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風早委員 時間もあまりないことでありますから、二点だけお聞きしておきたいと思います。
第一点は、占領軍の命令と、今とられております朝鮮の問題に対する、いわゆる朝鮮作戦に関するいろいろな政策がありますが、それに関連する命令と、こういうものとがやはり区別されなければならないと思うのでありますが、この点が事実上非常に混同がある。これらの点について
政府がどこに明確なる限界を置いておられるか。またこれが区別されて、その限界が明示された場合において、固有の
意味の占領軍の命令以外の命令に対しましては、どういう態度をと
つておられるか。これについて
政府の所見を伺いたいのであります。この点は多少
説明を要すると思いますが、たとえば占領基地と軍事基地というようなものにつきましても現在はなはだあいまいである。最初吉田総理は今
日本に軍事基地はない、占領目的のために占領基地があるだけだというようなお話があ
つた。しかしながら現実にこれらのいわゆる占領基地と言われておるものは、軍事基地として使われている。こういうところから見ましても非常に問題がこんがらが
つて来ている。また占領軍なるものと国連のいわゆる朝鮮作戦をや
つている国連軍なるものとが大体同一である。特に占領軍の最高司令官と国連軍の司令官とが同一人である。こういうところからいろいろ不明確なる点が生じて来る。
国民はこれらの不明確さによ
つて非常な迷惑をこうむ
つている。この点は実際の政策の上に非常に混同がありますが、これがこの点に関連して現われている。最近におきまして、たとえば新聞なんかに対していろいろな圧迫があるということは伝え聞いておるわけでありますが、特にたとえば朝日新聞というようなものの編集方針がどうである、こうである、その編集方針を批判する、判断する基準が何であるか、結局朝鮮の作戦計画というものに非常に関連しておる。そういうものに対して非協力であるというふうなことが同時に占領政策違反である、こういうふうな方向へ持
つて行かれようとしておる。またたとえば大
日本印刷という会社がありまして、そういう印刷所で朝鮮向けの、明らかに朝鮮作戦に必要な宣伝文書を印刷し、これを拒否する、これはただちに占領政策違反として団体等規正令にひつかかる。こうい
つたような事例がぼつぼつ出て来ておるわけであります。これは私
ども通産
委員会などで、今の産業経済方面の諸政策を
検討しておりますと
一つ一つそれである。たとえば最近いろいろな軍需品の注文があります。しかしこの注文は生産能力の限度を越え、その価格についても一方的にきめられ非常に迷惑しておる。最近特に著しい例は、たとえば八幡の製鉄所でありますが、橋梁用の型鋼でありますとか、あるいは有刺鉄線の注文がありますが、これはたいへん喜ぶべきことであるように見えますが、事実八幡製鉄所
当局では少しも喜んでおらない。これは困
つたことだ。また受付けかねておる。なぜならば値段が第一合わない。そしてその生産能力の限度を越えている。これをむりしてつく
つても先行きどうなるかわからない。これは明らかに今度の朝鮮作戦用の製品であることは間違いない。そういう場合にこれはやはり聞かなければならないものであるかどうか。非常にこの点に異論があるわけであります。たとえば最近自由党の発案といたしまして、前
国会から続いておりました商品取引所
法案などというものがありましたが、あれがとうとう
通りました。これは自由経済について商品の価格をここで自然の需給
関係でも
つて決定する機関であるというふれ込みでこの
法案が通
つた。しかしこれもわれわれがその際にも追究いたしましたが、実際にはそこに上場される商品の中にも、てんで実際の需給
関係でも
つてやられるようなことじやない。たとえば梳毛糸、毛糸でありますが、こうい
つたようなものの値段は、これは勧告価格である、そして、それでもまだこの梳毛糸の値段を引下げるということはできないものであるから、
従つて今度は生産統制までやる。それは何のためにやるのかといいますと、今軍服がたいへんいる、つまり朝鮮向けの冬服でありますが、こういうものが百五十万着も鐘紡に注文されておる。そのために必要な梳毛糸の値段を下げれば安上りで、そうしなければ
戦争ができない。そうい
つたような必要から、こういうふうな非常に不自然な政策が行われようとしている。そういう場合にも、われわれはどうしてもこの占領政策という固有のものと、いわゆる国連軍なるものの朝鮮作戦に関する政策から来たこの命令というものとが、非常に混同せられて、そのために
国民生活が非常に混乱を起している。こういう事実があると思うのでありますが、これらにつきましても、私
どもはその限界を明確に示していただきたい。われわれは聞くべき命令は聞かなければなりません。しかし占領軍の命令というものは、これは
ポツダム宣言並びにさかのぼ
つてはカイロ宣言にもさかのぼるでありましようが、とにかく
ポツダム宣言以来いろいろ極東
委員会関係の重要な決定があります。この決定に基きまして、この方針のわく内でわれわれは占領軍にどこまでも服従する義務がある。そこでそれを越えてこういう新しい、
日本に
関係のない、朝鮮作戦に必要である政策から来る命令というものに対してわれわれがはたしてこれは聞かなければならぬものか、何よりもかよりも、これを聞くことによりまして
日本民族の経済が非常な迷惑をこうむる、
国民生活がいよいよ重圧をこうむる、こうい
つたような事実に関連しまして、やはりこの限界を明確に示していただくということが、この際ぜひとも必要であると
考える。