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1950-02-02 第7回国会 参議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二日(木曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 十二月二十二日委員川上嘉市君及び高 良とみ君辞任につき、その補欠として 宿谷榮一君及び松井道夫君を議長にお いて指名した。 十二月二十三日委員中野重治君及び宿 谷榮一辞任につき、その補欠として 板野勝次君及び川上嘉市君を議長にお いて指名した。 十二月二十四日委員松井道夫辞任に つき、その補欠として高良とみ君を議 長において指名した。 一月二十一日委員平岡市三君及び堀末 治君辞任につき、その補欠として森田 豊壽君を議長において指名した。 一月二十六日委員板野勝次辞任につ き、その補欠として中野重治君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般労働問題に関する調査労働省  所管予算及び国鉄裁定に関する  件)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) これより労働委員会を開会いたします。本日は一般労働問題が議題でありまして、労働省の二十五年度の予算につきまして御説明願います。最初新谷政務次官から一般的な御説明を願いまして、次いで各関係局説明を各局長から概略説明があると思います。
  3. 門屋盛一

    門屋盛一君 そうしますと、説明の途中で国鉄総裁が来られたときは質問をさして呉れますか。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 一応ともかくそうしまして、加賀山総裁が、今朝の申込みで十二時までに必ず来る、こういう連絡があつたんです。まだ見えておりませんから、それまで……。
  5. 門屋盛一

    門屋盛一君 今すぐ来るということじやないのですか。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) まだ来ておりませんから、労働省の方で先にやつて貰つて……。
  7. 門屋盛一

    門屋盛一君 すぐ来るというのが本当ですか、十二時までに来るというのが本当ですか。緊急な問題で要求したんですから、今もう車で出たから、すぐ来るというので待つておるんです。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) 現在来ておりませんから、見えたら何して……それまで時間の関係もありますし、労働省の方の説明を願いたいと思います。
  9. 門屋盛一

    門屋盛一君 どつちが本当かということを伺いたいんです。
  10. 田村文吉

    田村文吉君 ちよつと速記を止めて貰つて……。
  11. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を止めて。    〔速記中止
  12. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて……。それでは新谷さん。
  13. 新谷寅三郎

    政府委員新谷寅三郎君) それでは今回提案されました昭和二十五年度一般会計及び特別会計予算の中で、労働省所管分につきまして、極く大体御説明申上げます。  労働省所管会計は、一般会計の外に労働者災害補償保險及び失業保險の二つの特別会計がございます。一般会計予算につきましては、歳入におきましては総額八百九十八万四千円でありまして、その外に郵政省所管郵政事業特別会計歳入に、労働省関係分の五千三十二万一千円計上せられておりますので、まあ会計は五千九百三十万五千円におります。一方歳出総額は百十二億五千五百七十八万四千円であります。外に経済安定本部所管公共事業費中に、三千三百四十万円が労働省関係分として計上せられておりますので、その合計額は百十二億八千九百十八万四千円になるのであります。  次に、労働者災害補償保險特別会計予算でございますが、これは歳出歳入共に八十二億一千七百六十四万六千円であります。  第三の失業保險特別会計につきましては、歳入歳出とも百七十五億六千七百十七万八千円になつておるのであります。  この一般会計及び特別会計予算内容につきましては、お手許に差上げました資料によりまして詳細御承知を願いたいのでありますが、その中で特に今年度新らしく計上いたしましたもの、又は特に重要と認めましたものにつきまして、一、二補足をして御説明して置きたいと思うのであります。  先ず、職員定員数について御説明申上げますと、労働省所管職員定員数は、二十五年度におきまして、予算に計上せられておりまするのは二万三千二百十一人でありまして、二十四年度の予算定員の二万二千三百二十七人と比較いたしますと、差引き八百八十四人の増加になつておるのであります。それは主として公共職業安定所業務量増加に伴いましての、その事務の円滑を期するために増員を要求しておるのであります。公共職業安定所業務量増加によるもの七百人、その外一人、それから失業保險特別会計関係増員が百八十三人、合計八百八十四人になつておるのであります。  次に、失業対策費について申上げますと、御承知のように、緊急失業対策事業費は、昭和二十四年度の第四四半期から補正予算で以て相当増額をせられておるのでありますが、二十五年度におきましては、年間四十億の予算を計上いたしまして、一人一日当り賃金百九十三円五十銭という計算で参りますと、一ケ年三百日稼働するものとして実人員九万五千九百二十三人、延人員、二千八百七十七万六千九百人を吸收する計画を以ちまして、この予算を計上しておるのであります。  次に、職業補導費関係でございますが、大体従来行なつております職業補導所の外に、二十五年度におきましては、特に新たに三十五ケ所の補導所を新設する予定を以ちまして、所要予算を計上いたしております。  失業保險におきましては、大体給付対象人員を三十万人と推定いたしまして、それは一般の分でございますが、この外に日傭い給付対象人員を十二万九千人と見込みまして、尚この外に予備費として約十万人程度の給付対象人員考えておるのであります。これに要する所要経費を計上いたしております。  次に、労働教育費についてでありますが、この労働教育重要性に鑑みまして、今年二十五年度におきましては、二十四年度に比較しまして相当額増加して要求をいたしております。この詳細の内容はお手許に配付いたしました資料によつて御覽を願いたいのであります。  次に、最低賃金策定費についてでありますが、二十五年度の予算におきまして、新規所要経費を要求いたしました。これによりまして中央賃金審議会費用並びに特殊賃金調査費を計上いたしておるのであります。  大体以上が新規予算及びこの中で特に重要と認めるものでありますが、尚御質問に応じまして、詳細所管局長から御説明を申上げます。   —————————————
  14. 山田節男

