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1950-09-19 第8回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十九日(火曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 大澤嘉平治君    理事 岡田 五郎君 理事 原   彪君    理事 米窪 滿亮君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       片岡伊三郎君    黒澤富次郎君       坂本  實君    玉置 信一君       堀川 恭平君    前田 正男君       山崎 岩男君    木下  榮君       清藤 唯七君    江崎 一治君       飯田 義茂君    石野 久男君  委員外出席者         運輸事務官         (大臣官房企画課         長)      安井 正已君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君 九月十九日  委員畠山鶴吉君及び坪内八郎君辞任につき、そ  の補欠として堀川恭平君及び坂本貴君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 七月三十一日  国鉄経営合理化に関する件  鉄道建設並びに電化に関する件  船舶(機帆船を含む)の運営体制に関する件  港湾運営並びに修築に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員報告聽取に関する件  台風による被害状況聽取に関する件  鉄道管理局増置に関する件     —————————————
  2. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 これより会議を開きます。  本日前田委員長が都合により出席できない由でありますので、私が委員長の職務を行います。  本日の議事は公報をもつて御通知いたしました通り、一、派遣委員報告聽取の件、一、海上保安に関する件、一、台風による被害状況聽取に関する件、以上三件であります。まず派遣委員報告聽取の件を議題といたしまして、報告聽取後、御意見がございましたら、政府側出席しておりますので、御質疑を願うことにいたします。まず第一班東北北海道地方岡田委員に願います。
  3. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先般現地調査のために東北及び北海道地方へ派遣せられました委員を私代表いたしまして、現地視察の概略を御報告申し上げ、あわせて所見の一端を申し述べたいと存じます。  この東北北海道班に加わりました委員は、前田委員長初め山崎大澤岡田、坪内、畠山、木下、江崎君の諸氏と、途中参加せられました玉置氏の九名でありまして、前後十二日間にわたつて青森県下及び北海道における主要港湾国有鉄道運営の状況、国鉄建設予定線国立公園施設等を広く視察いたしたのでありまして、その間運輸省及び国鉄現地当局から詳細な説明聽取し、また各道県知事を初め、市町村当局者及び関係者からもそれぞれ現地事情説明があり、また熱心な陳情も受けたのでありますが、これによつて一行いずれも、東北及び北海道における交通運輸事情に対する認識を新たにして帰つて参つた次第であります。  まず視察箇所及び受けた陳情のおもなるものを申し上げますれば、八月十一日早朝八戸市に着きまして、八戸市長外から八戸港を重要港湾指定の上、その建設及び利用方に関する陳情を受けた後、汽艇に乗つて港内視察いたしました。午後青森市に至りまして、県会議事堂において県知事市長その他より、青森鉄道管理局設置に関する陳情五能線輸送力増強に関する陳情津軽循環鉄道敷設促進に関する陳情等を受けた後、青森視察、次いで青森操車場において鉄道輸送上における青森重要性について説明聽取し、また建設工事中止線蟹田線を油川まで視察いたしたのであります。  翌八月十二日は、県所有汽艇にて浅虫より小湊に至り、国鉄貨車航送施設、現在未使用になつておりますが、この施設視察小湊町長より貨車航送再開促進に関する陳情を受けた後、十和田国立公園酸ヶ湯温泉まで国鉄バス路線視察夜行便連絡船にて渡道いたしました。  八月十三日朝函館着連絡船中にて道南西海岸鉄道敷設促進に関する陳情を受け、小樽市に向い、小樽市においては、まず北海海運局長から小樽港の現況、第一管区海上保安本部長より海上保安事務現況聽取小樽市長より港湾法特例法制定及び小樽修築に関する陳情を受けた後、海上保安庁の汽艇によつて港内視察いたしました。  八月十四日には札幌市に至り、札幌鉄道管理局において、北海海運局長及び海上保安本部長陸運局長代理より、それぞれ北海道における海運事情港湾事情海上保安現況及び私鉄、自動車運輸事業等現状につきまして、詳細なる説明聽取いたしました。また国鉄営業支配人運輸支配人札幌鉄道管理局長等より、国鉄輸送現況建設予定線に関する説明及び国鉄地方機構改正後における国鉄運営状況等について、つぶさに説明聽取いたしました。次いで北海道庁を訪問いたしましたが、副知事及び道会議長より港湾法特例法制定及び鉄道網充実に関する陳情がありました。  翌八月十五日札幌より留萌に至る車中において、札沼線復元に関する陳情等を受けました。留萌市においては、まず港内汽艇によつて視察した後、留萌市長外より天塩沿岸鉄道完通に関する陳情留萌漁港修築に関する陳情、苫前港船入澗拡張に関する陳情等を受けたのであります。  八月十六日羽幌町に至り、羽幌港を視察いたしまして、その修築工事促進に関する陳情、名羽線鉄道敷設促進に関する陳情を受けました。自動車によつて築別遠別間の鉄道敷設予定線視察いたしましたが、沿道各村においては、その鉄道敷設促進に関する熱心な陳情がありました。