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1950-03-14 第7回国会 参議院 予算委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年三月十四日(火曜日) 午後二時四十五分開会
—————————————
委員
の異動 三月十三日
委員深水六郎
君及び平岡市 三君辞任につき、その補欠として小林 英三君及び
小串清一
君を議長において 指名した。
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
昭和
二十五年度
一般会計予算
(
内閣
提出
・
衆議院送付
) ○
昭和
二十五年度
特別会計予算
(
内閣
提出
・
衆議院送付
) ○
昭和
二十五年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
・
衆議院送付
)
—————————————
山田佐一
1
○
委員長
(
山田佐一
君)
只今
から
会議
を開きます。 十一日
衆議院
より二十五年度
予算案
の
送付
を受けましたので、本
委員会
としては本
審議
に入る
段階
と相成りましたが、未だ本
予算
と極めて重要な
関連
を有する
地方税法案
の
提出
時期、及びその全貌が明らかでありませんので、先般来、
増田官房長官
及び
池田大蔵大臣
よりその
説明
を求めましたが、本
法案提出
の
最高責任者
たる
内閣総理大臣
及び
所管大臣
たる
本多国務相
より
詳細聽取
の
上本委員会
の
態度
を決するということでありました。本日
総理大臣
及び
本多国務相
の御
出席
を得ましたので、本件に関し御
審議
をお願いいたします。先ず
通告順
によ
つて発言
を許可いたします。
内村清次
君。
内村清次
2
○
内村清次
君
政府提出
の
昭和
二十五年度
予算案
は、日本の
自立経済
の再建、及び
国民生活
に及ぼす
影響
が極めて重大でありまするに鑑みまして、
参議院
におきましては、二月十日より本
予算委員会
において、私共は
予算予備審査
及び
公聽会
を開いて
愼重審議
をいたして来たのでありまするが、去る三月十日
衆議院
においては
シヤウプ勧告
による
税制改革
の主要なる
地方税法案
、
地方財政平衡交付金法案等
の未
提出
のまま、無謀に可決通過せしめた
政府與党
の
態度
に対しましては、少からず遺憾とするところであります。
従つて
本
委員会
におきましては、
地方財政
の充実、
地方自治
の強化の見地から本
法案
の
提出
を促すべく、十一日に
池田大蔵大臣
、
増田官房長官
に
提出
の時期
び経過
について
質問
いたしましたところ、
答弁
が曖昧でありまして、極めて遺憾である。而も又その言うところが一致しておらなか
つたの
であります。いわゆる
政府
にその
重要性
を御認識しておらないかの
態度
であ
つたの
であります。その結果、私は
行政
の
責任者
であるところの
吉田総理
及び
本多国務大臣
に対しまして、この
答弁
及びその
経過
についてお聞きした上において、その
審議
の
態度
を
決定
することの動議を
提出
しまして、
委員会満場一致
の賛意によ
つて
これを可決されたわけであります。然るに昨十三日、本
委員会
におきましては、
吉田総理
は
病気
の
理由
に
出席
せられず、
予算審議
に一頓挫を来たしましたことは、
政府
の
責任
といたしまして誠に遺憾に堪えないところであります。
吉田総理
は承わるところによりますれば、十二日は東京駅においでて、至極お元気であ
つた
と聞き及んでおります。
吉田総理
の
国会軽視
の
態度
につきましては、すでに
参議院
の
院議
を以て警告を発しており、
民主国会
に対する
行政
の
責任者
としての御
態度
につきましては、すでに
国民輿論
も勃興いたしておるところであります。更に本
予算案
を
提出
いたされましてから本日まで一回も本
委員会
に
出席
にならないということは、本
予算
に対するところの
総理
の熱意が極めて軽薄ではないかと私は認めざるを得ないのであります。この観点からいたしましてお尋ねしたいことは、
吉田総理
は二十五年度
予算案
及び
国会軽視
に対しての御
態度
について御
答弁
を要求いたしますると共に、
地方税法案
及び
地方財政平衡交付金法案
の
提出
の時期、
交渉経過
についてお伺いいたしたいのであります。
吉田茂
3
○
国務大臣
(
吉田茂
君) しばしば私が議会に対して
軽視
をするというような
お話
でありますが、あなたの御
趣旨
は勝手であるが、私は
軽視
した
考え
は毛頭ないのであります。日曜は陛下が御出発になるから
総理大臣
として役目上出なければならんところでありますから、病を押して出て
参つたの
でありますが、その他の容態は私
自身
が知
つて
おるので、あなたには分る筈がないと思います。とにかく私は
軽視
する
考え
はない。 第二には
地方税法案
でありますが、この
地方税法案
は最も重要であるから、
政府
としては
愼重審議
をいたしており、又
関係方面
とも鋭意折衡いたしておりましたために、重要である
がため
に今日まで遅れたのであります。併しながらその
内容
については
関係方面
との
意見
も本日を以てほぼ終了いたしましたから、
法案
の整理その他に盡力をいたしまして、今週末には
提出
することができる
見込み
であります。又
平衡交付金
の
法案
については取り急いでおりますが、
只今
のところ予定よりも少しく遅れまして、来週の初めには
提出
ができる
考え
であります。
内村清次
4
○
内村清次
君
只今吉田総理
は
国会軽視
は
自分
ではしておらない、同時に又
病気
は
自分
でしか分らない、こういうような御
言葉
であ
つたの
でありますが、
国会
の
軽視
の点につきましては、
首相
みずからはしておらないと、こう断言されますけれどもが、その
軽視
の
状態
は先程私が申上げたような、いわゆる
院議
を以てすでに
参議院
全体の声として出しておることは御
承知
の
通り
であります。而も又、第七
通常国会
になりましてからも、いわゆる
緊急質問
の
通告
をいたしました際におきまして、
首相
が一体この
緊急質問
に対して御
答弁
なさ
つた
ことは何回あるか。この点は
一つ
はつきりと御認識して頂きたい。私はただ
首相
か
只今相当
御感情的にな
つて
おられるようでありまするけれどもが、併しこの御感情で
国会
に対しまして相対されるということは、
国会
の指名によ
つて
今の職を務められておられるところの
吉田首相
の御
言葉
であるとはどうも我々は
考え
られないことでございます。この御不遜なる御
態度
につきましては、
国民
のために御
矯正
を特にお願いして、而も又この本
予算案
が非常な
重大性
を持
つて
おるということは
