつたか、あるいは何十俵あつたかしらぬが、これに便乗して非常に惡いものがあつたから結局欠損ができた。あるいは買手がなかつたから安く売つた。こういうことでごまかしをしておるというふうにわれわれは解釈せざるを得ない。この点はこの程度でいいのですが、もう一点お尋ねいたしたいのは、先ほどのいわゆる輸送協力という意味での運送をやる場合に、自家用の車ではなしに下請をさせてやつた。そういうような場合に、非常にごまかしというか、不正が行われたというお話であります。これらに対して篠田委員長から、それは刑事事件として手続がなされておるかどうかという尋問に対して、あなたはそういう手続をとつておるものも少しあるという意味の説明をしておられたわけですが、そういう明らかにごまかしたり盗んだりというような行為をやつておる者に対して、なぜ徹底的な追究なりあるいは法律的の手続をなさらぬのであるか。そういう刑事事件としての手続をとつたものは、すでにその中に少しばかりあるというのはどういうわけなんですか。
  106. 内藤信行

    内藤証人 御説明いたします。実はそういうものにつきましても、金がとれるものならとろうという考えで、金をとることに主眼を置いてやつておるわけであります。どうしてもとれないものにつきましては、刑事事件もやむを得ないということで進んでおるわけであります。実際に刑事事件としてすでに扱われておるものは、こちらで初めから刑事事件にしようということではなしに、ほかの問題で副産物的に出たものについて刑事事件になつておるわけであります。特別会計としては、そういう問題についてできるだけ金がとれるものならとろうということで進んでおるわけであります。
  107. 松本六太郎

    ○松本(六)委員 私はこれでよろしゆうございます。
  108. 島田末信

    ○島田委員長代理 ここで証人にお尋ねしますが、昭和二十三年の備蓄薪炭数量金額及びその処分の状況についてちよつと御説明願います。
  109. 内藤信行

    内藤証人 二十三年度の備蓄薪炭数量金額及び処分状況でありますが、木炭の保管数量は百八十万九千五百五十六俵、金額が概算でございますが、三億八千七百二十四万四千九百八十四円、それからまきが保管数が六百九十七万六千五百六十三束、金額が二億一千六百二十七万三千四百五十三円、それからガスまきが保管数が四十五万一千八百八十六俵、金額が四千六百九十九万六千百四十四円、計として金額は六億五千五十一万四千五百八十一円、所要経費として一億七千四十九万六千三百九円ということになつております。
  110. 島田末信

    ○島田委員長代理 そのうち値引きした金額数量それから減耗した数量と該当すべき金額、それから備蓄の経費、こういうものを拔き出してください。
  111. 内藤信行

    内藤証人 値引きの金額は、これはたとえばあの当時として二把掛以上は幾ら引くとか、あるいは木炭であれば、八貫以上のものは幾ら引くというような薪炭課の方からの通牒がありましたので、それによつて引いたのでありまして、それ以外は引いておりません。なおあの当時腐れまきが相当入りまして、腐れまきだけは全部残させて、それは一々立ち会つて、そのものだけについて薪炭課の指示によつて引きました。それ以外のものは値引きはいたしません。それから減耗の関係でございますが、減耗ははつきり出ておりませんが、概算のところ木炭が六分くらいになつております。それからまきの方ははつきり出ておりませんが、これも必要なので今せつかくやつております。それでとにかく自分の方としましては、特に備蓄まきの処分につきましては、自信を持つたやり方をやつておるつもりであります。
  112. 島田末信

    ○島田委員長代理 備蓄の経費は……。
  113. 内藤信行

    内藤証人 備蓄の経費は、十日が一旬ということになつておりますが、たしか七十銭くらいだと思つております。
  114. 島田末信

    ○島田委員長代理 それからこれは例でありますが、池袋備蓄場の、東京燃料株式会社保管の十七万九千七百九十六俵ですか、この原価が三千八百十九万一千円したものを、千五百五十三万一千円で処分しておるというのは事実ですね。
  115. 内藤信行

    内藤証人 それは処分したわけではありません。結局卸としてあそこに備蓄していたものを、実際にあの当時経済調査岸がいつも立ち会つて指導してやつておられたのですが、その実際に売つた結果がそういうことになつたというので、一応はそういう数字になつておるのじやないかというふうに自分らとしても考えますが、なお会計帳簿を十分に調査した上で考えなくてはならぬということで、今訟務局として会計の調査をやることになつております、これで値引きしたというのじやなしに、向うとしてそれだけのものを、つまり卸売価格から行けばそれだけになるものが、実際に売つた結果そんなふうになつたというだけのものでございます。
  116. 島田末信

    ○島田委員長代理 その金額の食い違いというのは、値引きではないということになるのですね。
  117. 内藤信行

    内藤証人 値引きといいますか、実際品物がそれだけ価値がなかつた。つまりほどんど乱俵状態になりまして、粉炭になつておる。そういう粉炭を振いわけまして除いて、そうしてそのあとのものをかますに入れて売つたわけでございますが、その結果がそういうことになつたのであります。
  118. 島田末信

    ○島田委員長代理 これはたとえば減耗が特にひどかつたとか、あるいは盗難にあつたとかという理由はないのですね。
  119. 内藤信行

    内藤証人 そういうことはないと思います。
  120. 島田末信

    ○島田委員長代理 結局品物が惡くなつて、市場価値がなくなつたために安くなつた……。
  121. 内藤信行

    内藤証人 まあ、そういうことでございますね。
  122. 島田末信

    ○島田委員長代理 値引きではないのですね。
  123. 内藤信行

    内藤証人 そういうわけでございます。
  124. 島田末信

    ○島田委員長代理 いずれにいたしましても、それだけの金額に差額ができたということははつきりしておるわけですね。
  125. 内藤信行

    内藤証人 はい。
  126. 島田末信

    ○島田委員長代理 保管料はどのくらい拂つておるのです、この池袋の備蓄場の。
  127. 内藤信行

    内藤証人 保管料はやはり一旬大体東京の標準として七十銭ぐらいだというふうに考えているわけです。
  128. 島田末信

    ○島田委員長代理 それからこの処分した千五百五十三万一千円という金額ですが、これは取立てができておるのですか。
  129. 内藤信行

    内藤証人 売拂つたものですか。
  130. 島田末信

    ○島田委員長代理 ええ。回收ができているのですか。
  131. 内藤信行

    内藤証人 売拂つたものについて、その金として入つておるかどうかわかりません。このものとして金を入れたわけじやございません。
  132. 島田末信

    ○島田委員長代理 それでその千五百万円余りの売つた金ですね。これはそのうち一千万円は会社の銀行に借金返しをしたということは事実ですね。
  133. 内藤信行

    内藤証人 訟務局の方の調べでは、そういうことになつておるらしいのです。
  134. 島田末信

    ○島田委員長代理 そのうち五百万円くらいが政府に入金になつておる、これは事実ですね。
  135. 内藤信行

    内藤証人 はあ。
  136. 島田末信

    ○島田委員長代理 それからもう一つお聞きしますが、実務担当者として、本特別会計赤字原因がどこにあるかということをひとつはつきりさせてください。
  137. 内藤信行

    内藤証人 ではお答えします。特別会計の赤字の問題は、これは赤字という以上は、結局予算に対する実行経費あるいは予算に含まれない特別な出費というより、欠損というものを明確にしない限りは、ちよつと確実にどういうことが赤字になつておるか、またどれだけの赤字にそれがなつているかということは申し上げられませんので、この点はやはり薪炭課じやなくちやわからないと思います。自分の方としましては、実際にその現場の仕事をやつている関係上、こういうものがつまり予算以外にやはり支出されているんじやないかというふうに考えておるにすぎないわけでございます。それで薪炭特製会計の赤字をいろいろ御説明するには、特別会計が昭和十五年以来今日までたどつて来た経過をいろいろ調べてみなくちやわからないと思いますが、特別会計の赤字については二通りに大別されると思うのです。つまり二十三年の年末の機構の切りかえ時分までと、それ以降と、この二つに大別されるわけでございますが、この二十三年の機構の切りかえ時分までは、つまり消費地としましては非常に薪炭の入荷が不足であつた。それから二十三年の十一月以降は、非常にまた品物がだぶついて来たといつたふうな関係で、それに付随した赤字があるのじやないかというふうに考えられるのです。それで特別会計は、消費地における薪炭の需給を調整するという意味で出発しているような関係で、消費地には必要なものだけは持つて来なくちやならぬという建前になつていたわけでございますが、ちようど昭和十九年から二十三年の終りごろまでは入荷が非常に惡くて、そのために特別会計本来の使命といいますか、それ以外にもいろいろな経費を出している。つまり薪炭生産者価格というものは、駅頭からのある区間範囲のものを買うとしての価格になつているわけでございますが、特別に奥山であるとか、あるいは不便なところの生産者のものを買う場合には、特別に小出し賃として支出しなくちやならぬとか、風水害のために道路が決壊し、あるいは橋梁が落ちるといつたような場合にも、やはり消費地に木炭あるいはまきを早く持つて来るために、相当な経費の支出をしなくちやならなかつた。その他早期築窯、早くかまをつくつて出してもらおうというようなことで、早期築窯費というような経費を出したわけであります。あるいは早期供出、つまり何月までに政府に供出すればどれだけの奨励金を出すといつたようなことで、そういういろいろな経費を出さざるを得なかつた。それでもなおなかなか予定の数量が消費地で確保できないというようなことで、消費地においてもまたどういう炭でもいいからひとつ出してもらいたいといつたようなことで、生産者としてもその当時としては手もない、あるいは資材もないというような関係で、貫軽のものも出したり、あるいは改装、手直ししなくちやならぬというようなものについても、改装する物資がないというような関係で、そのまま消費地へ持つて来るといつたような関係で、そういういろいろな不備な点を、つまり特別会計として負担したという面が相当あつたと考えられるわけであります。     〔島田委員長代理退席、委員長着席〕  それから二十三年の末期になりまして、進駐軍のいろいろな施設の関係が緩和したような関係で、貨車まわりが非常によくなつた。それからまた二十三年の冬は、東京関係の東北地方が雪が降らないで非常に暖かで、生産も上るし、また小運送の能率も上るといつたような関係で、消費地にはどんどん入つて来たわけでございます。しかしそれは結局消費地の消費者に対して、非常にたくさんそのものを売り渡すというようなことができない関係で、それをストツプする。それで結局予算に計上しない数量のものを出したというよろなことがやはり関係しているのじやないかというふうにも考えられるわけです。そういうふうにいろいろ赤字原因として考えられることは、われわれとしてもいろいろ考えられるわけでございますが、どういうことがどれだけの赤字になつたかということはちよつとわかりません。
  138. 篠田弘作

    篠田委員長 証人に申し上げますが、質問に対して要領よく簡單に答えて下さい。
  139. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 東京木炭事務所では、北海道から一番よけいに買われましたか。
  140. 内藤信行

    内藤証人 東京に入る木炭は岩手が一番多いのです。
  141. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それから順序は……。北海道もあるだろう。
  142. 内藤信行

    内藤証人 その次は福島でございます。あとは年によつて違います。
  143. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 北海道に大分冷凍木炭があつたという証言があつたが、北海道冷凍木炭はどのくらいあつたのですか。
  144. 内藤信行

    内藤証人 今ちよつと数字を忘れましたが、冷凍木炭数量ですか。
  145. 篠田弘作

    篠田委員長 さつきあなたは、五万俵のうちから大体四万何千俵と言つたじやないですか。
  146. 内藤信行

    内藤証人 そうです。十二月に持つて来たものは四万三千俵を持つて来たわけであります。
  147. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その四万三千俵を山元から幾ら買いつけたか、その数字です。
  148. 内藤信行

    内藤証人 それはちよつとわかりませんです。
  149. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その関係はわからないのですか。
  150. 内藤信行

    内藤証人 はあ、それは釧路にやはり木炭事務所がございまして、釧路産地で買い上げて釧路輸送するのでございます。
  151. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうすると、東京木炭事務所から直接山元で買つたことはないのですね。
  152. 内藤信行

    内藤証人 そういうことはありません。
  153. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうしますと、次にお聞きしたいのは、現品がまだできていないのに、岩手なら岩手、福島なら福島の方に受入れ調書というのをつくつて出したようなことはないのですか。
  154. 内藤信行

    内藤証人 それは産地においては、産地木炭事務所がそういう仕事をやるわけで、東京ではやりませんです。
  155. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうしますと、東京事務所からは地方の木炭事務所との間の取引が全部ですな。直接買うようなことはないのですね。
  156. 内藤信行

    内藤証人 直接じやなしに、事務所事務所の間で品物の受渡しをやつているわけであります。買入れ代金の支拂いとか、そういつたものは産地事務所でやります。
  157. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 もら一つお聞きしたいのは、地方の発送報告書と、それから東京事務所が現品を受入れたその数量と相違したことがありませんでしたか。
  158. 内藤信行

    内藤証人 あります。
  159. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その点をお聞きしたいのです。
  160. 内藤信行

    内藤証人 その発報と炭積み通知書といいますか、こちらから向うに——向うというと産地から……。
  161. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 もう少し説明しますと、こちらから注文すると、向うから何万俵という発送報告書が来るでしよう。それと実際到着して来た炭との数量の異なる場合があるでしよう。そういう場合があつたかどうかということです。
  162. 内藤信行

    内藤証人 あります。
  163. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それは大体どのくらいありましたか。
  164. 内藤信行

    内藤証人 その数量ちよつと調査したものがありませんですが……。
  165. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それではその場合どういう処理をしましたか。
  166. 内藤信行

    内藤証人 この発の事務所から着の事務所薪炭を逸る場合には、日通がその輸送の元請契約をやつているわけです。それでその元請契約の條項のうちに、そういう事故——事故にも種類がありますが、数量不足とかあるいは量目不足といつたようなものについては、日通が責任を負うことになつているわけです。それから銘柄相違。銘柄相違といいますと、黒のならの上と、黒の並の上といつたような区別、そういつたような銘柄が発送報告書と実際の現品が違つたという場合には、政府が責任を負うというふうな契約になつている。つまりそれを事故と言つておりますが、事故にも二通りあつて政府が責任を負う場合と、日通が責任を負う場合と、この二通りになつているわけです。
  167. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それだから、そういう責任をどういうふうにして処理したかということです。
  168. 内藤信行

    内藤証人 処理の方法は、着地品物貨車が到着しますと、貨車には……。
  169. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そういうことを聞いているのではないのだ。違つたものがあるというから、そういう場合の責任め追究をどういうふうにしたか。たとえば日通が責任を負うべきものならば、それをどういうふうに追究したか、あるいはそれを追究せずにそのままほつたらかしたか。
  170. 内藤信行

    内藤証人 数量、量目の不足については、日通に対して責任を追究しているわけです。
  171. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その責任をどういうふうにして追究したかということです。
  172. 内藤信行

    内藤証人 責任を追究する方法として説明を申し上げます。つまり発送報告書と現品とが違うことを確認する方法としまして、着地においては日本通運の者と、事務所の荷さばき監督員、それと卸、この三者立会いのもとにその検收をやるわけです。それでその三者合議の上で事故の確認をやるわけです。そり確認書によつて事故調書というものをつくつて、その銘柄あるいは数量それから金額、これを出して、その弁償金を日通の方へ請求しているわけです。そういうことで日通に対する責任を追究しているわけです。
  173. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 よくわかりました。そこでそういう事故調書によつて日通に弁償金を請求した額は幾らくらいですか。
  174. 内藤信行

    内藤証人 それは今ちよつとわかりませんです。
  175. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それくらいのことがわからんのですか。
  176. 内藤信行

    内藤証人 はあ。
  177. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 大体のことでもいいのですが、わからんのですか。
  178. 内藤信行

    内藤証人 ちよつとわかりません。
  179. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そういう事故調書はこしらえたものがあるのか。
  180. 内藤信行