遠別から鉄路稚内に参りましたが、その車中において利尻、礼文航路国営実施促進に関する熱心な陳情を受けました。稚内においてはまず汽艇にて港内視察の後、市公民館において稚内市長外より港湾法特例法制定に関する陳情稚内国営埋立及び修築附帯工事継続施行促進に関する陳情興浜線鉄道全通に関する陳情、美深、枝幸間鉄道、士別、苫前間鉄道、士別、紋別間鉄道敷設促進に関する陳情等を受けたのであります。  翌八月十七日稚内より旭川に向い、旭川鉄道管理局において国鉄労組とも会見した後、大雪山国立公園層雲峡に至り、上川村長外より鉄道上士幌線敷設促進に関する陳情等を受けました。  八月十八日網走に至り、汽艇にて港内視察の後、市役所において網走支庁長市長外より、湧網線全通根北線全通興浜線全通、美幌、上札鶴間鉄道敷設促進に関する陳情網走修築促進に関する陳情等を受けたのであります。  八月十九日には自動車にて阿寒国立公園、屈斜路湖、摩周湖畔を経て弟子屈に参りました。  翌八月二十日釧路に至り、市役所において釧路市長外から港湾法特例法制定陳情同港修築促進、水先区指定促進に関する陳情釧美線敷設促進に関する陳情を受けた後、汽艇にて港内視察釧路鉄道管理局において国鉄運営現況に関する説明聽取したる後、国鉄労組と会見いたしました。  同日夜行列車にて室蘭に向い、八月二十一日には室蘭港を汽艇にて視察し、市役所において同市長外より港湾法特例法制定、同港西部船だまり工事促進に関する陳情辺富内線建設促進に関する陳情等を受けた後、支笏、洞爺国立公園登別参つたのであります。  八月二十二日には一部委員は直路帰京せられたのでありますが、前田委員長山崎大澤江崎委員は函館に下車、市役所において同市長外より港湾法特例法制定に関する陳情同港修築工事促進に関する陳情、大畑、大間間鉄道敷設促進陳情を受けました後、汽艇にて港内視察いたしました。  かくて八月二十三日、全員無事帰京いたした次第でありますが、この間の行程は四千キロに上り、各地において受けました陳情も五十数件の多きに及んでいるのでありまして、詳細につきましては後ほど書面をもつて報告申し上げたいと存じております。  次に今回の現地視察の所見を簡單に申し述べたいと存じます。まず去る八月一日をもつて改正実施せられた国鉄地方機構についてでありますが、札幌における国鉄現地当局説明によりましても、新機構の縦割主義によつて本庁直属地方機関が多数併立しておるのであります。たとえば運輸支配人の下に運輸支配人、この運輸支配人の下に鉄道管理局長、またこれと併立いたしまして営業局長営業局長の下に営業支配人、その営業支配人の下に地方営業事務所長、またこれと併立して自動車局長、この下に地方自動車事務所長、これと併立いたしましてさらに経理局長経理局長の下に地方経理事務所長、またこれと併立いたしまして資材局長地方には地方資材事務所長、この各機関の権限が相錯輳いたしまして、その限界が必ずしも明瞭でないという結果になつておるのであります。しかも地方におきましてはこれが総合調整機関を置かれていないために、今後各機関において特に緊密な連絡協調に努力しない限り、この公共機関としての国鉄能率的運営を期することは、非常に困難ではないかと深く感ずる次第であります。  なおまた鉄道管理局所在地につきましては、先刻も申し上げました通りでありまして、青森市におきましては清藤委員民主党苫米地義三君も参加せられて、県知事初め県議会議長市長市会議長商工会議所会頭県下市町村会長水産業者代表、りんご出荷団体連合会代表等から、それぞれ鉄道管理局設置に関する熱烈な陳情を受けたのでありまして、全県あげての要望であります。そこでわれわれは真劍に地方側の意見を聞き、また現地国鉄当局者説明をも聽取し、輸送業務一端をも視察いたしたのでありますが、まず経済上の観点からいたしましても、地方経済は主として県單位において運行しているものであり、その地方経済の基盤たる鉄道輸送業務県下三分して、三鉄道管理局をして分割処理せしめるということは、輸送の円滑を欠き、ひいては地方産業上に及ぼす悪影響は少くないと考えられるのであります。すなわちその県の特産物たるりんご及び水産物輸送の不円滑を来すことが危惧されるのでありまして、特に冬季風雪時における青函輸送及び陸上輸送を確保するためには、ぜひとも青森管理局設置の必要があるように思われます。しかも青森市は本州の北端に位し、北は津軽海峡を隔てて北海道に対し、南は東北本線及び奥羽本線によつて本州中心部につながる鉄道交通上の要衝であることは言うまでもないのでありまして、全国有数操車場もあり、通信施設も完備しているのであつて国鉄運営上見地からしても、この土地は鉄道輸送処理統制機関たる管理局設置に最も適当し、その資格を十分に具備しているものといわねばならないのであります。かようなるがために、青森管理部国有鉄道の歴史上最も古い管理部であつたのも、ここにゆえんするものであると考えるのであります。しかも官民こぞつて絶大の好意をもつて鉄道管理局の設置を要望いたしているのでありまして、庁舎、宿舎についても、県、市当局はあらゆる援助を惜しまないというのであります。すなわち青森市に鉄道管理局を設置することは、地方経済上より見ても、また国鉄の円滑なる運営上より見ても、緊要事であると考える次第であります。運輸省並び国鉄当局がすみやかに地方要望にこたえ、またすみやかに国鉄運営の円滑を期するためにも、善処せられんことを希望いたします。  次に港湾問題についてでありますが、今回視察いたしました港湾は、さきにあげましたごとく青森県下及び北海道における主要港湾のほとんどすべてとも言えるのでありますが、そのいずれの港におきましても、戰前あるいは戰後に着手せられた修築増築計画が中止せられ、またはいまだ完成を見ず、投下された資金と資材が長年にわたつて活用せられていないものの多いことは、まことに遺憾でありまして、視察中に受けた港湾関係陳情が十七件の多数に上つていることは、この事実を最も雄弁に物語つているものと存じます。