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1950-09-11 第8回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十一日(月曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君       淺利 三朗君    宇田  恒君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       西村 英一君    三池  信君       増田 連也君    佐々木更三君       池田 峯雄君    砂間 一良君  委員外出席者         建設政務次官  渡邊 良夫君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         建 設 技 官         (道路局補修課         長)      近藤 鍵武君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    鎌田 隆男君         経済安定事務官         (建設交通局次         長)      今泉 兼寛君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員派遣承認申請に関する件  派遣委員報告聽取の件  災害復旧に関する件     —————————————
  2. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 それではこれより会議を開きます。  日程を変更しまして、災害視察小貝川へ、正式ではないのですけれども有志の委員が参られたのであります。その報告をまず冒頭に聞くことにいたします。内海委員
  3. 内海安吉

    内海委員 去る二日本委員会懇談会において委嘱されました小貝川調査経過について御報告申し上げたいと思います。  過ぐる九月五日調査に参りましたのは、淺利田中瀬戸山池田委員と不肖私であります。小貝川復旧状況視察いたして参りましたが、その状況をきわめて簡單に御報告申し上げ、最後建設当局の御意見を承りたいと思うのでありますが、そのおつもりでお聞きを願います。  八月上旬関東、東北を襲つた低気圧による豪雨のため、八月六日午前八時、小貝川最高水位十一メートル十一に達したのでありますが、その後減水し始めたのありです。しかるところ翌七日午前一時、減水一メートルに達した際、右岸、高須村地先において約二百五十メートルにわたつて決壊し、二町五箇村約三千町歩に浸水、いわゆる相馬五万石と呼ばれた美田を一瞬にして泥海と化し、十日間の滞水をしたため、收穫は文字通り皆無となつたのであります。決壊の直接の原因といたしましては、小貝川堤防が、いわゆるかみそりと称せられるほど薄くて、かつ切れやすい危險ある上に、化土と称するきわめて不安定な炭化物の上に築造されたものであり、そのため引水によつて堤防前面にずつたものと考えられるのであります。  この復旧状況について御報告申し上げますならば、現在復旧工事関係者不眠不休の努力によりまして着々進んでおりますが、この復旧費は一億一千万円を要するのであります。現在は仮締切り工事を行つておりまして、この仮堤防によつて水位七メートルまでの水は防げることになるのでありますが、もちろん今回の最高水位十一メートル十一にはとうてい及ぶべくもありません。従いまして一たび台風の襲来がありますれば、この仮堤防より溢流し、再び二町五箇村に浸水することは明白でありまして、気休めにすぎないことになるのであります。  これに対するわれわれ委員一行の所感、かつまたかくしなければならぬというような所見の一端をあげてみたいと思うのであります。第一に今回の災害の根本的な原因は、小貝川堤防が貧弱であるということよりは、むしろ小貝川利根川との合流の位置が悪く、利根川洪水の逆流しやすいようにできているということ、さらにその合流点利根川狹窄部たる布川下流にあるということであります。このため合流点水位が非常に高くなり、その逆水により水海道あたりまで水位が上昇するのであります。現在建設省におきましては、下流つけかえ工事計画を立てておりますが、これらの計画はすみやかに実施に移し、急速に小貝川下流のがんを取除くべきであると考えるのであります。この点をどうお考えになるか、建設当局の御意見を承りたい。  第二点は、現場職員復旧工事を晝夜兼行で進めておりますが、超過勤務手当がなく、すべて奉仕的にやつておるというありさまでありまして、かかる際何らかの手を打つべきお考えがあるかどうか、まことにさんたんたる状態なのであります。これに対して相当優遇の道を講ずべきではないかと考えるのであります。この点についての御意見を承りたい。  次に小貝川視察の途次、田中遊水池を見て参りましたので簡單つけ加えますが、田中遊水池小貝川合流点の上に当るのでありますが、利根川改修改訂計画では、ここで毎秒二千立米調節することになつております。ところが終戰後食糧増産見地より、八キロに及ぶ囲堤を築造し、しかもこの堤防利根本堤よりわずか一・五メートルだけ低いのであります。その上流に五百メートルの溢流部を設け、最下流水門を築造しております。これによつて洪水ピークを切ろうというのであります。これによる総工費は、約二億円と推定されるのでありますが、遊水池は毎年の洪水作物などほとんど收穫されておらない状況にあります。食糧増産見地からとはいえ、あまりに効果の薄い計画であり、工事であると思われたのであります。  最後利根川全体について当局にお尋ねしたいのでありますが、昨年二月改修改訂計画が決定され、鳥川合流後における計画洪水流量は、毎秒一万七千立米と定められております。しかして上流部堰堤による三千立米調節江戸川への五千立米の分派、田中遊水池における二千立米調節放水路開鑿による三千立米の放流によつて小貝川合流後の下流計画洪水流量を毎秒五千五百立米としておるのでありますが、現在のところ上流における調節はまつたくなく、しかも上流部災害復旧工事の完成によつて、むしろ流量は増大の傾向をたどる情勢にあるのでありますが、利根本堤の築造あるいは支派川の改修はすべて調節されたものとして施工されておるのであります。従つてこの調節が可能となるまでの時期的なずれをいかにするかということが問題となるのでありまして、この点につきまして建設当局はいかなるお考えを持つておるか御答弁願いたいと思うのであります。また今回の出水にあたつては、小貝川最高水位十一・一一メートルに達した際、栗橋においては計画水位七・五メートルに対して六・九メートルであつたのに比し、下流佐原においては計画水位を突破しておるのであります。このことは最近に至つて下流の水はけが著しく悪化して来たことを意味するものと考えられるのでありますが、御当局はこれに対していかなる措置をとられるつもりであるか、ついでにお尋ねして御質問を兼ねて御報告といたす次第であります。
  4. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいま内海先生から利根川視察につきまして、いろいろお話を承りまして、われわれとしてこの水害に対して非常に恐縮に存じておる次第であります。  まず第一点、小貝川の問題につきましてお答えいたしたいと思います。そのうちまず小貝川つけかえ工事の問題でございますが、小貝川は御承知通り利根川合流しております地点が、布川布佐狹窄部の上にあるという関係上、絶えず逆流するというので、昭和十四年の増補計画におきましても、これを布川布佐の下へ切つて落そうという計画はでき上つておりまして、その後の考え方におきましても、何らこれを変更いたしておるわけではございませんので、工事といたしましては、これを一日も早く施工いたしたいというので、地元とのいろいろの折衝も続けて参つておるわけでございます。しかしながら何を申すにも放水路の着手が相当のつぶれ地を生ずる関係上、地元との折衝はなかなか円滑に進まないというために、ついだんだんと遅れて参つておりまして、昨年あたりからは本格的に本腰を県においても入れていただきまして、地元におきまして、この対策の一つの協議会をつくつていただきまして、どこへ方線をきめるかという問題について、いろいろと協議いたしまして、その線についていろいろと進めておるわけでございます。ところがまだ確実なるところの方線がきまらないというような現状で、つい今度の場合におきましても、また水害をこうむつたというような実情でまことに申訳ないと思つております。しかしながら小貝川の逆流を防ぐには、私どもといたしましては、どうしても布川布佐の下へ拔くということにはかわりなく、今後はこの災害にかんがみまして、一層強力にこの点を進めて、何とか来年度におきましても早く手をつけたい。できれば今年度においても、その点について手をつけて行きたいと存じておる次第でございます。  次に現場職員超勤に対しまして何らかの手を打つたらどうか、こういうお話でございます。まことにごもつともなお話でございまして、私どもといたしまして、現場の非常な過労の問題につきましては非常に心配いたしまして、大蔵省方面ともいろいろ折衝いたしておるのであります。ただ一般的に申しますと超勤の金というものが非常に少くて、なかなかこの金をはじき出すということは、困難な実情でありますが、特に小貝川、たとえば江合川というような場所、二、三箇所に限りまして、特に大蔵省折衝いたしまして、だきるだけこの問題について、現場実情も調べ、実績に応じて必ず解決いたすようにしたいと、話を進めつつあるよりな実情でございます。  次に田中遊水池の問題でございます。囲繞堤をやめてはどうかというお話でございますが、これは実は單なるあそこの増産だけの問題ではなくて、先ほど内海先生からもお話がありましように、二千立米の水を調節する、いわゆる洪水の参りましたときにそのピークをこれで加減しようというためにやつておる工事でございまして、たまたまその工事がなかなかはかどらないために次から次へと災害を受けまして、国費を濫費したという御非難を受けます点は重々ごもつともと思いますが、まる程度の堤防をつくりまして、これを大洪水となりました場合には、そのピークを切るというのでなければ、普通に水をそこへ入れておりますれば、たまたま洪水が来ましたときに調節役目をなさないために、囲繞堤をつくりまして、そうして中洪水の場合はピークを切りまして、そうしてこれを助ける、こういう考えのもとに進めておるような実情でございますから、この田中遊水池の問題は今後も早くあの囲繞堤を完成いたしまして、その効果を発揮したい、こう思つておる実情でございます。  その次に利根の根本的な治水の考え方に対する御質問でございまして、実はこの点につきましては、われわれといたしましても非常に頭を悩ましている問題でございます。何しろこの根本計画実施するためには、約千億に近い金が必要であるというために、現在の公共事業費からいたしますと、なかなか早急な解決はつかない。しかもどこから手をつけるにいたしましても、相当大きな金がいります関係上、私の方といたしましては工事実施については苦慮いたしておるわけであります。ただ荏苒としてそのまま日を送つておるわけではありません。少い金ながらも最も弱いところから手当をいたしておるわけであります。特に急いでおりますのは下流排水関係でありまして、これにはまず江戸川開鑿考えまして、これから流れを落しまして、下流を軽くいたしたい。これにつきましては本年度から見返り資金もつくという予定になつておりますので、とりあえずこれを入れまして、早急に基礎工事を進捗したいと考えておるわけであります。なお上流ダムにつきましても、いろいろと湖底に沈む土地の問題につきまして議論があり、摩擦が多いのでありますが、摩擦のないダムから一日も早く手をつけて、下流の負担を軽くして行きたいと考えている実情であります。
  5. 池田峯雄

    池田(峯)委員 田中遊水池の御答弁ではなはだふに落ちないのですが、たとえば堤防を置いて、一定限度洪水が来たときにこれを越させることによつてピークを切る、そうすれば非常に効果があると言われる。効果があるならば、全国どこの遊水池もそういうような囲繞堤をつくつてピークを切る役目を果させたらよかろうと思うのですが、そういう遊水池田中遊水池しかない。しかもあの田中遊水池囲繞堤と申しますのは、本堤と同じくらいの高さにしておるということが一大問題なんであります。これが茨城県側の堤防に大きな圧力を加えておる。ピークを切るといいますが、ピークにならない前に水を遊水池の方に流せば、それだけ堤防の保全に役立つのではなかろうか。洪水が大きくなつて堤防を越したから水の高さが低くなるということよりも、遊水池を初めからあけておけば、それだけの高さにならないで、危險な、ピークにまで達しないのではないか。水が堤防を越してピークが切れるから遊水池効果が発揮するのだというのはどうも納得が行かないのであります。技術的に全国どこでもそういうことをやつておるのでありますか、それをひとつお聞きしたいのであります。
  6. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいまの田中遊水池の問題でありますが、私の申しましたのは、あまり大きい洪水でない場合に水を入れておきますと、大洪水の場合にそれだけの調節の作用が足らなくなる。だから中洪水の場合には、なるべく水をあけておきまして、大きい洪水のときに入れる方がよほど調節になる、こういうことを申し上げたわけであります。     〔委員長退席内海委員長代理着席
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 しかし遊水池の高さは、洪水と同じ高さになつておりまして、普通の水はそこに入りましてもすぐ出ます。水がたまつておるというようなことは、とうてい考えられないところです。中洪水のときに水が入つてたまつてつては、大洪水のときに間に合わないということですが、現在の囲繞堤のあのくらいの水門では、一ぱい水が入ると、次の洪水までにはき出すことはとうていできない。大体排水設備があんなへんな所についておつたのでは、とうていそういう能力はない。だからむしろ堤防はあけておく。そうすれば中洪水が入つても、川の減水と同時に水が引くことになるのではないか。その点まだ納得がいかないのですが、いかがですか。
  8. 伊藤大三

