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1950-03-17 第7回国会 参議院 予算委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年三月十七日(金曜日) 午後一時五十一分開会 ————————————— 本日の
会議
に付した事件 ○
昭和
二十五
年度
一般会計予算
(
内閣
提出
・
衆議院送付
) ○
昭和
二十五
年度
特別会計予算
(
内閣
提出
・
衆議院送付
) ○
昭和
二十五
年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
・
衆議院送付
) —————————————
山田佐一
1
○委員長(
山田佐一
君)
只今
から
会議
を開きます。
農林大臣
に対する質疑の
通告順
によ
つて発言
を許可いたします。
羽生
三七君。
羽生三七
2
○
羽生
三七君 先
日本会議
の
緊急質問
で当面の
農業
問題についてお尋ねいたしましたが、その
お答え
で満足できな
いも
のがありまするので、尚改めて二、三点お尋ねいたしたいと思います。 本来、私が冒頭に申上げることは、これは
農林大臣
よりもむしろ
大蔵大臣
にお尋ねすべき
性質
のものでありますが、関連上
農林大臣
の
お答え
も頂きたいと思いますが、大体ドツジ・ラインで
国際経済
に鞘寄せるために
日本
の
企業
の
合理化
というものを
促進
しておるわけでありますが、そのことのよし悪しは別個の問題といたしまして、
農業
の場合の
合理化
はどういうふうにお
考え
にな
つて
おるのか。今
考え
られておるのは、大
企業
或いは
中小企業
の、
一般企業
の
合理化
を
国際経済
にマツチさせるための仕事としておやりにな
つて
おるわけでありますけれども、大体
日本経済
の重要な基盤をなす
農業
についての
合理化
というものは別にやる必要はないのかどうか。これはまあ実際
農林大臣
というよりもむしろ
大蔵大臣
にお尋ねすべきものでありますが、問題の
性質
上この点を明らかにして頂きたいと思います。なぜこういうことを申上げるかと言いますれば、先日も私本
会議
で申上げましたように、将来
輸入補給金
の問題、或いは
ガリオア資金等
の問題が全部正常な、ノーマルな
状態
に帰り、全く
自由価格
の
競争状態
が参りますならば、
日本農業
というものは初めてその過程において
国際経済
の一環として
対外競争力
を持たなければならず、又その
競争
にさらされるわけでありますが、そういう場合に、他の
企業
の
合理化
はできても
日本農業
が少しも
合理化
できておらないという場合には、
対外競争力
に打勝てる筈はないのであります。ところがこれが打勝てなか
つた
ならば、やはりこれが
日本
の産業の一種の
基礎構造
といいますか、
下部構造
をなすのでありますから、
日本経済
の構成を
考え
まして、必ずしもこれは正当な仕組みと
考え
られないのであります。そういう点で、私共が
日本農業
の真の
意味
の
合理化
を
考え
ます場合に、とにかく現在、世間では多少誤
つた
考え
があるのではないかと思うのでありますが、それは
補給金
或いは
価格調整金
によ
つて日本農業
は支えられておるという
考え
方を持
つて
おるのでありますが、これは全く逆でありまして、
消費者
は
補給金
によ
つて
或る程度の
利益
を受けておりますが、
農業
はむしろこれによ
つた
その
発展
を阻害されておる、そういう解釈が成り立つのであります。なぜなら
岩木委員
も先日この席で御指摘がありましたが、
外国
の、
アメリカ
その他の
小麦
にいたしましても、或いはタイ、
ビルマ等
の米にいたしましても、
日本
の
国内生産者買
入
価格
より遥かに高い
価格
で
買入
れられておるのであります。これを
国際価格
と、国外の
農産物価格
と
日本
の
国内生産物
の
価格
とを昏迷ならしめておるものは、むしろ
輸入補給金
であります。そうでなか
つた
ならば、正常な
状態
で取引されるならば、現在の当面の
段階
では、むしろ
日本
の
農産物価格
はやや
値段
が上廻るという
状態
に置かれておると思うのであります。ところが今のような
補給金
の使い方によりまして、実際には
農産物価格
は非常に
国際価格
から現在のところでは下廻
つて
おるけれども、これは先日も申上げましたように、やがて平常の
状態
になり、又且つ
国際小麦協定
に
参加
して、
ちよ
つと今日の
新聞
を見ますとこの
参加
は一時保留されておるようであります。ドイツだけが加入を認められたようでありますが、仮に将来
参加
が認められて加入した場合におきましては、二、三年後におきましては非常に
小麦
の
価格
が下
つて
来る、或いはその他いろいろな
貿易関係
におきましても正常な状況に帰りまして、種々の制約が解除されましたならば、当然今よりも安い
値段
で
世界
の
穀物相場
が……安い
値段
に
穀物相場
がなるということは今日想像されるのであります。そういう場合に
日本
の
農業
は
国際的競争力
を全然持
つて
おらない、
対外競争
に耐え得るだけの力を全然持
つて
おらないということが想定できるのでありますが、そういう場合に
日本
の
農業
を本当に
合理化
して、
対外競争力
に打勝てるような
素地
を作らなか
つた
ならば、大
企業
だけが
合理化
をやりましても、全体の
日本経済
としては絶対に私は正当な形ではないと思
つて
おります、そういう
意味
の
日本
の
農業
の
合理化
をやる場合におきましては、先日申上げましたようにこの
裏付
となるべき物的の
條件
が要る、その
物的條件
とは要するに
土地改良
の
促進
であるとか、或いは又
農地改革
の
促進
であるとか、或いは
農業改良費関係
の
費目
の
増額
であるとか、そういうことが予定されるのであります。ところが御
承知
のように
土地改良
につきましては継続中の
国営
及び
都道府県営以外
のものは殆ど打切られて、
農家
の
自己資金
と
融資
に委ねられるという結果にな
つて
来ておるわけであります。
農家
に
自己資金
で
土地改良
をやらせる程余力がないことはすでに申上げるまでもないのであります。すでにそういう場合に一昨日も
吉田総理大臣
は、そういう農政問題については今度の
予算
を見て呉れれば分るという
お答え
をされておりますけれども、
予算
を見ますと今申上げましたような
予算
にな
つて
おる、そうして或いは
当局
では全体としての
農地関係
の
予算
の
増額
を強調されるかも知れませんが、併しこれは主として
災害復旧関係
のものでありまして、平常なる
状態
において
農業改良
を
促進
するような
費目
というものは極めて少い、これは
人件費
或いはその他部局の
改廃等
によ
つて
若干
増加
されておる面もあるし、或いは一部面におきましては
農業災害補償等
において若干の
増加
も見られておりますけれども、全体としては余り見るべきものがない、こういうふうに
考え
ることができると思うのであります。特に
農地改革費
におきましては、御
承知
のように
農地委員会
を、
市町村農地委員会
を本年八月までに廃止して、
農業委員会
に統合する案も進められておるわけでありますが、こうした、むしろ逆に
日本
の
農業
の
発展
に
ブレーキ
をかけられるような
状態
に進められておる、こういう
状態
で果して
日本農業
が
国際対外競争力
に打勝つことができる
素地
を作られるかどうか、非常に疑問なきを得ないのであります。更に又本日の
新聞
にも行政機構改革問題として伝えられておるところによりますと、
農業改良局
も廃止の運命にあるやに伝えられておる。これは事実かどうかあとから
大臣
の御
答弁
を聞かなければ分りませんが、そういう
状態
で全体としては、少くとも先程来申上げましたように
国際競争
に対応できるだけの
日本
の強力な
農業
の
基礎構造
を作るための
国家
の投資というものは極めて貧弱なものである、こういうように言わざるを得ないのであります。特にそういう場合に先日も申上げましたことでありますが、最近
主要食糧
の管理問題が再検討されて参りまして、本日の
新聞
を見ますというと、
農林大臣
の談として、
米麦
の今直ぐ本
年度
中に特別に
供出制度
を改革する
意思
はないというふうに言われておりますけれども、とにかく
雑穀
はすでにお
考え
にな
つて
おるし、「
いも
」類は
食管法
の一部
改政法律案
の中に入
つて
来ておる、そういうふうに漸次
農家
は今までの
状態
と
違つた形
において
自分たち
の
生活
を維持しなければならない
状態
に置かれておるわけであります。こういうような場合にとにかくどういう形におきましても
日本農業
が拡大再
生産
ができるような
素地
を
発展
さして行く形だとは受取れないのであります。むしろ逆に
世界農業
に徹底的に叩かれるような形に漸次追込まれて行く、その事のよし悪しは別として、取敢えず大
企業
だけは
合理化
されて行くけれども、
農業
における
合理化
というものは、
輸入食糧
がどんどん入
つて
来て
農家
がどんどん叩かれればそこに又新らしい工夫が生まれるだろうというような形で進められて行くとするならば、いわゆる
農業
の将来は恐るべきものがあると思うのであります。もとより
農林大臣
が非常な
苦心
をされて、恐らく
国内農業
のためにいろいろな
苦心
を重ねられておるということは十分これは了解することができますけれども、併し全体の
見通し
としてやはり今申上げたような個々の当面の小さい
枝葉末節
の問題の
解決
では追付かず、全体として当然近い将来に徹底的に
国際農業競争
にさらされるという
建前
から、そういう
見通し
の下において
予算
を我々
考え
る場合におきまして、今申上げました
通り災害復旧費
を除きますならば、他においてはこれという見るべきものがない、或いは先日
板野議員
が
土地改良費
は毎年減らされているということを指摘されましたけれども、私は正確な
数字
を持
つて
おりませんので、それが正当であるかどうか分りませんが、とにかく今申上げましたように
国営
或いは
都道府県営以外
のものは全部
農家
の
自己資金
と
融資
に委ねられるというような、非常な貧しい結果にな
つて
来ておる。こういう形で
日本農業
が果して
国際農業競争
に対応できるとお
考え
になるかどうか、先ずこの点をお伺いしたいと思います。
森幸太郎
3
○
国務大臣
(
森幸太郎
君)
お答え
いたします。
国際関係
と
国内関係
と、
事情
を二つに
考え
なければならんと思いますが、我が国におきましては、
食糧
問題は、
国内
におきましてあらゆる
食糧
の
増産
を図るということを
目的
としなければならんと存じております。それに対しまして、あらゆる
施策
を施して行く、併し御
承知
の人口の
増加率
は、
日本
の限りある
食糧生産力
を更にオーバーするのであるから、ここに海外の
食糧
によらなければならんという現実が生まれて来るのでありますが、
只今
におきましては御
承知
の
通り
、
外国
の
食糧
が高いのでありますが、今後これが自由な立場に置かれまして、
ガリオア
としての
食糧
も入
つて
来ないという場合において、
補給金
は出すというようなことはでき得ないのであります。その場合に、
外国
の
食糧
が安く入
つて
来た場合におきましては、内地の
農業保護
の
政策
として、これをしなければならんと、かように
考え
ておるのであります。若し将来安い
外国
の
食糧
が入
つて
参りますならば、その安い
食糧
の入
つて
来るについて、
関税政策
を以て
農業
を保護して行くべきは当然であるのであります。これは
外国食糧
に対する
政策
といたさなければならんと存じております。
国内
におきましては、あらゆる
角度
から
食糧
の
増産
を図
つて
行く、これがただ
一つ
の
目的
でなければならんのでありますから、今日までとり来た
つて
おりますところの
食糧増産
の
政策
を、今日の時代に合うようにこれを指導して行く
施策
を練
つて
行くということでなければならんと存じます。
予算
が昨年とは減
つて
いるという
板野議員
の御
議論
もありましたが、大体
公共事業費
に対する比率の問題を
考え
られての御
議論
と
考え
ておるのであります。昨年とは
予算
の総額において
増額
いたしておるのでありますから、前
年度
より減少しているわけはないのであります。
農業
の
奬励
の
施策
といたしましては、今日新らしい刮目すべき
政策
があるわけではないのであります。今日まであらゆる
角度
から歴代の
内閣
が
施策
して参りましたことを、それぞれの悪い所を直して、そうしていい所を伸ばして行く。而も今日のように
災害
が年々繰返されるのでありまするから、この
災害
をできるだけ少くするようにいたしまして、
耕地
の、
耕作
の
安全性
を高めて行くということに力を盡くし、又科学的にはこの
裁培法
の改善、或いは品種の
改良
、技術の
滲透等
をや
つて
行くということを主眼といたしておるのであります。
農地委員
と
農業調整委員
とを、これを
一つ
にいたしますということが、
農地改革
に対して何だか退歩するようなお
考え
があるかも知れませんが、すでに
農地改革
は一応の
めど
に達しまして、もはや完成の域に近付いておるのであります。ただ
登記事務
が尚完了いたさないのでありまするが、今後この町村における
農地委員会
の役は大体これで
終つたの
でありますから、今後の
土地
の
交換分合等
によりまして、
農地改革
の
目的
を汚さないように、落さないように更にこれを高めて行くための処置でありますので、
農業委員会
というものによ
つて
これをいたしましても、結局これが退歩するようなことは毛頭ないと存じておるのであります。 尚
改良局伝
々の記事が今日
新聞
に出ておりましたが、大体これは
行政審議会
でありますか、それの案として出ているのでありまして、まだ私も今日
新聞
で見ただけでありまして、まだ
政府
にこの
答申案
も参
つて
おりません。これはまだ確定的なものではないのであります。どういう所から出ましたかまだ
政府
に対しましては、何の
審議会
における
意思表示
もないのであります。これは一応の案としてあるのでありまして、
政府
といたしましては、この案について更に
研究
を進めるベきであろうと、かように
考え
ておるわけであります。
羽生三七
4
○
羽生
三七君 今
大臣
の御
答弁
中に
国内
の
食糧自給
のためにできるだけ努力をしてという
お話
がございましたが、それはまあ当然そうあるべきだと思うのでありますけれども、その場合に例えば先程私が
ちよ
つと申上げましたように、
食糧管理法
を一部
改正
して「
いも
」を四億万貫の
買入
に制限し、或いは
雑穀
も
供出
後は
自由販売制
を
考え
る、或いは
供出制度
というものをなくするかも分らん、そういう
段階
に来ておるのでありますが、そういうことにな
つて
も
日本
