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1950-11-18 第8回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年十一月十八日(土曜日) 午後一時五十分
開議
出席委員
委員長
若林
義孝君
理事
足立 篤郎君
理事
池見
茂隆
君 青柳
一郎
君 伊藤
郷一
君 小川 平二君
門脇勝太郎
君 菊池 義郎君
佐々木秀世
君
佐々木盛雄
君 玉置 信一君 藤枝
泉介
君 細田 榮藏君 南 好雄君 堤 ツルヨ君
委員外
の
出席者
外務事務官
(
管理局引揚課
長)
武野
義治
君
大蔵事務官
小島
一郎
君
厚生事務官
(
引揚援護庁援
護局援護課長
)
山本淺太郎
君
厚生事務官
(
引揚援護庁復
員局業務課長
)
井上
義弘
君
厚生事務官
(
引揚援護庁復
員局経理部長
) 白井 勲君
建設事務官
川島
博君 ————————————— 本日の
会議
に付した
事件
閉会中
審査事件
の
報告書
に関する件
中共地区残留
同
胞引揚促進
に関する件 未
復員者給与法
に関する件
引揚者定着援護
に関する件 —————————————
若林義孝
1
○
若林委員長
会議
を開きます。 これより
中共地区残留
同
胞引揚
に関する件、未
復員者給与法
に関する件、
引揚者定着援護
に関する件、以上
一括議題
として議事を進めて行きますが、本日までの
審議
の
経過
につきまして、まず
委員長
より各件について順次御
説明
申し上げます。
中共地区残留
同
胞引揚促進
の件につきましては、去る十月十九日及び三十一日に
外務省
、
引揚援護庁
初め各
関係当局
並びに特に最近における
中共地区
よりの
個別引揚者
四名、及び
留守家族団体等民間団体代表者
の御
出席
をいただきまして、
中共地区抑留同胞
の
引揚げ促進
のため、種々きわめて熱心に御
審議
を煩わした次第であります。以上総合いたしてみましたる点を
委員長
より一言申し上げます。 まず
中共地区
に抑留せられておる
同胞
の推定でありますが、これについては各
参考人
の
推定数並び
に確実に把握したといわれる数もまちまちでありまして、的確な
数字
の把握は不可能であり、一概に推定するというのも困難ではないかと思いますが、
相当数
の
残留者
がいることが想像されるのであります。 次にこれら
抑留同胞
の
生活状況
であります。
軍政府関係留用者
は苦しいながらも一応の
生活
は成り立
つて
いるようでありますが、それ以外の者の
生活
は、さらにそれ以下であり、わけても流浪している難民、婦女子の
生活
はまつたく想像に絶するものがあると考えられます。今日
一般
的にこの
人々
の
帰国
に対する希求は、
抑留者
全部にわた
つて
非常に強いのであり、それは必ずしも
生活
上の問題からのみでなく、たとえば最も
生活
が安定している人といえども子女の教育と将来とをおもんぱか
つて
、日本人としての
生活
に返るべく、一刻も早く祖国に
帰国
することを希望しているものであり、これは当然のことと考えられます。しからばこれらの
人々
の帰還に関する
見通し
と、その
方法
の
可能性
についてどうであろうかという問題であります。第一に考うべきことは、
集団引揚げ
、すなわち全
抑留者
が
中共政府
によ
つて
正式に帰還せしめられる
方法
であります。これについては
政府当局
は十分の努力をしていると、当日
出席
の
政府委員
より言明がありましたが、この点は現在の
朝鮮事件
の進行、国連における
捕虜引揚げ問題討議
の
進行等
、種々
国際情勢
の推移を見ねば軽々に
結論
は下せないのであり、現在までの経緯にかんがみると、早急なる
集団引揚げ
はきわめて困難なる
状態
にあるのではないかと考えられるのであります。しかしながら
中共当局側
の一部には、全面的に
帰国
せしめるの意向ありやにうかがわれるので、
政府
はもとより、われわれといたしましてもあらゆる手段を講ずべきことは当然のことであります。もつとも根本的には、
海外抑留同胞救出国民運動
の
展開等
による
国民
の本問題に関する関心を高めることであり、さらに
中共政府
を承認せる
英印等
の各国を通じての働きかけとか、
毛主席
に対する
懇請状
の
発送等
、
各種
の
方法
があると思われるのであります。 次に
個別引揚げ
でありますが、
昭和
二十二年春、同
地区
よりの
集団引揚げ
が杜絶してより後、昨年九、十月の大連よりの
引揚げ
を除く
個別引揚者
は、現在までにおよそ三百名を数えるのであり、さらに
外務省
の
調査
によれば、なお
相当数
