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1950-09-26 第8回国会 衆議院 経済安定委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十六日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 多田  勇君    理事 永井 英修君 理事 竹山祐太郎君       岩川 與助君    金光 義邦君       宮原幸三郎君    村上 清治君       森   曉君    森山 欽司君       川上 貫一君    中野 四郎君  委員外出席者         外国為替管理委         員会委員    奧村竹之助君         通商産業事務官         (資源庁電力局         長)      武内 征平君         通商産業事務官         (資源庁電力局         電政課長)   今井  博君         通商産業事務官         (資源庁開発部         長)      豐島 嘉造君         経済安定事務官         (経済安定本部         総裁官房長)  平井富三郎君         経済安定事務官         (経済安定本部         総裁官房企画課         長)      小出 榮一君         経済安定事務官         (経済安定本部         産業局長)   増岡 尚士君         経済安定事務官         (経済安定本部         財政金融局長) 内田 常夫君         経済安定事務官         (経済安定本部         財政金融局長) 木村 三男君         経済安定事務官         (経済安定本部         財政金融局金融         政策課長)   太田 亮一君         経済安定事務官         (経済安定本部         貿易局長)   湯川 盛夫君         経済安定事務官         (物価庁第一部         長)      渡邊喜久造君         中央経済調査庁         次長      奧村 重正君         経済調査官         (経済調査庁査         察部長)    吉田 龍雄君         專  門  員 圓地與四松君         專  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 七月三十日  委員周東英雄辞任につき、その補欠として細  田榮藏君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員深澤義守辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長指名で、委員に選任された。 九月六日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として横  田甚太郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員横田甚太郎辞任につき、その補欠として、  川上貫一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月三十一日  経済総合基本計画に関する件  国土総合開発に関する件  事業者団体法に関する件  協同組合制度に関する件  経済緊急政策に関する件  電力に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  経済緊急政策に関する件  電力問題に関する件     —————————————
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  これより経済緊急政策に関する件を議題に供し、物価庁第一部長渡邊喜久造君より物価統制及び最近の取締り方針並びに今後の見通しについて説明を聽取いたします。
  3. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 ごく簡單に最近における物価状況につきまして概括的なお話を申しまして、同時に暴利取締りの問題につきまして、一応政府が考えておること、やつておることを御説明を申し上げたいと思います。  御配付申しました資料ちよつとごらん願いたいと思いますが、現行統制額品目調という資料一つございます。それからこれは非常に恐縮ですが、英語がたくさん書いてあるウイクリー・レポートと書いてある資料一つございます。これは司令部の方に出しておるのを時間の関係で流用させていただきました。最近朝鮮事変後における物価動きにつきまして、個別的に書いた資料一つございます。それから物価庁月次報告という資料一つございます。それから暴利取締り関係としては政府声明、それから閣議暴利取締り対策要綱というのを、実は持つて来たつもりでおりましたが忘れておりましたので、今取寄せておりますから、ちよつとお待ち願いたいと思います。それから物価統制令の拔萃、これは暴利関係法的根拠を一応御参考にと思いまして持つてつたものがございます。ドツジ安定計画の進行に伴いまして、物価が順次安定状況に進むにつれまして、公定価格の数も漸次減つて参りまして、一時二千程度ありました公定価格が、現在三百九十という数に一応なつておりますが、一体どういうものが残つておるかという点についてずつと拾つて参りましたのが現行統制額品目調というものでございまして、そこに一、精米、二、玄米、三、精麦、この番号で書いてあります数字を順次拾つて参りました数が、現在約三百九十にわたつております。ただ、ごらん願いましてもわかりますように、ずいぶん小さな品目一つと数えられたおりまして、大小必ずしもそのバランスを得ておりませんし、物によつては、たとえば電気料金などのように、平時経済においても統制さるべきものが、物価庁が総括的にやつておりますので、物価庁の管轄になつておるというものまで全部入つております。事務的にまださらに相当整理さるべきものもあろうと思つておりますが、かなりマル公制度廃止されて来たという情勢にありましたそのとき朝鮮事変が起りまして、物価がいろいろな形においてかわつて来たという点は、その次のウイークリー・レポート、週報にございますので、一応これをごらん願いたいと思います。大体皆さんすでに御承知通りでありますが、一応まとめてある意味において、概括的な概念を得る上には都合がいいのではないかと思います。表の構成といたしましては食糧とか纖維とか、一応並べまして、その次に精米精麦、その次の欄が一応銘柄を示しております。それからユニツト、一升とか、一貫とか、その次の欄にデイコントロールの日付統制廃止日付が載つておりまして、そこに棒がひつぱつてありますのは、現在まだ統制が残つているということを意味しております。ずつと下の方へ参りまして、疎毛糸が本年四月二十七日に統制廃止なつた。その次の欄は、統制を続けておりますものにおきましては現在の統制価格、米でありますと六十二円七十五銭、それから統制廃止になりました疎毛糸でありますと、統制廃止当時におきましての一ポンド当り公定価格が八百九十七円九十銭という数字が載せてあります。その次の欄は四月から六月までの平均をとりまして、その当時における公定価格のあるものにつきましてはやみ価格公定価格のないものにつきましてはその当時の市場価格、それの平均を一応載せてあります。それからその次が一応調査された数字でありまして、七月の十五日に始まりまして、八月十六日から最近の九月十三日まで、毎週一応とつた数字が並べてあります。Cと書いてありますのが米でいいますと百五十円、百七十円、それから九月十三日へ参りまして百四十円、これは実数であります。それからB分のCと書いてありますのは、五月から六月までの間の市場価格に比べまして、この場合はやみ価格であります。それが上つたか下つたか、百三十円という数字なつております。百三十円のときは五分アツプ、百四十円のときは八分アツプという数字になります。A分のCというのは、公定価格に対して何倍になつたかということを示してあります。以下同じような表の構成なつております。  朝鮮事変が始まりましてから大きく値上りしたものは、原因的に考えますと、概括的に申しまして大体三つくらいにわけられるのじやないか。一つ国連軍調弁によりまして値上つたものということが考えられますが、この方は現在としましては、量的にもそれほど大きなものでもございませんし、また昔の日本の軍部が調弁したのと違いまして、必ずしも日本市場に求めなければならないというわけでもないし、値段次第によつて日本でも買うが、値段次第では本国から持つて来るというような関係もありますので、必ずしもそれによつて大幅の値上りをしたということは考えられません。せいぜい今まで弱気であつたものが、かなり強気になつた。たとえば一番終いの三枚目をごらん願いますと、そこにセメントとか木材とか一応ございますが、たとえばセメントでいいますと、公定価格廃止当時が二百十七円八十五銭、四月から六月までの間が二百三十九円、これが二百四十円ないし二百五十円、高くなつて二百五十五円、それから木材にしましても、四月から六月までが千二百円か千五百円、千四百円、この程度数字を示しているという程度でございます。むしろ値上りのはなはだしいのは、国際価値につれて大きく値上つているものでありまして、それも二色にわけられるのですが、一つ輸入品値段上つて、それによつて値上つているもの、一番典型的な例はゴムであります。最初のページの一番下にあります十二号生ゴム、本年の二月の十六日に公定価格廃止なつたときは十三万二千円のものが、四月、六月ごろは二十八万円、現在は三十五万円から三十八万円、三十七万円というように、非常に大幅な値上りをしておりますが、これは海外の相場がやはりこれと同じようでありまして、二月ごろの公定価格は、これは昨年の暮に輸入しました通産省の手持ゴムを拂い下げたもの、大体十六セントくらいで買つていた品物つたと思いますが、現在はそれが五十何セントといつた数字なつておりますので、この程度数字が出ておるものと思います。ただその割合には製品の方の値段にはまだ響き方が遅うございまして、十三のところにございますが、タイヤ、ゴム長というようなものの動きは、決してそれほど大きな動きはいたしておりません。原料高製品安の姿が出ております。国際価格影響を受けて値上つておりますものに、もう一つ輸出価格が値上つているということによつて値上つているものがあります。それは六から十一号までの纖維関係綿糸におきまして公定価格六万四千円のものが、六月、四月には十二万三千円ぐらいしており、ひどいときには二十三万円、二十四万円という数字なつております。また人絹糸につきましても、公定物価廃止当時、百ポンド、一万六千二百余円というものが三万円を越えまして、ひどいときは四万円を越えて四万二、三千円というふうな姿になつております。最近は大分おちつきまして、三万円、三万四千円、あるいはさらに三万一千円くらいの値段も出ております。纖維と並びまして、値上りの大きいのが非鉄金属でありまして、これは二ページ終りにあります二十一、二十二、鉛はそれほどでもありませんが、亜鉛の値上りがかなりはなはだしいものがあります。それから銅、錫も相当大幅に値上つております。国際的な軍備拡張に伴いまして、非鉄金属値上りというものがかなり強く反映されております。それから十八号から二十四号の鉄製品につきましては、鋼材につきましては本年の七月一日にデイコントロールしたのですが、補給金がはずれました機会におきまして、一万七千二百円したものが二万六千円というふうに、相相値上りをしております。大体補給金がはずれた影響がこれくらいは当然現われなければならぬと覚悟していたわけであります。ただ鉄鋼につきましては、やはり非鉄金属とは大分違いますが、最近相当強気のような姿になつて来ております。  以上が大体特に値上りの顯著なものでありまして、その他につきましてはそれほど大きな値上りもないというふうな様子になつております。ただこの表は比較的値上りの強い品物を多く掲げてありまして、必ずしも物価全体の動きを示すものとは思つておりません。かなり跛行的な姿にある。その点につきましては、月次報告の方が多少時間的には遅れておりますが、ごらん願いますと、一般的なものとしましては、こちらの方に出ていると思います。これは割合に指標的な数字だけ集めてありますが、物価一つの指標としまして考えられますCPI消費財実効価格を見て参りますと、全国平均におきまして、六月におきましては一二四、これは昭和二十三年の平均が一〇〇になつておりますが、七月におきましては二七%上りまして、一二七という数字なつております。八月の数字はもう一週間ほどしませんと出ません。八月につきましては、今わかりますのは、物価庁調べております消費財やみ価格と、日銀調べております、その次のページにあります消費財やみ価格、これは実は二つが非常に離れた数字が出ておりまして、今検討しておりますが、物価庁の方の数字によりますと、八月がマイナス一・六になつているのに、日銀の方ですと、一割五分上つておる。非常に大きく離れておりますので、個別的に検討しておりますが、調査対象のとり方などがかなり違つておるために、こういう結果にもなつたようでありまして、日銀の方の調べの上りも少し強過ぎると思いますし、物価庁調べの下りも少し多過ぎるのじやないか、実際は、その中間くらいじやないかと思つておりますが、八月のCPIが出て参りますとその辺どちらの数字がより正確に近いかということはかなりわかるのじやないかと思つております。生産財につきましては、やみ価が七月、八月とかなり顯著に上つております。大体以上が最近における物価状況でありまして、大体皆さん承知通りでありますが、こういう事態に対処いたしまして、政府としましては、一応暴利取締り不当高価取締りという観点に立ちまして、政策をきめまして、そのとき出したのがお手先に配付しました政府声明であります。すなわち考え方としましては、ドツジ安定計画によりましてインフレは大体收束して来た。しかし朝鮮動乱の勃発を契機にしまして、一部の物資には思惑行為が行われまして、価格の不当な騰貴が出て来た。これをそのまま放置しますと、経済の安定を破壊するおそれがある。政府としましては経済統制の復活ということは考えてもおりませんし必要も認めておりませんが、しかしこうした悪質な買占め、売惜しみ、それから暴利行為不当高価販売といつたようなことは、これはやはり取締るべきである、こういう観点に立ちました政策をとることにし、同時にその意向をはつきりしたわけであります。それで取締り対策要綱はただいま御配付申し上げましたが、そこにございます暴利等取締対策要綱というのが閣議決定でございます。方針は大体政府声明のときと同じような考え方でありまして、その措置といたしましては、「物価統制令臨時物資需給調整法等現行法令を活用することとし、経済調査庁検察庁警察の協力の下に取締を行う。取締対象は、価格異常騰勢を示す全物資対象とするが、重点的に逐次対象を選択するものとし、差当り纖維類に重点を指向し、且つ悪質大物に目標を置くものとする。  取締効果の徹底を期するため、法令の認める範囲に於て、必要に依り在庫調査報告徴收帳簿検査等を併用することあるものとする。  惡質なる売惜しみ、買占め等行為に対しては、嚴罰方針を以てのぞむと共に左の措置により、正常取引を促進するものとする。  経済調査庁等調査に基く意見により、指定生産資材割当規則第十七條の讓渡命令を必要とするときは、関係者は速かに其の措置を採るものとする。  なお、悪質な物資買占め又は売惜みをなす者に対しては、当該物資讓渡を命ずることがあるものとする。  暴利及び不当高価基準は個々の具体的事情社会通念により決定すべきものであるが、適正価格の一応の標準としては「原価通常利潤を加算した価格」とし、これを大巾に超過した場合に、取締対象とし、なお輸出価格及び国際価格との関係を考慮するものとする。」  一応こういつた趣旨のものでございます。法令的な根拠としましては、お配りしました物価統制令の第九條の二、「価格等ハ不当ニ高価ナル額以テヲ契約シ支拂ヒハ受領スルコトヲ得ズ」、第十條の「何人ト雖モ暴利トルベキ価格等ヲ得ベキ契約ヲ為シ又ハ暴利トルベキ価格等受領スルコトヲ得ズ」、その他これと関連したような規定物価統制令の中にございますので、この規定を活用するという方針をとつておるわけであります。取締り具体的事情につきましては、経済調査庁次長がお見えになつておりますから、そちらの方から御説明願うのが適当と思いますので、私としましてはこの際閣議決定の一番終りにあります暴利及び不当高価基準という問題についてだけ簡單に申し上げたいと思います。  考え方としましては、そこに書いてありますように、原価通常利潤を加算した価格を大幅に超過するとはどの程度かということは、なかなか議論のあるところと思います。最終的には裁判所で決定さるべきものと思いますが、この大幅を、たとえば二割ならいい、五割ならいい、十割ならいいというようにはつきりしますと、実は公定価格と似たようなものになつてしまうわけでありまして、あまりはつきりさせ得ないところに、暴利取締りのむずかしさもありますが、公定価格とは違つたねらいがあるというものと思います。具体的の問題としましては閣議決定にもありますように、特に纖維——纖維のうち綿につきましては統制価格がありますが、それよりスフ人絹といつた問題を中心として研究論議されております。スフ人絹におきましては、公定価格廃止された当時、大体百ポンド一万六、七千円、その後原価的にそう大きく上つたような要素もありませんが、一万七、八千円、それが現在輸出価格としますと、大体二万八、九千円という三万円近くの数字を出しております。それで輸出価格ということを無視しますと、その三万円という金額は、かなり大幅に超過したものと思いますが、現在スフ人絹につきましては統制もございませんし、輸出のものはその値段で出ておりますので、輸出価格程度なら、暴利不当高価と考えないで、それよりさらに超過する場合に暴利不当高価として取締つたらどうかという考え方があるのでございますが、政府部内におきましていろいろな議論がまだ多少ありまして、最終決定に至つておりませんので、至急きめるべく関係官庁が話合いをつけておるというのが現在の状態であります。
  4. 圖司安正

