○
岩男仁藏君 これは
事志と反しまして、又
森大臣の御
答弁を頂いたことは私は遺憾とするのであります。実は
内閣の首班たる
総理大臣に対して私は聽いておるのであります。又
国民もそういうことを希望しているのであります。今日今の
吉田内閣で、これはいろいろ
非難を受けておる
政策は沢山あります。ありますが、最も
非難を受けておる大きい問題は、
農業政策に関する問題と
中小企業に対する
政策の持合せがないという問題であります。
日本経済を再建する上に、その基盤をなすところのこの
二つの重要な
政策において、どうも我々が
納得のできない、まあ極端な
言葉で言えば、
自由党の
吉田内閣は、これに対する
熱意がないのだ、その
熱意、その時局に対する認識がありさえすれば、もつと思い切
つた施設が
予算化されそうなものだということを
国民斉しく言
つておるのであります。どうでございますか。今日農民は低
米価政策と重税のために板挾みに
なつて、窒息した
状態にいるのであります。実に窮境に陷
つている。外国から
食糧はどしどし
輸入せられる、国際的に
食糧は非常に豊富に
なつて
日本にどしどし入
つて来る傾向がある。そういう際に、ここに新らしいところの従来の
政策を着々遂行するぐらいの生やさしいことでは駄目でありまして、新らしい
角度から、新らしい見地に立
つてこの転換期の
農業というものを
育成強化して進行させることが刻下最も必要な
重大事項であると私は
考えておるのであります。その
意味において、
今森農林大臣は
予算を見れば分る、成る程見ております。少々はサービスがあるようでありまするが、これでは足りないというのです。この
食糧問題、現在及び将来のこの大きい
日本の
食糧問題を解決するのには余り微温的である、余り
熱意がないということを私は絶叫いたしておるのであります。もういつも
答弁が決ま
つておる。どうせ
四つの島に限られた、そこで
食糧は足りない、
人口は八千二百万、これがやがて一億になるだろう、どうせ
日本の狹い
耕地では
国土ではその
生産は
自給自足はできない、そういうような
考えを持
つておるところに間違いがある。
出発点において間違いがある。我々はどこどこまでもこの大事な
食糧というももは如何に
国土は狹められましても、
四つの島に局限されましても、どこどこまでも
自給度を高めて行く、
自給自足ということを
一つの
理想としてそれに到達するように、少くともその達成ができるような
施策を講ずることが必要であるということを叫んでおるのであります。その
意味からして今日
吉田内閣の採
つておる
農林政策は甚だ貧困である。私達ではない、これは
国内津津浦々誰でも相
言葉に
なつておる
言葉であります。耳を覆えばそれは分らんかも知れませんが国の輿論であります。もつと思い切
つたことができませんか。いずれも
懇請、
懇請で二合四勺の配給ができるまでは
懇請、
懇請で頭を下げてお
つた、今年は二百万トンが更に三百七十万トンになり、
主要食糧だけでも三百四十万トン、これでは入り過ぎるから御遠慮申上げたらよかろうという
同僚議員がありましたが、これは私も同感でありますが、併し現在足らんものは仕方がないからして、少くとも二合四勺から五勺、九勺その
程度を高めることも必要でありますが、これは
輸入を仰がなければならんのは、
現実の問題としては足らないのですからしてそれは
輸入することもよろしいのでありますが、これ以外に途はない、併しこれをいつまでも続けるようなそういう
農業政策では駄目であります。外に新らしいところの新
農業政策というものをその基本的の
方針を確立いたしまして、そういたしますというと、昨日言われたいわゆる
計画経済になるかも知れませんが、私は社会党でないからそんなことは言いません。
一寸先も見えない、一年先も見えないようなそういう
対策では駄目であります。この
食糧に関する
対策は、もうこれは分り切
つておる。三歳の童子でも分り切
つておる問題だからして、今しつかりしたところの腹を決めてうちかか
つて頂きたいとこう私は言うのであります。
輸入に対しましても、今年三百七十余万トン以上を
懇請するように
予算に現われておるようであります。四百五十億円の