首相自身
も
只今
言明された
通り
でありまするから、そういう御
態度
であるといたしましたならば、この
予算審議
に当りましては、
首相
みずからが毎日御出勤なさ
つて
、そうして
国民代表
の
質問
に対して懇切に、而も亦その言うところは率直に
答弁
せられることが最も必要であろうと私は
考え
ます。この点は今後におきましても、
首相
の現在の
態度
であるといたしましたならば到底御
矯正
はなさらないことだと存じまするが、今後は我々は事、
国民
の
代表
といたしまして、
委員会
その他本
会議
におきましてもこの御
態度
がお直りにならないといたしましたならば、このときにおきまして事実を指摘しまして、そうして御反省を
国民
のために求むべく私達は今後行動を取りたいと、かように存じます。 次に
地方税法
及び
地方財政平衡交付金法
が本日を以て御
交渉
が済んだと、かようにおつして
つて
おられまするが、この点につきまして、この
委員会
に御
提出
は今週末か来週というような御
答弁
であ
つた
ようでありまするが、この
経過
につきましては、どういう重要な点が今日まで即ち遅れた
理由
であるか。而も又
衆議院
においては、先程申しましたように、
衆議院
ではこの
法案
を
提出
なさらずに無理にこれを通過させておられる。こういう点につきまして如何なる即ちお
考え
の下にかようなことをなされたのであるか。この点につきまして、今少し詳しく御
答弁
をお願いしたい。
吉田茂
5
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 先程申した
通り
、この
地方税
問題については広範な
法案
でもありますし、
向う関係
の方との間の
交渉
が可なり面倒でありまして、成るべく妥当な落着を得たいと
思つて
今日まで再三
交渉
いたして今日に
至つたの
が
交渉
の
経過
であります。又重要な点、どの点が重要な点ということはこれは
向う
との
関係
もありますからして、
説明
を差控えますが、併しながらこの
法案
は
予算案
、御
承知
の
通り
に本
予算
と切り離しても議了し、議決し得る、討議し得るものでありますから、切り離して、そうして
衆議院
に
提出
をするということに
政府
の
方針
は決めたのであります。
山田佐一
6
○
委員長
(
山田佐一
君)
岩木哲夫
君。
岩木哲夫
7
○
岩木哲夫
君
総理大臣
にお聞きいたしたい点は、
只今
も
総理大臣
は
地方税法案
及び
地方財政平衡交付金等
は
予算
と切り離して
審議
でき得るものであるから、
衆議院
においては通過したのであろうという御
意見
でありまするが、現に
衆議院
におきましても、これは不可分の
法律案
であるから
是非並行審査
、
提出
の促進をそれぞれの
議員
から要求した筈でありまして、それが多数党の
政党政治
の決議によりまして、切り離したままで今日
参議院
に
参つたの
でありますが、
参議院
といたしましては、その
参議院
の使命、或いは
性格
、嚴正なるべき
批判
の
立場
にありまする本院の
立場
におきましては、かようなことはどうしても合点が行かないのであります。と申しますのは、元来
吉田内閣
はこの
予算
を
提出
されましたる場合には、特に二十五年度
一般会計
においては
総合予算
と称せられまして、極めて特色のある点を力説、強調いたしておるのであります。而も
政府
の当時の
説明
は、新たに
地方
の
平衡交付金制度
を設け、従来
各種地方
に
補助金
を出してお
つた
ことを大幅に整理し、
地方税
は
国税
と不可分の
関係
に置いたことを今回の
予算
の編成の
趣旨
と謳われておる。この
性格
それ
自身
から決して切り離すべき
性格
でないと思うのが第一点であります。更に今回の
予算
につきましては、
政府
は
減税
と称せられておるが、併し
地方
の
税法
によりますれば、噂によりますれば
相当
の
増税
であります。而もこれらの
地方税法案
が未だ
国民
や私達の
議員
には分
つて
おらない、
衆議院
の
議員各位
にも分
つて
おらなければ、もとより
参議院
の我々にも分
つて
おらないのでありまして、
国税
に関する
減税
の
法律案
は
只今審議
をいたしておりまするが、
地方
の
増税
につきましては全くその姿が分らん、果して
政府
が意図せられまする今回の
予算
を
中心
とした
税法
は
減税
であるということが断言できるかどうか、その
内容
におきましては極めて不可解な点があるのであります。この点につきましても疑義があると思いまするし、更に今申上げましたるこの
地方平衡交付金制度
という新たな
制度
が設けられた、この
金額
は一千五十億でありますが、然らばこの一千五十億という金はどういう
目安
の勘定で生れて来たのか、恐らくは
地方税法
、
地方財政
のいろいろのことによ
つて
一千五十億という
金額
が生れて来たものと思うのでありますが、その
地方
の
財政
、
地方
の
税法
、これらの
目安
というものが分らずして、果してこの
予算
の
審議
ができまするかどうか。更に又今回の
予算
を
中心
といたしまして、
政府
はこれらの
物価体系
或いは
経済條件
、
財政状態等
、盡く不可分の
関連性
のあることを強調して、その特殊の
性格
を
政府
が強調されてお
事態
に鑑みましても、どうしてもこの
予算
と
地方税法
及び
平衡交付金
に関する
法律案等
が出ない限り、この
予算審議
というものは断じて切離しができないものが多数に
要素
として含まれておるという感を深くしておるのであります。こうい
つた
点につきまして、重ねてお伺いいたしたい。
吉田茂
8
○
国務大臣
(
吉田茂
君) お答えいたします。この
法案
すべては御
承知
の
通り関係方面
と
交渉
いたして、互いに討議が済んだもののみを
提出
するのでありますから、不幸にして
関係方面
との間に
交渉
、応接を重ねておる
がため
に時間を取れば、次回
提出
もこれは止むを得ないのであります。併しながらこの
国会
の会期中、或いは
予算案
の
審議
中に
提出
をいたすならば、諸君の御
了承
は得られることと私は
考え
るのであります。併しながら大体についてはすでに
大蔵大臣
その他からして
趣意
は
説明
があ
つた
ことと思いますが、要するに
減税
を目当てにして
地方民
の
負担
を軽減する、この
趣意
に基いて
交渉
も
従つて日にち
を重ねておるわけであります。結果においては必ず私は
地方
の
国民
の、
地方人民
の
負担
が軽減せられる結果になることを私は信じて疑わないのであります。詳細については
関係大臣
からお聞きを願いたい。
本多市郎
9
○
国務大臣
(
本多市郎
君) 私から補足いたしまして、今日までの
交渉
の
経過
につきまして御
説明
申上げて御
了承
を頂きたいと存じます。
経過
の
大綱
は
総理
から
お話
のあ