の
農業生産力
、つまり
自給度
が更に高まるとお
考え
になるか、高まるというように
施策
をしているというように
大臣
は
お答え
にな
つて
おりましたが、高まるとお
考え
になるかどうか。 それからもう
一つ
は、これも先日申上げたことでありますが、二合七勺の
配給ベース
で行きます場合に、今の三百七十四万トンの
輸入計画
が完全に実施された場合におきましては、相当
持越米
が過剩になり、その場合にそれは過剩
部分
として公団のストツクにして置きますのか、或いは
一定量
以外過剩の
部分
はできるだけ
輸入
しないように
ブレーキ
を掛けて行くのか、その点を
ちよ
つと明らかにして頂きたいと思います。
森幸太郎
5
○
国務大臣
(
森幸太郎
君)
食糧供出制度
の
改正
のことは、
新聞
にも私の意見を発表してお
つた
わけでありますが、来年の三月末日を以て一応現在の
制度
を変えなければならん
段階
に入るのであります。その場合において手放しでいいかという問題でありますが、まだまだこの
主要食糧
につきましては、相当の統制をして行かなければならないと、かように
考え
ておるわけであります。然らばどういうふうにしてこれをや
つて
行くかということは、
生産力
を、いわゆる
農家
の
生産意欲
を落さないように
供出制度
を
考え
て行きたい、かように
考え
ております。これは現在の
制度
が、多く作
つて
とればとる程これを
供出
せしめるというような、いわゆる
励み甲斐
のないようなやり方にな
つて
おりまするので、遂にこれが真実を言わないというようなことが、今日
供出割当
についての苦情の基にな
つて
おるのであります。それでありますから、そういうようなことのないように今日の
制度
をいたしたい、かように今
研究
を練
つて
おるわけであります。
従つて
「
いも
」を一部解除いたしましたことは、
主要食糧
としての一部に加えるという
意味
において、四億万貫を
買つたの
であります。
雑穀
の問題も一応
めど
が付きまして、七月にな
つて
二十六米穀
年度
の
事情
が大体目当てが付きました場合においては、私の常に皆様に申上げておりますような、
雑穀
の中で主要ならざるものは、これはもう
主要食糧
としての取扱いをせなくてもいいというような
段階
に入ることは、七月以後の
見通し
によ
つて
決めるわけであります。 次のお尋ねの、三百七十四万トンの
輸入
を予定しておる、それでは
端境期
にそんなに必要があるのか、そうすれば二合七勺を二合八勺にも二合九勺にもできるのではないかというような御
議論
も一応成立つわけでありますが、この三百七十四万トンの中に、
食糧
として
考え
ているのが三百四十万トンであります。その中
ガリオア
で参るのが約百四十四万トンと
考え
ておりますが、その残りはいわゆる
日本
の
輸出力
によ
つて
輸入
する。こういう
建前
に一応
予算
が立
つて
おるのであります。
ガリオア
の
食糧
は、これはこの六月までの
アメリカ
の
会計年度
において
輸入
をされると
考え
ますが、それ以外のものは、
日本
のいわゆる
輸出力
によ
つて
これを獲得するというわけでありますので、一応そういう
めど
を立てて
予算
の編成をいたしておるのでありますが、これは結論において
日本
の
輸出力
如何ということによりまするので、この
数字
の上から、
端境期
にそんなに多く持たなくてもいいのではないかという
議論
が立つわけでありますが、一応
日本
の
食糧事情
、又
日本
の今日までの
農業
の
生産状態
から見まして、できるだけの
計画
を立てて置くということが妥当であるという
意味
で、この
輸入計画
を立てたわけであります。
羽生三七
6
○
羽生
三七君 次にお尋ねしたいことは、
農地
問題で、
農地改革
の問題でありますが、これに関連して、恐らく近いうちに
自作農創設法
の一部
改正法律案
が出、これに関連して
地代等
の問題も再検討されると思うのでありますが、何か伝えられるところによりますと、
現行小作料
の七倍ということが予定されておるそうですが、それは事実そういう形で問題を処理されるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
森幸太郎
7
○
国務大臣
(
森幸太郎
君) 現在の
耕地
は
売買価格
というものがないのであります。ただ
農地法
を制定いたしましたときに、
全国
の
賃貸価格
の
平均
が十九円一銭とな
つて
おります。それを田におきましては四十倍、こういうことによ
つて
一応
標準価格
を決めておるのであります。そうして
小作料
は、二石五斗とれる田、これを
標準
の田と見まして、この二石五斗とれる田の
年貢
が、従来の
米年貢
にしまして一石である、それだからこれに七十五円というものを
小作料
と見て来たのであります。これはいつかここでどなたでありましたか、御
議論
したことがありますが、一反が七十五円ということではなしに、
一石当り
が七十五円、田には御
承知
のように二俵の
年貢
の習慣の付いている田もあります。或いは二俵半或いは三俵、一俵半というようにいろいろまちまちに地力によ
つて小作料
が決ま
つて
おるのであります。これはまちまちの
小作料
でありますが、一石に対して七十五円、これを
平均
の
小作料
と見ておるのであります。ところが二十四
年度
におきまして、百分の五百という
地租
が上りまして、そうすると
平均
十九円一銭ですから、これを二十円と見ますと、百円という
地租
がかか
つて
来ておるのであります。そうすると七十五円の
小作料
では、二十五円余の税金が納められない、不足する。こういうことになるのであります。それで今回いろいろの計数から事務的に
考え
まして、七倍に
小作料
を上げて行く。
昭和
二十七年十月から
土地価格
というものを更に制定するのでありますが、それまでの
暫定措置
として七倍にするということを一応
考え
たのであります。併し
年度
の途中でありますので、今ここで七倍の約五百円という
小作料
に上げることは、
年度
の途中の
段階
であるから、それはよろしくないという注意がありましたので、一応小作しておる者が、
水利費
とか
土地改良費
というようなものは、
耕作者
が負担するという過去の実例もありますので、公租の
上つた
だけはこれは
耕作者
が出す、いわゆる
小作料
として加算するということの了承を得まして、そういうふうな取計らいをいたしたいと
考え
ておるのであります。
明年度
からはこれを七倍にしまして、その確定を見たいと、かように
考え
ておるわけであります。
羽生三七
8
○
羽生
三七君 大体七倍値上案がいずれ
政府
の案として出るということが
考え
られることに
なつ
たわけでありますが、この場合私共は
考え
なければならないことがあるのであります。それは他の
物価
が上
つて
来る、或いは
地租
が
上つた
から、
小作料
も
幾ら
でも上げてもいい……
幾ら
でもと言うと
語弊
がありますが、そういう形をと
つて
いいように予定されておりますが、私は
農地
問題だけは少し違うと思うのであります。これはずつと前、昨年の暮でありましたが、やはり
緊急質問
の際に
農林大臣
に申上げたことがありますが、この問題は、他の
物価
との比較でやるべき
性質
の問題ではないのでありまして、
農地
問題はやはり
連合軍
が
日本
を管理するように
なつ
た最初の非常に大きな
命令
で、そういう形からも実行して行かなければならないし、尚且つ又そういう
命令
があ
つた
かないかということは別にいたしましても、私はこの
日本
の封建的な
小作制度
というものが、
日本
を今日まで非民主的な
国家
として、
発展
と言うと
語弊
がありますが、今日に至らしめた非常に大きな原因をなしておると思うのであります。今度の
小作料
とそれが一体何の
関係
があるかと言うかも知れませんが、これが数倍の値上に
なつ
た場合を予定いたしますならば、恐らく私の想像では、
小作人
の
耕作地放棄
というものが相当起
つて
来ると思うのであります。現在の数倍で数百円の
小作料
を拂うことはなかなか困難にな
つて
来る。そこで又
地主自身
も、
統計
を見ますならば、一人の
地主
が保有しておる
面積
は
全国平均
三、四
反歩
と言われておる、非常に微々たるものであります。つまり
地主自身
が
自分
で
耕作
する以外に
小作地
として保有しておる
面積
であります。そういう小さいささやかな
面積
を以て
地主自身
も
生活
できる筈がない。又
小作人
は今申上げました
通り
、今すら困
つて
おる
生活
が漸次困
つて
行くときに、数百円の
小作料
を拂える筈がない。そういう
状態
で、恐らく私は
耕作放棄
が非常に多くな
つて
来ると思うのであります。もう
一つ
は、恐らく他の
企業
におきましてもそうでありますが、例えば
会社
の株を持
つて
おりましても、
会社
に
利益
がなければ、
配当
がある筈がない。つまり
幾ら
配当
して呉れと
株主
が要求したところで
利益
がなければ
株主
に
配当
はいたしません。それと同じように、
小作人自身
が
利益
がないのに一方的に
公定小作料
を引上げて行くということは、私は非常に矛盾しておると思います。現に
農林省
の
統計
によりますならば、
單作地帶
の
農家
が一年に二万或いは二万数千円の
赤字
を出しておるということが明記されておる。そういう
状態
の下において、私は数倍に
小作料
を値上されるというようなことを
考え
ることは、非常な大きな矛盾があると思う。
従つて
このことは他の
物価
と比較いたしまして、他の
物価
が
上つた
から、或いは
地租
が一部
上つた
から上げなければならないという理由は私は成立たないと思います。むしろそういうことで
小作人
に影響を與えるならば、
地租
を上げない方がよろしい。或いは又もつと進んで
考え
るならば、まあ三
反歩
や四
反歩
の
耕作面積
を
小作人
に貸し與えてお
つて
も、
地主自身生活
ができる筈がないのでありますから、もつと根本的な
解決
を
考え
られた方がいいので、今度の諸般の情勢を見ておりますと、いろいろ口では、
政府当局
は
農地改革
を打切る
意思
はないと言
つて
おりますが、実際には私は打切られるのではないか、そういう方向に向
つて
おられるのではないか、私はこういうふうに想像せざるを得ないのであります。無論
政府
が積極的な助成をして、まあこれは一
部分費目
の中に組まれておりますが、
土地
の
交換分合
や、或いはその他に積極的に指導されるような面も、
予算
上多少は計上されておりますけれども、問題はむしろ今申上げましたように、
小作料
の値上ということではなしに、積極的に
農地
の
交換分合等
をや
つて
、或いは
土地改良
をやりまして、
小作人
が積極的にもつと
生産意欲
を持てるような形に
発展
させなければならない。それが今
お話
のように七倍に値上するということが実行されます場合には、恐らく多数の
耕作地
の
放棄
の問題が起
つて
来るし、それから今申上げましたように、この問題は他の
物価
と比較して
考え
ることは間違いである。これはもう
日本
の
封建制
を廃止して行くための基礎的な
條件
だと
考え
ております。 それからもう
一つ
は、先程申上げましたように、普通の個人の
利益会社
でも
利益
がなければ
配当
がないのでありますから、明らかに
農林省
の
統計
では相当の
赤字
の出ておる
農家
にこれ以上その負担を過重せしめるということは、私は少くとも
政府
が
農業
の
国内自給度
を増進することを
考え
られておる先程来の
農林大臣
の言明と極めて矛盾すると
考え
ますが、これに対して
農林大臣
はどういうようにお
考え
にな
つて
おりますか。
森幸太郎
9
○
国務大臣
(
森幸太郎
君) 余り時間がありませんので簡單に
お答え
いたしますが、
農地改革
の
目的
は、今
羽生
委員のお
考え
のように、封建的な
地主
、小作農階級を打破して、そうして民主的ないわゆる作る者が
自分
の田を所有するという自作農創定が尚一歩強化された
改正
であ
つた
のでありまして、これは
土地
というものは
自分
のものだという信念、人から借受けているのではないという気持で、精魂を
自分
の
土地
に打込んで
増産
を図
つて
行く、ここに
農地
改良
の
目的
が
一つ
あると
考え
ておるのであります。併し
日本
の
農業
は御
承知
の
通り
家族労力であります。家族の労力によ
つて
農業
が営まれておるのでありまして、この家族労力というものは実に変転極まりな
いも
のがあります。働き盛りの者がおりましても、嫁に行くとか、或いは養子に行くとかい
つて
他へ労力が失われて行く、又働き盛りの人が亡くなるとかいうので、一定しない家族労力を以て
耕地
を耕やして行くのでありまするから、そこに非常な変化が伴
つて
来るのであります。例えば働き盛りの子供が学校へ行
つた
、もう三年すれば学校から帰
つて
来る。或いは又地方の要望によ
つて
町村長をやる、或いは県
会議
員をやる、暫く
自分
の農耕を離れなければならないような場合に、そのときに若し
耕作
ができなか
つた
場合に、これを
農地
保護の原則に基いて売
つて
しまわなければならんということになれば、折角
自分
が獲得した
農地
が更に小さくな
つて
行く、それでありますからその間暫く二年なら二年、三年なら三年の間この
土地
を他人に
耕作
さして見る、頼む、これが小作の
制度
でありまして、昔の
小作制度
とは違う、それで労力が殖えて来ればそれを約束
通り
返して貰
つて
自分
が
耕作
する。それで一応
小作地
というものを全然なくすという御
議論
が第三次
農地改革
として叫ばれておりますが、そうしますと家族労力の変転によりまして、常に
耕作地
を
政府
に渡す、今は
政府
に渡すことは要らん、直接
農地委員会
がやることになりますが、そういうふうにして折角自作農に
なつ
たものが、家族労力の変化によ
つて
直ぐに
放棄
してしまわなければならん、必ず二年か三年の間に自家労力が補充されることは分
つて
お
つて
も
土地
を離さなければならんという不自然なことが、不合理なことができて来るから、ここに或る一定限度の
地主
の小作
面積
を保有いたしまして、そうして
土地
をいつまでも
自分
の
土地
として愛護して行くということを
考え
て、こういう
制度
を私は残して置くことが
日本
の
農業
の実態に合う、かような
考え
を持
つて
おるのであります。而も
小作料
が高いから
耕作
を
放棄
するということは私は実際問題として恐らくそういうことはないと
考え
ております。私の知
つて
おる範囲におきましても小作を、仮に私の小作をしておる者が君、買いなさい、公定
価格
で売
つて
やるから買いなさいと申しましても、やはり石七十五円の
小作料
で
耕作
をさして頂いた方が、いろいろの收入の面からい
つて
も都合がいい、七十五円というと大きいようでありますけれども、これを農産物の
価格
にいたしますと、米ですると一升
ちよ
つとのものでありますから、これよりもむしろ