    内藤証人 事故調書はその都度日通の方へ提出するので、そういう統計資料は今ありませんです。
  181. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 請求したのはないのですか。
  182. 内藤信行

    内藤証人 請求したのはあります。
  183. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 日通からとれたものはありますか。
  184. 内藤信行

    内藤証人 とれたものですか——つまりそういう請求書は産地事務所へ出しまして、産地の方と……。
  185. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 産地の責任ではなくて、日通の責任だと言うのだろう。それで事故調書をつくつたのだろう。目通に責任があるなら日通を追究しなければならぬ。それをどうして日通に請求しないのですか。
  186. 内藤信行

    内藤証人 それで発の事務所の方へ送つて、発の事務所の方でまたそれを照合しましてから、それを日通の方へ請求するのです。
  187. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それで発の事務所の方で照合して、日通の方へ請求したことがあるのかどうか。
  188. 内藤信行

    内藤証人 請求しております。
  189. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それはどれくらいの額ですか。
  190. 内藤信行

    内藤証人 今のところはつきりわからんです。
  191. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 数は何回くらいですか。
  192. 内藤信行

    内藤証人 非常に事故の件数も多いし、また金額も相当になつておりますので、ちよつと覚えがありませんです。
  193. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その金額のうち、日通からどれくらい回收したのですか。
  194. 内藤信行

    内藤証人 その点もわからんです。
  195. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 大体わからぬのかね、事務所長もしているのに……。
  196. 内藤信行

    内藤証人 わからんです。それは……。
  197. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 調書はちやんと控えがあるし、経理内容ははつきりしたのがあるのかね。
  198. 内藤信行

    内藤証人 あります。
  199. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それでは資料を……。
  200. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは証人に申し上げますが、その資料を委員会に提出してください。
  201. 内藤信行

    内藤証人 やはり件数も多いですし、長い期間なもんですから……。
  202. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 長くても大体出もたのはあるはずだ。
  203. 内藤信行

    内藤証人 今事務所も廃止になりますので、調査しております。いずれ近いうちにまとまると思いますが……。
  204. 篠田弘作

    篠田委員長 なるべく早くまとめて出してください。
  205. 横田甚太郎

    ○横田委員 証人ちよつとお断りしておきますが、薪炭の講義を聞いているのではないですから、よろしいですか。あつたかなかつたかだけ言えばよろしい。一番初めに聞きたいのは、薪炭を扱つておられるところの官僚が非常に苦労された、同時にそれが腐敗の原因であつた、こういう点を聞きたいのです。ここは裁判所ではないのですから、私は裁判所はきらいなんですから、あまり自分の身をかまわずに、国民的良心があれば、赤字の真相はこうであつたということを、はつきりした内容においてさばさばと言つてもらいたい。  私は九州に行つたのですが、そこの木炭事務所の話によりますと、あなたたちが地方からこれだけの炭がほしいという指令書をもらつてつたところが、それだけの炭が入らない。そこで必ず生産県へ行きますと宴会を開かなければならない。そうして歌を歌いますと何千俵になる。木炭事務所長が踊りをしますと何方俵になるのだ。いわゆる歌を歌えば何千俵、踊りをおどれば何万俵、こういう苦労をしたというのですが、そういうことは事実ですか。こういうことを私は聞いたのですが、あなたは歌とか踊りにおいてどちらが上手なんですか。
  206. 内藤信行

    内藤証人 それはちよつと……。九州でお聞きになつたというお話は私としては初耳でございます。私としましては生産地に対する出荷懇請に行つたことは一度もありません。私の主義としまして、とにかく自分産地の方へ行つて自分が行つたからこれだけ出したのだというゼスチュアはしたくない。とにかく生産地の所長が自発的に出したのだといつたような表現の仕方をしたいということで、私は一度も行つたことはありませんので、その点わかりません。
  207. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると情実関係でなしに、命令関係で現地の方が出荷したので、それだけのものが出たのですね。
  208. 内藤信行

    内藤証人 東京はやはり特に政治の中心、その他いろいろなものの中心だといつたような関係で、政府として、また特別会計としましても、特に東京を重点的に考えているわけで、東京に予定の数量が入らない場合は、ほかを切つて東京へ入れるというようなことで、あらゆる手を打つて入れるようにしたような関係で、特にそういう手を打たなくてもよかつたわけであります。
  209. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、先ほどあなたのお言葉の中に、腐れまきが入りまして、それも薪炭課の指示でございます、こう言つておられましたね。その腐れまきということがわかつたのはいつですか。入つて来る前ですか。あとですか。
  210. 内藤信行

    内藤証人 御説明申し上げます。つまりこういうことなんです。腐れまき政府の指示によつてつたわけじやなく、政府の特別会計の指示によつて腐れまきの値引額をきめた。それからそういう腐れまきの入つた実情でございますが、これはつまりどちらかといえば社会事情といいますか、いろいろな事情が加味されているので、どこに責任があるかということはここで断言できませんが、とにかく生産者としては政府以外に薪炭は売れない。それで生産者はほかに安くても買つてくれるところがあれば売りたいと思つても、政府以外には売れない。ところで政府に売つたがなかなか小運送が逼迫してきかない。せつかくつくつて駅頭まで持ち出したが消費地まで持つて来れない。そういうような関係で、そういつたたまつたものが消費地に来たわけなんです。それで小運送とか大運送の逼迫した関係で、よほど前に供出したもの、つまり日通が運んだといつたものが入つて来たわけです。
  211. 横田甚太郎

    ○横田委員 要は消費者の立場から私たちは言うのですが、消費者であつたわれわれとしては、まき、あるいは炭で統制時代に値引きしてもらつた例がないのです。あなたの場合は品物が腐れまきであつた。それで値引きした物が出ておるというのですが、ただ一回だに東京で値引きされたまきが配られたことはないと思う。この場合あなたは値引きをどこで聞かれたのですか。
  212. 内藤信行

    内藤証人 そういう特殊な惡い物は一般家庭には配給いたしません。そういうものはふう屋とか、その他そういう物でも何とか間に合せてもらえる業務用にまわすことになつておるわけです。これは特に東京都の方の指令によりまして、とにかく消費者にはいい物を配給せいというようなことでやつておるわけです。
  213. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは業務用に配給した。いわゆるあなたたち木炭官僚に賞與でも出す意味合いにおいて、まず業務用に配給する。そのかわりの一般家庭の分は運搬がきかないからだめになる、こういうようなわけじやないですか。逆に言いますならば、腐れまきであることがわかつたならば、そのかわり新しいまきがそれだけ参りまして、東京都民に配られるのですか。
  214. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  215. 横田甚太郎

    ○横田委員 事実はそうじやないのでしよう。
  216. 内藤信行

    内藤証人 そういう惡いものも、幾らにでも金にかえなければならぬということで、売れるところに売るという方針をとつているわけです。そういうものは各家庭に配られないで……。
  217. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういうような方針をとつているというが、だれがとつているのですか。
  218. 内藤信行

    内藤証人 それはつまり東京都として、そういうものはできるだげ家庭には配給するなということになつておるわけです。
  219. 横田甚太郎

    ○横田委員 向うから来るときは薪炭の形で来る、東京都で受取つたときに品物が惡いからといつて断るわけですね、そうして新しいものを請求するのですか。
  220. 内藤信行

    内藤証人 そういう請求するとか何とかいうことでなしに……。
  221. 横田甚太郎

    ○横田委員 ちよつと待ちなさいよ。これが町にはまきがないのです。そこへこんなまきを持つて来る。それをあなたたちが見て腐れまきだと薪炭課に言うと、このまきは配れなくなる。そうすると、町にはまきがないから腐れまきでもけつこう高くなる。そういう形であなたたちはあらかじめやつていたのではないですかということを聞いているのです。
  222. 内藤信行

    内藤証人 つまり自分の方としましては、そういうことについては特に絶対にないように注意しているつもりですが、また自分の方としては、卸に売渡すだけの仕事であつてあと配給の監督は東京都がやつているわけです。そういう面についての監督は東京都ができるだけやつているものと自分としては考えているわけです。
  223. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると、まき東京へ送るように指示をした薪炭課も、現物を受取つたあなたたちも、現物を受取るまでは腐つたまきだか何だかわからないのですね。
  224. 内藤信行

    内藤証人 それはわかりません。
  225. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと横田君の質問に関連して聞きますが、まきは積んで置けば腐るということはきまつている。たとえば白樺というようなものは、外へ積んで置けば一年か一年半で腐つてしまう。まきの種類にもよるが、一番早く腐るまきは一年くらいで腐る、積んでいる場所にもよるけれども……。
  226. 内藤信行

    内藤証人 それはわかりません。
  227. 篠田弘作

    篠田委員長 とにかくぼくらの経験だと、白樺はまきにして積めば一年か半年で腐りますね。だから腐ることについては輸送関係もあるから、あながち言えないと思うのだが、そういう点もあなたは技術屋として、明瞭に委員質問に対して答える必要があるのではないかと思う。しかしあなたの專門以外のことであればしかたがない。辞令一本もらつて行くのだからやむを得ないけれども、そういうことを明瞭にするといいのだが、そうでないと委員は、腐つていないまきを腐つたと言つて、値上りをしてから高く売るか、あるいは特別配給をしてカモフラージユしながら、業者と結託していい思いをしているのではないかと疑つている点に重点があるので、あなたの專門的な立場から、まきというものは一年か、一年半、早いものは八箇月か、九箇月で腐るということを説明すれば、非常によかつたのだ。
  228. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたがまきを扱う場合に、だれの利益をお考えになつたのですか。だれのために利益をはかつておられたのですか。
  229. 内藤信行

    内藤証人 もちろん薪炭特別会計は、消費地における薪炭の需給を円滑にやるという使命でできておる会計でございまして、目的はやはり消費者に必要な木炭なり、まきなりをできるだけ安く配給して行くという気持でやつたわけでございます。
  230. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、次の問題に移りますが、備蓄保管費をとるのは一日ですか。
  231. 内藤信行

    内藤証人 十日です。
  232. 横田甚太郎

    ○横田委員 十日一旬七十銭ですか。
  233. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  234. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると十日一旬七十銭の保管費をとるのなら、保管する場所があるのでしようね。
  235. 内藤信行

    内藤証人 倉庫とそれから学校の広場なりあるいは畑を借りてやつたわけです。
  236. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、広場に置く場合と倉庫に置く場合と違うでしよう。
  237. 内藤信行

    内藤証人 違います。
  238. 横田甚太郎

    ○横田委員 いつも同じ金がとられましたか。
  239. 内藤信行

    内藤証人 どれがですか。
  240. 横田甚太郎

    ○横田委員 保管料です。
  241. 内藤信行

    内藤証人 保管料は違うことにしております。
  242. 横田甚太郎

    ○横田委員 どういうように違いますか。——おわかりにならないですか。
  243. 内藤信行

    内藤証人 それは結局薪炭課としましては、倉庫に積む場合は相当な金額になるわけです。それだからといつて、それだけの金を拂うこともぐあいが惡いので、それでそれとプールした形でやつておるわけです。それで結局七十銭といつたようなことでやつておるわけです。
  244. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、相当な金額ということが問題になるのですが、相当の金額とは十日一旬七十銭の意味ですか。
  245. 内藤信行

    内藤証人 いいえ、プールしたのが一旬七十銭です。
  246. 横田甚太郎

    ○横田委員 だから相当の金額が一旬十日間で七十銭という意味ですね。
  247. 内藤信行

    内藤証人 いや、倉庫に実際入れるとすれば、ほんとうはよけい拂わなくちやならないわけです。
  248. 横田甚太郎

    ○横田委員 どのくらい拂うのですか……。
  249. 内藤信行

    内藤証人 ちよつとわかりませんが……。
  250. 横田甚太郎

    ○横田委員 東京木炭事務所として文句を言われておるのは、備蓄保管費がめちやくちやにたくさん出ておるということです。だからそれを聞いておるのです。こういうことを答えてくれなかつたならば、われわれは何を調べておるのかわからない。相当の金額というのは、十日間に一旬七十銭と言つておられましたが、それと同一の意味ですかということを聞いておるのです。
  251. 内藤信行

    内藤証人 それが適正な価格です。
  252. 横田甚太郎

    ○横田委員 どこできまりましたか。
  253. 内藤信行

    内藤証人 それは薪炭課と協議した上で……。
  254. 横田甚太郎

    ○横田委員 何年にきまりましたか。
  255. 内藤信行

    内藤証人 二十三年の六月か七月ごろではないかと思います。
  256. 横田甚太郎

    ○横田委員 二十三年の六、七月ごろまでは、野積みの炭は保管料が出ていなかつたわけですね。
  257. 内藤信行

    内藤証人 いや、やはり出しております。
  258. 横田甚太郎

    ○横田委員 同一金額ですか。
  259. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  260. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうしますと、さつきのあなたの言葉ですが、倉庫、学校の空地、広場、畑地が問題になつて来るのですが、当時東京にはどんな倉庫があつたのですか。
  261. 内藤信行

    内藤証人 倉庫は林産関係ですが、林産関係の元の駅の近所に焼けないで残つたのがあるわけです。
  262. 横田甚太郎

    ○横田委員 駅といつてどこですか。
  263. 内藤信行

    内藤証人 城西にもあります。あそこは澁谷の近所だと思います。それから池袋にもあります。それから元の林産関係としては、相当まだ倉庫が焼けないで残つたのが散在しておるわけです。
  264. 横田甚太郎

    ○横田委員 まだありますか。
  265. 内藤信行

    内藤証人 まだあります。
  266. 横田甚太郎

    ○横田委員 この倉庫の所在が……。
  267. 内藤信行

    内藤証人 それから亀有にもあります。
  268. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうするとはつきりわかつたのが三箇所ですね。
  269. 内藤信行

    内藤証人 それ以外にも相当あるということはわかつておるのですが、はつきり場所がわかつておりません。
  270. 横田甚太郎

    ○横田委員 倉庫の性質なんですが、その倉庫は今もあるのですか。
  271. 内藤信行

    内藤証人 あります。
  272. 横田甚太郎

    ○横田委員 あるとするならば、倉庫であつたもので、住宅が少いために、倉庫が住宅にかわつたところがあるでしよう。
  273. 内藤信行

    内藤証人 卸関係の倉庫ですか。
  274. 横田甚太郎

    ○横田委員 炭を積む倉庫です。保管料のとれる家です——。あなたの言われるのは三箇所なんですよ。そこには大体どのくらいの炭が入りますか——もつと倉庫があつたはずなんです。その倉庫のうちで借家にかわつたのがある、倉庫であつて人が入れるように改築したところがあるでしよう。
  275. 内藤信行

    内藤証人 それはちよつとわかりません。
  276. 横田甚太郎

    ○横田委員 何も知らないのですね。あんたはいつごろからの所長さんですか。
  277. 内藤信行

    内藤証人 倉庫が住宅にかわつたというのは、卸が持つておる倉庫が住宅にかわつたというのですか。
  278. 横田甚太郎

    ○横田委員 卸が持つておろうとだれが持つておろうと、木炭事務所が監督しておる炭を消費者に渡すまで預けておくところの家です。
  279. 内藤信行

    内藤証人 それが住宅にかわつたというのですか。
  280. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうです——。なかつたらないでよいのです。
  281. 内藤信行

    内藤証人 いや、わからないのです、実際のところ。
  282. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたはいついつかに炭がなんぼあるということがわかつていなければならない。そうしないと東京の町の大衆が炭をくれくれとやかましく言う。そのときにこの倉庫があいておるから、山元のたくさんある炭をこつちへ運んで来るというようなことができないではないですか。それがあなたの仕事ではないのですか。
  283. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  284. 横田甚太郎