つた
通り
でございますが、
何分
にも
地方税制
の根本的な
改革
でございますので、問題となる点も非常に多いのでございます。先ずこの
税法
の大体の形を申上げますと、
只今
御
質問
にありました
通り
に、
地方
において四百億
程度
の、これは
市町村
に対する
税源
を確保するということが建前にな
つて
おります。この四百億
程度
の
税源
の枠の
拡張
は、これは直ちにその
通り市町村民
の
負担増加
になるかと申しますと、これは
地方税法
が御
承知
の
通り
に
税率
の大部分は
標準税率
にな
つて
おりますので、この
標準税率
までとるか、それともその下で行くか、上で行くかということは自治的に
決定
せられる問題でありますが、この四百億は確かに枠が拡がるのでありますから、平均いたしますと、
増税
になるものと
考え
ております。併し更に過去の
実情
とこれを照し合せて
考え
て見ますと、
法律
に基いて税をとる
方法
がなか
つた
ために、
地方
では四百億に上る
寄附
という
方法
によ
つて財源
を
賄つて
お
つたの
でございます。この四百億の
寄附
というものは、税の枠がなか
つた
ために止むを得ざる手段であ
つた
と
考え
られるのでありまして、この四百億という今回の
税源
を
拡張
することによ
つて
、この
寄附
であ
つた
四百億は少くとも三百億くらいは減少して、残る
寄附
は百億くらいになる
見込み
であります。そうしますと、差引き
市町村
において百億の
増税
ということが
考え
られます。併し
国税
において昨年の当初
予算
に比較いたしますと、九百億を
減税
しておりますから、百億だけ
市長
村で
増税
になりましても、差引き実質的に八百億は
減税
になる、これは概略の
見通し
として間違いないところであろうと
考え
ております。こういうことで
シャウプ
氏の
勧告
を全面的に受入れまして、これを根拠として
地方税法
を立案いたしたのでございますが、
地方税法
の中で主なる税は、
府県税
におきまして
附加価値税
、
市長
村税におきまして
市町村民税
と、それから
固定資産税
であります。この
附加価値税
において、四百二十億ばかりの
收入
を
標準税率
によ
つて
計算すれば
見込
んであります。
又市町東民税
におきまして、これは従来の
住民税
と言われた税に代るものでありますが、従来
住民税
は
所得割
と
均等割
と
資産割
と、この三本
建て
にな
つて
おりましたのを、今度は
シャウプ
氏の
勧告
に基ずきまして、
均等割
と
所得割
の二本
建て
にして、
資産割
というものを止めることにいたしたいと
考え
ております。この
市町村民税
が
シャウプ勧告
では大体六百億を
勧告
されておるのでありますけれども、いろいろその
收入
見積
、
税率等
を勘案いたしまして、それから少し下廻るかと思いますけれども、五百七、八十億を
見込
んでおります。更に
固定資産税
につきましては、五百二十億、この三つが今回の
地方税源
の根幹をなる税であります。これについてでき得る限りこの
税收
を
標準税率
によ
つて
、四百億という枠の
拡張
が確実できさえするならば、具体的な
税法
上の
税率等
は成るべく低く決めて置くべきであろうという
考え
を以ちまして
折衝
いたしたのでございますが、その
折衝
の第一
段階
は、
税率
の問題よりも先に、実は如何なる税を、複雑な
地方税
の中でどういう税を廃止すべきか、廃止する税について
折衝
いたしました。その次には
府県税
と
市町村税
とにどういうふうにこの税を振り分けるか、これは
シャウプ
氏の
勧告
で、
只今
申上げましたような税についてはもう確定的で、
政府
の
方針
も初めからあ
つたの
でありますが、その他の雑税につきましてどういうふうに振り分けるかという問題について
折衝
いたしました。その次には、
標準税率
を以て算定した場合の
税收
の
見積額
につきまして、この
見積額
についてなかなかこれは複雑な計算を見するのでありまして、この
見積額
を以てすれば、もう少しく
附加価値税
の
税率
にしても、下げても
見積額
に達するのではなかろうかというような点について
種々折衝
をいたしましたが、これは大体
関係筋
の方の
意見
もありまして、
政府
と
意見
が今日では一致しておるのでございます。その次に
市町村民税
につきましても、やはりこの
所得割
の
税率等
について、もう少しく下げても
見込收入
に達するのではなかろうかということで試みて見ましたが、これも長い間
折衝
いたしました結果、今日では
結論
に到達いたしております。 更に
固定資産税
の実は
課税標準
の
決定
につきまして、この
土地家屋
に対する
時価
の評価は、今年に
限つて公法
上の
賃買価格
に対する千倍ということにな
つて
おりましたのを、これも千倍というのは
実情
の
時価
にも即しないようにも思われるし、もう少しく引下げるべきではなかろうかと
交渉
いたしまして、この点は九百倍ということに大体
意見
が一致いたしたのでございます。更に
固定資産
の
税率等
についても、本年も
標準税率
にして
市町村
で調節のできるようにしたらどうか。
固定税率
にすべきかということについて
折衝
を続けておりましたが、これも本日の閣議を以ちまして
結論
に到達いたしたような次第でございます。こういう
経過
でありまして、大体本日を以て
関係方面
との主なる箇所についての
折衝
は
結論
に到達いたしたのであります。更に尚、小さな問題といたしましては、
法律案
の中に
政令
を以て定むると書いてあるようなものを規則にすべきもの、
政令
でやるべき
もの等
の多少の
折衝
は残
つて
おりますけれども、これについてはもう時間を要するということはなかろうと
考え
ております。こういう
状態
でありますから、
関係方面
の本当の技術的な
審査
が終りさえすれば
承認
も得られて
提案
できようと思いますけれども、
首相
からお答えいたしました
通り
、順調に参りましたならば、今週週末には
提案
できるものであると
考え
ております。これは私も昨日
折衝
に参りまして、
平衡交付法金
と切り離してこの
税法
だけは先にこれは
承認
してもいい性質のものであるということも聞いて参りました。そういう
関係
から
見込
の
通り
に進むものと
考え
ております、
平衡交付金法
につきましては、実はこれは特に
問題点
は
平衡交付金そのもの
にはないのでありますけれども、
地方財政委員会
の
設置法
との
関係
において今少しく研究する必要があるから、
関係筋
の
承認
は、
関係筋
の
最後的意見
は更に一週間ぐらいを要するのであろうと、
向う
で昨日そういう話があ
つた
状態
でありまして、これが一週間としますと、来週の月曜あたりには
最後的意見
に基く
政府
の
態度
を決して
提案
することができるのではないか、かように
考え