自分
が
地主
となることが困るような
耕作者
も実はあります。だから
小作料
が少し
上つた
からとい
つて
耕作
を
放棄
する、或いはこれを捨ててしまうというようなことは、恐らく事実において私はないと、かように
考え
ておるのであります。
羽生三七
10
○
羽生
三七君 それでは
大臣
はお急ぎのようでありますので明日に讓りまして、今の点だけ簡單に、御
答弁
があ
つて
もなくてもよろしいが、
耕作地
の
放棄
を起らないという御想像のようでありますが、現に起
つて
おる場合もある。私の言うのは七倍に引上げた場合に、そういうことも起り得るだろうということであります。それから先程の一部の特殊な人が
耕作
を
放棄
した場合のことをお
考え
にな
つて
、新らしい
農地
調整法の
改正
をお
考え
にな
つて
おるようでありますが、私はそういう場合も勿論あるでありましよう。併しそういう場合はむしろ新らしい
意味
の市町村の
土地
管理組合なんかを作
つて
、そこで合理的に
解決
できる問題で、それを今度のような
改正
案に持
つて
行くことには大分私は意見が違うのであります。併し又日を改めて、時間がないようでありますから、申上げたいと思います。
山田佐一
11
○委員長(
山田佐一
君) 主税局長が来ておりますから主税局長に……それでは速記を止めて。 〔速記中止〕
山田佐一
12
○委員長(
山田佐一
君) それでは速記を始めて。
通告順
によ
つて発言
を許可いたします。岩男君にお願いいたします。
岩男仁藏
13
○岩男仁藏君 ドツジの原則に則
つて
現
内閣
の財政
政策
といいますか、池田財政といいますが、それによ
つて
提出
されました本
年度
の
予算
、これについての総括的の質問は同僚の田村、或いは岩木その他の諸君からいろいろ論議されて
大臣
の非常に頑固な超均衡
予算
を堅持するというようなお
考え
は
承知
いたしたのでありますが、この問題について重ねていろいろ論議する必要はないと思います。で私は具体的の二、三の問題について單刀直入に
一つ
お尋ねしたい。 その前に申上げたいことは、この農村方面或いは中小商工業の方面が恐慌といいますか、どん底の不景気といいますか、非常に悲惨な
状態
に陷
つて
おるにも拘わらず、これをそのまま看過するというこの現
政府
の態度については、私は賛成はできないのであります。
大蔵大臣
は一国の財政を担当されておるお医者にな
つて
貰いたい。お医者でも籔医者では駄目であります。いわゆる名医にな
つて
頂きたい。さつき申上げましたように、中小商工業者が三人或いは五人と倒産、或いは死ぬ、三人、五人ではありません。これは同じく
農業
方面もその
通り
であります。非常に苦境に追い込まれておるということは現実の問題であります。この現実の問題に対して目を蔽うて飽くまでもインフレを收束させるためには国民に堪え難きを忍んで貰わなければならん。こういう行き方が果して立派なお医者さんと言い得るでありましようか。最初の処方箋、病気を診断いたしまして、これは盲腸炎だ、胃潰瘍だ、その処方箋を最初からお終いまで変えずして病気が治るものではありません。いわゆる名医は対症療法をやるのであります。その病状の経過によりまして処方箋は変
つて
来ます。この点について私は御
答弁
を頂きません。
大蔵大臣
の御反省といいますか、近き将来に起らんとするところのこの問題に対して強い警告を発して置きたいと思うのであります。これが冐頭であります。第一にお伺いいたしたい問題は
食糧
政策
の問題であります。
日本
の
食糧
は人口と比べて非常に
食糧
が足りない。足りな
いも
のを
外国
から
輸入
する。今年は三百七十五万トンかの
輸入
の予定をしております。これは結構なことであります。併し今の
内閣
、殊に総理の施政方針演説にもはつきりと述べられておりますように、
食糧増産
をして
自給度
を高めるための有効適切な
農業
政策
を打立てる、こういうようなことをはつきり示しております。先般同僚の
羽生
君が
緊急質問
を本
会議
でいたしまして、この点についていろいろと申されたのでありますが、総理は実に不親切な
答弁
をや
つて
おります。それは本
年度
提出
した
予算
を見ろ、ところが
予算
を見ても、どこにも
食糧
を
増産
して
自給度
を高めるような、そういう
施策
が講ぜられておらないということを私は遺憾と思うものであります。無論
災害
による
耕地
の復旧の費用は増しております。
土地改良費
はどうでございましようか。ああいう金額で以て果して
食糧
の
増産
ができ、
自給度
を高め得るかどうか、足りない分は
外国
から取ればいいじやないか、国際的には
食糧
は非常に余
つて
おる、殊に
アメリカ
のごときは恐らく
日本
の一年分の
食糧
の三倍以上が余
つて
おるということを
新聞
は伝えておる、カナダや東南アジアなど
生産
過剩で困
つて
おるかも知れません。それを我が国に直接
輸入
すればそれで事足れりというような
政策
では私は駄目だと思う、飜
つて
曾つの
日本農業
の恐慌時代に、
小麦
に例を取ると、一千万石に減じておりましたところの
小麦
が、
農林省
の
増産
五ケ年
計画
によ
つて
僅に四年足らずを以て三千五百万石に殖えております。又我が国においては今日平年作において六千二、三百万石、而も
昭和
十二、三年頃は七千三百万石の
生産
をいたしておる記憶があるのであります。
農業
政策
よろしきを得れば、これは私は
国内
の
食糧
の自給自足不可能ではあらんと、こういう確信を持
つて
おるのであります。これに対して大蔵
当局
は如何なるお
考え
をお持ちでありますか、承わりたいのであります。
池田勇人
14
○
国務大臣
(池田勇人君) 私の財政経済
政策
に対しまして、病人のお医者の例をお引きにな
つて
、御警告を頂いて恐縮に存ずるのでありますが、私はその
お答え
といたしまして、こういう
お答え
をしたいのであります。チブス患者が一命を取止めまして、今恢復期に入
つて
おるのであります。重湯から段段固い御飯に移
つて
参るのでありますが、重湯ではいやだから固い御飯にしろとい
つて
も、これを許す名医はなかなかない、私はそれはもう少し暫らくお持ち願いたい、段々おまじりにし、普通の御飯にして行きたい。こういう例えで
お答え
申上げたいと思うのであります。 次に我が国の
農業
政策
が、とにかく
食糧
関係
についてどういう
考え
を持
つて
おるかという
お話
でございます。これは私は專門外でございますが、御
承知
の
通り
に我が国従来の
農業
政策
というものは、朝鮮米、台湾米のことを頭に置きながら、即ち、植民地統治という観点から相当賄なわれてお
つた
のでありますが、御
承知
の
通り
朝鮮、台湾を加えますと大体毎年千四、五百万石ぐらいは
輸入
されてお
つた
のであります。これがなくな
つて
参りまして、而も片つ方では、千数百万人の人口が
増加
しております。ここにいわゆる
日本
の
農業
政策
の何んと申しますか、
事情
変化が来ておるのであります。
お話
の
通り
にできるだけ自給態勢を整えて行かなければなりません。従いまして先ず治山、治水に金をかけ、又できるだけ
土地改良
、開墾その他に経費を持
つて
行
つて
おるのでございます。これは
予算
を御覧下されば、
土地改良
を加えまして、
土地改良
につきましても相当
増加
しておるのであります。これを一気にすぐ沢山出せ、こう言われましても、これは国民負担等も
考え
なければなりません。経済全体について見て行かなければなりませんので、できるだけ早くはいたしますが、財政経済の
事情
上、今御審議願
つて
おり程度にしか至
つて
おらないのであります。私は全体の経済がはつきり確立いたしますならば、もうどうしても足らない主食の
増産
に力を入れて行きたいと
考え
ておる次第であります。
岩男仁藏
15
○岩男仁藏君 財政の
関係
からもう少し出したいが出せないというような御
答弁
のように伺
つた
のでありますが、それでは私甚だ失礼でございますが、財源を差上げましよう。物事には緩急があります。又本末があります。前後があります。本当に現
内閣
が
食糧
の
自給度
を高めて自給自足の域までやりたいというその強いお
考え
、熱意といいますか、熱意があるならば、やり方はあるのであります。これはたびたび先輩の同僚からも御意見の発表があ
つた
ようでありますが、千二百八十億の債務償還、これは如何なものでございますか、我々は本
年度
の
予算
でこういう巨額の債務償還をする必要がどこにあるか、又受ける方の側から言
つて
必要がないということをはつきり、先般のこの
予算
委員会における公聽会で公述人からも異口同音にその意見の発表があ
つた
のであります。その中には銀行の頭取、相当の権威者でありますが、そういう方もはつきりとそういう公述を述べられておるのであります。私はこの公述者に共鳴をいたした一人でありますが、どうか
一つ
外国
からの
食糧
輸入
、これに依存せずに八千万国民を自給自足によ
つて
養
つて
行く、こういう熱意の下に、
予算
のやり繰り、財政的の工面の措置を講ぜられておれば、私はこの金を、
数字
はこれははつきり言えませんが、五百億ぐらい、或いは三百億ぐらい、全部それを私は
農業
政策
、この面に持
つて
行けというのではありません。
食糧
政策
の面に持
つて
行けというのではありませんが、相当そういうやり繰りのできることを、組替えができることを
考え
ておりますが、これについての御所見を伺いたいのであります。
池田勇人
16
○
国務大臣
(池田勇人君) 本国会中賃金問題を中心にたびたび
議論
を交したのでありますが、昨日も債務償還の必要につきましては申上げたのでお許しを願いたいと思いまするが、私は
農地
の
改良
が必要だからというので、そればかりに力を入れて行くということも如何なものか、やはり経済の自立態勢を徐々に整えて行くやり方が一番いいと
考え
まして御審議願
つて
おるような
予算
にしたのであります。決して
農業
をおろそかにしておるのではありません。
災害
復旧その他の費用について前
年度
とお比べになりますれば、相当我我の
農業
に対する力の入れようがお分りになると
考え
ます。
岩男仁藏
17
○岩男仁藏君 これ以上いろいろ
議論
を交す必要はないと思います。ただ申上げて置きたいことは、吉田
内閣
はどうも
農業
政策
、中小商工方面の
政策
は甚だ貧困である、これは国民の合言葉に今な
つて
おるということだけは
一つ
、これは苦言か知りませんが、これをはつきり申上げてこの質問を打切ります。 次にお伺いしたいことは、これは前の国会、その前の国会からの問題でありますが、これは私その外の委員からもいろいろと質問がなされて、又責任ある
大臣
或いは
大蔵大臣
の御
答弁
を承
つて
おるのでありますが、それの実現ができないから私繰返してお尋ねするのであります。それは
農業
に関する長期金融の問題であります。この前の第六国会の補正
予算
の出たときの
大蔵大臣
の御
答弁
は、今直ぐになるような
お話
であ
つた
、
農林大臣
に聞いても今直ぐに、その準備が着々できて、今直ぐにでも実行する……段々月日は流れて行きます。併しこれは呑気に扱うべき
性質
のものではない、事は極めて重大であります。これについてはどういうお
考え
をお持ちにな
つて
おるか
一つ
御発表願いたいのであります。
池田勇人
18
○
国務大臣
(池田勇人君) 長期資金の円滑を図りますために、
只今
国会に提案いたしまして銀行等の債券発行に関する法律案を御審議願
つて
おるのであります、この内容につきましては、特定の銀行を予想しておりますが、例えば農林中央金庫、或いは商工中央金庫に出資をいたしまして、そうして長期の債券を発行する、それによ
つて
農林中央金庫は農林水産業に長期資金を融通して行こう、こういう
考え
で進んでおるのであります。
岩男仁藏
19
○岩男仁藏君 次に
農地
証券の償還の問題についてお伺いしたいのであります。実はこれは前の国会で十億でありますか、今度は四十二億五千万円、合計五十二億五千万円ばかりの
農地
証券の償還をしたのであります。これは誠に結構なことと思うのでありますが、尚残りが相当額あるわけでありますが、全部これを償還するところの御
意思
があるかどうか、その大体の
見通し
をお伺いしたいのであります。
池田勇人
20
○
国務大臣
(池田勇人君) これも実は
お話
の債務償還の中に入
つて
おるわけであります。全体の金額は百億足らずだ
つた
かと思います。それが予定よりも非常に早く入
つて
参りまして、二十三
年度
では十億、二十四
年度
では二十五億償還することにな
つて
おるのであります。今の状況から申しますると、そんなに長く待たなくても、予定は二十年くらいでございましたか、相当早く入
つて
参ります。又入
つて
参りましたら、できるだけ早急に償還いたしたいという
考え
であります。
岩男仁藏
21
○岩男仁藏君 次にもう
一つ
お伺いしたいのでありますが、それはこの
農地
の担保力、担保権と言いますか、その問題であります。
農地改革
の結果によりまして、これははつきりした
数字
は言えませんが、凡そ五百億円以上の
農地
の担保力が完全に喪失されているのであります。これが農村金融を阻害するところの
一つ
の大きな原因とな
つて
おります。これについて
大蔵大臣
としてはどういうお
考え
をお持ちにな
つて
おりますか。
池田勇人
22
○
国務大臣
(池田勇人君)
お話
の
通り
農地改革
以後、
農地
の担保力が非常に経済的に、或いは法制的に削減されたということは同感に存じております。
岩男仁藏
23
○岩男仁藏君 実はこれは漁業権の方は担保権があるのですが、ひとり
農業
方面にないのであります。これは私の知
つて
いる範囲では
関係
方面に覚書らしいのでありますが、これについて
一つ
、これは農村金融の面から非常に大きい事柄でありますからして、大蔵
当局
は熱意を持
つて
その筋と御交渉して、早く実現のできるようになさる御
意思
があるかどうかということをお尋ねしたいのであります。
池田勇人
24
○
国務大臣
(池田勇人君)
只今
その担保権の問題で検討いたしておりまするが、何分にもあの
農地改革
の
考え
方は堅く言
つて
おりますので、検討はいたしておりますが、まだ公表するとかいうまでに至
つて
おりません。 〔木村禧八郎君「
緊急質問
をいたします。」と述ぶ〕
山田佐一
25
○委員長(
山田佐一
君) 緊急でなしに、あなたの順ですから……。
木村禧八郎
26
○木村禧八郎君 併し、今までの申合せで大体定足数がなくても審議することにな
つて
おりますけれども、とにかくこれで四十五名の委員のうち我々六人だけです。こういうことで一体重要な
予算
審議をですね、それは程度の問題ですけれども、余りにひど過ぎるのじやないかと思います。こういう
状態
は……。
山田佐一
27
○委員長(
山田佐一
君) 御尤もですから、大体は登院しておられると思いますから呼びにやりました。時間の都合上審議だけはお進め願いとうございます。
木村禧八郎
28
○木村禧八郎君 では、
大蔵大臣
に御質問申上げたいのですが、先ず
