○高田政府
委員 御質問の矢郷炭鉱は、福島県の石城郡内郷町というところだ
つたかと思うのでありますが、かねてからの経営難のために、從業員の一部を解雇したところから、ストを続行して、その結果遂に閉山したと言われている炭鉱でございます。そしてそれに伴い職場を失
つた労務者等は、多数の家族をかかえて、しばらくは失業保險、日雇い、行商等で細々と
生活をつないでお
つたのでありますが、幾はくもなく行き詰ま
つて参りまして、極度の
生活困難に陥
つたということでございます。たまたま同地区居住の武藤
なつという人と、それから浅香某という者が、千葉県の船橋市附近の農家から出稼ぎの子供の周旋方を依頼されたことを縁といたしまして、これら失業労務者の家庭を訪問して、児童養育の仲介あつせんをなし、また他に縁故
関係からの出稼ぎ兒童も若干ありまして、これらによる問題の兒章が、大体五十名くらいに
なつておるようでございます。この問題の直接的原因は、兒童を他家に出すことによりまして、生計費の軽減をはかるということを目的として行われたものと推定されておるのでありますが、これらの子供の年齢は、大体十三才から十八才までのものでございまして、現に学籍にある者が十七名という、私
どもの方の
調査に
なつております。この問題に対しまして、私
どもといたしましては、千葉県及び福島県につき若干の
調査を行
つて、大体次のような
措置をと
つておるわけでございます。第一に、当該兒童の親権者の家庭の
状況、及び兒童本人があまり帰宅を希望しておらないというふうな点からして、労働基準監督署及び公共職業安定所と連絡をいたしまして、法的な手続による雇用
関係を結ばせて、就学の適正化をはかりたいということであります。これがまず
一つ。
次に学齢期にある不就学兒童についてでありますが、その学齢期にある兒童の不就学につきましては、通学させるように、本人自体にも説きまするとともに、雇用者側の自覚と反省を促すということ。
それから第三は、兒童福祉法の第三十條によりまして、これらの兒童を預か
つている者の方から届出をさせまして、児童福祉司及し兒童
委員等の適切なる指導監督をなして、児輩の補導のために十分な目を届かせて行きたいということ。大体この三つに施策の重点を向けておるわけでございます。
それで、この問題につきましては、現地の預か
つておる人
たち並びに
関係当局との理解なり
協力なりが、非常に必要でございますので、現在子供や預か
つた方々を、月一回ほど集ま
つてもらいまして、大体以上の三点の方向でも
つて懇談会をいたしまして、雇用の適正化、就学の奨励、届出の励行という三つの
方面に向
つて、着々と成績をあげておるつもりでございます。
大体以上の通りでございます。