の者が
旅費
さえあれば
帰国
され得る
状態
にある旨の通信が、その
家族
に寄せられておるとのことであり、さらに各
参考人
の言によれば、適切な
方法
をさえ講ずれば、
個別帰還
の許可をとり得る
状態
にあるにもかかわらず、
一般
にはその
方法
すら知らざる者が大
部分
であるようであります。これら
個別引揚げ
について、
政府当局
はむしろこれを取上げることは
集団引揚げ
が阻害せられるから、取上げぬ方がよいとの見解をと
つて
いるようでありますが、しかしながら現在の
段階
では、小
規模
ではありますが、
個別引揚げ
の
可能性
は濃厚であると思われるので、何らかの手を打てば帰還せしめ得る人人を目前に置き、
引揚げ促進
の
方法
についてただ
原則的集団引揚げ
のみを考慮するということは、当を得た方策とは言えぬように考えられるのであります。この面で最大の隘路と
なつ
ておるのは
旅費
の問題で、これが
解決
のためには何らかの
方途
を緊急に講ずる必要があろうかと考えられ得るのであります。大体以上のような点が前二回の
委員会
において明白にされた点であります。 次に未
復員者給与法改正
に関する小
委員会
におきましての未
復員者給与法
の一部を
改正
する
法律案起草
の
経過概要
について、御
報告
をいたしたいと思います。去る十月四日、未
復員者給与法改正
に関する小
委員会
が設置せられ、本
委員会
としてかねてより
懸案
でありました、この
法律
の一部
改正
についての
立案
が付託せられまして、ただちにこれが
審議
を開始し、今日までその
立案
に鋭意力を注ぎ、
愼重審議
の結果、ただいまお手もとに配付いたしてあります通らの小
委員会
としての
法律案
の起草を終了したのであります。この間小
委員会
を開きますこと二回、私が小
委員長
を兼任することになり、第一回の小
委員会
におきまして決定した
改正
の点につき、
政府当局
と
折衝
を進めたのであります。その
改正
の
要点
は、先般も中間的に
報告
いたしましたが、
俸給月額
三百円を千円とすること、
遺骨引取
り
経費
千七百円を二千二百円とすること、
遺骨埋葬費
千五百円を三千円とすること、及び恩給を受けた後、病気を再発して
療養
を必要とするに
至つた引揚げ
の患者が
療養
を受け得るようにすることでありました。未
復員者
の俸給は現在月額三百円と
なつ
ており、これは先般の
改正
により百円より三百円に
増額
されたのでありますが、この三百円も、現下の
経済事情
より考えますればきわめて低額で、あまりにも未
復員者
に対する
措置
としては当を失すると思われるとともに、各
地方公共団体並びにるす家族
の
改正要望
の声より、でき得れば公務員の
給与ベース
と対応した三千円
程度
の
増額
を考えたのでありますが、
予算等
の
関係
より見て、千円に落ちついたのであります。
遺骨引取
り
経費
千七百円を二千二百円に
増額
するについては異論がなく、
遺骨埋葬費
については、千五百円では
葬儀費
としてはこれがまかない得ない
状態
で、
政府当局
との
折衝
を行いまして、
予算
上三千円が妥当であるという
意見
に決定したもので、この間交渉の過程におきましては、他の
意見
もあ
つたの
であります。 なお
傷害給与
については、障害一時金の
給与
を受けた者につき、三年以内に
傷害
の
程度
が増進したとき、
傷害
一時金の過超支給の
規定
を設けること、
療養
については、同一の疾病または負傷が再発した場合、
療養
を受け得るように
規定
を改めることについての件は慎重に検討いたし、また
大蔵省当局
並びに
引揚援護庁ともども考究
を続け、これについては
改正
に及ばずとの
意見
もあり、現在のままで
解決
を得るとの
見通し
ができましたので、一応これには手を加えぬということに
なつ
た次第であります。 以上
予算
並びに
各種
の
事情
の許す限り、三点における
金額
につき、おもに
改正
の具体的な
折衝立案
が進められ、かくのごとき
法律案
の作成に
至つたの
であります。さらに同じ趣旨をも
つて
これにつき
審議
を進めております
参議院側
とも数度にわたり打合せ及び連絡をいたして参り、その慎重を期したつもりでおります。 なお、あとでこの
法律案
については皆様の慎重なる御
審議
、御検討を願うことといたしまして、はなはだ概観的ではありますが、小
委員会
の
立案
の
経過
並びにその
要点
についての、小
委員長
といたしましての
報告
を終ります。 次に
引揚者定着援護
に関する件につきまして、
引揚者
の
住宅
問題について八月三十一日に
引揚援護庁
の
田邊援護局長
並びに