予算
の編成の根本方針の問題から御質問申上げて行きたいと思います。 我々に配布されました
昭和
二十五
年度
予算
の説明、こういう書類がございますが、これを見ますと、八月六日に閣議決定を見ました
予算
編成方針が掲げられてありまして、この編成方針に基いて
予算
を編成したということにな
つて
おりますが、それを見ますと「総合
予算
の真の均衡をあくまで堅持し、既にその緒についた経済安定を確保するとともに、経済基盤の充実と輸出貿易の振興とを基軸として、経済の合理的かつ自主的運営態勢を推進する」ことを
建前
として編成された、こういうふうにな
つて
おりますが、ここで先ずこの
予算
編成の根本の問題としてお伺いいたしたいのは、この
予算
を実施することによ
つて
経済の合理的態勢を推進するということはどういうことであるか。それから経済の「自主的運営態勢を推進する」というのは、具体的にどういうことか、先ずこの二点についてお伺いいたしたい。
池田勇人
29
○
国務大臣
(池田勇人君) それは
予算
の説明書の冒頭に掲げてありますように、ああいう九つの
施策
をや
つて
行くことが、合理的或いは自主的な経済態勢の確立になるということであります。
木村禧八郎
30
○木村禧八郎君 そういう抽象的な御
答弁
を聽いているのじやない。成る程
予算
の特色、
予算
編成の
條件
、いろいろ掲げてありますが、この中で具体的に合理的というのはどういうことであるか、例えば
補給金
を削
つて
経済統制を撤廃して行く、自由経済にして行く、そういう形で経済を運営して行くように
予算
を編成するというのが合理的なのであるか、その合理的の
意味
ですが、これを具体的に、この中からどこを指して合理的といわれるのか、その点を承わりたい。
池田勇人
31
○
国務大臣
(池田勇人君) 今
お話
のような点も合理的でありますが、そうして又減税したり、或いは
公共事業費
を殖やしたり、或いは債務償還をする、そういうことも合理的、自主的な経済態勢であると
考え
ております。
木村禧八郎
32
○木村禧八郎君 それでは分りましたが、それは今後の御質問によ
つて
それが果して合理的であるか、或いはむしろ逆に不合理であるか、この
予算
を実行することによ
つて
不合理を推進することになるかどうかは、今後具体的に私はその点について御質問申上げたいと思うのです。 それから「自主的運営態勢を推進する」、この「自主的運営態勢」ということはどういうことなのですか。
池田勇人
33
○
国務大臣
(池田勇人君) これは統制経済の撤廃、
補給金
の削減等を
意味
しておるのであります。
木村禧八郎
34
○木村禧八郎君 それは自立的な態勢への推進であ
つて
、自主的ということではないのじやないですか。
池田勇人
35
○
国務大臣
(池田勇人君) これは
考え
方の問題でございまするが、今の統制経済の撤廃、或いは
価格
差
補給金
の撤廃の線に向
つて
行くこと、或いは経済の自立を図るために輸出貿易を振興する、いろいろな点があると思うのであります。
木村禧八郎
36
○木村禧八郎君 普通社会通念によりますと、自主的ということは
政府
において、その
政策
を
政府
の意見において運営するとか、或いは国会の議決に基いて
政府
がその法律案を運営するとか、又は
日本
の経済の運営する場合において、
日本
国民の自主的な立場において経済を運営することができる。こういうことが自主的と思うのですが、その点についてはどうお
考え
ですか。
池田勇人
37
○
国務大臣
(池田勇人君) 私が書いた
意味
はそういう意堤ではないのであります。今は
日本
は米国の援助によ
つて
相当賄
つて
おるのであります。この援助なくして、自立経済の態勢を強化することを
意味
しておるのであります。
木村禧八郎
38
○木村禧八郎君 それでは私が今言
つた
ような
意味
ではこの自主的なその運営というものはできない。占領下においては自主的な運営はできない、そういうふうに解釈してよろしいのですか。
池田勇人
39
○
国務大臣
(池田勇人君) 私の
予算
編成方針並びに説明に書いておるのは、そういう
意味
ではないのでございます。今
お答え
した
通り
の
意味
でございます。
木村禧八郎
40
○木村禧八郎君 それでは分りました。この間総理
大臣
が
答弁
されたように、例えば地方税の問題でも司令部がオーケーを呉れなければ仕方がない、或いは又我々がこの
予算
を修正しようと思
つて
もそれができない、こういう
意味
での自主性がない。我々はその自主性がないと思うのですが、そういう
意味
の自主的という
意味
ではないわけですね。
池田勇人
41
○
国務大臣
(池田勇人君) 今の
予算
編成方針の自主的というのは経済的、自主経済の確立、自立経済の確立に使
つて
おるのであります。而して占領治下における政治問題として総理はどうお
考え
に
なつ
たか知りませんが、占領治下においては或い程度の制約を受けることは当然であります。
木村禧八郎
42
○木村禧八郎君 その制約という言葉は、その枠内において自主的にする、運営できるということは、これは可能であると思うのです。それで今
お話
を聽きますと、この自主的という
意味
は、例えば自由経済に持
つて
行くというように
考え
られるのです。段々統制を撤廃して
補給金
を削減して、そうして自由経済にして行く、それで
企業
者が
政府
の干渉を受けずに自由に経済を運営して行くように、し得るように持
つて
行く、それが合理的であり且つ自主的である、こういう
意味
なのですか。
池田勇人
43
○
国務大臣
(池田勇人君) 先程来御答えした
通り
であります。その
意味
もありますし、又我が国の自立経済の確立、輸出振興或いは産業を復興いたしまして、援助を成るべく少くするように
自分
の力で
自分
でや
つて
行こうということが、
予算
編成に書きました
意味
であるのであります。
木村禧八郎
44
○木村禧八郎君 自立経済ということもこれに含まれているわけでございますね。それならばあとでは自立経済というものが
一つ
の特色にな
つて
おる。この
予算
は自立復興
予算
である、こういうふうに書いてあるのですが、それなら分るのですが、特に自主的運営ということを強調されておりますので、自主的運営というのは例えば我々の見解によれば、今度の貿易協定でも、貿易する場合
日本
が
輸入
しなくともい
いも
のを
輸入
しなければならないというような貿易の場合において自主性がないわけです。そういうような自主性のない貿易を成るべくやらないようにして行く、要らな
いも
のは
輸入
しないようにする、そういう経済運営の自主性、そういう態勢を
促進
するということは含まれておらないのです。それから更に例えば
アメリカ
のエード・フアンド、援助資金なんかを借りた場合、これをドルで自由に使えるようにして貰えれば、
日本
の経済に非常に自主性が出て来て、貿易なんかもやりいいようにな
つて
来る。そういうようなことに努力されるという
意味
ではなくして、そうしてただ自立経済、成るべく
アメリカ
の援助を少くするという、そういうことだけであるのですか、この点は今後の
予算
審議の上に、又
政府
の今後の
政策
を検討する上に非常に今重要な点であり、私は自主態勢を推進するということを今申上げましたような
意味
に解釈して、それならばこれは
政府
は非常なる決意を持
つて
、そうして今までの本当に自主性のない戰領
政策
の枠内においても、我々から見て自主性のないような経済運営のし方をしておるから、それをもつと自主性のあるように回復したいという意図が含まれておるのだと思うが、非常にくどいようでありますが、この点もう一度お伺いいたします。
池田勇人
45
○
国務大臣
(池田勇人君) それはあなたの思い過ぎでございまして、私は
予算
編成につきまして、外交問題を編成方針で規律しようという方針は持
つて
おりません。別個の問題として考究すべきものと思
つて
おります。
木村禧八郎
46
○木村禧八郎君 そういう御
答弁
であれば又お尋ねしますが、私は外交問題を言
つて
おるのではない。本当に
日本
の経済を再建する場合に、国民負担を軽くしたり、又貿易でも
日本
が有利になるようにする場合、これは外交問題になるかも知れないが、基本は経済です。例えば非常に高
いも
のを買わされておるとか、或いは安く売らされておるとか、これはマーシヤル
計画
なんかにおいても問題に
なつ
たのです。ポンド切下の前に、
アメリカ
の援助資金の使途が制限されておる。例えば
アメリカ
だけからイギリスが援助資金で
小麦
を買わなければいけないというのを、協定によ
つて
いろいろカナダから買
つて
もいいとか、そういうように改められて行
つた
。これは非常にイギリスの貿易にと
つて
有利だと思う。これは外交問題でもありますが、そういう
日本経済
を有利にするように努力する、無論懇請して努力する、そういう意図が私は含まれておると思いまして、そうしてこれは成る程
政府
は非常に
日本
の経済運営の再建のためにいいことを謳
つた
、自主的ということはいいことである、そういう解釈……、ところがそれは思い過ぎであ
つて
、
政府
はそういうことは
考え
ていない。やはり占領下ではし方がない、思うまま、言われるままにそういうように
日本経済
再建に有利なように努力する
意思
はないのであると、そういう
意味
に我々は解釈せざるを得ないのですが、それでよろしうございますか。
池田勇人
47
○
国務大臣
(池田勇人君)
予算
編成方針の自立ということは、あなたがお
考え
にな
つて
おるようなことを
意味
しておりません。あなたが別にお
考え
にな
つて
おるようなことは、我が国の政治問題として私は別個に考慮いたしておるのであります。(「切離して
考え
られない」と呼ぶ者あり)
木村禧八郎
48
○木村禧八郎君 それはもう全く政治とか外交とかそういうものを切離して
考え
る……これは常識論です。政治と経済、政治と外交を分離できないことは明らかである。苟くも
大蔵大臣
たるものが経済の何たるもの、政治の何たるものを理解しておらないのだと思います。それは單にここで私の質問に対して、それを当座
予算
というような狭い見地からそれを
答弁
する、そういうあれに過ぎないと思うのです。今後やはり財政と
予算
の問題を
考え
る場合に、政治も外交も経済も全部引括めて
予算
の問題を
考え
なければ、これは近代の経済の下における
大蔵大臣
としての私は資格はないのじやないかと思います。これ以上
大蔵大臣
の
予算
編成の
考え
方についてお伺いしても無
意味
でありますから、質問を続けますが、結論として、
大蔵大臣
は政治も外交も経済もこれを総合的に
考え
ていない、財政の編成を、ただ技術の点のみからこの
予算
編成というものを
考え
ておる、こういうふうに私は解釈して質問を進めたいと思います。 この
予算
編成の基礎として一番重大な点は、これは本
会議
でも御質問申上げましたが、併しあのときの御
答弁
では満足できないので、もう一度ここで改めてお伺いして置きたいのですが、それはいわゆる
日本経済
が安定しておる、そういう認識に基いて、更にこの安定をますます強化して復興に持
つて
行く、そういうお
考え
を基礎にしてこの
予算
の編成されておる。ところで
大蔵大臣
は安定をしておることの証拠として、
日本
銀行券が
昭和
二十三
年度
に三千五百五十二億、二十二
年度
が三千五百五十三億、
日本
銀行券の発行高が変らないということを以て、通貨には何らさしたる異常がないということを以て安定の指標、安定の証拠としておられますが、
大蔵大臣
は通貨と経済の問題を
考え
る場合に、預金通貨というものをお
考え
に入れないで
考え
てよろしいのでありますか。
池田勇人
49
○
国務大臣
(池田勇人君) 御質問は
お答え
を繰返すようでありまするが、この
予算
編成方針にあ
つた
自立経済というものの文句の
意味
はどうかというので答えておるのであります。
大蔵大臣
、
国務大臣
としての
政策
の問題は又別個に
考え
なければならんと思うのであります。私の答えは
予算
編成方針にありましたあの字句のことについて
お答え
したのであります。 次に
日本
の経済の安定が軌道に乘
つて
来た。これからますます安定から復興へ進むのだという
考え
方には間違いない。そこでどうしてそういうふうなことに
なつ
たかと申しますると、これは通貨の面におきましては、御
承知
の
通り
ああいうふうに大体横這いで行
つて
おります。
生産
も上昇に向
つて
参
つて
おるのであります。こういういろいろな経済の諸情勢の下において私は申上げたのであります。勿論通貨を論じますときは預金通貨を頭に入れておることは当然であります。
木村禧八郎
50
○木村禧八郎君 それではお尋ねいたしますが、預金通貨を含めますと通貨は殖えておるのであります。即ち
昭和
二十四年の十月をと
つて
見ますと、預金通貨を入れますと三千六百九十三億、二十三年は三千二百七十八億で、四百十五億も通貨は殖えております。預金通貨を入れますと通貨は殖えておるのであります。併しながら
日本
銀行券の発行高は変
つて
おりません。これでも通貨は横這いであるということは言えるでしようか。四百十五億も殖えておる。この点はどういうふうにお
考え
ですか。
池田勇人
51
○
国務大臣
(池田勇人君) これは二十三年と二十四年とを比べますというと、
物価
の状況も変
つて
おりますし、そうして
生産
の状況も変
つて
おりますから、通貨プラス預金通貨としては殖えておりましよう。これは当然のことであると思います。
木村禧八郎
52
○木村禧八郎君 それでは
大蔵大臣
は何故経済安定
事情
の場合に、
生産
が殖えておるということをおつしやるのですか。
生産
が殖えておりながら
日本
銀行券はこれは変らないという場合には、これはデフレになるのです。
生産
は二割四分殖えておると言われます。
生産
が殖えておるのに
日本
銀行券が変らない、この
生産
と
日本
銀行券との
関係
はどうなんですか。
池田勇人
53
○
国務大臣
(池田勇人君)
日本
銀行券はいろいろな情勢によ
つて
変
つて
来るのであります。御
承知
の
通り
に昔は相当増発その他があ
つた
のでありまするが、それが経済界の安定、通貨信用の安定によりまして預金にどんどん廻
つて
来たことも御
承知
の
通り
であるのであります。だから全体の問題として私は論ずべきだと
考え
ます。
木村禧八郎
54
○木村禧八郎君 どうもその御
答弁
が納得できないのですが、経済が安定している証拠として、
日本
銀行券の発行高が変らないということを以て
一つ
の証拠としておられるのですが、ところが通貨と経済の問題を
考え
る場合には、預金通貨も含めて
考え
るべきであるということについては、
大蔵大臣
は承服されたのです。ところで預金通貨を含めて通貨の流通量を見ますと、四百十五億も殖えておる。この殖えておるのは、それは取引が殖えたから殖えておるので、
生産
も殖えたから殖えておる、そんなら
日本
銀行券も殖えなければならん。なぜ預金通貨が殖えたか、これが問題なんです。どういう形で預金通貨が殖えているか、これは取引が殖え、