価格差補給金を計上いたしております。そういうことを将来これは長くやるわけには行かないから、そういう
補給金を限定する等いろいろあります。この
農村改善の
対策といたしましては、先ず第一に限られたる
耕地でありますけれどもが、これは
拡張の
余地があります。例を申上げますというと、
干拓事業のごときは最も至るところに適地があるのであります。ただ
費用が余計かかるからやらないというふうなお
考えであります。これはや
つて失敗した例はないのであります。ただ
費用がかかる。
費用がかか
つてもやればいいじやないか。そうすると
干拓ができる、その結果は今までの歴史が
はつきり証明しておる。
干拓は
失敗したことはない。それだけ
耕地も殖えます。その他今まで
耕地の
開発、いわゆる
開拓事業でありますが、どうもこれには
非難があります。いろいろ
失敗だという人も成功だという人もある。私は
失敗とは
考えておりません。一部の局地的には
失敗の方もありまするが、これはまだまだ積極的に、これは併し
相当費用がかかります。
予算的措置を講ぜねばならんのでありまするが相当あるのであります。これを何故もつと積極的に将来のことを
考えておやりにならないか。いわゆる私から言えば全く
耕地の
開発、
耕地保金対策、この
保金対策の中には、この前も
森農林大臣に質問いたしたのだが、この
土地改良に関する問題が主たるものでありましよう。或いは又
災害地の
復旧工事、これも重要な問題であります。こういうような
耕地保金対策というものを尚
耕種改善に達する
施設、その
拡充強化という面は非常に夥しいものを取上げて
増産面に活用はできるのであります。私は
農業のことは幾らか素人より知
つている。
自分で実際や
つて見て経験がある。その
耕種改善施設というものに対しまして如何なる
予算的措置が講ぜられておるかと私は
歎くものであります。尚この
労力の
関係ですが、今
労力はあり余
つておるのでありますが、これを放任している。今日この
失業者を
農村に吸收しまして、これを喰わせることは許すべからざることですが、
失業対策とも相関連する問題でありますが、とにかく
日本の
農業で
生産費が高いということは一番欠点だ、その
生産費を低下させる
意味において、いわゆるコストを下げる
意味においてどうしても
共同利用の
施設を
拡充強化することが必要だ、この
意味から言えば現に組織されておるところの
農業協同組合、これを
育成強化することは目下重大なるこれは
喫緊事であります。併しこれも野放しにされておる。気息奄々として
事法を
作つて趣旨、その志と相反して、今日は
自滅状態に陷
つておるのであります。こういう有樣でこれに関して何ら
施設は講ぜられておらないということをここで訴えるものであります。尚この
耕種改善の面においてはこの
前森農林大臣にもお尋ねしたのでありますが、
優良種苗を増殖するというか、言い換えれば新らしい
品種を
優良種苗を増殖する。これを普及させる。尚この
科学的基礎の上に置いた
改良されたところの
農業技術を速かに普及徹底させる。こういうようなことは、これはもう
戰争前からも叫ばれ、多年の間叫ばれてお
つたが、悲しいことには口ばかりであ
つて具体的の
施設、工作というものが
伴なつておらなか
つたのであります。換言すれば
予算的措置が講ぜられておらなか
つた、だから笛吹けども踊らず、
増産どころか
却つて減産という現象を呈しているのが今日の
状態であります。こういうことで果して
日本の現在及び将来の
食糧問題が解決できるか。
我が国は憲法で
戰争を放棄いたしております。だから
日本に関する限りは
戰争はないでありましようが、この冷い
戰争、
二つの世界に分れて冷い
戰争が行われておるのであります。ここで如何なる不祥事が又起らんとも誰が保証できましよう。そういう場合に
国民の約半数が餓死するというようなことの我々はこれは仮定の問題でありません。こういうことを
考えてどこどこまでも
食糧というものは
増産し、
自給度を高めて、少くとも過剩
人口とは言いますけれどもが八千万の
国民、九千万の
国民を
自給自足の
程度において賄い得るような
施策が講ぜられねばならないと私は将来を心配しているものであります。これには
吉田総理の御
答弁がなければ、再びここに
農林大臣の御
答弁を願います。