    圖司委員長 次は経済調査庁次長奧村重正君の説明を求めます。
  5. 奧村竹之助

    奧村説明員 それでは私から朝鮮動乱発生以後今日まで、取締りの面においてとつて来ました態度、経過等概要についてお聞き取りを願いたいと思います。  朝鮮動乱が発生いたしましてから、私どもは毎日全国物価動きを注目いたしておつたのでありますが、御承知のように非常に急騰を告げまして、ことに綿糸布がその中心をなしております。それに引き連れまして、スフ人絹が上る、さらにいろいろ原因は違いましようが、非鉄金属でありますとか、苛性ソーダでありますとか、生ゴムでありますとかいつたような品物が、だんだんに値段が高くなつて行くという状況を看取いたしまして、八月の十日ころから纖維、ことに綿糸布中心にいたしまして、私どもの方で通常計画いたしておりまする査察計画規模に従いまして、この値下げの方向に仕事を進めて参つたのであります。ところがその後も著しい勢いをもちまして、物価が急落するということが望めないような状況を見とりまして、かれこれ関係方面とも打合せいたしました結果、八月二十四日の暴利取締りに関する政府声明ということになつた次第であります。八月の二十四日を契機といたしまして、警察、法務府、検察庁と密接なる連絡をとりながら、調査庁といたしましては、大阪、東京、名古屋中心として、それに加えまするに、福井、兵庫、京都、靜岡纖維類関係の近い地方局を動員いたしまして、一方におきましては業界方面の方々に呼びかけまして、ひとつ値下げをしていただきたいということを、勧告と申しまするか、懇談の形式でお願いをしたわけであります。また他方におきましては、私どもの言葉で一齊調査と言つておりまするが、これとおぼしき方面調査官を出動させまして、帳簿その他についての取調べを進めたわけであります。その過程におきまして、著しい違反がありと認められるものにつきましては、その内容についてさらに深く堀り下げて調査を進めるというやり方によつたわけであります。この仕事のために動きました人数は、実員で大体三百名でございます。もつともこれは調査庁だけの人数でございまして、そのほかに警察検察庁におきましても、相当程度の人が動員されたことと思います。その結果の概要はお手元にお配りいたしましたグラフがございますから、これについてお聞き取りを願いたいと存じます。第一ページの方の主要物資と申しまするのは、これは六月の二十五日、すなわち朝鮮動乱発生の日を一〇〇といたしまして、下の方には日附が書いてあるわけでございます。八・五と書いてございますのは、八月五日の意味でございます。その次は八月七日という意味でございます。この日盛りによりまして、画に表わして見ますると、綿糸は八月の五日ころに非常に高く上りました。一番高いピークは名古屋綿糸一梱三十三万円という相場が出たのであります。それが逐次下つて参りまして、先刻申し上げました私ども調査を開始いたしました十日ころは、若干下り傾向であつたのであります。それが二十四日ころまで大体同じ程度カーブで下つて参りました。二十四日の政府声明を機といたしまして、つまり私どもが一齊に調査を開始いたしました日ころを契機といたしまして、相当急カーブで九月の二日ないし五日ころまでに下つて参つたのでございます。これが大体一梱十七万ないし十八万というところでございます。その後の状況横ばいと申しまするか、大体この図表で表わしておりますように落ちついて来た次第でございます。そのほか生ゴム鉄鋼、銅板、苛性ソーダ米等につきまして、ここに合せてグラフ数字が書いてございます。御必要によりまして、ごらんを願いたいと思います。  その次のページを開いていただきますると、今回の取締りは、先刻も申し上げましたように、大体纖維、ことに綿糸布中心にいたしたのでありますが、纖維関係だけの分をこのグラフに書いてみますると、綿糸につきましては、先刻申し上げました通りのかつこうで下つております。それからレーヨン糸レーヨン等につきましては、取締りの直接の対象に実際上いたしませなんだ関係もありまして、これは大体その後低落を続けずに、ずつと横ばいの形で推移いたしております。さらし綿布は一時上りましたが、九月の二日ごろから非常に下りまして、基準比よりもむしろ低めを告げておるというふうな状況であります。それに対しまして毛織の方は八月の末ごろを契機といたしましてぐつと上りまして、その上つたところでとまつて横ばい状況を続けておる、こういうかつこうに相なつております。この図表でおおむね明かでありますように大体政府声明契機にいたしました大規模の一齊調査によりまして、綿糸布纖維、ことに綿糸布は大幅に低落を告げたということに相なつております。ある程度取締り効果を上げ得たのではなかろうか。かように考えております。そこで私どもといたしましてはこの横ばい状況を続け始めました当時から、こういう大規模な、三百名も動員するような調査というものは、いろいろな関係がございまして、長く続けて行くわけには参りません。  それから取締りの反面といたしまして、正常な取引が阻害され、いろいろ相場は、この図表に掲げましたように探せば発見することができるのでありますが、実際の取引はきわめて少量であります。ほとんど取引がとまつてしまつたというふうな状況が観察できたのでございます。そこでこれはもうある程度取締りにつきましても、考えを新たにする必要があるというふうな感じになりまして、実は十八日ごろからいわゆる一齊調査というのは手控えまして、従来手をつけました事件で、容疑の濃厚なもの、そういうものを掘り下げて行くという形をとり、それに大体集約をいたしまして、一応取締りの手を、調査庁といたしましてはある程度ゆるめることにいたしたのであります。同時に業界の方に呼びかけまして、自分らの方としてはこういう態度をとるから、取引を正常にもどしていただきたい。しかるべき適当な値段取引の促進をはかつてもらいたいというふうなことをお願いをするということを繰返して、現在に至つておる次第であります。かような状況で今日まで参つたわけでございますが、一応取締りの手をゆるめますのを契機にいたしまして、あるいはまた反騰しやしないかということを非常に恐れたのでございますが、ただいまのところではそういうふうな状況もなしに、いわゆる横ばいのかつこうで進んでおります点は、私どもも非常に嬉しく存じておる次第でございます。今まで私ども警察検察庁あたりと協力いたしまして、今日まで取締りを続けて来たわけでございますが、これを振り返つてみますと、おおむねこういうことになるのではなかろうかと私個人としては考えております。これはこのグラフを見ていただけば大体わかりますが、この八月五日ごろから非常な高値になりまして、これがいわゆるピークでございます。その後若干買い疲れの傾向が現われまして、少しばかり下りかけるというふうな状況に相なつたわけであります。そこへ取締りの力が加わりまして、ことに八月二十四日以降は、相当強力にそれが加わつてつたというふうなことになろうと思います。それに処しまして業界の方面では非常に協力的でありました。これは私ども当初調査を開始いたしますときの予想に反しまして、非常に協力的でありまして、自粛の気運が相当看取せられたのであります。これは何と申しましても輿論の支持が今回は非常に強うございまして、そのことが業界の方面にいい意味において働いたと私どもは考えております。また取締りに従事いたしました私どもの役所の者といたしましても、この輿論の支持が非常に強かつたことに非常に勢いづけられて、熱心に仕事に従事したということにも相なつたのだらうと思います。それからもう一つ都合のよろしかつたことは、ちようどこの夏が過ぎかけまして、消費生活におきまして綿布類がさほど重要なものでなくなつた。ことに小売店等では、冬を控えまして、夏物を持ち越すことをきらいまして、一方においては非常に相場が高くなりつつあるのに、他方面においてはその投売りがあるといつたようなことで、そういう方面のことも、われわれの仕事を非常にやりやすくするに至つた要素であると考えております。かように非常に客観的と申しますか、條件もよろしゆうございますので、取締り効果も、従来の例に比較いたしまして、非常に成績が上つた、こういうような考え方をいたしております。そこで今後のことでございますが、業界の大体の意向といたしましては、この朝鮮動乱以降、非常に値段上つたということは、われわれの態度もよろしくなかつた、今後は大いに自粛したい、ついてはどの程度まで下げたらいいだろうか。綿糸布については大体マル公があるので、それは問題外であるが、マル公のない特紡糸であるとか、落綿糸であるとか、あるいわスフ人絹等の取引は、どこで行われれば正常であるかという、一つのラインを引いてくれないか。つまり安心線と申しますか、その辺で取引をしておればひつぱられる心配がないという、安心のできる線を引いてくれという要望が、一般的に非常に強くなつております。これは私どもといたしまして、それに対する方策を至急決定しなければならぬということにもなりますと同時に、業界方面において、正常な取引に早く復帰したいという気運が強いという証拠にもなろうかと存じておるのでございます。先刻も申しましたように、ただいまのところでは、取締りの手を一服いたしましても、急激な反騰はこの数字の上には認めないのでございます。しかしながら、冬季を控えまして、毛糸でありますとか毛織物というようなものが、国際情勢を反映いたしまして、相当値段が高くなりつつあります。これは国民の消費生活にも直接つながるものでありまして、今後相当大きな問題として考えなければならないようになつて来るのではなからうか、こういう心配をいたしておる次第でございます。またいろいろ心配をいたしてみますと、綿糸布関係でも、アメリカの綿花事情等を反映いたしまして、また価格をつり上げる要素が非常に強くなつて来るということになりますとそれがまた一つの思惑と申しますか、強気の材料になりまして、今後強力な手を下さなければならないというようなことになりはしないか。これもまた一つの心配の材料でございます。しかしながら、ただいまのところでは、そういうことなしに推移できるのではなかろうかということを、半ば期待しながら、そういう見通しをつけておる次第でございます。  ただいま安心線ということを申し上げましたが、物価庁の方からもすでにお話があつたこととは存じまするが、私どもの方は綿糸布中心にして調査をいたして参りました。ところが綿糸布関係と密接な関連がありまして、何としてでもその方の処置をつけなければならないというものに落綿、特紡糸がございます。そこでこの方のいわゆる安心線というものを速急に考えるということは、取締りをやつて行く立場から申しましても、ぜひ必要があるということに相成りましたので、業界等の要望にこたえるという意味も含めまして、一応先般来私ども調査庁だけの立場といたしましては、落綿糸、特紡糸については綿糸輸出価格よりも高かるべきはずはないという大体の線を引きまして、それ以下でひとつ取引を願いたいということを業界に勧奬いたしておるような次第であります。りくつぽく申しますると、落綿糸、特紡糸は輸出関係はありませんので、綿糸輸出価格にからめて考えるということは意味をなさないわけでございます。しかし大体の大づかみなところをきめるということになりますると、綿糸布につきまして一番認められている高値であるところの輸出価格よりも、おおむね品の悪い落綿等が高くなるはずはないではないか。大体十一、二万円というのを別の言葉で表現したことになりますが、そういう大ざつぱな言い方をいたしているわけであります。業界の方ではそれに対して大体快く迎えてくれまして、今のところではそういうところで何とか取引をして行きたいということで、あちらこちらで話合いが進行しつつあるような状態でございます。そのことだけつけ加えて申し上げておきます。
  6. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまの渡辺部長及び奧村次長説明に対し質疑を許します。志田義夫君。
  7. 志田義信

    ○志田委員 もう少し本格的な話からお伺いしたいのですけれども、見渡すところ、本格的なお話を申し上げても、政府を代表して答辨できる方もおらぬようでありますから、個々にひとつお尋ね申し上げます。  今のお話の中に、三百名ほど動員していろいろ御調査なさつた、民間の取引がそのために脅威を感じて中止されるような状態にまでお調べなつたそうであります。私どもはこの暴利取締りの発令されたことも当然の理由はあるとは思つておりまするけれども、一体その三百名を動員してやつて、どれだけの事犯が今取調べ対象なつているのか、それをひとつお尋ね申し上げます。
  8. 奧村竹之助

    奧村説明員 容疑の濃厚なものと申しまするか、ただいま手をつけておりまするものが、件数で四十八件、違反取引数量で約千二百こうり、金額で約三億であります。
  9. 志田義信

    ○志田委員 これは件数は少いのですが、相当なものがあると思うのであります。そこでちよつと物価庁にお尋ね申し上げたいのですが、大体今度の暴利取締りは、御承知通り纖維品の問屋の思惑に対する政府の対策として閣議で決定したようでありまするが、一体この閣議決定によりまして、買占めや売惜しみに対する暴利取締りを将来もやるのでありましようけれども、そういう場合に、現在の価格は異常な騰貴を示しておるから取締りをするのだと思つて取締りをやらせておるのか、異常な騰貴ではないけれども、多少の騰貴があるから取締りをするという観点であるのか、その点をお尋ねいたします。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 現在具体的に調査庁が違反の問題として検挙しましたものは、公定価格違反のものだけでございます。従いましてその点につきましては、暴利不当高価という観点において問題を直接違反として取上げたという事例は、特紡についてあるそうですが、主としては公定価格違反になつておる。従いましてその点につきましては従例の事例がそのまま通用しているわけであります。なお特綿、それから現在われわれが盛んに議論しておりますスフ人絹につきましては、結局物価統制令観点からしますと、暴利に対する取締り規定、あるいは不当高価に対する取締り規定、ものによりましてはすでに買価が相当高い、従つてそれ自体、売価としてはそれほど利益を得ていないという場合も考えられますが、その値段が不当に高いということになれば、やはり取締り対象として取上げるべきもので、單純に上つたからということだけの観点とは思つておりません。先ほどもちよつと申し上げましたように、公定価格当時におきましては一万六、七千円、それがいろいろコスト的に上つたと申しましても一万七、八千円、その値段のものが四万何千円というような値段にはね上るというのも、そのまま放置すべきじやないだろうという観点に立つておるわけであります。
  11. 志田義信