経済安定本部
の
今泉建設交通局次長
より詳細にわた
つて
説明
を聴取し、また九月五日より十日間九州、
中国地方
へ、九月十日より十日間東北、中部、
近畿地方
へそれぞれ
委員
を派遣いたしまして、
定着援護全般
にわたる実践を
調査
いたし、その
調査
結果の詳細なる
派遣委員各位
の御
報告
が十月三日及び四日の本
委員会
において行われたのであります。その後この
調査報告
を総合いたしまして、
引揚者
の
住宅
問題については早急に
解決
と
対策
の樹立を必要とすると考えまして、特に十月二十日この問題について再び
引揚援護庁
、
大蔵省
、
経済安定本部
、
建設省当局
よりその
説明
を聴取し、すみやかなる
結論
を得べくその結果をとりまとめつつおりましたが、その
結論
を出すについては、
臨時国会
の召集を二十一日に控えまして困難であると思いますので、一応前回の
委員会
までに現われました問題の点をまとめて
報告
いたし、この問題の
解決
に少しでも近づけておきたいと思うのであります。 まず
引揚者
の
住宅
問題でありますが、全国的に見て
各地
とも
相当
に
住宅
は困窮しておりまして、
引揚者
であ
つて
も今日もなお学校、公会堂、
国立病院
、
隔離病舎等
の
公設施設
に一時收容されたまま、あるいは神社、仏閣、壕舎、仮小屋、物置き等、本来の
住宅
以外の場所に仮住している者、及び同居、間借りの形でいる者、やむを得ぬ
事情
のために立退きを追られている
者等
、合せますと約六十万が極度に
住宅
に困窮して、ただわすかに雨露をしのぐという
状態
でありまして、
各地
としてもこれを收容すべき何らの
施設
さえ今や
余地
のないことは察するにあまりあるものがあり、このままかかる
状態
で放置することは許されぬことで、ことに
生活
の基盤を持たない多数の
引揚者
については、
生活
の不安定を来すと同時に、
社会
上、人権上より大きな問題を起すことは必然となるであろうと思われます。
引揚者
の
集団收容施設
につきましては、この中にすでに腐朽に近く、大
規模
の
補修
か、あるいはむしろ
疎開
を必要とするものがあり、約二万世帯が
疎開
を要するもので、現在このうちさしせまつた
状況
にある
住宅
が四千世帯あり、悲惨な
状態
の中に
生活
して、ある所では一家全部が
結核患者
になり、病院に收容されておるということが
派遣委員
の
報告
中にもありまして、
厚生
上放置できぬ事態に至
つて
おり、今後
住宅政策
に関しまして、
厚生社会政策
という面をさらに強く打出して行かなければならないと思うものであります。本
年度
五億円の
予算
は、本
年度
中に帰
つて
来る
引揚者
に対して新築される
予算
でありますが、現在までほとんど
帰国
のない
状態
でありますので、
既引揚者
をこれに收容することになりましたのですが、これが約三万七千人を收容し得るもので、現在工事が進行しておるのであります。もちろん
既引揚者
中には約五十一万人が
昭和
二十四
年度
までに国で設けました
施設
に收容されておるのでありまして、これらの
住宅
、主として七坪
程度
の
個別住宅
に入
つて
おる者は、他より
生活
の安定を得ておる者が多いので、ぜひともこれらの
厚生住宅
に悲惨な
状態
にある者を收容したいと思うのであります。 次に
住宅
の
補修
について
調査
いたしましたところが、現在七百六十三
施設
に上る
補修
を要するものが既設の
引揚者收容施設
中にありまして、これも年年その
破損箇所
がふえ、弱
つた住宅
が多々あり、これに加え、過般の
ジエーン台風
、
キジア台風
及びその他
風水害
による
損害
を見積れば、
相当
に
補修
の度が加重されると見なければなりません。このことは先般の
派遣委員
の
報告
に実態が詳細にわた
つて
述べられてある
通り
であり、
各地
の
要望
は痛切で、ぜひこれが
対策
の早急を要するものと考える次第であります。 以上大体におきまして
引揚者
の
住宅
問題について取上げられる
状況
の概要でありますが、先般も
中間報告
で申し上げました
通り
、この
状況
に対しては本
年度
内にさしあた
つて引揚者集団住宅
の
疎開補修
をとり急ぎ実施するため、二十五
年度
補正予算
中に
補修
一億八千万円、
疎開
一億五千万円、合計三億三千万円が見込まれるように
なつ
ております。しかしこれをも
つて
しても老朽の建物及び
風水害
による
損害
を合せれば、いまだその
補修疎開
に事を欠く
状態
で
相当補正予算
の
増額
をいたさねばならぬのであろうと思います。なおぜひとも
明年度
においてはより多く
予算
中に盛り込まれることを希望しているものであります。