    伊藤説明員 これは何べん申し上げても同じことになるかとは思いますが、実は初めから入つているのと入つていないとの場合においては、あそこへ水を收容する場合は相当違うのではないかと私は思うわけであります。今たとえば長雨によりましてうんと湛水しておるときに、大きな水が来ましたときにおいて、その洪水の頭を切る場合を考えましても、おそらく水が入つている場合よりは入つていない方がそのピークを切るには非常に役立つのじやないか、こう考えるわけであります。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 どうもよくわからないのですが、あそこの遊水池でどのくらいの水を調節するつもりなんですか。
  10. 伊藤大三

    伊藤説明員 計画では二千立米ということになつております。
  11. 池田峯雄

    池田(峯)委員 それで中洪水の場合には堤防で支えておいて、入らないようにしておく。そうして大洪水の場合に入るようにしようこういう御意見はわかつているのです。しかし中洪水の場合にあそこへこの水が入つてつたとしても、堤防があるとないとでは入つておる水の量が違うのです。たとえばこの間の水にしても、そんなに大洪水じやないのに、もうあの堤防がこわれてしまつて、実際にはあの遊水池に水が満々と浸つていたのです。そういうわけですから相当強固な堤防でなければあの利根本流を支えるだけの力はないのでありまして、毎年々々あの堤防がこわれているのもそういう事実を証明していると思うのです。そこで強固な堤防にいたしますと、茨城県側の方の堤防が非常な圧力を加えられる。そういうわけで何でも最初の計画は非常に低い堤防つたそうでありますが、それがだんだん高くなつて、本堤と同じような高さになつているということです。こうなりますと、なるほど非常に危險な大洪水の場合には口をあけておいて、そうして堤防を越してピークを切る、そういうときには効果があるかもしれませんけれども、その前にあの囲繞堤が去年も一昨年も持たないですでにこわれてしまつておる。ですから実際にはあなただちの思うような効果は発揮しておらないということです。囲繞堤がこわれないで持ちこたえていればいいのですけれども、たいていの水でこわれて水が入つてしまうのです。だからあなたの言うようなふうにするためには、もつと頑強な堤防をつくらなければならぬ。頑強な堤防をつくると利根本流がその堤防に当つて、それがまた茨城県側の対岸に当つて、そして今度は茨城県側の堤防を非常に脅威する。こういうことになるのです。それからそのピークを切るといいますけれども、ごく小範囲の堤防を低くしているわけです。何メートルですかほんの少し低くしている。ここに溢水して流れ込む、こういう形になつております。しかしそういうものは利根本流がほんとうに危險状態にまで流れて来た場合に、はたしてそこからあふれ出すだけで、ピークが切れるかどうか。むしろ水の方が待つていられなくて、囲繞堤を破壊して中になだれ込む、こういうことになつて来るのではないか。そういうことになりますと、事実上ああいう囲繞堤などというものは無価値なものになるのではないか。あつてもなくても水は遊水池の方に流れ出す。こういう本質を発揮して、堤防をつくてもこれをくずしてしまう。こういうことになつてしまうのだから、むしろああいうものをなくしておけばいいのではなかろうか。それからためて置くと大洪水のときに役に立たないといいますけれども利根の水は流れるのが早いのでありますから、たとい長雨であの遊水池に水があふれておりましても、ちよつと時間があればたちまちこの水が流れてしまう性質を持つておるのでありますから、大洪水の場合のピークを切るというようなことは、これはそう心配しなくてもいい問題ではなかろうか、私はそういうふうに考えているわけです。それに対して、もつと技術的な説明をされたいと思います。
  12. 伊藤大三

    伊藤説明員 今の囲繞堤の問題でありますが、いつも工事半ぱでなかなかでき上らぬものでありますから、本年こそはというので一応二メートルほどのものを考えておつたわけでありますが、なかなかそこまで行かぬうちにこういうことになつておるのであります。ただ、今のように入つた水がすぐ出てしまうからあいている、こういうお話でありますが、これはそういう意味でなしに、だんだん利根の水が上つて来た場合におきましては、どの時分にここに入れればいいかということが問題でありまして、初めから入れておくのがいいか、ある程度の高さまで来たときがいいかというと、だんだんピークになると従つてよけい水が入る、こういうつもりでつくつておるので、時間的に前の雨水が入つているということでなしに、利根の水がある程度の高さに来ると入つて来る、初めの低いなりから入れずに、ある程度の高さまで来るとそれを入れる、そうして大きなところまで入れて行く、こういう考えの高さであります。高さは、私も代表して来てこういうことを申し上げて申訳ありませんが、本堤より低くできているのであります。決して本堤と同等の高さまで行つていないと承知いたしております。
  13. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そうすると、遊水池はそういうふうにすれば効果を発揮するとすれば、全国どこの遊水池もそういうふうにしたらどうか。あそこの遊水池だけああいうふうにして、ほかの遊水池はそういうふうにしないというのはどういうわけですか。
  14. 伊藤大三

    伊藤説明員 これは私は場所にもよることと存ずるのであります。たとえば赤麻沼遊水池にもそういうような計画考えておつたと思います。方々の遊水池もそれをやればいいのでありますが、それを囲つて入れるということは、なかなかいろいろ困難な地元事情もありまして、全部がそういうふうにやられるというふうに行つておりません。ただあそこはすでに私の方で全部買收いたしておる土地でありますので、まさかのときにおきましては、水につけてもかまわないというところであります。遊水池におきましては、いろいろの関係もありまして、なかなか困難な事情もありますので、その点全部それがやられるということではありませんが、技術的に考えてそうすることが得策のところもありますし、それほどしなくてもよいところもあります。
  15. 池田峯雄

    池田(峯)委員 御承知小貝川佐貫と藤代の間の鉄橋のところにある遊水池は、多分昨年の洪水であそこの堤防がこわれて、それからあそこのたんぼ遊水池になつておるわけですが、このこわれた堤防は約三間くらいのところでありまして、先ほどの田中遊水池と同じくらいにちよつと直してくれますと、ふだんの水ですとたんぼがとれ、実際に耕作物が助かる。ところがここはどうかというと、その三間くらいの破堤を直すどころか、ますますこれを拡大して、堤防をどんどんくずして、その上をほかへ持つてつております。そのためにここの遊水池はほんのちよつとした水ですぐ一ぱいになつてしまう。実際そこは別用いたしますと相当作物がとれるにもかかわらず、そういうことをやつておるのであります。だから建設省のやることは、あつちでやることとこつちでやることと、私に言わせると全然合つていないということになるのです。そういうように時と場合によつていろいろ違うといいますけれども、あの常磐線佐貫の駅の近くの遊水池の場合にはそういう例がある。田中遊水池の場合には莫大な金をかけて、大洪水のときには必ず水の中に沒し、必ず破壊される。堤町の修繕を一生懸命やつておる。こういうのは、理論はどうか知らぬけれども、首尾一貫しておらぬではなかろうか。こういうふうに考えるわけですが、いかがですか。
  16. 伊藤大三

    伊藤説明員 私も全国の全部のものを見ておるわけでまりませんので、ただ私は田中遊水池の問題につきまして一応の計画お話申し上げた次第であります。決して事務的に考えまして、政策を加味していろいろごまかしておるという問題ではないということだけは、私もはつきり答えられます。ほかの遊水池的に扱われておる所がどういう実情になつておるか、それは私ははつきりつかんでおりませんから、そのいろいろな事情を聞いてみないと、はつきり私としてお答えできない、こういう実情でございます。
  17. 淺利三朗

    淺利委員 今田中遊水池の問題がありましたから関連して一、二伺つておきたい。あの遊水池現状を見ますと、ほとんど草ぼうぼう、耕作地としての跡形もなくなりておるのですが、これは従来もああいう草生地であつたのか、あるいは水害後ああいうふりになつたのか。その点を一応お伺いしたい。  その次には、この遊水池を設定するために堤防をつくる。前面にも堤防がある。そうすれば遊水池に水が入つて来るということになると、従来より激甚な水害をこうむることは当然であります。その場合に、遊水池に指定し、そういう施設をする場合に、そういう土地所有者に対して、あるいは買收してあるのか、あるいは被害をこうむつた場合には補償するのか。その遊水池と指定せられる前の原形であつたならば、水が引けばその場所も水が引いて、長い間の被害がない。しかし堤防に囲われ、ポンプによつて排水するということになれば、相当期間水をかぶつて、農作物は皆無になるおそれがあるのであります。そういう場合には何か政府がこれに対して補償するのかどうか。そういう点について念のために伺つておきたい。
  18. 伊藤大三

    伊藤説明員 田中遊水池は、私もはりきり昔のことは知りませんが、民有地であつたのを買收いたしまして国有地としておることと思います。もしこれが、私の聞いたことが間違つておりますればまた訂正いたしますが、大体国有地ということになつておるはずであります。中で耕作する者については、水をかぶつてもしかたがない、それを承知の上ということで入つておりまして、決していざこざ言わないということで入つておるはずであります。
  19. 淺利三朗

    淺利委員 そこで将来の問題ですが、これと類似したことが北上川治水計画に一つあるのであります。先般私が申し上げた通り、北上川の治水計画は当初五千五百立米計画でありました。せんだつて五千個と申し上げたのは間違いであります。ところが、その後洪水量が七千立米なつたということから、五箇所のダムによつてこれを調節するという計画になつておりますが、さらにアイオン台風、カザリン台風の際には九千立米水害があつたという現状になつております。そこで北上川の治水計画ではどうしてもこの上流の水をはけ切らないために、一ノ関の少し上の長島、舞川というところに遊水池を設けるという形勢になつております。当時私はこれに対して質問いたしたのでありますが、従来は両岸とも堤防がないから、その被害は広い範囲においてこうむつておる。であるから長島、舞川の地区もその被害はあまり多くなかつた。一日か二日で水が引いてしまつた。ところか今度は両方に堤防を築くとなりますと、狹い範囲において被害を受けるのでありますから、今まで二日こうむつたものは三月も四日もこうむるということに当然なります。一部の場所遊水池として指定したために被害が甚大になるという場合には、こういう広大な面積を買收するか、あるいは万一被害があつた場合これを補償するかという問題があるのであります。さきに上流におけるダムによつて電源が開発されて、それによつて利益を得るならば、この北上川水系の水利統制の結果、一方に利益するところがあり、一方に犠牲があるというならば、その犠牲に対しては補償すべきではないか、そういう点をどう考えるかということを、かつてプライベートに伺つたことがありますが、この点は明確にならぬのであります。そういう場合には、まだ現実の問題でありませんけれども、もしこれを実現されるとするならば、田中遊水池のごとく、その土地を買收するのか、あるいは補償によつて被害の増加したものを見てやるのか。そういう点についてどういう考えを持つているか伺つておきたいと思います。
  20. 伊藤大三

    伊藤説明員 北上川の改修計画遊水池の問題ですが、実は私ははつきりとそこを見ておりませんからいずれよく調査いたしましてから、お答えいたしたいと思います。
  21. 淺利三朗