    ○志田委員 そうしますと暴利不当高価という立場よりも、公定価格違反で取締り対象なつているというようでありますが、それは綿製品とか纖維品とかいうもの以外の全部の商品に対しても、やはり公定価格違反というようなもので取締つて行こうという御方針なのでございますか。
  12. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 公定価格違反で取締ろうとしておりますのは、もちろん公定価格があるものだけに限つております。従いまして繊維におきましては、現在綿糸及び綿製品というものに限定されるわけであります。従いまして特紡糸のようなものは現在公定価格はございませんし、またスフ人絹につきましてももう統制廃止なつている。従いましてこれらの品物につきましては、公定価格違反という観点での取締りではなくて、暴利不当高価という観点取締らざるを得ないわけであります。従いまして政府としましては、取締りという観点よりも、むしろ業者に自粛を求めるというふうの、指導といつたことを中心に考えまして、やむを得ない場合にはやはり取締るという政策に出る。重点をむしろ取締りよりも業者の自粛を求めるという方向に置いて、この暴利不当高価という線に沿つての対策を講じて行くという考え方であるわけであります。
  13. 志田義信

    ○志田委員 そういうことでやつて行くということになりますと、価格の方だけではなくほかの点で大いに業者の協力を得てやつて行くということであります。こういうふうにマル公を価格として、ほかのものもそれに準じてやるということになるのでありますが、さつき経済調査庁の奧村次長の話では、安心線というものを早く設定してやるのだということであります。その安心線というものの標準は、やはりマル公価格のごとき嚴格な安心線なのかどうか、その点をちよつとお尋ねいたします。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 奧村さんの安心線という表現、これは結局暴利不当高価の標準というものをどう考えるかということでありますが、この点につきまして一応われわれとしましては、公定価格とは違つたものであるということに考えております。すなわち公定価格のときにおきましては原価計算を中心にしまして、嚴格に査定をした積上げできめておりますが、暴利不当高価対象となるものは、もう公定価格を外れました自由価格のものである、従つて市場の需給関係によりまして相当上ることもあれば下ることもある、公定価格当時の、あるいは公定価格が現在残されております品物のように、需給がかなりきゆうくつでありまして、公定価格は法律的には最高価格でありますが、実際的には最低価格であるという品物とは実質的に違いまして、あるときには上ろが、あるときには下る。従いまして、その場合においての暴利不当高価取締りの線というのは、最高が上り過ぎたり、上るものがあまりとつぴに上り過ぎないという線だと思います。従いまして公定価格の場合における線よりは——こういう表現がいいか悪いか知りませんが、かなりゆるやかな線といいますか、そういう観点に立ちまして、先ほども申しましたように、スフ人絹につきましては、コスト的に考えればどうしても二万円は越えないというものにつきましては、輸出価格程度でどうだろう、そこを最高にしてそこの範図内において上下する、こういうように考えております。
  15. 志田義信

    ○志田委員 それでよく安心線という線の内容がわかつたと思うのでありますが、そういう価格面での措置をなされまして、取締り効果をわれわれが相当期待しているのでありますけれども、それだけで期待できるかどうか。たとえば価格面でだけそういうことをやつて行く場合におきましては取締り効果がむしろ期待薄になつて来て、先ほどもその取締りの任に当つている経済調査庁自身が告白しているように、取締りを中止しなければならぬような荷受けの状態がなくなつているというような点から、哀訴、懇願して、今度は業者にまた荷受けをお願いするというようなことになつているようであります。私は価格面だけでやると、やはりそういう結果が出ると思うのでありますが、生産面、配給面においてもなおこういう点を考えてやるのかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 今日の説明の皮切りをしました者が、物価庁経済調査庁でありましたために、従いまして話の重点が価格面のところから話が始まりましたものですから、政府の対策がいかにも価格面に重点を置き、価格面だけで仕事をしているというような印象を與えたかもしれませんが、政府としましては、むしろ価格面におけるそうした措置は、どつちかといえば二の次といいますか、最後の線でありまして、現在の状況におきましては、輸入を促進しますとか、そういう方向によりまして、あるいは生産を増加させて、結局供給をふやすことによりまして、需給関係の面から価格の安定を期する、こういう方策をとつているわけでありまして、話が多少前後しましたために、もし間違つた印象を與えたとするならば、ちよつとその点は訂正していただきたいと思います。なおその点につきましては、別に担当の方がおりますから、御必要に応じまして便宜説明ができると思います。
  17. 志田義信

    ○志田委員 輸入の問題はあとでゆつくり聞かなければならぬ。これは全般的に聞かねばならぬ。これは別として、価格面だけでそういう取締りをなさつているのだが、価格の面じやない、生産面やあるいは配給に必要なものであれば、配給面ももちろん出て来るでありましようが、そういう点ではやはり取締りをする考えを持つているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。その点をちよつと聞かしていただきたい。
  18. 増岡尚士

    ○増岡説明員 生産配給につきましてかりに綿糸のようにまだ統制のありますものにつきましては、その統制の範囲内において、生産の増強あるいは供給の増加ということをはかる措置が講ぜられますけれども、自由の商品につきましては、必ずしもそういう法規的な生産の増加、あるいは供給の増強というような措置は、従来の形のようにはとられないわけでありまして、やはり今もお話がありましたように、価格の上昇ということは、結局需給関係の反映でありますので、これを円滑にならしめるためには、何といつても生産の増強ということが必要であります。特に問題となりますものにつきましては、結局現在政府がタツチしている範囲内ででき得ることは全部やつて、供給の増加をはかるということのほかはないと思うのであります。第一番には、やはり原材料の輸入の増加ということによつて、供給が確保できるものについては、それぞれそういう方法をとるということを、第一番の方法といたしております。またそのほかの副資材等の関係で、あるいは物の入手が円滑に行かないというようなものについては、あつせん程度のことは手を出すことがありますが、自由品につきましては、今も申し上げましたように、非常にこまかい需給の統制ということでなくて、大見当、大体この程度の需給関係であれば、価格はそう暴騰をしないであろうというところをにらんで、需給関係を円滑ならしめるという考え方でやつておるわけであります。統制のあるものにつきましては、まず、とりあえずの問題は綿製品でありますが、これの内地物の確保という点につきましては、輸出が非常に延びておる関係上、かなりむずかしい事情があります。すでにお聞き及びだと思いますが、紡績業者の側におきましても、従来よりもさらに操業を能率的にやるというようなことによつて増産をするとか、あるいは従来綿糸を引いておらなかつた紡績業者を動員して綿糸を引くというようなことで、できるだけ総供給量を多くしまして輸出もまかなう、内地織物もまかなうということで、できるだけ能率的な生産をやつて行くという建前で進んでおります。統制のあります今のようなものにつきましては、従来通りの生産増強の方式があるわけでありますが、統制のないものについては、やはり非常に大ざつぱな考え方で、需給のバランスがあまりくずれないというような方向に物をにらんで行きたいと考えております。
  19. 志田義信

    ○志田委員 そうしますと、価格の面では取締り対象になる。生産面、配給面では、それは統制のあるものは別として、そうでなければ、自由商品に関しては、需給関係をにらみ合せて、やはりこれは取締りをやるという意味に解すればいいですか、取締りはやらないという意味に解すればいいですか。
  20. 増岡尚士

    ○増岡説明員 自由品に対しましては、取締りをやる根拠がただいまのところございませんから、別な何かの方法を考えない限り、ただいまの建前では、取締るということは需給関係上できないわけであります。
  21. 志田義信

    ○志田委員 私は非常に頭が悪いから、今のお話を聞きますと、増岡局長のお話の方が、自由経済をやろうとするわが党の政策とぴつたりしておるのであつて、そうすれば、先ほど来物価庁あるいは経済調査庁の方々のおつしやつておることが、また統制に持つて行こうとする傾向が出て来る。ここで安定政策を考えておる安本のお考えと、物価庁のお考えがどうも違うように私は思うが、その点について物価庁のお考えをお尋ね申し上げたい。
  22. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 私たちの説明の仕方が悪いものですから、そういうお考えというか、御理解になるかもしれませんが、われわれの方で考えておりますのも、一応公定価格のような意味におきましての価格統制ということは考えない。ただ極端に走つて、そこに暴利とか、不当高価とかいつたような名前で呼ばれ得るような実態が出て来たら、そういう極端なものだけは、やはりこれは防止すべきでなかろうかという考え方に立つておるわけでありまして、その範囲内において経済が自由に動いて行くということについては、当然そうあるべきであると考えておるわけであります。
  23. 志田義信

    ○志田委員 この点はやつていてもなかなかきりのないことですけれども、それでもここに政府暴利取締り対策要綱の一番最後の三というところに、暴利及び不当高価基準は、個々の具体的事情社会通念によつて決定すべきものであるが、ということをいつている。こういうふうに取締り要綱社会通念ということもうたつていれば、個々の具体的事情によつてつて行くということになれば、先ほど話に出た安定のラインというものは、公定価格のような嚴格なものではない。しかし公定価格のような嚴格なものではないが、それ以下でやつて行くのだというので、業者にとつてみれば、これはやはり不安定線になる。これは皆さんは安定線といわれるでしようけれども、業者にとつてはこれは不安定線じやないかと思われるので、その安定線というものをどういう形でつくるのか。それから取締り対象物価統制令の九條の二と第十條でやるのだというけれども、これだつて、やはり漠然としたもので、この暴利取締りを、もし物価庁経済調査庁をしてやらせるということになれば、かなり愼重を期してやつていただかなければならぬ。それでなければ、先ほどのような、いつのまにか商取引が見えなくなつて——商取引がないというのはそれはうそなんです。それは経済調査庁の方々には見えないのであつて、実際はあるのです。実際は動いているのです。ところが、経済調査庁の具眼の士によつてはそれが発見できないような商行為なつて来ている。それは徳田球一君と同様にやみへもぐつたのです。綿糸類その他は取締り価格がそういうふうに押えられて来たものでありますから、やみへもぐつたことになつたのでありますけれども、そういうことがないようにやるためには、先ほど来の安定線というものをほんとうにつくつてやらなければだめです。その安定線をどこで切るかという問題が、私は非常に重大だと思う。ことに今は国際的な——さつきも非鉄金属なんかでは、軍備拡張値上りがしているというようなことをいつたのでありますが、これはひとり非鉄金属だけにとどまるものではない。ゴムでも同様であり、亜鉛でも、銅でも錫でも同様だと思う。それからひいては綿花その他の輸入に関連して、こういう綿製品なんかにまで及んで来るわけでありますから、その安定線といふものを、ほんとうに考えてもらわなければいかぬ。それをぜひ考えて、單に安定線といふような漠然としたものでなく、その点をがつちり考えていただくようにお願いする。これは私からお願い申し上げます。いたずらに商売がやみにもぐつたりしないような状況を——やつと今の日本経済はデイス・インフレの線に来ている、天與の時期に来ておりますから、そういう方向に持つて行きたい。  私はそれはここでやめておきますが、先ほどから経済安定本部関係官からは、こういう経済的な取締り統制ではない、取締りをやるということだが、このまま行くと経済統制になるのだと私は思う。従来のような経済統制にしないためには、安本長官がこの前この委員会で総合的施策を講ずるとおつしやつた。非常にうまいことをいつてつたのですが、結局はこの問題に関する限りは、輸入の不円滑をどうして防ぐかという問題にほかならないと思うのでありますが、一体安本は輸入の不円滑という問題と、国内の商品の量の補充という問題に対して、今対策を立てておられるかどうか、それをお尋ね申し上げます。
  24. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 朝鮮事変が起きましてからいろいろ商品の値上りとか、また特需の膨脹とかいつたようなことがありましたので、七月の初めにつくりました外貨輸入予算には、そういつた点もある程度織り込みまして、従来は大体一億四、五千万ドル四半期に組んでおつた輸入予算を、二億五千七百万ドルに組んだのであります。その後なお早期に買付を必要とするものとか、あるいはまた国内の需要が旺盛で補充を要するようなものの緊急輸入等を考慮しまして、だんだんこの予算を増額しまして、大体三億三千万ドルぐらいの規模にまで拡張しております。  なおそのほかに輸入を円滑にするために八月の中旬から自動許可制という新しい輸入方式を採用しまして、現在この方式によつて輸入しておるものが、約六十品目ばかりございます。それからさらに今度は、従来のように期近物の輸入だけでは十分な物資をどうしても確保できない。どうしても先物の契約をする必要があるということで、九月の初めになりまして、この先物契約のために、鉄鉱石とか、粘結炭とか、レーヨン・パルプとか、あるいは砂糖とか、そういつたようなものに約一億ドルの予算を計上しております。従つて期近の当初の予算は二億五千七百万ドルばかりでありましたが、現在におきましては、先物契約の予算を含めて、大体四億三千万ドルくらいの輸入予算になつております。この予算を実施する通産省の方では、今度はその予算の範囲内で一々品目ごとに公表して行くわけであります。この方の公表も極力急ぎまして、予算成立と同時に、相当大幅な公表をしまして、その後追加となるたびに迅速に公表をしております。
  25. 志田義信

    ○志田委員 一体輸入許可の現在高はどうなつておりますか。
  26. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 輸入の許可と申しますと、輸入の公表がどのくらいあつたかということですか。
  27. 志田義信

    ○志田委員 そうです。
  28. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 大体長期予算はごく最近でありますが、それまでに約三億ドルくらいの公表があつたと記憶しております。
  29. 志田義信

    ○志田委員 それは八月、九月は入るのですか。
  30. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 ごく最近までです。
  31. 志田義信

    ○志田委員 ごく最近というのは九月は入るのですか。
  32. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 三億三千万ドルほど公表されております。
  33. 志田義信

    ○志田委員 予定がですか。
  34. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 通産省の公表額です。
  35. 志田義信

    ○志田委員 他の委員の方々から物価の問題で少し質疑があるそうですから、そちらの方にお讓り申し上げて、私の今の輸入の話は、もう少しあとでまたすることといたしまして、私の質問は留保いたします。
  36. 多田勇