委員会
といたしましては、以上申し上げましたごとく、現在までの
調査
を基礎として積極的にその
具体策
の
促進
に力を尽し、
各地
の
要望
にも沿いたいと念願いたしておるのであります。 以上で大体御
報告
を
終つたの
でありますが、この御
報告
に基きまして
質疑
に入りたいと思います。御
出席
に
なつ
ている
政府当局
の
方々
は
外務省管理局引揚課長武野義治
、
引揚援護庁復員局業務課長井上義弘
、
大蔵省給与課小島事務官
、
建設省住宅局川島事務官
でありますので、以上御
報告
の三件に関しまして
質疑
のある方は御発言を願いたいと思います。
門脇勝太郎
2
○
門脇委員
ただいま
懸案
につきましてるる
委員長
から御
報告
がありまして、大体今その
内容
を了承したわけでありまするが、未
復員者給与法
の一部を
改正
する
法律案
は、小
委員会
において慎重に
審議
されたものでありまして、この
内容
によ
つて委員会
においてこれが
法律
化するようにしかるべく御手配賜わりたい、こう考えます。この小
委員会
の
決定案
に対して
委員会
としてこれに全面的に賛成するものであります。 なお
引揚者
の
住宅
問題につきましては、先般行われました
各地
の
委員
の
視察報告
によ
つて
見ましても、きわめて現在悲惨な
状態
でありまして、速急にこれらに対しまして
相当大巾
の
対策
を講ずべきであるということは、これは議論の
余地
のないところであります。
住宅
問題は
国民
全体の問題でありまするが、特に
経済的基礎
のない
引揚者等
に対する場合は、国家としましては
一般国民
に率先して、これらの
方々
の難境を打開すべきであるとこう考えますが、
昭和
二十六
年度
の
予算
が現に
政府
において編成されつつあるのでありますが、この現在の編成されつつある
予算
に対して、
政府当局
はこの
引揚者
に対してどういつたような
金額
を今配置されておるかということを
政府委員
の
方々
にお伺いいたしたいと思います。 なお
中共地区
の
引揚げ
問題につきましては、先般も
引揚者
の
方々
のいろいろの
お話
を
伺つたの
でありますが、現在残
つて
おる
方々
の
数字等
につきましても、
大分見解
によ
つて巾
があるのでございます。現在の
情勢
からいいまして、
政府
としましても、これに対して今後
いかよう
に具体的な
方途
を講ずるかということにつきましても
相当
至難な
事情
があるということは十分に察しられるのでありますが、どうも
ちよ
つと現在これらの
方途
が漠然としておるきらいがあります。もう少し積極的に、具体的に
方法
を講じてもらいたいということを、おそらくこれは
国民
すべての人がそういうことを
希望
しておると存じます。それらにつきまして
政府
の方で具体的に、どういうぐあいに、考えておられるかということも、この機会にあわせてお伺いいたしたいと思います。
川島博
3
○
川島説明員
二十六
年度
の
住宅
問題について、
政府
はどういう
予算
を組んでおるかというお尋ねでありますが、
建設省
といたしましては、当初
経済安定本部
並びに
大蔵省
に対しまして
要求
いたしました
数字
といたしましては、大体
戸数
にいたしまして七万戸、
金額
にいたしまして百六億円ばかりの
国庫補助公営庶民住宅
の
予算
を
要求
いたしたのであります。この
要求
に対しましては、
経済安定本部
並びに
大蔵省
におきまして種々検討されまして、まだ具体的な
結論
は出ておらないようでありますが、大体お聞きするところによりますと、
経済安定本部
におきましては、ただいまの千六十億の
公共事業
の
予算
の
わく
におきましては、五十一億円というものが大体
住宅
に向けられる
予算
として今内定を見ておるという
お話
を聞いております。この五十一億案によりますれば、
国庫補助住宅
は三万七千六十戸を建つという
計画
に
なつ
ております。この三万七千六十戸の
計画
の中には、もちろん
木造住宅
以外に、
鉄筋コンクリート住宅
、あるいは
コンクリート・ブロツク造
の
住宅
が含まれておるわけでありますが、このうち
木造住宅
について申し上げますると、約二万六千戸
程度
建てたい、そのうち従来は大体十坪平均ということで一律の
規模
の
住宅
を建ててお
つたの
でありますが、二十六
年度
におきましては、これを
甲乙丙
と三つの形にわけまして、それぞれ一戸当りの坪数を八坪、十坪、十二坪、この三種にわけるような
意向
に関しておるのであります。もちろんこれらの
住宅
の
規模
に差を設けましたゆえんは、この
国庫補助庶民住宅
に