    淺利委員 重大な問題でありますから、ひとつ御調査願います。
  22. 小平久雄

    ○小平(久)委員 先ほど内海委員小貝川災害報告の中にも、利根川の水が非常に水はけが悪くなつていることがその原因ではなかつたかという御説がございましたが、御承知のように、これは全国の河川同様でありますが、利根川につきましては、近年の打続きます災害によつて、河床の隆起ははなはだしいものがあるのであります。そういう点から考えまして、利根水系の堤防の強化ということも、もちろん必要でありますが、この水系付近の住民の要望として、今や堤防の強化とともに、あるいはそれ以上に、この河床の浚渫ということがとなえられているのであります。その点から、一体利根の水系の浚渫の計画というものは現在どのように進んでいるのか、また将来どのように進もうとなさつているのか、まずこの点をひとつ承りたい。
  23. 伊藤大三

    伊藤説明員 利根川の河床の浚渫の問題につきましては、本年度におきましても、下流におきましては相当な金を入れまして、ポンプ船がたしか三台入つていると思います。そうして浚渫いたしましての吸い上げた土を千葉県の低濕地にはき出させてやつているような実情でございます。なおできるだけだんだん上流に進めて行つくもりであります。それから上流から流れ出す土砂を防ぐために、砂防工事につきましても相当重点的に力を入れているわけでありまして、本年度の見返り資金につきましても、六億ほど利根水系に投じているような次第であります。
  24. 小平久雄

    ○小平(久)委員 利根の水系に三隻からの浚渫船が入つてつているというお話でございましたが、その程度のことは私も実は承知しているのですが、一体どの辺までやつて、あるいは二十六年度においてはどの地点を浚渫するのか、もう少し具体的に伺いたいのです。
  25. 伊藤大三

    伊藤説明員 大体佐原から下流の方に今入れてやつているわけです。そしてポンプ船で吸い上げたものを千葉県の低濕地にはき出させて、そこで土地の造成をやるような計画を進めております。来年度の問題につきましては、まだ予算の問題も考えなければならぬので、はつきり申し上げる段階には至つておりません。
  26. 小平久雄

    ○小平(久)委員 先ほど来遊水池の作用等についていろいろ質疑がございました。一般の河床の隆起ということは先ほど申したのでありますが、遊水池の場合は、その沼底の隆起というものは、絶えず水が遊んでいるのですから、一般河床の場合より以上にはなはだしい。例の赤麻沼にも遊水池がございますが、あれなどにおいても、土地の人の話では最初からでは二丈余も上つておるということなので、最近は、あえて堤防が決壊するような大水ではなくても、この遊水池をめぐる耕地というものは、沼底よりむしろ低いところにできてしまつておる。それで少しくらいの水でも一向水がはけないということで、赤麻沼の場合は八つかと思いますが、排水機が方々にできておつて、今後ますますこれを拡張し、あるいは浚渫しなければならぬというような事態に今や至つておる。今年なども、あの沼をめぐつておそらく数百町歩あるいは数千町歩の土地が、内水の排水ができなかつたために、收穫皆無といつたような悲惨な状況に追い込まれておるのであります。そこでこういう事態をながめますると、われわれから申しますならば、こういつた事態になるのであろうということは、ああいつた遊水池を設けた当時においてすらまず常識的に想像し得た事態だと思う。しかるに排水という関係については、建設省の方では所管外だというのであまりかまわぬという事態に置かれておる。むしろ土地改良といつたような関係においてこれが農林省の所管になつておる。そこで少くも遊水池をつくる、あるいは現にできておるところもありますが、これをめぐる内水の排水という問題でありますが、これはわれわれからするならば、いわば遊水池の附帯工事ということで、当然建設省があくまでも責任を持つてつて行くべきことじやないかと考える。毎年のことでありますが、今できております排水機などを考えますと、毎日々々水を吐く、しかしながら実際は上の方の水を吐いておるのでありまして、ほんとうに経費を負担する土地の水は一向に吐けない。しかも結局は経費を負担するところは收穫皆無になつてしまう、こういつたことなので、排水機という施設が決して排水機のある場所のためでも何でもなくなつてしまう。その作用は純然たる公共のものになつておる。そういう点から考えて、今後排水機の施設あるいはそれの維持費、管理費こういつたものについては、建設省があくまでも責任を持つて、国の負担においてやつて行くということにわれわれとしてはしていただきたいのでありますが、この点は農林省との関係もあつて建設省だけの御答弁を願つてもどうかと思うのでありますが、一応建設省考えを伺つておきたい。  それからまた遊水池の中に少しくらいの出水の場合には水が吐けるというしつかりした水路をつくつておくことがどうしても必要だと思う。現在のままでありますと、遊水池内の水路がしつかりしてないために、少しくらいの水でもすぐ遊水池一ぱいに水が広がる、またそのために内水も吐けない、こういう状態なのですが、この遊水池内の水路をつくるという点について、特に私は赤間沼のそばの者でありますから、もしわかれば赤麻沼遊水池内の水路について現在建設省はどんなふうに考えておるのか、この点をひとつ承りたい。
  27. 伊藤大三

    伊藤説明員 建設省といたしまして、実は河川の水の排除に汲々としておりまする関係上、いまだ惡水の排除まで手がまわらないという実情で、申し訳もございませんが、かたがた惡水の排除の問題は農林省との関係もございます。これの解決がつきまして、私どもといたしまして、これらの川の水の排水という問題を一日も早く解決するのと同時に、あわせてこの内水の問題もこれからだんだん手をつけて行きたい、こう思つております。予算の関係上どれだけ手をつけて行けるか、今のところはつきり申し上げる段階にはなつておりません。ただ、決して惡水を全然考えていないというわけではなく、たとえば岐阜県あたりでも、この点につきましては相当力を入れておるような関係でありまするから、農林省との協定もつき、そして予算でも相当にいただけるということになりますると、その方面にだんだん手をつけて行かねばならぬか、こう思つておるわけであります。現在まだそれまでについて十分な成算を立てておりません。今後十分考えて行きたいと思つております。  なお赤麻沼につきましては、従来の渡良瀬の土砂の堆積によりまして、あそこがあまりにかわりました関係上、渡良瀬の本流をどうつけて行けばよいかという問題が今問題になつておるわけでありまして、あれを右へまわした方がいいか左へまわした方がいいかという問題につきまして、いろいろと検討はいたしておる実情であります。
  28. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ただいまの御答弁で大体了承したのであります。惡水云々という御説明でありますが、われわれから考えれば遊水池をつくる、従つて内水の排水という問題は当然考えるべき、また附随した問題であつて、もともと遊水池がなければああいつた事態は起きない。国家がああいつたものをつくつたからこそああいう問題が起きている。しかもつくつた主管省は建設省だ。であるから少くとも遊水池を特に設けた場合の内水の排除という問題は、あくまでも建設省の責任において解決して行くという意気込みがなければならない。河水と惡水と区別して、惡水は農林省の方であるから逐次やつて行こう。建設省としては直接の管轄じやないといつたような考えが若干私はあるのじやないかと思う。そういう考えを捨ててもらつて、これは建設省の仕事の当然の随伴物なんですから、あくまでも建設省が責任をもつてつて行くのだという建前にひとつしてもらいたい。土地改良の予算も農林省にあるのですから、これをこういつた特殊な場合は建設省に移して、河水の方と首尾一貫した施策をやつてもらいたい、こういうのが私ども考え方なんであります。重ねてこの点ひとつ御意見を承りたい。
  29. 内海安吉

    内海委員長代理 ちよつとお諮りしたいのですが、ただいま小平さんの御質問は農林省と、いわゆる農業土木及び建設土木の両方にまたがつての御質問のようですが、この際答弁は便宜上ちようど今泉建設交通局次長がお見えになつておりますから、公平な立場におられる、両点にかけて答弁のできる今泉次長の答弁の方がいいのじやないかと思います。
  30. 小平久雄

    ○小平(久)委員 けつこうです。
  31. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 ただいまの御質問の点、海岸提防等の問題で工事建設省がやつておるが、影響は農林省であるというような点で、両方の当事者の方で積極的に自分の方に予算関係、その他の仕事をまかせてくれという問題と、逆にこれはおれの方の仕事じやないから建設省でやつてくれ、あるいは農林省でやつてくれというような問題が今の御質問の趣旨のほかにもちよちよいございます。こういう問題は根本的には安本といたしまして、そういつた積極、消極面の仕事の分界、予算の調整等はできるだけ事前に調整するようにはやつておりますが、なおそれだけでなくして派生的にもいろいろな問題が出て参つております。今の問題もやはりその一つの問題でございまして、安本といたしましても両省にまたがるような問題でございますから、その点とくと両省とも打合せいたしまして、その積極、消極の衝突のないよう合理的にできるような、今後とも十分意を用いてやつて行きたいと思います。
  32. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ただいまの安本の建設交通局の次長さんのお話は、両方うまく積極面、消極面、按配を調節しておやりになるというようなことですが、先ほども申しましたが、建設省でやる工事に当然随伴して起る現像、その悪影響を防ぐということは、あくまでもやはり建設省に責任をもつてつてもらうととが一番いいのじやないかと思うのです。安本としてもう少し積極的な考えはございませんか。機構上というか、仕事の管轄上、これは一貫して建設省に責任をもつてやらせる、こういうお考えはございませんか。
  33. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 この問題は私としてはまだ真劍に検討したわけではございませんので、今日責任を持つて建設省に一貫してやらせるということをここで御答弁する域に達しないのを残念に思いますが、なるべく御趣旨に沿うように調整をはかつてつて参りたいと思います。
  34. 増田連也

    ○増田(連)委員 しごく簡單建設当局にお尋ねしておきたいと思います。ただいま小平委員から質問されたことにも関連しておりますが、渡良瀬川は御承知通り利根川の支流の中の最も惡川といわれる川であることは満目の見るところであります。今この渡良瀬川の上流を桐生地点において倍以上に広げました。これはけつこうなことでありますが、その下流の群馬県毛里田村に三千町歩ばかりの遊水池同様になつた無堤塘の土地があつた、これに堤防をつくる。これもけつこうなことであります。しかし下流に流して来る水は今までよりも非常に多量に、急激にやつて来るととは、火を見るよりも明らかであります。またその下流の足利寄りの無堤塘のところに堤防をつくつたから、それがますます下流に重圧を加えております。上流地方においてこうした堤防のなかつたところにつくるとか、あるいは地域を広げるとか、けつこうなことですが、これはやはり下流の受入れ態勢ができておるかどうか、これをにらみ合せてやるべきものであると思いますが、下流には一切関與せずしてやつておられるが、下流堤防は非常に軟弱の地点にあることは建設省が御承知の通りであります。その下流方面において堤防を強化するとか、あるいは低水工事をやるとか、あるいは特に赤麻の遊水池三千町歩を掘鑿しなければ、とうてい下々はのみきれぬと思うのですが、新聞紙の報ずるところによりますと、百馬力の浚船が二艘ぐらい入るようでありますが、こんな子供じみた仕事では、とうては赤麻の遊水池三千町歩の浚渫はできないと思います。私は少くとも一千馬力ぐらいの浚渫船を入れなければ、百年河清を待つものではないかと思いますが、これはこの渡良瀬川の下流における受入れ態勢、あるいに堤防の強化とか、あるいは低水工事とか、赤麻の遊水池の浚渫については、どういう方策をとられるかをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 伊藤大三