東北、特に北海道総合開発計画の推進せられんとする今日においては、産業の基盤たる鉄道及び港湾整備は、第一に取上げられねばならない問題であります。しかして戰後におけるわが国の国際政治経済上における地位ともにらみ合せて、従来の計画に再検討を加えて、新たなる修築計画が樹立し、総花主義によらず、重点的に実施して行くことが必要であると感じたのであります。なおまた北海道港湾には、あまりにも未完成のものが多い現状と、北海道開発緊要性と、道民の負担力とを思い合すならば、北海道港湾修築工事費に関する地方公共団体の負担を軽減する必要があるのでありまして、各地において陳情のありました港湾法に対する特例法制定する必要が痛感せられたのであります。  次に鉄道建設についてでありますが、今回受けました陳情中、鉄道敷設に関するものは二十一件の多数に上つておるのでありますが、そのうち現地視察をいたしました路線蟹田線及び遠別、築別間予定線の二路線であります。前者は路盤、駅舎も完成して開業直前に撤去せられた路線であり、沿線林産資源に富み、採算がとれるので、国鉄においてもすみやかにこれが建設開業すべき路線の一つであると考えるのであります。後者は一部用地買收済み予定線でありますが、現地参つて初めて北海道開発のためには、特に鉄道敷設の急務であることを痛感したのであります。なお陳情を受けた路線中には、青森県において建設工事中止中の大畑、大間間鉄道北海道においては戰時中撤去せられましていまだ復元を見ない札沼線建設工事中の辺富内線戸井線、福山線、松前線、中湧網線根北線等もあるのでありますが、国鉄当局においても、戰後政治経済情勢ともにらみ合せ、資金、資材を勘案して、その重要度に従い、漸次これが建設を行うことが、特に地方開発には緊要事であると考えるのであります。採算にのみとらわれて、採算がとれないと予想せられる路線建設しないという方針のごときは、地方産業開発の観点から、この際再検討修正さるべきものであると考える次第であります。  なお今回は四箇所の国立公園の一部を視察いたしたのでありますが、そのいずれについても国立公園の名に恥じないよう、今後いよいよ施設整備、特に道路の整備に一段の国家的努力をする必要を痛感せられたのであります。  以上はなはだずさんでありまするが、視察報告を終る次第であります。
  4. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次は第二番の飯田委員にお願いいたします。
  5. 飯田義茂

    飯田委員 ただいまより関東、東海、北陸、信越地方現地視察団の一行を代表いたしまして、御報告を申し上げます。  まず行程でありまするが、予定通り八月二十五日東京を振出しに清水港、浜松鉄道工場名古屋港、敦賀港視察の後、金沢におきまして鉄道の新機構陸運事情並びに七尾、伏木、富山諸港の現状、及び計画について説明を聽取、ついで北陸本線糸魚川から大糸線に入り、小滝、中土間の未成区間視察の後、松本に至り、長野、新潟を経て澁川から草津に参りまして、草軽電鉄を視察いたし、最後に宇都宮で開催された懇談会に出席、九月二日上野に帰着したのであります。  参加いたします委員は、最初一部参加希望者を加えまして七名と相なつてつたのでありましたが、いろいろな事情があつたとみえまして、中西君と私の二名となりまして、大澤君は最後に至りまして、澁川で参加せられたので、結局は三名となつたのでありますが、視察をいたしまする私どもも非常にさびしさを感じたのであります。現地視察をしてもらいまする地方関係者におきましても、さだめし物足らない感があつたと存ずるのであります。  さて今回の視察にあたりまして、各地において関係官民の熱烈な歓迎を受け、かつ熱心な陳情があつたのでありまするが、その詳細については、目下起草中の報告書に讓ることとし、本日は視察中に得た所感の一端並びにおもな陳情について、十五分間ぐらいの時間をお借りしまして、申し述べたいと存ずるのであります。  まず第一に港湾関係について申し上げます。今回視察いたしました港湾は、前にも述べました通り、清水、名古屋、敦賀の三港でありまして、七尾、伏木、冨山、新潟の諸港については、関係者より説明を聽取いたしたのであります。これら諸港の諸施設の復旧は、きわめて顯著なるものがあるのでありますが、改良工事は活発に行われているとは言いがたく、関係者のほとんど全部が予算の不足を訴えているのが現状であります。  次に北陸における諸港の復興対策についてでありますが、戰後における諸情勢の激変により、昔日の繁栄はまつたく忘れられたようであるというも決して過言ではないのでありまして、各関係者はいずれも鋭意復興に努力いたしているのでありますが、所期の目的を達成するのは容易ではないようで、結局は大陸とまたは朝鮮との貿易の復活するのを待つ以外に、対策がないのではないかとの感を深くいたしたのであります。なお港湾法施行による重要港湾の指定について清水港並び敦賀港関係者から、安全宣言について新潟港関係者から、強い要望があつたことをつけ加えておきたいと存じます。  第二に、国鉄建設並びに電化について申し上げます。建設線について今回視察いたしましたのは、大糸線並び白新線でありますが、このほか紀勢線、武豊線、上信線、足尾線野岩羽線烏山線等建設または延長促進について、熱心な陳情を受けたのであります。  大糸線につきましては、北陸線糸魚川からバスによつて小滝、中土に出で、モーターカー、列車等によつて松本に至り、全線をつまびらかに視察するとともに、関係者から現地について説明を聽取いたしたのであります。本線未成区間は小滝、中土間十七キロ余にすぎません。重要工事たる墜道はすでに貫通しており、路盤、橋梁等もつとに完成していたのでありますが、戰時中一部軌條ならびに橋桁を撤去したまま放置したため、風水害により若干の崩壊箇所を生じているのでありますが、これが復旧はさして困難ではないと認められたのであります。