運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-27 第8回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)     午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 藥師神岩太郎君    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 田中 角榮君 理事 天野  久君    理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    淺利 三朗君       宇田  恒君    上林山榮吉君       小平 久雄君    瀬戸山三男君       内藤  隆君    西村 英一君       山本 久雄君    中島 茂喜君       福田 繁芳君    増田 連也君       佐々木更三君    池田 峯雄君       砂間 一良君    高倉 定助君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君  委員外出席者         議     員 三浦寅之助君         議     員 松澤 兼人君         建設事務官         (都市局長)  八嶋 三郎君         衆議院参事         (法制局第二部         長)      福原 忠男君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 七月二十五日  川原、大矢崎間道路開設に関する請願原田雪  松君外一名紹介)(第一四四七号)  竹枝地内旭川堤防復旧対策に関する請願(逢  澤寛紹介)(第四四八号)  上野、鳥羽両村地内小貝川堤防修築請願(鈴  木明良紹介)(第四四九号)  鹿屋川及び大姶良川改修工事促進請願前田  郁君紹介)(第四五〇号)  北上川治水及び災害復旧予算増額並び姉体堤  防工事促進請願志賀健次郎紹介)(第五  〇六号)  熊野川総合開発計画実現促進に関する請願(世  耕弘一君外五名紹介)(第五〇七号)  美濃橋架替の請願武藤嘉一紹介)(第五〇  八号)  同(大野伴睦紹介)(第五〇九号)  新潟県下の地すべり防止対策に関する請願(田  中彰治紹介)(第五一〇号)  中頸城郡下河川砂防工事施行請願田中  彰治紹介)(第五一一号) 同月二十六日  道路法改正並び東北地方東海岸国道開設  促進請願山本猛夫紹介)(第六一二号)  北上川上流改修工事促進請願山本猛夫君紹  介)(第六一三号)  災害復旧事業費国庫負担増額に関する請願(山  本猛夫紹介)(第六一四号)  石狩、苫小牧間内陸運河開設及び運河地帯の濕  地干拓に関する請願小平忠紹介)(第六三  九号)  戰災復興五箇年計画事業促進に関する請願(平  川篤雄紹介)(第六四七号)  国道二十号線中戸倉峠、山崎町間及び追分、石  倉両峠間改修請願堀川恭平君外一名紹介)  (第六六九号)  国道二号線改良工事促進請願堀川恭平君外  一名紹介)(第六七〇号)  別府長崎間国際観光道路予定線支線追加の  請願小玉治行紹介)(第六七二号)  岩崎川砂防工事継続施行請願野原正勝君紹  介)(第六七三号)  災害防除施設費予算増額に関する請願植原悦  二郎君紹介)(第六七四号)  同(小林運美君外一名紹介)(第六七七号)  杉田川改修工事施行請願大内一郎紹介)  (第六七五号)  諏訪地方水害対策に関する請願小川平二君  外一名紹介)(第六九五号)  北山川ダム築設反対に関する請願世耕弘一君  紹介)(第七〇一号)  同(田渕光一紹介)(第七七〇号)  五島列島総合開発促進に関する請願坪内八郎  君外一名紹介)(第七〇六号)  大鳳川改修請願篠田弘作紹介)(第七一  二号)  於札内川上流砂防工事施行並びに下流改修の  請願篠田弘作紹介)(第七二〇号)  雨龍、江部乙両村間の石狩川架橋促進請願  (篠田弘作紹介)(第七二一号)  浦臼、奈井江両村間の石狩川架橋請願(篠  田弘作紹介)(第七二二号)  幌向運河切替工事並びに附帯工事促進請願(  篠田弘作紹介)(第七二三号)  戰災復興五箇年計画事業促進に関する請願(上  林山榮吉紹介)(第七二四号)  天龍川上流水害対策に関する請願今村忠助君  紹介)(第七三二号)  天龍川水系中小河川改修請願今村忠助君紹  介)(第七三三号)  湯ヶ島、仁科間に産業道路開設請願(遠藤三  郎君紹介)(第七三五号)  江戸川改修工事に伴う関宿町住民の移転先確保  に関する請願澁谷雄太郎紹介)(第七五六  号)  光徳村の鉄道用地内橋りよう改修に関する請願  (稻田直道紹介)(第七六五号)  宇都宮から今市及び若松を経て米沢に至る県道  を国道編入請願大和田義榮君外一名紹  介)(第七八五号)  町村道戸河内線中一部改修工事施行促進請願  (山本利壽紹介)(第七九〇号)  房総半島西部幹線道路改修工事促進並びに国道  編入に関する請願水田三喜男君外二名紹介)  (第七九二号)  国道二号線中船坂峠改修工事施行促進請願(  逢澤寛紹介)(第七九五号)  阿賀川改修工事に伴う川西村長井部落損害補  償に関する請願江花靜紹介)(第八〇一  号)  福知山市、中夜久野間国道十八号線改修工事  施行請願前尾繁三郎紹介)(第八〇五  号)  京都地内国道十八号線改良工事施行請願(  中野武雄紹介)(第八〇六号)  猿沢川上流砂防えん堤築設の請願淺利三朗  君紹介)(第八六六号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十五日  都市計画事業に対する国庫補助増額陳情書  (第九〇号)  川内川にダム設並びに電源開発促進陳情書  (第一  二一号)  町村部落道路改修に関する陳情書  (第一二二号)  岩手県公共事業に対する国庫補助増額陳情書  (第一三〇号)  国道全線改修鋪裝促進並びに全額国庫負担  の陳情書(第  一四七号)  都市計画事業促進についての陳情書  (第一四  九号) 同月二十六日  国道第十八号線改良工事施行に関する陳情書  (第一八六  号)  北上川筋明治橋下流両岸に堤防新設陳情書  (第一八七号)  岡山県下の幹線道路改修に関する陳  情書  (第一八八号)  道路整備促進に関する陳情書  (第一八九号)  海岸法制定に関する陳情書  (第二一二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  横浜国際港建設法案三浦寅之助君外百二名  提出衆法第六号)  神戸国際港建設法案松澤兼人君外百二名提  出、衆法第七号)     ―――――――――――――
  2. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 それではこれより会議を開きます。  この際委員各位にお諮りいたします。去る二十四日付付託になりました横浜国際港建設法案三浦寅之助君外百二名提出衆法第六号及び神戸国際港建設法案松澤兼人君外百二名提出衆法第七号を日程に追加いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 御異議なければさようにとりはからいます。  それでは横浜国際港建設法案及び神戸国際港建設法案一括議題といたします。提案理由説明を求めます。三浦寅之助君。     —————————————
  4. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜港建設法案提案理由を御説明いたします。  この法案目的は、横浜が開港以来約一世紀にわたりまして、わが国の重要な門戸として発達して来たのでありますが、このたびの大戰と終戰後進駐軍接收等のために、昔日の面影をとどめぬ程度に荒廃いたしまして、その復旧もまつたく希望する通りになつておらないのであります。そこで最近の情勢からいたしまして、至急これを旧態あるいはそれ以上に復旧いたしまして、国際的な港都として、十分に港都としての機能を発揮し得るように建設し、貿易海運外客誘致等振興をはかり、わが国経済復興に寄與し、もつて文化国家日本建設に力をいたさんとする目的を持つているものであります。  横浜は港都として自然的にきわめて惠まれた條件を備えており、貿易海運観光等の見地より見て最も適した港であり、都市であることは皆様方のすでに御承知のところであります。  この法案におきましては、横浜が国際的にも国家的にも、非常に重要な役割を果し得る機能を元来持つておりますが、何分現状では横浜單独での復旧、あるいは国際的な港都としての建設は不可能でありますので、国あるいはその他の地方公共団体関係諸機関の御援助によつて、一日も早く国際的な港都として建設され、国際的にも、国家的にも、横浜市が一体となつて復興いたしたいと思つております。何とぞ愼重審議の上、ぜひ御賛同を賜わりたいと思う次第であります。
  5. 藥師神岩太郎

