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田中(角)
委員 建設委員として質問すると多少愚問になるかもわかりませんが、私たちはこの法律の成立にあたりまして審議をいたしましたし、私たちに対しまして各方面からこの
住宅金融公庫の運営という問題に対して問合せが参
つておりますので、これらの
住宅金融公庫を利用しようとする人たちの知りたいということを、質問というよりも希望であるかもわかりませんが、二、三申し上げたいと思うのであります。
住宅金融公庫法案を審議中、このままで行
つたならば庶民はほとんど借入れの対照にならないのではないかという質問が各方面からされました。私たちもこの問題に対しては十分考えてお
つたのでありますが、いわゆる回收の確実ということと、最も高度の社会性を帶びた政策の
一つとして、なるべく庶民に住宅を與えるというこの相反する二つの問題を同時に解決することは、非常にむずかしいと思
つているのであります。その
意味において、この
法律案が成立をいたして、実際にこれが運営せられるときには細心の注意を拂
つていただきたいということを考えてお
つたのであります。
住宅金融公庫が発足しましてから、まず第一番目に、大衆の感覚と申しますか、いわゆる批評はあまりよくなか
つたようであります。それは、家を持たざる数百万の人たちが、
住宅金融公庫ができたならばただちに
自分の家ができるというような錯覚を一面に起し、悪く言えば非常に大きな希望を寄せただけに、これか発足を見た直後におきましては、あまりにも手続その他がむずかしく、官僚的であることが各所に散見されたよりであります。しかも
先ほど申し上げましたように、回收ということとま
つたく相反する二つの問題を同時に解決するために、当然こういう措置がとられるのでありますが、本法の目途とする本旨をゆがめてはならないということだけ私も考えてお
つたのであります。しかし、わずか一箇月たちました現在の状態では、申込数も非常に少い。今日の新聞等では予想外に少か
つた。しかもその八〇%はほとんど無籤減の状態で当籤されたといつことで、ほつと胸をなでおろされておられるような向きもあると思いますが、なぜ申込みが少か
つたかといつことを
当局は十分考えてもらいたい。つまり一箇月前に大衆としてのみ込めないよつな煩瑣な書式であ
つたということはいなめないことであります。法律をつく
つても、法律の企図したことと全然逆効果をあげることが多いのであります。法はすなわち運用する人のいかんによ
つてその価値を判断せられるのでありますが、この
住宅金融公庫というのは非常に深刻な問題であるし、特にわれわれ自由党員としては、自由党の一大社会政策の
一つとして取上げたのでありまして、そういう
意味から申しましても、大衆のなじめるように、大衆が簡易に申込みができるように、ぜひひ
とつお考えを願いたい。これに対しましては、今まで金融機関が準備されてなか
つたということもあるのですが、この手続を全部廃止してしま
つたら、これは査定も非常に困難になりますが、われわれは
委員会が最後に修正しようとしたときに、金融機関ではなく、地方公共団体にまかせた方がよいのではないかということを申し上げたのですが、私はこの
実施にあた
つて特にそれが痛感された。市町村で信用状態を
調査し、各市町村がこれを引受けるということであ
つたならば、こんなことは絶対になか
つたと考えているのです。これは改正
法律案としてお出しになるかどうかわかりませんが、とにかく現在においては窓口を広くして、大衆に懇切丁寧に教えてあげられるような態勢をぜひ整えていただきたいということをまず
一つ御注文を申し上げたいと思います。
もう
一つは当籤をした人は、もうすでに明日からでも家が建つのではないか
——そういうふうな感覚を持つ大衆がいかぬというには、あまりにも住宅事情が深刻であるということを考えたならば、当籤をした入に対してはなるべくすみやかに貸していただきたい。この次に信用の
調査その他がありますし、当然地方公共団体に移しての
調査もありますので、これもなかなか時間的にかかると思うのでありますが、これも当籤をした者は二箇月、三箇月後にはほしいという希望を持
つておる、この希望をまとめ上げてや
つていただきたいということだけを、今から希望として申し上げておきます。
もう
一つは、現在約八〇%の方々が当籤せられたのでありまするが、非常にむずかしい五万三千もあるのではないかという申込み予想に対して、出した人は、いわゆる
住宅金融公庫法なるものが要求する條件をよく読み、しかもそれをのみ込んで、これに適合するという
相当の自信を持
つてお出しに
なつた方であると思います。その
意味において、一部の者が不適格であるかもわかりませんが、この当
つた方々に対しては、ひ
とつ特段の配慮をしていただいて
——この特段の配慮と申しますのは、中には現在多少の不備があ
つても、指導の仕方によ
つて、なおかつ一箇月、二箇月の時間的な余裕をかすことにおいて、適格者となり得る人も当然あるのであります。これに対しては特に親切丁寧なる採用方法をと
つていただきたいというのが第三の希望であります。
第四に私の希望申し上げますのは、これは私として正式な
委員会で申し上げていいかどうかわかりませんが、窓口に出して当籤した方の中に、非常に心配している人がたくさんあるのです。それは土地の問題です。借地権を第一回に認めなか
つたということはやむを得ない事情ではありますが、私は現在の
日本の情勢においては、画龍点睛を欠いたという状態だろうと思います。私は借地権を認めあてもらつことが、まさに錦上花を添えるものと考えております。この借地権ということで、まことにいろいろ悩んでいるのでありますが、現在当籤すれば大体買い得るけれ
ども、場合によ
つては破談になるかもしれない。但し一箇月か一箇月半のうちには必ず土地を見つけ得る自信がある、しかもそれだけの金は用意している、但し現在もう時間的に間に合わない、今買えても千五百円である、これを一箇月、二箇月の期間をかしてくれるならば一千円で買える換地を見つける自信がある。これを認めないという問題で非常に苦労せられているようであります。しかも東京都内においては、伊東
住宅局長はそういうことはないのですがと言われたのですが、私たちのところへ持
つて来た方々の中で、時間的に間に合わなか
つた一番最後の條件としては、区画整理に入
つているものは対象にならぬ、こういうのであります。これはいわゆる五箇年
計画で、道路敷内等において当然五箇年間に取壊されなければならないというものは論外でありますが、現在各区役所にある原図によりますと、当時の最も大きな都市
計画のもので、区画整理のところはみな色を塗
つている。区役所に行
つて大衆が聞いたところが、大体みな区画整理のところに入
つているために、時間的に遂に時機を失した人がたくさんあります。ですからこういう問題は大衆に徹底するように、新聞広告でも大いにや
つていただきたい。とにかく家をほしいということは非常に深刻でありますので、どうぞ大家さんになられるつもりで、一日も早く建つようにお願いしたい。以上私の希望を申し上げましたが、これに対して実際の衝に当られる総裁から、何か希望的意見を述べられれば仕合せだと思います