本線北陸地方と表日本とを結ぶ短絡線であるのみならず、沿線には石灰石その他の地下資源森林資源電力資源等も豊富であり、かつまた沿線の風光は、観光地として有望であるとの感を深くいたしたのであります。本線未成区間建設費は約一億円でありまして、国鉄独立採算制の見地から建設費の支出に苦しむ場合、もし鉄道債券発行の意思あるときは、長野県民は進んでこれを消化する用意ある旨を明らかにしているのであります。しかしながら本線完成によつて利益するものは、ひとり長野県にとどまらず、富山、新潟の両県もまた交通上、産業上良好なる影響を受けるのであつて県下諸港復興の一助ともなるのではないかと考えられるのであります。  次に白新線でありますが、本線越後線関屋駅と羽越本線新発田とを結ぶもので、戰時中関屋、新潟間を完成、新新潟、上沼垂間は工事中止のところ、二十五年三月万代島貨物新設工事の一環として工事を再開し、十一月には完成の予定となつており、上沼垂新発田間二十五キロは、戰時中約六〇%工事を終つたまま中止せられ、現在に至つているのであります。本線につきましても自動車で現場を視察いたしたのでありますが、既成工事は大体において良好に保守せられるように見受けられるのであります。本線地方開発裏縱貫線輸送力増強という使命を持つもので、未成区間工軍費は約四億六千万円であります。  次に国鉄電化についてでありますが、東海道線浜松、米原間を初め、北陸線篠ノ井線塩尻長野間、中央線甲府長野間、両毛線等電化については、強い要望があつたのであります。鉄道建設及び電化に関しては、本委員会におきましても、第七回及び第八回国会において、これが促進について決議をいたしておるのでありますが、今後さらに一層国民の要望に沿うように努力する必要があるのではないかと存ずる次第であります。特に建設費鉄道債券によつて引受ける用意ある旨を表明しておる。県下の未成線のごときは、今ただちに採算のとれない線であつても、国民の福祉増進地方開発という見地から、これが建設を可急的にはかる方途を講ずべきであろうと思料するのであります。しかるに国鉄当局はいたずらに独立採算制にのみ拘泥し、方策を講ぜず、鉄道債券に関する政令すらいまだに公布されていないということは、いかなる理由でありましようか、了解に苦しむ次第で、まことに当局の怠慢であると言わなければならないのであります。  次に申し上げておきたいことは、草軽電鉄と太子線の問題であります。草軽電鉄は草津、軽井沢間を走る会社線でありますが、引続く赤字のため、会社は営業線の約三分の二を廃止したいと運輸省に申請いたしまして、現に運輸審議会において審査中なのであります。しかるに地元村民は、地方交通のためこれが存続を要望しておるのでありまして、われわれも現地について視察し、かつ事情を聽取いたしたのでありますが、経営困難のため悲境に陷つている会社線は、ひとり本線のみではなく、宮城県の仙台鉄道、京都府の北丹鉄道、山口県の長門鉄道、熊本県の鹿本鉄道など、いずれも類を同じうしておるのでありまして、地方の交通上存続を要するものと認められる限り、何らかの救済策を講ずべきであろうと考える次第であります。補助金等も打切られた今日、あるいは国鉄において経営を引受けること等も考慮せらるべきで、本委員会といたしましても研究の必要があるのではないかと存ずるのであります。また太子線日本鋼管株式会社の專用線で、長野原駅、太子間約六キロの線路でありますが、地元においてはこれが国鉄に編入し、客貨車の運転を要望しております。地元民の熱烈な要望もさることながら、関信越高原国立公園中心地草津温泉と、白根山を中心とする地下並びに林産資源の開発のため、これを国鉄に編入し、営業線の一部として国土開発に資することは、考慮に値するものと信ずるのであります。  さて最後に宇都宮における懇談会について申し上げたいのであります。この懇談会視察日程最終日、すなわち九月二日の午前十時から栃木県庁正庁で開催されたのでありまして、出席者県知事県議会議長市長会会長宇都宮市長市議会議長会会長宇都宮市議会議長県町村長会長県町村議会議長宇都宮商工会議所会頭等並び国鉄関係者でありまして、本委員会といたしましては、大澤委員と私と、それから戸叶君が淺沼委員の代理として出席せられ、このほか県選出衆参両院議員が多数出席されたのであります。懇談会において両毛線電化足尾線及び鳥山線の延長、野岩羽線建設促進等について陳情があつたのでありますが、主眼は鉄道管理局設置問題にあつたのであります。本問題については小平県知事から詳細説明があつた後、列席者からいろいろと陳情要望があつたのでありますが、宇都宮管理局設置必要性と理由を要約いたしますと、一、県下の鉄道が県外の高崎、水戸、仙台の三局によつて分割され、その結果不便不合理な点が多く、県としても国鉄に協力するのに困難になつていること。二、高崎管理局東北本線日光線鳥山線等を管理するには地理的に西に偏していること。三、重要なる輸送要請、各種の請願等営業事務所長駐在所長では処理できないこと。四、鉄道関係者が多数新設管理局所在地に移動したため、県市の財政、商業等に甚大な影響を及ぼし、同時にまた職員も生活上著しい苦境に陥つていること。五、鉄道関係請負工事は高崎、水戸、仙台で入札される結果、直接間接に県内土建業者の生活を脅かしていること等でありまして、新機構実施後すでに管理局と現場との連絡、運転指令の遅延ないし錯誤、通信施設の不備、庁舎の狹隘、職員の生活等について著しい欠陷を現わしている等の説明があつたのであります。  今回の視察にあたり、われわれは各地において国鉄運営状態について関係官民から、事情を聽取し、現状の把握に努めて参つたのであります。国鉄の新機構は御承知の通り去る八月一日を以て発足いたしたもので、実施後なお浅く、これを批判することはあるいは早計であるとも言えるかと思うのでありますが、今回の視察の結果については、かかる国鉄創始以来の大改革を行うには、十分なる準備が必要であるにもかかわらず、それが不十分であつたという結論に到達せざるを得ないのでありまして、現下の諸情勢に照らして、過般行つたような大改革をあえてしなければならなかつた理由は、きわめて薄弱であるという感を抱くに至つたのであります。