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公述人(伊賀秀雄君) 関東配電の業務部長の伊賀でございます。
サムマー・タイムの
実施につきましては、
電力に
関係しますことが非常に大きいフアクターとして取扱われておるのでございますが、
サムマー・タイムの
実施につきましては、
電気供給事
業者といたしましては、一応
賛成であります。四月を五月にするということにつきましても、
反対の
理由がないという程度でございまして、
電力事情を勘案せられまして非常に重きを置かれておるにも拘らず、
サムマー・タイムに対する
電気供給事
業者の態度が非常に生ぬるいということにつきましては、一二の
理由を申上げなければならないと思いますが、ヨーロツパの
イギリスとかドイツとか
フランスとかいうような所で、発電の殆んど全部を
石炭に負うておる所及びアメリカの大都市で、これも発電の殆んど全部を
石炭に負うておりますような所では、時間のずれによ
つて生ずる
電力の
節約が直ちに
石炭の
消費量に影響して来ますから、これは非常に大きい問題にな
つて来ると思います。ところが我が国のように主といたしまして水力を以て発電しておりまして、僅かに九州でありますとか、その他の所で火力を沢山使
つております所を除きましては、夏時間の
実施されます期間は豊水の時期であります。そのためほんの僅かだけの
電力節約が夏時間によ
つてなされたといたしましても、
石炭に影響するところは割合に少いのでありまして、若しそれで
節約せられました
電力が十分に消化し盡されてしまいますならば、誠に結構な次第でありますので、そういう意味におきまして夏時間に
賛成いたすのであります。四月を五月にするということにつきましては同じ
理由によりまして、四月はすでに豊水期に入
つております。従いましてこの時期に
電力が幾らかでも
節約せられるであろうということで非常に微量に
石炭に影響するということは考えられますが、これが
電力の供給上大きい影響を齎すということは考えられないのであります。実際問題といたしまして、今日のこの
公聽会の
趣旨にも書いてありましたように、
全国といたしますと、夏時間の
実施によ
つて電力の消費が多くな
つたのが少くな
つたのかという見当が殆んど付かない程度であります。今ここに資料を差上げて置きましたが、これを御覧願います。関東配電の管内だけでの結果が書いてあるのでありますが、上から四行日あたりから、二十三年度
夏時刻実施前後の当社の総合負荷曲線を比較いたしますと、二十三年度は五月に始ま
つたときでありますが、第一土曜日から
実施されましたが、最大
電力というのは夕方一時に使われます
電力の量でありますが、その最大
電力は三、六%、それから
電力量、一日に使われました
電力の全体の量については三・五%の減少とな
つてお
つたのでありますが、二十四年度は四月の第一土曜から
実施せられまして、最大
電力におきましては四%の減少を示しましたが、
電力量におきましては僅かに〇・七%しか減少しておらないのであります。これが夏時間の
実施によりまして、五、六、七、八月とどういうような減少を示すであろうかということは比較できません。比較の基礎がございませんので比較できないのであります。
電力の使用
状況は日により月により非常に変化いたしますので、比較する基礎がありませんので、ことでは申上げかねるのであります。このようなわけで四月から始められます夏時間を五月に繰延べるということにつきましては、
電力供給事業のみから考えますと、いずれでもよろしいという結論に私達は達するのであります。その事情を第二回で御覧願いますと分り易いと思うのでありますが、第二回を御覧願いますと、点線で書いてありますのが夏時間の
実施されました直前の、下に時間が書いてありますが、一日の
電力の使われますカーブでございます。それから太い実線で書いてありますのが、夏時間を
実施しました直後のカーブであります。これで見ますと明らかに夕方の
電力の使い方が減りまして、そうして夕方、と言いますのは暗くなりましてからの
電力の使い方は減りまして、少くとも夕方少し暗くなりかけようかという頃の
電力の使いが、これも亦減
つて来ておるのであります。そこで私達といたしまして、若し勝手な希望を述べさして頂くことができるといたしますと、これはどうしても夏時間
実施については甚だ重きを見られております
電力部門から、皮肉なお願いのようでありますが、私は終る季節を延ばして頂きたいということであります。と言いますのは、第三図を御覧になりますと、その結論が御納得になれると思うのでありますが、この第三図におきましては黒い実線で書いてありますのが、九月の
夏時刻を
実施しております最後の頃の一日のカーブであります。その図面の左下の方に直前、九月九日と書いてあります下が直後、九月三日とな
つております。これは九月、十三日の誤植でありますから御訂正を願いたいと思います。九月九日の
電力事情と九月十三日の
電力事情とを比べて見ますと、こういうふうに変化しておるのであります。と申しますのは、夏時間を
実施いたしておりますと、丁度十七時から十九時ぐらいまでの間、午後五時から午後七時ぐらいまでの間、まだ明るい頃でありますが、
電力が非常に減
つてしまうのであります。と申しますのは、
工場はすでに終業してしまい、併しまだ明るいので
電燈がつかないというわけで、そのカーブを御覧になりますと谷ができております。そうして暗くなりますと
電燈がつくのであります。それが一時間ずれますと、その点線のように、その
部分が急に消えまして、そうして而も夕方の
電力の使い方が非常に増して来ましたので、これは昨年も今年もこの時期には
電力供給上の混乱を起しまして、丁度水も
余り豊富でない時期に向いますので、停電事故を起すようにな
つたのであります。そこで私達といたしましては、この
電力の使い方が、日が縮ま
つて行くに従いまして、夕方引込んでおりますカーブが段々となくな
つて行くわけであります。そこで九月の初めに夏時間を止めますところを十月まで引延ばしましたならば、この谷が少くな
つて電力供給
方面からは、ほぼ直後の点線に近いような
状態に近ずいて来ましたときに夏時間を切上げて貰う。もつと慾を申しますならば、十一月、或いは十二月ぐらいまで夏時間の
実施をして頂きますならば、非常に好都合なんであります。(笑声)
この意味で先程終りの季節についての御
意見もございましたが、
電力供給事
業者といたしましては、四月、五月にするということについては
反対ございません。希望といたしまして終りの季節をもう少し延ばして頂きたいということであります。