    委員長山田節男君) 只今国鉄公社加賀山総裁がお見えになりましたので、加賀山総裁に対する質問をお願いいたします。
  15. 門屋盛一

    門屋盛一君 労働省関係予算説明の途中で甚だ恐縮でありますけれども、只今議運にかかつております專売裁定の扱い方を決定いたします上において、すでに経過しておりますところの国鉄裁定のことについて、一応国鉄総裁から二、三点伺つて置かないと、この專売裁定に対する議運としての責任が果せないような点にぶつかつておりますので、途中で質問さして頂くわけでありまを姿、時間の関係簡單質問しまして、お答え願いたいと思います。  総裁は、国鉄裁定案国会の扱い、具体的に言いますと、衆議院では政府要望通り、この裁定は認めないという議決が出ております。参議院の方ではいろいろ経理上の都合の付いたときに拂えという決議になつております。これに対してどういうお考えを持つておられるか。債務者側国鉄総裁は、これに対してどういうお考えを持つておるか。もう少し突きつめますならば、現在あの裁定は無効になつておるものと思われておるか。まだ有効である。まだ無効とも有効とも決めきらずにおるかということをお伺いしたいと思います。それが第一点です。  第二点は、年末に一部支給されたこの一部支給も曾てこの委員会総裁の言われた十八億が十五億に減つた原因はどこにあるか。十八億は経理面から捻出して支拂い得るということを言明されたにも拘わらず十五億しか支拂われていない。そこに三億の差の付いたのはどういうわけであるかということ、いずれにしましても、十五億というものを支給なさつて小康を得たと考えるのでありますか。これは文字通りの小康であつて、その後国鉄労働組合の方は安定していないと私は思うのです。安定しているかどうか。労働組合の方はこの問題は解決があつて、そうしてもう何ら財政状態に異常なく、この国鉄経営に協力しておるか。争議権は認められておるが、争議はやらないけれども、今日まだ不満を持ちながらその業務に従事しておるのではないか。これが第二点であります。  それから第三点は、非常に馬鹿げた質問のようでありますけれども、新聞の報ずるところによると、国鉄プロ野球に加入されたということである。これは法規上からは国鉄として加入するのではなくて、外郭団体でこれを加入させるということを言われておるのですが、いずれにしましても、国鉄ノンプロ野球プロ野球に入るということに対して、労働組合との了解があるかないかということが一つ。それからプロに今度入る選手は、現在運営上必要な職務をやつておる人が、やつていない人か。プロに今度入る選手国鉄であつてもよい人間か、なくてもよい人間か。これははつきりして置きたい。この三点についてお伺いいたします。これは非常に野球の問題を……私も野球が好きだからやつておるのですが、野球の問題を云々するときに、これは今回の国鉄裁定が四十五億というものが完全に履行されていない今日、プロ野球ということは非常に金のかかることであります。ノンプロ野球は三年は赤字経営を続けなければならない。そういう際に労組の方で了解してないとすれば、非常に労組精神上に與える影響が大きい。この点は一番最後でよいが、第一第二について……。
  16. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 第一点に関しましては、極く簡單に結論を述べさせて頂きますが、両院の一致した御裁定を頂ければ、我々非常に有難かつたと思うのでありますが、両院別々の御判断を頂いて、私共といたしましては、結局結論的に見てこれは国会の御承認が頂けなかつたということに、予算上の支出として御承認が得られなかつたというように考えるよりいたし方ないのでございまして、従いまして予算上の処置を伴うものにつきましては、我々の方として方法がない。従つてそれを裁定効力に結び付けて考えます場合には、裁定をその部分に関しては効力を生ずる余地はなかつたというふうに判断を下す次第であります。十八億の支出が流用によつて可能であると私が申上げて、これは門屋さんにもはつきり申上げた点でございますが、その後これは何と申しましても、国鉄としては政府認証を得なければ、国鉄総裁がこれだけを工面して何とか支出考えましても、これも効力を生じないのでございまして、政府がその後種々の点からこれを観察されて、十五億が出るという判断を下された。認証はその限度で下されたわけでございまして、これはその点については、いわゆる考え方の相違ということを考えるより仕方がないと思います。私はこれを理論的と申しますよりは、仮定として考えた場合に、例えば総裁といたしましては、これは従事員に最も近くにいる立場上、何とかして少しでも従事員に廻るようにと考えるのは、これは当然でありますが、政府としてはまたそれに対する監督上の立場公共に対する考え方も十分に検討して十五億と査定されたわけでございますので、この点については我々としては止むを得ず政府裁定を、認証をそのまま実施したという次第であります。その後における組合考え方は、これは御承知通り国鉄労働組合は、只今その全部が国会の権威を重んじて行く立場をとつております関係上、国会並びに国として決められたものならば、その点は止むを得ない。併しながら自分達としては、尚これで足れりとしておるわけではない。新たな問題としてベース改訂の問題として、これを更に主張し要求するつもりであるという態度を、中央委員会等においても明らかにいたしまして、過日更に改ためて九千七百円ベースに改訂することを当局に申入れる、直ちにこれを調停委員会に提訴したという経偉になつております。調停委員会はその提訴を改めて取り上げたという段階に行つておることを御報告申上げます。  それからプロ野球のことについて御言及されたわけでありますが、これは私共としては何としても国鉄の現在の赤字を解消することと、国鉄経営を少しでも明るくし、国民の皆さんに喜んで頂けるということに全勢力を注ぐべきであつて、他の如何なることにも手を出すことは、これはそういう余地はない。精神的な余地もありませんし、又金の方から言いましても、国鉄にそういう余力が甚だないわけでありまして、ただこれが他の機関によつて経営されて、それに対する各方面、或いは外郭機関として職員の中からの興感が湧いて、そうしてそこで国鉄の名を冠して経営をやつて行けるならば、そうしてその野球が従来の弊害、いわゆる職業野球弊害を中から矯正して行く、いい、いわゆるフエアープレーと共同の精神を持つた立派なチームになつて行くならば、国民にも親まれるであろうし、従つて野球が持つ国民的な支持、特に青少年に対する影響考えました場合には、これは国鉄の名を冠して愛されるということは、延いては又国鉄に対して理解なり親愛の情を殖すゆえんじやないかと、我々としては慾張つた考え方もありまして、これは我々としては名前を付けることを認めたという事情でありまして、これは労働組合も実はむしろ遅ぎに失したということで、組合の幹部といたしましても、双手を挙げて賛成をいたしております。又これが伝わりましてから、翕然と職員の中から興感が出て参りまして、これは一部にいろいろなことを言う職員もないわけでありませんが、全般的に見て喜んでおります。明るい気持がするということを我々のところに申込んで参りまして、我々は当の関係者ではないのでありますけれども、私がむしろ激励されておるというような状態で、選手国鉄職員から送り出しますが、これらは現在いわゆるノンプロ選手として仕事の方もやつておりますが、国鉄に全般の現在の従事員実情から見て、一人二人或いは十人欠けても、これが絶対に支障があるということはない。むしろ外に秀でた才能がある人ならば、その方でそれを待遇し、その方面で活躍して貰う方がいいという観点で出しておるような状態であります。
  17. 門屋盛一