    ○横田委員 倉庫を知らないと何もできないでしよう。あなたはあんまりひどいですよ。
  285. 内藤信行

    内藤証人 私は知りませんが、調査はしてあるわけです。
  286. 横田甚太郎

    ○横田委員 どこにしてあるのですか。
  287. 篠田弘作

    篠田委員長 何か資料を持つて来ておりませんか。
  288. 内藤信行

    内藤証人 事務所にあるのです。倉庫はすつかり調査してあるのですが、自分はそういうのは実際はわからないのです。
  289. 横田甚太郎

    ○横田委員 その資料はくれますか。
  290. 内藤信行

    内藤証人 お上げしてもよいと思います。
  291. 横田甚太郎

    ○横田委員 問題は野積みにしておきながら、普通の倉庫に入れてあるところの炭と同じような保管料をとつておるというのが、東京木炭事務所に対するわれわれの下平の一つでもあるのです。なぜかと申しますと、あなたが言われるように、野積みにしたものと、屋根のある倉庫に入れておるものと、保管料をプールにしてやると言つておりますが、その結果非常に弊害が出ておるのではないのですか。一例を上げますと、池袋におきましては、三千八百十七万俵の炭があつた。これは二十五年の春ごろです。これは今年の農林委員会でも問題にしたのです。そういたしまして、この炭が当時の原価にいたしまして三千八百万円あつた。ところが保管料を十日一期で拂つているうち、だんだん炭の値段が下つてしまうた。倉庫の炭も惡くなつて行くばかり、保管料はかさんで行くばかり、そしてそれを売つた場合には千五百万円くらいしか金がとれなかつた。だから私は倉庫の性質をはつきりと聞いておるのです。こういうようなところに千五百万円なら千五百万円、あるいはそれ以上の二千三百万円なら二千三百万円の赤字が出ている原因があるのです。それで五十四億七千万円に対する赤字の一端としての説明がつくのです。
  292. 内藤信行

    内藤証人 それでは東京燃料株式会社の備蓄のことを御説明申し上げますが、これは特別事情にあるものでありまして、実は二十三年度年度末に船で北海道釧路、あるいは秋田、山形の方から運ばれたものを芝浦の豊須というところに備蓄しておつたわけであります。それを実際に東京燃料で運んだのは五月の二十日時分です。実は年度末に、卸の方としても金繰りの関係で実際に品物は引取れなかつたのですが、東京燃料としてはあのとき一月から三月の末まで十三億の收入割当を受けたわけです。それで卸の方にひとつ協力してもらいたいということで、あのとき東京燃料としても年度末に銀行から六千万円くらいの融資を受けて、それで薪炭代金を拂つたような関係にある。それで金はもらつているが、実際に品物を引取つたのは五月の二十日時分であります。そういうものをあそこの池袋の倉庫の横のあき地に積んだわけです。それで品物釧路、秋田方面から来たものですが、それが東京に着いたのは二十三年の八月時分なんです。あの当時としてはまだそういつたものの入荷も、貨車関係がきゆうくつで、正月前の一俵配給もどうかというふうに危ぶまれていた当時ですから、とにかく来たものは備蓄しようということで備蓄していたのです。そういう関係で露天なものですから、見かけはいいのですが、運ぶとなれば乱俵になるわけです。それで池袋に持つて来たのですが、これが何俵になつたか。それからなおあそこに持つて来た保管の品物登録店に渡したわけです。ところが登録店としてもなかなか売れないので、いいものから売つて惡いものはあとまわしにするというような関係でまだ持つている。しかも代金はくれない、代金のかわりに現物を引取れといつたようなことで、一応登録店に持つてつたものをまた引取つて、池袋へ積んだというようなことで、あちこち持つて歩いた関係から、あそこに積んだときには実際の量目より非常に不足になつていたと思うのです。そういう惡いもので、ああいうふうに積んで乱俵になつたものはどれでもそういうふうになつたかというと、そうではなしに、東京における備蓄の特殊事情によるものであつて、ほかのものはああいうことはありません。
  293. 篠田弘作

    篠田委員長 横田君に申し上げますが、あとにまだ一人ずいぶん待たした証人がおりますから、ひとつ簡單に切り上げてください。
  294. 横田甚太郎

    ○横田委員 簡單にやります。証人は、私の知りたいようなかんじんなことには非常に不親切であつて、知りたくないことにはくどくど言つております。簡單に伺いますが、この炭なるものは、昭和二十三年八月ごろそこに入つて来て、そうしてあなた方の手に渡つて、それから二十四年の春までこれがあなたたちの手元にあつた。これはあなたたちの意思でやられた。東京木炭事務所の意思でやられた。こういう趣旨ですね。
  295. 内藤信行

    内藤証人 いや、それは意思じやありません。こういうものは一日も早く消費者に渡したいという希望を持つていたわけです。それで惡くならないうちに、一日も早く消費者を喜ばせたいという気持を持つていたわけです。ところが二十三年の当初、つまり十月時分までは正月前の一俵配給を目標にして備蓄をやつていたわけです。それは消費者に正月前の木炭を一俵配給したいという気持で一生懸命に考えてやつた仕事なんです。ところで十月時分から貨車輸送力が非常に増強するし、それから山地の暖冬異変の関係で、東京関係への生産地生産がはけるし、トン数もきくというような関係で、えらく出まわつて来たわけです。それが一度に東京に入つた関係で、その入つたものを消費者に渡すのに精一ぱいであつて、前に備蓄したものはあとまわしになつたという関係にあります。
  296. 横田甚太郎

    ○横田委員 あと簡單に三つ伺いますが、そのうちの二つは資料要求です。あと一つ簡單に答えてもらつたらいい。倉庫の数もはつきりわからないようなあなたでしたら、おそらくどの倉庫に何俵積んであつて、そうして保管料をどのくらい拂つたのかということもわからないだろうと思いますが、お帰りになつたらわかるはずですね。
  297. 内藤信行

    内藤証人 それはわかります。
  298. 横田甚太郎

    ○横田委員 ではそれをあとでくださいね。それが一つ。さつきのとで二つ。  それからいま一つは、現物把握のただ一つの方法としてはたなおろしだけしかないのです。それを何回やられたかというやつ。それで何回やられて、場所はどこであつて、それから人夫を何ぼお使いになつて金額をどのくらいそのたなおろしにお使いになつたか。この二つです。
  299. 内藤信行

    内藤証人 たなおろしといいますと……。
  300. 横田甚太郎

    ○横田委員 現物を把握するために検査するでしよう。
  301. 篠田弘作

    篠田委員長 一俵々々当つて検査する……。
  302. 内藤信行

    内藤証人 それは備蓄のものですか。
  303. 横田甚太郎

    ○横田委員 そのたなおろしは、備蓄とか何とかいうのではなくて、その当時は現物があるから、その現物に対してあなたたちが何俵あるかということを見て行くわけです。
  304. 内藤信行

    内藤証人 わかつております。
  305. 篠田弘作

    篠田委員長 それは結局昭和十五年から一回もやらぬということでしよう。
  306. 内藤信行

    内藤証人 まあそういうことですな。
  307. 横田甚太郎

    ○横田委員 答えてくれるのでしよう。
  308. 内藤信行

    内藤証人 いや、昭和十五年以来、今お話になりましたように実際たなおろしというものはやつていないのです。
  309. 横田甚太郎

    ○横田委員 それじや助け船で、やらないから資料は出せない、こういう意味ですね。
  310. 内藤信行

    内藤証人 ほんとうにやれなかつたんです。
  311. 横田甚太郎

    ○横田委員 やれなかつたら現物把握ができない。  それから最後に、昭和二十一年あるいは二十二年に輸送が非常にうまく行かなかつた当時、その当時に四万二千俵、これは内藤さんがちよつと言われたと思うが、炭が東京に入つて来て受取らなかつた、こういう問題があつた。それで東京の墨田の警察署でこの事件が上つているんです。その書類を千葉県の佐原署に送つたのです。だから調べなくちやならぬと言つているにもかかわらず、千葉県の佐原署においては、そんな書類を知らぬと言つておる。こういう事実があつたかなかつたか。この事件はあなたたちに関係があつたかなかつたか。
  312. 内藤信行

    内藤証人 昭和二十一年か二十二年ごろですか。佐原署ですね、覚えありません。
  313. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたそのときは所長だつたですね。
  314. 内藤信行

    内藤証人 自分のやつたのは二十一年の十一月からです。
  315. 横田甚太郎

    ○横田委員 二十一年の十一月、それではあなた関係あるはずだ。あなたの性は善なのかわからぬが、国会に証人として呼ばれておあわてになつておるから、ひとつお帰りになつて書類ではつきり返事してもらいたい。あつたかなかつたか。要は昭和二十一年から二十二年にかけて、東京の墨田の警察署において、四万二千俵の炭が上つているのです。上つたから書類ができますね。この書類をその炭が来たと言われている千葉県の佐原署に送つたところが、佐原署では、調べなくてはならないにもかかわらず、そんな書類は知らぬというのですが、こんな事件があつたかなかつたか。
  316. 内藤信行

    内藤証人 それでは調べてみます。
  317. 田渕光一

    ○田渕委員 ようやく二十一年十一月からやられたということがわかつたのですが、二十一年はともかくとして、所長としてあなたは一体給料はどのくらいとつておられたのですか。
  318. 内藤信行

    内藤証人 一万六千円くらいであります。
  319. 田渕光一

    ○田渕委員 東京木炭事務所にあなたの部下がどのくらいおられましたか。
  320. 内藤信行

    内藤証人 成規の事務官、技官、雇負が盛りのときには六十人ばかりおりました。それからそのほかに臨時の職員が四十人ばかりおりました。
  321. 田渕光一

    ○田渕委員 大体百名ですね。
  322. 内藤信行

    内藤証人 盛りのときには百五名おりました。
  323. 田渕光一

    ○田渕委員 そこであなたが二十一年の十一月から就任されて、東京事務所でこれだけの赤字を出したという総額はわかりませんか。
  324. 内藤信行

    内藤証人 東京事務所としての赤字というものは、ちよつと私どもには見当がつきません。
  325. 田渕光一

    ○田渕委員 大体でも覚えておりませんか。
  326. 内藤信行

    内藤証人 赤字ちよつとわかりません。
  327. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで先ほど横田委員の言われた備蓄の問題ですが、たとえばプール計算で七十銭としても、十日切りかえで一箇月で二円、五箇月で十円ですね。それが池袋で十七万九千として、百八十万円の保管料を拂つてつた。百八十万円の保管料を拂つて、三千八百万円もするものが千五百万円にしか売れなかつた。それは減耗、だとか、多少盗難もあつたことだろうと思いますが、少くとも百八十万円の保管料を拂いながら、この三千八百万円というものがただの半値にしか売れなかつた。もちろん先ほど惡い炭もあつたというお話でありましたが、惡い炭を受取つたということに対して、あなたは責任を感じませんか。
  328. 内藤信行

    内藤証人 当初東京に入つたものにつきましては、もちろん量目の点においては不足であつたけれども、まああり当時としては、これでもけつこうだというようなことにせざるを得ないよりなものだつた。それが長い月日備蓄生して来た関係で、惡い品物になつたということであります。
  329. 田渕光一

    ○田渕委員 どうも証人は、当時の社費情勢、経済情勢、あるいはその他のことにみなかぶせておりまするけれども、二十三年の末ごろには相当炭があつたわけであります。二十三年には八月十五日に登録制に入つているのですから、客観情勢はそれほど惡いものを受入れなくてもいい情勢にあつたと思う。
  330. 内藤信行

    内藤証人 それではちよつとお答えいたします。実際に輸送が円滑になりましたのは、二十三年の十一月からでございました。それまではやはり進駐軍の工事の関係で、東京に入る方面貨車事情が非常に惡かつた。それで二十二年の暮れも、先ほどもお話したように、大栄丸を使つて、約四貫に換算して十万俵のものを釧路から緊急輸送しなければならないような事情にあつたわけで、二十三年はまた二十二年りようなことを繰返さないようにしようということで、四月から……。
  331. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。そこで現地の木炭事務所で発送伝票で炭をあなたの方に送つて来る。そうすると着駅では、日通とあなたの事務所の荷さばき人——あなたの事務所の百五名のうちの何名かの荷さばき人、それに卸業者が加わつて、三者立会いで受取つているのですね。
  332. 内藤信行

    内藤証人 そうです。
  333. 田渕光一

    ○田渕委員 炭はそういうぐあいで受取つたが、まきも腐つたものをそういうふうに受取つたのですか。
  334. 内藤信行

    内藤証人 やはりとるのです。
  335. 田渕光一

    ○田渕委員 そういう腐つたものを受取つただけで、輸送費だけでももつたいないではないか、現地になぜこういうものを送つて来るかという処置を、そのときあなたはされましたか。
  336. 内藤信行

    内藤証人 始終やつております。
  337. 田渕光一

    ○田渕委員 やつていて、その結果はどうなつております。
  338. 内藤信行

    内藤証人 やはり産地には……。
  339. 田渕光一

    ○田渕委員 産地のことはかまわぬでよろしい。あなたがそういうことをやつた結果どうなんですか。
  340. 内藤信行

    内藤証人 そういうことにつきましては、東京事務所としましては、常に産地事務所連絡をとりました。そういつたものは困る、そういうものは産地で処分してくれというふうに始終連絡をとつているわけですが、産地事務所は県に一つしかない。ところが発駅は何十とある……。
  341. 田渕光一

    ○田渕委員 産地事情はよろしい。あなたのした結果はそれでどうなつたのですか。産地の不届きなのは言わぬでもよろしい。
  342. 篠田弘作

    篠田委員長 ちよつと証人に申し上げますが、その事情はもうみんな聞く委員はわかつているのです。当時の貨車まわりが惡くて、産地で送つたまきを腐るまで受取れなかつたという事情はわかつている。ところがあなたが産地事務所に抗議を申込んで、その結果が効果があつたかどうかということを言えばよろしい。結局効果はなかつたのでしよう。
  343. 内藤信行

    内藤証人 実際はなかつたのです。
  344. 篠田弘作

    篠田委員長 だからそれだけでいいのです。
  345. 田渕光一

    ○田渕委員 効果がなかつたということは、あなたの責任を遂行していないことでしよう。結局こういうものを今後送つて来たら受取らぬぞというきつい達しをやれば、こんなものは送つて来ない。そこでいずれにしても、あなたは一万六千円ももらつているりつぱな人だ。元はとにかく営林局におられ、前林野庁薪炭課におられて、少くとも日本の主要都市——あなたがさつき言われた政治の中心地で、うるさい代議士もいる。そういうところの木炭事務所長として、あなたに相当の責任を委託し、あなたの手腕を認めて、林野庁薪炭課長はあなたをこの東京の木炭事務所長にすえたと思うのですが、さつきから聞いていると、あなたはひとつも責任感が現われていない。あなたは木炭事務所長として、五十四億七千万円というような赤字を出したその一方の責任がある。産地木炭事務所も惡いが、受ける方も惡い。もしあなたが自分家庭で受けるならば、そういう腐つたまきは受取りますまい。野放しにして半年もほうつておいて、何百万円という保管料を拂わないでしよう。相手は日の丸で、じつとしていても月給をもらえるのだといういわゆる官僚精神、一面われわれは調べているが、関連した職務上の責任をどういうふうにお考えになりますか。
  346. 篠田弘作

    篠田委員長 証人に申し上げますが、証人はほかのことを考える必要はありませんから、あなたがそれを拒否し得る立場にあつたかなかつたか、実際当時の立場として拒否できなかつた、また拒否してみてもどうにもならなかつたという、当時の配給状態、あるいはまた機構がそういうふうになつてつたということをはつきり言つて、そうして田淵委員質問に答えなさい。
  347. 内藤信行

    内藤証人 いろいろおしかりを受けて……。
  348. 田渕光一

    ○田渕委員 あたりまえですよ。一万六千円もとつていて、だらしがない。
  349. 内藤信行

    内藤証人 その当時としましては、自分としてできるだけのベストを盡して来たつもりなんです。それで自分としてできるだけの手段を講じたつもりでおります。
  350. 田渕光一