    ○多田委員 ただいま志田委員からいろいろ質問がありましたので、それに関連しましてお伺いしたいのですが、暴利等取締対策要綱の最後に、適正価格の一応の標準としては、原価通常利潤を加算した価格とし、これを大幅に超過した場合に取締り対象とする。なお国際商品については、輸出価格及び国際価格との関係を考慮してきめるということになつておりますが、先ほどもお話がありましたように、相当大幅に超過したという考え方には、どの程度考え方を持つておられるかという点と、それからこれも先ほどお話があつたと思うのですが、たとえばスフ人絹等にしましても、一万六、七千円のものが輸出価格が二万八千円になつておるというような場合に、大体輸出価格程度であれば一応の基準と見るという考え方となりますと、この間に相当大幅の所得が生じたということになりますし、一方ではこのような大幅の所得を認めておきながら、他方では輸入に関係がないということで、ある程度の幅のあるものを取締り対象にするというような考えだと、何か矛盾するように思われるのですが、この点についてどういうお考えを持つておられるか、お答え願いたいと思います。
  37. 圖司安正

    圖司委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕     —————————————
  38. 圖司安正

    圖司委員長 速記を始めて……。
  39. 永井英修

    ○永井(英)委員 ただいま両委員からいろいろお話がありましたように、綿糸にしても人絹スフにいたしましても、相当先物の契約が行われており、ほとんど半年先の先物もあるようであります。大体国際情勢、国内の消費状況からして先物を契約するわけでありますが、そういつた場合に相当高くなるだろうということで契約をする。ところが現在の値段に比べると、それが非常に高い。そういうような場合にも、これは暴利取締りでもつて取締れるかどうか、この点をちよつとお伺いいたします。
  40. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 結局暴利になるか不当高価になるかという問題は、大体契約のときで考えております。今われわれの方でスフ人絹などについて考えておりますのは、大体輸出価格までならよかろう。輸出にしましても、御承知のように先物がずいぶんあります。従いまして国内の先物、輸出の先物というところにおのずから先物に対する強気、弱気というものも反映するので、大体輸出価格程度なら、取締り対象にしないという考え方を通して行きますと、ほぼ御質問のような点も解決できるのではないか、かように考えております。
  41. 永井英修

    ○永井(英)委員 しかし輸出価格と申しましても、それは現在の輸出価格であつて、将来には輸出価格は非常に高くなる場合も想像されるのでありますが、現在では非常に高い。だから暴利取締りにかかる。ところが実際時間の経過を見た場合に、輸出価格が非常に上つたというような場合には、それがまた暴利にはならない、こういうことになるんぢやないかと思います。その点を御説明願いたい。
  42. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 われわれの方で考えておりますのは、あまり法律論を出す必要はありませんが、大体不当な価格でもつて、あるいは暴利を得て契約をしてはならないというその契約時期でやはり考えて行くべきではないか、輸出には現物のものもありますが、先物の輸出価格もある。従つて契約時期を押えまして、先物の場合は先物の輸出価格、現物の場合は現物の輸出価格がありますから、まあそんなのを一応基準に考えて行けば、大体基準考え方は立ち得るんじやないか、かように考えております。
  43. 永井英修

    ○永井(英)委員 そうすると価格は二重にも三重にもなるわけですね。たとえば契約の時期にいたしますと、先物ならば非常に高い、それから現実のものは安い。先物ならば暴利にならないが、現実の場合は暴利になる、こういうようなちぐはぐなことができて来る。
  44. 渡邊喜久造

    渡邊説明員 お話のように先物と現物の間に非常に大きな開きがありますとそこに二重といつたような問題もあると思いますが、私專門ではありませんので、あまり詳しいことは存じませんが、現在のところではその点があまり議論されておりませんので、業者の方とお話合いをしまして、現物と先物との間にそれほど大きな開きという問題は、今のところはないのではないかと思います。しかしちよつとはつきりしたその点についての調査をまだ持つておりませんので、いずれまた適当な機会にお答えいたしたいと思います。
  45. 圖司安正

    圖司委員長 それでは午後は二時より再開することにして、休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  46. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより再開いたします。  これより電力問題に関する件を議題に供し、今井電政課長より説明を聽取いたします。
  47. 今井博

    ○今井説明員 私から電力問題の再編成の今までの経緯と最近の動きにつきまして、御説明申し上げます。  大体のことはいろいろ新聞に出ておりますので、おわかりかと思いますが、一番再編成の端緒となりましたのは、御承知のように一昨年の二月に、日本発送電会社と配電会社がおのおの集中排除法の適用を受けたことから、再編成の問題が始まつたわけでございます。その後両方の会社におきまして、集中排除に対する案といたしまして、御承知のように日本発送電会社は、全国一社案というものを司令部に提出し、それから配電会社はおのおの現在の配電会社の区域を中心とした発送配電を一環として、日発を分断するという案を立てまして、司令部に出し、両方の案が非常に対立をした。そのころから電力問題が非常にやかましくなつたわけであります。その後種々検討の結果、集中排除という形ではこの電力の再編成というものは、なかなか納得できないという法律的な疑義がありまして、これはやはり別の法律でもつてやる方が適当であろうというふうなことになりまして、日本政府においてこの再編成の問題を取上げるという段階になりましたことは、皆様御承知の問題かと思いますが、その後司令部におきまして昨年の暮ごろから十分割の案が、これは正式ではございませんが、内示がございまして、向うで五人委員会という電力の專門家がおりまして、その方から十分割案というものが、司令部において用意されておりました。ただこの十分割では日本側としてはやはり非常に困る点があるというふうなことから、これはやはり日本政府でもつて民主的な委員会をつくつて、それの答申を得てひとつやらせてくれということを司令部に交渉いたしました結果、いわゆる電力再編成審議会というものを司令部の了解のもとに日本政府の中につくりまして、それがこの春から四月にかけまして、いろいろと審議を重ねたということは御承知の問題かと思います。この答申の骨子は、これも大体のことは御承知かと思いますが、いわゆる現在の発送配電の地域というものを九分割にわけるという案が、これは一応理想案ではあるけれども、最近の電力需給の現状とか、料金の地域差等の問題にかんがみて、さしあたりやはり融通会社というものをそこに設けた方がいい、こういうことが答申の骨子になつております。これに加えましていわゆる松永案と称せられまする九分割の案が、これの参考意見となつ政府に答申されたわけであります。これに基きまして、政府は御承知のように九分割を骨子とする松永案というものを採用いたしまして、この前の第七国会においてこれを提出いたしたわけでございますが、これの考え方としましては、やはり電力の再編成をやるからには、融通会社というふうなものを設けるということは、むしろ再編成の趣旨にそむくという考え方から、しばらくの間、料金の地域差の問題とか、あろいは電力の地域間の融通の問題等は、できるだけ実情に即するように調整することにいたしまして、骨子は九分割で発送、配電を一貫経営とするという政府案を立てました。それに加えまして、現在の電力行政機構が、これも昔からの管理方式といいますか、管理行政になつておりますので、これも司令部からのいろいろの示唆もありまして、アメリカ流にならいまして、公益事業委員会というものを内閣に設置いたしまして、これを電力事業のレギユレートをやる機関といたしますために、公益事業法という法律を別途つくりまして、先ほど申しました電力再編成の法案、公益事業委員会中心とします公益事業法、この二つを第七国会に実は提出いたしました。不幸にして審議期日が非常に短かつたためもありますし、あるいは国会の内部において非常な反対もございまして、審議未了になりましたことも御承知通りでございます。その後政府といたしましては、国会で非常な論議がございました点をできるだけ参酌いたしまして、今までの政府案の未熟な点を、これもできるだけ修正いたしまして、次の第八国会に提出する準備を重ねておつたのでありますが、これも地方税の関係等もございまして、第八国会において提出を見合せるということになりまして、今日に及んでおる次第でございます。ところが見返り資金の問題を中心に——見返り資金は昨年は約百億程度の金額が電気事業に許可されたのでありますが、今年はそれの継続事業として百五十億の資金の放出をすでに計画に組みまして、向うに申請をいたしておりましたが、御承知のように再編成がはつきりするまでは出さないというふうな——これは正式にはそういう話はまだございませんが、非公式にそういう話がいろいろと提示されております。正式には七月五日にマーカツト少将から、電力の再編成を至急やるように最善の努力を拂われたい、その結果見返り資金が放出されるのだという意味のメモを受取つております。まだ正式の文書で見返り資金をとめろという通知はございませんが、御承知のように見返り資金は再編成がはつきりしない間は大体出ないという情勢に立至つております。そこで開発関係の問題はあとで開発部長からいろいろ説明すると思いますが、全体の日発の資金繰りといたしましては、一応九月の末で資金繰りが非常に苦しくなろということに相なつております。その内訳といたしましては、これは今までの豊水の関係から内部に留保金が相当ございますので、これである程度工事の継続といいますか、そういうものをできるだけ実はやつて参りまして、八月の末においては、いわゆる未拂い金というものはほとんどございませんが、九月に入りましてからは、やはり相当運転資金を流出するということをいたしておりますので、これはさらに十月に入りますと、冬場の石炭代を食うとか、そういつた問題も出て来ますので、おおむねわれわれは九月の末をもつて日発の資金繰りは大体非常に苦しくなるという想定をいたしております。こういう事情のもとに、今再編成というものを至急、日本側としてもはつきりした方針を立てなければならぬというので、これは與党におきまして、電力の特別対策委員会というものを設けられまして、数次会合を重ねて、実はその結論を政府としては待つておる次第でありますが、まだはつきりした結論が出ないような模様でございます。ただ今明日くらいに相当はつきりした結論が出るやに聞いておりますので、政府といたしましては、單なる政府案ということではなくして、與党の一応の結論というものを十分また組入れまして、これと一本にした案を司令部に提出いたしまして、これに基いて見返り資金の放出を至急ひとつ懇願する、こういうふうな運びで現在に至つております。ただ従来の経緯にかんがみまして、向うに提出いたします案は、やはり従来の案の骨組みをかえるということには参りませんので、従来の政府案の九分割の骨子はかえませんが、たとえば融通の問題につきましては、できるだけ実情に即するように民間のエキスパートからなる融通委員会というものを相互の契約によつてつくらせて、これはアメリカでもすでにやつているそうでありますが、そういつた、できるだけ相互の融通を可能ならしめるような措置を講ずる。あるいは公営の問題等につきましても、前の国会でいろいろ御論議がありましたので、この公営というものを、原則としては公益事業委員会の許可を得てやり得るのだ、さらに電気事業者と話がつかぬ場合には、事業委員会で裁決するといつたふうな根拠規定を設ける。あるいは自家用の変換問題については、電力の需給が著しく不拘衡にならぬ場合には、これを原則として認めて行く。そういつた数々の点におきまして、前の国会の審議の状況を、できるだけ反映した案を司令部に提出して、至急折衝を開始したいといつた状況でございますが、何分にも與党関係の案がはつきりいたしませんので、まだ正式には向うに提示していないという現状でございます。再編成のおおむねの経過と最近の動きにつきまして、非常に簡單ではございますが、以上のような状況に相なつております。
  48. 圖司安正

    圖司委員長 引続き開発部長豐島嘉造君の説明を聽取いたします。
  49. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 それでは開発の問題につきまして簡單に御説明申し上げます。お手元に「電源開発の現状」という印刷物が差上げてございますが、その前にちよつと日本の現状を一言、二言御説明申し上げましてから、開発について御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、わが国の水力設備は今六百六十万キロばかりで、これは電気事業、自家用合計でございますが、そのうち約九五パーセントが電気事業であります。そうして一般の供給に供せられておる。それから火力の方は設備といたしまして三百九十万キロワツト、そのうち約七割が事業用でございます。しかしながら電気で一番問題になりますのは、それだけの設備——これは設備の最大出力でございますから、これでどれだけ供給できるかということが一番大切なことでございます。それで水力の方の供給力は渇水期には大体最大の出力の半分くらいになります。火力の方は現在発電所が相当老朽化いたしましたり、あるいは石炭の質が、まだほんとうに元の火力発電所の設計に適合するようなものになつていませんような関係上、今のところ設備出力の七割くらいしか供給力がございません。それで冬の一番渇水時の日本の電気事業用の供給力というものは、キロワツトで四百六十万か、七十万というところでございます。一年の電気の発電量は三百四、五十億キロワツト・アワー——平水年で水力、火力合せまして三百四、五十億のキロワツト・アワーであります。それで私どもが持つております今年度の計画で申し上げますと、供給力では約二割程度——二割一分ばかり不足であります。それから電力量におきましても一二パーセントばかり不足でございます。それで二十四年以来、あるいは五箇年計画を立て、いろいろ電力の拡充について計画を立てて実際今実施しておるのでございますが、昭和元年から十七年の間の実績を振り返つてみますと、設備出力におきまして水力及び火力の拡充せられたものが、毎年平均三十六万キロという数字なつております。これは設備について七・七パーセントくらいの設備の増加があつたのでございます。それにもかかわらず終戰後六箇年間の平均を見ますと、年平均五万キロ、わずかに〇・六パーセントくらいの増加率でございます。それで今申しました電力の需給のアンバランス——これは相当大幅な拡充をしないと、いつバランスがとれるかということは非常にむずかしいのであります。二十四年に経済復興計画の一環として安定本部で立てました電力拡充の五箇弁計画におきましては、五箇年たてば大体キロワツト・アワーの方はバランスがとれる、キロワツトの方で三十万キロばかりまだ不足であるというようなところで立てられたのでありますが、資金の関係、いろいろな関係で実際にはそのままには実行されておりません。現在実行されつつありますものは電力の開発、水力、火力、送電、変電設備を加えまして、大体一年に百五十億程度の見返り資金をつぎ込むということで計画されたものであります。それによりますと、現在やつておりますものでやや実現に近いと見通しをつけておりますものが、今後三年間に毎年平均二十万キロ、約二パーセントくらいの増加率でございます。現在やつております電力開発の状況というものは、過去の実績に比べましても、あるいはまた現在の供給力から申しましても、非常に小さいものであるということを御承知願いたいと思います。過去のような七、八パーセントも増加するような計画を立てますと、大体一年に五百億程度の資金をつぎ込まなければ、そういう拡充はできないのでございます。お手元にございます電源開発の現状という資料について要点だけ御説明申し上げますと二十四年度は、見返り資金のうち九十八億円が、日発及び配電に、去年の十一月三十日後三回にわたつて見返り資金の貸付の許可がありました。それによりまして水力の二十六箇地点三十五万七千キロ、火力の二箇地点七万一千キロを主体といたしまして、送電、変電設備約五百件の工事に着手いたしたのでございます。見返り資金の放出が遅れましたために工事の着手も遅れましたが、工事の方はかなり順調に進んでおりまして、この七月の状況で大体三七%くらいのでき高になつております。すでにでき上りました発電所は、水力発電所で六箇地点で三万一千キロ、火力発電所が二箇地点七万キロ、日発でそれだけできております。そのほか配電会社でも二箇地点三千キロばかりの発電所ができております。それ以外に府県営といたしまして、宮崎県営のものが八万キロ、すでに工事中のものも大分県営のものがございます。それから自家用といたしましても日窒の内谷第一、第二が二箇地点二万五千キロでございますが、これも三億円の見返り資金が出まして、近近に一部発電するような運びになつております。それで二十五年度といたしましては、去年の引継ぎ工事及び多少の新規の計画はあるわけでございますが、大体において今年の初めの見返り資金の計画といたしましては、継続工事百五十億、そのほかに新規工事として三十一億で、百八十一億という計画で、実はこの四月にそういう計画を立てて、一応閣議の了解も得たのでありますが、御承知のように電力の再編成の問題とからみまして、見返り資金の許可が今年度分についてはまだ今までおりておりません。このほかに先ほど申し上げました新規の三十一億というものも、これは見返り資金のわくの予備六十数億というところをねらつてつたのでありますが、これも全部船の方に行くということになりまして、現在としては電気には百五十億というところでやらざるを得なくなりました。そのうち百四十五億が継続の工事でございまして、わずか五億だけを去年からの繰延べ工事、あるいは新規工事として見込んでおるわけでございますが、この点につきましても、まだいつこれが許可になりますか、今のところはつきりした見通しもないというような状況でございます。簡單でございますが、開発の現状につきまして御説明申し上げました。
  50. 圖司安正