宇都宮管理局設置問題についても、関係者の言い分は一応われわれを承服せしめるに足るものがあるのでありますが、国鉄当局宇都宮管理局を置く必要がないという理由を、われわれに明示することはできないのであります。あるいは常磐線を主要幹線とし、東北本線を従たる関係に置いたためであるとの釈明があつたということでありますが、かかる理由だけではわれわれは満足ができかねるのでありまして、第八回国会において運輸大臣は機構はくぎづけではない。実施の結果によつて欠陥が現われる場合においては、そのときにおいてこれを修正して行くという意思を表明されたのでございまするから、本委員会において管理局設置問題についても再検討をし、態度を明白にする必要があるのではないか、かように考える次第でおります。  以上きわめて簡單でありまするが、報告の一端をここに申し上げた次第であります。
  6. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に第三班を片岡委員に願います。
  7. 片岡伊三郎

    ○片岡委員 先般国政調査のため近畿及び中国地方に派遣されました委員を代表いたしまして、調査の概要を申し上げますと同時に、所見一端を申し述べさしていただきます。  まず最初にお断り申しておきますが、視察箇所、特に阪神方面は過日のジエーン台風が通過した直後であつて、また調査班一行も帰郷早々のことであり、調査資料の一部がまだ到着しておりませんので、後日資料が整備次第、詳細な点を御報告申し上げたいと存じますから、その点あらかじめ御了承願いたいと存じます。  調査班の一行は米窪委員、石野委員と私とが主体でありまして、地方々々で稻田委員前田委員、黒澤委員畠山委員等がこれに加つておるのであります。  まず第一に、ジエーン台風による被害状況のおもなるものを申し上げますと、国鉄関係といたしましては施設、信号、通信関係で、大阪鉄道管理局管内では約七億五千万円、天王寺鉄道管理局管内では約六億六千万円、福知山鉄道管理局管内では約三千三百万円、米子鉄道管理局管内では約千五百万円、岡山鉄道管理局管内では約五十万円、大阪工事事務所管内では約一億二十万円、合計十五億五千八百七十万円に上る甚大な被害をこうむられております。  次に海運関係のうち、近畿海運局管内では運航関係並びに船舶関係で約十九億六千八百七十五万円の多額の被害を受けております。  次に大阪市電関係は、約三億八千八百六十三万八千円に上る災害復旧工事費を要する見込みであります。  次に第五管区海上保安本部による調査によりますと、大型船だけで沈没五隻、約四千三百トン、乘上げ五隻約八千七百トン、擱坐十一隻約四万一千トン、小破九隻約三万四千トンの被害を受けております。  以上が被害の概略でありますが、その被害の甚大さは想像に余りあるものと思われます。これらはわが国運輸交通の根源をなすものでありますので、すみやかにこれが復旧をはかるため、起債または予算的措置をすみやかにとる必要があると思われます。次に鉄道建設線につきましては、今回視築いたしました順序により申し上げたいと存じます。  まず倉勝線の現状をつぶさに視察いたしましたが、この路線は山守村までの路面工事はほとんど完了しておりまして、單にレールを敷設するばかりの状態であります。関金、勝山間が全通したあかつきには、沿線資源の開発並びに産業、文化の振興に寄與することは申すまでもありませんが、予算の面も考えまして、とりあえず山守村までの敷設工事をすみやかに実施する必要があると思われます。  次に赤穗線でありますが、本区間のうち、桐生、赤穗間は約七〇%、赤穗、日生間は約二三%が工事完了したまま工事が中止されておりますが、山陽線の輸送力の増強、並びに経過地帶の資源の開発をはかるため、予算の面ともにらみ合せまして、これが敷設工事促進をはかる必要があると思われます。  次いで五新線でありますが、本路線のうち五條、神野間約六キロは、線路基底工事完成の域に達したまま、戰争のため工事が中止されて今日に及んでいるのでありますが、これが経過地帯は林産資源並びに地下資源の宝庫であります。また国鉄におきましても十津川自家発電の計画もあり、これら諸点を観察いたしますと、本線の開通は、わが国産業経済発展の上貢献するところ少くないと思われますので、これが工事の再開をはかる必要があると認められます。  次は紀勢線でありますが、木本、尾鷲間につきましては、昭和二十三年三月工事を中止したまま今日に及んでいるのでありますが、全線の約十分の一に当るこの区間が不通のため、沿線地の林産、海産資源が死蔵され、地方資源開発上はなはだしく障害を来しているものと認められます。よつてこれが全通のあかつきには、地方交通の円滑、観光事業の促進並びに経済取引の活発化は申すまでもありませんので、これまた予算の許す限り工事再開をはかるのが適当と思われます。  次に国鉄電化について申し上げます。  まず山陰線の電化でありますが、この線の電化につきましては、従来しばしば請願書も提出されておりまして、調査班一同も重大関心を持つておりましたので、特に十分なる調査を行つたのであります。本線のうち特に豊岡、鳥取間には、延長百九十九メートルの排観隧道を初め、三十六箇所の隧道がありまして、数においては全国第二位であり、またキロ程隧道におきましては全国第一位という実情で、全線の二四%が隧道区間であります。なおそれに加うるに急勾配区間も多いため、間断なく侵入する煤煙と高温度の蒸気の悪臭は、旅客並びに乗務員に甚大なる苦痛を與えている状態でありました。九月初旬でさえこの苦痛でありますから、夏季においてはさこそと想像されるのでありす。右申し上げました実情でありますので、本線電化いたしますれば輸送力の増強はもちろんのこと、石炭の節約、観光文化の促進、あるいは保健衛生等の面から考えましても、すみやかに本線電化する必要があると認められます。  