    門屋盛一君 そこでまだはつきりしないのでありますが、この第一の問題の予算上の部分に対しての効力がなくなつた。国会の同意を得られなかつたということは、それでいいのですが、そうすると、総裁参議院の方で拂つてやれという決議に対してはどういうふうな考えを持つて、ざういうふうに善処されて行くつもりであるか。そんな決議はもうどうでもいいと考えておりますか。
  18. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 我々経営立場といたしまして、現在の従事員給與が必ずしも十分であると考えておりませんので、これも経営合理化をやつて、特に人件費等を他の面で節約し、例えば人が減つてもそれを補充しないというような方法によつて人件費に余裕を生ぜしめる、それによつて少しでも実質的な給與を上げて行くということを努力いたしておりますし、又そういうことをすべき道徳的義務を我々は痛感しておるのでありまして、ましてやそれが参議院において、その我々の考え方を非常に御推輓頂いたというように考えておりまして、その点は非常に我々としては、何と申しますか、力強くと申しますか、その参議院合法審議というものは、我々が感じておるいわゆる道徳的の責任と申しますか、そういうことに対して更に御鞭撻を受けたような感じを持つておる次第であります。
  19. 門屋盛一

    門屋盛一君 そうすると、関連して伺いますが、昨年の十二月十六日のこの委員会総裁が言われておつたのですが、私の、今度のこの裁定合理的なものと認めるか、不合理と思うかという質問に対して、それはもう合理的なもので、この裁定には忠実に従うということに関連して、これが認められない場合には重大なる決意を要すべきことをおつしやつておるのでありますが、その重大なる決意というのは、どういうことを指して言つたのですか。
  20. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 我々は不合理であるとか、合理であるとかいう判断は差控えるということをはつきり申上げたつもりであります。でこれは仲裁委員会の提議においてされたものであるから、総裁としてはこれに従わざるを得ない。牧しながら我々のできる限度はつきりしておるのであつて、我々がつまり予算支出し得るという面をどこの線に置くかということに見解が分れるわけでありまして、我々といたしましては、当時話が出ましたように、八百円とか、一千円という限度であるならば、これは我々としては堪え得られない。私は十八億と申しましたが、何とかして政府にも十八億をそのまま出して頂くということを懇請いたしましたが、併し政府は先程申上げたような実情から、更に広い見地から御査定になつたことと考えるのでありまして、そこに三億、つまり一人当り六百円の差がございますけれども、これは又私は何かの方法によつて従事員の実質的な、例えば裁定の趣旨に出ておりました通学バスを取上げたことによる負担というようなもの、或いは当時には超過勤務手当とか、旅費とか、いろいろなものが挙げられておつたのでありますが、そういうようなものを実質的に考えることによつて、その減額分は十分に還元し得るということを考えデこの私の主張が全面的に通らなかつたというようには考えておらないのであります。私の主張が全面的にこれを拒否された場合には、私としては重大な決意を持つておるというふうにお話申上げたと思います。
  21. 門屋盛一

    門屋盛一君 そうしますと、総裁は今でもあなたの方の従業員に対しては、裁定の線に副うところの債務を負うておるというような感じを、やはり良心的にお持ちでありますか、どうか。
  22. 加賀山之雄

    説明員加賀山之雄君) 先程申上げましたように、裁定効力なり、いわゆる法律的に見た債務というふうには私共は考えておりませんが、道徳的に申しますと、私共の気持としては、働く従事員に少しでもよくしてやるのが我々の勤めでありまして、これは頭から離れたことはないのであります。
  23. 門屋盛一