    ○田渕委員 そこであなたは、その責任をどう考えておりますか。相済まぬと思つておりますか。どうですか。不可抗力で仕方がなかつたと思いますか。自分らの及ばぬところがあつたと反省されておるか、その心証を伺いたい。
  351. 篠田弘作

    篠田委員長 率直に言いなさい。済まないと思うけどやむを得なかつた。そう言えばいいんだ。田淵君どうですか。そのことは何べん聞いてみても同じなんだ。田淵君にも申し上げますが、この質問は同じ質問がずいぶん繰返されておるのです。あとにもう一人証人がいるのですから……。大体結論はもう見えておると思いますから、適当に……。
  352. 田渕光一

    ○田渕委員 どうです。言えませんか。惡いとかいいとかということが……。
  353. 内藤信行

    内藤証人 実際自分らとして足りなかつた点はあるのです。だけども自分としてはとにかくできるだけのことをやつたつもりでおります。
  354. 田渕光一

    ○田渕委員 結論を言いましよう。あたは自分としてはベストを盡したと言うが、われわれは現地に行つて、大阪にも名古屋にも行つて調べて参りましたが、あなたより以下の人が、総額はこれこれである、こういう結果であると明瞭に答えております。あなたもこのぐらいのことは知つておらなければならぬ。それをことごとく知らぬ存ぜぬわからぬの一点張りです。そこで私はこれで打切ります。よろしゆうございます。
  355. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 今の質問に関連してちよつと証人に伺いますが、田淵委員の御質問に対しまして、産地から需要地に送つて来る薪炭にいたしましても、数の不足とか、目方の不足とかいうことに対しまして、さらに知らぬといつたようなあなたの御証言であつたわけです。実際は、私長野県ですが、ちやんと丸通から送つて参りまして、こちらでもつて炭俵なら炭俵、空俵なら空俵で受取つて、そうして百俵足りないとか、あるいはまきが百束足りないとして、駅長証明で現地の方に送りますね。そういうことはあるのですかないのですか。足りないのを発送した現地の駅から、たとえば長野県の小諸なら小諸から秋葉原の駅に……。
  356. 内藤信行

    内藤証人 やはりそういうように実際に足りない場合には、駅長証明ではつきり通知をするわけです。
  357. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 あるのですか。そうしますと、腐つたまき幾らとか、あるいは目方の足りない炭が何俵あつたとか、あるいは数において何俵少かつたということを駅長証明で送る。そうすると、結局あなたの方で、需要者側の木炭事務所には損失がない勘定になるのではないですか。
  358. 内藤信行

    内藤証人 それはそうです。
  359. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 現地の発送者、いわゆる生産者あるいは産地木炭事務所がその責任を負うことになるのでしようか。
  360. 内藤信行

    内藤証人 そうですね。
  361. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 そうすると、皆さんの東京事務所の方では、さらに責任を負わないことになりますね。田淵さんの質問に答えたのでは、どうもその辺のことがわからないような、ちよつとあいまいなように聞いたのですが、産地の方が責任を負つて、需要地の皆さんの方では責任を負おないことになる。そういう必要がないことになりますね。需要地の方では損失はないことになりますね。
  362. 内藤信行

    内藤証人 そういうことになります。
  363. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それを秋葉原の宅地を借りて積んで置くとか、倉庫に積んで置くかしますよ。それは駅の方になりますね。それから初めの束を出した。その残がいわゆるたなおろし勘定になるわけですね。そういうものをやつておらぬのですか。証人でなくも、やはり官吏、公務員でもそういうことをやるのじやないですか。
  364. 内藤信行

    内藤証人 拂出しをするときに、たなおろしをするということになります。
  365. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 そうすると、始終帳簿の残がそこに出て来ているでしよう。年度末なら年度末に何俵あつたという……。
  366. 内藤信行

    内藤証人 拂出しをするときに帳簿にみな記入するのです。
  367. 篠田弘作

    篠田委員長 証人に言うけれども、帳簿じりの残は出ておるけれども、たなおろしをした残ではないでしよう。たなおろしということは、一俵ずつ当つて見てのたなおろしなんで、そんなことを一々排出すたびにやらない。帳簿上の残は出ているけれども、たなおろしをすれば実際上の残と帳簿上の残とが合うか合わぬかということを聞いておるのです。
  368. 内藤信行

    内藤証人 それはやらなかつたですね。
  369. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 帳簿上のたなおろしはできておらない。現物と帳簿と引合したことはない……。
  370. 内藤信行

    内藤証人 今度特別会計から手を引きましてから……。
  371. 篠田弘作

    篠田委員長 それは清算だから当然やるんですよ。——内藤証人に対する尋問はこれで打切ります。御苦労さんでした。お帰りください。     —————————————
  372. 篠田弘作

    篠田委員長 林野庁薪炭課長濱田さんですね。
  373. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  374. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたは今の薪炭課長になられる前は何をやつておりましたか。
  375. 濱田正

    濱田証人 同じ林野庁の企画課長をやつておりました。
  376. 篠田弘作

    篠田委員長 その前は。
  377. 濱田正

    濱田証人 同じく林野庁の経理課長をやつておりました。
  378. 篠田弘作

    篠田委員長 その前は。
  379. 濱田正

    濱田証人 その前は兵隊に行つておりました。
  380. 篠田弘作

    篠田委員長 薪炭特別会計業務開始以来政府薪炭の買入れ、売渡しの数量金額、売上総益、諸経費及び損益、そういうものについて、資料を見てもよろしいですから、御説明願います。
  381. 濱田正

    濱田証人 昭和十五年に特別会計が始まりまして、二十四年八月一日にストツプしたわけでありますが、それまでの間の仕入れといいますか、買上げの数量金額をラウンドで申し上げますと、大体木炭が一千万トン、まきが九千三百万石、ガスまき、これは統制がずつとあとになりましたから、六十四万トン、こういうわけで、買入れの総金額が約三百十一億、それからそれを売りまして、売上げの総額が四百三十億、そうしますと、約百二十億というのが売上げの利益であります。ところがこれは買つたつただけの話でありまして、経費は当然かかります。この経費が百七十五億かかつております。そこで売上げの方と経費の方とを見て行きますと、売上げはただ買つたつただけではなくて、さらに雑收入——弁償金とか何とかいう雑收入もありますし、また一般会計からの繰入れもありますから、それを総計しますと、ラウンドで申し上げますと約百八十一億です。それに対して経費が百七十五億、そうしますと利益として五億九千万円という利益になります。利益と申しますと、赤字原因を探求しておられますところに利益が出たというのはおかしいのですが、これは会計上は一般会計から繰入れになると、特別会計の側としては收入ということにたりますから、そういう五億九千万円の利益ということになるのです。従つて、ここで一般会計から繰入れがなかつたと一応考えますと、五十四億七千万円というものが前々国会において認められた。そこで今も申し上げましたように、利益が五億九千万出たと言いますと、それを差引きますと、特別会計の赤として考えられますのが四十八億七千万円、こういうことであります。
  382. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、その期間の中における亡失数量金額及びおもな亡失の理由というものはどういうところにありますか。
  383. 濱田正

    濱田証人 亡失しました数量が、木炭で今取扱い数量を申し上げましたが、約一千万トンのうち十七万トン、全数量の約一・五%です。それからまきが九千三百万石の取扱いの中で、亡失が二百三十五万石、比率で行きますと二・五%、それからガスまきがただいま言いました六十四万トンの取扱いで一万三千トン、〇・二%、金額で行きますと十二億という金額であります。まだ原因別に整理しておりませんが、大体考えられることは、一番大きい数字は、例の戰災で亡失したものが一番大きい。その次が例年のごとく日本を襲う台風でやられたのがまずその次。その他が保管中に盗難にかかつたとか、燃えたとかいうをのと考えてさしつかえないと思います。
  384. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、戰争中に焼かれたのが一番大きな原因、こういうわけですか。
  385. 濱田正

    濱田証人 亡失の中にはそれが一番大きな数字を占めております。
  386. 篠田弘作

    篠田委員長 それは何%くらいありますか。
  387. 濱田正

    濱田証人 調べてみればわかりますが、今ここでは数字としては持つておりません。
  388. 篠田弘作

    篠田委員長 それではそのいわゆる戰災でもつて焼けた数字と台風でなくなつたもの、そういう数字は調べればわかりますね。
  389. 濱田正

    濱田証人 調べればわかります。
  390. 篠田弘作

    篠田委員長 それをひとつ委員会へ提出してください。  それから政府手持の薪炭の処理についてお伺いしたいのですが、まず第一に、昭和二十四年七月末日における帳簿上の手持薪炭数量及び金額
  391. 濱田正

    濱田証人 七月末の手持が木炭が三十三万トン、まきが約四百万石、それからガスまきが六万二千トンであります。金額で評価いたしますと四十三億であります。
  392. 篠田弘作

    篠田委員長 その売渡し数量金額、値引き損失額、値引率及び値引きの理由について申してください。
  393. 濱田正

    濱田証人 先ほど言いました数字は、これは帳簿上の数字でありますから、売り渡すとなると現物で行かなくてはならない。その売渡しの数字は、前回の考査委員会でも申し上げたのですが、木炭で約二十五万トン——前回の考査委員会で二十六万トンと申しましたのは訂正を願いまして、二十五万トンであります。それからまきが約二百万石、ガスまきが五万四千トン、これを公定価格に直しますと約三十三億五千万円、これを特別会計停止後売拂いにかかつたわけであります。そこで売り拂いました実績を申し上げますと、木炭について言いますれば、約二一%引き、こまかく言えば、二一・一%引きであります。まきについて申しますと三四%引き、ガスまきにつきまして申しますと一四・三%引き、これを金額によつて、総価格と総売拂い価格との割で行きますとこ三・四%引き、金額におきまして、三十三億五千万円を二十五億七千万円で売つた。約八億ばかりここで売り拂いにおける損が立つたというわけであります。最後に委員長のおつしやいました値引きの理由でありますが、これは瀬戸物屋の店じまいのように、だんだんよいものは売れてしまつて、残つたものは形のまがつたものとか、ふちのこわれたものとかいうように、薪炭も同じくいいものは、だんだん売れて、結局店ざらいということになると、残つたものは売れなくなる。ここに内容的に低下しているものがあるということであり、また他方こういう事情があつたのであります。特別会計がとまる。その時分は需給が相当緩和して来た。緩和して来たということは、物が出まわつて来たということを意味するわけです。そこで特別会計としては、独占会計機関ですから、公定価格というものがある。その公定価格で物が出まわつて来ても買つておる。つまり出まわつて来たら安くする、出まわらなかつたら高くするという芸当はなかなかできにくいわけです。そこで公定価格で買つておるということは、これを逆に言えば、価格をてこ入れしておる。こういう状況が考えられるわけです。そこでそれがやまるということになると、現実に値段が下りました。特別会計がやまるというと、たしか百二十六円ぐらいで買つてつたのが、百円、ひどいところになると八十円ぐらいに下りました。ほんとうにそういう事情もからみ合いまして、値引きをしないと売れなかつた、こういうわけであります。
  394. 篠田弘作

    篠田委員長 値引の理由はよくわかります。もう一ぺん数字を尋ねますけれども、昭和二十四年七月末における帳簿上の価格は、あなたがさつき言つたように、木炭が三十三万トン、まきが四百万石、あるいはガスまきが六万二千トンで、その価格が四十二億円であるということは間違いないですか。
  395. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  396. 篠田弘作

    篠田委員長 ところが、それを今度は値引きして、売渡した価格は結局三十三億に売つたのじやないですか。
  397. 濱田正

    濱田証人 そこでもつと御説明申し上げる方がいいと思いますが、この前の前国会から非常にやかましかつたのですが、いわゆる現物不足という問題がこれにからまつているわけです。帳簿上はあるが現物はないじやないか、こういう問題がからまつているわけです。今の差額は現物不足という問題なんです。だからこれを追究してたたき出して来るという問題をこれに合せて申し上げぬと、ぴたつと来ないわけなんです。
  398. 篠田弘作

    篠田委員長 言つてください。
  399. 濱田正

    濱田証人 今度はその現物不足を申し上げますと、木炭が七万七千トンというものが現物不足になつておる。その原因別については国会に報告してあります。それからまきが約百九十数万石というものが現物不足になつておる。ガスまきは八千七百二十トンというものが現物不足になつておる。だから先ほど委員長に申し上げました四十三億といいますのは、この現物不足の分も一応帳簿に上つておるものですから、あることにして評価しての話です。ですからそれを差引いた三十三億というものが、あるものの話です。それを売つたのが二十五億、かように考えていただけば……。
  400. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。それでは薪炭特別会計に関する政府の債権債務は一体どうなつておるか。その回收方策及び回收見込額はどのくらいになりますか。
  401. 濱田正

    濱田証人 まず簡單な政府が拂うべきもの、債務の方から申し上げますと、これは五十四億七千万円というものを前々国会において承認されました。それであらかた支拂いは完了しましたわけです。
  402. 篠田弘作

    篠田委員長 これの支拂いはどこへ……。生産者に……。
  403. 濱田正

    濱田証人 生産者なり輸送業者なりです。しかしその後まただんだん整理を進行しますれば、債務が確定して来るものも出て来まして、二十三年度末では、われわれは約二億と想定したわけです。二億と想定したというのは変な話でありますが、これは最後の店じまいでありまして、薪炭会計の方もだんだんと整理して行くと同時に、相手方の会社の方もこの債権——債権といいますか、はつきりと帳簿を整理してみますと、拂うべきものでまだ残つてつたというものも出て来ますし、それからだんだん調べれば、取り過ぎておつた従つて拂いもどさねばならぬものも出て来る、こういうものもありますから、まだ確定しない分も入れて、二億あれば債務の完済はこれでできる、かように考えています。それから今度は債権の方です。債権の方は、これは会計の相手方は卸売業者、それから集荷業者、生産者の団体、それから日通、機帆船、閉鎖機関、それから会社にこれを売つたような、そういうものがありまして、総計約十四億、そのうち約八割程度の十一億ぐらいが三月末における卸売業者に対する債権であります。  それから次の御質問の債権確保の方法、これがなかなかの難物でありまして、われわれ担当者としましては、三段構えでやつておるわけなんです。われわれの当然の義務としまして、これを取りはぐれがあつたら困る。とことんまでとつて行くということが目的でなければならぬ。そこで三段構えと申しましても、まず第一には抵当物件を入れるということはやつてもらはなければいかぬ。それから次は個人保証をしてもらわねばいかぬ。それからそれでもまだあぶないということになれば、たとえば卸小売に売つて、まだ小売から入つていないものがある。ところが小売をさらに政府としては抱き込んでおかなければならぬ。つまり政府、それから卸小売、こういうふうに抱き込んでおかなければならぬ。この三段構えをもちまして、民事訴訟法の手続によりまして、即決和解という方法があります。その即決和解で債権額をぱつと確定しまして、これをいついつまでに拂う、その債務を確保するために、今の個人保証を入れて抵当権を入れる。小売からの保証を入れる。そうして裁判所に持つて行つて即決和解をやる、こうやつて今やつておりますが、これがなかなか難物であります。今までそういうふうにして即決和解をやりましたのが五百二十四件ありまして、あとつておるのが四十七件であります。五百七十一件というのが全部であります。それで件数から行きますれば、大体八割は済んだ……。
  404. 篠田弘作

    篠田委員長 残り四十七件……。
  405. 濱田正

    濱田証人 残り四十七件、約二割これからやらなくてはならぬ。しかもこの四十七件というのは、主たる債務者が四十七軒であります。だからこれを三段構えの手で、第三者というか、小売まで抱き込んで行きますと、莫大な数字に上つて来る。しかも残つておるのがなかなか難物であります。
  406. 篠田弘作