  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 私、神戸国際港建設法案提出者といたしまして、ごく簡單提案理由説明を申し上げたいと思います。  大体におきまして、横浜神戸とは港湾の自然的あるいは立地的の條件におきましても、あるいは従来の歴史におきましても、あるいはまた外国人神戸に比較的多数居住し、そうして実業に従事していたという点におきましても、きわめてお互いに類似しておる点があるのであります。御承知のように横浜神戸におきましてはわが国貿易の半分以上はこの両港によつて輸出入されておる状態でありまして、従来からこの二つの港湾が第一種重要港湾といたしまして、国の経費によつて港湾施設がなされて来たのでありまして、これまでわが国経済界に與えました大きな貢献につきましては、皆さん方よく御理解になられると存ずるのであります。ところが今回の空襲によりまして、港湾設備あるいは市街あるいは住宅、その他一般産業設備等がほとんど壊滅に帰したというような状態でありまして、これを復興することは他の一般戰災都市と同じように非常に困難な状態にあるのであります。ただしかし、私どもがこの神戸における国際的な色彩というものをよく考えてみまして、これは普通の都市計画とまたかわつた観点から、港都の建設あるいは都市建設ということをやつて行かなければならない必要があるのではないか、こう考えておるのでありまして、統計によりましても神戸市におきましては、戰前からきわめて多数の外国人が居住し、そのために特殊な都市色彩を現わしているのでありまして、この国際都市というものが持つております国際性、あるいは国際的な色彩というものを都市計画の中に取入れてひとつやつて行きたい。こう考えているのでありまして、他の点につきましては従来出ておりました別府あるいは京都奈良伊東熱海等特別都市建設と大体その軌を一にしているのでありまして、ただ違つておるところは、国際的な色彩を持つた港都として、一般都市計画以上にこの事業計画を実施して行きたいという念願を地元市民は非常に強く持つているのでありまして、この点を十分に御理解くださいまして、この法律案委員各位の御理解と御同情によつて可決されますことを、切にお願いいたしまして、まことに簡單でございますが、これをもちまして提案理由説明とするわけであります。
  7. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 これより質疑に入りますが、ちようど建設省都市局長と大蔵省の管財局長出席を求めておりますが、まだ見えておりません。提案考に対する御質疑の方から始めたいと重います。上林山君。
  8. 上林山榮吉

    上林委員 賢明なる同僚諸君の御提案であるから、無條件に賛成いたしたいのでありますが、私ども大局的に考え質疑をしなければならぬ点もあるし、また時期尚早ではないかという意見も持つておりますので、これから順次質疑を試みてみたいと思います。  まずただいまの御提案趣旨を拜聽いたしますと、一応もつともな御議論でございますが、私ども全国的な状態からこれを考えますと、必ずしも御意見のよりには考えません。というのは五年前に戰災を受けた各都市が、今日財政的にあるいは都市計画の上に非常なる困難を持つております。しかもようやく政府は五箇年計画を二十五年度から実施することになつたのでありますが、この予算等を見てみますと、まことに僅少なものであります。いわゆる苦しみをひとしくしなければならないところのわれわれ国民として、非常に現在徹底しないところのものは、戰災復興状況である。このときにあたつて特別都市が各地にできるということは、それぞれの理由もありますけれども、私どもはなおかつ時期尚早の感がする。そこでそういうような全国的に戰災を受けている都市が非常に多いのであるが、これらのものよりも先にこういう特別都市をつくらなければならないという理由は、ただいまの国際情勢の問題あるいは貿易の問題、こうしたような意味合いのみでは割切れないものがあると私は考えるのでありますが、この全国戰災都市がまだみじめな状況にあるこの際、神戸あるいは横浜が特別優先して建設されなければならぬという理由があるかどうか。明確な点をもう少し承つておきたいのであります。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいまの上林山君の御質問はまことに私ども同感であります。従いまして戰災都市復興特別建設法という一つの基準的な法律をつくることは、確かに一つ方法であると思うのであります。実は私どもそういう意味におきまして、そういう法律ができておりますならば、もちろんこういう特別法をつくる必要はないと思うのです。ただそういつた基準法ができましても、私どもはそれぞれの特色を生かすために、奈良京都あるいは神戸横浜といつたようなものは、やはりそれぞれ都市のカラーと申しますか、そういうものがあると思うのでありまして、基準法をこしらえるということには全然同感であります。ただその上に多少色の違つた都市建設ができるならばまことにけつこうである、かように考えております。
  10. 上林山榮吉