入居
することを
希望
する
国民
の階層の中にも、その
家賃
の
負担能力
に
いろいろ差
がありますので、その
家賃負担能力
の
限界
と申しますか、
程度
に応じまして、八坪、十坪、十二坪というふうにわけまして、比較的
所得
の少く、
従つて家賃負担能力
のない者については八坪の
住宅
に入れさせる、比較的
收入
が多くて
家賃
の
負担能力
も多いと思われる者は、一番大きな十二坪の
住宅
に收容するということで、この
木造住宅
の
規模
を三
段階
にわかつたというように聞いております。しかしながらこの案はまだ安本の
事務当局
の試案でありまして、まだ確定を見ておらないというように聞いております。もちろん
建設省
といたしましては、もしこの案が実現いたしますれば、いわゆるこの中の
甲型住宅
と申しますのは八坪の
住宅
でありまして、従いましてこの
住宅
につきましては
家賃
も
相当
安くいたしたい、高くても五百円を上まわることはないと思うのでありますが、もしこの五百円内外に
家賃
がきまるということになりますれば、当然
引揚者
、
戦災者
、その他のいわゆる
低額所得者
の
方々
の
入居
の
希望
にも応じられることになるのではないかと考えておるのであります。大体以上であります。
若林義孝
4
○
若林委員長
なおこの問題について
引揚援護庁援護課長山本淺太郎
君が御
出席
に
なつ
ておりますから、
厚生省
の
住宅
のお世話を願
つて
おります立場から御
説明
を願います。
山本淺太郎
5
○
山本説明員
厚生住宅
につきましては、ただいま
建設省
の方から御
意見
が出ましたが、
厚生省
では、実は私の方ではなく、
社会局
でや
つて
おるのでありますけれども、便宜私から知
つて
おる限りのことを申し上げます。 ただいま
お話
のありましたようなことで、
建設省
、
厚生省
、
経済安定本部
、寄り寄り話を進めておるのでありますが、ただいま
お話
がありました
通り
、現在までのところでは最終的な
段階
には至
つて
おりません。ただ私の方といたしましては、内閣に
引揚同胞対策審議会
というものがありまして、この
審議会
で、七月十日に、
現行
の
庶民住宅
では
家賃
の額があまりに高過ぎて、
引揚者
で
住宅
に困窮しておるものの
解決
にはならない、
従つて
早急に
低額家賃
の
公営住宅
をつくらなければならないという決議をせられた次第もありますので、
厚生省社会局
と協同いたしまして、いろいろ資料を
持ち寄り話
を進めておりますが、その
所管
がいずれになるということはともあれ、ともかく低
家賃
の
住宅
がたくさんに、しかも速急にできるということがわれわれの念願であります。
従つて建設省
の
所管
になりましても、
厚生省
の
意向
が十分にこの
住宅
の
建設
、運営に反映するような仕組みをと
つて
行きたいということで、細部につきましては今後さらに
建設省
に具体的な
意見
を申し入れるということに
なつ
ております。これは
先ほどお話
のありましたように、單に
引揚者
だけではありませんが、
相当
引揚者
がその
対象
として、この
住宅
の
恩恵
に浴することを期待しておるのであります。 次に本
年度
まで継続せられております
一般
の純粹の
引揚者住宅
でございますが、これにつきましては、現在
安定本部
と話が進んでおります
段階
では、本年と同様の
戸数
、すなわち七千五百戸
程度
で、五億円
程度
を計上してもらうように現在話が進んでおります。なお御指摘のように、
集団住宅
の中には
相当
ひどいのがたくさんあるのでありまして、これにつきましての
疎開
の
経費
を
要求
いたしたのでありますが、これは当初
予算
において見ることは困難であるということでございます。今
年度
も先ほど
委員長
から
お話
のありました
通り
、
補修
並びに
疎開
について
大蔵予算
で
補正措置
をと
つて参つたの
でありますが、われわれといたしましては、
明年度
何らかの形において同様の
措置
をやるべく努力するつもりでおるのであります。
門脇勝太郎
6
○
門脇委員
先ほど
建設省
の方の御
説明
によりますと、本
年度
千六十億円の
公共事業費
の
わく
の中で、三万七千六十戸の
庶民住宅
が建つということでありましたが、この中で
引揚者用
というような
わく
がとういう
関係
に
なつ
ているかということを
ちよ
つと聞き落しましたのですが、ただに
庶民住宅
ということは、これは
引揚者
ということの区別がないように感じます。
引揚者
はこのうちどういつたようなことに扱われるかという、一つの法規上の
限界
を伺いたいと思います。 なおこの
引揚者