    伊藤説明員 渡良瀬川の河床を広げたことにつきましては、先ほどお話があつたのでありますが、上流におきましても、なるべく川幅は狹めずに、できるだけ河道で調節して行きたいという考えとともに、その流域の大きな都市に水害をこうむらせないということは、これはどうしても考えなければならぬことだと存じます。そこで今のように桐生とか、あるいは足利におきまして、堤防をつくりましたために、下流に非常な水害を及ぼす水を持つて来る。この問題につきましては、上流下流との関係を十分考えていないではないか、こういうお話もございましたが、ただ足利あたりにおきましても、相当あの川幅を広げましたために、あれによつてある程度河道の調節もできるものと存ずるのであります。ただあの下へ参りまして、一つ大きな出つぱながございますので、あの問題がいつも問題になるのですが、あれである程度また下流上流との調節はいたしておるつもりでございます。  なおあの山から下の問題につきまして、堤防の薄弱な問題がございますが、渡良瀬川につきましては相当維持費がいるのでありまして、維持費が相当かさんでいるわけであります。ただ上流からの砂の問題が今では大きな問題でございますので、渡良瀬川の上流につきましては、今年度におきましては約二億五千程度のものを入れまして、なるべく土砂の押出しをとめるように考えておるわけでございます。  なお赤麻遊水池の浚渫の問題につきましては、これはいろいろのお話もございますので、ひとつ十分検討いたしてみたいと存じておるのでございます。     —————————————
  36. 内海安吉

    内海委員長代理 次に去る八月九日より七日間、本委員会より只見川地方調査に参りました派遣委員調査報告を求めます。田中委員
  37. 田中角榮

    田中(角)委員 さきに本委員会より派遣を命ぜられたる只見川水域中、なかんずく奥会津総合開発に関する部分の調査報告いたします。  只見川班出張議員は砂間一良君と私の二名でありましたが、中ごろより委員長藥師神君が参会し、專門員室より坂本君、建設省より井上君が同行いたし、去る八月九日出発、同月十二日帰京いたした次第であります。  今回新潟、福島両県へ国政調査に参り、只見川流域のいわゆる奥会津地域の総合開発につきましては次回の委員会において報告いたすことにしたいと存じますが、その報告の一部として総合開発地域に関係ない建設行政について、特に災害を中心として先に御報告申し上げたいと思います。  まず第一に海岸浸蝕の問題についてでありますが、日本のような島嶼では各地にかかる災害は多々見受けられるのでありますが、今回は新潟市における災害及び福島県の太平洋岸の災害について視察して参りました。     〔内海委員長代理退席、委員長着席〕  新潟市西海岸の海岸浸蝕は信濃川河口新潟港西防波堤より南西五キロにわたるものでありまして、最も浸蝕をされた部分は大正三年よりすると四百メートルも後退し、年平均浸蝕土量は三十万立米ないし四十万立米と推定せられます。この浸蝕の原因については種々考えられる要素があるようでありますが、根本的調査につきましては、昭和二十三年八月新潟県海岸対策委員会を設置し、中央出先機関の協力を得てすでに三回の中間報告を発表するとともに、その原因の科学的究明及びこれが対策につきさらに調査研究中でありまして、正確な結論は本委員会の研究結果をまたねばならないと存じますが、その原因簡單に申し上げますれば、日本海の風波が絶えず砂浜を撹乱洗掘し、また潮汐や沿岸流も砂を移動せしめるものでありますが、特に日本海沿岸においては冬季間の強い北西風に原因して、海岸線の浸蝕ははなはだしいものとなつたのであります。これが大正三年ごろより始まり、六年末期ごろよりさらにはなはだしくなつて来たのは、信濃川の改修計画に基き大河津の分水放水路が完成したため、上流よりの土砂が大部分放水路に流入する結果、放水路完成まで本川河口まで上流土砂が運ばれ、さらに日本海に押し出されたとき、日本海特有の北西風によつて汀線に附帶され、大体北西風によつて持ち去られた砂の量にひとしい程度のものが附帶するので、当時は何ら汀線に変化が見られずにおつたわけでありますが、放水路の完成によりその土砂の押出しがとまり、北西風による浸蝕のみが行われるに至り、今日に至つたと言うことができると考えられます。  現在までこれが対策につきましては県当局としても種々腐心をしておりますが、現存の砂丘がさらに浸蝕されますと、冬季は新潟市は波風にさらされる結果となり、ゆゆしき問題となりますので、西突堤付近は新潟港の浚渫土砂を押し出して、浚渫土砂に対する補給を行い、一応の成功を見ておるのであります。また元測候所付近以西は、強力なる丁字型潜堤を、浸蝕された現在の汀線より約百メートルも突出せしあて現在まで四箇ばかり完成、昨冬それによつて砂の持ち去ることは一応とまると同時に、さらに州が付着し始めたようなわけで、この丁字型潜堤は一応成功したものと考えられ、今後さらに西の方に二キロにわたつて構築する予定となつている。これが完成するまでの応急策としては、一応汀線に木柵護岸を施す計画になつております。  新潟市附近が土砂が持ち去られている反面、大河津の放水路の出口の両側にある寺泊港附近は信濃川からの土砂のために州が生長し、寺泊港の使用が不能になりつつある状況であります。新潟県下には各所にかかる地点がありますが、県当局も大体の施行方法も探究せられた今日、ぜひ予算の増額方を要求しておりました。海岸浸蝕は日本海のみではなく、太平洋岸においても見られ、特に福島県下においては相馬郡新地村釣師、大戸浜、中村町原釜、雙葉郡福浦村浦尻、浪江町請戸、富岡町毛萱海岸等は特にその被害は甚大でありまして、その防災対策の急が強く要望せられております。本県の海岸浸蝕の原因については、県当局の研究調査にはいささか徹底を欠く点があるように見受けられますが、その概因は県下海岸延長百六十キロが、大部分は天然海岸であつて、随所に突出している砂岩たる土丹岩により、砂浜の浸蝕をまぬがれていたのでありますが、最近此の突出した砂岩の小岬はきわめて軟質なため、太平洋の激浪により年々四、五メートル浸蝕崩壊して行く実情でありまして、ために太平洋の激浪が直接砂浜に、あるいは底流れの変化等によつて安定状況にあつた砂浜は流失せられ、直接海岸堤防護岸にぶつかり、あるいはこれを破壊し、年々約一億円余の被害を出しており、また人家あるいは耕地に直接恐慌を與え、浸水面積八千町歩、人家移転流失五十戸にも及ぶに至つたのであります。この科学的調査による対策も必要なことは事実でありますが、いたずらに予算の要求のみに終始することなく、県当局はこの報告でさきにも申し上げた、新潟県の対策委員会の成果を研究参考とすべきであろうと思います。これらに対する建設省当局の指導も不十分であると存じます。しかしながらこれまでに受けた災害の復旧あるいは一応の対策、堤防護岸に対する予算については、当局も無関心であることは許されぬところであります。過去五箇年間における被害を集計しますと、主要八箇所で、その破堤延長五千五百九十三メートル、浸水面積六百五十二町歩、浸水平均〇・三メートル、家屋移転流失七百戸、道路八千八百九十メートルに及んでおり、また五箇年間に支出された災害復旧国庫補助額は一億三千万円になつております。  新潟市の海岸浸蝕に比較すれば、その経済効果は多少相違はありますが、当局としてはこれをそのまま放置しておくことは許されないのであります。そこで来年度より海岸浸蝕防止費とでも申すべき項目を新たに設けて、この対策を徹底してはいかがかと存じます。  次に阿賀川及び阿賀野川直轄改修及び災害復旧工事について申し上げたいと存じます。まず阿賀川の直轄改修工事についてでありますが、本直轄事業は大正八年より実施し、全体の約八〇%を完成しており、目下重点は九百町歩の水害除去に役立つ宮川新水路の完成及び同じく二千町歩の経済効果を有する湯川新水路の開鑿であり、前者は来年度完成を期し、後者はさらに推進を地元は要望しております。  この阿賀川には日橋川、大川、只見川の三大支川を持つているのですが、日橋川は猪苗代湖より、大川は会津盆地においてきわめて乱流しており、大出水時よりもむしろ中出水時において流心が堤防に直角に当り、災害を招くような川であり、また只見川は最近世論に言われる豊富な電力資源を有するきわめて水量の多い川で、三支川ともそれぞれ特色を持つております。先日の八月災害では約三千万円の被害を受けており、堤防の決壊寸前というのがありました。地元としては、直轄工事に対してその技術には信頼するが、とかく災実復旧費が遅延をきわめて、むしろ復旧面としては、県事業である方がよろしいと申しておりまして、復旧費の早期支出に対する要望を受けて参つたようなわけであります。当局もひとつ阿賀川のみが直轄工事でないのであります点からして、地方民の気持は他も推して知るべしでありますので、十分改善に努力していただきたいと存じます。もしこの点で改善の余地が見受けられるならば、われわれは協力してその改善に努力を惜しむものでありませんことを当局もよく知つておいていただきたいと存じます。阿賀川は新潟県に入るまでに現在七箇所二万七千キロワツトを発電、他に五箇所一万キロワツトの電力を得ることができる状況であります。この川は新潟に入りますと、いわゆる阿賀野川となりまして、本邦第八位の河川として日本海に注ぐのであります。この川は二つの地建、すなわち阿賀川が東北地建、阿賀野川は関東地建の工事担任となつておるのでありますが、当局はなぜ天龍川同様これを一地建にまかせないのか、特に理由があれば明らかにされたいと存じます。この下流はやはり乱流し、中出水が最も危險であり、目下工事災害復旧とともに実施しております。なお本川下流国道十号線の橋梁は従来木橋であり、年々災害を受けるので、今度見返り資金より三億五千五百万円を活用し、総事業費四億六千万円の永久橋をかけることに決定いたし、私たちが参りましたときは現場事務所の建築にとりかかつてつたようでありました。  次に福島県下の災害について申し上げますれば、二十二年災害より本年度七月までの災害査定額は三十一億でありまして、二十五年度末にはその約五九%を完成することに相なります。また八月三、四日の豪雨による災害は約五億円でありまして、本年度災害の査定済みのものと合しますと、約七億円余と相なります。過日八月二十九日には予備費より四千万円配付されたようでありますが、県としても財政逼迫の折、国庫補助金を一日千秋の思いで待つております。当局はよく事情を再認識せられ、安本、大蔵省も大いにつつついて早急なる支出に努力されることを要望いたします。  次に阿武隈川上流福島県側直轄工事についてでありますが、上流で重点となるべきは、福島の西方より流れて来る荒川の徹底的土砂杆止と本宮町附近の改修工事でありますが、後者については地元相当協力して実施してはおりますが、種々意見を有するようでありますので、当局出先もよくその意見を聽取するとともに、納得の行くように不断の説明を怠らぬようにしてほしいと考えます。  最後に郡山、福島間国道四号線道路改良についてでありますが、四七・九キロ中改良済みが鋪装部一九・八%、全体で三一・五%にすぎないので、未改良部分には自動車の行違いにも支障のある状態で、県担工事として県が改修実施し非常に良好な結果をあげているのでありますが、とかく改修工事を直轄に依存する傾向のある今日、県営にてかつ経費を節減して良好なる結果を得たことは、直轄工事に対する一大警鐘であると考えられるのであります。だが現地を調査して深刻に感ずることは、道路予算の僅少ということであります。大蔵、安本当局の道路に関する観念を根本からかえてかかる必要があると同時に、建設省当局ももつと熱を入れ、理論的裏づけを示し、理解を得つつ予算の獲得を一層強力に進めるべきではないかと考えます。幸い当委員会に道路小委員会もあることなのですから、もつと当局の活発な動きがあつてしかるべきだと存じます。  以上は奥会津総合開発関係を除きました今回の視察報告であります。  以上に対し建設省当局意見があれば聽取いたしたいと思います。
  38. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 ただいまの田中委員災害視察報告につきまして、関係当局の御答弁もあろうかと思いますが、議事の進行上、後に一括することにいたしまして、先日四国、近畿地方を襲いましたジエーン台風による災害の概況について、この際関係当局説明を聽取いたしたいと思います。
  39. 伊藤大三