    上林委員 ただいまの御説明は私は満足できないのでありますが、松澤君がそういうふうにお考えになつているとするならば、まずわれわれは国家的に考えて、大局的に判断をしなければならぬわけでありますが、今おつしやるように、戰災復興促進特別法案のごとき基準法を制定した後に、初めてその都市々々の性格と、その都市都市機能従つて、別途にあるいはそれに附加した都市建設法をつくる。これは法律を学ばれた人であるならば、だれしも首肯できる行き方でなければならない。まず一般的な基準法をつくつて後、初めて特殊なものをこれに附加するあるいは別途に考慮する、こういう方向に行かなければ、私は立法者という立場においては、本末を転倒したやり方であると考えるのであるが、これに対してどういうふうにお考えになつておるか。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 まことにごもつともな御説でございます。私どものみがもしこういう提案をいたしますならば、もちろん特に横浜神戸が他の戰災都市に優先して、單独法を立法する必要を認めないのであります。ただ幸か不幸か、広島、長崎、それから引続いて別府、旧軍港あるいは伊東熱海その他京都奈良というふうに、次々に單独法をもつて特別都市建設をやるという——これは習慣でございますか、今までの経緯がございますので、そうなつて参りますと、やはり地元市民といたしましては、ほかの都市においてもそういう特別都市建設という單独法ができるならば、うちの方もそういう方法によつて、ひとつ特別に都が建設をやつてみたいという気持が起つて参りました。その地元考え方を一つ法案の形に現わしてみたのでありまして、決して他の戰災都市に優先して單独法をつくらなければならないという強い希望というのではなく、われわれも他の戰災都市がよくなるということと並行して、この特別都市建設單独法をつくるのが、まことにけつこうだと考えておるのであります。
  12. 上林山榮吉

    上林委員 私は提案者の御説明さつきから承つておるのでありますが、ただいまのお話の中に、他の戰災都市に優先する理由は何もないのである、同時にほかにこれに類似したものが、さきに可決されたから、これに準じたまでであるという、きわめて通俗的な普通の御意見であつたと思うのでありまするが、それであればあるほど、私がさつきから申し上げておるごとく、一般戰災都市促進基準法案ができて後やつてもおそくはない、両両相まつてつて行くという、その趣旨においてはわれわれも賛成なのだが、そういう意味から私どもはこれを優先してつくらなければならぬという理由を何ら認めない。ただいまの御説明によつて、優先してやらなければならぬという理由を認めない、並行してやつてよろしい。ただ先にできた都市があるから、これにならつたまでであるというただいまの御意見を拜聽いたしまして、私どもは時期尚早であるという結論を持つに十分の知識を得た次第でございます。  そこで第二の理由として、提案理由説明の中に、国際的色彩を帯びなければならぬ、ことに外国人がたくさん来る、あるいは貿易振興しなければならぬから、特段の計画を進めなければならぬという一般的な御議論でございますが、これは一般的な御議論として私どももわかるのでありますが、ただいま両君は、国際的な情勢がこの建設法を進める上において、皆さん考えておられるような状態に進んでおると思うかどうか、もつとわかりやすく言うならば、国際情勢は安定して、貿易はどの程度に、第一年度、第二年度、第三年度に上げ得るか、あるいはこれが建設される目標とマツチしているかどうか。私ども国際情勢ははなはだ微妙であると考えておりますし、また貿易状態をながめましても、これを急いでここ一、二年の間にやらなければならないような状態になつていないという見解を数字的に持つておりますが、これに対しまして、数字的にもう少しわれわれが納得行くような説明をお願いいたしたいと考えます。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 国際情勢と仰せになりますることが、朝鮮事件をさしているということでございますならば、朝鮮事件後における貿易状態に関する詳細な数字は、ただいま待合せはございません。しかし戰後の数字でございますならば、ただいま手元にあるのでございまして、それを見ますと、漸次貿易は好転しているように見受けられるのでございます。しかも横浜及び神戸市が、昭和二十四年度におきまして、全国貿易において占める割合は、輸入におきましては五七・六%、輸出におきましては、六五・七%という数字を示しているのでありまして、横浜及び神戸国際貿易において占める比重というものはきわめて大きいということを御了解願えると思うのであります。  なお私どもは、神戸及び横浜国際貿易港として建設されるということは、外貨にいたしましても、あるいは外客にいたしましても、これは神戸横浜で独占するわけでないことは当然でありまして、これは一つ表玄関にすぎないのでありまして、この玄関を通つてあるいは京都奈良東京で申しますならば、熱海、日光というようなところに観光客は行くのでありますし、あるいは大阪、東京というようなところにおいて、貿易の実際上の取引が行われるということになるのであります。この点は他の一般港湾と違つた国際的な性格を持つているということを、十分に主張し得られるのではないか、かように考えているわけであります。
  14. 上林山榮吉

    上林委員 ただいま貿易状況、並びに国際情勢の安定か、不安定かという問題についての簡單な御説明があつたようでありますが、そのうちで戰前貿易と現在の貿易とを比べて、どういうようにお考えになるか、戰前状態よりも非常に少い今日において、国際情勢はどちらかというと、非常に微妙に動いている、その微妙に動いていることが、あなた方が考えると同じように、貿易振興という方向に動くかということは、私どもは確信を持つて言うことができないような状態にあると考えます。こういうような点から考えまして、急いでつくつたところで機能を発揮できないのじやないか、時期尚早ではないかという疑問を持つ、たまだいまの数字的な御説明ではわれわれは納得ができないのであります。單に問題を朝鮮事件というような問題のみに限局されての御議論であり、他を除外しての御議論であるようでございますが、私どもはそういうふうに考えない。もう少し大きく考えてみた場合に、現在の国際情勢をもつてしては現在の港で十分である。これに多少の修築を加える程度で十分である。ここに国費その他のものを多く持つて来て費すような便法を講ずる必要は何もないのである。こういうように考えるのでありますが、いわゆる国際貿易のスケールというものをどういう段階考えているか、現段階あるいは近い将来の段階で、はたして現在の設備、あるいはこの設備を改良する程度で十分間に合わぬのかどうか、私どもは十分間に合うと考えておるが、これに対するもつと詳しい御説明を願いたい。ただいまの御説明では、私どもは不十分でございます。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 国際情勢全体の見通しということになりますと、私はそういう方面知識はあまり持つておりませんが、たとえば昭和二十一年百七万七千トンでありました輸出入貨物が、二十二年には百七十四万九千トン、二十三年には二百八十万二千トンというふうに、非常に大きな割合をもつて伸長して来ておるのであります。従いまして、たとえば昭和十五年には千二百七十一万トンという非常に大きな貿易総トン数があつたわけでありますから、もちろんこの程度貿易総量でございますれば、現在の設備をもつてしまして十分と言えます。しかしながらもしわが国観光国策、あるいは観光立国というようなことを言います限りにおきましては、まず最初日本に船が着いたとき受ける印象が、できるだけ快適なものでなければならない。われわれは着いた第一印象がきわめてりつぱなものであれば日本に対する観光客を誘致することができるし、かつまた実際の貿易取引が行われることを促進する、かように考えまして、單に港湾設備ばかりでなく、その臨港地帯もしくは都市そのものを国際的な色彩建設するということを、この法律のねらいといたしておるのでありまして、港湾施設だけをお考えになりますと、戰前に氏べて十分にまだ能力を発揮していないという点は考えられます。しかし将来も神戸横浜日本の国の表玄関として持つております意味を十分に考え特別建設をやらしていただきたいと、こう考えているわけであります。
  16. 上林山榮吉

