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太田説明員 それでは私から簡單に
国際情勢の御
説明をいたしますけれ
ども、また御
質問でもありましたらお答えいたします。お手元に西欧再軍備の現状と
朝鮮事変以後の
アメリカ国内経済統制機構というようなものをお配りしておきましたから、それについてごらんを願いたいと思います。
国際情勢についていろいろ問題があると思いますけれ
ども、その
一つの問題といたしまして、
朝鮮における三十八度線の問題についてまず簡單に御
説明いたします。三十八度線を突破するかどうかという問題につきましては、トルーマン大統領の声明にもあります
通り、これは国際連合において決定されるものということにな
つておりますが、この問題に関しまして、いろいろ各国から提案があつたということを新聞で
承知いたしております。しかしながらまだそれについては何らの決定を見ていないようであります。今まで三十八度線あるいは
朝鮮の戰後処理の問題につきまして出ております提案のうち、多少御参考になるかと思う点について御
説明いたしますと、九月の二十九日にイギリスがイニシアチーブをと
つて、米国の同意を得て八箇国の共同提案、すなわちイギリス、オーストラリア、ブラジル、キユーバ、オランダ、ノールウェー、パキスタン、フイリピンの八箇国の共同提案が出されておりますが、その
要旨を申し上げますと、
一つは国連は全
朝鮮にわたる安定條件を確保するためにあらゆる適当な処置をとること、第二には統一、独立、かつ民主的政府樹立のため国連管理下において
朝鮮の総選挙をやること、それから第三には
国連軍は今申し上げました二つの目的達成の必要限度以上に
朝鮮のいかなる地域にもとどまることができない、すなわち入
つて行つて後にとどまることができない、こういうことが書いてございます。それから
朝鮮の救済と
復興工作を管理するために
委員会を設置してはどうか。第五番目には国連の
経済社会
委員会が戰争終了後の
朝鮮の救済
復興計画を立てることこういうような共同提案が出ております。
また十月二日ソ連邦、ウクライナ、白露、ポーランド四箇国共同提案は戰闘行為を即時に停止すること、それから
外国人部隊の即時撤退というようなことを要求しております七項目の決議案が出ておりますが、これに対する各国
態度をごく簡單に申し上げますと、米国といたしましては戰後の心理については、旧連管理下の全
朝鮮の自由選挙と、国連による統一
朝鮮民主政府樹立の援助ということと、三十八度線突破問題については国際連合が最後的に決定すべきものであるというようなことをオースチン代表や、あるいはアチソン
長官が述べております。また緯国側におきましては韓国を中心とする
朝鮮の統一、独立の達成というようなことや、三十八度線というものはこれは存在しないものであるという前提に立
つて主張をしております。この
朝鮮問題に関して米国の要人その他が言
つていることでおもなことを拾
つてみますと、たとえば九月二十七日に旧称省のスポークスマンは、マツカーサー元帥は軍事的に必要な場合三十八度線を越ゆる権限を持
つているということを言つたそうであります。また九月二十八日にトルーマン大統領は、三十八度線突破の決定は国連が行うべきで、国連は広汎な権をマツカーサー元帥に與えているが、マツカーサー元帥は大統領及び統合参謀本部の指揮下にあるというような意味のことも言
つております。それからまた
アメリカの国連代表でありますところのオースチン氏は、九月三十日に三十八度線は架空の国境であ
つて、存在の基礎を持たないというようなことも、言
つております。英国側におきましては九月二十五日ベヴイン外相が
朝鮮の戰後処理について
朝鮮が再び二つにわかれるというようなことがあ
つてはならない、
朝鮮の平和と統一の回復方法を発見することは、国連総会の義務であるということを述べて、ただ三十八度線突破問題について、
国連軍はこれを越ゆべきであるということを強調したということが新聞に出ております。インドは御
承知の
通り戰後処理について国連最後の目標は
朝鮮の統一であり、軍事作戦を最後のところまで推し進めてしま
つては、政治目的というものを有効に達成することはできないから、三十八度線突破について、
国連軍は越えるべきではないということをネール首相が述べたそうであります。またフイリピンにおきましては、マ元帥は三十八度線を越えて進撃する権限を持
つているのだというふうにロムロ国連代表は言つたそうであります。一方北鮮側におきましては、新聞によりますと、これは真相はどうであるかわかりません。われわれは何もそれに関して信頼できる
情報を持