次に関西本線電化について申し上げます。本線は申し上げるまでもなく大阪、奈良、三重、愛知を結び、東海道線経由東京に通じる短路線として、唯一の重要幹線であるばかりでなく、東海道線障害時における補助的輸送ルートとして、重要使命を帯びているのであります。右申し上げました通り重要な線路でありますのに、最急勾配千分の二十五の箇所があり、また隧道も相当数ありまして、著しく輸送上の障害を来している実情であります。本線電化いたしますれば、輸送力の増強はもちろんのこと、石炭の節約、地方産業経済の発展、観光事業の促進に寄與するは申すまでもなく、関係地方民の熱望もありますので、予算、電源等をにらみ合せて、すみやかに本線電化する必要があると思われます。  次に姫路鉄道管理局設置方について申し上げます。ます姫路市を鉄道交通の面から観察いたしますと、山陽線、姫新線、播但線、飾磨線及び山陽電鉄の発着地であります。またバスにおきましても、陰陽をつなぐ鳥取、日の丸自動車、山陰、城崎を結ぶ全但バス、その他神姫バス等の起点でありまして、全国有数運輸連絡の重要拠点であることはいうまでもありません。次に姫路市の現況を見ますと、終戰直後運輸省におきまして大姫路駅の建設計画いたしまして、これに要する五万坪の土地を要望し、用地買收も全市民の絶対的協力と地主との完全なる理解を得、都市計画を樹立し、爾来着々とその進捗を見ているものと認められます。なお背後的條伴といたしましては、富士製鉄広畑工場の再開、見返り資金により増設される大セル網干工場があり、その他飾磨港完成に伴いまして国鉄臨港線の設置によりまして、貨物の飛躍的増量を来しているものと思われます。次にかつては当地方は全国まれに見る交通惨禍の頻発地点でありましたが、七年以前に管理部設置せられまして以来、交通惨禍は漸次激港しまして、三箇年無事故運転管区として、大臣及び国鉄総裁から表彰を受けたほどの好成績を上げていたのであります。今回の視察にあたりましても、地元関係者はもちろんのこと、国鉄労組姫路支部職員並びにその家族約二万名の署名のもとに、当地に鉄道管理局設置方につきまして熱烈なる要望がありました。以上の諸点を総合観察いたしました結果、諸般の情勢を勘案の上、すみやかに姫路市に鉄道管理局設置するのが適当と思われます。  なお港湾につきましては、舞鶴港、宮津港、鳥取港、赤崎港、境港、岡山港、飾磨港、神戸港、大阪港、新宮港、四日市港を視察いたしましたが、いずれも防波堤の延長港内浚渫、導流堤の築造、護岸工事等に要する予算の増額方の要望がありましたが、詳細については書面をもつて報告申し上げたいと存じます。  最後に海上警備状況について申し上げますと、舞鶴海上保安管区本部、境海上保安部及び神戸海上保安管区本部等へ参りまして、つぶさに実情を聽取するとともに、巡視艇に乘船して、港内状況視察いたしましたが、裏日本の諸港はいずれも天然の良港でありますが、朝鮮動乱の影響を受け、荷動きはほとんどなく、従いまして港内はきわめて閑散をきわめておりますが、将来における大陸との貿易再開に備えて、あらかじめ港内施設を完備しておく必要があると思われます。一方表日本側における諸港、特に神戸港におきましては、特需物資の荷動きが活発で、相当の活気を呈しており、従いまして海上における犯罪が相当数検挙されている実情でありますが、いずれにしても現在の装備、船型では、海上における完全な警備は期しがたいから、これが増強方の強い要望がありました。  その他停車場設置、中間駅設置鉄道敷設国鉄電化、電源開発、線路延長、駅舎改増築、鉄橋の橋脚増設、急行列車の停車、列車連絡時刻の改正、港湾修築等につきまして陳情がありましたが、後日書面をもつて報告いたします。  以上まことに簡單でありますが、御報告を終ります。
  8. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次に第四班を黒澤委員にお願いいたします。
  9. 黒澤富次郎

    ○黒澤委員 ただいまより四国、九州地方現地視察について御報告申し上げる順序と相なつておるのでありますが、本日は資料その他の関係上、下関における視察状況についてのみ御報告することといたし、その他の地方については後日適当な機会に申し上げたいと存じますこの点あらかじめ御了承願います。  四国、九州班に参加いたしました委員は私と前田正男君とでございました。途中前田委員長坪内委員畠山委員が参加いたしたのでございます。  八月二十九日午後三時清見丸で下関棧橋に到着いたしまして、官民数千の出迎えを受けて上陸いたしたのであります。そこで下関市長から歓迎のごあいさつがあり、前田委員長から詳細ごあいさつを申し述べたのでございます。かくて大和町の水産会館における懇談会に臨んだのでございます。地元出席者は、山口県知事県議会議長、下関市長、市議会議長、商工会議所会頭、町村会会長、町村議会議長会会長、国鉄労働組合下関支部委員長等でありまして、県選出議員として坂本、今澄の両君が出席、種々あつせんの労をとられたのであります。懇談会終了後、管理局設置予定地たる山陽ホテル、通信区、幡生操車場鉄道工場、鉄道宿舎等を視察いたしまして、宿舎において地元関係者とさらに懇談を重ねたのであります。懇談会におけるおもた議題は、申すまでもなく下関鉄道管理局設置問題でありまして、地元関係者の本問題に対する要望は真剣かつ熱列であつたと申すほかはないように思われたのであります。  国鉄機構実施に伴い、山口県下鉄道は、広島、門司、米子の三管理局によつて分割管掌せられることとなり、山陽本線並びにその支線及び山陰線の幡生、正明市間と船舶管理は広島管理局によつて、山陰線正明市以東は米子管理局によつて、下関駅と幡生操車場運営は門司管理局によつて、それぞれ管理せられることになつたわけでありますが、その結果、山陽、山陰との連絡及び九州と本土との連絡関係において、はたして一貫性を持つ輸送計画が遂行できるかどうか、地元関係者はいずれも多大の危惧の念を抱いていたのであります。