    上林委員 ますます特別都市建設を急ぐ必要はない。こういう議論になつて来るのであります。また良心があるならばそういう御議論をされるはずがないのであります。私がこういうふうに質問したかしといつて、詭弁を弄してほかの方面議論を発展させるほど不賢明な両君ではございませんので、結論において私が危惧している通り、現在の港湾能力もつとしてもまだまだ十分に余裕がある。貿易の一番大きな問題は、何といつて港湾設備が十分であるかないかということが第一の條件であります。附近が国際的色彩を帯びているかどうかということは第二義、第三義の問題であつて、それは貿易と密接な関係にあるものでは決してないと私ども考えておる。神戸横浜のような大都市が、自分の力によつつて国際的色彩を帯びて行くことは、これはやらなければならぬことだと思いますけれども、ことさらに国費を投じて特別な法案をつくつてやらなければならぬ段階にはなつていない。あなた方も御承知通り全国戰災地にはまだ防空壕に住まつておる幾多の諸君がおります。区画整理も十分にできていない。住宅建設も不十分であつて地方都市であればあるほど困つておるのであります。農民農民として、その他のいろいろな問題によつて非常に苦痛をなめておる。この際に中央集権的な色彩を帯びた特別都市法というようなものをつくることは、私どもはあまり賢明な策ではないと思う。今までできたものに対しても、われわれは再検討の余地があると思いますから、場合によつて廃止法案を出したいと考えております。今までできたからこれに右へならえをしなければならぬという論拠は、国政を担当する国会議員としてはあまりほめたやり方ではない。戰災都市一般的に引上げるというような法案であるならば率先してやらなければならぬけれども、どう考えてみましても、拔けがけの功名をしておるかのごとき印象を與えていると思います。こういう意味合いにおいて、私はただいまの御説明では不十分でありますので、きようはこの程度で質問を打切りますが、後日資料をそろえまして再び質疑を継続いたしたいと思います。これをもちまして本日の私の質疑を一応終ります。
  17. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 瀬戸山委員
  18. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ただいま両法案に対する根本的な考え方について上林委員から相当つつ込んだ質疑があつたわけでありますから、私のは少しこまかくなるかもわかりませんけれども、そのつもりでお聞きを願います。  両法案の第一條の目的は、読み上げるまでもないのでありますが、読み上げてみます。横浜及び神戸市は「その沿革及び立地條件にかんがみて、わが国の代表的な国際港都としての機能を十分に発揮し得るように建設することによつて貿易海運及び外客誘致の一層の振興を期し、もつてわが国の国際文化の向上に資するとともに経済復興に寄與することを目的とする。」ただいまの御説明によりますと、これは住民の方々の熱望であるということであります。なるほど横浜神戸両市は、今日までわが国最大の国際港都であつたと思うのであります。戰災を受けて、日本経済のきわめて貧困になつておりますときに、両市の方々が率先してかようなお気持を持つておられるということについて敬意を表するのであります。そこで第二條に「都市計画法第一條に定める都市計画の外、国際港都にふさわしい諸施設計画」をするのだ、こういうふうにうたつております。先ほど上林委員からも言われたのでありますが、この両市はもちろん大なる戰災を受けて、私も実情を見ましたが、戰災の復興はきわめて遅々たるものがあり、両市の市民諸君に対しては同情にたえないのであります。ところがそのためにつくりました特別都市計画法、いわゆる戰災復興計画でありますが、この特別都市計画法があります上にこの法律をつくろうというのであります。もちろん現在の都市計画並びに特別都市計画事業によつても、横浜並びに神戸の両市は国際的な港湾都市としてあるべき姿にしなければならないということは、この法律をつくるまでもなくさような構想をもつて計画されておつたでありましよう。もしさような計画ができていなかつたとすれば、この法律ができなくともさような計画が当然できるはずだと思うのであります。そこで第二條に書いてありますような計画をされるというのでありますが、この法律をつくらなければ両市が真に第一條の目的を達するような港湾国際都市としてできない理由がありましたならば、その理由を聞かしていただきたいということと、もう一つは、第一條の目的を達成するために第二條の計画をされたということでありますが、その内容がわかつておりましたならば、概要だけでもよろしゆうございますから、一応御説明願います。
  19. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 実は私、説明が下手で納得の行くような説明はできないかもしれませんので、その点は御了承を願いたいと思います。横浜神戸国際都市として世界にも重要な地位を占めておることは申し上げるまでもないのであります。外客の誘致その他国際的に出入りの多い関係上、そういう国際的な出入りにふさわしい衞生の設備であるとか、あるいはいろいろな外客誘致の設備というようなものが、横浜神戸のような国際港都としては最も重要であろうと思うのであります。そういうような国際都市として、外国人をお迎えし、一層認識を深め得るような設備なり、あるいは計画なりをして、そういう方々に心から喜んでいただくように、あらゆる施設計画考えておる次第でありまして、この点ぜひ御了解を賜わりたいと思うのであります。
  20. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もちろんただいま御説明がありましたようなことは、私が最初第一條の目的の場合にも申し上げましたように、さような施設をし、外国人が喜んでどしどしやつて来て金を落すような状態になすことにだれしも反対はございません。ただしかし、先ほどもお話がございましたように、私神戸市を見ましても、ことに神戸の市にはまだほんとうに小さい焼けトタンでつくつた家がたくさんあります。横浜にもございます。そういうところをなぜ早くきれいにして、なるほど神戸横浜の市街はきれいだという状態をつくらないかということは、私は今日の戰災都市の復興がきわめて拙劣であるという事実を印しておるのでありますが、そういうことをやることは、この法律をつくらなければできないとは私は思つておりません。現在の法律でもきれいな都市にすることは十二分にできると思うのであります。そのほかにこういう特別な法律をつくらなければ、ただいま御説明がありましたような貿易港として、もしくは国際港都として外国人が喜んで来ない、さような理由を解消するために、こういう計画を立てて実施しなければならないという何か構想があつて、この特別法をやらなければならない、こういう理由が必ずあるのではないかと私は思うのでお尋ねするわけであります。もちろん今日まで長崎、広島の特別都市法を初め数次の法律ができたのであります。私ども一つだけ残してほかの全部を審議いたして今日ここに来ておるのでありまして、大体の内容はお尋ねするまでもなくわかつております。わかつておりますが、横浜神戸都市は先ほど言われましたように、それ以上に重要であります。重要でありますが、この法律をつくらなければ第一條の目的に適するような国際港都はできない理由がありましたならば、私ども不明にしてわかつておりませんから御説明つて、なるほどそうしたならば早くこの法律をつくらなければならないという、こういう事態を招来していただきたいと思うのであります。
  21. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜神戸はただいま仰せの通り国際港でありながら復興も非常に遅れ、まつたくみじめな状態にありますことは御意見通りであります。もちろんこれは戰災都市としてどの都市にも共通するのでありますが、ことに横浜神戸におきましてはその最もひどい場所だと思うのであります。従つてこれらの都市をして一日も早くりつぱな都市にしたいという熱望のもとに、実は横浜市におきましても都市建設計画概要というものをこしらえて、これが計画はやつておるのであります。これは委員の方にお配りしてあろだろうと思うのでありますが、この計画の内容について御検討を賜わりたいと思うのであります。こういう特別なる法律をつくらなければできないかという御意見でありますが、もちろんそれは終戰後におきましてもでき得るだけのことは——横浜の例を申しますならば、市民が全力をあげてこの横浜市の復興のために努力をいたしております。同時にまた当局に向つてもいろいろお願いをいたしておる次第でありますが、いかにせん横浜の場合を考えましても、御承知通りいろいろ進駐軍その他の関係も非常な御努力は願つておるのでありますけれども、いまだりつぱな都市としての建設が容易にはかどらないということは、あまりにも戰災の痛手の大きかつたことと、財政的にも非常な窮迫をいたしており、いろいろ幾多の困難な事情があるのであります。しかしながらこの困難なる事情にあつても、一日も早くりつぱな港湾都市としなければならないというために、いろいろ努力をしておるようでありますけれども、いかにせんこのままではなかなか容易ではないのでありまして、こういう特殊な法律案をお願いいたしまして、これによつてさらに構想を新しくし、同時にまた政府あるいはその他の公共団体の御援助によつて、この横浜市の復興を一日も早くしたい、同時にまた国際港都としてふさわしいあらゆる諸施設もし、あるいは港湾、あるいは住宅地帯、あるいは遊覽地帯、あるいはそのほかのいろいろなる国際的に必要なる施設考えたいということでありまして、こういう特殊の法案を一日も早くこしらえていただくことによつて市民ももちろんやるのでありまするが、当局の一段の御援助におすがりしてやらなければ、このままでは容易に立ち上ることのできない実情を十分御了解願いたいと思います。