    伊藤説明員 過般のジエーン台風によります被害部分の状況だけを簡單に申し上げてみたいと思います。  ジエーン台風の進路は、大体本土に近づきましてからは、室戸を中心が通りまして、徳島の北端をかすめて尼崎あたりから北に拔けまして、そうして日本海からずつとまた北海道の一部をかすめて東北に拔けておるのでありまして、この被害の一番大きかつたのは、何を申しましても大阪府でございまして、その次が兵庫、それから徳島というように、私の方の関係からはなつておるのであります。ただ今回の災害は、中心附近においては雨が非常に少かつたものですから、豪雨による被害は比較的なかつたのでありますが、この台風の伴いましたところの高潮によりまして、大阪並びに兵庫附近において甚大なる被害を及ぼしたのであります。中心におきましてはそうでありましたが、中心から若干離れました所におきましては、相当の豪雨も伴いました。たとえば徳島市においては、測候所始まつて以来の稀有の時間雨量があつたというような報告も受けておるのであります。大体の被害は総額にいたしまして、ただいままで報告にありました分につきましては、百五十八億、約百六十億程度になつておるのであります。それから直轄関係災害につきましては、今まで報告のございましたのは三億四千二百という実情になつておるのでございます。なおこの被害額につきましては、今後報告によりまして、相当ふえる見込みでございます。一応簡單ながら被害概況だけ御報告申し上げました。
  40. 八嶋三郎

    ○八嶋説明員 実は私過般建設大臣のお供をいたしまして、大阪、兵庫方面の災害状況を見て参りましたので、数字的なことは別といたしまして、その状況簡單お話申し上げてみたいと思います。私ども参りましたのは、起りましてから三日ほどたつてからであります。大阪を中心として見て参つたのでございますが、今回の大阪の被害の中心は港方面でございます。区で申し上げますならば、此花区、西淀川区、西区、港区、大正区というような方面が今回の被害の中心でございます。今回の大阪方面におきます被害は、満潮のときに風が起りましたので、高潮によるものであります。御承知の通り大阪方面に対しましては、従来とも河川局の方面におきましては、地盤対策の関係といたしまして、防潮堤を張りめぐらすという工事をやつておるのであります。また都市局の関係といたしましては、ここは戰災復興地域でございますが、港湾の仕事とタイ・アツプいたしまして、港湾で浚渫いたしました土をもちまして、大正区、港区などの河川のかさ上げをしておるというような情勢で、この方面の仕事をおもにやつておるのでございます。これは大体二メートル五十地盤のかさ上げをやつておるのでございますが、この地域は地盤が高かつた関係上、水がふえておりません。また防潮堤といたしまして本工事をやりました所も実はあまりくずれておりません。従いまして今までやりました効果相当にあつたということは、確かに言えると思うのでございます。ただ遺憾ながら、全部防潮堤を張りめぐらしておらないということのために、そこから水が入つて参りまして、浸水を来したのであります。起りましてから三日後でございましたが、水がほとんど引いておらないという状況でございます。これは昭和九年のときには、そういうような防潮堤もなかつたし、また地盤の沈下という問題もございませんので、水の引き方が非常に早かつたのでありますが、今回は防潮堤ができておりましたがために、かえつてつた水を出すということが非常にむずかしい。そこへ持つて参りまして送電線がほとんどやられておりますので電力が通わない。従つて排水をいたしまするモーターがきかないというような情勢でありましたので、水の引きがほとんどできなかつたということで、私ども参りましたときにおいてすらも、相当の浸水を来しておるようなまことにみじめな状態を示しておつたのでございます。人家はもちろん、工場地帶の被害の非常に莫大なるものがあるということは、想像にかたからざるところであります。なおまた尼崎方面も、やはり同じような情勢でございます。そのほかの地帶は、やはり海岸堤防が十分にできておりませんがために、水が入つたとか、また海洋堤防の軟弱な所が破壊されて浸水をこうむつたというような地域、それが大体尼崎から西宮にかけての地域で、また大阪の泉南の地域であります。なお今回は風が相当に強かつた関係上、住宅、学校、その他のものには相当大きな被害がございます。こういうことを考えてみますと、單なる復旧ということだけではなくして、あすこらにおきます防災対策を早急に完成してやらなければこの大都市を救うことはできないと考えております。応急的な問題はもちろんやらなければなりませんが、同時に恒久的な災害対策を立てて早急に完備していただきたいということを今回痛切に感じて参つたような次第であります。
  41. 鎌田隆男

    ○鎌田説明員 私からジエーン台風による住宅の災害状況について御報告申し上げます。今回のジエーン台風の状態でありますが、これは新聞その他にも報ぜられましたように、風速は瞬間四十五メートル程度でありまして、風速としましては昭和九年に大阪地方を襲いました室戸台風に比較しますればややにぶいのであります。あの当時の風速は記録によりますれば六十メートルにつくのであります。今回はあの当時の惨害ほどではなかろう、こういうふうに想像いたしておつたのでありますが、結果は非常に違いまして、住宅災害におきましてはあのときに劣らないだけの惨害を今日生じております。その原因といたしましては、今回の台風は進行速度が非常に遅くて、同一地方におきまして二時間以上も吹き荒されたということが一つでございます。たしか室戸台風のときには三十分ないし一時間程度だと思いますが、今回の台風は非常に進行速度が遅かつたということから長い間ゆさぶられたということが一つであります。それからもう一つは何といいましても、戰後の復興がややバラツク式であつたということが非常に大きな原因だと思いますが、この二つのことから庶民住宅級の小住宅が非常な災害を受けております。その数字は現地にも人を派しましていろいろ調べております。また国警の調査、その他もありますし、現地からの報告もございまして、毎日少しずつかわつて参りますので、今日いまだ的確な数字をつかんではおりませんが、今日まで調べましたところでは全壊家屋が二万二千戸ばかりになつております。それから今回は水よりも風であつたものですから、流失は割合に少くて百八十七戸、半壊が非常に多くて三万三千戸、それから床上まで浸水いたしましたのは尼崎地方、あるいは今のお話にありました此花区、港区の大阪地方が大部分でありまして約八万六千戸ばかり、その地中破損の程度が数万戸ございます。合計中破損以上としましても、住宅のみの戸数でありますが、十数万戸の災害を受けております。この対策を今いろいろ研究いたしておりますが、まず第一に今考えておりますアウト・ラインを申し上げますれば、第一の問題としましては既存の公営賃貸住宅、いわゆる庶民住宅と言つております既存の住宅の破損に対しましては、何とか国庫の補助によりましてこれの復旧をいたしたいというふうに考えております。それからもう一つは一般の住宅に今まで住んでおりました人、しかしその中には貸家が非常に多くあります。この貸家の復旧は、貸家企業の成立たない今日、はたして元の大家が貸家をまたつくつて提供するということは、おそらく非常に困難なことであろうと思いますので、その貸家に入つておりました人々に対する対策。もう一つは個人の住宅に同居しておつた家族の方々、こういう点に重点を入れてこの戸数を現在いろいろ調査いたしておりますが、これは相当の数であろうと思います。この中の一部はどうにかして国庫補助によります公営賃貸住宅を増設いたしたい、こういうふうに考えております。その他の住宅の復旧につきましては、融資による方法があろうかと思いますが、全壊いたしました家屋に対しましては、住宅金融公庫その他によります融資の道が現在でもあるわけでございます。半壊、あるいは中破いたしました小住宅の復旧、これは特別な何らか融資の方法を考えなければならないと思います。大体そんなような概略でございますが、そういうような考え方でおります。目下関係方面とも話を進めております。
  42. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 道路の方について近藤さん何か……。
  43. 近藤鍵武