従来の下関管理部管内には、幾多重要工場、鉱山地帯があり、かつ下関駅は海陸中継及び漁港駅として特異の性格を有する関係上、指定輸送、季節的出貨の調整等、特殊な輸送手配を必要とするのでありますが、新機構発足後旬日ならずして、早くもその欠陷が如実に現われたのであります。  今その顯著なものをあげてみますと、線区別の貨車需給調整が困難になつたこと、山陽線の輸送手配が困難になり、輸送力の低下を来しつつあること、幡生操車場における貨車運用手配が困難になつたこと、下関の鮮魚輸送の完璧が期せられなくなつたこと等でありまして、鉄道当局は現在なお幡生操車場、下関の貨車運用、輸送手配のほとんど全部を、広島局の下関駐在輸送長の手にゆだねている有様であつて、今回の機構改革が一部上層部の観念論によつて企画され、実施されたという地元の見解も、首肯にがたくないのであります。以上は新機構実施後に現われた欠陥の一端にすぎず、このほか車両管理、通信施設、関門間の輸送調整、石炭管理等、あげ来ればなお幾多重要な問題があるのでありますが、時間の関係上、詳細は現地視察報告書に讓りたいと存じます。新機構の欠陥は今後時日を経るにつれ、部分的には漸次是正せられるものと考えられるのでありますが、今回の現地視察の結果、現状を無視した机上計画による根本的原因から生ずる欠陥は、地理的にも交通量的にも重要な地位を占め、かつ国際情勢安定後において大陸との交通の要衝にあたる下関に管理局設置し、所管区域の改正を行うにあらざれば、とうてい是正しがたいという感を深くいたしたのでございます。よつて委員会といたしましても、われわれの現地視察による見解を十分に御考量の上、すみやかに管理局設置問題に対する態度方針を明確にし、これが解決をはかられんことを切に希望いたしたいのであります。  以上簡單ではございますが、御報告申し上げます。
  10. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ただいまの派遣委員報告につきまして、これに関連して御質疑がありましたならばこれを許します。
  11. 片岡伊三郎

    ○片岡委員 ただいま現地派遣各委員より視察報告があつたのでありますが、国有鉄道地方機構の問題は、きわめて重要でありまして、特に鉄道管理局設置問題は、公共の福祉増進のためすみやかに解決する必要があると思うのであります。よつて委員会においてこれに対する意思を決定するため理事会を開催、協議せられたいと存じます。
  12. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ただいま片岡君の動議によつて、暫時休憩して理事会を開催いたしたいと考えます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 それでは暫時休憩いたします。     午後二時四十二分休憩      ————◇—————    午後三時三分間議
  14. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  理事会において協議いたしました結末、本委員会において管理局増置に関し決議いたすことになりました。今その決議案文を朗読いたします。    決議文   今回全国主要各地方委員を派遣し、国有鉄道機構現状につき視察の結果、東北、北関東、近畿、中国においては運営上幾多の支障欠陥ありと認める。   よつて、わが国経済文化の動脈たる国有鉄道運営の円滑を期し、公共の福祉を増進するため、政府は速かに青森宇都宮、姫路、下関に鉄道管理局設置する様措置すべきである。  以上の決議案を本委員会の決議とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 異議なしと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  16. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 次にジエーン、キジア両台風の被害状況につきまして当局説明聽取いたします。運輸大臣官房安井企画課長。
  17. 安井正巳

    ○安井説明員 私は運輸大臣官房の企画課長の安井でございます。折あしく大臣が予算閣議に列席されておりまして、政務次官もちよつと帰郷中でありまして、本席上で御説明ができませんので、はなはだふつつかではありますが、私がかわりまして運輸省関係のジエーン台風の被害状況について、その概略を御説明申し上げます。  お手元にジエーン台風の被害状況という資料を差上げてありますが、これは十五日までに本省に集まりましたものをとりまとめたものでありまして、この表をごらん願いますとわかりますように、そのトータルは約百五億七千七百万円になつておるわけであります。そのうち国の所有にかかりますものと、公有のもの、民有のものにわけて申し上げますと、国有のものは十九億三千五百万円、公有のものは五十一億四千七百万円、民有のものは三十四億九千五百万円となつておりまして、運輸省所管の港湾荷役施設、船舶、倉庫、造船所、国有鉄道、通運、民営鉄道鉄道車両工場、自動車、気象台、海上保安庁の一切の施設について、それぞれ相当の損害を受けておるわけであります。一応損害の概数を申し上げますと、港湾につきましては、お手元の資料でごらん願いますとわかりますように、約四十七億八千百万円の損害を受けております。港湾荷役施設には四億四千三百万円、倉庫は七億六千六百万円、船舶は七億八千百万円、造船所は七億二千百万円、国有鉄道は十七億六千九百万円、通運関係は二千八百万円、民営鉄道が五億八千六百万円、鉄道車両工場は二億八千万円、自動車関係が二億九千七百万円、気象台が七百万円余り、海上保安庁が一億一千四百万円程度の損害をそれぞれ受けまして、先ほども申し上げましたように、トータルでは約百五億七千七百万円になるわけであります。その後だんだん十六日以後の分も集まつて参つておりまして、それをまだ集計はできておりませんが、集計すれば損害額はさらにこれを上まわるものと予想されます。  キジア台風につきましては、港湾関係のものの一部資料が入つておりますたけで、まだ全般の資料が入つておりませんので、主としてジエーン台風につきまして、もしこまかい説明が必要でありますれば、関係の局の局長さんその他の方から御説明申し上げるようにいたしたいと思います。  損害状況の概要につきましては、はなはだ簡單でございますが、これでもつて説明を終ります。
