○和田博雄君
総理に
一つ二三点簡單なことをお聞きしたいと思います。
大分同僚の諸君がいろいろの問題をお尋ねしたのですが、講和問題はこれは非常にやはり微妙な私は
情勢にあると思います。殊に
世界の
情勢が、今のような東南アジアを繞
つて非常に鋭くな
つておる。或いはヨーロツパにおいて又非常に両方の対立が鋭くな
つて來ておるときに、
日本の立場というものが非常に微妙にな
つて來まして、講和問題は
総理がしばしば言われておるような、なかなか見通しが私は付かんのではないかと思う。ただ併し私はこの際余り問題にならなか
つた点でありますが、講和のやはり内容として
産業水準、言い換えると
日本が年々非常に殖えて行く人口を、この小さな島の中で養
つて行く。それにはどうしても
生産力が、国の
生産力というものを高めて行かなければならない。言い換えると
産業が或る
程度の
生産の水準を持たなければ、言い換えると
食糧が
幾ら、それから外に鉄は
幾ら、石炭は
幾らというような
生産物量、或いは働く労働力の、人間が皆働いておるとい
つたような、或る
一つの経済の
生産する力の高さというものを、どうしても我々は講和條約の内容としては考えて主張しなければならんと私は思うのであります。そうい
つたような問題については、これはただ時の
政府が、政策が自由主義であるからとか、統制であるからということを超えて、私はやはり
日本の
産業の
生産力の高さというものについては、これをどの
程度に主張して行くかということが、私はやはり非常に大きな問題だと思うのです。というのはこれは結局言い換えると
外国貿易においても、各国、イギリスなり、ドイツなりその他の国々とのやはり競争の力の基本になるものだと思うし、我々
日本人の
国民の
生活が、結局どの
程度に一体将來は維持されて行くかということの基になるだろうと思うのです。そういう点について恐らく
政府としては、内々研究されておるだろうと思うのですが、それらの点について、やはり
政府として相当の準備をしておるかどうかという点を一点お聞きしたい思います。
それに関連して私は最近における税制の問題について、
生産力との
関係で
総理にお聞きしたい。
総理はしばしば今度の二十四年度の
予算なり、二十五年度の
予算なりについては、これはインフレーシヨンを止めるのが目的だと、こう言われておる。私もそうだと思う。二十四年度の
予算は少くともそうだと思います。併しそこが私は非常に必要だと思うのでありまして、税ですね、
予算というものは均衡を得るということが私は目的ではないと思う。均衡を得るということは、インフレーシヨンという
現象を止めるための
一つの大きな手段である。財政の
赤字というものがインフレーシヨンの大きな原因であるからこそ、
政府はとにかく非常な負担を
国民大衆に負わせながら、多くの税を取
つて超均衡
予算を組み、超均衡
予算というものは
一つの手段であ
つて、目的では私はないと思う。そこのところを
政府は余程お考えにならないといかんと思うのでありまして、
予算は均衡するが、
産業は非常に收縮して來ると、
国民の
生活は非常に楽にならない、苦しくなる、こういうことでは、これは
予算の均衡ということを、それ自体が非常に大きな目的であるように考えられておるようでありますが、この点は考え方を改めなければならん点だと思う。殊に二十四年度の
予算は、これはインフレーシヨンを止めたという点において大きな大斧を振
つた。それで一応の目的を達したと思う。併し一年間に非常にデフレ的な、或いは経済收縮の過程がもう現に出て來ておるわけですから、この間からの
総理の御
答弁によれば、そういう
現象がどんどん出て來れば自分としても考えると言う。よほど讓歩されて來ておると思うのでありますが、私は二十五年度の
予算については、その点は
政府としてもう一遍考え直す必要があるのじやないか。その点をもう一遍諄いようですが、重ねて
一つお聞きしたい。
もう
一つは税の制度というものを、何も税金を取るためのこれは制度でないのであ
つて、私は税制というものが、
日本の殊に
産業経済に取
つて、非常に大きな影響力を持
つておるものだと思う。税の
如何によ
つて生産力が殖え、或いは殖えることが阻害されるという結果が現に出ると思います。その点に立
つて考えて見ますというと、今度の地方税の改正であります。例えば固定資産税、或いは附加価値税とい
つたようなものを取
つて見ますと、これは新聞の伝えるところによれば與党内部においても、
政府においても今度の原案は満足でないようでありますが、これは
日本の
産業の
生産力というものを非常に高めることを阻害すると思う。何故ならば非常に高い税金が課か
つて來て、結局最後は労賃に課けるよりしようがないことになるのです。そうすると
生産力、人間の労賃を非常に低いところに切下げておいて、そうして税金は重い税金を取
つて、
生産の力を高めて行こうとしても、これは私は限度があると思うし、それから殊に固定資産税なんかにな
つて固定資産に対して多額の税金が課か
つて來れば、どうしてもコストが上ると思う。今
日本で必要なことは、コストをどうや
つて切り下げるかということで、それを資本家がやるのでは首を切る、それから操業度を高めるということでや
つておるが、併し首を切り、操業度を高めるということだけでは限度があると思う。どうしてもそこには余程
産業の近代化をや
つて、設備を新しくしたり、機械の良いのを入れたりして、そういう面からもやはりコストを下げて行かなければならん。そのときに税金というものが非常に大きな阻害をなすことになれば、
日本産業全体の
世界の
産業に対する競争力というものが、これはコストの切り下げという点で負けだと私は思う。どうすれば
日本が今独占禁止法、或いは過度の経済力集中排除法、それから今度のような
一つの地方税の体系、こういう一連のものを以て
日本の
産業がいわば、大きな枠をはめられると、今占領下でありますから、私共は占領下という條件は勿論考えなければなりませんが、そういう大きな流れを
一つ考えて來るというと、我々が
一つの税制制度を議論する場合においても、そこのところは、
政府当局としては余程愼重に御研究なさ
つて頑張るところは最後まで頑張らなければならんのじやないかと思うのであります。税が高い低い、これは
国民生活の、個人
生活についても非常に重大な問題でありますが、
日本全体の立場に立
つて考えて見ますときにも、今度の地方税はその点非常に大きな影響力を持
つておると思う。そういうような点について
政府としては、今後一体どういうようにその点を仕向けて行かれるのであるか。
総理とされては全般を総合されて、今非常に困難な政治をや
つておられる時期でありますが、その点についての
一つ信念なり、或いは御構想なりがあれば
一つ御意見を伺いたいと思います。