ておる次第でありまして、全くこの二つの
法案
の
提案
が遅れておりますことは、誠に御
審議
のためにも非常に御
都合
の悪いことであると
考え
まして恐縮しておる次第でございますが、
何分
にも根本的な
税制改革
でありますから、でき得る限り
税制改革
のための摩擦を少なくし、
国民
にも了解して貰えるような
税法
に、
盡す
だけの手を盡しまして
提案
したいということから遅れておる次第でございまして、何とぞ御
了承
願いたいと思います。
岩木哲夫
10
○
岩木哲夫
君
地方税法
並びに
平衡交付金
の
内容
につきましては、又その
法律案
が
提出
された場合に詳しく承りたいと思うのでありますが、
只今
といたしましては、今程
本多国務大臣
の
お話
がありましたる
通り
、
地方税法
によりまして新らしく千五百億以上のものが新らしい
税法
といたしましてここに制定されますることにつきましては、なかなか
地方
の
財政
におきましても由々しき
事態
であろうと思うので、
結論
におきまして、
政府
は
減税
と申されましても、これが
水割割当
の
程度
、而もこれらの
課税
の
実態等
の、現在の
経済状態
に鑑みましての新らしい問題は幾種
考え
られる点があるのであります。今も
総理大臣
が
お話
がありましたる
通り
、こうした
地方
の
税法
、或いは
平衡交付金法案等
につきましては極めて重要である。重要なる
がため
に慎重に
審議
をして
関係筋
と折衡してお
つた
という
事態
に鑑みまして、本二十五年度
予算
にこれを
関連
いたしまして
考え
ますると、二十五年度の
予算
の
審議
の上におきましては、
只今本多国務大臣
の
お話
の
内容
にいたしましても、又
総理
の
お話
の趣向に鑑みましても、全く不可分的な
関係
のものでありまして、ただ
本多国務大臣
が言われるように甚だ不便であるとか、
都合
が悪いかとい
つた
ような問題でなく、元来この二十五年度の
予算
の
性格
及び
基本的要素
の分折が困難である。で、
政府
が本年度の
予算
の
提出
におきましてのその基礎的な
経済條件
として特に取り上げておる問題は、
物価水準
と
給與
の
水準
であります。この
地方税
が特に最近の
経済事情
及び近き将来の
経済事情
に、
物価
に及ぼす
影響
というものはいろいろな角度から
各種方面
で検討されておることは御案内の
通り
であります。又
附加価値税
が
給與
の
水準
におきましての大きなウェイトを持
つて
給與
問題が論ぜられておる点なども実に大きな問題であろうと思うのでありまして、全くこの
予算
それ
自体
の基礎をなすべき重要な、車の両輪の片輪の車が出ないということは、二十五年度
予算
は我々といたしましては、どう
考え
ましても一日も早く
国家国民
のために
審議
を慎重にいたしたいと存じましても、事実上困難ではないか。
政府
の御
答弁
におきましても、困難な
事態
が予想されるのではないかと思うことは、ひとり私が附度しなくても
政府
の御当局、当事者は深く
考え
られる点だと思うのであります。こういう点から
考え
まして、切り離すことは我が
参議院
の厳正なる
批判機関
といたしましての
性格
におきましては、どう見ても困難である点を私は強調いたしたい。 又もう一点は、元来
政府
は
原案
を
関係筋
へ出されたとおつしや
つて
おるけれども、その
政府
が
関係筋
に
原案
を出されたというものを又
政府
がそれを
修正
に行かれるというのは、どういう経緯なんであるか。この点なども併せて
総理大臣
にお伺いいたしたいと思います。
本多市郎
11
○
国務大臣
(
本多市郎
君) 御
承知
のように、
法律案
は
提案
前に
関係方面
の
承認
を得なければならんことにな
つて
おりますので、
政府
は常に連絡を緊密にとりまして、
関係筋
の完全な
承認
を得た上で
最後
的な
決定
をいたしまして
提案
することにいたしておるのでございます。一応の
意見等
を申上げますいろいろな案はありますけれども、その
最後
的に決
つた
ものが
政府
の
最後
の
原案
でありまして、決して
政府自体
が不動の
原案
を出して、それに対して
向う
の
修正
を受けているというわけではないのであります。
山田佐一
12
○
委員長
(
山田佐一
君)
木村禧八郎
君。
木村禧八郎
13
○
木村禧八郎
君 私は二十五年度
予算
が
参議院
に
送付
されました際、これを
審議
するに先だちまして、特に
総理大臣
にお伺いいたしたいことは、この二十五年度
予算
の
参議院
に対する
提出
の仕方です。この形は
財政法
の
精神
、即ち
総合予算
として我々今これを
審議
しなければならない。その
精神
に反しないと
総理大臣
はお考であるかどうか。先ずこの点についてお伺いいたしたい。(「
提出責任者
が
答弁
せよ」と呼ぶ者あり)
本多市郎
14
○
国務大臣
(
本多市郎
君) これ
総理
は
最前お答え
に
なつ
たことでもありますので、私から御
答弁
申上げます。この
地方税法
と
予算
の
関係
でありますが、間接に確かにこの
審議
のためにはこれは
関係
があると
考え
ます、併しこの
予算
の数字の御
決定如何
によ
つて地方税法
を直さなければならんという直接の
関係
はありません。又
地方税法
の
修正
によ
つて
何か違
つて
来れば、この
予算
を特に
修正
しなければならんというような直接な
関係
はないと思います。但し
国民負担等
の
関係
を総合的に研究される場合は、総合的に必要なものと存じておりますが、
政府
といたしましてもでき得る限りこうした問題は
一緒
に御
審議
願いたいのでございますけれども、
只今
申上げました愼重に
原案
を研究している
関係
から遅れておる次第でございまして、この点は
一つ衆議院
においてもこの
事情
をよく認めて頂いて今日に至
つて
おるのでございますが、これは今週いつ
ぱいくらいには原案
も、その
法律案自体
もお目にかけることができる
見通し
でありまするし、又
大綱
につきましてはもう狂うところはないのでございまして、要綱を皆さんに配付いたしておりますので、それでできる限りの御
審議
をお進め下さるようにお願いいたしたいと存じます。
木村禧八郎
15
○
木村禧八郎
君
只今総理大臣
に対して御
答弁
を求めているのでありますが、
総理大臣
は御
答弁
ないのであります。
本多国務大臣
の御
答弁
は、成るべく
一緒
にこれを
審議
して貰いたいということを言
つて
おるんです。又
地方財政
の方が少し
変つて
も
一般会計
に変りがないとこういうことを言
つて
おりますが、先程
本多国務大臣
が言われたことは
地方財政
の方の枠のことを言
つて
いる。例えば
住民税
が六百億とか、或いは
附加価値税
が四百四十億、
固定資産税
が五百二十億。今問題にな
つて
いるのはその枠ではなくて、これをどういう形において取るかということが問題であ