    篠田委員長 そこでちよつとお聞きしますが、この三段構えで抵当、個人保証、小売業者の抱き込みという方法は、当然債権者としてとらなければならぬ立場です。ところが実際の卸売商の側から見て行きますと、卸売商の中にも非常にずるい者と正直なものとがある。ずるいやつはもうほとんど債務というものを履行しないで、たとえば会社つた場合は、会社を解散するということにしてしまう。責任をのがれておる。ところが個人の場合のあるものは、ぼくの知つている人にもそういう人があるけれども、家から財産から全部銀行に抵当に入れて、金を借りて拂つて、何もなくして、その上にまだ今度は責められている。その上に、心配して病気になつてしまつた。そういう人もいるわけです。こういうような問題について、一体どういうふうな取扱い方をあなた方は考えておるか。そのずるい者とずるくない者との債権の取立てについて、同じように三段構えで行こうとしておるのかどうか。
  407. 濱田正

    濱田証人 委員長の先ほど指摘せられました点は、まさにそういう点があります。これは個人保証を入れなければならぬという法律があるわけでもなし、抵当権を設けねばならぬという條項もないので、極端に言いますれば、正直者が出して正直でない者がずるく構えておるということはあります。ありますが、われわれとしては、これはもちろんあくまでもこういう三段構えが完成するように努力いたします。そうして委員長の指摘される通りに、そういうふうにずるく構えてなかなか応ぜぬというふうなものは、これは差押えの手で、一応財産を封印してしまうという手しかそこに手はありません。それでこれは今申し上げなかつたのですが、差押えをやつておるのが五十何件でしたか——五十数件差押えをやつております。これがふしぎなことに、差押えをし仮査察をやりますと、一応何といいますか、営業がとまるような状況になります。そうしますと、変な言い方をすれば、そこで昔を上げて来る。音を上げて来たところで、こちらから條件を出して和解に持つて行く。こういうやり方で、できるだけ三段構えのわくの中に入れ込んで行きたい、かように考えております。
  408. 篠田弘作

    篠田委員長 そこでもう一つお尋ねしますが、この卸売業者に対する場合は、卸売業者は小売業者に渡したくないと思つたときでも、小売業者から請求があつた場合には渡さなければならないような、あるいは政府が、木炭事務所が先渡してしまうような状態はなかつたのですか。
  409. 濱田正

    濱田証人 そういう状態はあります。これは例の安本の指定生殖資材割当規則ですか、あれは統制機構は、切符を持つて来れば、正当な理由なくして拒絶することを得ずというふうな規定の建前になつておりまして、政府から流れたものは、最後のところは切符でマツチするというので、卸なら卸から見れば、あの小売はいささか怪しいからほんとうは渡したくない。小売から見れば、われわれは正当な購入割当をもらつておるのだから渡してもらわぬと困る。こういうふうなことになりまして、規則としては、正当なる理由なくしては拒むことを得ずで、正当なる理由とは何ぞやということははつきりしてありませんから、その点はあります。逆に今度はさかのぼつて政府と卸売業と考えますならば、あの卸売はいささかどうもおかしい、おかしいが政府としては……。
  410. 篠田弘作

    篠田委員長 いや、政府と卸売の関係はいいです。  それで今あなたが説明されたように、切符があるということになれば、正当なる理由がなければ拒むことができないということで、卸売業者が自分の意思で拒み得なかつた。あるいはまた木炭事務所から卸売業者にそれが渡されておつた。しかるに今自由販売になつてしまつたから、今度は小売業者の方から言えば、前の債権債務を履行するよりも、新しい方で買いつけた方がいいというので、卸売業者に金を拂わない。実際は卸化業者の過失でもなければ、意思でもなくて、非常に多額の債務を負わされたという事情はありませんか。
  411. 濱田正

    濱田証人 そこのところはデリケートな問題でありまして、卸売業者がもらうのでなかつたという点は、そうであつたか、そうでなかつたか、今となれば、その点ははつきりわかりませんが、そういうことはあの規則の建前から見ればあり得ただろうということは言えます。それはどの程度、どれについてあつたかということは、限界がつきませんです。
  412. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。個別的に言う必要はありません。  それからもう一つ実際問題として、配給割当が終つておるにもかかわらず、木炭事務所から卸売業者に対して、荷物をどんどん送るということはありませんか。
  413. 濱田正

    濱田証人 今の御質問は趣旨がはつきりわかりませんが、配給の割当が……。
  414. 篠田弘作

    篠田委員長 たとえば去年なら去年の三月でかりに終つておる。配給割当というものは、その期間が終つておるにもかかわらず、その後において木炭事務所が卸売業者に対して荷物を送つておるというようなことはありませんか。
  415. 濱田正

    濱田証人 それは取扱いの方法なんですが、配給割当があつて、荷物が来るというふうに段取りよく行きません。荷物が来て、あとから配給割当が来るということがあり、配給割当が先に行つてあとから荷物が行くということがありますから、その点は割当が終つてから渡つたということも……。
  416. 篠田弘作

    篠田委員長 期間的には、法律上はなくなつておるにもかかわらず、実際に荷物がどんどん卸売業者に行つておる。そういうことはあるでしよう。
  417. 濱田正

    濱田証人 それはあります。登録制の比率によつてつておりますから、あります。
  418. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。本特別会計の赤字としてさきに提出された資料によると、昭和二十二年度赤字十四億六千余万円、昭和二十三年度赤字九億一千余万円、現物下足による損害が約十億円、昭和二十四年度以降業務停止による損失が約二十億円ということでありますが、現在までの整理の結果によりまして、これがどのようにかわつて来ておるか。また結局において赤字の見込額がどのくらいであるか。あなたは現在清算人になつておられるわけですか。
  419. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  420. 篠田弘作

    篠田委員長 それをひとつ説明していただきたい。
  421. 濱田正

    濱田証人 先ほど委員長が言われました数字を足しますと、約五十五億になるのです。五十五億というのは、当初私たちが前の国会の補正予算のときに出しました数字であります。これが最近の清算によりましてかわつて来ております。先ほど言いましたように、赤字が四十八億七千万円と言いましたのはその点であります。今の二十二年度の十四億六千余万円、これはかわりません。それから二十三年度の九億何がし、これはかわりません。かわつた点は、例の現物不足の十億、これをはたき出すというのがかわつて参ります。それからその次の二十億というのが清算の実行によつてかわります。  そこでどういうふうにかわつて来たかと申し上げますと、きようまでのところ、現物不足を追究いたしまして、約三億というものが政府の收入に立つようになつて来たというのがかわつた点であります。それからもう一つは例の値引損というものを、予算ではあの当時の事情からして、おそらく三割以上はかけなければいかぬだろう、こういうふうに想定しておりましたのが、先ほど言いましたように約八億の値引損というところで、十一億くらいと考えておつたのが八億で、約三億、この方の三億と現物下足をはたき出しで約三億をひつぱり出しまして、今の見込みでは四十八億何がしというところの総計であります。  それから最後の点の、結局の赤字はどうかという御質問でありますが、これはまだ清算中でありまして、さてどうなると断言するほどの勇気はありませんが、ここで一つ問題の点がある。先ほど五億九千何がしの利益がある、つまり五十四億入れてもらつたことにすれば、五億九千はまだ返せるという勘定になつておりますが、この勘定は先ほど言いました十四億何がしのいわゆる政府の債権を全部とつてしまうということが前提になるわけです。それで今言いましたように、三段構えでやつておりましても、抵当権をいざ実行してみたらそれだけの値打がなかつたということになりますれば、いわゆる焦げつきというものが不幸にして出ますれば、その分だけは今言いました四十八億何がしに、プラスXというものがひよつとしたら出て来るのではないかということが、危險な要素として考えられます。
  422. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたがさつき言われた帳簿上、政府の繰入金を入れるから五億九千万ほどプラスになるということは、結局今説明された現物不足によるところの損金の約十億の中から三億円がプラスになり、値引損の十一億から約三億円がプラスになる、そういうことを前提として、五億九千万円というものがプラスになる、黒字になるという説明ですか。
  423. 濱田正

    濱田証人 そういう前提ではございません、事実です、そこまでは。
  424. 篠田弘作

    篠田委員長 すると、五億九千万円の黒字は帳簿上に出たのですか。
  425. 濱田正

    濱田証人 それは三月末の決算——今進行中でありますが、決算でひつぱり出して見たわけであります。
  426. 篠田弘作

    篠田委員長 三月末の決算で五億九千万円の黒字になるという予想で、三月以降今清算に入つているわけですね。
  427. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  428. 篠田弘作

    篠田委員長 すると、結局帳簿じりは清算を現在している、現在でも黒字にはかわりないというお答えですか。
  429. 濱田正

    濱田証人 その点は、人件費がかかつて参ります。清算担当者の人件費がかかりますから、その点違つて参ります。
  430. 篠田弘作

    篠田委員長 どのくらいかかりますか。
  431. 濱田正

    濱田証人 年間約七千万円と見ております。二十六年三月までの予算としまして。
  432. 篠田弘作

    篠田委員長 そうしますと、大体、清算に入つて一生懸命努力しておるけれども、三月末の決算の五億九千万円以上のものを今出すということはなかなかできないという見込みですか。
  433. 濱田正

    濱田証人 ただ、さらに現物不足の追究を片方においてどこまではたいて行けるかということで、若干のプラスになつて来る要素があります。
  434. 篠田弘作

    篠田委員長 わかりました。それから昭和二十四年二月、三重県燃料株式会社薪炭代金として九百九十九万九千九百九十九円——ずいぶん九ばかり続いているが、これを支出し、同年の十一月にとりもどしておるが、この代金の支出及び回收のいきさつはどういうのですか。
  435. 濱田正

    濱田証人 支出の方と回收の方でありますが、支出のとき、私は薪炭課長でありませんでしたのですが、その後になりましてから、ちようどその後この問題は去年農林委員会でも問題になりまして、その事情をいろいろ聞き、また書類によつて検討しましたので、担当者ではありませんが、わかつておりますからお話いたします。  その前にあの当時の事情を一般的に申し上げる方がいいのではないかと思いますが、御承知のように、二十三年度末、つまり二十四年の初めころ、二十三年度の後半期ごろになりまして、だんだんと需給が緩和して参りました。需給が緩和して参りましたということは、産地の方ではオーバー・プロダクシヨンの傾向をとつて来た。逆に消費地の方では、購買力の減退とにらみ合せまして荷がさばけて行かないという事情になり、その反響を特別会計が受けて、資金繰りが困難になつて来た。言いかえれば、売る方は政府以外に売つてはならないと言われます。だから出て来たものは買わなければならぬ。ところが買うためには金がいるわけです。ところがこちらに持つて来て、きれいに売れれば金が回転するわけですが、双方の行詰まりによりまして資金が非常に困難になつて来た。そこでやむ方としましては、木炭事務所にはとにかく收入の奨励をやる。事務所に対して責任をもつて收入をあげろということを片方に言い、虫のいい話でありますが、片方においては買入れ制限という手を打つたわけです。何月は幾ら、何月は幾らという買入れ制限の手を打つた、こういうことであります。そういう事情のもとにおきまして、次に三重県の事情を申し上げますと、三重県についても同じく買入れのわくを與えてやつてつた。ところが御承知のように、どこもかしこも非常に生産が進行しまして、在庫が非常に多くなつて来た。買つてくれ、買つてくれということになります。ところで片方で收入をあげないでおいて買え買えと言つても困る。本省が收入割当をやつたものを百パーセント完遂することは困難なので、これをもつとうんと上げたならば、その点も考えられぬこともあるまいということで、当時の数字を見まして、二月におきまして一千万円の買入わくの追加をやつた、こういう事情にあるわけであります。同時に三重県は名古屋の市場を控えまして、あそこの木炭まきを充足するということは当然われわれも考えなければならぬ、あまりきゆうくつに締めて締めて締めまくつて、詰まつて来るということになつたら困るということも考えまして、二月に一千万円の追加をやつたのであります。
  436. 篠田弘作

    篠田委員長 三重県に一千万円の追加割当をやつたのですね。
  437. 濱田正

    濱田証人 ええ。それは三重県だけではありません。そういう事情のある所は少しずつ追加割当はもちろんやつております。それが支出の経過であります。それから回收の方でありますが、そういうふうにして特別会計がとまる直前の七月末まで買入れ制限で、政府側から見ればかつてやり方でありますが、買入れ制限で抵抗しておつた。ところが八月一日にとまつた。とまつたときに、それぞれの残が出て来る。ちようどフイルムが動いておるように、産地で買う、駅へ出す、載せる、消費地に出すというような一連の作業が八月一日でパタツととまつた。そうして産地にあつたものは売りもどす、消費地にあるものはすぐ売つて行くという手を打たなければならぬ。そのとき山元に残つておるものを売りもどした。それは三重県の今問題の所だけでなく、三重県の販連にも、当時の集荷業者の持つておるものは全部売りもどして金をとつたというのが経過であります。
  438. 篠田弘作

    篠田委員長 どういうことで九百九十九万九千九百九十九円になつたのですか。
  439. 濱田正

    濱田証人 それは木炭の銘柄は、パチツと一千万円にならぬのでありまして……。
  440. 大森玉木

    ○大森委員 今言うのは間違つておる。三重県に九百九十九万何がしの生産割当をやつたというようなことは、何をもつてそういうことを言われるのであろうか、私ども現地に行つて調べた。三重県の会社の社長が申しましたのはどういうことであつたかというと、私は原稿を持つて来ておりませんが、何か奥地の開発のために、奥地からこれだけのものを出すからというので申込みがあつた。そこで一夜にして一千万円の伝票をつくつて、これを出した。そうした計画を出さなければ、これは買入れまたは売付けというものにならないから、そういうものを出したというので、現実にそれをやつた人に対して、一体一千万円に値する炭を一晩にこさえて出すというようなことはけしからぬではないかといつてよく尋ねましたところが、大体全貌がわかつたようであります。それはどういうことであるかというと、何か一つの策によつて、それだけの金をつくつたのであるということがわかつたのでありまするが、あなたの言われることを聞いておると、九百九十九万何がしという金は、それは生産命令を出してやつたんだというごときことを言われることは、これは実に奇怪千万です。私はその材料を持つておる。それは実にけしからぬと思うのであります。証人にそれだけの御注意を申し上げます。
  441. 田渕光一

    ○田渕委員 関連して……。今課長がそうおつしやつたのでありますけれども、われわれは現地へ行つて調べました。少くとも三重県の空気木炭というものに対する策動は、山下重行という人間が大体一千万円ほど金がいるので、三重県の津の燃料販売会社の社長の川合又吉という人に金を貸してくれということを申し込んだ。そこで川合又吉がこれに共鳴して、よろしいというわけで、木炭事務所が判を押しさえすれば金が出るということで、十一箇町村で九万二千八百六十三俵という伝票を二月の一日につくらせて、そうして二十四日に東京に上つて来た。大体こちらの本部か、あるいは政界の上層部か知りませんが、連絡をとつて、よろしい出してやる、その金をつくつてやろうというので、了解がついたものだから、二十四日に津の木炭事務所長が判を押した。それで東海銀行から一千万円もらつた。九百九十九万九千九百九十九円拂つた。何でも現金で拂うのではなく、伝票と小切手でやるものだから、できたでありましよう。しかしこの金はどうして出したかというと、非常に大きくなつて農林委員会その他でやかましくなつて来ておるから、さらによそから借り入れまして、一千万円を現金でお返しいたしましたと言う。それでは二月の二十四日から十一月の十日までのこの間に、税務署が差押えてとる日歩が二十銭とすれば、約二十万円になる。一千万円の金はどうしたかというと、それはわかりませんと言う。川合又吉に、名古屋の木炭事務所行つて書類を持つて来い、こう言いましたら、名古屋の木炭事務所が廃庁になりましたので何もございませんというわけで、われわれは現地で調査することができなかつた。それでこれは検察庁で調べるものであるという報告もし、また資料も十分調べてある。御参考までに申し上げまするが、私は三重県の上野市に昭和十七年から住んでおるのであります。あそこで亜炭鉱業をしておるのでありますが、私の知つておる全部の村に、一万俵だの五千俵だのというのは全然ない。まつたくのからで、これは私が帰りまして、八月の休み中にずつと各村の実地調査をすれば一番よくわかる。実際一夜にして十一箇村で、この九万何千俵という伝票をつくらせてしまつた。そして木炭事務所長がこの金をとることについて判を押しておる。これはやかましくなつて来たから現金で返してしまつたということになるのだから、今言う課長の話とは全然違う。
  442. 篠田弘作