  22. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 横浜神戸の両港湾都市を理想的にする、さような計画を立てることは、法律をつくらなくても当然できることだと思います。そこでこの法律がつくられているのは何も計画を立てるためではないと私は考えます。この法律をつくつて、さような国際港都にふさわしい諸施設計画され、どういうふうにして実現するかということであります。大体この法律のねらいはどこにあるかということを御説明願いたい。
  23. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 この法律のねらいということになれば、ただいまの私の説明が不十分かもしれませんが、横浜市單独ではこの港湾都市としての建設が困難であるという立場から、実は国またはその他の公共団体に十分に認識していただくとともに、御協力を願つてやらなければ、容易にこれができ得ないと考えているのでありまして、国または公共団体のいろいろな御協力を願いたいということにあると思うのであります。
  24. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は前国会の場合に、御承知の首都建設法を審議いたしたのでありますが、いわゆる首都建設法をつくつて、国の援助を仰ぎたいというのが究極の目的であつたのであります。この種法律はすべてさようでありますが、その際に私が常に申し上げたのは、首都建設はもちろん全国民の望むところであります。ただいま提案になつておりまする両港湾都市の整備を望むことも、全国民ひとしく心を同じゆうしていると思います。ただしかし御説の通りに、地方自治体を主にして、自治体は自治体の運用によつて動いて行くというのが今日すべての動き方でありますので、首都建設の場合にも問題にいたしましたのは、国家財政きわめて窮乏いたしておりまして、先ほど上林委員から御議論がありましたように、百十五の戰災都市が実に今日みじめな状態である。そこに東京都の各位が国家にすがつて、早く東京都建設いたしたいという気持はわかりますけれども、私はむしろ率先して、国家の手を頼る前に、東京都の都民諸君が一致団結して、みずからの力で首都建設をする気持があるかどうかをただしたのであります。これは愚論であるかもしれませんけれども、さようなことを申しまして、そこで横浜神戸の両市の方々もさような気持をもつてこの両市の建設に当つていただきたい。これは地方自治体の自主性から申しましても当然でありますが、国家財政の上から申しましても、特定の土地に特定の大なる力を及ぼすことは、私から申し上げるまでもなく、今日の財政状態においては不可能であります。そこで先ほどのお話のように、時期尚早の論も起つて来るのであります。そのほかに繰返して申すのでありますが、全国至るところに散在いたしております戰災都市が非常な不満を持つているということは事実であります。その状態が今日国会にも現われておるのでありますが、さようなお気持を両市の方々は持つておるかどうか、持たないとは仰せられますまいけれども、真劍な気持をこの委員会に披瀝していただきたい。
  25. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 ただいまの御意見はごもつともでありまして、神戸といい横浜といい自分の力でりつぱな港湾都市建設しようという熱意と努力を持ち続けて来つつあるのであります。また現在におきましても、国家財政の窮迫なこともよく承知しておりまして、でき得るならば自力をもつてりつぱな港湾都市建設したいという熱意のもとに、真劍に立ち上つておることを御了解願いたいのであります。ただいかんせん、現在の状況においては、そういう非常な熱意を持ち、真劍な気持で立ち上りつつあるのでありますが、国もいろいろ困難な場合ではありますけれども、財政的な、あるいは起債認可等、大きな計画でありますから、国家財政だけにおすがりするということはもちろんできないことは承知しておるところでありまして、起債等によつてこれらの事業を着々計画しなければならないというような面もあるのであります。そういうような場合におきまして、いろいろ御援助と御了解を願う上におきましても、この種の特殊法案が必要であるというように考えておるのであります。ただいまの御質問に対しましては、両市民とも真劍な気持で立ち上つておるということだけは十分に御了解願いたいと存じます。
  26. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 少しこまかくなるのでありますけれども、ただいまの趣旨に基いて一、二御質問をいたします。この法案の第五條の第二号に、都市計画法第六條の二の規定にかかわらず、その事業の執行に要する費用につき、国と公共団体との負担の割合に関する特例を設けることが、この法律によつてできるように案を立てられております。都市計画法の第六條の二には、国と事業執行者とが半分ずつを持つということに相なつておりますが、この法律の規定は一向実際に動いておりません。のみならず全国戰災復興予算がきわめて少いので、それまで三分の二の補助をいたしておりましたけれども、国家財政の状況から、昭和二十五年度から、全国百十五の戰災都市を削りまして、八十五だと思いますが、復興計画を縮小して、いわゆる改訂五箇年計画を立てたのが実情であります。その縮小改訂五箇年計画でさえも、さて昭和二十五年度からできるかどうか私どもは危ぶんでおるのでありますが、さような状態に置かれておりますときに、この法律によつて、六條の二の規定にかかわらずというのは、それよりか以上の、国の補助なり負担をさせようという目的でありますか、そういうことを立案されてここに出しておりれますが、今日まで各種のこの種法案が出ましたけれども長崎、広島以外の場合には、この規定はなかつたことは御承知通りであります。この際この規定を特につけて来られたのは、ほかの戰災都市に対するお考え方をいかように盛つて案を立てられたのか、ひとつ国家全体の上から真劍なる御説明を願いたいと思います。
  27. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 御趣旨の点ごもつともでありますが、実は第五條の第一項におきましても、国が必要があると認めた場合にこれだけの措置をとることができるということを実は書いておるのであります。いろいろ国家全体の立場から、国家の財政のすべての立場から、あるいは他の都市との振合い等ももちろん勘案しなければならないことでありますが、この條項につきましても、必要があると認めた場合において、横浜神戸という特殊な港湾都市としての性質を考え、必要が生じた場合、あるいはそういうことを考えられた場合において、また急速じやなくとも、だんだんといろいろな国家財政とのにらみ合せ、他の都市とのにらみ合せ等も考えて、必要と認めた場合に、この條項が生きるのでありまして、別にそれが他の都市を度外視して、横浜神戸だけが何でもこれを照応しなければならないというような趣旨ではないのであります。決して横浜神戸だけに、特にこれが強く照応されるという意味合いでもなかろうと思いますので、その点は誤解のないように適当に御審議願いたいと思います。
  28. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もちろん法律の文句は必要の場合であります。必要がないときに出すものもありますまいけれども、一旦法律に出ました以上は、なかなかそうは参らないのであります。例をとりましても、長崎、広島の場合に、御承知通りに、昭和二十五年度二億七千万の特別な予算を出しておる。これは広島、長崎は、全世界の注目を引きました、いわゆる世界史始まつて以来の原子攻撃を受けたところでありますので、これは恕すべき点があるというので、一応問題にはなりましたけれども、それが実施されて今日に及んでおるのでありますが、少くとも今日までかような法文がなかつたのに、この法文を出したということは、それを生かさない法律をつくるということは、私国会人としていたしたくないのでございます。ただいま非常に遠慮されたお気持がありましたが、お気持はわかりましたが、この際都市局長さんが見えておりますので、これに対して建設省は、もし法律ができましたならば、いかなる処置をされるか、御明答を願いたいと思います。
  29. 八嶋三郎

