○片岡
委員 先般国政調査のため近畿及び中国
地方に派遣されました
委員を代表いたしまして、調査の概要を申し上げますと同時に、
所見の
一端を申し述べさしていただきます。
まず最初にお断り申しておきますが、
視察箇所、特に阪神方面は過日のジエーン
台風が通過した直後であ
つて、また調査班一行も帰郷早々のことであり、調査資料の一部がまだ到着しておりませんので、後日資料が
整備次第、詳細な点を御
報告申し上げたいと存じますから、その点あらかじめ御了承願いたいと存じます。
調査班の一行は
米窪委員、石野
委員と私とが主体でありまして、
地方々々で稻田
委員、
前田委員、黒澤
委員、
畠山委員等がこれに加
つておるのであります。
まず第一に、ジエーン
台風による被害
状況のおもなるものを申し上げますと、
国鉄関係といたしましては
施設、信号、通信関係で、大阪
鉄道管理局管内では約七億五千万円、天王寺
鉄道管理局管内では約六億六千万円、福知山
鉄道管理局管内では約三千三百万円、米子
鉄道管理局管内では約千五百万円、岡山
鉄道管理局管内では約五十万円、大阪
工事事務所管内では約一億二十万円、合計十五億五千八百七十万円に上る甚大な被害をこうむられております。
次に海運関係のうち、近畿海運局管内では運航関係並びに船舶関係で約十九億六千八百七十五万円の多額の被害を受けております。
次に大阪市電関係は、約三億八千八百六十三万八千円に上る災害
復旧工事費を要する見込みであります。
次に第五管区
海上保安本部による調査によりますと、大型船だけで沈没五隻、約四千三百トン、乘上げ五隻約八千七百トン、擱坐十一隻約四万一千トン、小破九隻約三万四千トンの被害を受けております。
以上が被害の概略でありますが、その被害の甚大さは想像に余りあるものと思われます。これらはわが国
運輸交通の根源をなすものでありますので、すみやかにこれが
復旧をはかるため、起債または予算的措置をすみやかにとる必要があると思われます。次に
鉄道建設線につきましては、今回視築いたしました順序により申し上げたいと存じます。
まず倉勝線の
現状をつぶさに
視察いたしましたが、この
路線は山守村までの路面
工事はほとんど完了しておりまして、單にレールを敷設するばかりの状態であります。関金、勝山間が全通したあかつきには、
沿線資源の
開発並びに
産業、文化の振興に寄與することは申すまでもありませんが、予算の面も考えまして、とりあえず山守村までの敷設
工事をすみやかに
実施する必要があると思われます。
次に赤穗線でありますが、本区間のうち、桐生、赤穗間は約七〇%、赤穗、日生間は約二三%が
工事完了したまま
工事が中止されておりますが、山陽線の
輸送力の増強、並びに経過地帶の資源の
開発をはかるため、予算の面ともにらみ合せまして、これが敷設
工事の
促進をはかる必要があると思われます。
次いで五新線でありますが、本
路線のうち五條、神野間約六キロは、線路基底
工事が
完成の域に達したまま、戰争のため
工事が中止されて今日に及んでいるのでありますが、これが経過地帯は
林産資源並びに
地下資源の宝庫であります。また
国鉄におきましても十津川自家発電の
計画もあり、これら諸点を観察いたしますと、
本線の開通は、わが国
産業経済発展の上貢献するところ少くないと思われますので、これが
工事の再開をはかる必要があると認められます。
次は紀勢線でありますが、木本、尾鷲間につきましては、昭和二十三年三月
工事を中止したまま今日に及んでいるのでありますが、全線の約十分の一に当るこの区間が不通のため、
沿線地の林産、海産資源が死蔵され、
地方資源
開発上はなはだしく障害を来しているものと認められます。よ
つてこれが全通のあかつきには、
地方交通の円滑、
観光事業の
促進並びに
経済取引の活発化は申すまでもありませんので、これまた予算の許す限り
工事再開をはかるのが適当と思われます。
次に
国鉄電化について申し上げます。
まず山陰線の
電化でありますが、この線の
電化につきましては、従来しばしば請願書も提出されておりまして、調査班一同も重大関心を持
つておりましたので、特に十分なる調査を行
つたのであります。
本線のうち特に豊岡、鳥取間には、