の
住宅
の
所管
が、従来の
厚生省
から
建設省
の方に移管されるような
お話
を今承
つたの
でありますが、これは今年七千五百戸、五億円の
予算
でできた、また引続き来
年度
もそういうような予定だという
引揚者住宅
が、全面的に
建設省
の方に移管されるという意味であるか、もう一ぺんそこのところを両方からお伺いしたい。
山本淺太郎
7
○
山本説明員
引揚者住宅
には、もう御承知と思いますが、
新規
に帰
つて
来ます
引揚者
を受入れるために、本年七千五百戸といつたような純粹の
新規
の
引揚者
を受入れる
住宅
がございます。これは従来も
引揚援護庁
でやり、将来も
引揚援護庁
がやる。それから元の
軍兵舎等
を改造しました
集団收容施設
がございますが、これは従来
引揚援護庁
がやり、今後も
引揚援護庁
がやるものでございます。ところが既往の
引揚者
の中では、これらの
住宅
の
恩恵
に浴し得ないで
住宅
に困
つて
おる者がたくさんあるわけでございます。これらの者につきましては、
能力
のあります者は、また
抽籤等
で
入戸
のチャンスを得られる者につきましては、
引揚者
でも
庶民住宅
に入
つて
おるわけでございますが、大
部分
の
引揚者
にとりましては、
現行
の
庶民住宅
では
家賃
が高過ぎて入り切れない、
従つて
もつと安いところの
住宅
をつく
つて
もらいたいというのが、
厚生省
の
経済安定本部
に対する
要求
であ
つたの
であります。一方これをわれわれは
厚生住宅
と仮称してお
つたの
でありますが、たまたま
建設省
の方からも、
現行
の
庶民住宅
では非常に
家賃
が高いので、
引揚者
その他
戦災者
、
一般国民
の
相当下層
の多数の
入戸希望者
には、
恩恵
が事実上まわらないという点に着目せられまして、安い
家賃
の
公営住宅
をお考えに
なつ
たわけです。
従つて
それは
引揚者
ばかりでなく、その他の
一般住宅困窮者
を
対象
にせられるものでありますから、
引揚者
を
対象
とした
住宅
とは言い切れないと思います。しかし事実上
住宅
に困
つて
おる者の中には
引揚者
が
相当
多いわけでありますので、実際
入戸
する者の中には
引揚者
が
相当
入るということを期待し、特に
厚生省
から出しました案には、
入居
の
決定
をするにあたりましては、
相当
詳細な
入居基準
を設けまして、具体的にだれを入れるかというような場合には、最も
住宅
に困窮しており、かつそのような
住宅
に優先で入れなければならないというものを詳細に検討した上で
入居
せしめるという、
社会福祉
をねらいとした
施設
として考えてお
つたの
であります。 それから今御質問のような、
住宅行政
を新たに
建設省
に移管するというような事実はないのでありまして、従来
引揚援護庁
のや
つて
来た
住宅
施策では十分ではない、
従つて
それの補いを量的にするという意味におきまして、
建設省
の
意見
が提出され、その案がもし
通り
ますれば、
厚生省
としても
相当
の発言権を持ちまして、どこに何戸建てるとか、あるいはどういう人を入れるとか、あるいはどういう
家賃
にするとか管理にするとかいう点について、十分
厚生省
の
意向
が通るような仕組でや
つて
もらうべく、現在
事務当局
の間で交渉しておるという
状況
でございます。
川島博
8
○
川島説明員
ただいま
木造住宅
については、
引揚者
を特別に考えておるかどうかという
お話
でありまして、
厚生省
の方から御答弁がありましたが、補足して御
説明
申し上げますと、それらの
木造住宅
の八坪、十坪、十二坪という三つの型の内訳は、八坪
住宅
が五千二百戸、十坪
住宅
が一万五千六百六十戸、十二坪
住宅
が五千二百戸、こういう内訳に
なつ
ております。もちろん
引揚者
につきましては、おそらくこの八坪の五千二百戸という
住宅
に入られる方が多いと思われるのでありますが、私どもといたしましては、別に
引揚者
だから優先する、あるいは
戦災者
だから優先するという特別な方針はとりませんで、いやしくも一定の
所得
以下の
低額所得者
については、一様に八坪
住宅
への
入居
資格を認め、もしそれが
建設
戸数
を上まわるという場合には、厳正なる抽籤によ
つて
入居
者を
決定
する、というふうに考えております。終戦当時は、
建設省
といたしましても、この
入居
資格の選定には、
戦災者
あるいは
引揚者
という特別の
わく
をも
相当
考慮に入れて参
つたの
でありますが、
新規
の
引揚者
は別にいたしまして、定着した
引揚者
ないし
戦災者
と申しますは、終戦五箇年を
経過
した今日におきましては、特別に別