    篠田委員長 それで濱田君に伺いますが、これはあなたが言われた通り、支出したときは薪炭課長でなかつたということであるから——あなたが薪炭課長としてやられたことではないから、これはおわかりにならなければ、わからないでよろしい。ただそういうような引継ぎを受けたという程度の証言でいいのでありますが、これが大分委員調査と違つております。そこであなたがどうしてもそうであるというふうにがんばられると、そこにいろいろな食い違いが起つて来ますし、また同時にそうであるという証拠も提出してもらわなければならないが、この問題はどうですか。
  443. 濱田正

    濱田証人 それはその陳情のときには、確かに田淵さんが言われるように、山下さんがおいでになつたということは聞いております。但しその陳情のときも、一千万円を私がもらいたいからということは聞いておりません。資料が出ておりますように、三重県のどの村どの村ということはわれわれとして考えないのでありまして、三重県全体の生産数量、検査数量幾らあるか、それから三重県全体として政府が買うわくが幾らあるか、その差額が何ぼあるか、そうすればそこに物がある、こういう考え方で物事を運んでおる。
  444. 篠田弘作

    篠田委員長 それはあなた方のものの運び方というものに、惡意があると言うのではないけれども、実際に調査した結果は物がなくて、そういう一部の業者の金繰りのために、木炭事務所が使われたということになつておる。そうすると、あなた方がおやりになつたことは惡意ではなかつたかもしれぬが、実際問題としては、実情に沿わないやり方を帳簿上でやつてつたという結果になるのですが、それに対する何かはつきりした反証がありますか。
  445. 濱田正

    濱田証人 反証はありません。空気木炭とか何とかいうのは現場の問題でありまして、帳簿上の問題ではありませんので、そこで一齊に現場に行つて見て、はたしてあつたかなかつたかということを論証しなければならぬので、われわれの方はその現場に行つておりませんから、そうではないということを反証としてはあげられません。
  446. 篠田弘作

    篠田委員長 確信を持つてつたけれども、現在反証をあげることはできない、こういうことですね。
  447. 濱田正

    濱田証人 できません。
  448. 田渕光一

    ○田渕委員 それなら課長に申し上げますが、十一箇村というものを私はよく知つておるのです。地理に明るいのです。たとえば長野峠——三重県の阿山郡から長野峠を通じて一志郡の方の長野村、あるいは鈴鹿峠を越して一志郡の方面、この方面をまわると三日か四日はかかるのだから、どうしてもこの広汎な十一箇村の伝票は、一日ではできない、それを一日で木炭事務所で作成しておるのです。現地で作成しているというので、この間に時間的あるいは日時的なずれでもあればわれわれはこれを信用できるのだが、十何名の者が同日に判を押しておる。だから木炭事務所で実際につくつて今の一千万の金が出た。こういうわけで、課長はそのときつまり担当課長でないからしかたないかもしれませんけれども、まことに三重県の木炭事務所はけしからぬと思う。われわれはあの当時名古屋まで行つたが、三重県まで出張できなかつたので、休会中にひとつ調べてみたいと思つております。
  449. 篠田弘作

    篠田委員長 濱田君にお尋ねしますが、そうするとこの問題は農林委員会の問題になつており、また考査委員会委員調査によつてもそういう不正が明らかになつておる。しかるにその後薪炭課としてこの問題について何らかの調査を行つたか、あるいは何らかの処置をしておるかどうか。依然として最初の伝票を信頼して、二十四年三月のあなた方の信念は今日においてもかわりないかどうか。その点をひとつ伺いたい。
  450. 濱田正

    濱田証人 われわれ生産を担当します薪炭課長としてのあれは、書類によつて、つまり現物を見ての上でなくして、全体の県の生産数量並びに政府の買上げ数量の差額から金を出すというやり方でありますから、物が帳簿上にある、それが特別会計がとまるまでの間に出なかつた。出ないうちにとまつた。とまつたから売りもどしをするというのが全体の原則である。三重県もその売りもどしの原則をはずれるものではありません。それで売りもどしをした金が入つたということで、これ以上の調査はしておりません。
  451. 篠田弘作

    篠田委員長 帳簿上において処理をされたということに、不当があつたと言うのではありません。その当時あなた方はそれを信用してやつたのだから、その点に下都合があつたと言うのではないけれども、その後これが農林委員会の問題になり、また一つの社会問題として、考査特別委員会からも委員を派遣してそれを調査しておるというようなことから見て、その当時としてはあなた方は誤らなかつたと思つておるか。今日その問題について薪炭事務所として何か調査をしたか、あるいは処置をしておるかということを聞いておるのです。
  452. 濱田正

    濱田証人 一千万円を取上げただけで、別に処置はいたしておりません。
  453. 大森玉木

    ○大森委員 関連してちよつと伺います。どうもその点がはつきりしないので、私も農林委員会であなたにやはりお目にかかつて、この問題について論議いたした。そういたしますると、問題になつておることを知つておりながら、帳簿は間違いないからというので、現実にそれを調べないであなた方の職責が立つておるのでありましようか、ちよつとこれを承りたい。
  454. 濱田正

    濱田証人 この点は、現場を調べなかつたということはまことに粗漏なことでありまして、申訳ありませんが、ただ実情を申し上げますと、前々国会において、現物不足原因といたしまして、十数項目を並べたわけでありますが、その中にいわゆる空気木炭と称するものが大小程度の差こそありますが、たいていの県に出て来ている。そこでこれをわれわれが整理して行くという考え方として、犯罪であるかどうかという考え方より、まず先に考えることは、今まで言いましたように、相手方に対して現物不足を追究して、これを国損がないように国に返さして行くということが、会計担当者としての第一任務である。そしてその次に、あまりひどいものはやる。私そのときに考えたのは、それはむしろそれぞれの專門家の、国警とか、あるいは検察庁とかで犯罪捜査をやつてもらうよりほか手がない、われわれとしては、会計を終結する。国損がないようにすることを第一目的とする。それから今の空気木炭にしても、あちこち事件がありますが、そういうものは、ルートを一括して国警においてそれぞれ処理してもらうということしか能力がないというのが実情であります。
  455. 篠田弘作

    篠田委員長 こちらの聞いておることはそうじやなくて、そういう国家の損耗を少しでも減らして、空気木炭を規物にかえて行くというやり方は一応妥当だけれども、あなたの監督下にある三重県の木炭事務所長が、そういうから伝票を情を知りながらつくつてつたということは、これはその金が埋まつたか埋まらぬかということと別問題だ。それに対して監督官庁として何りかの処置をとられたかどうかということを聞いている。
  456. 濱田正

    濱田証人 私はその問題があつたときに、その当時の事情はどうかということで、三重県の所長から事情を聽取して、それでそのままにしておりま
  457. 大森玉木

    ○大森委員 そのときに三重県の所長を呼んで聞かれたというならば、そのとき三重県の所長はそうした問題はなかつたと申したのでありましようか、そのときに大体今のような話がなかつたか、一夜にして一千万円の伝票をつくつて出したということが、あなたに報告がなかつたか、それともこれは間違いない、金さえ返せばよいのだというような報告でありましようか。さらにまた先ほど申し上げたように、あなたに尋ねたことは、農林委員会でも問題になつてつた。そうして空気木炭というものがいかなるものであるか、私ども関心を持つてつて、いよいよ考査委員として田淵君と私が出て参つたのでありますが、そして調べてみて、初めてなるほどこれが空気木炭かと思つた。私のような相当年輩の人でありましたが、その人に、どうして一晩の間にそうした伝票ができるのかとお尋ねしたら、それはまあこれをしなければその一千万円の金が出ないから、こういうふうにいたしたのである、こうはつきり言つた。そのときほかの人も立ち会つておるのであります。その席でそのやつた人がはつきり言つておるのに、あなたはそれらに対して、ただ物さえ返せば、金さえ返せばよかつたとお考えであるか。先ほど田淵君からお話があつたように、四箇月も一千万円の金を流用しておる。これに対する金利にしても相当のものになる。さらにまたそうしてやつたことが正当の手続でなかつたということははつきりいたしておる。しかるにあなたは、役人は金さえとればよかつたのだ、さらに私どもの責任でないというような口吻は実に遺憾なことであつて、私は少くともこうした問題が起つたならば、ただちに現地に……。あなたは書類だげでやつているのであるが、そういう危險なことがあつてはいげない。それはひとつ調べて見なければならぬというほどの気構えがなければいかんと思う。それを何ら調べなくて、われわれは書類の上で処理してさへおればいいというような考え方でおられた役人が多いから、かくのごとく公団において何十億という赤字を出して平気でおられる。今日責任観念のある役人であるならば——役人は大体そうした問題に対しては通例なりと考えておられる、赤字を出したことが当然だというように考えている。昨日から来られている証人の局長方の答弁にもそういうことがあるのでありますが、私ただいま課長の意見を聞くと、役人は月給さえもらつておればよろしいのだ、そこに赤字などを出すことはわれわれの知つたことでない、責任でないというのが役人の通例の考え方のように私は承つて遺憾に思います。この点どうでありますか。あなたがそれを調べなかつたこと、さらに現地の所長からそうしたことを聞かれたかどうか、さらにまた現地の所長が、その問題にからんで他に転任したようにも聞いておりますが、これもどうでありますか。何かこれに対するところの醜関係のようなものはなかつたか、そういうことを私どもは聞いているのであります。これはあと刑事問題になるでありましよう、私どもこういうふうに考えて見ているのでありますが、あなたはどういうふうに考えておられますか。
  458. 濱田正

    濱田証人 現地の所長だけでなくして、薪炭課の方からも聞いたのですが、これがきまるときには山下君が盛んに陳情に来られたということは私も聞いております。そしてそのきまるときに、たまたま二月分の木炭の買入れ割当というものが非常に三重県は少かつたということも事実であります。そういう両方がからみ合いまして、二月二十四日にそれでは一千万円追加せよということがきまつたということも聞いております。そしてその金によつて山下某さんから物を買つたわけでなくして、三重燃料株式会社から物を買つたのだということを聞いている。同時に三重燃料株式会社はその当時相当莫大な在庫数量を持つてつたということを聞いております。従つて現場を調べなかつたということはまことに申訳ない点でありますが、そういう書類の上からきわめて合理的にできている。数字の上からもはつきりしておるということで、これは現物があるものと一応——調べなかつたのですが、断定するわけにいかないが、あると考えておつたのであります。
  459. 大森玉木

    ○大森委員 私が三重燃料株式会社の社長に、一夜にしてこの伝票ができたのかということを尋ねたところが、いやこうしなければ金を出してくれないからつくつたのだ、こうはつきり言つている。これは田淵君も立ち会つて聞いておられます。その点を私はあなたに聞いている。山下某から買つたとか、売つたとかいうような問題でなく、三重燃料株式会社の社長がかく申しておつた。かくのごとき下都合な問題があるにもかかわらず、三重燃料株式会社がたくさんの在庫品を持つてつたというがごときことを考えておられることが、あなた方に錯誤があるのではないか、この点を私はさらによく事情を……。
  460. 田渕光一

    ○田渕委員 ちよつと証人に御記憶を浮ばすように申し上げましよう。われわれがよく調べたところによると、山下重行というのは、これは大きなボスなのです。川合又吉という人はりつぱな紳士です。この七十幾つの老人が陳情に来たというのはわかります。三重燃料株式会社があなたの方へ、前課長なら前課長の方へ来たということはよくわかる。ところが何でもない、三重燃料株式会社ではない別途の山下重行というものがある金に使いたいために中央へ上申に来て、そうしてあらゆるところへ手を打つた、出すという話がついたから、川合君伝票をつくれと言つたら、そうかいというので十一箇所の伝票を一晩でつくつてしまつて、支拂い伝票を書きたまえと言つたので、三重県の木炭事務所長がよろしいという伝票を書いたら、東海銀行から一千万円が出ているのです。私たちの調べではこれが真相なのです。三重燃料の川合又吉という人はそう言うのです。君はそれで相済まぬと思わぬかと言つたら、どうもそうしなければ金が出ないので、そうしなければならなかつた。金さえ貸してもらえばいい、こういう実態です。課長はその当時の実際をお調べにならなかつたのですね。なぜその当時三重県の木炭事務所長を呼んで始末書をとるなり、あるいはその真相を追究して、これを国警にまわすようなことをしなかつたかということを聞いておる。現に神戸の木炭事務所長をしておる……。
  461. 篠田弘作

    篠田委員長 お話中ですが、証人にお尋ねしますが、今の大森委員、田淵委員質問に関連して、とにかく一千万円の金は木炭を買い入れるためにそれだけの金を増額したわけなのです。そうでしよう、ものがあると思つて、それを買おうとして金を渡した。九箇月冷やしておいてその金を返して来たときに、物がなかつたのか、あるいはあつても売らないのか、そのくらいのことはあなたの方で調べたろうと思いますが、そのいきさつはどうなのですか。帳面の上ではありません、常識としてどうですか。木炭を買うつもりで一千万円やつた。それが九箇月の後に無利子でもつてもどつて来たというときに、あなたの方は常識としてこれはおかしいと思わなかつたかということを聞いている。
  462. 濱田正

    濱田証人 これは全然空気ということで、無利子で持つて来たというのはおかしいことであります。
  463. 篠田弘作

    篠田委員長 では、空気で無いのに、あるものを売らないことになるというのはどういう事情ですか。
  464. 濱田正

    濱田証人 それは先ほど申しましたように、産地で買つて、そうして……。
  465. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたは在庫品が多いと言つたでしよう。在庫品が相当多いから、在庫品だと思つて金を出したと言つたでしよう、ところが九箇月もたつて、それに対する品物一つも送つて来ないで、無利子でもつてその一千万円の金がもどつて来たときに、在庫品がよそに売られてしまつたというふうに考えたか、あるいはもともと在庫品がなかつたのに一千万円というものを借りて行つたと思つたか、どつちか、それを常識的にどう思つたですか。
  466. 濱田正

    濱田証人 具体的には、在庫品がなくてそのままじつととまつてつたというのでなくして、買入れ数量と受拂いの数量からみまして、現実に物が出ておるのです。出ておつて、八月へ行つてすぽつととまつたということで、出たものと残のものとが線を引かれるわけです。そこで線を引いて残のものを売り拂つてしまつたという考え方です。
  467. 篠田弘作

    篠田委員長 産地に売り拂つたのですか。それではオーバー・プロダクシヨンで権地が困つているときにそんなものを買いますか。
  468. 濱田正

    濱田証人 それは現実に、トータルにおいて二割三分引いたと申し上げたように、産地にあるものは指定業者別に買上げておりますから、その持つて来た人に売りもどして行くというやり方全国的にとりまして、結局総トータルにおいて二割三分引いた。
  469. 篠田弘作

    篠田委員長 あなたは今ここで大分ふんばつておられるのでありますけれども、あなたのさつきの陳述によると、もう昭和二十四年度ごろはオーバー・プロダクシヨンで産地が困つてつた、しかるにこつちは売れなかつたと言つてつたでしよう。速記が残つておる。速記をあとでごらんになればわかる。そういうときに、産地が売りたいといつてあなたの方から一千万円借りたのを、九箇月寝かしておいて、利子も拂わないで産地に売りもどして、産地がオーバー・プロダクシヨンで困つているのに、せつかくくれた金までももどして、産地が拂つたということは考えられない。
  470. 濱田正