延長百九十九メートルの排観隧道を初め、三十六箇所の隧道がありまして、数においては全国第二位であり、またキロ程隧道におきましては全国第一位という実情で、全線の二四%が隧道区間であります。なおそれに加うるに急勾配区間も多いため、間断なく侵入する煤煙と高温度の蒸気の悪臭は、旅客並びに乗務員に甚大なる苦痛を與えている状態でありました。九月初旬でさえこの苦痛でありますから、夏季においてはさこそと想像されるのでありす。右申し上げました実情でありますので、
本線を
電化いたしますれば
輸送力の増強はもちろんのこと、石炭の節約、
観光文化の
促進、あるいは保健衛生等の面から考えましても、すみやかに
本線を
電化する必要があると認められます。
次に関西
本線の
電化について申し上げます。
本線は申し上げるまでもなく大阪、奈良、三重、愛知を結び、東海道線経由東京に通じる短
路線として、唯一の重要幹線であるばかりでなく、東海道線障害時における補助的
輸送ルートとして、重要使命を帯びているのであります。右申し上げました
通り重要な線路でありますのに、最急勾配千分の二十五の箇所があり、また隧道も相当数ありまして、著しく
輸送上の障害を来している実情であります。
本線を
電化いたしますれば、
輸送力の増強はもちろんのこと、石炭の節約、
地方産業経済の発展、
観光事業の
促進に寄與するは申すまでもなく、関係
地方民の熱望もありますので、予算、電源等をにらみ合せて、すみやかに
本線を
電化する必要があると思われます。
次に姫路
鉄道管理局設置方について申し上げます。ます姫路市を
鉄道交通の面から観察いたしますと、山陽線、姫新線、播但線、飾磨線及び山陽
電鉄の発着地であります。また
バスにおきましても、陰陽をつなぐ鳥取、日の丸
自動車、山陰、城崎を結ぶ全但
バス、その他神姫
バス等の起点でありまして、
全国有数の
運輸連絡の重要拠点であることはいうまでもありません。次に姫路市の
現況を見ますと、終戰直後
運輸省におきまして大姫路駅の
建設を
計画いたしまして、これに要する五万坪の土地を
要望し、用地買收も全市民の絶対的協力と地主との完全なる理解を得、都市
計画を樹立し、爾来着々とその進捗を見ているものと認められます。なお背後的條伴といたしましては、富士製鉄広畑工場の再開、見返り
資金により増設される大セル網干工場があり、その他飾磨港
完成に伴いまして
国鉄臨港線の
設置によりまして、貨物の飛躍的増量を来しているものと思われます。次にか
つては当
地方は全国まれに見る
交通惨禍の頻発地点でありましたが、七年以前に
管理部が
設置せられまして以来、
交通惨禍は漸次激港しまして、三箇年無事故
運転管区として、大臣及び
国鉄総裁から表彰を受けたほどの好成績を上げていたのであります。今回の
視察にあたりましても、
地元各
関係者はもちろんのこと、
国鉄労組姫路支部
職員並びにその家族約二万名の署名のもとに、当地に
鉄道管理局設置方につきまして熱烈なる
要望がありました。以上の諸点を総合観察いたしました結果、諸般の
情勢を勘案の上、すみやかに姫路市に
鉄道管理局を
設置するのが適当と思われます。
なお
港湾につきましては、舞鶴港、宮津港、鳥取港、赤崎港、境港、岡山港、飾磨港、神戸港、大阪港、新宮港、四日市港を
視察いたしましたが、いずれも防波堤の
延長、
港内浚渫、導流堤の築造、護岸
工事等に要する予算の増額方の
要望がありましたが、詳細については書面をも
つて御
報告申し上げたいと存じます。
最後に海上警備
状況について申し上げますと、舞鶴
海上保安管区本部、境
海上保安部及び神戸
海上保安管区本部等へ参りまして、つぶさに実情を
聽取するとともに、巡視艇に乘船して、
港内状況を
視察いたしましたが、裏日本の諸港はいずれも天然の良港でありますが、朝鮮動乱の
影響を受け、荷動きはほとんどなく、従いまして
港内はきわめて閑散をきわめておりますが、将来における大陸との貿易再開に備えて、あらかじめ
港内諸
施設を完備しておく必要があると思われます。一方表日本側における諸港、特に神戸港におきましては、特需物資の荷動きが活発で、相当の活気を呈しており、従いまして海上における犯罪が相当数検挙されている実情でありますが、いずれにしても現在の装備、船型では、海上における完全な警備は期しがたいから、これが増強方の強い
要望がありました。
その他停車場
設置、中間駅
設置、
鉄道敷設、
国鉄電化、電源
開発、線路
延長、駅舎改増築、鉄橋の橋脚増設、急行列車の停車、列車
連絡時刻の改正、
港湾修築等につきまして
陳情がありましたが、後日書面をも
つて御
報告いたします。
以上まことに簡單でありますが、御
報告を終ります。