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国務大臣(森幸太郎君) お答いたします。農事研究所の統合につきましては、今後相当の時日を藉さなければ当初の目的達成の位置までは達せんと存じます。従来は経費が非常に少くしてそして研究の面が広過ぎたのであります。
従つてこの弊害を除去するためにできるだけ各試験研究所の連絡を図
つて、そうして総合的な立場から特に重点的に研究を進めて貰う、こういうふうな方針をも
つて進んで行きたいと
考えるのであります。経費の面におきましてもできるだけこれを増額いたしまして、その研究が一日も速かに而もはつきりした結果の挙がるようにいたしたいと
考えます。それにつきましては各研究所が研究をする場合におきましては、今お説の
通り審議会という名前がいいか惡いか存じませんが、協力して
一つの国家目的に副うような態度を決めてそれぞれ研究に携わるということは最も重大なことと存じます。それにつきましては当者事のみならず、あらゆる角度から
考えましていわゆる最高的な方針を定めるという審議会というようなものを作ることは、誠に妥当なことと
考えております。そういう方針に進めたいと存じております。
次に普及員の問題でありますが、これは今一出張所に四名とな
つておりますので、これは一出張所が五ケ町村を平均持
つておりますので五ケ町村に四人と、こういう普及員にな
つておるのであります。今後におきましては少くともお説の
通り一ケ町村平均一名ということに置きたいと存じます。それにつきまして関連して
考えられるのは、
農業協同組合の指導連においてこの技術者を持
つている組合があるのであります。この
協同組合が指導組合としてこの技術員を置くことがいいか。これは昔の農業会の
関係でそういうふうなしきたりになり、そういうふうな今日まで続いているのでありますが、私はむしろこの
協同組合がその町村自治体と協力して国家の普及員を鞭撻し、協力し、指導して貰うということが妥当でないかと、それが適切であろうと、かように
考えておるのであります。これは
協同組合方面等もよく指導いたしまして、いわゆる指導普及の方針が一途に出るということに私はいたしたいと
考えております。
青少年のこの自発的な研究の問題でありますが、これは寺尾委員も御研究下さ
つておると存じまするが、今日の学制改革の結果、
地方における甲種、乙種と申しました專門的な農学校がなくな
つてしま
つたのであります。
農家の子弟がどこで專門的な技術や学力を得られるかという問題は、非常にこれは農村として悩んでおります。これは何とかしなければひとり農業だけではなく、工業におきましても漁業におきましてもそうであろうと思いますが、この学制改革の結果、そういう甲種專門学校がなくな
つてしま
つて、どこで学んでよいかというようなこれは過渡期とは申しながら、速かにこれは何とか是正いたしたい、かように
考えております。中学校を卒業しましたものがこの農業研究所によ
つて修めるというより途がないのでありますが、そういう資力のないものにおきましてもこの
農家の中堅とな
つて活動して貰おうということが必要でありますので、
政府におきましては今お挙げになりました四Hクラブと連絡を取りまして、この方針を農村にも
つて行くということが私は
一つの方策と
考えておるのでありますので、こういう方面と協力いたしまして青少年の農村における研究発達、自治的なその進歩を促したいとかように
考えておるわけであります。
次にこの統計調査でありますが、今更申すまでもなく統計ということの重要なことは御了承の
通りでありまするが、これが今までは非常に嫌われたのであります。嫌われているということは
供出制度の基礎をなすために、農村から非常に惡まれまして、作報の職員は実に鬼か蛇のごとくに見られまして誠に気の毒な立場にお
つたのであります。併しこの
食糧事情が非常に緩和して参りますと、今後むしろこの
本当の姿を統計に現わして貰いたい、実際を見て貰いたいというような気持も相当この
農家の方面にも出て来ていることで、誠にこれはよい傾向と
考えておるのであります。特に農村といたしましては、いろいろ課税の方面において無理があるというような、いろいろなことが起
つておりまするが、併し私は農業者にしましても、商業者にしましても、工業者にしましても、
自分の收入のあるものに対して納得し得る課税を受けることは国民の義務である、こういう気持を持つべきであると存じます。
従つて農林省におきましては統計方面においても
農家に家計簿を作らせまして、又
地方に標準な
農家を求めて收支計算をとりまして、そうして
自分の農業経営がうまく行
つているかいないかということを実際
自分で知るということが、農業経営改善の上においても重大なる点と
考えてさように指導いたしております。
従つて従来のように作報という名もあまり面白くないので、今度は農業調査所という名前に変えたわけでありますが、この人員につきましては、今お挙げになりました行政庁の方面からさように増員をする必要がないではないかというような意見もあるのであります。併し本年度はすでに御
承知の
通りに
災害調査もやらなければならん、又漁獲調査もやらなければならん、又蚕糸類の調査もやらなければならん、いろいろな調査が重課されまして、今までのような作柄調査、実收調査というような單純なものでないのでありまして、非常に
仕事が殖えて来たのであります。而もこの調査は世界の統計調査と繋がるものでありますので、
日本の体面といたしましても完全な統計を作るということは必要でありますので、一層この統計調査に対しましては重点をおいて進んで行きたい、これはあらゆる
政策の基礎になるのでありまするから、重きを置いて
考えて行きたいと存ずるのであります。但しお挙げになりましたこの際行政庁におきましてはさように増員する必要がないではないかという意見もあるのであります。これは事実であります。併しこの定員の設置につきましてはまだ
政府として結論を得ておりませんが、農林省といたしましては飽くまでも統計調査の重要性から
考えまして、是非ともその調査の完璧を期すべくその内容の充実を望んで止まない次第でありますので、今後ともその方針に努力するつもりであります。