    ○近藤説明員 先ほど只見川を御調査になりました田中委員の御調査の中に、国道四号線の福島県内でございますが、郡山、福島間の道路が非常に遅れておるというようなことについてお話がありましたが、そのお話の通りあの辺の国道は舗装も改修もほとんどしておりません。これは必ずしもあの辺だけでなくて、日本全国至るところまだまだ整備されておらないような状態でありまして、これは究極のところ道路費が少いからでございまして、道路局といたしましては、昨年から五箇計画というものを立てまして、一応五箇年の間に六百億の予算で事業をすることになつておりますが、国の財政の都合上これの四割にしか当らない程度のものしか予算が割当てられないわけでございまして、これを有効に使つておりますものの、まだまだ十分なところまで実は行き渡らない次第でございます。来年も相当な需要をもくろみまして、予算の要求をやつておる次第でございますが、これもなかなか今のところの情報では楽観を許さないような状態でありますが、局をあげて努力しておる次第でございます。  なおお話のありました国道の直轄工事を府県の事業にまわして相当成績を上げておるから、直轄にとらわれずに県事業を進めろというような御意見もございましたが、まことにごもつともな御意見でありまして、直轄でやるのは大きな計画的な道路でありますし、あるいはそういう計画的でないところは県でも県の事業として取上げてございますので、今後とも御意見のように仕事を企画して行きたいと思います。
  44. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 以上大体各担当者から説明を聞いたのでありますが、この際この被害に対する予算措置その他に対して、安本の方の対策を承りたい。
  45. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 最近の災害、特にジエーン台風の被害が非常に莫大な額に上りまして、こういつた災害に対しては国としても根本的に救済する方法を講じなくてはならぬというので、先般建設大臣が大阪から帰られまして、内閣で取上げられて、内閣官房長官が長官になりまして、災害対策委員会が設けられ、單に公共的な施設のみならず、個人的な住宅その他の復興関係につきましても、各省もできるだけ広い視野から意見を述べて、この救済復興に努力しようということになりまして、今日も実は第二回目の会合を現在開いているはずでございます。私の方からも建設交通局長がその委員の一人になりまして、出席いたしまして、安本としてもできるだけ御協力いたしたいという趣旨で、その御相談に応じている次第でございます。経済安定本部といたしましては、公共事業費を持つておる関係上、公共事業関係災害復旧に充てるものについて責任を持つわけでございますが、これは今までの災害と同じように、できるだけ早く各省に災害実情調査していただいて、査定を済ませていただく。これが国庫補助を出す先決問題でございます。そういつた意味において、今までもさようでございますが、今回のジエーン台風にしましても、できるだけ早い機会に調査されて、査定をくだして安本の予算の資料にしていただくことをお願いしております。しかしながらこの調査査定には、やはり相当時日を要します。従つて今年の予算のうちすでに五十億は、御承知の通り今までの災害の引当てになつておりますので、残額五十億はまだ残つておるわけでございますが、この五十億から今回のジエーン台風関係について大蔵省災害復旧費を出すということになるのでありますが、それには今言つたように、相当の時日を要すると思います。そうかといつてこの緊急の問題をそのままほつておくというわけには参りませんので、先般今年の第二回の災害につきまして安本が打つたと同じような手で、自治庁、大蔵省とも相談の上、公共事業費で受持つべき災害というものを大体見当づけまして、そのうち五十億ぐらいは出るだろうと予想されるものを、一応基本としてその復旧計画について大蔵省と話合つて、とりあえずその予算の裏づけとしてつなぎ融資を出すという方針を今かためております。これはまだ農業関係その他の報告が出ておりませんので、一体どれくらいになるということは見当がつきませんが、早晩農業関係についても報告が出そろうことと思いますので、その報告を基準といたしまして、大体の見当をつけて、見当がついたら大蔵省と話し合つて、緊急のつなぎ融資を預金部資金から出す。それとあわせて各省の予算査定関係をなるべく早くやつていただきまして、正式に五十億の中から予算的な措置としてこれを支出するようにやつて参りたいと考えております。そのほかに、今言つた個人の住宅関係をどうする、あるいは資材が水浸しになつた問題をどうする、工場の復興関係をどうするという広汎な問題もございますが、これは内閣において各省を統裁されて緊急に打つ手は打つということで進めておりますので、この方面につきましては、われわれの方もできるだけのことはやつて参りたいと考えておる次第であります。大体資金関係はやはり融資関係が主体になつて来はせぬか、このほか災害の緊急措置は従来やつておる次第でありますので、その関係は当然やるべきところは出して、そのほかに特別た融資関係をやる、こういうふうに相なろうかと考えておる次第であります。
  46. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 以上の説明につきまして、何か御質疑はありませんか。
  47. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 建設当局並びに安本当局の両方に御質問申し上げます。今回ジエーン台風で関西方面が非常な被害を受けまして、大体政府発表が——新聞紙の報ずるところでありますが、一千八百億円を突破するだろう、こういう状態であります。これに対しまして当局が、あらゆる方面でその復旧に努力しておられることは違いございませんで、この点については十分感謝をするのでございますが、ただいま今泉さんから緊急復旧対策を承りますと、千八百億円の損害に対して、すみやかに報告を集めて査定をしたい、査定することがもし間に合わなければ、その間に大蔵当局等とも相談をして、さきの議会で決定しておりまする予備費のうち、百億円を転用することができるところの、あの予算措置の上に立ちまして、残額五十億円の中から出す、こういうお話でございまするが、千八百億円もの厖大な額に上つた災害の緊急復旧費として五十億円のうちどのくらい出すつもりかわかりませんが、まるまる出したところで五十億円である。この五十億円で一体当局は緊急復旧ができると思うかどうか。この点をまず第一に両方の当局にお伺いいたします。
  48. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 佐々木委員は何かお感違いなさつておるのじやなかろうかと思うのです。全般の個人被害まで入れればおつしやる通り千億にもなれば千五百億円になりますが、国として公共事業として見るものは、いわゆる公共施設でございまして、河川であるとか道路であるとか、港湾であるとか、都市復興関係であるとか、それから応急住宅であるとか、こういつた国が公共施設としてやつたものに対して公共事業費として出す。それで災害復旧のために予備費として百億計上して来た。今公共事業の対象に災害復旧に予算から出さなくちやならぬのは、先ほど河川局次長からも報告のありました百五十億見当、こういうことになります。これはまだ大体の報告でありまするから、これに農業関係、あるいは港湾関係、あるいは応急住宅関係というようなものが入れば、この額は相当程度増すと思います。しかし何と言つて建設省所管が被害の七割、八割程度を占めておりますので、出てみなければわかりませんが、これが厖大な被害額になりますれば、残つた五十億で賄えないということが当然起つて来ようと思つております。しかし一応ジエーン台風を考えてみますと、おもだつた被害が百五十億である。こういう観点からしますれば、私どもといたしましては、公共事業の災害復旧に対しては一応五十億の範囲内で十分——十分と言つては語弊があるかもしれませんが、従来の一回、二回に出した率その他からいつて五十億の中から出し得る、こういうふうに考えている次第であります。もつとも今後の出方いかんによつては、あるいは補正予算その他の問題が当然起きてくると思います。公共事業関係と公共事業以外の点を一応区別して考えますればそういうことになりますし、そうでなく、今の個人の被害あるいは法人の被害といつたもの、そうでなくても公共事業以外のものの被害になりますれば厖大な額に達しますので、そういつた面につきましては、内閣につくつた委員会を通じてどれだけこれを見るかということはせつかく検討中でありますので、その方面の結論を得次第こちらの方にも御報告になるじやなかろうかと考えている次第であります。
  49. 伊藤大三

    伊藤説明員 ただいま安本の次長からお話がございましたように、この五十億で一体どれくらい向けられますか。さしずめ私ども河川関係の道路とか河川その他港湾程度に限りますものやら、個々の点ははつきりいたさないので私から明言はできないのでありますが、私の方の現在におきまする被害は、大体府県市町村工事を合せまして百五十九億程度、直轄におきまして今までの報告が三億四千程度ということになつております。このうち緊急を要するものはどのくらいになりまするか。従来の実例からいいますれば、大体三割程度ということになつておりまして、金で申しましても五十億に近いので、われわれの方も、これならある程度緊急工事ができるということになりますと、金の点に不足を生ずるとは存じますけれども、との問題につきましては、財政の事情もございまするので、補正予算を組んでいただくようになりますか、あるいはこの五十億でとどめられまするか、この点ははつきりいたしませんが、できるだけたくさんいただきまして、緊急に復旧を要するものは考慮いたして参りたい、こう存じておるのであります。なお大阪附近におきまする災害が、ただ復旧のみをもつて十分事が足りるや否やという問題につきましては、現在の高潮防禦の工事そのものが決して万全なるものではないということは、何しろ今までの予算関係相当経済的なというか、費用をなるべく少くして工事を進めております関係上、さらに根本的な問題に触れて来なければならないか、こう存ずるものもありますので、こういう問題を考えますならば、当然また補正の問題にも発展し、さらには将来の予算につきましても、相当考慮していただかなければなるまいか、こう存じておる次第であります。
  50. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 この百億円の予算措置は、緊急措置といえども事足りないような少額であることは、かりに今回のジエーン台風で受けたところの、直接国が全額負担しなければならないものが百五十億円見当といたしましても、前の二百七十何億円を合せますれば、これは約四百何十億にもなるのでありまして、かりにこの緊急対策がこの百億円の支出で間に合つたといたしましても、本年度における復旧工事をこの程度で問に合せるということは絶対にできないことだろうと思うのでございます。きようは大臣がおりませんので、補正の問題に対して十分御意見を伺うことはできませんが、事務当局としてかりに五十億円全部支出いたしましたところで、本年度いつぱいの全額国庫負担すべきところの復旧費としては、はなはだしく不足であるということだけはわれわれしろうとの目でも見当がつくのでございます。私は建設省関係当局から、一体緊急の復旧費はもとより、これらの復旧費全体で、今年度の予算の上でどれくらい必要であるか、この点についての御見解を承りたいのでございます。
  51. 伊藤大三