つて
、その取り方如何によ
つて
国民
に対する
負担
が非常に違
つて
来る。誰がどれだけの
負担
をするか、そういうことは
一般会計
、今度問題にな
つて
いる
税法
と総合して重大な問題にな
つて
来るのです。従
つて地方税法
の如何によ
つて
は我々は
一般会計
の方の裏付とな
つて
いる
税法
も変えなければならん。こういうことにな
つて
来ます。密接不可分なもの、ただ
法律
的に言えばです、一応切離していいのかも知れませんが、この
予算
を、国家
予算
を
審議
する場合において一体としてこれを
審議
しなければ意味をなさないのです。意味をなさない、これは最近における
財政
の常識であります。そのために
財政法
においてもそういう
精神
を以てこれを
総合予算
として
審議
するということにな
つて
おるのであります。ところが先程
総理大臣
はこれを切離して
審議
しても差支えないと、こういうふうなお
考え
でありますが、その根拠はどこにあるのか、その根拠について
総理大臣
にお伺いしたい。
吉田茂
16
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 私の言うのは、この
予算審議
の間に
関係方面
との話を付けて、そして
提出
するから、
審議
せられても差支えないじやないかというのが私の議論であります。同時に今日の占領下において
関係方面
が
承知
しない
法案
は如何におつしやられても不幸にして出すことはできない
状態
にありますから、この
事情
は御
了承
願いたいと思ます。
木村禧八郎
17
○
木村禧八郎
君 それならば私は
総理大臣
にお伺いしたいのですが、これまで二十五年度
予算
を
国会
に
提出
する場合において、
政府
は
地方財政
の方をどういうふうにお考にな
つて
提出
されたのか。
一般会計
を
提出
する場合には
地方財政
の方が分からなければ
提出
できないじやないか。それならば
地方財政
の方がどうな
つて
もいい、直接
関連
がないからいいという考でお出しにな
つたの
か。
本多市郎
18
○
国務大臣
(
本多市郎
君) 今回の税制の
改革
は、
シャウプ
氏の
勧告
に基きまして、中央
地方
を通じての一貫した
改革
であります。
従つて
、これは
関連
はあるのでございますが、それぞれその根幹をなす
税法
の骨子につきましては
政府
といたしまして、この
シャウプ
博士の
勧告
を全面的に
了承
するという建前で立案をいたしております。その立案をいたしたものが、仕上げまでにあとさきが生じたということでございまして、皆樣方のお手許に配付いたしておりまする
地方税法
改正案に
大綱
と
内容
において、骨子において変るものではないと
考え
ておりますので、これで手続上遅れている点はどうか
一つ
御
了承
願
つて
御
審議
を進めて頂きたいと思います。
木村禧八郎
19
○
木村禧八郎
君 重ねて
総理大臣
にお伺いしたいのですが、
財政法
の
精神
からこういう
予算
の出し方は、これはいいことであるとお考であるか、悪いことであるとお考になりますか。
吉田茂
20
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 先程しばしば申す
通り
遺憾ながら今日の
状態
においてはGHQの了解の得ない
法案
は
提出
することができない。ために遺憾ながら前後するということを御
了承
願いたい。(「
了承
」と呼ぶ者あり)
木村禧八郎
21
○
木村禧八郎
君 それでは私はこれ以上追及しませんが、
政府
は
予算
の編成、或いは
国会
に
提出
する場合ですね、これは
政府
の
責任
において出されておるのかどうか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
吉田茂
22
○
国務大臣
(
吉田茂
君) しばしば申す
通り
、それは日本
政府
の
責任
において、即ち現
内閣
に
責任
において
提出
いたしております。
木村禧八郎
23
○
木村禧八郎
君 それならばですね、致し方ないとこういう御
答弁
は、
政府
の
責任
において
予算
を
提出
されたとこういうふうには解されない。それではですね、更にこの
予算審議
を今後ですね、我々の便宜早くするためにお伺いいたしたいのですが、要するに我々がこの
総合予算
として
審議
できない
問題点
は、
予算
の総合的な全貌が分らない。
只今
本多国務相
の御
答弁
によりまして大体の枠は分
つて
来たのです。大体の枠は漸く分
つて
来た。そこでこれまで懸案にな
つて
おる点はもうはつきりしておる。
住民税
におきましては、この税の取り方、所得にかけるのか或いは税金にかけるのか、或いは所得から税金を引いたものにかけるのか、この点がどうな
つて
おるかということがはつきりすれば、
法律案
が出て来なくとも我々は
審議
の対象になる。何も我我は形式として
法律案
を出せと言
つて
おるのではない。それがはつきりしていない。この点をはつきりさせるということだ。そうすると我々は
法律案
は出て来なくとも、その
影響
がどういうふうになるかということにおいて、
総合予算
として検討できるわけです。 第二点は
附加価値税
におきまして、
附加価値税
の問題では先程も
お話
がありましたが、この
税率
を第一種六%、第二種四%、第三種三%、最高
税率
が第一種八%、第二種五%、第三種四%、こういうふうに決まるのかどうか。ここが一番肝腎な点です。更に又
固定資産税
におきましては先程も
お話
がありましたように、大体
結論
に到達したというのですが、
結論
が大切なんです。それが分れば何も
法律案
が出て来る来ないということは第二の問題になる。
従つて
一・七五%というこれが
標準税率
になるのか、或いは先程
お話
に
なつ
たような
市町村
において自由にですね、増減できるようになるのかですね。この点がはつきりいたしますれば、この
税法
自体
のよい悪いは今後我我が
予算審議
において
審議
して、その賛否の
態度
を決めなければなりませんが、その点がはつきりすれば大体
地方財政
と
一般会計
との
関連
がはつきりして来るわけなんです。我々は枠だけはですね大体聞いてお
つた
わけです。一千五十億という
平衡交付金
、或いは
住民税
、
附加価値税
、
固定資産税
がどれだけと枠は分
つて
おる。その今御
質問
した
内容
がですね三つの点においてはつきりしなか
つた
。そこでここで
本多国務相
がこの三つの点についてこういうふうになるのである。今週末或いは来週早々出て来る
地方財政
の税制はこういうふうになるのである。その点
結論
に到達した点、この点をここで明らかにされれば、我々は今後の
予算審議
を進める上に、
態度
を又決める上に、これが非常にはつきりして来ると思う。この点についてお伺いいたしたい。
本多市郎
24
○
国務大臣