わく
を設けて扱う必要はない、それよりもむしろ
入居
希望
者の個人の
收入
の
状態
に従いまして、
家賃
の
負担能力
というものを標準にいたしまして、
家賃
の
負担能力
の点から
入居
者の選定の基準を求めたら一番合理的な
入居
選定
方法
になるのではないかと考えまして、ただいま申し上げましたような
方法
によりたいと考えておる次第であります。
門脇勝太郎
9
○
門脇委員
どつちも非常に誠意のこもつた御親切な御答弁でありますが、
厚生省
の方の
お話
と、
建設省
の方の
お話
と、この場合ずれがあるようでありまして、別にそれをとやかく申し上げるほどのこともありませんがひ
とつ
双方ともなるべく協調して、それは
一般国民
を
対象
にされるのでありますから、困窮者ということがひ
とつ
の条件ではありまするが、特にこの
引揚者等
は従来内地に経済的な関連を持たぬものでありますからして、その点が精神的にもまた実質的にも一段と不遇なわけでありまして、十分こういうことには
引揚援護庁
あたりの
意見
もひ
とつ
参酌されて、万事おとりきめを願いたいというように
希望
を申上げておきます。なお先刻申し上げました中共の引揚問題につきまして、いま少し具体的な
方途
がありましたならば、
政府当局
からお伺いしたい。
武野義治
10
○
武野
説明
員 御質問のもつと積極的に具体的な
方法
はないかということに関しまして、いかにも御期待に沿うような御返事を申し上げたいところではございますけれども、従来私どもの政務次官がしばしば申されたように、中共からの
引揚げ
については、いろいろできるだけの
方法
を打
つて
やることにしておるし、またその努力をしておるという抽象的なお答えに
なつ
ていたもので、さらにこれを敷衍して申し上げるという具体的なものはまだないのであります。御承知のようにわれわれが直接
政府
としての通信の自由もございませんので、総司令部に屡次懇請いたしまして、特に数万といわれておりまする
引揚者
の
集団引揚げ
について、懇請して参つたわけでございます。この
集団引揚げ
につきましては、司令部の係官も非常に同情を示しまして、適当と考えられる
方法
によ
つて
、確かに中共の当局に対して、こういつた日本側の
希望
が伝達されたものと私どもは推察しておるのであります。しかしながらそういつたことに対しまして、まだはたして中共側からどういう回答が与えられたかということについては、一切不明なのであります。私どもといたしましては、あるいはまだ中共の方は、何らの意思表示をしていないのではないかというふうに推測せざるを得ないのであります。司令部に協力されまして、確かにほかの連合国の
方々
も御努力はしておられるのだろうと思いますけれども、何ら具体的な成果は現在まで入手しておらないのであります。数につきましては、われわれ六万若干余の数を従来発表して参りましたけれども、巷間あるいは十三万、あるいはそれに近い
数字
を述べておりまして、なかなか捕捉することは困難でございまして、鋭意その
残留者
の氏名把握に努力しておりますけれども、なかなか外地のことでありますし、また限られた通信の
関係
から、十分には
調査
のしきれないうらみが現在もございます。しかしながらわれわれといたしましては、とにかく国内であらゆる具体的な資料を收集いたしまして、さらにそれが利用できまする
段階
においては、これを具体的に
要求
の条件の中に入れまして、
引揚げ
の
促進
を懇請するという目標に向
つて
進んでおります。 もう一つは、現在われわれの非公式の代表が、国連の総会期間中滞在いたしておりますから、その
審議
が行われましたならば、あるいはどういう形になりますか、とにかくある
程度
の
報告
をすることとなろうと思います。この
報告
並びに
審議
を通じまして、国際的に
引揚げ促進
の問題について世界的輿論、あるいは同情をお願いする。世界的な
規模
においてやはりこの問題も処理の
促進
をや
つて
もらう。日独のみならず、
方々
の国の捕虜がまだ各国にはあるようでありまして、数多い日本、ドイツは一緒にいたしまして、全体の問題として取上げられるのではないかと思いますが、とにかくこうした国際機関の
審議
を通じまして、この問題が一つでも具体的に、積極的に進められることを、われわれは確信しつつあるものでございます。現在においては、その
程度
の御
報告
を申し上げるよりほかはないのであります。
門脇勝太郎
11
○
門脇委員
中共の
引揚げ
問題につきまして、ただいま御
説明
を拝聴したのでありますが、非常に漠然たるものであります。しかし現状としましては、これより以上に突き詰めた、詳しいことは申されぬということも十分に私どもは了承するものであります。ただ国内の多数の留守