  18. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 ただいまの説明に対して、御質問のある方は質問を許します。岡田五郎君。
  19. 岡田五郎

    岡田(五)委員 ごく簡單に一つ二つお尋ね申し上げたいのであります。先ほど承りますと、運輸省関係のジエーン台風による被害は約十九億になつておる、こういうことになつておりますが、国有関係、これは多分国鉄海上保安庁関係であろうと思いますが、これは別といたしまして、まだ公有関係もあるいはあるかもしれませんが、民営関係の三十四億九千万円、こういう被害に対しまして、政府といたしましてはどういう措置を講ぜられつつあるか、その経過を承りたいのであります。
  20. 安井正巳

    ○安井説明員 お答えいたします。政府としましては、災害復旧対策協議会なるものを至急に設けまして、官房長官が委員長となりまして、各省から政務次官、次官、局長の方が大体一省当り四名ないし五名委員が出まして、それぞれ緊急対策の協議をいたしておるようになつております。運輸省といたしましても、委員が政務次官、次官以下五名出ておりまして、その協議会に参加いたしております。協議会の運営のやり方についてごひろう申し上げますと、協議会は三つの分科会にわかれまして、第一分科会、第二分科会、第三分科会があり、それぞれ第一分科会は主として国有関係の被害、台風による損害額の推定、こういつたような問題を引受けております。第二分科会が租税の軽減免除の問題であるとか、地方起債の問題、その他復旧資金融資問題、こういつたような金融関係の問題を扱うようになつております。第三分科会では従前の台風の被害がたびたびあるのにかんがみまして、恒久的な防災対策を主題としまして、それを第三分科会の主要研究項目にいたしております。運輸省としましては、第三分科会にそれぞれ出席しまして、運輸行政遂行上に必要なそれぞれの分野についての要求を出して来ておるわけであります。今日までの分科会というものは、各分科会が大体まだ一回程度しか開いておりませんので、政府としましての対策は、その席上でも相当各省からの強い要求がありまして、それに対する資金の面の話合いがつきませんで、目下はつきりした数字はまだきまつておらないような状況であります。今までに大体きまりました内容をごひろう申し上げますと、まず最初に公共事業費を出したらどうかということで、それが出ますまでのつなぎ資金として預金部資金を七億円出す、こういうことがまずきまつたのであります。その次にそれでは少な過ぎるというので、さらに第二回にその追加として、二億一千万円の預金部資金を出すということになりまして、合計九億一千万円が大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県について支出するということになつたわけであります。その席上での安本当局の方の御説明を御紹介申し上げますと、公共事業費は災害復旧費として約五十億程度の予算がありますから、これの支出については、キジア台風ともにらみ合して研究したいという意味の答弁をしておりまして、幾ら出るかまだ明確な答弁を得られません。それから預金部資金の支出につきましても、そのときの説明では、その都度の支出について承認を必要としたのでありますが、今回は相当のわくについて一括承認を受けたから、預金部資金については今後出すのが比較的容易である、こういうふうな説明をしておりまして、そのわくとしては二十五億程度が考えられているのではないかと考えております。これらの金は主としていずれも公有関係の施設に出るものでありまして、ただいま御質問のありました民間の施設復旧費につきましては、その協議会できまりましたことは、政府の方で日銀に依頼して、日銀の融資あつせんによつて、民間市中銀行から復旧費の融資を受けるように措置をする。こういうようなことがきまつておるだけであります。従つて民間企業の復旧費の捻出につきましては、運輸省としてその後大蔵省にも交渉をいたしておりますが、ただいまのところきまつておりますことは、日銀からの融資あつせんに依頼するという程度にとどまつておりまして、今後ますますこの方面については交渉に努力をしなければならないと考えております。民間融資につきましては、特に問題になります点は、これは各省ともに共通でありますが、大企業については比較的担保力の点からしましても融資ができるわけであります。われわれの方で申しますと、自動車事業のような比較的資本の小さいものについては、なお融資を受けることが困難であることが想像されるのでありまして、運輸省としては当然この点非常に将来苦慮しておるわけであります。ただいままでに金融関係についてははなはだ不明確な答弁でありまして、具体的に数字を御説明することができないのは残念でありますが、協議会その他できまつておりますことは、以上申し上げました通りであります。これで一応御説明を終ります。
  21. 大澤嘉平治

    大澤委員長代理 本日はこの程度にとどめ、明日午後一時より海上保安に関する件、運輸省機構改正に関する件、地方税制に関する件、以上三件を議題といたしまして開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時十九分散会