    門屋盛一君 幸い国鉄の方は組合も自重しておるし、そういうふうにいつておるのでありますが、プロ野球の問題ですが、これは私も大体反対ないということを聞いておつたので、ちよつと質問したのですが、そこまで行つておるなら、誤解を受ける外郭団体経営さすということ自体が間違いではないかと思う。これは三年間に三千万円の赤字を生じ、年間一千万円の赤字ですから、やはりこれは従業員の何というか、一つのシンボルとしまして、非常にこの能率的の経営をやる上において、外郭団体でなしに、やはり国鉄名前を冠する以上、国鉄自体がおやりになつた方がよいのではないか。そこら辺にやはり官僚的な小刀細工を見付けて、折角のこれ程労働組合なるものを善導し、従業員が一致した気持になつてつて行こうという気持が、外郭団体経営なるが故に阻害されるのではないか。なぜかと言いますと、今の外郭団体なるものは、少しばかりのことを鉄道に御奉公することによつて非常に特別の利益を取つておる団体が多い。尚よく御存じの筈なんですから、ここでそういう団体があるとは御発言できないでしようが、そういう少しばかり国鉄に御奉公して、そうして沢山の利益を取つておる外郭団体、これは公社の方では扱えないから外郭団体に金を出させる。こういうことによつて将来とも外郭団体との腐れ縁が切れなくなるのではないかというので、私は今度の総裁のとつた処置は、むしろ堂々と国鉄自身で御経営なつた方がよいのではないか。というのは、総裁はまだ国鉄企業体であるというお考えはつきりしていない。国鉄企業体であつたならば、どこにも遠慮してはいけない。これを何とか五百万円使おうが、千万円使おうが、そうすることによつて労働組合との結付きが成立することになりはしないか。これは選手労組に入れてないわけですね。そこを私は憂える。  それから最前通学パスの問題が出たが、そこちちよつと速工を止めて貰いましよう。速工が付いては工合惡いでしようから……。
  24. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を止めて。    〔速記中止
  25. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。外に御質問ありませんか……。それでは続いて二十五年度の労働省予算につきまして、所管局長から概略の御説明を願うことにいたします。
  26. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 労働基準局関係明年度予算は、約七億五千万円、労働基準局行政組織は、申上げるまでもなく本省労働基準局、三府四十三県と北海道に都道府県基準局がありまして、その下に三百程の監督署がございます。只今申しました七億五千万円の予算は、本省基準局都道府県基準局並びに労働監督署予算を含めての経費でございます。昨年度行政整理で約千二百人を減しております。その人件費が減りました外は、昨年度と大きな違いはございません。ただその中で明年度予算の編成に当りまして、重点を置いた点を拾い上げて申上げますと、労働基準法施行されてすでに二年半になるのでありますが、施行当初、この行政経験者を求めるということが非常に困難でありましたので、まあ応急的に職員を集めたのでございますが、いろいろ支障のあるものもありましたので、昨年行政整理の際は、行政整理と併せて行政刷新をいたしたいという観点から、いろいろ支障のあつた人間を排除するという意味刷新図つたのであります。併しそうしたことだけでは、この法律の運営に当る行政の主体になる人間を入替えて行くということは非常に困難であろうと思いましたので、本年度予算といたしましては、研修費講習費、それに相当重点を置いて、先ず労働省労働基準監督官研修所を作る、そうしてそれに一ケ月乃至二ケ月の講習をやつて監督技術だけでなく、監督官といての必要な徳性の涵養であるとか、その他を図つて行きたいということで、その予算労働本省の中に約三百万円ばかり計上いたしております。それから基準法企業に及ぼします影響面が、いろいろ従来摩擦面が非常に多かつたと思うのでありまするが、一つには従来この法律の持つております企業に與える積極面と申しますか、労働者の安全、衞生を図る、安全、衞生を十分に守つて行く、そうして能率を上げて行くようにするという意味で、そういう積極面重点を置いて参りたいということで、安全関係予算衛生関係予算並びに技能者養成、これは元ありました徒弟制度、これを新らしいものに切替えて行く、そうして労働の過程におきまして、長期の教習を必要とするような技能者を養成する、そういうものの経費を相当見積つたのでございます。予算面から見ますと、労働衛生に必要な経費は昨年度より減つておることになつておりますが、これは昨年度珪肺問題につきまして、相当臨時的な費用が出ておりましたので、その部分が減つたために総額減つておりますが、労働衛生として、やはり相当重点のかかつた問題であるのであります。それから技能行政に必要な経費というものが出ております。これは昨年までは技能課という課は労働省になかつたのでありますが、昨年の予算で、従来ありました鉱山関係費用を切替えまして、技能者養成の一課を設けまして、基準局技能課というものを作りまして、それで技能者養成の従来ありました徒弟制度弊害を除去しながら技能者養成の促進を図つて、そうして輸出産業、その他高度の技術を必要とするこの労働者技能の向上を図つて行く、そのために技能課を作りまして、新たに予算をここに要求しているようなわけでございます。  その他の新らしい問題といたしましては、先程政務次官から御説明のありました賃金行政費用といたしまして、来年度は最低賃金問題を具体的に審議するということで、中央賃金審議会予算が僅かではありますが、要求してございます。尚最低賃金の問題を研究いたしますのに、賃金審議会費用と併せて、特殊の賃金調査をやるものが百万円ばかり要求してございます。これはすでに法律といたしましては、労働基準法並びに賃金審議会官制によつて制度が完備しております。基準法施行以来、労働組合側からは長い間要求されて来ておつたのでありまするが、インフレの高進期におきましては、最低賃金を設定するということが、インフレを更に促進することになる。促進しないような最低賃金であれば、それは無意味最低賃金になつてしまう、こういう矛盾がありましたので、インフレの高進期においては、最低賃金の設定は見合せるという基本的な方針を労働省としては採つてつてつたのでありまするが、すでに賃金の趨勢を見ましても、相当安定期に入りましたし、この問題を真劍に討議すべき段階に入つたという認識に基きまして、賃金審議会の設置に要する費用と若干の調査費を要求しているような次第でございます。基準局関係予算のうち、主な点は以上の通りでございます。
  27. 山田節男

    委員長山田節男君) 只今の寺本基準局長の御説明に対しまして御質問ございませんか。
  28. 平野善治郎

    ○平野善治郎君 ちよつとお聞きしたいのですが、この間十日ばかり北海道の労働調査を議院から命ぜられまして廻つて見ましたが、一般といたしまして、私共実情を見ますと、かねがね想像はいたしておりましたが、労働省関係予算が非常に不足だというよりも、労働行政をやるにふさわしくない組み方をしているということが、かねがねそうであるように思つておりましたが、現地を見まして、これを痛感したわけであります。その中でも基準局方面予算が末端には殆んど微々たるものでありまして、あれでは役所を作つたというだけで、実際の活動はできないのだというような実情であります。今局長から説明がありましたが、本年度も余り変らないというような予算では、私は基準局の実際の仕事が遂行できないのじやないか、特に北海道のように広範囲のところでは、いろいろな労働監督官が出歩くにいたしましても、旅費の予算というものは本当にどころ調べても少額で、実際は歩いていないというようなことでありますので、こういう点につきまして、私はもつとやはり実際に役所を置いて、そうして労働法の的確なる施行、或いは指導をやるということになりますれば、やはりああいう予算は最小限必要なものだけは確保しなければ何もならない。ただばら撒いておいて、そうして頭割りで幾ら予算をやつても、実際は監督官は役所の中で坐り込んでいる。月に二十日歩けという命令を貰つているそうですが、二十日歩くことができない。只今いろいろの労働問題が現地では起きておりますが、そういうものを調べよう、或いは矯正しよう、指導しよう、処置しようといつても、実際はやはり或る程度の予算がないために動きがとれない。こういうのが実情のように私は思つて来ましたが、これに対して局長の意見はどのようなものでしようか。
  29. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 労働省予算、特に基準局予算の組み方が、労働行政をするにふさわしくないという実地をお調べになつての御意見でございます。只今御指摘で御存じの通りでありますが、昨年度の予算監督署は、監督官は月のうち毎月二十日出るだけの予算に旅費はなつている。北海道で申しますれば、道の基準局では監督官は十日出張し、署では二十日出張するだけの旅費は昨年度の予算では計上してございます。ただ昨年度予算を計上いたしました後、汽車賃が上りましたりしまして、それを年度半ばにおいて補正予算で出ておりませんので、單価は昨年度の運賃値上前の單価でそのままになつておりますので、実際問題としては、單価が安過ぎるために計画通り監督できないような昨年は状況になつております。それからもう一つ。昨年は予算を組みましたのは、行政整理がありました後大きな人事異動がありましたので、人事異動のために相当に監督旅費を食つたという事実がありますが、今年度は人事異動のための旅費は別に計上いたしまして、その外に監督署二十日、局十日で予算を計上いたしまして、その関係で旅費は前年は全体として大きく変りはないと申しましたけれども、旅費は前年度より余程楽になつております。又監督官が減つただけの分も、旅費は一応本年度の中に入れるという建前になつておりますのと、旅客運賃が相当引下げになるのではなかろうかという見通しがありますので、昨年よりは本年度は楽になるかと思います。御承知のように監督署の仕事は外を廻る、事業所を見て廻るということが最大の仕事でありますので、この方面では尚予算の運用に注意いたしまして、外をできるだけ廻れるように努力いたしたいと思います。
  30. 山田節男