    圖司委員長 引続き質疑に入ります。
  51. 金光義邦

    ○金光委員 電力開発部長ちよつとお伺いします。日田の関に発電所の計画があつたかと思いますが、あれは現在どういうようなことになつておりますか。
  52. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 九州の日田でございますね。あれは御承知のように初めて司令部に開発の申請をいたしましたときに、地方の反対がありましたために認証が得られなかつたのでございますが、現在はその問題も解決したということを伺つておりますので、もし資金の方が得られますならば、この次の九州としての新規地点の中には、大体Aクラスとして入れたいと思つております。
  53. 岩川與助

    ○岩川委員 さつき御説明なつた再編成に至るまでにどの点が最も難点として取扱い、また暗礁にぶつかつておるか、こういつた点をもう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
  54. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 電政課長がおりませんので、私がお答えしていいかどうかわかりませんが、大体私が知つておる程度を申し上げますと、再編成の問題で一番問題になつておりますのは、これは非常に今まで誤解もされておつたのでありますが、九つの会社にわけますと、融通のできないロスができるという言葉で、一応今まで非常に誤解があつたのであります。それはロスではありませんで、現在日発が一社でやつておりましたような地帶間の融通というものが、会社がわかれますと、どうしてもそれほどスムースに行かないために、一応これを昭和二十四年度の実績によつて、どのくらいその融通のできないものがあるだろうかということを、技術の專門家たちが集まつて推定したのであります。これもあくまで推定でありますが、大体五%くらいは融通が非常に困難であろうという数字が出ておるわけであります。それが非常な問題になつておりますが、その五%といいますのは、たまたま二十四年が非常に豊水でありましたために、それだけ出たのでありまして、これが平年でありましたらもつと少いだろうと思います。渇水であつたらおそらくそういう数字は出ないであつたろうというようなことも言えるわけであります。それから会社がわかれますと、この五%というものが必ずしも常時の電力ではありませんので、おそらくそのうち常時となるのはごくわずかなものである。そういたしますと、会社がわかれたために責任体制がはつきりいたしますと、会社が僣用、いわゆる盗用の電気を征伐するということでも、大体そういうものが別途の方面からカバーできる。あるいはいろいろな方面でできて、おそらくこれはそんなに大きく考える必要はないのじやないかというようなことも考えられるのであります。ただこの問題につきましては、現在では各会社から委員を出しまして、委員会でその融通をやつたらどうかというようなことが考えられております。  それからもう一つ問題になりましたのは、電気料金が現在はプール計算でやつておりまして、全国の地域差で従来出ていなかつたのでありますが、これを九つの別々の会社にわけますと、ほんとうの原価でやると、おそらく高いところは、安いところの三倍とか四倍とかになるというようなことが、非常に問題になつたのであります。この点はこの次に出します法案の案といたしましては、水力の方に賦課金をかけまして、そのお金を火力の発電のキロワツト・アワーに応じて配分するということでバランスいたしますと、大体現在の料金制による地域差程度でとどまるであろうということで今進んでいるわけであります。  それからもう一つは、一地域一会社ということが出ておつたのですが、その点につきましても、もし公営の場合は、公共事業委員会がこれを許すならば、これに区域の讓渡を命ずることができるというようなことで、公営の配電会社に公営の配電も認めようというようなことで進んでおります。大体この三点だと思います。
  55. 岩川與助

    ○岩川委員 大体その三点にとどまるのですか。
  56. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 それからもう一つ開発の問題が残つております。開発は今日発がやれば非常に大きな資本でやつておりますし、建設の陣営もしつかりしておりますから、開発はうまく行くが、九つにわけますと、小さい、たとえば四国とか九州とかいう小さいところでは開発ができないであろう。これは確かにそういう面もあると思いますが、その中で一番問題になつておりますのは、九州の上椎葉が非常に問題になつたのであります。これは五十億とか、六十億とかいう金で——もし電力会社がそれだけの金を調達して、実際九州の開発ができるかどうかということは非常な問題でありますが、九州の上椎葉については、これは八万キロでございまして、それができれば九州の電力は非常に大きくなるのであります。九州の現在の負荷は大体六十万キロくらいでありますが、それに八万キロどかつとやるということになると、三年も四年も、その六十億というものがすえ置きになるということで、むずかしい問題もありますが、これは九州の地点は本州の中央部より二割、三割建設費が高うございますが、電気料金も高いのでありますから、そういう方法で小さいところをやるのは十分できると思われます。そのほかに九州としてはやはり将来火力でやるべきだ。現在の新しい設備の火力によりますと、建設費と申しますか、発電原価も上椎葉と同じ程度でできるということになるのです。火力でやれば三万キロとか、五万キロとか小刻みにできますから、そういう方面から行けば、割合に開発もできるじやないかということも考えられるわけであります。  それからいわれておりますように、責任体制がはつきりいたしますと、資金の方は今の日発よりもむしろ借りやすくなるじやないかという意見もございますので、これも今九州あたりで考えられているようなシリアスな問題じやないかとも考えております。
  57. 岩川與助

    ○岩川委員 そうすると、こういうことですか。ロスが五%出る、その問題と電気料金をプールするかどうか、つまり水力に賦課金をして火力の高いところへ配分する。それが一つ、それからもう一つは開発の問題、その四点に限られておると思います。それから世間では日発の自家用発電所はまた元へもどるのだという話もありますが、元へもどす予定になつておりますか。
  58. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 その問題については私が申し上げていいかどうかちよつとわかりません。まだ次の国会に出します法案が確定したわけではございません。現在の空気では、もし需給上にあまりさしつかえなければ、自家用であつたものは返還してもいいのではないか、ただそれを返還したためにその方の需給上、ほかの方に非常に迷惑をかけるということも考えられる。それがなければ返還したらどうかというような空気になつております。
  59. 岩川與助

    ○岩川委員 今の開発資金というのは、現在日発は見返り資金だけを当てにして開発をやつておる。こういうことになつておりますが、これは分割した後も見返り資金だけをあてにして開発して行くという見当で行くわけですか。見返り資金以外に金を使つてやるというのですか。
  60. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 見返り資金の方は、実は私もいつまで続くかということは非常に疑問に思つているのでございますが、おそらく見返り資金だけでやつて行くというのでは今後はいけないので、あるいは外資の導入をするとか、そういつた面でやらなければ、今のような電力の需給のアンバランスを是正することはとてもおぼつかないと思つております。
  61. 永井英修

    ○永井(英)委員 その再編成について、ちようど日発ができるときでも、約三年間くらいの混乱時代があつたと思いますが、この再編成を行う場合に、相当期間いろいろな混乱が起こるのではないか、こういうふうに考えますが、この点政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  62. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 仰せのごとく、日発のできましたときに、多少いろいろの面で開発が遅れましたが、そういう轍は今度はぜひ踏みたくないとわれわれは努力しておる次第であります。
  63. 永井英修

    ○永井(英)委員 そういう轍を踏まないようにお願いしたいと思うのですが、実際問題としては相当轍を踏むのじやないかと私ども考えます。それからもう一つお伺いしたいのは、先ほどからお話がありましたが、私ども地方をまわつてみましても自家発電は元にもどしてくれという要求が相当強いようであります。国全体で大体どのくらいそういうものがありますか。それは地方別によると非常に多いところと少いところがあると思います。
  64. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 これは資料の四の三十二ページにございます。昭和電工、信越化学、旧事業者で申しますと、東信電気、安曇電気、信越化学、神岡水電、揖斐電、四国中央電力、渡川水力、電気化学、日立電力、北越水力、京都市電、一覧表になつておりますが、全部で幾つになりますか。詳細なる表がついております。おわかりになしましたでしようか。今申し上げましたのは自家用で返してもらいたいといふ申出があるものだけあげてあります。自家用の方は五%であります。公共団体の方はここにあげてありますが、全部返してくれという意味ではないのでありまして、公共団体の充合したのが出ておるわけであります。
  65. 永井英修

    ○永井(英)委員 ところが公共団体の方も返還をしてくれという要求が非常に強いと思います。それであるブロツクによつてはそういうようなものを返還されるということになると、ほとんど配電会社が成立たないというようなところもあるのではないかと思うのですが、そういう点はどういうふうにしておられるか。
  66. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 たとへば発電所を返しますと、発電所は公共団体に返る、その電気はやはり配電に売るということになると思います。そういたしますか、配電の供給区域を公共団体が讓り受けて、自分のところで供給するということになりますから、公共団体が発電所を持つたから、それを全部別の方に電気を売るということにはならないと思います。
  67. 岩川與助

    ○岩川委員 今の御説明は何でありますが、その場合には自家発電の返還請求の目的が達せられないことになつて、結局それから問題が起るというようなことになつて来やしないか。この政府の案は返還を受けないつもりで計画を立てられたのか。たとへばさつきのお話のように、何パーセントか水力の方からとつて火力の方にまわすというような計算は、返還しない計算をもつてそういうふうな措置をとる。そうすると公平に配分されるというような目途のもとに、これが立案されていうように見えるのですが、これが返還するんだという場合には、その点が非常に違つて来やせんか。そういう際はどういうふうな取扱いをされるか。配電会社はあなたの言うように、一ぺん売るのだというのであれば、私は返還請求の目的が元の自家発電業者は達せられる。そこに難点があるのではないか。こういうふうに考えられます。
  68. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 自家用の場合は、現在日発なり配電から電気を千キロなら千キロ売つておる。そうすると自家用が千キロの発電機をもつておるなら、大体それは返してやつても、ほかの方の需給にはあまり影響を及ぼさない。ただその発電所の一万キロである場合には、おそらくそれを返すということはないだろう。自家用は五%程度でございますから、これは全部返すわけではございません。ただ要求があるだけ書いてあるのでございまして、この中から一つ返るか二つ返るか、ちよつと私存じませんが、そういたしましても、水力の賦課金についてそう大きな変更はなくて済むじやないか。経営につきましても、これはただ経営を幾ら統合したかという資料でございまして、これを全部今手離して返すということも、まだきまつておるわけではございませんから、おそらく大きなものを返すということになると、需給上相当影響があると思いますから、そう賦課金について影響のあるほどのものは返らないのではないか。これは非常に申し上げにくいのですが……。
  69. 岩川與助

    ○岩川委員 その点がおそらくはつきりして来なければ、問題がほぐれて行かぬのじやないですか。今のように、ある場所は返す。ある場所は返さぬ。こういうふうなことになると、大体自家用程度のものは返さぬ。あるいは返すんだ。返せばどの程度で返すという点が起きて、先へもどつて解決の出て来ないようなはめに陷るのではないか。おそらく甲のものは返して、乙のものは返さぬというりくつは成立たないようになる。あなたの言われるように、影響の少いところは返して、影響の大きいところは返さぬのだ。そうすると結局場所によつては返らぬということになつて、自家発電というものは現在の通りで、配電会社が配電するのであつて、元には返らぬという結論になりますが、そういうふうな自由の取扱いができる問題になるのですか。
  70. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 これはこの法案が通りまして公益事業委員会ができまして、委員会がやるわけでございますが、われわれが今それでどの程度返すとか何とかちよつと言えないのでございます。おそらく返しますにしても、相当嚴選されて、これはなかなか基準はつくれぬと思いますが、相当大きな影響を及ぼすというようなことはむずかしいと思います。
  71. 岩川與助

    ○岩川委員 途中ですから結論は言えないでしよう。けれども、大骨だけは返すのか返さぬのか。今現にこういう問題が話題に上つておりますので、裁判にもかかつたり、いろいろな問題が起きておるが、返すのか、返さぬのか、返すという方針ならば返す。返した結果どういうふうな処置をするかということが、数字的に大きな問題が出ておる。こういうふうにわれわれは考える。これはやはり今から用意しておかれることが必要じやないか。そうするとその問題を解決せんと、解決できないのではないか。場所によつたら半分も自家用発電に持つて行かれる。あとは配分するのが非常に少くなる。現在より以上に非常にきゆうくつなものになるという問題が起きて来るのではないか、こういうふうに考えます。しかしはつきりした説明はきようはできぬと言われるならば、後日に讓るよりしかたがない。お考えおきを願わなければならぬ重大な問題だと思います。
  72. 多田勇

    ○多田委員 ただいまお話がありました電力の需給と料金の調整、これは賦課金のような形で、水力からある一定の率で徴收して火力発電に交付するというような形をとられるというような、先ほどのお話でございましたが、これは政府自体が賦課金でとつたものを、民間企業体に補助するというようなことは、さしつかえないのであるかどうか。その点をお聞きいたします。
  73. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 これは政府は介入しないで、おそらく会社間でやるようになると思います。
  74. 多田勇