生産
が順調に行
つた
からではないと思うのです。滯貨金融の貸出しその他によ
つて
、そういうために非常な他のいわゆる支拂手段、債務の償還というものは、購買の支拂によらなければならんので、いわゆる支拂額としての通貨が殖えておると思う、これは経済が安定している証拠じやないと思う。
大蔵大臣
は今後国民に経済の安定している指標として示すべきは、
日本
銀行券の発行高ではなくて、預金通貨を含めた通貨流通量をこれを安定指標として示すべきではないでしようか。
池田勇人
55
○
国務大臣
(池田勇人君) 発表の形式によりまして、含める場合もありますし、含めない場合もあるのであります。それは必ずしも
日本
銀行券の発行高に預金通貨を常に含めなければならんとは私は
考え
ておりません。
木村禧八郎
56
○木村禧八郎君 それはお説の
通り
であります。併しながら経済が安定しておる証拠として指標を掲げる場合には、預金通貨を含めなければこれは一般の常識に反すると思うのです。通貨という場合に、これはもう前にイギリスなんかにおいても御
承知
のように、このイングランド銀行の
改正
に当
つて
、そういう
議論
が起
つて
お
つた
。單に現金通貨だけを以て、そうして通貨流通量と
考え
るのは、近代の信用通貨の下においてはこれは間違である。預金通貨も含めて行くべきで、それと経済との
関係
を
考え
る。そうすると
日本
銀行券の発行高が変らないということだけで経済が安定しているということにはならない。 そこでもう一度お伺いしたいのですが、
大蔵大臣
が、本
会議
における私の質問に対して、よく分らないということをおつしやいましたが、仮に
日本
銀行券が三千五百五十二億程度で変らないとしましても、流通している
日本
銀行券の内容の変化ということをお
考え
に
なつ
たことがあるか。それは債務の償還のために国民から税金をとる、その税金が国民の懐にある場合には、これは單なる購買力だが、税金をと
つて
債務償還として銀行に金を渡す、そうして旧債の償還としてその金を税金からとるから財政的にはデフレが生じます。このデフレを銀行に旧債の償還として渡した金を、貸出によ
つて
今緩和しておるのが実情だと思う。それをいわゆるデイス・インフレと言
つて
おるのです。そうして財政的なものを信用インフレで補
つて
、そうして通貨の発行高が変らないからデイス・インフレと言
つて
おるのですが、銀行から今度貸出す場合を
考え
なければならん。我我が手許に持
つて
いたときのこの金とは違うと思う。銀行から貸出すものは利子が付きます。期限が来れば回收するのです。
従つて
通貨の
性質
は変
つて
いるのです。最近個々で流通している通貨も、税として我々からと
つて
債務償還をしなければ、購買力として流通しておるのですが、多くの人は、中小業者でも或いはその他の
企業
者でも、懐にある金はまだ持
つて
おりますが、その金は銀行から借りて金利の付いた金を持
つて
おる。
従つて
その金利を支拂わなければならん。そういう通貨が流通しておる。非常に多く流通しておる。そうして金利を拂うためには、これは金利は利潤から生じて来るのですから、利潤の中から金利を拂わなければならん。ところが御
承知
のように滯貨が非常に沢山あ
つて
企業
は儲からない。儲からないから、その金利を拂うために
企業
の整理をしたり、或いは賃金の切下をしたり、労働強化をしたりして、そういうふうにな
つて
いわゆるデフレ的の影響が来る。
従つて
通貨の量は変らなくても、流通しておる通貨の
性質
が変
つて
来たために、それがデフレ的な影響を與えた。それが金詰りという形をと
つて
来ておる。この通貨の、流通しておる通貨の
性質
の変化については
大蔵大臣
は
考え
られたことがあるのでありますか。
池田勇人
57
○
国務大臣
(池田勇人君) そういうことは私は
考え
たことはございますが、大した問題ではないと思
つて
おります。
木村禧八郎
58
○木村禧八郎君 そこに
大蔵大臣
のいわゆるデイス・インフレ論が生まれて来るので、それは余りにも形式的である。近代社会における通貨の役割ということを全然お分りにな
つて
いないと思う。銀行貸出というものは、今の経済界を動かしておる一番大きな量にもな
つて
おりますし、それから支配力にもな
つて
おる。
大蔵大臣
も御
承知
の
通り
に、銀行預金の大体八割、九割というものは貸出にな
つて
いる。最近の金融は証券界が非常に情勢が悪いので、銀行貸にうんと力を入れておる。それが大きく経済界を支配しておる。最近では、私の
考え
によればいわゆる貸付資本の過剰、貸付資金の過剰がこういうようなデフレとか、或いは恐慌というようなものにな
つて
来ておる。その資金が資金としては蓄積されてお
つて
も、現実資本として運転して行かない、こういうところにある。それも大した影響がない、それでは
日本
の経済の実情を、現在における実情を何ら全然私は御認識がないと思う。それでこの財政、
予算
を……そういう
考え
で
予算
を編成されておる。そうしてこの
予算
編成によるところの経済の影響というものをそういうようにお
考え
にな
つて
おれば、これは全く私は見当違いであると思う。それがためにますます経済が混乱して行く。事実復興どころではない、私はむしろ非常に不安定の
状態
が増して来ると思う。そうでなければ金融
政策
について、それでは今まで
通り
の
政策
を強行して行
つた
らいいということになる。それでも
大蔵大臣
は大したことはないという
意味
にお
考え
にな
つて
おりますか。
池田勇人
59
○
国務大臣
(池田勇人君) 私は木村さんの御
議論
がどこにあるか分らないのです。
日本
銀行券の発行高に通貨を加えなければいかん、それから
自分
の懐にあるものが貸出に廻
つて
、それから流通高の
性質
が違
つて
来る、それから又預金の金詰りの問題が起
つて
来る、それから今度は預金に対して貸出しの
増加
が沢山ある銀行経済はどうかと思う、ここに何の繋がりがあるか、私は了解に苦しむのであります。
木村禧八郎
60
○木村禧八郎君 それはあとでお帰りにな
つて
、靜かに
考え
て頂きますれば一連の
関係
が分る。(笑声)それは
大蔵大臣
がデイス・インフレと言いながら、経済の
統計
の指標の上だけでは安定しておるように見えながら、実際の経済実態が非常なデフレ的な
状態
にな
つて
来ておる、その証拠なんです。この一連の
関係
がお分りになれば、私の質問も分ると思うのです。それではそのように頭が混乱されておれば、(笑声)いたし方がありませんから、次にもう
一つ
の重要な問題について御質問したい。
大蔵大臣
、或いはこれは安本長官にもお伺いしたのですが、
生産
が
増加
しておるということを以て経済の安定している指標、証拠としておられる。ところが
生産
の
増加
は何に基いて起
つた
か、その原因は
大蔵大臣
はどういうふうにお
考え
にな
つて
おりますか。
池田勇人
61
○
国務大臣
(池田勇人君) 国民の
増産
意欲もありますし、又原価引下の
関係
もございます。いろいろな問題の結果で起
つて
いるのであります。やはり経済界の状況を見るのには全体として私は見て行かなければならんと思うのであります。インフレ時代から安定へのときには一時滯貨の
増加
もこれはございましよう。
ちよ
つと滯貨が
増加
したからとい
つて
、これは非常なデフレ傾向だというふうに思い過ぎてはいけないのであります。今まで辿
つて
来た路を
考え
、将来辿
つて
行く路を
見通し
て、そうしていろいろな
施策
をや
つて
行き、デイス・インフレにしようといたしているのであります。個々の問題、特異性の問題をそういう見方でなしに他の方面から見て判断を下すということは、これは早計ではないかと
考え
ております。
木村禧八郎
62
○木村禧八郎君 それは
大蔵大臣
は、今にな
つて
そういうことをおつしやられるのはおかしいと思う。実はこのデイス・インフレはバランスド・バジエツトの中においてデイス・インフレになるというお
考え
の筈です。二十四
年度
予算
を編成されて、即ち五千七百八十億のあの
予算
を閣議で決定した、あれがデイス・インフレの線なんです。あれこそがデイス・インフレの線なんです。ところがドツジ・ラインによ
つて
超均衡
予算
に
なつ
たバランスド・バジエツトじやなくてスーパー・バランスド・バジエツトに
なつ
た、超均衡
予算
に
なつ
たからデフレにな
つて
来ている。それを
大蔵大臣
は今にな
つて
デイス・インフレだと言
つて
おられるのはおかしいので、ドツジ
予算
を本当にデイス・インフレ
予算
とおつしやられるならば、最初に二十四
年度
予算
を編成したときにあの五千七百八十億、
政府
の公債一千億を認め、
日本
銀行券の
増加
も約五百四十億を認めたあの線がデイス・インフレの線だと思う。ところが超均衡
予算
を組んでしま
つた
から、実は非常なデフレに
なつ
た。それを信用インフレで補おうとしているんですけれども、信用インフレの場合は、銀行貸出という形で通貨が出て来るので、それがデフレにな
つて
来る。銀行貸出も、それもどんどん再
生産
のために使われるならばそうではないのでありますけれども、滯貨金融という形に使われている、こういう
状態
であるから私はデイス・インフレでなくてデフレにな
つて
来ていると思う。
大蔵大臣
は超均衡
予算
ということを言
つて
おりますが、その超という
意味
はどういうことなんですか、均衡を
通り
越していると、こういう
意味
なんでありますが、
大蔵大臣
はどういうふうなお
考え
ですか。
池田勇人
63
○
国務大臣
(池田勇人君) 均衡を
通り
越している
予算
ではない、完全に均衡
予算
にな
つて
いるということです。(笑声)それから五千七百億円のドツジ氏の経済九原則によりまする
考え
方を聞く前の
予算
というものは、私はこう
考え
てお
つた
のであります。
アメリカ
の援助というものは暫く続く、
従つて
この分は今まで
通り
にや
つて
行こう、それで徐々に回復して行こうという
考え
に立
つて
お
つた
のであります。併し
予算
編成に当
つて
の経済九原則の
意味
はこういう
意味
です。そこでインフレを急激に止めて行く今の七千百億円の案と、五千七百億円の案で非常な
議論
をしたわけであります。併し経済九原則はこういう
意味
だからというので、そうしてドツジ氏の案を検討した上急激にや
つて
行こうということに閣議決定に
なつ
たのでありまするから、こういうふうに
なつ
たのであります。私の五千七百億円の
予算
をや
つて
行
つた
ならば二、三年、三、四年で今の
状態
にな
つて
来ましよう。併しドツジ氏の
考え
方はそうでなしに、対日援助というものは別にしなければいかん。こうな
つて
参りまして五千七百億円
予算
が七千百億円
予算
に
なつ
たのであります。この間の
事情
は木村さんはお分りにな
つて
おると思うのでありますが、ただステップを早くとるか、ゆつくり行くかという問題であ
つた
のであります。結果から申しますと、私はドツジ氏のあの経済九原則の確立によりまして、急激な措置をと
つた
方がいいという
考え
方にな
つて
二十四
年度
予算
をああいうふうにしたのであります。均衡
予算
には変りありませんが、ただ超均衡
予算
というのはどこから見ても中央地方を通じ、而も又特別会計
政府
関係
機関を通じて絶対に均衡がとれたということを超均衡
予算
というのであります。
木村禧八郎
64
○木村禧八郎君 その経過はそれで分りましたが、
只今
の
お話
ですと、急激にインフレをストツプさせる、私はドツジさんのこのインフレ処理のし方には賛成なんです。今までインフレは止まらない、止まらないと言
つて
、お
つた
。誰がや
つて
もインフレは止まらない、いたし方ない、敗戰後においては仕方ないと言
つて
来た。我々は
政策
のやり方でインフレは止まると主張して来た。ところがドツジ氏はああいう僅かの間に一挙に止めた。止めたけれども、ドツジさんの
考え
方は通貨と金融、そういうマネタリ・スタビリゼーシヨンに非常に重きを置いておる。そうして
外国
為替相場も三百六十円に一挙に固定さしてしま
つて
、そうして
大蔵大臣
のおつしやるように急激にや
つた
、急激にや
つた
からそのシヨツクが必ず現われる、そのシヨツクが今のデフレなんです。その超均衡
予算
、例えば物が進行しておるとき、必要以上に引張らなければ物が中間に止まらないから、ドツジさんは恐らく超均衡
予算
にしたと思う。船が止まるときに逆に廻るようにしたと思う、それがデフレとな
つて
来たと思う。それがためにこういう最近のシヨツクが現われて、デフレ
状態
が現われて来た。私は今の
状態
は率直に
大蔵大臣
は認めるべきだと思う。それをドツジさんの
考え
が、そういう船が止まるときにむしろ逆に廻るような形で止めたのでそのシヨツクが来ておる、それがデフレなんで、それを
大蔵大臣
はどうしても認めない。現在デイス・インフレ、デイス・インフレで安定しておると言
つて
おるけれども、この安定に行くまでには、ドツジさんの
考え
は自由経済にこれを持
つて
行
つて
、恐慌を経、必ず安定の恐慌に行かなければならない、恐慌を経なければこれはどうしても安定しません。その恐慌を開始しておるのが今信用インフレです。一応滯貨金融をや
つた
りして
物価
の下るのを抑えて恐慌の訪れるのを変則的に抑えておる。ドツジさんの
考え
はむしろ恐慌の
段階
に行
つて
、恐慌に行
つて
そうして資本主義の原則によ
つて
暴力的に鎭圧する。それを今の
大蔵大臣
や、
政府
のやり方はむしろドツジさんの
考え
方から言えば、変則をや
つて
デイス・インフレというように言
つて
おるのですが、併しその実態は飽くまでもデフレなんです。急激に止めたということを
大蔵大臣
はおつしや
つて
おるけれども、それには必ず反動が来る、それが長期なものであるか短期なものであるかは、又今後の
政策
の如何によ
つて
違
つて
来ますが、現在現われておる
状態
、失業者が殖え、職よこせで始終デモが行われ、
従つて
自殺する人、心中する人、そういう
状態
を現われて来ておるのに、安定しておるとはどうしても言えない。又そういう社会不安でなく経済の再
生産
の均衡の上から行
つて
滯貨がこんなに殖えてしま
つて
、
政府
でも余裕金、使わない余裕金がうんと生じておる、こういうようなことはちつとも均衡を得ていない、経済も財政も……。これを以て
大蔵大臣
は安定していると言いますが、私はそれはどうしても承服できない。
大蔵大臣
はもつと率直に実際現在デフレなんだから、このデフレ
状態
を治すようにいろいろな
施策
も
考え
る、そういうふうに言われれば分る。
従つて
ドツジさんのやり方は、デフレである、マネタリ・スタビリゼーシヨンに余り重きを置き過ぎておる。古典的である。であるからドツジさんの
政策
をやるならば、第二、第三のこれによ
つて
生ずるデフレ的影響を救うところの
政策
を用意していなければならない。当初
政府
はさつき
大蔵大臣
の
お話
のように、九原則を見ないうちに五千百八十億の
予算
を作
つて
、それでや
つて
行くつもりであ
つた