    委員長山田節男君) 外に御質問ございませんか。ないようでありますから次……。
  31. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 大臣官房の労働統計調査部の予算について簡單に御説明申上げます。  統計調査部は、来年度の定員として予定されておりますのは本省で二百六十二名、二十四年度の当初の定員は三百三十六名でございましたが、過日の行政整理によりまして、二百六十二名に本省において減員になつたのでございます。併しその減員につきましては、実際の事務の主体になつております二級、三級というところは減員をしないような取計らいました。又地方におきましては、現在基準局に統計調査関係の要員といたしまして三級官雇をこめて三百五十一名、これが一応含まれております。本年度の予算は、大体統計調査部としまして六千万円でございますが、大部分人件費でございまして、指導調査費と申しますいわゆる事業費に当りますものが、大体二千万円程度になつております。この金額は昨年度と大体同額でございまして、又その事業の内容も概ね二十四年度を踏襲したものでございます。その中で重要な点を二、三申上げて見ますと、第一は内外の労働資料の蒐集、刊行ということでございまして、現在毎月労働統計調査月報というものを発行して、各種の労働統計資料を纏めて刊行いたします外、重要な調査研究等についても掲載をしております次第でございます。尚、年に一度労働統計調査年報というものを刊行することになつております。尚この外に内外労働資料という名前で、現在におきまして、主として外国の労働資料を翻訳をして出版しております、これらの労働資料の刊行に大体三百万円の予算が組んでございます。この外に別に国際労働会議の関係、これは現在まだ正式に加入はいたしておりませんが、すでに御承知のように本年ピツツバーグの会議、ジユネーブの会議、只今セーロン島におけるアジア会議にオブザーバーとして派遣されておりまして、種々の資料、殊に会議の勧告、協約案というようなものが入手されております。これらは非常に重要な資料でございまして、特にこういう国際労働会議関係資料の刊行、殊に公式の資料の刊行につきまして、約百万円ばかりの予算が計上してございます。その他の事業は大体いわゆる統計調査と称せられるものでございまして、その主なものを掲げて見ますと、雇用状態調査と申しますのは、職業の安定局と共同いたしまして、公共職業安定所を通じまして、約八千の事業所につきまして、毎月その雇用の変化を見ております。賃金につきましては毎月勤労統計は労働省名前で発表されておりますが、これは我が国における賃金関係の最も基本的な統計ではございますが、労働省所管しておりますのは企画、立案、分析、発表というような点でございまして、主として予算を要しまする資料の蒐集、整票の事務は、これを挙げて総理庁統計局に委託する形をとつておりますので、毎月勤労統計は労働省所管しておる形になつておりますが、予算面は極く結果の発表に要するものだけでございます。併しその外に毎月勤労統計はいわゆる平均賃金調査でございますから、個人別に賃金を調べます個人別賃金調査、あらゆる賃金体系の問題を調査いたします賃金構成調査、又日傭労働者、特に屋外労働者、土建関係労働者賃金を調べた日傭労働者賃金調査等を賃金調査関係として掲げております。労働関係の統計でございますが、これは年に一度、六月末日現在で労働組合基本調査というものを行なつております。漁年の労働組合法の改正によりまして、労働組合の設立、解散についての届出の義務がなくなりましたので、この労働組合基本調査は、我が国の労働組合の現勢を知るべき唯一の官庁統計となるものでございます。これに二百万円ばかりの予算が計上されてございます。その他労働災害の統計も、従来我が国では確かな統計がなかつたのでございますが、本年度からこれを行うことになりました。併しこの労働災害の統計は、労働者災害補償保険の方の資料によつて取りますので、私共の方はその労災関係の報告書から集計するという関係で、予算は労災の特別会計の方に組まれております。尚、形の上では統計調査部から独立しておりますが、実際は人間関係などで私共の方でやつております。  図書館の関係について一言申したいと思います。国会図書館支部図書館といたしまして、労働省に図書館がございますが、この関係予算は、二十五年において人件費も含めまして百三万円、図書の購入費は四十四万四千円ということになつております。甚だ僅かのようでありますが、各省の支部との関係もございまして、一応この程度の予算の計上に止まつております。大体利用者が一日に三十人くらいございまして、その中で外部からの利用者が十人前後というような状態になつております。  以上簡單でございますが、統計調査関係の御報告といたします。
  32. 山田節男

    委員長山田節男君) 統計調査部の予算案につきまして、御質問ございませんか。
  33. 原虎一

    ○原虎一君 賃金給與調査はどの範囲でやつておるのですか。
  34. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 只今説明いたしましたように、賃金調査の統計と申しましても、毎月勤労統計調査、個人別賃金調査賃金構成調査、日傭賃金調査といろいろございますが、大体来年度の予定といたしましては、従来はこれらの調査はそれぞれそのときに応じまして、調査の範囲、いわゆる調査対象ら選んでおるのでありまして、本年の一月分から毎月勤労統計の調査の範囲を、いわゆる近代的な統計理論、抽出論に基きまして、従来は毎月勤労の範囲は、いわゆる大企業に片寄つたものになつておりましたのを、三十人以上の労働者を雇用いたしまする全産業につきまして、規模別に理論的な割合で抽出をいたしておりまして、毎月勤労統計の結果というものは、三十人以上の事業所に関する限りは、最も信頼すべき平均値を現わすような抽出をやりまして、いわゆるその事業所を指定したわけでございます。そういたしますと、これは平均賃金を調べまする毎月勤労統計のみならず、その事業所について調査すれば、理論的に申しますると、三十人以外の全事業所の平均について最も信頼すべき値が出るという理論になるのでございますので、来年度は個人別賃金調査も、それから賃金構成調査も、毎月勤労統計の指定事業所について行うのがよいのではないかと、かように考えております。併しこれはいずれも三十人以上の事業所に限られております。  先程ちよつと申落しましたが、私共の方としましては、それらの賃金調査の外に、失業保険の保険料の申告書、これに異動者数、支拂賃金額が全部記入されてございます。こちらの方からするところの賃金統計も、大体三ケ月に一回これを集計することになつておりまして、来年度もその予定で予算が要求されておりますが、これによりますと、御承知のように、失業保険は大体五人以上、多少抜ける産業もありますが、大体五人以上の労働者を雇用する事業所は概ねカバーしておるように考えられますので、そういう小規模事業場の賃金状態は、現在のところ失業保険の申告書から出て来ます賃金統計で見ることができると考えております。又個人別賃金調査も、一応は毎月勤労統計の調査に併せますが、特に小規模事業場における個人別の賃金状態というもの、これも特別の調査として、そういうものをやつて見たいとは考えております。大体以上のような状態であります。
  35. 原虎一