    ○多田委員 会社間でやるようになりますと、この公共事業法案の一番最後に、独占禁止法並びに事業団体法の適用を除外するということになつておりますが、民間企業体がこういつた需給の協定、あるいは料金の協定、そういつた契約をすること自体が、独占禁止法及び団体法に抵触する。しかも日本の大きな産業の基礎をなすところの電力企業において、こういつた協定を独占禁止法並びに団体法から適用を除外するような考え方は、今までに司令部が考えて参りました考え方とは相当大きな隔たりかあるように私どもは感ずるのでありますが、どういうような趣旨、どういうような理由で、電気事業に関してだけ独占禁止法並びに事業団体法の適用を除外するようになつたか、その間のいきさつ並びに趣旨を御説明願います。
  75. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 実はその点はまだ司令部がはつきり承認しているわけではございませんが、おそらくこれは法的な処置をもし会社をしてやらすならば、法的の措置をとることが必要だと思います。
  76. 多田勇

    ○多田委員 司令部が確実にまだ承認されていないというお話でございますが、第七国会に公共事業法案が提案されているわけでございますから、この第七国会に提案されました公共事業法案に、はつきり団体法並びに独占禁止法から除外するということになつておりますので、これは当然司令部側の承認されたものである。そうならなければならぬわけでございます。ただいまの話だと、そこまで行つていないというお話でございますが、そういつたことはおそらくあり得ないので、そのはつきりした趣旨を御説明願いたいと思います。
  77. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 この賦課金の制度は第七国会に出されました法案にまだ入つておらなかつたと思います。この次の国会に出します検討中のものにそれが入つているわけでございます。
  78. 多田勇

    ○多田委員 賦課金についてはそうでございましようが、ただいまの賦課金をとつて火力発電にこれを交付するというような行き方が、電気事業者相互の協定に基いてやるということであれば、第七国会に提案されました法案の第四十四條並びに第四十五條の、委員会の承認を得たところの電気事業者相互の協定というのと、大した相違はないと思います。ただ賦課金の問題が出ていないだけであつて、電気事業者相互の協定は、すでに第七国会に提案されました法案にはつきりとうたわれております。従つて民間企業体の協定が、特に電気事業だけについて認められろというような趣旨は、これは他の産業に及ぼす影響が非常に重大だと思いますので、団体法の改正その他について、はつきりした御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。ひとつその間の事情を御説明願いたいと思います。
  79. 豐島嘉造

    ○豐島説明員 その問題については私が答弁いたすわけには行きませんが、必要ならあとで電力局長から御答弁申し上げます。
  80. 圖司安正

    圖司委員長 電力問題に関する質疑はこの程度で一応打切りまして、午前中に引続き経済緊急政策を議題に供し、質疑を続行いたします。志田義信君。
  81. 志田義信

    ○志田委員 朝鮮動乱が始まりましてから商品の売行きが相当に活発になつておりまして、物価上つておるようでありますが輸入の不円滑から一般輸出の面は一体どうなつているか、ちよつと御説明願いたいと思います。
  82. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 輸出の面が輸入の不円滑からどういうふうになつておるかという御質問ですが、輸出は最近もずつと好調を続けておりまして、特別に輸出の面で不円滑を来しておるようなことはないと思います。輸出のための原材料は、必要あればそれだけ予算を増額してやるようになつております。
  83. 志田義信

    ○志田委員 今度の動乱によりまして、相当輸出が出ておるようでありますけれども、輸入の不円滑という点が、かなり大きな影響を與えておるのではないかと思うのであります。それで輸入が不円滑のために国内商品の補充に対して、現在、将来にわたつて困難を来すような心配があるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  84. 増岡尚士

    ○増岡説明員 朝鮮動乱以来、お話のように、いわゆる特需というものも大分あります関係上、物資の需給が今年度の上半期といいますか、第一・四半期ごろには、むしろだぶついておつたという感じのものが、やや見直して来たようになつておりますが、ただいまのところ輸入の方でも、大体特需に対応して輸入の計画を——午前中にも貿易局長から話がありましたように、資金をつけております関係もありまして、目下のところでは輸入の不円滑のために、国内の需給が非常に悪くなつて来ていることはないといつてよろしいと思います。ただ特需関係の見通しがききませんので、急にたくさんのものが今後出るということになれば、あるいはそういう心配がないでもありませんが、今程度のものでありますれば、今つけております外貨資金をもつてまかなう輸入で、そう需給の不円滑を来すことはないというふうに考えております。
  85. 志田義信

    ○志田委員 その点は私は非常に問題があると思うのです。たとえば輸入原料ばかりに依存している産業、これが品薄のためにいろいろな現象を来しておるではないかと思うのです。実例をあげて申しますれば、石炭とか塩とか鉄鉱石、羊毛、ゴム、綿花、マンガン、ニツケル、パルプ、砂糖、皮革、そういうものは国内にだぶついておるのですか。
  86. 増岡尚士

    ○増岡説明員 今お話のありましたものは、原料はいずれも輸入に仰ぐ必要のあるものでありますから、これをできるだけ輸入するということで、先ほども話がありましたように相当繰上げ輸入的な色彩を強めた第二・四半期の資金割当、及びその後の長期契約、あるいはユーザンス・システム等によりまして、今お話になりました物資も余るほどには入つておりませんが、さしあたりの需給について悪影響を及ぼさない見込みで輸入をはかつておるわけであります。ただ輸入の地域的な関係その他から、一部には相当心配されるものもありますが、それらの点については、今後の輸入計画で、十分問題になる品物を織り込んで処置して行きたいというふうに考えております。
  87. 志田義信

    ○志田委員 今繰上げ輸入という話がありましたが、繰上げ輸入という掛声だけで実際には入つて来ないのです。従つて繰上げ輸入をやるための方策を講じなければもちろんだめなんでありまして、輸入許可ということと、輸入されたものということを混同されているではないかという気がするのです。輸入許可がすなわち輸入したものではないのでありまして、そういうことを現象的にほんとうに見られた結果、現実には国内の需給を補充するに足るだけの輸入がある見込みでおるのでございましようか。
  88. 増岡尚士

    ○増岡説明員 もとより外貨資金の割当があつて、それから所要の手続をして、現物が入るのは幾らか時期的にはずれるわけであります。従つてそのずれを見込まなければ——今私が申しましたような趣旨で、物がほんとうに入つて来ておるのかどうかという点では問題になるのでありますが、その点ではやはりずれの点ももとより考えの中に入れて、問題になりますものについては手配をできるだけ早くするということで、今後需給関係を維持して行きたいというように考えております。
  89. 志田義信

    ○志田委員 そのずれというのは、どのくらいの期間を見てずれの期間をおとりになつておりますか。
  90. 増岡尚士

    ○増岡説明員 一番長いものでは、かりに第一・四半期で許可になつたものが、大体第二・四半期にまかなうという一期くらいのずれのものもありますが、それよりも大体それが一応一番長いくらいのものであつて、それよりも短い、あるいは五十日とか六十日とかのずれで、現物が入つて来るというものもあるわけであります。
  91. 志田義信

    ○志田委員 そこで少し話を進めて参りまして、そういうようなずれを、今五十日くらいとおつしやつたようですが、大体二箇月くらいのずれのようであります。そういうずれを考えて輸入の問題を考えておられて、国内の補充に不便のないようにするというお話ですが、輸入のわくの設定につれまして、従来一・半期ごとの外貨予算の方式が、今度少し長期にしなければならぬという問題が出ているので、そういう長期の外貨予算を組むことを考えて、そのずれの問題もあわせて処理して行かれるつもりであるかどうか、それをお尋ね申し上げておきたいと思います。
  92. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 従来の外貨予算では、大体その期に輸入のコミツトメントをしてよろしい、こういつたような方式で輸入の予算ができておりました。大体輸入承認証の有効期間は六箇月でありまして、それ以内に物を持つて来ればいいのでありますが、それだけでは大体期近物しか契約できないというので、九月に先物契約の予算というのをばつくりしました。それはさしあたつて特にそういう先物契約を必要とすると思われる鉄鉱石とか、粘結炭あるいはパルプとか、塩とか、米、小麦、そういつたようなものにつきまして、大体九月から一年くらい先の契約までできるようにいたしました。それで期近物の予算、それからそういう先物契約のための予算、二本建で現在運用しております。
  93. 志田義信

    ○志田委員 そういう場合にどうでしようか、外貨資金の問題で、外貨資金がいねむりするような状態が出て来るのではないかと思いますが、そういう点につきまして外貨資金だけが累積したというような問題に対しましては、これを防止する方法を考えておられますか。
  94. 湯川盛夫

    ○湯川説明員 外貨予算は一月から日本側にその作成が移讓されて始めたわけであります。当初はいろいろ経験もありませんでしたし、関係方面の意向もできるだけ堅実な予算の組み方をするようにというわけでありまして、コミツトメントしたときにその金額をばそのままリザートアウトするというような、それを非常に嚴格に実行して参りました。その後いろいろな経験によりまして、もつと外貨を有効に活用した方がいいというので、別にいろいろ金繰りの計算をいたしまして、その現実の金がいつ落ちるかというような計算をずつといたしまして、先物契約予算もその一つの現われでありますが、将来に落ちるものは将来の予算でするといつたような観念で、外貨をできるだけ有効に使うという措置をとります。
  95. 志田義信

    ○志田委員 今の御説明はたいへんよくわかりましたが、どうですか、巷間伝えられるところによりますと、大蔵省や日銀あるいは外国為替管理委員会の間において、輸入金融の方法について何か方法を考えて、そうして新しい方法を設定しようとするお考えがあるように聞いておるのでありますが、その内容をお伺いしたい。
  96. 奧村竹之助