    伊藤説明員 大体河川道路関係を総括して申し上げますると、本来ならばこれを單年でやり上げればけつこうな話でございますけれども、予算上いろいろの都合があり、かたがた工事が残れば一年に復旧するということはこれもとうていできないことである。大体われわれの今までの計画は三年間でやる、そうして一応災害の起るのはこの八、九月でありますから、この八、九月の事業量並びにいろいろ考えまして、初年度において三割程度というものは大体緊急としてやりたい。そうして次年度におきましては五割程度、並びにそのあとは二割程度、こういうような大体の方針をもつていたしておるのでありまして、本来ならば災害額の三割程度をいただければこれがある程度実際作業に近い額になりはしないか、こう考えておる次第でございますけれども、これはやはり予算のいろいろの面がございますので、その点につきましてはいろいろ折衝の上やつて行かなければならないと存じております。従つて現在の金で十分にまかなえるかとおつしやいますれば、百億では、これらが各省の災害復旧にまわされますから、百億で十分であるとは決して考えてはおりません。
  52. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 渡邊政務次官にお伺いいたしますが、本年度これまで発生した被害の総額を見ますると、大体国が責任を負うて全額負担として復旧すべき総額は、ジエーン台風の総額が決定しないとわかりませんが、大体現在のところ五百億を突破する見込みであります。農林省関係その他のものはここへは出て参りませんので、大体私の想像では七、八百億円に達するのではなかろうかと想像されるのでございますが、大体建設省関係で五百億を突破することは明らかでございます。今建設当局説明を聞きましても、本年度においてかりに三割を復旧する、こういたしましても、建設当局だけで百五十億円の復旧費を必要とするのでございます。従来の予算で決定しております預金部の転用百億円では足りないことが明らかであります。本年度といえどもこれからまだ災害が来ないとは言えません。明日あるいは明後日に迫つた災害はもとより、今後といえどもこれは来ないわけではないのでございまして、東北気象台の発展するところによりますと、東北のごときは十月から十一月にかけてもう一回台風が襲来するであろうという発表をいたしまして、地方に一大センセーシヨンを起しておるのであります。こういうときにおきまして、政府は特に公約の上からいつても、ことに現内閣は單独、しかも絶対多数の政党でございますから、やらんとしてできないはずはない、何事だつてできるはずであります。そういう意味からいいましたたらば、すみやかにこういうような復旧対策は、万全の最大の努力をすべきと思うのであります。いろいろ予算上のことに藉口いたしまして、今日こういう災害に対してわずかに査定済のものが五十億、さらに残つた五十億の中からというのでございまするから、五十億まるまる出す意思は安本当局にはなさそうでありまして、内輪に出すつもりであろうと私たちは想像するのであります。こういうことでは災害の復旧、いわゆる民心を安定させることは不可能でございまして、政府は百億で足りなければ、当然即時にも残余の分を出すとともに、他の足りないところに対してはすみやかに補正予算等を組みまして、従来の災害復旧を促進すると同時に、国民の災害に対する恐怖心というものに対して一つの安定感を與える必要があると思うのでございますが、政府を代表する政務次官はどういう考えを持つておられるか、かつこの問題が内閣においてどういうふうに取扱われておるかの経過について承りたいと思います。
  53. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 佐々木委員からのただいまの建設当局に対しまするところの御要望はもつともでございまして、私どもの方もその線に沿うて今予算の獲得などに大臣が奔走しておるような次第でございます。聞くところによりますと、このジエーン台風に対しましては特別措置をも講じたいというような考えのようでございますけれども、まだ意見の一致を見ていないようでございます。補正予算等も当然に組まなければならぬということは、大臣が先般来出張中から申しておるような次第でございます。もちろん百億ではとうてい間に合わないようなものでございますので、私どもできるだけ皆さんの御協力を得てたくさんの予算を計上させてもらいたいと、かように考えております。建設当局の大臣初め事務当局も皆かように考えておりますから、どうかそのおつもりで御協力を願いたい、かように存じております。
  54. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 渡邊政務次官からまことに頼もしい答弁がありまして、おそらくは私のみでなしに国民がたいへん安心すると思うのでございますが、そこで問題は、そういうような特別の予算措置ということは、内容的には一体どういうことを意味するのか、特別措置という以上は、單に補正予算というようなあり来りのことではなかろう。おそらく特別の措置でございまするから、何かの措置があると思うのでございますが、この際特別措置というのはどういう内容を持つておるかということを明らかにしていただきたい。それからその特別措置を講じていただくといたしましても、これからといえども災害は参りますので、一日も早いことを国民は要望しておるのでございまして、ただやるやるというような、から手形ではとうてい国民は安心できません。それでそういうような特別の措置というもの、あるいは補正予算というものはいつどうしてくれるのか、この点についての具体的な御説明を願いたい、こう思うのであります。
  55. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 特別の措置と申しましても、私がただいま申し上げましたのは補正予算を意味するのでございます。それからその中に、昭和九年に関西を襲いましたところの台風の場合におきまして、応急措置といたしまして、今までの金融問題等につきまして、政府におきまして預金部資金等も各公共団体に貸付け、公共団体からあるいは町村、あるいは部落單位に貸付け、そうして部落單位において、たとえば住宅等の問題でございますが、責任をもつてこの金融の便をはかつたというような、こういうことも意味されておるのでございます。現在のところ補正予算ということの意味で申し上げたのでございますから、さよう御承知願いたいと思います。
  56. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 特別の措置というから、何かひとつ飛び離れたすばらしいことをおやりになる計画かと思いましたら、補正予算でやられるということで、特別ということが言えるかどうかわりませんが、これは当然やつていただかなければならぬことであります。そこで先ほど申し上げましたように、その補正予算をいつどうしてくれるのか、これは地方では非常に復旧工事を急いでおりますので、この点が決定いたしませんと、さつき申し上げましたようなから手形で、国民が不安でたまりませんので、要するにいつやつてくれるかということについて、ひとつ明確にお願いしたいと思うのであります。
  57. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 ただいま各省予算等も、閣議において盛んに折衝され、審議されつつあるように聞いておるのでございます。これと並行いたしまして、できるだけすみやかに決定をいたしてもらいたいものと、私どもも希望いたしておる次第でございまして、明確なる時間的な問題につきましては、ここに御答弁申し上げるほどの段階にまだ立ち至つていないことを御了承願います。
  58. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 そこでお聞き申し上げたいことは、本年度かりにこれから、補正予算を組みまして、今までの災害の三割をやるといたしましても、なお来年度及び再来年度においてなすということになると思うのであります。これとてもできるだけ来年度一ぱいでやつていただきたいということを要望すると同時に、従つてそういうことになりますると、来年度の公共事業費というものが予算の中できわめて重要なる意義を持つことになるのであります。單なる建設当局の先般われわれに提示いたしましたあの一般的な公共事業費のほかに、本年度の災害復旧費がさらに相当額見込まれるということになりますと、先日提示されたものだけでも、二千百億円以上に上るのでございますから、この本年度生じ、また生ずることを予想される厖大なる額を勘案いたしますと、来年度の建設省の予算というものは、これは二千百億円よりもはるかに多い数学でなければならないと思うのでございますが、何か閣議で来年度予算が、大蔵省案が大体において承認される傾向で、公共事業費が驚くなかれ一千百五十億円ぐらいで、経済安定本部の方でこれを調整する、われわれの言葉で言いますと、削つてしまう、こういうようなふうに報道されておるのでございますが、来年度一体予算の中に公共事業費がどれだけ決定されるか、きまつておりますればもとより、きまらなくてもお見込みについて、ひとつこの際承りたいと思うのでございます。
  59. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 大体千三百億とかいうような程度で話が進められておるということでございますけれども、今のところ明確なる数字を申し上げかねるような次第でございます。
  60. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 安本当局からこの点ひとつ……。
  61. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 経済安定本部といたしましても、單に災害復旧費だけから考えてみましても、過年度災害としては、大体昭和二十三年度以降まだ未復旧の災害額が千二百億くらい残つております。それにかてて加えて、今年度また災害発生がある、それにこういつた消極的な災害復旧費のほかに、治山治水関係の根本対策をやらなければならぬ。都市計画もやらなくてはならぬ。住宅もやらなくてはならぬ。港湾も道路もやらなくてはならぬ。道路等についても何百億、こういう要望がある。これは私はむりからぬことだと思います。日本が敗戰によつて本州において今後この国土を土台として、これを保全して開発して行くというためには、私は單に各省のみならず、経済安定本部といたしましても、年々できれば單に千億ぐらいの金でなくて、何千億という金を注いでもこれは事足りない、こういう状況であると思うのであります。しかしながらこれにはやはりそれ相応の財政的な総合計画からして、やりたいことは山々あつても、やはり財政面からそれをある程度制約せざるを得ない本年度の問題におきましても、減税という問題も国民の大多数の大きな要望であろうと思うのであります。減税もやりたい。さらに公共事業のこういう積極面もやりたい。その辺のかね合いでございます。それなら赤字を出しても、建設公債でどんどんやつたらいいのじやないかという面になりますと、せつかくここまで立ち直つて来たインフレを、財政の面からくずすということは、これは絶対許されない。こういう点から申しますれば、どうしても均衡財政というものは当分の間保持しなければならぬ。こういう面になりますと、おのずからやはり財政の限界が出て来る。その財政の限界の出て来る中において、経済安定本部としてはできるだけこういつた公共事業に優位性を考えて、できるだけ多くの事業を遂行したい。こういう意味において、あるいは政府内においても、大蔵省的な立場と経済安定本部的な立場とは、おのずからやはり相違があります。経済安定本部といたしましては、もちろん財政の均衡という面については、十分これは政府として考えなくてはならぬ、また堅持しなくてはならぬ政策であろうと思いますが、財政の均衡の範囲内で、できるだけ公共事業関係を伸ばして行きたいということで、実はもう御案内の通りであろうと思いますが、一案としては千三百五十億案、さらにできれば千五百億案という二案をつくりまして、それを大蔵当局なり、あるいは閣議の方面に提出いたしまして、せつかく今御検討願つておる、こういう状況であります。しかしながらこの問題はやはり最後的には閣議で御決定になり、そして関係方面の了解も得る、こういう必要もありますので、最後的決定まではどのくらいかかりますか、そう遠くないうちにきまると思いますが、経済安定本部の立場から言うと、やはりもう百億でも二百億でもできるだけ財政の許す限りにおいては多額の費用を出して災害復旧をやりたい、建設事業もやりたい、こう考えて、目下閣議においても各省の要望をにないまして検討中、こういう事情でございます。
  62. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 とにかく私も今泉さんとは多少意見を異にすることもありますが、きようは安定本部長官が参りませんので、論争はあとにまわして質問だけ申し上げたいと思うのでございます。こういうようにますます災害が加わり、復旧費が来年度予算に見込まれなければならないのにかかわらず、ここに二千百何億円の予算が大体一千三百億円程度に削られる、こういうことになりまして、従来の河川改修計画にも相当の支障を来すであろうということは、この予算面からも明らかであります。それなのに内閣の中からは種々な報道がありまして、本日の日本経済新聞の報ずるところによりますと、廣川農林大臣案という銘を打つておりますが、河川開発十箇年計画で四千億円を計上している。来年度からこの計画を実行したい、こういうような案が新聞に載つておるのであります。前の建設委員会で私も質問申し上げましたように、先日廣川農林大臣が東北を観察いたしまして、その結果こうやく張りの対策ではもはや役に立たない。この際根本的な総合開発をなすべきである。こういうことを言明いたしました。その結果東北特に北上水系の住民諸君が欣喜雀躍いたしまして、案を立ててこれを当局に提出しておるはずでございます。一方においては予算を二千百億円、普通の河川改修のこの経費さえもほとんど半減に近く査定をやらなければならぬ。ますます出て来た復旧費を見込んでもそうしなければならない。こういうような安本当局の御答弁とは、反対に廣川農林大臣は河川開発十箇年計画で、さらに四千億円もここで予定いたしまして、来年度からこれを計上したい、こういう努力をなさつておる。こういう発表はいささか相矛盾したる政府の政策ではなかろうか、こう思うのであります。そこで河川開発を含むこういう計画といたしますれば、当然建設当局は最も密接に御相談にあずかつていなければならないのでありまして、私は農林大臣案というよりも、農林、建設両大臣案と理解したいのですが、この点で一体建設当局はどの程度に相談になつており、どの程度これの実現性に対して確信を持ち、かつ責任を持つていただけるか、こういうことが第一点。  第二点はそういう観点から利根川並びに北上川のこの両水系を中心とする総合開発計画を進めてもらいたい。こういうことは先日安本の政務次官の答弁にも明らかにされたのであります。特に利根川水系に対するところのこの総合開発計画に対しては、来年度において幾分予算を組むことになるであろうとわれわれに言明し、建設大臣はこれと同様に北上川の総合開発計画というものを優先してこれを取上げるということを言明してくれたのであります。こういう朗報がこの建設委員会を通して国民に伝えられたのにもかかわらず、こういうふうに来年度の公共事業費が削られて行くということは、まことに残念至極でございます。しかし当然これらの言明から推しまして、北上川並びに利根川の水系を中心とする総合開発予算というものが、この予算の中に、来年度決定する千三百億円なりあるいは千五百億円なりの公共事業費の中に、当然含まれておることを私は確信して疑いません。建設大臣並びに安本政務次官が言明したのでありますから、当然この中に含まれておると思うのでございますが、どの程度に含まれておるのか、この点についてひとり御説明をお願いいたしたい。この二点について御質問申し上げます。
  63. 渡邊良夫

    ○渡邊説明員 質問の第一点であるところの廣川農林大臣の四千億十箇年計画ということにつきましては、閣内あるいは建設、農林両当局の間においておのおの一方的な見解をもつて考えを発表しておるという傾向は一つもございません。党内も、わが党内閣におきましても、いつも見解を一致させて、事を進めつつあるような次第でございます。でありまして、これはまだ決定されてはいませんが、新聞におそらく載つたのだろうと私は確信するものでございます。詳細な予算の内容等におきましては、いまだ決定の段階に達しておりませんから、千五百億円の中にこの利根川あるいは北上川の問題の経費というのが計上されているかいなかということにつきましては、私どもといたしましては、今ここで明確な御返答できかねるというような次第でございます。
  64. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 廣川農相に対しまして、建設、農林両当局間には何らの意見の懸隔はなく、相談の上で進められておるということを聞いて、私ども非常に安心をいたしました。そこで来年度予算の一千三百億円というものは、やぶから棒に、あめざいくをつくるように引き伸したものではなく、どの河川はどう、何はどうというように集計されて出て来た。これがほんとうの予算の立て方だと思います。最初から二千百億円は多いから千三百億円にしてしまえ、この千三百億円はどういうふうに入れようか、まさかこういうことを現内閣がなさろうとは思われない。当然下からどれがどうと積み上げた総額が、大体一千三百億なり一千五百億円になつた、おそらくはこういうことになつておるのだろうと思うのであります。いわんや安本の今泉氏が答えられました一千三百五十億円を一千五百億円にしたいということは、たとえば利根水系をどうする、北上水系をどうする、こういう必要によつて予算をふやしたり、縮めたりしたものだと思います。そういう点で渡邊政務次官がそういうことはさつぱり考えていないと言われたことは、いささか私は無責任だと思う。そうでなければそうきまつておるのだけれども、われわれ議員に対して隠しだてしていると考えるよりほかありません。そこで事務当局にお伺いしますが、事務当局は一千三百五十億円がふえまして、一千五百億円になるというようなことについては、折衝をなさつておるはずなんです。政務次官や大臣ばかりで折衝をするはずはない。当然責任ある事務当局がなさつておると思うのでありますから、特に計画立案者の責任の地位にある建設当局から、来年度の一千三百五十億円なり、一千五百億円の予算の中に北上水系並びに利根川水系に対する総合開発の予算は含まれておるのかどうか、この点を明確にしていただきたい。
  65. 伊藤大三