    ○八嶋説明員 ただいまの瀬戸山委員の御意見は私はごもつともだと思います。私といたしましても、ほかの戰災都市に比べまして、この両都市に特別の負担割合の分ができて来ましたからといつて、今すぐやるというところまでは考えておらないのであります。この点はやはり国の財政状態が立ち直りまして、ほかの都市も漸次負担の率を上げて行く場合において考えらるべき問題じやなかろうかというぐあいに考えておるのでございまするが、このことにつきましては、法はこうありましても、必要があるという場合の意味は、国家財政のこれに伴うという場合を考えてということ以外には、私は答弁のしようがないのではないかと思います。
  30. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 必要がないときに出さないのは当然であります。そこで戰災都市に対して、昨年度から二分の一に削られております。都市計画法の第六條の二は現在動いておりません。今日やつておりますのは、特別都市計画施行令によつて十分の八以内という、融通性のある規定でありますので、二分の一の補助をいたしておると私は承知いたしておるのでありますが、全国都市を別にいたして、この両都市に対してやられるお考えがあるか。もしやられないならば、この法律はいらないので、削りたいと思つておるからお尋ねするのであります。
  31. 八嶋三郎

    ○八嶋説明員 現在この両都市に対して特別の補助率をあげるというようなことは、私としては考えておらないのであります。
  32. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 大体提出の内容はわかりました。この問題はこれで打切ります。  もう一つ、これも小さいことでありますが、第三條について簡單にお伺いいたしたいと思います。第三條は、神戸並びに横浜の国際港都建設事業は両市の市長が執行する、かようになつております。これは都市計画法並びに特別都市計画法の特例法でありますので、かように明記されますと、ほかのものは一切相ならないということになるのであります。こまかい法律を引出すのはきわめてまずいので引出しませんが、今日までは行政庁が原則として執行するということになつておる。神戸横浜は両市の市長さんが執行の責任者となつておられるのでございますか、そのほかに都市計画法によりますと、あるいは区画整理を特許によつて他の事業主体にやらせる場合もあるのであります。時と場合によつては、国の直轄によつてやらない場合もないとは現行法では言えないのでありますが、さようなものを全部排除いたして、両市の市長さんがやられるという建前の上にこの法律を立案されたのであるかどうか。今日までのこの種法案にはあまり例のなかつたことでありますので、おただしいたしたいと思います。
  33. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 これは地方自治の確立という建前から、こういうように執行権を市長にゆだねるということにしたようであります。またこういうような事業は、やはりこの市長が執行するという建前の方が、もちろん、いろいろの方面からの意向もあるやに聞いておるのでありますが、要するに、そういうような地方自治の建前から、こういうように執行するのが最も妥当であるという建前においてこうしたわけであります。
  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そこで私は最初にこの東京都の首都建設法の場合を、余計なことでありますけれども、引例して申し上げたのでありますが、地方自治の原則を確立するというつもりで、特に今まであまり例のない規定を設けたのだ、ほかの行政官庁もしくは国、場合によつては行政官庁以外の事業主体にやらせるということも一切排除するという御決意は、私は両市の市長さんに敬意を表します。ただそういう自主性のある法律をつくりながら、最大のねらいは、国民全体の援助を受けたいということを第五條の二に書いてある。そこが私はどうも首尾一貫しておらないというふうに考えるのであります。もちろん戰争の犠牲でありますから、私は戰争の犠牲は国全体の力によつてやるべきである。そういうときにいたずらに自主性を振りまわすべきではない、かように考えて、戰災復興は国全体の力によつてやらなければならない、かように思いますので、先ほどからくどくその点を申し上げたのであります。その点については別にお答えをいただく必要はないのでありますが、他の戰災都市との振り合いにおきまして、私どもはどうも完全に承服することができないということを申し上げて、私の質疑を終りたいのでありますが、もう一つ簡單に……。  附則の三、もちろん、これに特定の都市に対する法律でありますが、住民投票をしなければならないという憲法九十五條の規定を引用されておりますが、これは憲法にありますので、しかたがないと言えばそれまでであります。しかしこのためにいかに国民の税金が各地方都市に使われておるかということは、私どもはこれを簡單に軽視するわけには参りません。今後幾十のかような法案が出て来るおそれを私は持つております。この憲法の規定を適用しなくてもよろしいような法律をつくつて、むだな金を使わないようにするのが、私どもはこの際国民の代表として当然の責務であると考えております。大体両市において住民投票をされるのに、国からどのくらい費用をとられるおつもりか、御説明を願いたい。
  35. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 今の御質問について横浜の分だけ申し上げたいのでありますが、横浜の有権者は五十二万七千六百八ということになつておるのでありまして、一人一円五十銭ということになつておるそうでありますから、七十五、六万という数字になるだろうと思います。住民投票の一切の費用ということは別です。総額の方は一人二十五円ということになりますから、一千三百万円ということになります。
  36. 松澤兼人