    奧村説明員 先ほどからの御質問の件でありますが、輸入の促進につきましては、外貨予算のもとに十分の資金を計上するということと、それからその外貨予算が十分使い得るような金融措置を講ずる、円の金融措置を講ずるという二つの問題で、初めて、先ほどから志田委員の仰せになつておるように、輸入を促進する、現実物が入つて来るという結果になると考えておる次第でございます。外貨予算の問題につきましては、先ほどから湯川局長以下御説明いたしましたように、最近大幅に、思い切つて外貨予算を出すという措置がとられておるわけであります。実際これを実行するにあたりまして、輸入金融をどうするかという問題につきまして、実は最近までその問題はあまり大きく出て来なかつたのであります。というのは御承知のように、民間輸入は本年一月一日から始まりました。それまで今年前半期に入つて参りました物資の大部分は、十二月末までに行つた政府輸入として入つて来たわけであります。従つてこれに対する金融上の問題は大して起きなかつたわけであります。つまり貿易公団なり、あるいはそのあとを引継ぎました通産省の貿易特別会計なり、あるいは農林省の食糧庁の会計等によりまして、大部分の輸入が支拂われておつたのであります。ところが民間輸入がいわゆる最近になつて、一月以降発給されました輸入許可が、実際現金の支拂いを要するという事態に立ち至つたわけであります。この間の大体の数字を申し上げますと、一月から七月までに民間輸入で決済されたものは、わずかに七千万ドルくらいしかなかつた。それから八月に入りまして、八月だけで五千万ドル近くのものが入つております。輸入といたしましては、大体毎月五千ドル以上、多い月には七、八千万ドルずつ今まで資金が拂われておるのであります。これはただいま申し上げましたように、一月から七月までは大部分政府輸入として入つて来たわけで、民間輸入としては大きな支出は今までなかつたわけであります。それがこの八月以降非常に大きな金額が民間輸入で入つて来ております。それは今の外貨予算を実行いたしますためには、平均月一億ドルくらいの支拂いが今後予想されるのであります。すでに七月——九月に計上されました外貨予算は四億ドルを超過いたしております。そうして今後も先ほど御説明がありましたように、今持つておる資金を十分活用するという意味で、実際の予算も三億以上のものを今計画しておりますので、それが実際物が入つて来ることになりますと、少くとも月一億ドルくらいの外貨が使われる。ということは、三百六十億の輸入資金を要するということになるわけでございます。それが今までは輸入貿易手形にのみ依存しておつたわけであります。ところが輸入貿易手形と申しますのは、御存じと思いますが、日本銀行で再割引いたしますが、これは実際荷物が入つて来て、そうして手形が日本に到着して、初めてその際に市中銀行から日本銀行へ再割を申し込む。そのときの銀行の資金状態によつて日本銀行は再割に応ずる場合もあり、応じない場合もあるということになつておりますので、市中銀行としては、大きな金額に対して輸入の信用状を出すという点においては、非常に不安があるわけでございます。日本銀行が輸入買手を最初から約束してくれない以上は、市中銀行といたしましては、一億ドルにも上るような毎月大きな信用状を出すということは実際不可能であります。それで外国銀行のユーザンスを利用するという方法は、今から二箇月ばかり前から始まつて来たわけであります。これは戰争前にも日本でも一般に通用しておつた方法でありますが、世界各国とも、輸入するときに輸入先のクレジツトを利用するという方法でございますが、在日米糸三銀行から、そういつたクレジツトを出してもよろしいというような申込みがありまして、それを日本の為替銀行はみな利用するということになつたわけであります。普通ならば、荷物が積み出されましてすぐ為替が組まれます。その為替が大体飛行機で参りますから、十日か二週間くらいで日本に着きます。そのときにその代金を決済しなければならない。そういたしますと、輸入業者はそのときに円を支拂わなければならない。従つて為替銀行はそのときに円価を外国為替管理委員会の特別会計へ拂い込まなければならぬということになりまして、先ほど申し上げましたように日本銀行が再割してくれない限りは、これが実行できないわけです。ところが外国銀行のユーザンスを利用いたしますと、手形が着いてから九十日なり百二十日なり後において初めて外貨を支拂えばいいわけでありますから、その外貨に相当する代金であるところの円貨は、荷物が着いてから三、四箇月後に拂つていいということになりますので、その間にその輸入します貨物は、さらに転売され、あるいは製造家の手によりまして、製品化して現金化する。従つてその三箇月なり四箇月なりの間に円貨が拂われるということになります。これで初めて輸入金融は円滑に行くという仕組になるわけでございます。ところがその外国銀行からユーザンスを受けますと、これに対して日本の為替銀行といたしましては、年利四分の利息を外国銀行に拂わなければならない。銀行はさらに一分加えまして、年利五分の利息を輸入業者に貸しておる。この五分というのは、大体こういつた輸入手形のユーザンスといたしましては、世界慣行の例でありまして、戰前にも大体標準、五分になつております。今でもその五分の利息を利用し得るという状態であります。ただこれを全部に適用していいか、どうかという問題が起きたのは、現在われわれとしては相当の外貨預金を持つております。これは主として米ドルはアメリカの諸銀行に預けてあるのでありますが、アメリカの法律によりまして、当座預金は無利息ということになつております。定期預金にいたしましても、ごくわずかの利息しかつきません。このようにわれわれの持つておる外貨に果実が生じないで、片方外銀から外貨を借りて、それに年利四分の利息を拂うということは国家的に見て非常に不経済である、政府が持つておる外貨があるなら、外貨にかわつてそのとき拂つてしまつたらどうだろう、その方が日本としては有利ではないかという意見が出まして、これは司令部の方でも同意見で、外銀にかわりまして、手形が組まれたと同時に、為替管理委員会でこの外貨を支拂つてしまう。そのときに業者から円貨を取立てると、先ほど申しましたような貿手の再割引の問題がありますので、為替銀行を通じて業者に外貨の支拂いを延ばす、つまり外貨を貸してやる外銀から外貨を借りたと同じように、日本の銀行に為替管理委員会から外貨を貸すということにすれば、三月なり四月なり同じ期間外貨の取立てを待つて外貨なみの利息を徴收すればいいのでありますから、外銀と同じような形が日本の銀行に與えられる。同時に円の輸入貿手の問題も起つて来ないのでありますから、そうするのが一番合理的ではなかろうかという案を出しまして、各方面へ御相談したわけでございます。これに対していろいろの御意見が出たわけであります。最初に出ました案は、そういつたことは政府のやるべき事柄ではないのである、これは外国銀行と同じように、日本の為替銀行は自分の持つておる外貨資金で業者に貸し付けてやるべきであるということでございまして、これはまことにオーソドツクスな意見なのでありまして、われわれももとより賛成なのであります。日本の為替銀行がドルを保有いたしますためには、外国為替特別会計にそのドル相当の円を拂わなければなりません。そういたしますと、今の日本の為替銀行の金利コストが、大体年利七分くらいについておりますために、外貨のコストがやはり七分につくわけであります。そういたしますと、これを輸入業者に貸し付けるということになりますと、とうてい外銀の出すような低い程度でサービスは出せないのみならず、外貨を貸りるだけの円が日本の銀行にございません。金利のみならず、それだけの円が日本の銀行にありません。それで日本の銀行は必要な外貨を保有するだけの円を、しかも安い利率で、年利三分か三分五厘くらいの利率で、日本の為替銀行に円を供給してやらなければならぬという問題が起きたわけであります。これはどうしても日本銀行としてそういうことをすれば、日本全体の金利体制が崩れるというわけで承知できなかつたわけなのであります。それで戰前は実は横浜正金銀行は横浜正金銀行法という特別法によりまして、特に年利二分くらいの低金利の金を日本銀行から借りておりました。それのみならず政府の持つておる金も横浜正金銀行は利用するという特権を持つておりまして、それで横浜正金銀行は外貨を自分でもつてそういつたオペレーシヨンができたわけであります。今日横浜正金銀行を廃止いたしまして、各銀行が平等の市中銀行となつております際に、こういつた特別の特権を一つの銀行に與えるということはもとより問題でありませんので、それで仕方がないから政府機関であるところの委員会がやろうという案になつたわけであります。その問題は結局そういつた安い円が與えられるということで実現できなかつたのであります。  その次にはそれでは今の日本銀行が輸入貿手を再割にすることを早くから同意を與えたらどうか、信用状を出します前に、この信用状に基いたところの輸入手形に対しては、必ず輸入貿手の再割をするということを日本銀行が約束してくれるならば、利息の差はわずかに年利三分余りでありますから、これくらいは業者の方でがまんをする。輸入のコストが上つてもやむを得ないということで、ユーザンスにかえて日銀の貿手を非常に寛大に許したらどうかという案が出たわけであります。これにつきまして一応いいように見えるのでありますが、事実困りますのは、もしこれを実行しますと、先ほど申しましたように、月に一億ドルの輸入を行う。これに対して三箇月間の輸入貿手を割引いたしますと、一時に約三億ドル、円にいたしまして、一千万円、これは全部が再割するわけではありません。少くとも七、八百億の輸入貿手がたまるわけであります。これを日本銀行が今の市中銀行に対してあらかじめ必ず引受けますということは、日本銀行としてはどうしても言い得ない立場でありまして、またそういたしますれば、今日でさえ日本銀行の市中銀行に対する貸出が千五百億になつておりますがこれに加えてさらに輸入貿手として七、八百億円の貸出がふえるということになります。これではとうていオーバー・ローンの問題はさらにむずかしくなるということで、この輸入貿手にかえる案もなかなか実行しがたいのであります。それでどうしても外銀の使つておるようなユーザンス、つまり外貨による金融で輸入するということが必要となつたのであります。もし最初に外国為替委員会で発案いたしましたような案を実行いたしますと、外国為替特別会計に入つて来る円の收入というものは、約三月間なくなるわけであります。その間に輸出はどんどん伸びておりますので、特別会計の赤字が増大する一方であります。これに対しては何とかして円の收入をはからなければならぬ。ところが予算によりまして外国為替特別会計は一時借入金が五百億円、それから資本金が五百億円だけ收入の予算になつております。ところが資本金の五百億円は、貿易特別会計から受入れることになつておつたのでありますが、貿易特別会計の方へ政府輸入がどんどん入つて来たために、その政府輸入の代金の支拂いのために、五百億円の予算は使われてしまつた。貿易特別会計から為替特別会計の方へ受入れたのでありますが、項目といたしましては政府輸入代金として入つて来て、資本金としては入らなかつたわけであります。それでもうそういう目的で受入れる金はなくなつた。そういたしますと、今のところ一時借入金が五百億あるだけであります。これは全部借入れてしまいまして、九月の二十二、三日ごろになると、特別会計のバランスが毎日十億程度しかない。輸出が多いときは一日十数億にのぼりますが、ちよつと輸出がのぼると輸出手形を拂い切れないという事態に立ち至つたのであります。  最後にそれでは為替管理委員会にかわつて日本銀行がユーザンスのオぺレーシヨンをやつたらどうかということの案が出たのであります。こういたしますと今の日本銀行は輸入に必要な外貨を為替管理委員会から買うことになります。それを日本銀行は市中の為替銀行に貸付けます。市中の為替銀行はその外貨を業者に貸付けて、輸入の手形を一応決済する。それで同時に日本銀行は、外貨を為替管理委員会が買つたときに同額の円を為替管理委員会に支拂うことによつて、為替管理委員会の特別会計の赤字をなくすることができるという案になつたわけであります。しかも日本銀行でありますから、銀行に貸付業務するのは当然である。つまり簡單に申しますと、戰前正金銀行でやつておりましたオぺレーシヨンを、今後は日本銀行がやるというかつこうで、ユーザンス問題が実行できることになつたわけであります。これによりまして輸入金融は円金融と離れまして、外貨の金融として日本銀行によつて行われますゆえに、先ほど経済安定本部より説明がありましたような、多額の外貨予算も今後は実行できると考えておる次第であります。
  97. 志田義信

    ○志田委員 今ちよつとユーザンスの問題が出ましたからお尋ねしますが、それはドルのままでやるのですか、それとも通貨の増発を予定してユーザンスをやるということなんですか。
  98. 平井富三郎

    ○平井説明員 ただいまのユーザンスのやり方で言いますと、日銀が為替管理委員会からドルを買うわけであります。その間において通貨がそれだけ出るわけであります。その面においてはそれだけの通貨量がふえたということは言えると思います。
  99. 志田義信

    ○志田委員 従来われわれが安本のそういう作業をやつている人たちから聞くところによると、外国為替委員会のユーザンスの提案に対して、大蔵省あるいは日銀、安本あたりが非常に強硬な態度をとつていたようですが、そういう場合通貨の増発がなされても、いわゆる現内閣の安定政策がくずれないという見通しがついて、その作業をやることになつたのでありますが、それをちよつとお尋ねいたします。
  100. 平井富三郎

    ○平井説明員 輸入をふやすということがインフレーシヨン收束に最も緊要な措置である、こういう観点からただいまの措置をとつた次第であります。結局輸出なりあるいは特需なりで物が入つてドルがふえる、あるいは円が出る、こういう関係になりますので、物を入れますことが民間から結局は円を吸い上げることになるわけであります。一旦は輸入のために輸入金融として円が出ますが、結局これは為替管理委員会の方へ円がもどつて参るのでありまして、このために一旦日本銀行から円は出ますが、結局は国庫に入つてしまう、こういうことになるわけであります。
  101. 志田義信

    ○志田委員 それはまあ、そういうふうに発展的なお考えをお持ちになつたことは、国家のために御同慶にたえない。われわれもさように考えるのでありますが、その一定期間すれば増発された円貨は回收できるという見通しでありますか。朝鮮動乱はなお一年を要するということがいわれておつて、相当に内需が増しておる原因等からかんがみまして、大体一定期間というものを、どの程度にお考えになつて円貨が回收されるというお見込みであるか。それをひとつ伺いたい。
  102. 平井富三郎

    ○平井説明員 ただいまの状況から参りますと、生産活動その他が非常に活発化して参りますので、三月たとえばユーザンスで認めておるわけでありますが、これが製品化いたしますのに、どれだけかかるか。こういう問題になるわけであります。結局原料が内地に到着いたしまして、これが製品化され、最終の消費者から輸入業者に代金が支拂われる、この時期によつてきまるわけでありますが、最近の状況からいたしますれば、その点は非常な円滑さをもつて支拂われて行くのじやないか。そう長期な期間ということは予想いたしておりません。
  103. 志田義信

    ○志田委員 ついでに官房長にもう一度お尋ねして、あとでまたほかのことをお尋ねしたい。一体朝鮮動乱が始まりましてから、三週間か、四週間で九十三億五千万円くらいのものが出ているのですが、今までにどれくらいの朝鮮動乱による特需がありましたでしようか。それからその特需の総計について、最近の閣議で報告した数字があるかどうか。あればその数字をひとつ承りたいと思います。
  104. 平井富三郎

    ○平井説明員 朝鮮動乱が勃発いたしましてから、九月の十一日現在まで、安定本部が各省と協同いたしまして調査いたしました特需の物の調達の量でございますが、九月十一日現在におきまして、約百六十億に達しております。もつともこれは物を納める納期につきましては、車両その他については、来年の二月とかいうような納期については、先物といいますか、先の契約に当つておりますが、要するに契約が大体できましたもの等は、大体百六十億程度ではなかろうか、こういうふうに推定いたします。
  105. 志田義信

    ○志田委員 もうひとつ官房長に特にこの際お願いしておきたいのですが、その内訳を一度この委員会のわれわれ緊急経済政策に関する小委員会にお示しを願えないでしようか。たとえば電球はどうなつておるか、自転車はどうなつておるか、土建材料はどうなつておるか、鋼材はどうなつておるか、鉄鋼はどうなつておるかという内訳を出していただきたいと思うのですが、いかがでしようか。
  106. 平井富三郎

    ○平井説明員 大体大まかに申し上げますと鉄鋼——これは鉄鋼製品の亜鉛、鉄板とか、そういう製品も含んでおりますが、鉄鋼関係につきまして四十億、電線及び非鉄金属関係につきまして四億三千万円、自動車、車両、機械等が五十六億、化学薬品が四億、纖維製品が二十七億、雑貨が五億八千万、土建材料が九億二千万、木材が六億六千万、石油製品が八千万、医薬品が二億九千万、衣料品一億六千万等が大体大きなものでありまして、総計が約百六十億程度であります。
  107. 志田義信

    ○志田委員 そこでちよつとお尋ね申し上げたいのですが、先ほどの奧村外国為替管理委員会委員からの御説明によりますると、大分外国為替管理委員会の拂込み資本金が、流用されて行かなければならぬような状態があるのではないかという気がいたすのでありまするけれども、この点はどうでしようか。政府輸入をやつて、そうしてこれはもう自由に通産省だけでそれをやつて、その点の連絡というか、協調というか、そういう点で——もうすでに五百億以上も出ておるという話がさつきあつたように思うのでありますが、外国為替としては拂込み資本金を何か流用する形において、これをカバーするということを考えられておるかどうか。それをひとつ伺いたい。
  108. 奧村竹之助

    奧村説明員 実は昨年の今ごろ、二十五年度の予算ができました当時には、一月からは政府輸入はやらないという方針でありましたために、輸入の代金支拂いの予算はそう多額のものはいらないという想定のもとに、二十五年度の予算はできたのであります。ところが実際には一月一日から日本側で外国為替を移管することになりまして、つまり政府輸入を十二月一ぱいでやめるということになりましてから、実際問題といたしまして十一月、十二月に非常に大きな政府買付が行われたのであります。これは一つはスターリング・エリアとの通商協定が十一月に協定されまして、実はそれまでは日本はスターリング・エリアから十分買つていなかつたということを、非常に英国側から指摘されましたので、今後積極的にスターリグ・エリアから買おうということに方針がきまりまして、十二月に食糧その他大きなものをスターリング・エリアから買つた。その決済が実は二十五年度四月以降になつて入つて来たわけであります。それで実は予算を補正しなければならないところだつたのですが、その機会がなかつたために、貿易特別会計といたしましては、その代金を拂うために、われわれの方へ資本金として拂うはずであつた五百億を流用して、政府輸入代金を拂うということになつたわけであります。ですからこれはいずれ予算を補正していただかなければならないと考えます。
  109. 志田義信

    ○志田委員 いろいろ話をお伺いしてみますと、私はインポート・エキスポートの問題は、これは一つのビジネスなのでありまして、われわれが外国為替管理法を審議した場合にも、この点を時の安本次官、長官に大分御質問申し上げて、十分であるというお話でありましたが、予算を計上しているということが、こういう事態が起きて来ると、かえつて災いをするという考えが出て来る。こういう輸出や輸入の商売を政府の予算に計上しているというところに、今言つたような予算の補正の要望も出るような点があるのではないかと思うのでありますが、その点については、外国為替委員会並びに安本ではどういうふに考えておるか、ひとつ両者のお考えをお伺いしてみたいと思います。
  110. 奧村竹之助