    ○原虎一君 その三十人くらいの事業所のは、全国でどのくらいの数を調査対象にしておりますか。それから先程、数千工場を調査対象にされておるようですが、そうすると、大工場、中小工場の数、それをどの範囲に、どの程度にやつておられるのですか。
  36. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 今の毎月勤労統計の調査事業所でございますが、現在一月分から予定しておりますのは八千事業所でございます。これはどういうふうに取つたかと申しますと、大体二百人以上の事業所は全部取つております。それから百人から二百人、これが大体半分。それから三十人から百人、大体これが六分の一くらいの割合でございます。百人から三十人までは非常に工場の数が多いものですから、六分の一取りましても、非常に大きな数になる。そこで大体合計いたしまして八千工場くらいであります。現在の毎月勤労統計は約六千事業所を調べておりますが、新らしい毎月勤労統計では事業所は二千殖えるのみならず、例えば三十人以上百人未満のところは、現在の毎月勤労統計では一割だけしか調べておりません。それが六分の一でありますから、大分殖えますと同時に、正確にいわゆる任意抽出という方法で、規模別、産業別に抽出を行いますので、全体を代表する信頼度というものは非常に殖えて来るということになつております。
  37. 原虎一

    ○原虎一君 専業所に対する調査方法は、会社に委託して調査報告をさせるのですか、労働省の統計関係役人が出張してやるのですか。
  38. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 調査内容、性質によりまして、調査方法はいろいろと変つておりますが、毎月勤労統計の場合を申しますと、先程も申しましたように、調査票の蒐集、整票は、総理府の統計局に委託してございます。そこで毎月の勤労統計の調査は、総理府統計局から地方の都道府県から集めることになつております。即ち末端機関は、地方の都道府県知事は市町村を使つてこれをやるということになつておりますので、毎月勤労統計は、知事の責任において各事業所に報告の責任者を決めまして……、知事と申しますが、県の統計課になりますが、各事業所の報告責任者が県の統計課の方へ申告するという仕掛けになつております。毎月勤労統計は、統計法に基く指定統計になつておりますので、申告の義務が課せられております。比較的信頼度は高いのではないかと思います。それ以外の統計は、個人別賃金調査、或いは賃金構成調査等にいたしましても、従来は先程も御説明申上げましたように、統計関係の要員といたしまして、全国都道府県基準局人員が配置してあります。基準局のそれらの職員を通じて事業所から調査する。併し必らずしも事業所に参りまして、現地において調査するという他計主力でなくして、多くの場合におきましては、調査票を事業所に送付して、事業所に記入させてそれを集めるという、いわゆる自計主義をとつております。特に内容の困難な、例えば賃金制度とか、賃金形態というようなものを調査いたします場合には、特殊な少数の工場を選んで、係官が事業所へ出向きまして、係官が調べて記入するというような調査法をとることもございますが、一般的には大体調査票を送付して記入して貰うという自計主義をとつております。ただ一つ特別な調査法をとつておりますのは、日傭労働者賃金調査と申すものでございまして、これは現在の屋外労働者実情に鑑みまして、事業主を通じて賃金調査を行うことについては、正確な資料を得られることについて非常に問題があります。これは基準局職員労働者に個人面接をいたしまして、個々の労働者の申告に基いて資料を徴收するという形になつております。    〔原虎一君発言の許可を求む〕
  39. 山田節男

    委員長山田節男君) まだ三局残つておりますそうですが。
  40. 原虎一

    ○原虎一君 午後やつたらいいじやないですか。
  41. 山田節男

    委員長山田節男君) 御質問がありますか。
  42. 原虎一

    ○原虎一君 質問して惡ければ止めますけれども、時間がないなら止めて午後おやりになつたらどうですか……。政府の意向はどうですか。私はその労働省調査統計は、賃金問題については、相当の権威あるものを労働省が持つべきものだと思いますが、それには非常な予算を要する。そこでできないから内閣の統計局の方でやつているというふうにしかとれないんですが、要するに労働者が権威ある給與賃金の統計を持ち得るという自信ですね。御承知のように、人事院は人事院で、公務員は給與に対する調査をして政府に勧告するわけです。労働省はそれらについても知つていなければならんし、一般民間会社と公務員との給與の問題等においても、労働省自体が相当権威ある賃金統計調査統計というものを持つていなければならない。それについて、ちよつと今伺つたのでは物足らんような気がするのです。又国会等で質問する政府当局者、殊に総理なんかに対しても、日本の統計ぐらい頼りにならないものはない。というのは、政府自体が統計調査を軽視して、無視するような発言をしているんです。そういう点から考えても、労働省が少くとも労働者賃金俸給の統計を相当権威あるものにすべきではないか、かように考えるのですが、それが今の方法で相当に完璧に近いものができるというふうに課長は考えておられるかどうか、その点伺いたい。
  43. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 従来、只今委員がおつしやられましたような非難が、特に毎月勤労統計についてあつたことは事実でございます。その一番大きな非難は、先程から申しますように、毎月勤労統計が対象といたしておりまする産業の範囲、それから規模別の調査、事業所の選び方、これが産業の範囲は極く一部のものに限つているので、又対象の選び方も大企業の方に偏在いたしまして、実際の平均賃金というものにならないというような点が、統計調査として致命的な欠陷であつたかと思います。この点はここ一年間関係方面の援助もありまして、非常に科学的な研究調査を継続して参りまして、その約一年間の研究の結論として、まだその結果は出ておりませんが、この二十五年の一月分からの毎月勤労統計の大改正を行うということになつたわけでございまして、二十五年の一月分からの毎月勤労統計につきましては、従前言われておりました産業が全部カヴアーされていない。或いは調査事業所の選び方が不均衡であるとかいうような非難はなくなることと思つております。少くとも三十人以上の日本の事業所に関する平均賃金といたしましては、現在の統計学といたしましては、最も進歩した方法による調査ということが言えると私は思つております。三十人未満をカヴアーしないという点については、今後起る第二の問題でありましようが、これは現在の日本の三十人未満の事業所におけるいろいろの事情からいたしますと、毎月自計主義によるところの統計調査をするということは、必ずしも可能かどうか、いいことかどうか、分らないのであります。これらは何か特別の調査によつてそういう小規模事業所の賃金を調べて行くという方法をとらざるを得ない。毎月やる定期的な調査としては、現在の日本の事業所の実情では三十人以上ぐらいが一つ限度であろうというふうに、一応の結論を得ているわけであります。これを段々小さい事業所まで及ぼすことは将来の研究問題でありますが、現在におきましては、今度改正になりました毎月勤労統計は、そういう意味において、現在の統計学といたしましては望み得る最善の点まで達しているというふうに言えるかと思います。
  44. 原虎一