    松澤兼人君 神戸におきましては、有権者は大体三十二、三万という見当であります。
  37. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 多く申し上げません。両市の住民の各位が、先ほど申し上げましたように、日本の代表的国際港都にいたしたいということには、私は最初に敬意を表したのでありますが、かような法律をつくるたびに何千万という国費を、いたずらなると言うと失礼でありますが、選挙みたいなことをするために使うのであります。それをしなければ、私は国際港都ができないということはどうもふに落ちない。これ以上申し上げませんが、この点はお互いに真劍な気持をもつて今後に処すべく考えなくちやならないのじやないかということだけを申し上げまして、私の質疑を終りたいと思います。
  38. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 簡單に御質問しますが、第一條に「わが国の国際文化の向上に資する」とございますが、わが国における国際文化というものは具体的にどういうことなんでしようか。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 むずかしい御質問でございますが、文化の中には固有あるいは伝統的な文化もあるのでありましよう。あるいはまた文化の交流などによりますところの、比較的幅の広い、非常に豊富な国際的なものもあるでありましようし、できるならばもちろん私どもは固有の伝統的な文化を生かすとともに、文化の交流によつてその文化に国際的な性格をつけて行きたい、そういうものが大体において国際文化だ、かように了解しております。
  40. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういう意味でありますならば、こまかいようですけれどもわが国の文化の向上でけつこうだと思うのでありまして、何もわが国の文化が伝統的な文化のみに限られるものではなくて、文化はいつも交流するものでございまして、特にわが国の国際文化というふうにうたわれることに対しては、私どもとして、何か外国の文化のみが非常に貴重なものであつてわが国には文化的な素質、伝統、そういうものもなくて、貴重なものは全部外国の文化だ、こういうふうにも考えられるのでございまして、やはりわが国の文化の向上ということでけつこうだと思うのですが、これは私の意見だけを申し上げておきます。  次に、先ほど三浦さんが、外国人をお迎えして、そして喜んでいただくような施設をつくる、こういうふうにおつしやられたのでございますが、これは具体的にはどういうことになるでありましようか。どういうことをしていただけば外国人は喜ぶのでございましようか。その点をお伺いしたいと思います。
  41. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 私はあまり外国人の気持はわかりませんので、ただいまの御質問に合うような答弁はできないと思うのでありますが、要するに私は、現在の日本の生活様式と、外国の人々の違つた生活様式、あるいは外国の人人のいろいろ違つた好みとか、すべてのものが違うであろうと思うのであります。そういうような点を十分に研究されてもいるでありましようし、また研究もいたしまして、外国から来訪した人々の喜ぶような施設が当然生れて来るし、また国際貿易港としてはそういうことをしなければならないと思います。具体的にはいろいろたくさんありましようけれども、別にこれと言つて申し上げない方が、御了解願うのにかえつてよろしかろうと思うのでありまして、その点で御了承願いたいと思います。
  42. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 計画概要の二十七ページに、金沢観光地区五十四万坪、鶴見川河畔遊歩道二万一千坪、それぞれ歓楽街を設け云々、あるいは歓楽街化する、こういうことが計画の中に入つておりますが、これがすなわち具体的に外国人をお迎えして喜んでいただくような施設というふうに理解してさしつかえないでありましようか。
  43. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 この計画の概要にはそのように書いておりまするから、もちろんただいま申し上げたこともその一部であります。もちろんほかにもこれから都市をりつぱに建設する上におきましてはまだいろいろあるであろうと思うのであります。しかしただいま例に引かれた点はその一部であることを御了承願いたいと思います。
  44. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 次にこれらの広汎な計画を実行して参ります場合に、住民の土地を收用し、あるいは転換したり、あるいは家屋を立ち退かしたり、あるいは店舗を移動させたり、あるいは田畑を收用したり、こういうことが当然予想されるのでありますが、これらに対して十分に円滑に事が運ぶであろうという予想がありましようかどうか、これをお伺いしたい。
  45. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 いろいろと都市計画を他にもやつておるのでありまして、そういうような場合におきましては、関係の人々の了解も十分に得てそうしてこれを進行することは当然でありまして、大きな施設の前に十分に話合いをいたすのでありますから、その点におきまして了解が行きまして円満に進行するということは必ずでき得ると信じております。
  46. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 大体そういう円満な交渉によつて都市計画を遂行して行くために、特にどのくらいの経費が必要だと思いましようか。たとえばたんぼなどを收用する場合に、その立毛などに対しても賠償しなければならない場合もありましようし、引越料などもございましよう。これは法律の上できめられた額もございますけれども、そのほかにもいろいろのれん代であるとかいうようなものを賠償しなければならぬ例が多々あるのであります。そういう費用はどのくらい見積られておりますか。
  47. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 もちろん円満に話合いが進む過程においては、ただいまのようなことも当然起きるのであります。ただそれが具体的にどの程度だということは、まだはつきり申し上げることができないことを御了解願いたいと思うのであります。この法律ができましてから、そういう計画を十分に調査研究し、あるいは計画を立ててみて、それからでなければ、はつきりとどれだけの予算が必要であるかということはわからないだろうと思うのでありまして、今ここでその金額を申し上げることができないと思います。
  48. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それはまたあとでいろいろ研究してみたいと思いますが、なお横浜建設で総額六百三十八億、先ほどの質問もございましたが、その調達方法ですが、とにかく横浜なら横浜で、ぎりぎりのところどのくらいの負担能力があるものであるか、それをお聞きしたい。
  49. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 まだ負担能力がどのくらいということは、ちよつと答弁しかねるのでありますが、こういうような計画のもとに横浜の負担、また同時にいろいろ起債等によつて、そうして御了解を願つて進める以外にないと思うのでありまして、そういうような起債等についての御了解もぜひ願わなければならないというような建前においても、こういう法案の必要性があると思うのであります。
  50. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 どうもまだ研究が不十分のようですけれども、それじや最後にこの法律による港都の建設をやらなければ、外国から来るべきバイヤーが特にほかの港に行つてしまう、あるいはほかの国の港に寄つてしまう。こういうことをやらなければ、日本の輸出すべき品物も特に輸出できなくなつてしまう。あるいは必要な輸入すべきものを特に輸入できなくなつてしまうというような材料をお持合せでございましたら、話していただきたいと思います。
  51. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 特にそういう材料というわけではございませんが、現在のごとく、たとえば横浜の例から申しましても、外国の人が来ましても、ホテル一つない、休憩する場所もないというような現状でありまして、そういう直接の貿易港の立場において、休憩所もなければ、泊る場所もない、あるいはいろいろ優遇する場所もない、足をとどめる場所もない。貿易港にこういう設備のないということは、当然貿易振興にも影響するでありましようし、あるいは外国からのお客さん方に対する取引関係から行きましても、貿易に直接間接に非常な影響を及ぼすだろうということを信じておるのであります。やはり貿易振興ということも、貿易都市内にそういう設備を一日も早くするというこが、貿易の建前からいつても非常に重要性があることは、申し上げるまでもないと思うのであります。現在のごとき状況下においての横浜の事情というものが、そういうように今非常にみじめな実情にあることもぜひ御了解願いたいと思うのであります。
  52. 藥師神岩太郎