    伊藤説明員 先ほどから利根川開発並びに北上川総合開発のことがたびたび出ておるのでありますが、もちろん北上川治水計画にいたしましても、利根川治水計画にいたしましても、すべて政府といたしまして、なるべく摩擦のないように総合的になるように調節はされているのでありまして、われわれの予算の一部分がその総合計画の一環になるのであり、また農林省の計画が一環になるのであると私は存じております。今のところ利根川総合開発計画または北上川総合開発計画を一本の予算として審議されておるという問題ではないのでありまして、ただわれわれの計画はここにある、農林省はこうする、これをどうやつて調整するかということはあるいは政府として考えを進められておるかと思いますが、今われわれといたしましては、自分のところの計画を申し上げておくよりしかたがありません。そこでわれわれといたしましては予算の要求はいたしておりますが、まだ正式に千百億でどれだけ、千三百億でどれだけという決定の内示をまだ受けておるのではありません。ただたとえば安本の部員を通じて漏れ聞いたり、あるいは新聞を通じて伺つておるのでありまして、正式にどれがどれだけというようなお話にはまだ承つておりません。それからたとい聞いたものにいたしましても、それは大体直轄なら幾らという程度のものでありまして、それも実際のはつきりした数字を明確に公式に指示されておるわけではなく、今大蔵省なり安本におかれてせつかくそれを審議されておるという段階でありまして、ここでどれくらい入つておるかを明確に申し上げる段階に至つておらぬので、その点御了承願いたいと思います。
  66. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 その額がはつきり明瞭にできないということは、現在予算折衝をやつておる段階においてやむを得ないとおつしやるならば、それはそれでよろしいのでございます。伊藤さんにはつきりお答え願いたいのでございますが、そういたしますと、来年度に要求いたしておりまする予算の中には、利根川水系並びに北上川水系における総合開発の予算は含まれておるのだ、こう解釈してよろしいか、この点をひとつお伺いいたします。
  67. 伊藤大三

    伊藤説明員 私の方といたしましては、北上川の改修計画として予算を掲げておるのでありまして、今のところ北上川の総合開発計画という別個の予算はとり出しておりません。利根川にいたしましても、この前申し上げましたように、一応利根川の案をつくるから、お前の方の計画はどうだというので、利根川計画を一応考えて、ラフな案を考えてみた。それはわれわれの方として大体十年なら十年計画というものに入つておるものを拾い上げて、この順序でこうだという程度でありまして、その金額とか順序というような問題につきまして、金の問題をどれだけつけられるかということはわからない今日でありまして、予算が組まれておるとははつきり申し上げかねる実情であります。
  68. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 どうも恐れ入つた話だと思うのでありますが、北上川にせよ、利根川にせよ、一般的な改修計画として予算が組まれておることは私どもも十分了承しておる。ここであらためて総合開発の問題として議論するのは、一般的河川改修の問題とは別個の立場である。大臣が言明しておるものも、廣川さんが放送するのも、あるいは自由党が政策として発表するのも、あらためて特別の措置としてここに総合開発計画を立てるというならば、一般的河川改修のほかにこのものが組まれておらなければならない。ところがただいま伊藤氏の答弁によりますると、現在の建設省から要求するものの中には総合開発の予算は入つておらない。こういう答弁を聞いて私はまことに不可思議千万に感ずると同時に、こういう無責任なる放送によつて、北上川もしくは利根川その他の方に今にも——来年はもとより、今年からでも総合開発計画ができて、災害が防止されると同時に、耕地が改良され、あるいは電力問題が解決して、産業が復興できるような感じを抱かせるということは、私はまことに罪悪の深いことだろうと思うのであります。これに対する政府当局の責任はきわめて重大である。今日町村当局水害のために財政が極度に窮迫しておる。この窮迫しておる中に、政党のこういう罪深い放送によつて地方自治体が災害復旧費のこの貧しい予算の中から、時間と旅費を都合して上京し、今日政府に対してお百度を踏んでいる。なぜ一体こういうような実際に実現性なきものに対して、政府は政治的な詐欺的放送をするのか、私はきわめて重大な政治的責任だと思うのであります。  そこで私はもはや事務当局に対する質疑をこれ以上続けてもなりませんので、委員長はこの建設委員会を本日一日に予定して招集されておるでございましようけれども、どうぞ期日をもう一日延ばして、明日はひとつ総理大臣以下関係各大臣を私は呼んでいただきたい。そうして一体こういう政府がしばしば放送するような、あるいは自由党が公約するようなことが、実際において実現する確信があるのか、その責任を持つのかどうか。この委員会を通して、少くとも国民に対して、今まで各大臣が放送したことは無責任ではなかつた、自由党の公約はほんとうであつた、政治的詐欺ではなかつた。こういうことを明確にしていただきたいと思うのでございまして、現内閣、自由党のためにそういうことが必要だと思いますので、何とぞ委員長におかれましては、総理大臣以下各大臣をここに呼んで、この点について明確にしていただきたい。こういうことをお願いいたしまして、一応私の事務当局に対する質問を打切ります。
  69. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 私ちよつと佐々木君に申し上げますが、あなたの御意見を聞いておると、農林大臣その他の大臣の放送は無責任だという話だが、必ずしも総合開発という問題は、そう早急に計画だけでもまとまるものではないと思うのであります。それが二十六年度予算に頭を出さぬからといつて、無責任だとかどうであるとかということは、根本的に私と意見が違う。たとえば恵まれないところの全国で十四箇所の僻地において、総合開発の計画がすでに数年前から進められておるけれども、これまで一銭も予算化されておらぬ。しかしそこまで調査が進んで、いつでも財政の余裕ができれば予算化し得るような準備が整いつつあるわけであつて、必ずしも二十六年度予算に頭を出さぬからといつて無責任であるということは、あまりに私は早計じやないかと思います。
  70. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 委員長のお言葉を返えすようでございまするが、むろん政府の放送したことや、あるいは政党の公約が即時実行できるとは私は思はない。しかし廣川農林大臣が災害地を視察して、これではどうもならぬから、根本対策をやらなければならぬ。ひとつ総合開発計画を立ててやろう。こういうようなことで、しかもわざわざ宮城県の知事を呼んだのであります。そうしてむろん額のいかんは問題はありましようけれども、少くとも来年度の予算の上でこれを何とか目鼻をつけてやるということを約束し、その結果、先日来宮城、岩手方面からたくさんの諸君が参られまして、われわれも国会内においてこの対策の議員連盟をつくつて、私自身がその一人なのであります。少くともこういう災害でみんなが困つておるときにおいて、大臣がこういう約束をされ、しかも今なお十箇年計画四千億円案というものを麗々しく放送される以上は、当然これは額のいかんを問わず、少くとも五億でも十億でも、たとい国家財政が窮迫したといえども、政府並びに各大臣あるいは政党がこういう約束をしたことを実行できない、あるいは計画の頭を出さないということは絶対なりません。たとえば現在の千三百億円の中だろうと言われる渡邊政務次官の答弁からいつても、安本当局は千三百五十億円出すというのですから、その差においても五十億円ある。さらに安本当局は千五百億円くらいにしたいように努力するとおつしやる。今災害地は実際に藁をもつかむほどである。この災害地の人々に対して、真に各大臣や政党が約束したことを実行しようと思いまするならば、ここで十億や二十億は日本の財政の中から生み出せないということは絶対ない。出せるはずである。従つて私はこれは当然大臣を呼んでお聞きしたならば、むろんいけないということは言わないでしようし、実行するとおつしやるに違いありません。いずれにしても委員長とここで討論してもどうかと思いますので、ひとつ大臣を呼んで、ほんとうにやる考えがあるのかどうか。それともまた向う何年後に実現するつもりでそういうことをおつしやつたのか。地方では一生懸命になりまして、明日から約五日間ばかりにわたりまして、東北では大々的にこの北上水系総合開発期成同盟発会式並びに県民大会をやることになりまして、私明日帰つて行かなければなりませんから、やはりこの際この点は明確にしておくことが政府当局のためになる。本委員会の席上においてはつきりさせておく必要がある、こう思いますので委員長において、まげてそういうおとりはからいを願いたいと思います。
  71. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 ちよつと佐々木君に申し上げます。私もあえて佐々木君と議論しようとは思わないのです。思わないけれども、あなたの意見は私の意見と違う、というのは利根川なり北上川なりの総合開発の特別予算が計上されなければ、あなたの意見にどうも合致しないように私には聞える、私は一応千三百億でも千五百億でもいい、これは総合的な予算から見て、それだけ公共事業費が出なければ、予算がきまつた後に、農林省からこれだけ出せ、建設省からこれだけ出せと言つて、各省の計画を総合して、これはある程度マツチしてやることができる問題だと私は考える。これは特別予算に計上する方がむりだと思う。今の場合としては、利根川が問題になつているときに、北上川もずいぶんいきり立つたものだけれども、この二つだけが特別予算に計上されるということになつたら、これは日本国中にどれだけむずかしい川であるかわからない。実際問題としてそういうことは不可能ではないか。その点が根本的に意見が違うところです。
  72. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 委員長と私の意見が違うのは私は当然だと思います。私は委員長に向つて申し上げるのではなくて、こういうことを言明した、約束した政府当局質問しようと思うのであります。委員長が予算の組み方として、そういうことがむずかしいと思うのは委員長の御勝手でございますが、私はまた責任ある各大臣がそういう約束をしたのでございます。約束してすでにそういう計画が大臣の手元に出されておるのでございますから、当然大臣はそういう総合対策というものに対して責任を持たなければならない、こういうことを大臣から私は聞きたいのでございまして、ひとつまげてそういうおとりはからいをお願いしたいと思うのであります。     —————————————
  73. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 この際お諮りいたします。委員派遣の問題でありますが、ジエーン台風による被害状況につきましては、ただいままで関係当局から説明もありましたし、なお安本の方からもこの対策についての概要の御意見があつたのでありますが、委員会としては被害の甚大なるにかんがみて、この際委員派遣を行つてはどうかと思つておるのであります。なおキジア台風が明日あたり本土に上陸しはしないかという予想がありますが、そういう災害のないことをわれわれ希望するわけでありますけれども、これがまた起つて来て、特別にまた委員会を開くということも煩雑でありますのでその点も考慮に入れて、委員派遣の問題を議長に交渉いたしたいと思うわけでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 御異議なしと認めます。委員の数あるいは日程、そういうものにつきましては委員長に御一任を願えればさようとりはからいたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 それでは御異議なしと認めます。さようとりはからいます。     —————————————
  76. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 なお今私は佐々木君と議論するつもりで言うたのではないのでありますが、私に大臣を呼べというお話だが、私ども根本的に見解が違うから私は申し上げたので、ここで大臣を呼んで一々新聞に出たことをとらえて、議論するほどの重大な問題でないと思うから、これは佐々木委員が特別に行つて、大臣とひざをつき合して御交渉になることが、私はその真相が一番徹底するのではないか、かように思うわけであります。
  77. 佐々木更三

    ○佐々木(更)委員 委員長は誤解があるようですが、私はたとえば新聞紙にもこういうことが報ぜられる、こういうことを一例として申し上げておる。実際私が大臣を呼んでそういうことをはつきりさせたいというのは、廣川農林大臣がはつきりと地方において言明し、現に宮城県知事を呼んだのであります。かつまたわれわれは連盟を組織してその計画案を差出した。これは單なる新聞の論評ではなくて、事実の問題であります。実際の問題であります。だから私は必ずしも新聞紙の報道をたてにとつて呼ぼうというのではなくして、こういうことに対して大臣はどういう責任を持つておられるのか、あるいは実際どの程度にお考えくださつておるのか、こういうことを御親切にお聞かせ願いたい、こういうことをはつきりしていただきたいと思うのでございます。先ほど渡邊政務次官がおつしやられましたように、このことについては建設、農林両者はよく話合つて、何ら意見の違いがない、うまく行つておる、こういうお話でございますし、先日建設大臣は当然これらの総合開発に対しては考えたい、こういうようなお答えでありましたから、この際大臣の口からこういうことに対するところの経過を御説明願いたい、かつ責任を明らかにしていただきたい。こういうことをお願いしておるのでございまして、決して新聞紙の報道だけを問題にするのではございませんということを、ひとつ御了解の上におとりはからい願いたいと思います。
  78. 藥師神岩太郎

    ○藥師神委員長 あとで懇談会を開きたいと思います。  本日はこの程度で散会をいたします。     午後四時十八分散会