    ○原虎一君 その構想を変られたから、いいように改善されたようですが、個々の事業所に対しての報告が正確を得られるかどうかという……、これは事業所に任せる、或いは労働組合に委嘱するということが、戰争中にもよくあつたことですが、御承知のように、統計の報告を事業所に任すということから来る誤まりが多くて困るのですが、この点に対する対策はあるでしようか。
  45. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 毎月勤労統計のように、毎月定期的に多数の事業所を調査するという場合には、事業所の自計主義によらざるを得ないのでありますが、併し只今おつしやいましたような点を補うためには、随時事業所に参りまして、実際の数字と報告された数字との食違いというものを確める、或いは統計に対する理解を深めるということも必要ではないかと思います。従来毎月勤労統計が、総理府だけで行なつておりましたときには、そういう点について余り実際に行われていなかつたようでありますが、労働省に移管になりましてからは、私共としてはその点にも努めて留意いたしまして、昨年度も毎月勤労統計の事業所について一定数を選びまして、実際に我々係官が出向きまして調べたのでありますが、その結果は予想以上に正確であると、こういうことを一応得たのであります。これは労働省の統計調査部でやつております統計の中でも、毎月勤労統計だけは統計法に基く指定統計でありまして、この調査票は他の如何なる目的にも使用できないという統計法の規定がございまして、まあ事業主が一番心配いたしまする税金の調査に使われますとかというようなことについては、決してそのような目的には使われるものではない。或いは労働基準監督にも使われることもないというような点は、十分趣旨を徹底して行きたいと思つておりますが、尚技術的な点までにつきましては、随時実際の工場に出向きまして、実情を調べて行くという方法を併せてとりたいと思つております。現在のところでは毎月の統計としましては、事業所の自計主義以外にはちよつとむずかしいのではないか。ですから、それを側面からその欠点を補う意味においてやつて行くという方法考えております。
  46. 原虎一

    ○原虎一君 そうすると、事業所の自計主義で行くんでしようが、そのために必要な予算上の問題は、これは大体その調査上差支ない程度の予算を組まれておりますか。そういう点はどうでしよう。事業所を選定されて、報告を出さなければならんという事業所になると、毎月出す費用なんというのは、これは事業所の犠牲になるのですか。奉仕ですか。
  47. 金子美雄

    説明員(金子美雄君) 調査票の蒐集の方は先程から申しましたように、総理府統計局の方の委託でありまして、予算は一切そちらで組んでありまして、これは原則といたしますと、都道府県知事が市町村の統計職員を使いまして、市町村の統計職員を通じて蒐集するということになつておるのであります。併し実際は市町村を通ずると却つて非常に時日が遅れる。統計の一つの要因は迅速に結果を出すということも要求されるのでありますので、実際は県によりましては、市町村を通じないで事業所から直接県に報告を求めておる。即ち郵送或いは幸便によつて報告さしておる。そうなりますと、郵送などいたしますと、郵送の負担だけはこれは事業所が負担することになるのでございます。この点は現在その郵送料まで負担するだけの予算は総理府の方の予算に組んでないかと思いますので、それだけは事業所の負担になつておるかと思います。ただ将来の問題といたしましては、中央から直接返信料を付けて事業所へ調査用紙を送附し、事業所はそれに所要の記入を行なつて、その返信用封筒を用いて直接中央の集計機関に返すという方法も可能ではないかということでございまして、昨年から試験的にやつておりましたが、相当いい結果が現われておりますので、今年の一月からの毎月勤労統計では大規模の事業所、二百人以上の大規模の事業所については、その方法を一部取入れてやつておりますが、その外の小さい事業所で、県に直接報告を求めておるような場合には、送付の通信料だけは事業所の負担になつておる、こういうふうになつております。
  48. 原虎一

    ○原虎一君 その通信料だけでは実際なくて、報告書に記入するために、やはりまじめにやれば、報告書にある項目に従つた基本的なものを、書類を作つて置かなければならんのじやないですかな。私なんかも工場で多少経験したんですけれども、郵送料の、切手を出す程度は問題ないのです。調査の目的に副うだけの準備の書類に従つた基本的なものを作るということですが、それは毎月記入しなければならん、毎月記入して行かなければならないというような手数がかかるのじやないですかな。そういう点が事業所の奉仕になるということは、要するに基本的なことまで、統計報告の基本、一定した基準に基いてやらせることは不可能であつて、その事業所の考えで適当にやつてつて、トータルを記入して報告して置けばいいというようなことになるのじやないかという虞れがあるのですね。これは全く事業所の奉仕ですから、そうなり易いのです。
  49. 山田節男