    濱田証人 産地が売りたい、すぐ金がもらいたいというのはほんとうであります。産地が売つた場合、この金の決済をやりましたのは、つまり売りもどす、そうすると政府側から見れば債権が立ちます。それはあの五十四億七千万が入つたときに、政府が厖大に拂うものがあります。同時にもらうものがある。そのときにただちに決済をやる。
  471. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは現金をもらつたのではなくて、差引をやつたのですね。
  472. 濱田正

    濱田証人 そうなのです。
  473. 篠田弘作

    篠田委員長 現金を返さないで、帳簿上の差引をやつたということになるのですね。
  474. 濱田正

    濱田証人 それは三重県……。
  475. 篠田弘作

    篠田委員長 いやわからなければわからないでいいのです、むりに証言することはないのだ。
  476. 濱田正

    濱田証人 いやころです。やり方は、例の生産者から……。
  477. 篠田弘作

    篠田委員長 君、わかつて来ておるのじやないのか、わからずに言つておるのか、それを言いたまえ。わからないならわからないでいいんだよ。
  478. 大森玉木

    ○大森委員 この一千万円の金は、山下某に貸して、三重燃料株式会社の社長というものは、それを拂つたときに立てかえになつている。そのためにあるいは山から木を出すとか言つて、いろいろつくつたものを担保にとつてその見返りとしておる。そういう金なんだ。あなたのようにすベてを切り離して一線を引いて、残つた金だというようなことはとんでもないことだ。この一千万円の金だけははつきりした事実がそこにある。今申し上げたように、山下某にやつたところが、どうもその金を返さなければいかぬということになつたから、これは何とかしなければいかぬというので、何々銀行から金を借りてそして返した。しからば山下からはどうしてとる方法をやつたかというと、本人は何もないから、山を五百万円の担保にとつた、こういうわけで実は困つておるところなんであります。これは淳朴な男で、山下君は非常な人格者だと思つていたが、だまされたというわけで、すべてをわれわれに告白しておる。
  479. 篠田弘作

    篠田委員長 借りた本人がそういう話をしているのに、あなたはどういうわけでそうがんばる。
  480. 大森玉木

    ○大森委員 一千万円という金だけははつきりと返済済みであるということに区切りがついていることは、今の証拠ではつきり立証できると思う。しかるにあなたはどうであるかというと、すべて売つたものと買つたものとの差引き勘定によつて一千万円をとつたのである。こういうふうに言われると、われわれの調べたのとは全然違うことになるから、この点を、もとはこういうふうに使われておるということを申し上げればそれでわかるかどうか。
  481. 濱田正

    濱田証人 そうじやないと言つておるのではありません。私は調べたわけじやありませんから、そうでないと断言することはできませんが、帳面の上の操作では……。
  482. 篠田弘作

    篠田委員長 それはもうわかつている。帳面の上の操作はわかつている。
  483. 濱田正

    濱田証人 そうでないとは言いません。
  484. 島田末信

    ○島田委員 濱田証人の言うところを聞いていると、最初の買入れに九百九十万あまり金を出している。それが帳簿面ではきちつと買取りになつていると私は思う。あなたがそれを信用しているから……。そこで今度いよいよ廃止になつて、手持ちの薪炭をさらに売りもどしたということで、帳簿面がつじつまが合つていると思う、そうでしよう。
  485. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  486. 島田末信

    ○島田委員 そうなると売りもどしをしたときには相当値引きが一般に行われていると思う。そうすると最初に買取つた九百九十万円の数量と、今度売りもどしをした一千万円との数量の食い違いがあると思いますが、それは帳簿面でどうなつておりますか。
  487. 濱田正

    濱田証人 帳簿面は、売りもどしたときの数量——これは俵数が出ておりませんが、千四百三十八トンでありまして、その金額が一千四十四万二千三百六十五円ということになつております。
  488. 島田末信

    ○島田委員 買取つたときの数量は……。
  489. 濱田正

    濱田証人 それは千三百七十七トンということであります。
  490. 島田末信

    ○島田委員 その差額は幾らになつておりますか。
  491. 濱田正

    濱田証人 今の一千四十四万二千三百六十五円から九百九十九万円を引いたのが差額になります。
  492. 島田末信

    ○島田委員 私はこれは帳簿面では正規に買取りをやり、また正規に売りもどしたということで、一応はつきりしておるように思います。しかしながらその間に最初の九百九十九万円余りというものは、一応その薪炭の売買とは別な金繰りの関係からそういう操作が行われたということが、現地における調査の結果であります。しかもその金は、今度帳簿の穴埋めをする場合には、その当時廃止直後における手持の薪炭を売りもどしたという形でもつて、さらにその一千万円を穴埋めする場合に、本人に数量の上で相当数利益を與えておるという結果が見られておるのではないか。そこでその九百九十九万円余りの金繰りをした穴埋め自体は、さらに操作の上で数量上利益を與えておるという結果になつておるので、あなたの帳簿面では、はつきりそれは取引上何も支障がなかつたように見えるけれども、現地におけるすべてのその取引状況をわれわれ考えてみますと、最初金繰りの場合に、一応いわゆる空気木炭と称せられるような操作をやつておき、またさらに今度は廃止後における数量面で、本来拂うべき金を数量の上で余分にとつてつておるという結果が行われていると私は判断するのであります。
  493. 濱田正

    濱田証人 買いとつたときは千三百七十七トン、九百九十九万何がし、売りもどしは千四百三十八トン、一千四十四万二千三百六十五円です。
  494. 篠田弘作

    篠田委員長 だから買いとつたときに千三百七十七トンを買つたということにしておいて、金を九百九十九万何がしを貸してやつておいて、今度はそれを売りもどすときには、さらにそれよりも多い千四百三十八トンを売りもどして、そうしてその金を拂わせておるということになれは、金を無利子で貸したほかに、千四百三十八トンから千三百七十七トンを引いた結果だけのものをプラスしてやつたことになる。
  495. 濱田正

    濱田証人 そうじやありません。こういうことです。千三百七十七トンと、それから三重県林産株式会社、まだほかにその差額のものを持つてつたものを一括して売りもどした、こういうことであります。
  496. 篠田弘作

    篠田委員長 どこへ売りもどしたといつても、千四百三十八トンから千三百七十七トンを引けば、とにかく六十一トンばかりのものがどこかへ行つておる。
  497. 濱田正

    濱田証人 三重県林産株式会社に売りもどした。
  498. 篠田弘作

    篠田委員長 三重県林産株式会社に、千三百七十七トン買い入れたことにして一千万円をやつた
  499. 濱田正

    濱田証人 それはそうです。
  500. 篠田弘作

    篠田委員長 帳簿上それは一千三百七十七トン買い入れたことになつておる。その金をとりもどすときに、同じ会社に千四百三十八トン売りもどして、六十一トンよけいやつたことになる。
  501. 濱田正

    濱田証人 そうじやない。燃料会社から買うのは、今の千三百七十七トンだけではなくて……。
  502. 篠田弘作

    篠田委員長 千二百七十七トンに対する一千万円じやなかつたか。
  503. 濱田正

    濱田証人 一千万円は千三百七十七トンに対するものです。
  504. 篠田弘作

    篠田委員長 だから一千万円に関することだけを証言すればいい。そのほかのことを言う必要はない。その千三百七十七トンを買い入れるということで渡した一千万円のもどつて来るときに、一体帳簿上なんぼの炭を売りもどして、それがもどつて来たかということを聞いている。
  505. 濱田正

    濱田証人 わかりました。この三重県林産株式会社の帳簿残は、この千三百七十七トン……。
  506. 篠田弘作

    篠田委員長 帳簿残を聞いているのではない。最初千三百七十七トンを三重県林産株式会社から買い入れるときに一千万円渡した。それは帳簿上わかつておるでしよう。
  507. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  508. 篠田弘作

    篠田委員長 今度はさらに九箇月たつてその一千万円がもどつて来た。その一千万円はどうしてもどつて来たかというと、売りもどしの形でもどつて来た。その売りもどしの形において、その品物はなんぼであるかということを聞いている。それは値引きをしているんだから、常識上よけいもどしてやらなければ一千万円の金はもどつて来ない、そうでしよう。千三百七十七トン買つて一千万円を渡す。これを千三百七十七トンを売りもどして一千万円がもどつて来るということは、実際の情勢はそうではないでしよう。売りもどすときには、みんな値引きをして売つておるのでしよう。常識上そうなつておるでしよう。
  509. 濱田正

    濱田証人 私の聞いているのは……。
  510. 篠田弘作

    篠田委員長 聞いているのではない、聞いておることではむだである。実際の調査がそうなつている。人のうわさを幾らしやべつてもしかたがない。あなたが係官として確信を持つていられることを聞いておる。わからなければわからないでよろしいということを何べんも言つている。それであなたの言う通りになると、買うとき買入れもしない空気木炭を買つて、一千万円の金を九箇月無利子で貸して、その金を返してもらうときはさらに六十一トン分を余計景品をつけて売りもどしたということになるのだ。現実はそうでしよう。
  511. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  512. 篠田弘作

    篠田委員長 売りもどしをするときは値引きは必ずやつている。今まで売りもどしをするときはそうでしよう。石炭の場合でも、木炭の場合でも、まきの場合でも売りもどすときは値引きをする。だから最初の千三百七十七トン売りもどしたのでは向うでは一千万円は返してくれない。従来の行きがかりからいつて皆そうなつている。そのいきさつが君にはわからないのだ。
  513. 濱田正

    濱田証人 わかりました。
  514. 篠田弘作

    篠田委員長 これは今事務局の調査によりますと、はつきりと千三百七十七トンを買取るという約束で九百九十九万円渡している。それで六十一トンというものを売りもどしをし、そうしてさらに一千三百七十七トンというものを売りもどして、合せて一千何十万円というものをとつているそうだ。ですから買い入れたときの数量と売りもどしたときの数量は同じ数量で、このときは金を返して来ているということがわかつている。
  515. 島田末信

    ○島田委員 ついでに簡單ですがお聞きしておきましよう。乱俵の手直し費、それから運賃もちやんと費目として上つておりますね。それの総額が幾らになりますか。
  516. 濱田正

    濱田証人 その総額というのはいつの……。
  517. 島田末信

    ○島田委員 それは今までの乱俵手直し費の費目に上つている金額と運賃として上つておる金額は、帳簿面で今までの集計がはつきりしているでしよう。上つているか、上つてないか。
  518. 濱田正

    濱田証人 上つていると思う。
  519. 島田末信

    ○島田委員 私がお聞きしたいのは、その総額自体をお聞きしたいのではない。そういう種目の中に普通いろいろ不当支出とか、あるいは支出のしにくいような経費、そういうものを乱俵手直し費だとか、あるいは運賃の中から支出してつじつまを合せておるという事実が、現地調査の結果相当わかつたわけなのです。そういう事実があつたということをあなたはお知りですか。
  520. 濱田正

    濱田証人 乱俵手直し費を出してつじつまを合せておるというのは存じませんが、この前千葉県で問題になつたのはそれらしいということは聞いていますが、その他は……。
  521. 島田末信

    ○島田委員 これは私の調査した香川県内にもそういうできごとがある。たとえば労働組合の連合会の会長をやつてつた安藤末廣君が、薪炭組合の方で必要だというので、県庁の許可を得て配給を受けたわけです。それは一つ配給の手順としては、御承知のように燃料会社にマージンを落して配給を受けるという手順を一応経なければいけませんから、燃料会社としてはマージンだけをとつて、実際上の取引は安藤君が産地から直接引取つたのだろうと思うのです。ところが燃料会社は安藤君から金をとらなければ、結局木炭事務所に金が納まらないという結果になることはあたりまえですが、安藤君はとつた薪炭の金を拂わない。そのために燃料会社はマージンはとつたけれども、安藤君がとつた代金は支拂い義務を負つた結果になつたわけです。ところが金をくれないから安拂いはできない。どう始末をつげるかということで、それを乱俵手直し費で一応繰りかえてつじつまを合わしたという事実があるのです。  さらに徳島県におきましては、交際費を支出しがたいようないろいろな事情があつたのでしよう。そのために運賃の中から再三支出さしたというような事実も現われておるのです。そこで私が思うのは、一県や二県のできごとでなくして、全国的にそういつたつじつまを合わすために、あるいは乱俵手直し費だとか、運賃だとかいう費目で相当つじつまを合わした事情が多いのではないかと思うのです。そうするとあなたの方の帳簿面ではりつぱに乱俵手直し費だとか、運賃だとかいうものが計上されておるけれども、その中身はそういつた取引上の非常な失敗のしりぬぐいだとか、あるいは支出しにくいような経費のあとじまいというふうなところにおつつけておる実情が多いのではないかしら、かように考えられる。これなどもいわゆる国損が相当多かつた中の一部として、よく実情を知つて適当な処置をとらなければいかぬのじやないか、かように思うのですが、そういう事実を御存じならば御存じのように、ここで証言を願いたいと思うのです。
  522. 濱田正

    濱田証人 今思い出しましたが、千葉などの例ではないかと思いますが、徳島のも知つております。これも検察庁で問題になりましたから知つております。その他は私は全然……。
  523. 篠田弘作

    篠田委員長 その他は言う必要はないのです。知つておるだけでいいのです。
  524. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 ちよつと今のに関連して……。そこでこういう和歌山の問題か起きたし、今の問題の運賃、それから乱俵手直し費というようなものが出ておりますが、証人は清算人として、單に本日説明なさつたような帳簿上だけでなくて、今後においてもう少し実態調査して、三重県の問題にしましても、九箇月の利息を損害賠償として請求するとか、その他国民の血税から数十億の金が出ておるのです。これは清算人として、今後單にきようの御答弁のような帳簿書類だけでなくて、実質をもつと調査してこれを善処される意思があるかどうか。
  525. 濱田正

    濱田証人 そういう事態が発生したのはもちろんやるし、だんだんそういう方向へ向つて最後の決をはつきりしたい。かように考えております。
  526. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それから清算の方法として、債権の取立てについて即決和解の制度をとつて、五百二十四件が処理できた。これは五百二十四件を即決和解をして債権を全部取立てたかどうか。單なる即決和解として債権の確保をしただけかどうか。
  527. 濱田正

    濱田証人 即決和解はとらずに——全部とれるのではありませんので、いつまでに幾ら必ず納める。こういう約束で入れるということであります。
  528. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうすると五百二十四件は、現在まで現金の回收ができましたか。
  529. 濱田正

    濱田証人 それは約束通り納めているのもありますし、納めていないのもあります。
  530. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 だから幾ら現金がとれたかということです。
  531. 濱田正

    濱田証人 四月、五月、六月で約一億五千万円程度入つております。
  532. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それであとに残つておる四十七件が、相当額も多いし困難だということですが、この四十七件の債権の総額はどれくらいですか。
  533. 濱田正

    濱田証人 約六億程度でございます。
  534. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 別な問題ですが、先ほど東京木炭事務所長証人として調べたのですが、まことに過去の職務についての怠慢、その他もずさんであつたし、たなおろしなんかもしないし、ことに池袋の備蓄所なんかは、東京燃料に十日に七十銭という備蓄費を出して、その総額なんかもわからない。こういう事務所長であるが、証人は清算人として、かような職務も怠慢であり、内容も証人として出て来てわからないようなのを、今後もなお木炭事務所長にして職務を遂行さしたならば、これはほとんど東京の清算事務も木炭事務管理もできないと思いますが、こういうのを将来清算人として使つて、そうして東京の事務をやらせるお気持であるかどうか、これを伺います。
  535. 濱田正

    濱田証人 この点は、清算については相当古いことも、いわく因縁を知らないと、單に机上の空論だけではいけないので、この所長にやらせながら重要な問題や困難な問題については、現在でも薪炭課が直接ひつぱりまわしてやつております。
  536. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 最後にもう一つ、清算人として、職員の涜職関係その他各地に刑事問題が起きておるし、また東京事務所長の証言によると、日通が民事上賠償をすべき点が相当あると思うのですが、こういう点について單に刑事上の問題として国警その他に移すだけでなくて、要は清算事務というのはそういう問題について損害賠償をさせるとか、あるいは未拂い額が残つておれば徹底的に追究して、そして債権を確保して損失を少くするというのが、この木炭の清算事務の重要なものだと思うのです。その点についていかなる方法あるいは抱負を持つておられるか。御参考のために聞いておきたい。
  537. 濱田正