、ところが急にドツジさんの
予算
を見たので、ドツジさんの言う
通り
に
予算
を組んだから用意が全然なか
つた
、全然なか
つた
、
従つて
こういうデフレの
状態
に
なつ
た。ですから
大蔵大臣
は率直に急激にインフレを止めた結果、今ここに現われておる
状態
はデフレであるということを認めて
政策
をやるべきだと思うのです。やはり飽くまでもデフレでないと、こういうふうにお
考え
でしようか。
池田勇人
65
○
国務大臣
(池田勇人君) 言葉の点で
議論
するのはどうかと思いますが、あなたがデフレとお
考え
になるのは差支ありません。私はこういう
状態
を予想し、これをデイス・インフレと言
つて
おるのであります。而して直接需要を起すとか、或いはデイス・インフレの線を堅持するためには、
昭和
二十四
年度
予算
よりも二十五
年度
の
予算
が変
つて
来るところは、一年や
つて
見てこういう
状態
が来るからこの次の
年度
からこういうふうにやるという長い目で御覧願いたいと思います。
木村禧八郎
66
○木村禧八郎君 いつでも
大蔵大臣
は言葉の上とか、見解の相違とか言われますが、私は今度の
大蔵大臣
に質問しておる場合には、同じ資本主義の経済の
建前
において御質問しておるのです。資本の論理の上に立
つて
御質問しておるのです。
従つて
資本の論理に立
つて
質問すれば見解の相違ということはない。どつちかが間違
つて
おるのです。どつちかの
考え
が間違
つて
おる、見解の相違でない。私は資本の論理の上に立
つて
御質問しておるのです。ですからそういうふうに言葉の違いとか、それから現在の
状態
を
大蔵大臣
がデイス・インフレだとおつしやるならば、これは私は経済問題に対する学校で教育をする場合に非常に困ると思う、学校の先生が……。(笑声)これは高瀬文部
大臣
にも私はお伺いしたい。こういう
状態
をデイス・インフレと池田
大蔵大臣
は定義したが、これは
世界
に通用しないのです。これは理論的に我々分析して誰が見てもデフレなんです。デイス・インフレじやないのです。だからデイス・インフレに努力するならよろしい。
政府
の基本方針はデイス・インフレにするというならよろしいけれども、デイス・インフレにしようと思
つた
、ところがデイス・インフレにならないのです。
大蔵大臣
が
幾ら
頑張
つて
もそれは駄目だと思うのです。 そこで
大蔵大臣
は見解の相違とか、言葉の相違とか言われますから、そういう相違が出て来ない点について御質問申上げたいのですが、先程
生産
増強は、いろいろな原因によ
つて
増加
して来るといわれますけれども、
生産
増強の原因ははつきりしておるのです。この公聽会でも日新紡の櫻田武氏、ああいう実業家も証言されております。最近の
生産
増加
は、滯貨が非常に多くな
つて
業者がコストを下げるために操業度を無理に高めて、そのために売れないにも拘わらず無理に
生産
しておる。これが第一の原因であると言
つて
おります。更に又第二は、
補給金
が十月頃までに次々に削減されるから
補給金
を貰おうと思
つて
無理に
増産
しておるという点、第三は
生産
を
増加
させないと、
生産
が殖えて景気がよいように見せかけないと銀行が金を貸して呉れない、だから銀行から金を貸りるために無理に
生産
をやる。だからこれはノーマルな
生産状態
ではない、ノーマルな
状態
において殖えるならば有効需要が殖えて
生産
が
増加
すべきなんです。ところがそうや
つて
殖えた
生産
は売れない、滯貨が生じておる、これがノーマルの
生産
増加
といえるでありましようか、この点について
大蔵大臣
にお伺いしたい。
池田勇人
67
○
国務大臣
(池田勇人君) デイス・インフレとデフレの点は、私はこれをデイス・インフレの
状態
と見ておるのであります。
従つて
お話
申上げますが、遺憾ながら、安定へ参りますときには、個々の現象におきましてはデフレ現象もありましよう、これは例えば纖維品におきましてまずか
つた
、私はそういう派生的のものを言
つて
おるのでなく、全体の動きとして何とこれを見るかということを言
つて
おるのであります。 次に
生産
増強をしたのはいろいろの原因から来ておるので、何も好ましくない原因も相当ある、こう言われますが、
生産
が増強したということは非常に望ましいことであるのであります。滯貨の問題もございましよう。これは今国際
貿易関係
が殆んどバーター制によ
つて
おります、又保護関税を用いまして各国が
輸入
政策
ということについて非常に臆病にな
つて
おります
関係
上滯貨はございます。これは長い目で見て行くべきじやないか、例えば人絹なんかにつきましても、南米との取引ができますれば滯貨を一掃してしまう、こういう状況であるのであります。インフレからデイス・インフレの過渡期におきまして或る程度の滯貨が増大することは、これは止むを得ないことであるのであります。滯貨が増大したからデフレだと、こう驚く必要はないと私は
考え
ております。
木村禧八郎
68
○木村禧八郎君 それは成る程、程度の問題であると思います。インフレから一挙にデフレに持
つて
行
つた
ためにこういうような形に
なつ
た、これはこういう場合もあり得ることは認めるのですが、併し最近の経済が安定しておる証拠として、
生産
増強を挙げるということは私はそれはどうもおかしいと思う。大体ノーマルな
生産
増加
というものは、消費が殖えて
生産
が
増加
するのが私は当り前だと思う。この点は私は経済安定の指標にならないと見るのですが、
大蔵大臣
は経済安定の指標になると御覧になるのですが、これ以上この点について追及いたしません。次にもう
一つ
経済安定の指標としてお挙げにな
つて
おるのに
物価
と賃金があります。
物価
が安定しておるとおつしやることは、これはどういう
意味
なのですか。
池田勇人
69
○
国務大臣
(池田勇人君)
物価
が横這いの状況であるということであります。
木村禧八郎
70
○木村禧八郎君 それは公定
価格
のことですか、闇
価格
のことですか。
池田勇人
71
○
国務大臣
(池田勇人君) これは御
承知
の
通り
補給金
の付いておるものは今後も上
つて
参りましよう。それから闇
価格
は御覧の
通り
相当下
つて
来つつあります。公定
価格
につきましても大体
補給金
以外のものについては動かせるような状況にな
つて
おりません。全体を通じて
物価
水準が横這いにな
つて
おる、こういうことであります。
木村禧八郎
72
○木村禧八郎君 それを安定の指標としておとりになることは問題だと思います。というのは、公定
価格
が上
つて
行くと勤労者が影響を受け
生活
が苦しくなる、それから闇
価格
が暴落すれば
生産
者が非常に困る、ですから單に闇
価格
と公定
価格
を
平均
した実効
価格
が横這いであるということを以て経済が安定しておる証拠とすることは間違である。更に賃金が安定しておると
考え
るのはどういう
意味
ですか。
池田勇人
73
○
国務大臣
(池田勇人君) 大体
物価
が安定しておるということは、
昭和
二十二、三年の状況を
考え
まして、ああいうところから比較して安定しておると私は
考え
ておるのであります。
木村禧八郎
74
○木村禧八郎君 最近はむしろ
物価
は安定よりも下り気味にな
つて
おる。
大蔵大臣
は前から
物価
は横這いということを言
つて
おられ、今後は
物価
を下げたいということを言われ、それに応ずるがごとく、為替相場を三百六十円から三百三十円に持
つて
行くことが理想である、こういうことを言
つて
おられる、今後の
物価
の
見通し
については、どういう
見通し
を立てて、この
予算
をお組みに
なつ
たか、それを伺いたい。
池田勇人
75
○
国務大臣
(池田勇人君)
物価
水準といたしましては、昨年の九月を基準といたしまして横這いを予想して
予算
を組んでおります。私は横這いと安定ということを財政演説で言
つて
おります。同時に
物価
は低落の傾向に向わしたいという希望的なことを言
つて
おるのでありますが、果せるかな最近は或る程度下りつつあるのであります。
木村禧八郎
76
○木村禧八郎君 それならば
大蔵大臣
の言われるデイス・インフレということと違うと思う。デイス・インフレというのは
大蔵大臣
の言われるように
物価
を横這いにして行く、そうしてインフレは止めるがデフレにはしない、賃金も安定させ
物価
も横這いにさして行く、ところが
物価
は低落しておる、低落気味にある。これは決して私は安定はしてないと思う。
物価
は安定させるのが一番いいことは分
つて
いる。むしろこれは
物価
が低落して行くのです。この
状態
は
大蔵大臣
は放
つて
置いていいというお
考え
ですか。デイス・インフレの線ですと
物価
は下げさせない、暴落させない、そうして安定さして行くというのがデイス・インフレの線だと思う。にも拘わらず
物価
は下
つて
行く、
物価
は急激に上
つて
も、インフレみたいに上
つて
もいけませんが、
物価
が急激に下るということも経済界に相当大きなデフレ的傾向を與えて経済界を混乱させる、最近はそういう情勢が現われている。これを
大蔵大臣
はこの
状態
を直すために何か手を打たれないか、或いは
物価
はどんどん下げて行かなければいけないと、こういうふうにお
考え
になるとデイス・インフレのお
考え
と違うように思うがこの点はどうですか。
池田勇人
77
○
国務大臣
(池田勇人君) 今の実効価額の問題は、下る傾向にあります。それから一般公定
価格
、一般の
物価
は
補給金
を外しますと大体横這いで行く、相当上
つて
来るものがあると思う。
物価
はどうなるかということになりますと闇を入れたものにつきましては、経済が正常の形にな
つて
来ますと、闇を入れても、下
つて
来るようになりましよう。
木村禧八郎
78
○木村禧八郎君
大蔵大臣
の大体
物価
は下げて下きたいということは、公定
価格
についてではなく、公定
価格
の外に
自由価格
、闇
価格
がありますが、この二つについておつしや
つて
おるわけですか。
池田勇人
79
○
国務大臣
(池田勇人君) 原則として
自由価格
で言
つて
おります。
木村禧八郎
80
○木村禧八郎君
自由価格
、
物価
を下げて行くと、こういうふうにお
考え
にな
つて
いるのですね。併しこれから公定
価格
を、段々
価格
制度
を自由にして行く、それが支配的にな
つて
来ると思う、
物価
も支配的にな
つて
来ると思う、それを
大蔵大臣
は下げさして行く、そういうお
考え
であると了解してよろしいですか。
池田勇人
81
○
国務大臣
(池田勇人君)
物価
は成るべく下
つて
行くのに越したことはないのです。併しこれは国際
物価
が左右する
関係
上それは下らんものもありましよう。或いは上
つて
行くものもありましよう。併し
自由価格
としての
日本
の
物価
は大体私は横這いにな
つて
行く、併し生計費から見ますと闇
価格
というものは下
つて
行き、闇の分量が少くな
つて
参りますと、生計費の方から行くと生計費指数は下
つて
行く、こういうことを言
つて
おるのであります。
木村禧八郎
82
○木村禧八郎君
大蔵大臣
のやはり
物価
を今後上げさして行きたいという
考え
方はよく分るのです。それは結局三百六十円の為替相場が円高にすぎるということだと思う。国際
物価
を
標準
にすれば三百六十円の為替相場では
物価
がもつと下らなければ輸出に困難である。そういう
意味
で三百六十円レートを基準にすれば、今の
日本
の
物価
は貿易を
考え
た場合に高過ぎる。だからもう少し
物価
を下げて、
国内
の
物価
を下げてそうして輸出に有利になるようにすると、こういうお
考え
じやないですか。
池田勇人
83
○
国務大臣
(池田勇人君) そこまで言
つて
おりません。三百六十円で大体調整して行きたいと
考え
ている。従いまして
日本
の経済がもう少し復興して参りますと、
生産
も再開し
外国
に対しても
競争
力が出て来る、強ま
つて
行く、そうして将来理想としては三百円でなしに三百三十円に持
つて
行く理想の下に経済を復興させて行きたい、これが念願である。
木村禧八郎
84
○木村禧八郎君 それは理想としては海外価値が高い方が、
輸入
が多い場合には有利であると思う。併し実際問題として我々が経済を
考え
る場合に始終経済の均衡を
考え
なければならないと思う。経済の均衡の問題、雇傭を十分にして失業者が出ないようにする。そうして
生活
が安定するように、そういう均衡を
考え
ながら経済の運行を
考え
なければならないのですが、その場合
大蔵大臣
は三百三十円に持
つて
行きたいという
考え
は、それは分るのです。どうしても
日本
は
輸入
が多くなりますから海外価値は高い程いいのですけれども、それをやるにはもう非常なデフレをやらなければならない。だから三百六十円を決める場合に、
大蔵大臣
はその後の円高の材料は皆見込んでおやりに
なつ
たということですけれども、例えばシヤウプ税制改革による資産再評価の問題、それによる公定
価格
、
物価
の値上り、それから
補給金
削減による公定
価格
の引上、それからポンドの切下後におけるポンドの闇相場の下落、それからこの三百六十円を決めた以後における
アメリカ
の
物価
の低落、こういう円高の要素は皆お
考え
に
なつ
たと、こういうふうに了解してよろしいのですか。
池田勇人
85
○
国務大臣
(池田勇人君)
お話
の
通り
初は三百円とか、或いは三百三十円というふうなことで行
つて
お
つた
のであります。で
世界
の情勢を見て大事をとるために三百六十円と決ま
つた
と私は了承いたしております。三百六十円に決まりますまでに、この問題について二、三回ドツジ氏と話したことがあります。そのことから想像いたしましてそういうことも加味せられたかというふうに
自分
は感じておるのであります。
木村禧八郎
86
○木村禧八郎君 この為替の問題は私は非常に重要な問題だと思うのです。で、まあ私の
考え
ではこの三百六十円がデフレに
なつ
た原因だと思う。一番大きな問題だと思うのです。根本の問題だと思うのです。そこで今まで
政府
の御
答弁
は三百円乃至三百三十円くらいに決めたいと、これは昨年の一月頃のことであろうと思うのです。ところがその後、一月以後四月二十五日為替相場を決める日までに
アメリカ
の
物価
が一割低落している。
アメリカ
物価
の一割低落を見込んでですね、そうして三百三十円の一割円安、即ち三百六十円、こういうふうに決めたように我々は聞いておるのです。了解しておるのです。併しその後の円高を見越したということになれば、私は三百六十円よりもつと円安に決めなければならない、而も資産の再評価、シヤウプ税制勧告による資産の再評価とか
補給金
の削減までも二十五
年度
予算
を編成する前に決ま
つた
わけですから、三百六十円は……。ですからその後に、さつき
大蔵大臣
がおつしや
つた
のは五千七百八十億の
予算
を組んだあとで、経済九原則によるドツジさんの
予算
を見て、そうして七千四百億のこの
予算
を実行することに
なつ
たとおつしや
つた
、その間に三百六十円に決めるときに、そういう要素は
考え
られておらないと思うのです。それは