(
本多市郎
君) 最前も申上げました
通り
に、
最後
的に
関係筋
の
折衝
を終へまして
決定
するまでは、これは
責任
のあることは申上げられないようにも
考え
られるのでありますが、私の今の
立場
でこういう
程度
で間違いなかろうと、現
段階
における私の確信のある落着く
程度
のところを申上げて御
了承
を得たいと思います。
附加価値税
におきましては、一種、二種、三種とありますが、一種については
附加価値税
の百分の四、これを
標準税率
とし、制限
税率
は百分の八、この
程度
に決まる
見込
であります。それから第二種、第三種はこれは同一
税率
でありまして、百分の三を
標準税率
とし、制限
税率
は百分の三、附加価値につきましては大体そういうふうに行くのではないかと、今の
段階
では
考え
ております。それから
住民税
の
所得割
のかけ方につきましては、
お話
の
通り
前年度の所得税額に対する税額の百分の十八と
只今
では決まるだろうと
見通し
しておりますが、その税額を標準にして百分の十八をかける
方法
と、それから所得額を標準にして
課税
する
方法
と、それから所得額から所得税を引いた税引の所得額を
課税標準
にしてかける
方法
と三つございます。この三つにつきましては、各
市町村
の選択によ
つて
どの
方法
によるか、その
市町村
の
実情
に適し、又財源としても確保できるかという研究の結果選択主義にや
つて
貰うようになる
見込
でございます。更に
固定資産税
についてでありますが、これは最前申上げました
通り
、倍率は九百倍になる
見込
であります。又
税率
につきましては、
標準税率
か、
固定税率
かということにつきましては、百分の一・七五というものについていろいろ
折衝
せし、研究も進めて参りましたが、
只今
のところはやはり二十五年度に限
つて
固定税率
に決まる
見込
でございます。これは凡その現
段階
における私の個人的な確信とお
考え
願いたいと思います。
木村禧八郎
25
○
木村禧八郎
君
最後
に
吉田首相
にお伺いしたいのですが、このように
本多国務相
の確信されるところが大体明らかにな
つたの
で、今後の
予算審議
を進める上に便宜に
なつ
たと思うのですが、併しながら今日まで
予算
の
審議
が遅れておるのです。
首相
は先程
関係筋
の許可がなければ仕方がないと言いますけれども、
財政法
を作
つた
精神
、
総合予算
を
審議
する
立場
からこういうふうな形で出て来ることがよいと
考え
られるのであるかどうか、又今後において若しこれがよくない慣例であるとするならば、これを是正することに努力される御意思があるのかどうか。この点についてお伺いいたします。
吉田茂
26
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 先程から申す
通り
、
政府
としてはこれは誠に遺憾なことである。決してよいとは
考え
ておらないのであります。 併しながら
事情
止むを得ないのであるということについて御了解を求めておる。今後はどうか。無論悪いことでありますから、
政府
としては改めることに努力いたしております。(「
了承
了承
」と呼ぶ者あり)
山田佐一
27
○
委員長
(
山田佐一
君) 岩間正男君。
岩間正男
28
○岩間正男君 私からも二、三点
質問
したいと思うのであります。 先ず第一に、
国会軽視
の問題は今問題の
中心
点が
地方税制
の問題に
変つて
おりますから、私は追及するつもりはなか
つたの
であります。ところがさつきの
首相
の
答弁
を聞いておる中に、これはもつと明らかにしなければならない問題であるので、この点を先に申上げたいと思います。
首相
は
国会
軽規の意向はない、
自分
の体の樣子は
自分
が一番知
つて
おるのである、こういうように啖呵みたいなものを切られたのであります。これは非常にやはり問題じやないかと思います。何故かというと、このたびの
参議院
に
予算案
が回付されてから、さて本
審議
が始まるわけでありますが、その
審議
に入る前からどういうような過程を経たかということを
考え
ますと、第一日の十日に
首相
に第一回の要求があ
つた
筈なんであります。併しこれに対しては風邪と言
つて
首相
は出られなか
つた
、さてその次に今点は昨年又にこれに対して更に
委員会
からこれは追求があ
つた
筈であります。これに対してやはり風邪だと言
つて
出られない、併しその間に
首相
は東京駅で天皇のこれは御旅行を送
つて
おるわけであります。そこでその点について私は何も言うのじやない。これはつまり
首相
が今
説明
された国家の象徴を
首相
として送られる、併しこの問題はやはり
国会
の、殊に
予算審議
が非常に重要な
段階
に達しておるところの
審議
、それに対して再三、再四
首相
の
出席
を要求しておる、ところが
首相
がこれに対して出られない、こういうような問題を
考え
て見るときに、天皇の御旅行を送られるということはこれはやはりプライべートな問題である、而して
国会
の
審議
の問題は非常にこれは重要な問題にな
つて
おるのであるから、当然
首相
はそういうような観点において風邪を冒して東京駅に来られた
首相
であるならば、昨日の月曜日においても当然このような重要な
段階
については当然出て来るのがこれは本当ではないか、こういうふうに
考え
るのではないか、こういうふうに
考え
るのであります。
首相
個人の天皇に対する判断の問題についてかれこれ言うのではありませんけれども、この現在の憲法の治下におきまして、一体果して
首相
はこの
国会
に運営に対してどのような観点を持
つて
おるのであるか。この点についてはつきりとした
首相
の見解を承
つて
置くことが重要であると思うので、先ずこれを最初に聞きたいと思います。
吉田茂
29
○
国務大臣
(
吉田茂
君) はつきりお答え申上げます。私は
参議院
の、殊に
予算委員会
の
審議
を
軽視
いたすものではないからこそ言を盡して最前から申しておるのであります。併しながら人間である以上は風邪を引くこともあれば、
病気
もある、このときには出ることはできない、これは誰でもいたし方ないことであると思います。
岩間正男
30
○岩間正男君 その点はまあ余り……。(「みつともない
質問
をするな」と呼ぶ者あり)ただ私の聞きたいことは、風邪を冒して一方でそういうことをされてお
つて
、
国会
に対しては、而も今度だけの問題じやなくて、たびたびそういう問題があ
つて
、
首相
に週末風邪、これは
一つ
の何かそういうような流行のように今日世の中に宣伝されておる、この点をはつきり
考え
て、
国会
の運営に対してはもつと愼重であるべきで、殊に
参議院
におけるところの
院議
を以てこの点は
首相
の反省を促しておりわけでありますから、今後の
予算審議
にも連関してこの点は警告して置きたいと思います。 問題に要点に入りますけれども、