つておりませんが、北鮮側の和平提案説というものが、新聞に出ていることは御
承知の
通りであります。そのおもなるものは、九月十八日のロンドンにおけるインド人筋からの
情報として新聞に出ておりますが、それによりますと、北鮮当局が中共に申入れを行い、中共はインドに対し国連との和平
会議開催のあつせんを行うよう要請した。しかし條件は明らかにされず、各国政府はこれを否定しているという
情報があります。また九月二十二日ロンドンの信頼すべき筋に達した
情報としてこういうようなことがあります。それは中共政府はみずからインド政府に対し、
朝鮮政府の平和解決案を提示した。その條件は、北鮮軍の三十八度線以北への撤退と、
国連軍の緯国撤退、それから国連
委員会の管理下に南北鮮統一問題に関する人民投票をやる。それから統一政府樹立のための総選挙の実施というようなことがありますし、さらに国際連合側から出た
情報といたしましては、九月二十七日に
朝鮮側の和平提案説といたしまして、北鮮軍を三十八度線以北に撤退させる、それから米軍を釜山近辺の橋頭堡陣地まで撤退させる、
南鮮の残りの地域を米国軍隊以外の国際連合軍が占領する。そうして全鮮を通ずる選挙を国際連合の管理下において行うという
情報であります。なお中共政府を通じて、北京駐在インド大使に対し、休職を提案したというのがあります。これらのことについては、各国政府はいずれもこれを確認しておりませんので、どういうふうにな
つておるのかわからないのでありますが、そういう新聞の報道がございます。
それからその次の問題といたしまして、最近の新聞をにぎわしております問題は、対日
講和の問題でありますが、これは御
承知の
通り九月十四日にトルーマン大統領が声明を出しまして、対日
講和問題に関して、極東
委員会の構成諸国と今後の進め方について非公式な討議を開始する権限を国務省に與えたということを発表しております。また国務省の発表によりますと、国務省のその方の係官が極東
委員会の各国代表と個別的に話をすでに開始いたしまして、米国は二週間以内に非公式な対日
講和に関する討議を開始したいと思
つているということを極東
委員会の
関係諸国に通達したというような
情報があります。また九月十五日には国務省当局者の談話として、米国の考えておる対日
講和條約の内容について、
日本の再軍備は條約では制限しないのだというようなことであるとか、あるいは
講和後も
日本に米軍を駐屯させたいと思
つておるというようなこと、その他琉球、小笠原諸島、硫黄島を信託統治にしておくというような意向が国務省のスポークスマンによ
つて語られたということでありまして、新聞によりますと、目下英国、濠州、カナダ、フイリピンというような国との間には確かに話が進められておるということであります。
こういうような動きに対しまして、これは新聞でありますのでよくわかりませんが、各国の
態度を簡単に申し上げますと、新聞に出ておるところは左の
通りであります。それは九月十六日英国外務省のスポークスマンの談話といたしまして、
日本の再武装に対する英国の政策は不変更で、従来とも
日本の非武装化を英国は主張して来た、こう述べており、また対日予備交渉をソ連を除外しても進めることに英国側は意見が一致したということをスポークスマンが語つたということであります。また濠州におきましては、
日本の無制限の再軍備という問題に対しては反対であるということをスペンダー外相が述べたという新聞の報道があります。フィリピンにつきましては、フイリピンとして嚴酷な対日
講和は希望しないというようなことを述べた新聞
情報もありますが、同時に無制限な再軍備だとかには反対であるし、それから賠償の問題や、
日本の島の問題については
相当きつい考えを持
つているというように新聞は伝えております。ソ連邦については特に取上げて申し上げるべきものがありませんが、九月二十六日のモスクワ放送によりますと、ソ連は先ほど申しましたトルーマンの声明は、米国側が
日本占領を続行し、
日本を侵略の具に供さないために、ソ連と中共除外の対日
講和を結ばんとしていることを示したものであると言
つて、非常な攻撃を加えております。また中共の北京放送によりますと、米国帝国主義者は
日本を再武装して、米国の極東侵略を拡大するために対日單独
講和を結ばんと努力しているのであるということを言
つて、非常に非難しているそうであります。
以上最近新聞に出ております西欧の軍備の問題であるとか、
朝鮮事変以後の
アメリカの
国内経済の統制機構であるとか、あるいは対日
講和の問題であるとか、あるいは三十八度線の問題というような問題につきまして、思いつきましたままに簡単に御報告申し上げました。