家族
の
方々
の気持は、非常に突き詰めたものでありまして、一に
政府
の今後の処置ということに、全面的にこれを期待しておるわけでありまして、この多数の留守
家族
の期待ということを、
政府当局
におかれましては一日も忘れることなく、やはり
政府
の担当者が留守
家族
の気持に
なつ
て、ひ
とつ
自分の
家族
を救い出すのだという突き詰めた気持で——これはえらく失礼な申し分でございますけれども、單に
俸給
をもら
つて
いる役人ということではなしに、ほんとうに自分が留守
家族
の一員だという、こういう突き詰めた気持で何とか
解決
策にもつと挺身していただきたいと思います。われわれ議員としましても、
国民
を代表する意味において、
国民
多数の切実な気持をそのまま
政府当局
に移したい、この熱意に燃えておるわけであります。大分
国際情勢
も展開しつつありますので、こういつた問題は一日もすみやかに
解決
されるようになお一層の御努力を切にお願いするわけであります。
若林義孝
12
○
若林委員長
なお
引揚援護庁復
員局経理部長
の白井勲君が御
出席
に
なつ
ておりますので、先ほど未
復員者給与法
の一部を
改正
する
法律案
に関する小
委員会
の
決定
に対して、門脇君から賛意の御発言があ
つたの
でありますが、なお
質疑
がございましたならば、白井経理部長に対して
質疑
を許します。
門脇勝太郎
13
○
門脇委員
先ほど小
委員会
の
決定
に対しまして、私ども
委員会
としまして、これに全面的に賛成をしたのであります。これは
政府
におかれましても責任を持
つて
案行に移していただけると考えております。これに対しますところの
見解
をひ
とつ
お伺いしたいと思います。
小島一郎
14
○
小島
説明
員 未
復員者給与法
の
改正
につきましては、
予算等
の見地から、最初
お話
がございましたまでの
改正
をすることはできませんでしたけれども、従来に比しまして、
先ほどお話
がございましたところまでの引上げ等を行い得るという
見通し
がございますので、
委員
の方から出されることになると思いますが、
法律案
が上程可決されました上は、
大蔵省
といたしましてこれの一切の実施につきまして、できるだけの処置をとりたいと思
つて
おります。 —————————————
若林義孝
15
○
若林委員長
別に
質疑
はございませんか。——ではこの際閉会中審査に関する
報告
についてお諮りをいたします。先に閉会中の
審査事件
として、海外同
胞引揚促進
に関する件外五件の審査を付託されておりまして、各般にわた
つて
調査
を進めたのでありますが、なかんずく
引揚者定着援護
に関しましては、
委員
を
各地
に派遣し、実情の
調査
等も行い、
派遣委員
より詳細にわたり御
報告
を受けたのであります。ついてはなお
調査
、検討を要する点が多々ありまして、全部にわたり
結論
を得ること困難と感ぜられるのでありますが、
委員
派遣の実情
調査
、その他未
復員者
給与
に関する件、
中共地区
引揚げ
に関する件については、これを
委員長
、
理事
においてとりまとめまして、参考として議長まで、これに関する
報告書
を提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
若林義孝
16
○
若林委員長
御異議なきものと認め、さよう
報告
することにいたします。 本日の議題は
委員
各位の慎重
審議
によりまして、みごとな、おそらく有効適切なる
報告書
が議長あてできることと喜ぶものであります。 つきましては、本日はこれにて散会するのでありますが、第八回国会を通じまして、本
委員会
が、特に講和条約が間近に差迫り、また朝鮮動乱という特別な事態が惹起いたしました
国際情勢
の中におきまして、
委員
各位の御熱誠をもちまして、本
委員会
の設置せられました目的を、十二分とは申しかねますけれども、有効適切なる、いろいろなる発言、
措置
によりまして、効果をあげ得たことを喜び
委員
各位に対して深甚なる敬意を表するのであります。 なお問題と
なつ
ておりました未
復員者
給与
に関しまする問題について、有効適切なる
決定
を得ることができましたことは、特筆すべきことであり、留守
家族
その他者係者も、この
希望
達成を喜ばれることだろうと思います。第八回国会におきまして設置されました本
委員会
の使命は、この
委員会
をも
つて
一応終ることになるのであります。
委員
各位の御熱誠を感謝いたしまして、
委員長
のあいさつといたします。 それではこれにて散会いたします。 午後二時四十九分散会