答弁
として苦しいからそういうことを言われて、あとで
考え
られた理屈ではないかと思うのです。ポンド切下げは、或いはポンドを切下げたあとに闇相場が更に下がる、そういうことまで私は
見通し
ている筈がないと思う。なぜそう言うかと言えば、これは為替相場が固定化されているということ、それから三百六十円は円高であるということ、それからこれはエラステイツクがないということ、彈力性がないということだ。
日本
の経済の彈力性をどれだけなくしているか、非常に重要であると思うのでくどくお尋ねしているのですが、
大蔵大臣
がこの三百三十円にするというような
考え
を持
つた
のは私は逆だと思うのです。それは本当の理屈として、理想としてはいいのです、
輸入
が多い場合はいいのですけれども、実際問題としては何らかの形でこの三百六十円を、円安に調整しなければ、
日本
の経済の均弁ということを
考え
た場合に非常に問題が起ると思う。で
大蔵大臣
は三百六十円を堅持するというならまだ話が分る。三百三十円へ持
つて
行こうとなると、今よりもつと
生産
費、コストを切下げなければならない、そういうお
考え
だから
日本
の
国内
物価
を段々低落させて行く、そういうふうにお
考え
にな
つて
いるんじやないか。やはり理想としては三百三十円くらいに最後には持
つて
行きたい、実際問題としてです。單なる理想じやなくしてそういう方向で御努力されておるんでございますか。
池田勇人
87
○
国務大臣
(池田勇人君) 三百六十円レートが決
つた
前提といたしてのあなたの言葉には事実と違うところがあるのであります。それは一月に決ま
つた
のではございません。四月二十五日から施行いたしたのでありますが、四月十日頃くらいまではまだやはり三百円、三百三十円にするという
議論
があ
つた
のであります。
アメリカ
の分は一昨年の八月を最高にいたしまして、昨年の一月頃ずつと下
つて
参りました。そういうことは織込み済みであるのであります。そうして又ポンドの切下もこれは八月か九月に行われたのでありますが、あの当時におきましても二割五分切下げるということは
考え
ておりませんでしたでしよう。併し二割程度切下げられるということは、もう闇相場から言
つて
も当然であ
つた
のであります。而して
日本
の輸出の大宗である纖維品につきましてもその程度下る、下
つて
もいいように計算して行
つて
お
つた
のであります。そこでただ見込みが違
つた
ものはポンドを二割五分下げるか二割下げるかというだけの問題でありまして、私は今
お話
のような点は全然
考え
に置かずに三百六十円を決めたというのではないのであります。相当
部分
もう
考え
られてお
つた
のであります。そこで今度は三百六十円レートを堅持するということは、これは私の信念であります。動かしません。三百六十円に彈力性を持たしたら経済は立たないのであります。これは飽くまで堅持しなければならない。併し三百三十円ということを言
つた
が、これは私の理想でありまして、
日本
の経済が段々よくな
つて
行けばそういうふうなことにもな
つて
来るであろうという理想を言
つて
おるのでありまして、今は絶対に三百六十円を堅持しておるのであります。而してその後の貿易状況を見ましても、
日本
が三百六十円はまだ円高であるとは私は
考え
ておりません。全体から申しまして三百六十円で相当輸出入契約はできるのであります。ただ先程申上げましたように、バーター制をや
つて
おりましても、いろいろな
事情
によりましてライセンスが出ないために一時遅れておるということはあるのでございますが、三百六十円が円高であ
つて
輸出に非常に困るということは全体的には
考え
ておりません。
木村禧八郎
88
○木村禧八郎君 これも公聽会で実業家の人の公述によ
つて
知
つた
のでありますが、実際問題として、三百六十円が相当円高に作用して輸出に影響を與えておるという証言があ
つた
のです。やはり櫻田さんが言
つて
お
つた
のです。が、最近の輸出貿易を見ると、綿製品が殆んど大
部分
で、それから纖維製品でも綿製品以外は余り行かない。又印度あたりから機関車の注文が来ても、非常に何ですか円高でこれをうんと
生産
費を切下げなければ引合いがない、契約ができない。引合いはあるんだけれども契約できない。これはやはり円高、円高というよりもむしろポンドあたりが更に闇が下
つて
いるということもあると思うのですが、そういう点から実際に貿易にやはり影響が現われて来ていると思うのですが、その程度ですな、その程度は今後相当
日本
の貿易に重大な影響を與えるような
状態
にあるのかどうか、公述人のそういう証言は單に
部分
的であるのか、或いは相当外の、免税品以外の、引合いが合
つて
も取引できないと言
つて
おるのですが、そういうことは通産
大臣
としてもどういう実情にあるか、
ちよ
つと
お答え
願いたいのです。
池田勇人
89
○
国務大臣
(池田勇人君) 先程
お答え
申上げました中に、ポンド二割五分と申しましたが、三割の記憶違いでございます。今輸出が非常に不振であるということを言われておるのでありますが、私は実はそう
考え
ていないのであります。ただスターリング地域につきましては予定より非常に少くな
つて
おりますが、ドル地域は予定
通り
行
つて
おるのであります。一月の輸出が
ちよ
つと停頓したというのは外の
事情
があ
つた
のであります。三百六十円のためにどうこうという問題ではありません。三百六十円といたしましても、先程
お話
申上げましたように、人絹なんかについて、南米との分は
値段
の問題ではない、
値段
はやはり向うよりも相当安いのであります。三百六十円の問題でどうこうということはないのでありますが、ただ輸出業者の中には円安に
なつ
た方が非常に
利益
があるというので、円安を希望する向きはございましよう。併し
日本
の経済は
輸入
で立
つて
いるのでございまするから、私は円安にすることが非常に経済界に変動を及ぼします。又三百六十円で
価格
の点について余り問題はないと思いますので、三百六十円レートを堅持すると言
つて
おるのであります。
木村禧八郎
90
○木村禧八郎君 今後の
日本
の貿易がどうなるかということが、この
予算
編成の
一つ
の基礎にな
つて
おりますので、更に貿易の問題についてお伺いしたいのですが、
農林大臣
にこの間伺いましたが、この
食糧
の
輸入
です、二十五
年度
三百四十万トン
輸入
するうち、百四十万トンが
ガリオア
、いわゆるエイド・フアンドで、その残りが
日本
の自力による
輸入
、いわゆるコンマーシヤル・フアンドで
輸入
する、そういうことにな
つて
いるわけですか。それで二十五
年度
には、エイド・フアンドとしてはどのくらいのトン数の
輸入
があるのですか、その点。
池田勇人
91
○
国務大臣
(池田勇人君) 今エイド・フアンドによ
つて
昭和
二十五
年度
にどれだけ
輸入
するか、或いは一般の
貿易関係
でスターリング地域からどれだけするかという
数字
は私覚えておりませんが、これは一応の予定でございまして、状況によりまして違
つて
来ることがあるのであります。例えば石油の場合にいたしましても、ペルシヤの方から持
つて
来る予定のものが
アメリカ
になりまして、
ガリオア
になることもありますし、そして又ドル地域から
輸入
する
食糧
が、例えば東南アジア或いは朝鮮ということになることもあるのであります。これはその時の情勢によ
つて
動くことと御了承願いたいと思います。
木村禧八郎
92
○木村禧八郎君 この二十四
年度
の
食糧
輸入
は、二百二十万トンぐらい要請したところを二百九十万トンぐらい入るというふうに聞いておりますが、その
数字
は確かでありますかどうか。それからそのうちエイド・フアンドとしてどのくらい入
つて
来るのでありますか、その点……。
池田勇人
93
○
国務大臣
(池田勇人君) 二十四
年度
は主食が二百九十万トン、それから大豆が二十万トンと記憶いたしております。エイド・フアンドがどれだけかということは、今記憶いたしておりません。二十五
年度
と同様に……。
木村禧八郎
94
○木村禧八郎君 その点は後でその
数字
をお伺いしたいのです。どうしてかと申しますと、二十五
年度
において、コンマーシヤル・アカウントで入るのが相当大きくな
つて
いるわけです。そこでそういう貿易によ
つて
入る
食糧
が多くなることは、
日本
がよそに輸出する時には関税がかかると思うのです。全然無税じやないと思う。その時に今度貿易勘定で
輸入
する
食糧
が無税であるということ、これは相当問題だと思うのですが、エイド・フアンドで入る時にはこれは関税の問題は一応仕方がないと思うのです。無税で入るということは……。ところがコンマーシヤル・フアンドで入る時に無税であるということは、これはどうもおかしい。こつちの輸出するものが関税がかかり、向うから
輸入
するものが関税がかからないということはおかしいと思うのですが、この点について最近
新聞
でも問題にな
つて
いるようですが、この実情はどうなんでしようか。今後それが永久にそういうふうに関税がかからないようになると非常に重大な問題になると思うのですが。
池田勇人
95
○
国務大臣
(池田勇人君)
只今
のところ
国内
の主食は
外国
の主食を
輸入
した場合のCIFより非常に安いのであります。この
意味
で関税の問題にならないと思います。ただ今問題にしておりますのは、将来の
日本
の
農産物価格
と
外国
の
農産物価格
とを見まして、永久に無税というのはよくないから我々はやはり保護関税の
建前
をと
つて
、而して現状では
国内
の物資は非常に安いのでありますから、ここに持
つて
行
つて
関税をかけるのは
意味
をなさんから、暫定的には無税の措置をとる、こういう工合に話を進めておるのであります。
木村禧八郎
96
○木村禧八郎君 それは今
お話
を進めているわけであ
つて
、そういうことに
なつ
たというわけではないのですね。
池田勇人
97
○
国務大臣
(池田勇人君)
新聞
にこのことが載
つて
おりましたので、関税定率法の
改正
について仕事をしておる者を呼びまして聞きましたところが、
只今
向うといろいろな点で折衝中だということでございます。
木村禧八郎
98
○木村禧八郎君 それからこの前にも
ちよ
つとお伺いしたのですが、最近
大蔵大臣
は、この国会における質疑に対しての御
答弁
として、十月頃にやはり経済安定の
見通し
がある、こういう
お話
ですが、その十月安定論というのはどういうのですか。この前にもお伺いしたのですが、はつきりしませんでしたが、或る一部では統制をどんどん撤廃して行く、自由経済にして行く、そうなると最近の中小業者みたいにどんどん潰れて行
つて
、潰れるものは潰れてしまう、そうして資力が強
いも
のは残る、失業する者は失業し、自殺する者は自殺し、心中する者はしで、
生活
能力のない者は亡びてしま
つて
生き残たつ者はそこで存続して行く、そういう
意味
で整理がそこで十月頃までに大体終
つて
、そうして安定する、こういう
意味
なんですか。
池田勇人
99
○
国務大臣
(池田勇人君) 衆議院の
予算
委員会で答えたのを御覧願いたいと思いますが、私はそんな
意味
で言
つて
おるのではないのであります。とにかく
日本
の経済が竹馬である、而してその竹馬の一本の足は
価格
補給金
だ、こういうことを言われておるのであります。私もそう思
つて
おるのであります。そこで
価格
補給金
がとにかく早ければ十月頃までにはなくなる恰好になります。そういたしますると他の
條件
が非常に安定して来た場合におきましては、その最後にやはり
昭和
二十五
年度
産米の米価というものが
補給金
がなく
なつ
た場合を想定して
考え
ると、十一月頃から
補給金
がなく
なつ
た経済にな
つて
来るのでないか、こういうことを言
つた
だけのことであります。
木村禧八郎
100
○木村禧八郎君 次にお伺いいたしたいのですが、この
予算
説明書にある
予算
編成の基礎
條件
についてお伺いしたいのです。それでこの
昭和
二十五
年度
予算
説明書には、大体四つの
條件
を基礎としてこの
予算
を編成されておるようであります。その第一が給與ベースを引上げない。それから
物価
においては
大蔵大臣
の言われるように横這い、それから統制は撤廃して自由経済にして行く、第四は貿易は対日援助が減
つて
輸出貿易を殖やして行く、この四つが
予算
編成の基礎
條件
にな
つて
おるという説明でございますが、そこで第一の給與ベースを引上げない根拠です。
大蔵大臣
の財政演説とそれから総理
大臣
の施政演説においては理由は違うわけなんです。総理
大臣
の方の理由は、
物価
と賃金と悪循環するから引上げない。
大蔵大臣
の御説明ですと、給與ベースを引上げますと仮に人事院の勧告案
通り
引上げても約六百億財源が要る、
従つて
給與ベースを人事院勧告の線まで引上げた場合は減税もできなくなる或いは鉄道運賃、郵便料金等も引上げなければならないからできないというふうに言
つて
おられるのですが、給與ベースの問題は今重要な問題にな
つて
おりますので、この際給與ベースが引上げられないことの根拠、
政府
の意見としてはつきりどの点、どういう点であるかということをお伺いしたいのです。
池田勇人
101
○
国務大臣
(池田勇人君) 度々本
会議
或いは他の機会に申上げておるのでありますが、財政上支出が殖えて参りますし、又公共
企業
体の賃金も引上げなければならぬ。
従つて
これが
物価
の悪循環を起すいろいろな
條件
で引上げないことにいたしたのであります。
政府
から発表しました給與白書にも相当のことが載
つて
おると
考え
ております。
木村禧八郎
102
○木村禧八郎君 そうしますと理由はこれを分析してみますと、財源がない、それから
物価
と賃金が悪循環する、これが内容なんでございますか。
池田勇人
103
○
国務大臣
(池田勇人君) さようでございます。尚又一般には民間賃金との比較論が出ておりまするが、それは役人の方が或る程度工業賃金に比べまして安いけれど、今までの工業賃金に載
つて
いない、もつと低い階級の労務者もおられるのであるから、この際我慢して頂きたいというのも理由の
一つ
であります。
木村禧八郎
104
○木村禧八郎君 そうしますと、若しかこの三つの理由、財源の問題、
物価
と賃金の悪循環の問題、それから民間の給與との比較において公務員よりも更に低い賃金の人がある、それだから我慢して呉れい、若しこの三つの理由が間違
つて
いる、正しくないということが、論証されて、財源もあり
物価
と賃金も悪循環しない、それから民間の非常に低い賃金の人、公務員よりも更に低い賃金の人があるから我慢して呉れということも間違
つて
いる、この三つがはつきりと間違
つて
いるということが明らかになれば、給與ベースの引上は行うか。
池田勇人
105
○
国務大臣
(池田勇人君) それがはつきり間違
つて
いるという場合に、引上げるかどうかということは申上げられません。
木村禧八郎
106
○木村禧八郎君 それでは給與ベースを引上げない根拠にならないと思います。理由がはつきりなくて引上げない。それならばこの三つの理由以外に他に理由があるのじやないか。その理由はこの