首相
は非常に
地方税法案
の問題は重要である、こい言われておる、重要であるから愼重にや
つて
いて遅れた、こういう話であります。そこで私は聞きたいのでありますが、このような重要な
地方税法
を
衆議院
に
提出
しない、そうして單にこれはこの国家
予算
だれの
審議
をして、
地方財政
の問題と並行させない、つまりこれに対して総合的に
関連
させない
方法
を取
つて
おる、このような重要な
地方税法
をそのままにして送
つた
方法
について、これは正しいと
考え
られるかどうか、その点をお伺いいたします。
本多市郎
31
○
国務大臣
(
本多市郎
君)
地方税法
の
提案
につきましては、私がそれを推進する
責任者
でありますので、一応お答えをいたしたいと思いますが、重要な
法案
を
提案
しないと言われますと、如何もに
提案
できるものを
提案
しないように
政府
は
考え
ておるように聞えるのでありますが、
法律
が重要であり、且つ急速に
提案
しなければならないものでございますので、
提案
できるように全力を盡しておるのでございますが、止むを得ず今日に遅れておるのでありまして、決して
政府
が
提案
しないのではないのであります。
岩間正男
32
○岩間正男君 遅れて止むを得ずと言わけますけれども、
地方税法
は、
政府
において
原案
を一体決めてこれの
審議
を始めてから半年ぐらいになり、第十四次案まで作
つて
おる現状である。こういうような形で、そうして而もその重要な
法案
を
衆議院
の方に出さないで、そしてこれとの
関連
なしに
衆議院
を通過して来たという点については
参議院
として大きな疑義を持つ。この点についと我々の
参議院
本来の職責を果したいと思うので、この問題を論究しておるのであります。而も今の
お話
によるというと、いろいろや
つた
が、努力が及ばないというのでありますが、それは一応そういう点もあ
つた
でありましよう。併し今までも問題がまとまらなか
つた
理由
の中には、なかなかこれは
政府
の意向がまとまらなか
つた
。こういうような点も聞いておるのでありますが、この事実はがあ
つた
かどうか。如何ですか。
本多市郎
33
○
国務大臣
(
本多市郎
君)
最後
的な閣議の
決定
に至りまする以前におきましては、これはいろいろな観点から各省大臣からの御
意見
も出て参りますので、そういう
意見
が一致いたしまする前においてはいろいろな
意見
が出て、それらの問題についての研究を進め、そうして、一致点に達するのでありまして、その閣議の
最後
的
決定
に至りまする前におきましては、必ずしもすべての
税法
に関する
意見
が一致してばかりいたとは言えないと思いますが、併しそれは研究をし、立派な案を得るための研究でございますから、これは如何なる会においてもそういうことは経るべき
段階
であ
つて
、特別に不思議なことではなかろうと思います。
岩間正男
34
○岩間正男君 愼重にや
つて
いたと言いますけれども、やはり
衆議院
の
予算審議
そのものが問題になるので、それに間に合わないで、いつまでも遷延しておるということは、これはやはり
政府
の
責任
だということをここで我々は
考え
ざるを得ない。更にこの
衆議院
の
審議
の問題でありますが、我々から見ますというと、あれは
地方税法
が決らないのであるから、いわば架空の事実の上に立
つて
これを
審議
したと
考え
ざるを得ない。ところが
吉田首相
はよく言
つて
おるのだ。架空の事実には答えられない。これはもう何回言
つた
か分らないのでありますが、こういうような
審議
のやり方を
衆議院
においてや
つた
。そうして而もこの
地方税法
の
決定如何
によ
つて
は
地方財政
との連関においてこれは実に重要ないろいろな意味を持つ。(「
衆議院
でや
つた
らどうだ」と呼ぶ者あり)その点について我々は今後の問題になると思う。こう
考え
る。
衆議院
でやるのではなくて、これは
参議院
の問題である。 更にここでお聞きしたいのでありますが、
減税
になるかならないか。この問題はこれは今後細かにこの問題をや
つて
行けばいいのでありますが、それともう
一つ
平衡交付金
の問題との連関。こういうような点につきまして
本多国務相
にお聞きしたいのであります。
平衡交付金
はやはり
地方財政
との連関においてこれは当然決
つて
来ると思う。それでそういうようなこの
地方財政
の如何によ
つて
は今後非常にこの
平衡交付金
の額というものは変更あるべきものだと思うのでありますが、それが最初から天降り的に
平衡交付金
を決めて、そうしてこの
地方財政
を後に廻した。この点でこれは非常に基礎がおかしいと思うのであります。それからもう
一つ
聞きたいのは、四百億の大体
増税
の問題。この
増税
の問題は、
平衡交付金
との
関係
において一応大ざつぱに決めた。こういうことを
衆議院
の
委員会
においてこれは
本多国務相
は
答弁
せられたと聞いておりますが、これは事実であるかどうか。その点について先に伺います。
本多市郎
35
○
国務大臣
(
本多市郎
君)
平衡交付金
というものは標準
税收
入と標準
財政
需要との
関係
から決
つて
来るので、この
税法
の決り方によ
つて
はこの
平衡交付金そのもの
の
金額
に変更があるのではないかという御
質問
は御尤もであると存じます。但し本年におきましては、国家
財政
の状況とも勘案して一千五十億というものが決
つて
おるのでございますが、この一千五十億を
決定
いたしましたその根拠は、従来の方式による配付税による配付
金額
、それから更に従来の
補助金
で、この
平衡交付金
の中に統合のできるものはこれを
相当
統合いたしました。これは三百億ぐらいのものが統合されておると思います。そういう点から従来の実績、更に
平衡交付金
の
精神
に基く統合、これを基礎とし、国家
財政
の
実情
と勘案いたしまして、一千五十億という
平衡交付金
が決
つたの
でございますが、これをどういうふうにして運営して行くかと申しますると、この
地方税法
に基く
標準税率
で算出いたしました標準
税收
入、これと、それから
地方
平衡交付金法
に基く
地方
の
財政
需要額というものを一定の標準で算出いたします。それとの不足額をこの
平衡交付金
で、補填するということにな
つて
おります。でありますから、税が需要額をカバーするような所には
平衡交付金
は勿論行きません。そうして
平衡交付金
の
金額
そのものに制限がありますから、その不足額に一千五十億を按分して配分するという建前をとることにいたしております。そういう
関係
から国家
財政
の
実情
、その他の
事情
から千五十億というものがこれが増額、減額にならないものとすれば、
只今
申上げましたような不足額の按分をするということによ
つて
、直接にはそこに不
都合
は生じない次第でございます。
岩間正男
36
○岩間正男君 もう一、二承りたい。もう