    濱田証人 最初に申し上げましたように、なるほどその通りでありまして、われわれの最終目的の債権を最後までとつて行くということであります。そこでまず債権のとりつぱぐれのないようにして行くために、債権の内容がだんだん確実になるように、だんだんと慾を出すといいますか、危くないように保証人をたくさんつけるということに努力して行きたいと思います。もちろん今刑事上のような問題がありまして、損害賠償の請求をしなければならぬのは、どんどん損害賠償の請求をやつて行きたいと考えております。それで国警あたりではつきりしたものにつきましては、事実損害賠償の請求をしております。
  538. 横田甚太郎

    ○横田委員 はつきりしておるようで一向はつきりしていないのでもう一度聞いておきます。それは木炭の代金を支拂う場合に、どんな機関、あるいはだれに拂いますか。
  539. 濱田正

    濱田証人 指定集荷業者といいまして、登録制によつて生産者が登録して、合格して指定集荷業者になつたもの、これに代金を拂います。
  540. 横田甚太郎

    ○横田委員 大杉谷の場合におきましては、何を対象にして、この場合はだれに拂いましたか。
  541. 濱田正

    濱田証人 これは三重燃料林産株式会社に拂つたわけであります。
  542. 横田甚太郎

    ○横田委員 大杉谷は対象になつておらなかつたのですね。
  543. 濱田正

    濱田証人 そういうふうに考えておつたわけです。
  544. 横田甚太郎

    ○横田委員 生原君との交渉はありましたか。生原君は当時三重木炭事務所長でしよう。
  545. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  546. 横田甚太郎

    ○横田委員 あなたたちと何か交渉があつたのですか。
  547. 濱田正

    濱田証人 当時は私がおりませんから、交渉はもちろんありませんでした。
  548. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、これはいつの時代か。あなたのときか、あなたのときでないかわかりませんが、岡山の木炭事務所から、十万円ほどの金を山下重行なる者が——これは知つておりますか。
  549. 濱田正

    濱田証人 知つております。
  550. 横田甚太郎

    ○横田委員 それから福岡木炭事務所において三十万円金を集めに来た。そしてそれは失敗に終つた。そうして指名手配になつている。今日もまだこの山下重行なる者はつかまつていない。こういう事実は御存じですか。
  551. 濱田正

    濱田証人 知つております。
  552. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、ここでふしぎなことは、山下が薪炭関係で、官庁に出入りすることによつて、ときには十万円の金が集められ、ときには一千万円の金が引出せる。ちよつと一銭足りないですが……。これはどういうふうな関係にあるのですか。
  553. 濱田正

    濱田証人 その話を申し上げますと、まず岡山の事務所の話ですが、岡山の事務所としては、山下さんはひとつも知らない。またわれわれも山下さんが行つたということはもちろん知らない。あとから聞いたわけです。そのとき事務所長が一番困つたのは、債権の回收と、それからだんだん事務所をなくするために、人をそれぞれ就職させなければならない。これに非常に困つたわけです。そこへ山下さんが乗り込みまして、債務者を集めて、一席演説をやつたり、それから農林省関係の出先機関を集めて、お前は何人引受けろ、お前は何人引受けろというふうにあつせんされたものだから、これはてつきり大したものだということになつて、えらく信用した。それで最後に実は旅費が足らぬから十万円貸してくれ。ところが事務所には十万円ないのです。しようがないから、販連から事務所長の名で十万円借用に及んで山下さんに貸した。福岡も同じように、本省から頼まれて来て債権の督励をやるのだ、こういうことでやられて、おかしいおかしいというところでわかつた。こういう状況で、別に官庁と関係があつたわけではなく、官庁は当時知らなかつた。情報が入つて、私どもはすぐ全国に、何かいろいろの名前を使つて来る人があるが、薪炭課行つてもらうときにはちやんと連絡するのだから、そうでない者はにせ者だから、だまされたらいかぬぞ、そういう手配を一応したわけです。官庁と連絡がなかつたから、そういうふうに、一ぱいひかかつたというわけです。
  554. 田渕光一

    ○田渕委員 ちよつと関連して……。そういう指令はいつごろ出されましたか。
  555. 濱田正

    濱田証人 岡山の話がこちらに進んで、ただちに出したわけです。
  556. 田渕光一

    ○田渕委員 いつごろですか。
  557. 濱田正

    濱田証人 岡山の話が——ちよつとはつきりしませんが、三、四箇月前じやないですかな。
  558. 田渕光一

    ○田渕委員 実は参考に申します。こういう例があります。デラ台風の調査をいたしますと、私どもと昨年人事院で調査をしたのとが和歌山県でぶつかりまして、当時の坂本農林次官を連れて三重県の方に調査に行く途中に、ヘスター台風にぶつかつて、そうして三重県のヘスター台風の浸水をしておる状況をずつと調べて、名古屋に入りました。名古屋に入ると山下なる者が来ておる。そして私どもあとで聞いてびつくりした。あれは何だ、あれは山下だ。そのときに名古屋の木炭事務所長が来ておつた。名古屋の駅の前のホテルにちよつと一服しておつたときです。その時分からも相当農林省へ出入りしておつたということは、これは事実なんです。ですからあなたは去年出されたというならば、去年の日は今すぐわかる。去年ですね。
  559. 濱田正

    濱田証人 去年ではありません。岡山事件のときにあわてて出したのです。
  560. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。
  561. 横田甚太郎

    ○横田委員 木炭事務所は、中央から来た農林関係の役人の身分を確める場合に、どういうふうな方法をとつておりますか。山下が行つたのを、あなたが言つたように、間違えるような認定をした。だから中央官庁から行つた場合に、これは中央官庁の者か、あるいはほらふきかということを見きわめる基準はどこにあるのですか。
  562. 濱田正

    濱田証人 木炭事務所には官庁関係の者を別に見きわめるための基準はございませんが、まあわれわれなんか行くときには、何月何日にだれが行くからということを通知を出して行きます。
  563. 横田甚太郎

    ○横田委員 電報ですね。
  564. 濱田正

    濱田証人 そうです。
  565. 横田甚太郎

    ○横田委員 それももう少し聞かなければいけませんが、次に移りましよう。大体聞きたいことは、倉に炭は何ぼある、野積みで何ぼある、あるいは何ぼ出した。こういうようなものを確ゆるために何か方法はありますか。たとえば保管台帳とか……。
  566. 濱田正

    濱田証人 倉に入るとき出るときは立ち会つて出します。入れるときは、何ぼ入れる、出すときには幾ら出すということは、保管台帳でやつております。
  567. 横田甚太郎

    ○横田委員 保管台帳は確かにありますか。
  568. 濱田正

    濱田証人 それを整理してないところもあります。
  569. 横田甚太郎

    ○横田委員 整理してなかつたら保管台帳ではありません。
  570. 濱田正

    濱田証人 それは伝票を台帳に切り直さなければだめです。
  571. 横田甚太郎

    ○横田委員 それからもう一つ聞かなければならないのですが、そういたしますと、ここにこんな例がある。土佐製炭からまわした五百万円ほどの炭が出た。これは実際あつたかなかつたかわからないのですが、これが風水害によつて損害があつた。こんな場合にはどこが損するのですか。生産者ですか、または出目庁ですか。
  572. 濱田正

    濱田証人 炭が出るときに風水害によつて流れた。この場合の認定の問題ですが、生産者団体に今輸送代行をやらせるわけですが、輸送代行をやるときに、それが不可抗力であつたかどうかというのを所在の警察署長なり、それぞれの目撃者なりによつて、不可抗力であつたという認定がつき、事務所員がまた現場にいて、そのときの事情調査した上で、その通りであるということになれば、国のものを運んでおりますから、国の損になります。
  573. 横田甚太郎

    ○横田委員 これはあなたたちの資料の信憑性の問題ですが、前に触れました特別会計の赤字の内容については、予見書のようなものが出ておりますが、この予見書がかつちり金額が合つている。予見書が金額が合うくらいだつたら、赤字も出ないはずだと思います。それが合つておるので、非常にふしぎに思つて聞くわけですが、たとえば現品が保管中に水害で流失したという項目が十九項目の中に書いてある。これは創作ではなく事実ですか。事実なら、これはきよう聞けないなら、あなたの薪炭課行つて、ここはどこですかいと聞かれたときに、必ずあなたたちは説明してくれるのですか。それくらいの信憑性があるのですか、ないのですか。
  574. 濱田正

    濱田証人 大体説明できると思います。
  575. 横田甚太郎

    ○横田委員 大体できますか。大体ですね。
  576. 濱田正

    濱田証人 はい。
  577. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは簡單な事務的なことですが、備蓄保管費の問題、これは先ほどの東京木炭事務所長に尋ねますと、十日間が一期になつてつて、炭の場合は七十銭、これはプール計算であつて野積みの場合でも、倉庫計算でも一緒くただ。ところが世の中の輿論では、そうではない。野積みのやつも倉庫のやつも同じようにとられておる。野積みのものまで同じように保管料をとられておるのはけしからぬというのがみなの御意見です。この場合は一体どうなつておるのですか。
  578. 濱田正

    濱田証人 これはこの前の横田さんり御質問に関連することですが、野積みの場合の考え方は、保管料というののすが、警備費——とられぬようにするために警備をするとか、柵を設けるための支出、あるいは土地を借りてやる場合は地代に相当するもの、そういうものを保管料と称して出しておるわけであります。
  579. 横田甚太郎

    ○横田委員 私は野積みの炭を見ました。野積みまきも見ました。しかしそれを警備している人を見たことはない。しかるに倉庫に入つているのと同じように保管料をとつているのはどういうわけか。
  580. 濱田正

    濱田証人 それは警備費を出しておるということですから、もし警備していなければ、盗難があつた場合の責任は、政府でなくて、保管をやつているものに責任をとらせるということであります。だからできるだけ責任を全うするためには警備しなければならない。警備しないでとられたら、それの賠償をさせられるということになります。
  581. 横田甚太郎

    ○横田委員 これは答弁はきれいに言つておりますが、とられた例があるが、それをとられた人に弁償させた例がありますか。野積みのものでとられた例がある。あなた方のこしらえられた十九項目の中にも出ておりますよ。あなたの言う言葉はぎれいに答弁になつている。しかし実際の行動の裏づけがあるのですか。あつたらどこの野積みの場合にとられて、だれが責任者であつて、責任者が当然その損失の補填をしなければならない。それをあなたたちはさせた例がありますか——あなたたちはここにおける答弁でしよう。実際にはない。私たちは実際のことだけ聞いたらよいのであつて、その責任をさらに追究して金をとりに行くというのではない。良心のないような証言は私たちは聞きたくない。それが答えられないのだから……。  それではなお二つだけ簡單に聞きます。一つ冷凍木炭のことですが、冷凍木炭は、買入れる前に冷凍木炭であつたのですか、買入れた後に冷凍木炭になつたのですか。
  582. 濱田正

    濱田証人 冷凍木炭というのは、買入れる前の場合とそれからあとの場合とあります。あとの場合は手直しする場合に、冷凍になるものもあります。
  583. 横田甚太郎

    ○横田委員 冷凍であることを知つて買入れる場合もあるわけですね。
  584. 濱田正

    濱田証人 冷凍になつているのを知つて、おそらく買つていることはないと思います。
  585. 横田甚太郎

    ○横田委員 買入れる前から冷凍であることを知つておるのですか。
  586. 濱田正

    濱田証人 全部氷詰めになつておるのではないでしようから、おそらく冷凍であることを知つてつていることはないと思います。具体的な問題で……。
  587. 横田甚太郎

    ○横田委員 簡單にもう一つ。配炭公団薪炭赤字を調べてみまして非常に違うのは、配炭の場合においては保險料は直接たくさん拂つておる、薪炭の場合には拂つておらないのですが、しかもそれは何か惡意によらぬ場合には責任を負わぬというような輸送業者との契約があるように聞くのですが、それはどういうわけで薪炭の場合には保險料がいらないのですか。
  588. 濱田正

    濱田証人 それは輸送業者と契約を改正しまして、二十三年の八月に、惡意である場合以外は責任を負わないということを、逆にしまして、そういう責任は輸送業者が全面的に負うんだというふうにして、その惡意でなかつた、不可抗力であつたというようなことを輸送業者がこちらに責任を証明しなければ、責任を負うんだという原則にかえたわけです。
  589. 横田甚太郎

    ○横田委員 そういたしますと、そういうふうにかわつた後の一つの例があつたら、次の機会にあなたのところにもらいに行きますから、そういう資料かほしいのです。
  590. 濱田正

    濱田証人 その後は輸送業者に銘柄相違であろうが、量目不足であろうか、全部弁償金としてとつておるわけであります。
  591. 横田甚太郎

    ○横田委員 その例を見せていただけますね。
  592. 濱田正

    濱田証人 よろしゆうございます。
  593. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 証人は十五年から二十四年の八月までに損失したものが木炭が十七万トン、まきが二百三十八万トン、その一番おもなるものは戰災による損失と台風によるものというようなことを証言しておるわけですが、その戰災によるのは幾らで、台風によるものは幾らという数字はおわかりですか。
  594. 篠田弘作

    篠田委員長 それは先ほど書類で提出させることになつております。
  595. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 あとの方のところで、昭和二十二年度赤字が十五億六千余万円、これは二十二年以前の戰災と一緒になつているのですか。
  596. 濱田正

    濱田証人 そうです。そういう亡失したものも全部含めてと書いてあります。
  597. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 最近長野県下における亡失あるいは戰災の損失なり、いろいろな問題、背任、横領、詐欺、收賄、贈賄、あらゆる醜惡なる事実が出ておることは御承知ですね。
  598. 濱田正

    濱田証人 知つております。
  599. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それでその内容の御報告を受けておるのですか。
  600. 濱田正

    濱田証人 具体的な内容は新聞で知るよりほか方法がありません。
  601. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 そういうことのあるのは木炭事務所から報告がなくともよろしいのですか。系統団体から……。
  602. 濱田正

    濱田証人 報告をしてくれるときもありますが、事件の内容が内容でありますから、正確にどういうことを調べられたのか、どういう事件かということは言えませんから、わかりません。はつきり国警で起訴し、起訴状になつたときにわれわれの方ではつきりつかむということであります。というのは、国警にかかつた場合、できるだけ有利にというか、自分の都合のよいように言いますから、全部信用してしまうというわけには参りません。
  603. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それで新聞の報ずるところによると、四千万円損失、收賄価額はわずかに五十六万円というようなことが出ておりますけれども、それも新聞紙上だけで見るだけでございますか。
  604. 濱田正

    濱田証人 新聞だけで知つております。ただ特別小出しのことは一部にありましたから知つております。
  605. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 それでそういうのをやはり整理上調べられる必要はないのですか。
  606. 濱田正

    濱田証人 もちろん調べる必要があります。
  607. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 調べて御報告願いたいと思います。
  608. 田渕光一

    ○田渕委員 木炭事務所長が、私は名古屋、大阪、京都、東京都と歩いて見ると、みな人がよい。結局農林省に入るときから大山持ちの息子がたいてい入つておる関係から、のんびりしておる。そういうことから農林省では所長を任命したのですか、あまり人がよ過ぎて結局生産業者、卸業者の都合のよい結果になつている。あなた方が任命される当時はどうであつたか。任命して政治をやらしてみて、私は所長としての能力を疑われてもしかたがないと思うが、どういうぐあいに思いますか。
  609. 濱田正

    濱田証人 話ははつきわわかりませんが、そういう感がいたします。
  610. 篠田弘作

    篠田委員長 それでは本日の証人尋問はこれをもつて打切ります。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十分散会