    奧村説明員 先ほどちよつと申し忘れましたが、十二月までの事情はさつき申し上げた通りであります。一月一日以降は外貨予算ができまして、これは閣僚審議会で外貨予算を十分検討いたしておりますために、政府輸入と民間輸入の問題は十分調節されておりまして、何らその間に齟齬を来していないと思つております、これは先ほどの説明の補遺として申し述べます。  それからただいま御質問の輸出、輸入を政府予算に計上するということでございますが、これはまことにお説の通りでございまして、われわれといたしましては——外貨予算は政府の予算ではございません。予算という名前はついておりますが、実際は外貨の使用計画でありまして、これはただいまのように閣僚審議会でこれを決定していただいて、公正な、そして国家のために最も有効な用途に外貨を使用するということは、きわめて適切なことだと思つております。これに従つて民間で行つております輸出並びに輸入の手形、為替の売り買い、つまり民間が輸出いたしますと、その手形を外国為替管理委員会で買つて外国為替を買います。それから輸入いたしますと、外国為替を売るわけでございますが、これは仰せのように、商売の消長によりまして、一年間の先のものを考えますと、とうてい十分推定し得ない部面がたくさんありますので、これをいわゆる国家予算に計上するという問題については、根本的に再検討していただきたいとわれわれは考えております。
  111. 平井富三郎

    ○平井説明員 為替管理委員会の機能の問題に帰着いたすわけでありますが、現在日本の置かれております地位からいいまして為替の管理につきましては、政府機関がこれを行うということが必要になつております限りにおいては、やはりこの予算という問題が出て来るのであると考えております。本質的には為替の売り買いでございますので、お述べになりましたように、一々輸出が伸びたために、ただちに補正予算を組むというような煩を避けたいという気持は持つておりまするが、現在の為替管理につきましては、日本の置かれました現在から見て、これはやむを得ないのではないかと考えておるわけであります。理論的にはおつしやるように、予算という問題を離れて運用することが適当であると考えております。
  112. 志田義信

    ○志田委員 大分委員長もくたびれたようですから、二、三まとめてお尋ねします。今理論としてはそういうことを考えておるというのですが、私の言つているのは理論じやないです。輸出、輸入の問題はビジネスでありまするから、これはもう理論じやない。現に貿易特別会計というものがあつて、その貿易特別会計というものには円がないのでございましよう。すると、円はないのにかかわらず、その支出権というものを一体どこが持つているのですか。一体どこでそういう権限を持つのですか。
  113. 奧村竹之助

    奧村説明員 貿易特別会計の支出権でございますが、それは先ほど申し上げましたように、五百億の資本金を外国為替特別会計へ支拂うのと、それから金額は正確に覚えておりせんが、たしか二千数百億の政府輸入代金を支拂う権限と、その二つしかなかつたわけでございます。ところが先ほど申し上げましたような事情で、政府輸入は予想よりうんとたくさん入つて来ましたので、その決済に充ててあつた予算だけでは不足を来したために、外国為替特別会計へ支拂うべき資本金を流用いたしまして、政府輸入貨物の代金として委員会へ拂つた。それでもうその支出権はほとんどなくなつております。ですから今後貿易特別会計から為替管理委員会へ拂おうとしても、かりに金があつても、予算が補正されない限りは支出権がなくなつたという現状に立つておる次第であります。
  114. 志田義信

    ○志田委員 これはくどく聞かぬでもいいのですけれども、支出権がなくて支出したら、これはたいへん重大な問題になると思うのでありますが、通産省が政府輸入をやつているのじやないのですか。その点はどうなんですか。
  115. 奧村竹之助

    奧村説明員 通産省が政府輸入をやつておるのであります。それで一月一日以降は、外国為替予算に基きまして、通産省の政府輸入というものは、ごく例外の場合以外は実施しておりません。ところが一月一日以前には全部通産省の政府輸入でありましたので、その決済は今年の四月以降、つまり今年度にまわつて来たわけであります。それで支出権は先ほど申しましたように二百数十億でありまして、合計七百数十億しかなかつたのであります。この範囲内において今まで通産省は貿易特別会計から外国為替特別会計へ拂つてつたのであります。今まで拂つてつたものは全部支出権の範囲でありまして、支出権を逸脱したことはないのでありますが、もはや現在はもう支出権の限度に非常に近ずいておるという状態でありますので、今後は予算が補正されなければ、政府輸入の代金の支拂いは、非常に困難になるのではないかと思われる次第であります。
  116. 志田義信

    ○志田委員 これは私は非常に重大なものがあると思う。支出権がなくなつているのに、そういうふうにして輸入をやることはできないことです。先ほど安本の産業局長は、現在の状態においては品がすれはしていないとか、間に合つているとか言われたが、これも私は認識不足じやないかと思う。従つて原料輸入をいわゆるかけ声だけでなく、ほんとうに優先的に繰上げ輸入をやるという問題を真劍に考えるならば、ユーザンスの問題もそういうふうに解決してしかるべきものだと考えるのですが、最後に来て、国の予算であるから補正がなければならぬ、補正は国会においてしなければならぬ、予算の補正をしなければ輸入ができないというようなことが、やはりここにあるのでありまするから、これは理論でなく、やはり輸出と輸入はひとつ民間の手で、しかもさつき聞くと、ほとんど政府輸入より民間輸入の方が多くなつている現状であるのでありまするから、民間の手で自由に輸出、輸入をさせるということは、理論でなく実際の面でもひとつ考えてやつていただきたい。これが私は一番早いことじやないかと思う。それからさつき何か日銀の借入れでもつてやるというようなことを言つておりまするが、日銀の借入れということは信用上の問題が付随する問題でありまして、一万田さんのようなしみつたれな人がそう簡單に貸すとは思われない。そういう場合には国庫の余裕金というものも考えなければならぬと思うのです。国庫の余裕金、あるいは日銀で借入れできるものはそれもいいでありましようけれども、やはりこれは先ほどのお話のように、たまつたドルを日本銀行に買上げていただくということは、ぜひ大きく取上げてやつていただきたい、それはやるというお話でありますから私は安心いたします。さらに輸入手形の決済期間をもう少し延長するお考えがあるかどうか、これを最後にお尋ねしたい。
  117. 奧村竹之助

    奧村説明員 輸入手形の信用でありますが、先ほど申しましたように、今後は日本銀行の外貨貸付による方法によつてこの信用が與えられるわけであります。これは今後日本銀行の政策委員会の責任ともなるわけでありますが、大体われわれの承知いたしております範囲内では、大体手形到着後三箇月、航海日数の長い国からの輸入につきましては、四箇月以内ということに日銀では考えておるようでございます。これは大体今までの国際標準額から申しまして九十日ないし百二十日というので、ユーザンスではそのくらいで十分であろうと思われます。
  118. 志田義信

    ○志田委員 そういう場合でも金利の負担は今の五分ということにお考えですか。
  119. 奧村竹之助

    奧村説明員 その通りでございます。
  120. 平井富三郎

    ○平井説明員 輸出入について、これは民間にやらすべきだという御意見でありますが、これは当然私どももさように考えております。私はあとから参りましたので申上げようが悪かつたかもしれませんが、現在ではほとんど民間輸入でやつておりますので、先ほど奧村説明員から御説明なつた分は、昨年の民間輸入切りかえ前の政府輸入の分が延びて来て、現在若干あるのであります。今後の輸入につきましては、大部分が原則として民間輸入ということになつておるわけであります。
  121. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 大分時間もおそくなりましたから、私は緊急問題として一点だけきようは伺つておきます。それは肥料の問題であります。自由党内閣の表看板で肥料の統制を撤廃した、これはわれわれは非常に憂慮をしていろいろ注意を與えておつたのでありますが、今日秋肥の問題に直面をして、非常に重大な事態が発生をしつつある。今も私がちよつと中座をいたしましたのは、山崎運輸大臣の所に委員長と一緒に行つて、輸送の問題について特に強い希望を申し述べて来たのでありますが、これは御承知通り、麦の肥料はまず今月中に大体の手配をいたしませんと間に合いません。しかもそれは関東地方中心でありますが——関西は若干遅れます。ところが関東地方においての手配がまことについておりません、過燐酸石灰だけについても、まず数万トン、全鉱連だけではつきり、三万トン足りないといつておりますから、商人の分を合せたならば何万トン足りないかわかりませんが、そういう数量がはつきり足りない。これはきのうも、業者に一緒に集まつていただいて懇談いたした結果でありますから、業者もそれを了承いたしておりますが、明らかに関東にまわつておりません。それを一体どうするのか、これは時期の問題であつて、麦をまいてしまつては肥料を送つてつてもこれは絶対にだめであります。これは私が初めから憂慮いたしたように、統制撤廃だけを急がれるが、その後の始末というものが計画的についていない、その結果こういう事態に相なつております。これは一体どうされるのか、安本は総合企画をやつておられるはずで、きのうも通産省としては、ものはあるはずだと言つておる。ものがあるはずだのにものが行つていない、これは硫安も足りません。従つて八十万トンを政府が買上げましたという問題の処分についても、私らは重大な警告を政府に申し上げておつたのでありますが、これの放出も十三万トンをようやく今手続中であつて、おそらく間に合いません。従つて今あるものをさしかえをして供給をするなり、あるいは緊急輸送をもつてこれに集中しませんと——麦の今回の供出強化というものは非常なものであります。これが農民に與えた影響というものは重大で、われわれは憂慮すべき事態だと思つているのに、一割増産どころじやない麦をまくのに必要な過燐酸を中心とする肥料が行き渡らない。一体これを政府はどうなさるおつもりであるか、これは統制を撤廃されたについての処置が、根本から私らは誤つてつたということであります。まず安本の御認識を伺つておきたいと思います。
  122. 増岡尚士

    ○増岡説明員 肥料の配給統制廃止いたしましてから、いろいろ取引上の條件等がきまらないために、肥料の不需要期において調整をしようという考え方が、いささか遅れて来ている感じがいたしておりますが、今お話のように秋肥を時期を失わないように供給するということは、きわめて大事なことでありますので、とりあえずといたしましては、公団の末端機関にあります肥料を放出するということのほかに、全体的には需給が必ずしもバランスしないということでなくとも、あるいは時期的、地域的にバランスがとれない地域については、公団の手持ちのものを、必要な数量を、間に合う時期に放出するということを考えなければならぬと存じまして、関係の省とも打合せをしておりまして、おそらくもう近日中にその手配が完了できるだろうと考えます。なお輸送の点等につきましても、今お話のありましたような点をよく手配をいたしまして、必要な土地に対しては、できるだけ早く輸送するということにいたしたいと考えます。
  123. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 数日中にできるだろうという認識は非常な問題であります。御承知のように今月中に手配がつかなければ絶対に間に合わない。いくら肥料が行つても遅く行つたのでは農家は買いません。そういう点が非常に——今度の処置について関係官庁の間の連絡が悪いのか、責任転嫁で済まない問題で、ほかの問題と違つてそのときにやらなければ絶対間に合わないのです。きのう私は一日飛びまわつたのですが、やはり役所の間をぐずぐずしておつて、さしかえの処分等の問題についてはついていない。申し上げておきますが、放出の手続きをしても、これは入札の手続きをしなければならぬ。入札をしてから値段がきまり、だれが買うかもきまるのでありまして、放出の許可を政府がやつたら済むと思つたら大間違いで、それから現物が動くまでには相当日数がかかる。安本だけを責める問題ではありませんが、私は責任官庁といいますか、全体計画として、そのことを特に安本は力強く推進を願いたい。とかく今われわれ見ておりますと、農林省と通産省とがけんかをしている。これは昔からの因縁でありますけれども、肥料に対して責任の帰属がはつきりしない。その最も代表的な問題は、今回の肥料の輸出の問題、硫安輸出の問題、これは一体政府としてはどうなさるつもりか、私は大臣に伺いたかつたのですが、一体農林省の承知をしない硫安を輸出をした。これは農林委員会で問題となつた。通産省が一応押えて、きのう業者から聞けばすでに金をとつている。金をとつている者をただ通産省が押えたということだけで、国際的なこれからの商売に、どういう影響があるか、これは決して農林省と通産省の單なる事務的なけんかの問題では片づかない。今後おそらく肥料は輸出しなければならないだろうと思います。全体としてはそういう場合にそういうことをやらしておいて、荏苒と置いておいて、国際的な信義と経済的な負担をどこへ転嫁されようとするか、こういうことは一日も早く解決をしなければならない問題である。またそれが解決をしませんと、国内の肥料対策というものが農民にしつくりしません。元来このことの起りは八十万トンの政府買上げをして、それを放出をしないのに外国にどんどんと輸出をするということが、農民に非常に強い刺激を與えた。ですから、これはまず先に放出をして、そして輸出をするということならばまだ理解がついたと思う。その点などがまことにちぐはぐであります。こういう点は私は安本が企画官庁であるならば、考えをしつかり持つべきであると思いますが、この輸出問題に対する今後のお考えを一応伺つておきたいと思います。
  124. 増岡尚士

    ○増岡説明員 輸出につきましては、今お話のように、将来わが国の産業として輸出能力といいますか、御承知のように、電気なり、石炭なりというもので生産をするという品目でありますので、でき得る限り輸出をしたいということは望ましいのでありますが、しかし一方生産の現状あるいは近い将来の見通しを考えますと、輸出の注文があるからといつて、これを野放しに輸出するまでにも、とりあえずのところはなかなか生産が進まないというふうに考えられますので、この前の肥料統制の撤廃の際にも、閣議で御決定になりましたように、輸出の数量につきましては、大体秋肥、春肥というようなことになると思いますが、そういう期ごとに国内の需給関係、特に生産の状況をにらみ合せまして、一定の輸出のわくをつくつて輸出をするという考え方で、進まなければならないであろうというふうに考えております。最近の輸出の手続の問題で齟齬を来しまして、国際信用の面あるいは対農民の面で、非常にまずい結果に至つておりますことは、その間に立ちまして、われわれといたしましても、いろいろ事務的な調整は従来もやつて来ておつたのでありますが、まだ不十分な点もありますので、今後はただいままで申し上げましたような方法で、輸出を根本的に、どういう方針で行くかということをはつきりきめて行きたいと考えております。
  125. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 きようは突然で御用意もないでしようから、こまかい点は伺いません。私も今お話のように、輸出の問題は急速にひとつ根本的な計画をお立てになることが必要だと思う。そうしませんと、いつまでもぐるぐるまわりをしておる。そのために、国家全体が非常な損失をする。なお私はただ質問として申し上げておるのじやないので、どうか大臣によくお伝え願いたい。そうして安本としても関係各省——今も山崎さんにも言つたが、山崎さんは何にも御存じないという状態では、私はこの問題はたいへんなことになると思う。政治的に見ても、これは一農林大臣の責任では片づかない問題になると私は思いますから、周東さんにもよくおつしやつていただいて、至急にこの対策をお立てになるようにお願いをいたしたい。私は一応きようの質問はこれで終ります。
  126. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ、明二十七日は午前十時より、事業者団体法、労働組合制度、電力問題を議題として本委員室において開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十四分散会