  53. 砂間一良

    ○砂間委員 提案者にお尋ねいたしますが、神戸及び横浜わが国の代表的な国際港都としての機能を十分発揮し得るよう建設するためには、概算どれくらいの費用が予定されておりますか。
  54. 三浦寅之助

    三浦寅之助君 横浜の場合におきましては、お渡しした計画書に大体書いてあるのですが、この事業計画の総額は六百三十八億五千五百七十万円です。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 神戸の場合は、総合計画といたしまして、大体四百二十六億ばかり計上されております。
  56. 砂間一良

    ○砂間委員 これらの費用を調達する見通しは、国の方からの援助なども期待されておると思うのであります。しかし全部国におぶさるというわけでもないと思うのでありますが、どういう財源によつてこれらの事業を遂行されて行く予定でありますか。
  57. 松澤兼人

    松澤兼人君 大体この法律に規定せられております国及び地方公共団体の援助というのが、従来の法律よりも多少積極的な部分であります。それ以外は従前の通り、たとえば地方起債であるとか、あるいは市税でありますとか、あるいはまた競馬、競輪その他事業收入というようなものが普通に充てられるのであります。この計画は、何年間にこれをやるという総合的な大きな見通しを持つているだけでありまして、従つて年度割幾らという確実なものではないことを御承知願いたいと思います。
  58. 砂間一良

    ○砂間委員 国の方からの援助は別といたしまして、地元で負担する方の部分でありますが、起債によるといたしましても、現下の情勢では起債は一般的になかなか困難であります。災害復旧のような緊急の問題であつても、地方起債なんかが非常に制限されておるような状態であります。従つてこの起債の方面もなかなか困難な実情にあるとすれば、他は競馬、競輪とか、税金ということになると思うのでありまして、相当地元民の負担も重くなつて来ると思うのであります。しかしそれはそれといたしまして、意見になりますので、あとで申し上げます。  その次にお尋ねしたいことは、横浜国際港建設法案神戸国際港建設法案という、この国際ということでありますが、近ごろは国際ということが非常に流行でありまして、国際文化観光都市とか、国際文化温泉観光都市とか、何でもかんでもやたらに国際がつくわけであります。もとより港は海に続いておるのでありまして、そういう意味からすれば本来国際的な性質を持つておるのであります。昔林子平が、江戸川の水はテームス川の水に通ずると言われたこともありますように、港である以上は国際性を持つておるのでありますが、特に横浜神戸わが国の代表的な国際港というふうに言われている、その国際ということを強調される特別な理由をひとつ具体的に御説明願いたい。これまでも横浜神戸日本の主要貿易港でありまして、一位、二位を保つて来た貿易港であると思うのでありますが、特にこの單行法、特別法を出すに当つて、その国際ということを強調されるについては、国際の意義をもつと具体的に御説明願いたいと思います。
  59. 松澤兼人

    松澤兼人君 ただいま御指摘の通り、両港都は国際的な性格を持つておるのであります。別に今あらためて国際という看板を掲げなければならないという理由はないのであります。従いまして、御指摘の通り意味において神戸横浜は代表的な国際都市である、港湾都市であるというふうに、事実をたまたまここに看板に掲げただけでございまして、別に他意はないわけであります。
  60. 上林山榮吉

    上林委員 両法案は、突如としてこの委員会提案をせられたし、党においても各機関の議を経ておりません。よつて、われわれが質疑を試みてみましても、提案者の方においても十分の資料がないようでありますので、今日は審議を愼重にする意味において散会せられんことを私は望みたいのであります。動議を提出いたします。
  61. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 ただいま上林山君から本日の質疑はこの程度にとどめて、散会せられたいとの動議があつたわけであります。御賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  62. 藥師神岩太郎

    藥師神委員長 起立多数。本日はこの程度で打切りまして、大体明日午前十時から続行する予定であります。いずれ公報をもつてお知らせ申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十三分散会