    委員長山田節男君) よろしうございますか。
  50. 原虎一

    ○原虎一君 よろしうございます。
  51. 山田節男

    委員長山田節男君) では次に、職業安定局関係予算簡單に御説明を願います。
  52. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 昭和二十五年度の職業安定管所管予算の大綱につきまして簡單に御説明申上げます。  職業安定局所管の全部の経費総額は、明年度百一億四千六百六十八万円でございまして、前年度昭和二十四年度、四十三億七千四百五十五万円に比較いたしまして、五十三億七千二百十二万円の増と相成つております。その総額約百一億五千万円の内訳の大きな問題並びに新規の事項につきまして簡單に御説明申上げます。  先ず最初に一番大きい金額のものは失業保險、これは一般失業保險並びに日傭失業保險を全部引つくるめてでございますが、それの保險給付に要する経費の三分の一の国庫負担分並びに事務取扱費を合わせまして、明年度は四十六億二千九百六十三万円を計上いたしております。その内訳を更に申しますと、一般失業保險について四十億の国庫の繰入れ、日傭失業保險につきまして三億七千二百四十三万円の一般の繰入れでございます。業務取扱費は総額二億一千八百九十六万円であるのでございます。総計いたしまして、失業保險に必要な経費についての国の繰入れ負担金分は四十六億二千九百六十三万円と相成つております。この予算の執行によりまして、大体一般失業保險におきまして四十万人、日傭失業保險におきまして日々十三万人の失業者に対しまして、失業保險給付をすることができることに相成つております。特別会計内容につきましては、その外に保險料徴收の問題等が、前年度とほぼ同様であります。尚、明年度の失業保險特別会計におきまして、本年度と違いますのは、予算費を約四十億設けてある点でございます。  次に、国の一般会計の分として、うちの局で大きいものは、失業対策事業費約四十億でございます。これは御承知の緊急失業対策法に基きまして、最後の土壇場におきまして、あぶれた失業者を救済するために起す事業の経費でありまして、明年度これを四十億を計上することによりまして、明年度一年間日々十万人の失業者に対して職業を與え得る事業を起し得ることに相成つております。  次に、大きい事項といたしましては、職業補導所の問題でございます。職業補導所の問題につきましては、二つの補導所があるのでございまして、一つ一般職業補導所、二番目は身体障害者を專門に收容いたしまして、技能を授ける身体障害者の補導所でございます。身体障害所の補導所につきましては、現在全国で五ケ所に設置せられておりまして、これは明年度におきましてそのままでございます。五ケ所分の経費といたしまして、一千三百七十三万円を計上されております。一般公共職業補導所につきましては、本年度三百ケ所を全国に設置いたしておりまして、その補導種目は建築その他数十の補導種目に亘つておりまして、明年度におきましては、本年度三百ケ所の外に更に三十五ケ所を新設することといたしております。この三十五ケ所の設置に当りましては、その地方における労働市場の状況にふさわしい職業種目を選定してやることになるのでありまして、一般公共職業補導所経費は明年度一億七千三百五十五万円を計上いたしている次第であります。その外明年度におきまして、新規事業として計上されておりますものは、国、国鉄、專売その他政府職員並びにこれに準ずべき者に対する失業者の退職手当を公共職業安定所支給することにいたしまして、そのための経費約五千二百四十九万円を計上いたしているのであります。これは御承知のように、政府職員並びにこれに準ずる職員につきましては、その受ける退職手当と失業保險法に定めまする失業保險金額との差額がありまするならば、その差額につきましては、本年度におきましては、公共職業安定所の失業の認定に基いて所属官庁が失業手当を支給しておつたのでありまするけれども、明年度におきましては、安定所で失業の認定をするのみならず、安定所において直接その失業手当を支給することといたしまして、それに要する経費五千二百四十九万円を安定局所管の分に計上いたされております。  次に大きい問題は、公共職業安定所経費でございます。公共職業安定所経費は、一般会計におきまして、明年度は十億五千二百二十万円というものを計上いたされておりまして、この経費内容につきましては、旅費、通信費等は前年度の約二倍近いものを計上いたしております。更に超過勤務手当につきましては、この十億のうち約一億がそれに入つておりまして、前年度に比較いたしまして、二倍半の予算が計上いたされております。  尚、職員の点でございますが、一般会計におきまして、臨時職員として五百六十人を増員いたします。更に本官といたしまして七百人の増員、即ち一般会計におきまして千二百六十人の増員が見込まれております。尚、安定所の増員につきましては、失業保險特別会計におきまして、約六百人程度を特別会計においても増員をいたしております。そういたしますると、一般会計特別会計併せまして、本官において八百八十人、臨時職員において一千人、合計一千八百八十人を安定所職員増員することといたしております。現在安定所職員は約九千人ちよつとでありまして、その約二割以上の増員ができるような予算になつております。尚その外に地方の安定課の問題等は、ほぼ前年度と同じでございまして、特に御説明を申上げることもないかと存じます。尚、安定所におきましては、日傭労働者の物資配給に要する経費、約五千三百十一万円、進駐軍労務充足に要する経費約二千五百万円、大体計上せられておりまして、府県庁の安定課並びに安定所の総予算十二億一千九百八十六広円ということに相成つております。尚その外に安定所の庁舍の新築につきましては、公共事業費の中から多少見込まれておりまして、一千七百二十四万円が公共職業安定所の新築費に当てられております。  大体以上が安定局所管予算の主な点でございます。その外、本省におきまする職業紹介に必要な経費、或いは失業対策に必要な経費、職業補導の指導監督に必要な経費等は、ほぼ前年度と同様でございまして、新規のものといたしまして申上げるものはないと存じております。  大体以上が明年度の予算の大綱でございます。
  53. 山田節男

    委員長山田節男君) 御質問ありますか。
  54. 原虎一

    ○原虎一君 政府職員等失業者退職手当、これは職業安定所を通して支給するようになつたのですか。するのですか。
  55. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) さようでございます。
  56. 原虎一

    ○原虎一君 そういたしますと、それだけは安定所の仕事が殖えるのですが、従来は直接支給をしておるのですが、安定所を通して支給するために、遅くなるとか、迅速を欠とか、そういう問題が起つて来る虞れはないのですか。
  57. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) この失業手当につきましては、一般失業保險と同じように、週二回の失業の認定ということにいたしまして、その都度に拂うということにいたしたいと思つておりますので、迅速を欠くというようなことはないと考えております。一般失業保險、民間の失業保險と同じような仕組みで拂つて行く、こういうふうな仕組にいたしたいと考えております。
  58. 原虎一

    ○原虎一君 ちよつと私了解に苦しむのですが、政府職員の失業者退職手当となつておりますが、そうすると、これは普通に言ういわゆる退職手当ではないですか。
  59. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 普通の退職手当ではございません。即ち官庁職員が退職いたしますると、政令で決まつておりまする退職手当を頂きます。その退職手当が、一般失業保險法と同じような計算で行つた場合に、失業保險金よりも少い場合、退職金の方が少い場合に、その失業保險金額と退職手当額との差額を後になつてつてやる、こういう形でございます。
  60. 山田節男

    委員長山田節男君) 御質問ございませんか……。それではまだ二局予算説明が残つておりますが、今日の労働委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時三十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            田口政五郎君            平野善治郎君            波田野林一君    委員            原  虎一君            門屋 盛一君            田村 文吉君            水橋 藤作君   政府委員    労働政務次官  新谷寅三郎君    労働基準監督官    (労働基準局    長)      寺本 広作君    労働事務官    (職業安定局    長)      齋藤 邦吉君   説明員    日本国有鉄道総    裁       加賀山之雄君    労働事務官    (労働統計調査    部長)     金子 美雄君