予算
を編成するときに、聞くところによれば八つの條項を出された、その八つの條項の中には賃金給與ベースは引上げない、即ちこの一條項がある、そのために引上げられない。これがやはりもう
一つ
加わりました理由ではなか
つた
でせうか。
池田勇人
107
○
国務大臣
(池田勇人君) それは私がここで表向きに
お答え
する事柄でないのであります。
従つて
今の三つのことが絶対に誤りだという
意味
におきまして、私が上げるか上げないかということを決める場合の材料になるかも分りませんが、私はそれが八つか九つかあ
つた
ということはここで申上げることはできません。
木村禧八郎
108
○木村禧八郎君 それではこの
予算
審議の過程において、やはり財源の問題、賃金の
物価
の悪循環の問題、民間の低賃金者との比較の問題、この三つの点について給與ベースを引上げない理由にならないということが段々明らかにな
つて
来たならば、
大蔵大臣
は給與ベースの引上に努力されるかどうか。或いは絶対にもう引上げないということを言われておりましたが、そういう
事情
が明らかになりましたならば努力されるかどうか、その点をお伺いしたい。
山田佐一
109
○委員長(
山田佐一
君) 木村さんに
ちよ
つとお諮りいたしますが、
大臣
は
中小企業
者の団体が見えておりますので、三分間か五分間で直ぐ帰
つて
来るそうですから、それまで休憩してお待ちいたしましようか。
木村禧八郎
110
○木村禧八郎君 今の御
答弁
だけ……。
池田勇人
111
○
国務大臣
(池田勇人君) 私は公務員の待遇改善につきましては、人後に落ちない努力を拂うことは申上げるまでもないのであります。併し引上げますと、
物価
と賃金の悪循環を起し、財政支出が非常に殖える。そういういろいろなことを
考え
まして、今は上げることができない、こういう結論にな
つて
おるのであります。
山田佐一
112
○委員長(
山田佐一
君) では休憩にいたします。 午後四時二十一分休憩 —————・————— 午後四時二十二分開会
山田佐一
113
○委員長(
山田佐一
君) それでは開会いたします。 では岩男委員お始め願います。
岩男仁藏
114
○岩男仁藏君 さつき私が農村金融のことについて
大臣
にお伺いしたのでありますが、実は長期金融についての
大臣
のお
考え
を聽きまして、了承いたしました。ただ問題は長期金融でありますからして、低金利でどつしりと
一つ
沢山のお金を出して頂きたい、これを
一つ
お
考え
願いたい。 今
一つ
は、御
承知
のように農村は非常に金詰りで、このために
食糧増産
或いは
農業
再
生産
に非常な支障を来しておるのであります。
農業
手形を出して、これが相当に有効に使われておりますが、これもおのずから限度があります。何とかしてこの窮状を打開するためには、さつき私が質問申上げました
農地
証券の償還であります、五十二億ばかり二十五
年度
に予定されておりますが、発行額も約九十億を越えるものと私は思
つて
おります。あと三十八億乃至四十億が残るのでありますが、これを近き将来、いや私は近き将来というよりも、むしろ二十五
年度
に全部償還して貰いたい。その影響は非常に大きいと思
つて
おりますが、これについて
関係
方面その他に御折衝願
つて
、実現ができる可能性があるかどうかということを更にお尋ねいたしたいのであります。
池田勇人
115
○
国務大臣
(池田勇人君)
農業
等の原始産業につきましては、できるだけ金利を安くしなければならないということは御説の
通り
であります。私は今後共この方面に努力いたしたいと
考え
ております。 又先程御質問のありました
農地
証券の償還の問題でございまするが、今
年度
十億円、
昭和
二十五
年度
四十二億円、合計五十二億円を償還することにな
つて
お
つた
のでありまするが、私といたしましては、できるだけ早い機会にこれを償還した方がいいという
考え
の下に、先般来話を進めておりましたところ、
昭和
二十五
年度
の債務償還で全額拂
つて
いいということに話がまとまりましたので、
予算
が通過いたしますれば、できるだけ早い機会に、二十五
年度
と申しましても一年ありますが、できるだけ早い機会に返したい、又返すことに相成ります。御了承願います。
木村禧八郎
116
○木村禧八郎君 先程に引続きまして御質問申上げたいのですが、官公吏の待遇改善に努力するには吝でない、そういう熱意を持
つて
おられるということは、
只今
の御
答弁
で明らかに
なつ
たのでありますが、その場合にやはり官公吏の給與を引上げれば、
物価
が悪循環するし、財源もない、こういうことを言われましたが、先ず財源の点からお尋ねしたいのですが、財源がないということはどういうわけでありますか。我々了解に苦しむのは、財源は必ずあると思う。
政府
は六百億円財源が要ると言
つて
おられますが、果して六百億円要るものでありましようか。このうちいわゆる税金のはね返りを
考え
れば、私はもつと減ると思うのですが、税金のはね返りを考慮に入れればどのくらいの
予算
で足りるものでありますか。
池田勇人
117
○
国務大臣
(池田勇人君) 人事院勧告
通り
にいたしますと、大体地方公共団体の職員を加えまして六百億円要るのであります。六百億円拂いますと、これははね返りで、所得税が相当金額入
つて
来ることは確かでございます。どの程度所得税が入るかということになりますと、なかなか計算が困難でありまして、各会計別に算出しなければ到底むずかしいのでありますが、大体一割五分の控除をいたします
関係
等からいたしまして、二割見当ではないかと思
つて
おります。
木村禧八郎
118
○木村禧八郎君 その二割であるかどうかは、又計算して見なければ分らないと思うのですが、それにしても二割としても、百二十億は財源上節約になるのですから、四百八十億。我々は二割とは思えないのですが、もう少し上の方ですから、もう少し多くなるのじやないかと思いますが、それにしても四百八十億の財源は、これは捻出できないことはないと思うのです。それはもう何回も言われておりますが、
大蔵大臣
は資本蓄積のために債務償還をすると言
つて
おられますが、資本蓄積については、二十五
年度
においては二重に資本蓄積をしようとしておると思うのです。その
一つ
は債務償還、もう
一つ
はシヤウプ税制勧告で、法人とか或いは
配当
所得者とかそれから高額所得者に非常に税制上優遇を與えて、その方面からも資本蓄積をやろうとしておるわけです。
従つて
二十四
年度
においては債務償還一本で資本蓄積を強行したのですが……一本じやない、それに主をおいてや
つた
のですが、二十五
年度
においては、税制を通じて資本蓄積をやり、而も又一千二百億の資本蓄積を強制的にやる。これでは二重にやるのであ
つて
、シヤウプ税制を通じて資本蓄積をやるならば、少くとも一般会計における七百三十何億ですか、そのうちの二十五
年度
に償還期限が来たものを除いた五百億は、これは資本蓄積に廻さないで、給與の引上の方へ廻す。そうすると給與引上の方において余裕ができて、それはシヤウプ税制勧告の方による任意的資本蓄積の方に順次に廻
つて
行く。そういう
考え
をとることはできないのでしようか。
池田勇人
119
○
国務大臣
(池田勇人君) 昨
日本
委員会におきまして、一時間半ばかりや
つた
のでありまするが、私は二重に資本蓄積をや
つて
おるとは
考え
ておりません。或いはあなたのようなお
考え
から言えば、三重にも五重にもや
つて
おるかも知れません。併し資本蓄積は必要であるというので、債務償還をやることにいたしたのでございます。
木村禧八郎
120
○木村禧八郎君
大蔵大臣
は資本蓄積ということを言われておりますが、これは前に和田議員も言われたのですが、資金は蓄積されておるけれども、資本は蓄積されていないのじやないですか。資本の蓄積と資金の蓄積とは違うのです。それはむしろ資金が蓄積され過ぎちや
つて
、それが資本の蓄積にな
つて
いないと思う。この点が非常に問題じやないかと思うのですが、その辺はどういうふうにお
考え
ですか。
池田勇人
121
○
国務大臣
(池田勇人君) 私は資本蓄積として
考え
ておるのであります。
木村禧八郎
122
○木村禧八郎君 そうすると資本の蓄積、これは現物の資本の蓄積ですが、それと資金の蓄積の間にギヤツプがあるのです。ギヤツプがあるんですから、資金の蓄積は少しゆるめたらどうかと思うのです。そういうことによ
つて
この旧債務償還は一時停止して、それに廻すことができると思うのですが、この点については飽くまでも
大蔵大臣
がやつぱり今のような形で旧債務償還をして行かなければならないという、そういうお
考え
であると思いますから、更に又質問しても無駄と思うのです。併し我々としてはそこに財源があるのに、なぜそれをやらないかということが我々了解が付かない。財源上引上げることはできないという理由にはならない。これは私が言うだけでなく、これは常識として、一般の常識としてそう思えないと思うのです。更にこの財源の問題として、この
予算
は、私は
物価
が、この
予算
を積算する場合に、
物価
が上る計算にな
つて
いると思うのです。
大蔵大臣
は
物価
は横這いということにな
つて
いますが、少くとも
食糧
管理特別会計の
予算
を編成するとき、パリテイ指数、この間伺いましたが、昨年の九月から大体一割、一五四の指数が本年十月には一六八になるという
数字
ですが、大体一割上る計算にな
つて
いる。これは大蔵委員会においても
政府
委員に伺
つた
んですが、
予算
を積算する場合にこのパリテイ指数も考慮に入れる、それから
補給金
を撤廃する場合のマル公
価格
を上げて行くということも考慮に入れる、いろいろ考慮に入れて算定したと、こういうことを言
つて
いるのです。そうなりますと、大体
物価
は一割くらい上る計算においてこの
予算
は編成されていると思うのです。その点はどういうふうにな
つて
いるのですか、
予算
の積算の基礎……。
池田勇人
123
○
国務大臣
(池田勇人君) 米の
生産
者
価格
は一応一六八として計算いたしましたので、
生産
者
価格
は上りますが、全体のものにつきましては横這いと
考え
ております。
木村禧八郎
124
○木村禧八郎君 そこでおかしいのですが、
生産
者
価格
を決めるときに、一六八の指数でパリテイ指数を決めるということは、
農産物価格
に比較して
農家
が買うところの
生活
必需品がそれだけ上るということなんです。
農家
の買う
生活
必需品が一割上るということは、これは
物価
が、いわゆる消費
物価
が上るということだと思うのです。ですからそのパリテイ指数で、積算の基礎にして
予算
を編成したとすれば、どうしてもそれだけから言
つて
も、実際横這いだけでなく、少くとも一割上る計算にな
つて
おる、そういうふうに解釈しなくてはならないと思うのですが、この点はどうなんですか。
池田勇人
125
○
国務大臣
(池田勇人君)
補給金
を出しておりまする肥料の影響が、米の
生産
者
価格
に非常に影響いたしますので、米の
生産
者
価格
に特に一割上ることを見たので、これは鉄鋼の分も米の
生産
者
価格
に影響いたしますので、そういうふうに米の
生産
者
価格
については上る、外の
部分
につきましては下る
條件
もありますので、全般的に見て動かないと見ておるのであります。
木村禧八郎
126
○木村禧八郎君 どうもその点はつきりしないのですが、パリテイ指数というものは、肥料の
値段
が上ると言
つて
も、それはやはりウエイトがあると思うのです。肥料の
価格
の値上りですから、外のウエイトを計算してもやはり肥料が上る、それだから全体の
農家
のパリテイ指数がそれだけ上るというふうに計算したらおかしいと思う。それだけではないと思うのです。ですから結局パリテイ指数の基礎になるのは、
農家
の買うところの
生活
費指数が上るということになる、そのパリテイ指数がこの
予算
積算の全部の基礎じやないと思うのですが、或いは安定帶物資についてマル公
価格
が上る、そういうことも考慮に入れて積算したと思うのですが、そうなると
政府
は横這い横這いと言
つて
いますけれど、どうしてもこの
予算
の見積りには今後の
物価
の下落を
考え
ないでも、積算の基礎としてどうしても私は一割
物価
が上
つて
来ている積算なんだ、特に昨年の九月を大体基準にしておるのですから、そうなりますと昨年九月から本年一杯の
物価
を
考え
れば、先程
大蔵大臣
は大体下
つて
行くという
お話
ですが、最近幸いに実効
価格
も下りつつある、こういう
お話
なんです。そうしますと
予算
を編成するときに
物価
が横這いにならん、上る計算にな
つて
お
つて
、
予算
を実行する場合には
物価
が下ることになる。
従つて
その間に物件費が相当節約ができる筈だと思うのです。その点はどういうふうにお
考え
になりますか。
山田佐一
127
○委員長(
山田佐一
君) 木村さんにお諮りしますが、
大蔵大臣
は向うの方へおいでになるそうですが、もう直きに済みますか、保留いたしますか、どういたしますか。
池田勇人
128
○
国務大臣
(池田勇人君)
全国
の中小商工業者が集まりまして大会を開いて、それの代表者でございますからね、五分や十分じやいかんかも知れません。
木村禧八郎
129
○木村禧八郎君 それじやよろしゆうございます。又明日でもよろしゆうございます。
山田佐一
130
○委員長(
山田佐一
君) では今日はこの程度において明日に保留いたしますか、どうです。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
山田佐一
131
○委員長(
山田佐一
君) じや今の
お答え
だけ……。
池田勇人
132
○
国務大臣
(池田勇人君) これは見方の相違でございますが、
農業
パリテイには肥料も影響いたしましよう。鉄鋼も影響いたしますけれども、下り気味の纖維製品も影響があるのであります。而も又闇も影響しておるのであります。それで一六八かどうかという問題につきましては相当
議論
があると思いますが、私は米だけについて、
価格
からい
つて
一般
物価
が上るとは断定はできないと
考え
ております。
山田佐一
133
○委員長(
山田佐一
君) じや本日はこれを以て散会いたします。 午後四時三十八分散会 出席者は左の
通り
。 委員長 山田 佐一君 理事 岩木 哲夫君 高橋龍太郎君 田村 文吉君 寺尾 博君 堀越 儀郎君 岩間 正男君 木村禧八郎君 岩男 仁藏君 委員 岡田 宗司君
羽生
三七君 池田宇右衞門君 石坂 豊一君 岡崎 真一君 小林米三郎君 團 伊能君 堀 末治君 小林 勝馬君 前之園喜一郎君 赤木 正雄君 飯田精太郎君 井上
なつ
ゑ君 西郷吉之助君 佐伯卯四郎君 藤野 繁雄君 帆足 計君
国務大臣
大 蔵 大 臣 通商産業
大臣
池田 勇人君 農 林 大 臣 森 幸太郎君
政府
委員 大蔵事務官 (主計局長) 河野 一之君 大蔵事務官 (主税局長) 平田敬一郎君 大蔵事務官 (理財局長) 伊原 隆君 大蔵事務官 (主税局調査課 長) 忠 佐市君 通商産業事務官 (
大臣
官房長) 永山 時雄君