一つ
減税
になる。国家
財政
の方において七百億の
減税
になる。
地方税
の方でそれに対して四百億の
増税
になるから、約差額の三百億が
減税
になるではないか。これは
政府
が今まで最も言われて来たところでありますが、この
地方税法
の
衆議院
の
説明
によりますと、
地方
の
実情
によ
つて
決定
する。こういうような点が非常にあるのでありますが、果して現在の
附加価値税
、それから
住民税
、こういうようなものをよく検討するときに、而もこれが
平衡交付金
との連関において
平衡交付金
を支給する條件として、
地方
の
税收
が非常に取られておるというような点、更にそれがどういうことに支給されるかというような非常にそれらの制限條件が付いておる。そういう形においては
地方財政
が非常に困窮しておる
状態
においては制限
税率
までがつちり取るのではないか、又そういうようなことに追込むのがこの
平衡交付金
の
性格
とも
考え
られるのでありますが、そういうことになると厖大な……
政府
の
見積
よりも、大体
地方
の
税收
の一千九十億ですか、その
見積
よりももつと二倍くらいに上るところの厖大な価額になるのではないか。こういう点から
考え
て、この
地方税法
は中央
財政
の、国家
財政
のしわを
地方財政
に物凄く寄せるのだ。こういうふうに
考え
られる節があるのですが、この点について本田
国務大臣
の
意見
を聞きたい。
山田佐一
37
○
委員長
(
山田佐一
君) ちよつと岩間さんにお諮りいたしますが、
総理
は外の所用でお急ぎなんですが、
総理
に対する御質疑はこの辺であなたの方は
了承
されましたならば、
本多国務相
にや
つて
頂きまして、もう一人
総理
に対する簡單な御
質問
がありますから、その方をお許しを願いたいと思います。
岩間正男
38
○岩間正男君 よろしうございます。
山田佐一
39
○
委員長
(
山田佐一
君) 羽生三七君。
羽生三七
40
○羽生三七君 私のお尋ねいたしたいのは、
総理
でも、
本多国務相
でも結構でありますが、本
予算委員会
で
予算審議
に対する、最終的
態度
の
決定
は後刻あると思いますけれども、その前にお伺いしたいことは、今度の
地方税
関係
法案
は
衆議院
先議になるのか、
参議院
先議になるのか、この点をお尋ねして置きたい。これも
衆議院
の
法案
審議
の状況、
修正
等の如何によ
つて
は本
委員会
の
審議
の上に
相当
影響
があると思いますので、この点を先ずお伺いいたします。
本多市郎
41
○
国務大臣
(
本多市郎
君) これは慣例によりまして
衆議院
先議になると
考え
ております。
山田佐一
42
○
委員長
(
山田佐一
君) 羽生さんよろうございますか。
羽生三七
43
○羽生三七君 よろしうございます。
山田佐一
44
○
委員長
(
山田佐一
君) それでは
本多国務大臣
、岩間君の御
質問
に対して御
答弁
を願います。
本多市郎
45
○
国務大臣
(
本多市郎
君) 今回の
地方税
が、
標準税率
等を設けても結局は制限
税率
まで取らざるを得ない
事情
になるとすれば、四百億という予定の
増税
以上に達して、非常に
地方民
の
負担
が多くなりはしないかという御
趣旨
であ
つた
と存ずるのでございますが、実は今日までの
地方
の税の枠が余りに窮屈でありましたために、その
標準税率
以上に達しておる所が、制限
税率
に達しておる所が多いのであります。更に又それでも尚且つ足らず、
寄附
というような手段によ
つて財源
を
賄つて
おるような実状であります。これは今回の
税法
の枠の
拡張
はそうしたものを是正するに役立つだろうと
考え
ております。但し今回の
地方税法
の改正で財源の増加される所は專ら
市町村
でありまして、府県に対しては昨年
通り
の
程度
に、七百億という
程度
に
税收
はこれは抑制いたしております。そういう
関係
から
市町村
のみに
税源
が殖えるわけでありますが、今まで
市町村
民の人達が税に対して
考え
ておりました点について想像いたしますのに、
府県税
或いは
国税
等で非常に取られてしま
つて
、そうして
市町村
自体
で賄う財源がなく
なつ
しまう。つまり他に税をとられてしまうという
立場
であ
つたの
でありますが、今回拡げます枠は
自分
の
市町村
のためにこの枠内の操作を自治的にやるのであります。仮に更に立派な学校を作りたいという住宅の総意のある場合、或いは制限率税まで
標準税率
以上の税をと
つて
その総意によ
つて
はやる場合もあろうかと思いますが、併しもう一年建直しを辛棒して行こうじやないかというこにとになれば、
標準税率
よりも下の
税率
、少ない
税率
で賄な
つて
行くこともできるのでありまして、これはこうした枠を與えて自治的運営の余地を多からしめる。そうして従来のような強制的な
寄附
金とか、或いは法定外の雑税をいろいろ設けて取るとかいうようなことはこれで余程緩和されるものと期待いたしておる次第でございます。
岡田宗司
46
○岡田宗司君 私は議事の進行につきまして発言いたします。本日
首相
においで願い、
本多国務相
においでを願いましたのは、この
予算
の
提出
と、つまり
予算
の
審議
とそれから
地方財政
関係
の
法律
の
提出
の問題と、それとの
関連
について本日
首相
及び
本多国務大臣
に御
出席
を願
つて
それを質したのでありまして、その
予算案
そのものの
内容
につきましては、私は今日まだ入る
段階
ではないと思います。何故ならば、若し
予算案
を
内容
的に
審議
いたすとするならば、先ず
大蔵大臣
の
出席
を求めて、その総括的なる問題から論議すべきが至当である。未だはつきりと決らない他との
関連
において尚一部に過ぎないところの
地方財政
の問題は今日まだやるべきでない。従いまして本日の
予算委員会
は、その
提出
関係
の問題が
委員
諸君の間におきまして納得でき、或いは納得できないかも知れませんが、その問題についての
決定
がありましたならば、本日はこれを以ちまして議事を打切
つて
、そうして改めて
内容
につきましては別に
審議
を開始する、そういうふうにして頂きたいと思うのであります。
田村文吉
47
○田村文吉君 大体今の動議の
趣旨
は結構だと思いますが、私は休憩の動議を
提出
いたします。
山田佐一
48
○
委員長
(
山田佐一
君) それではお諮りいたします。内村君の動議に対しまして、
総理大臣
及び
本多国務相
に対する質疑の
通告
者は終了いたしました。右動議の取扱方について一応御協議を願いたいと思いまするから、田村君の
只今
の動議のごとく十分間この際休憩いたしたいと思いますが、異議ありますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山田佐一
49
○
委員長
(
山田佐一
君) それではここで休憩をいたします。 午後三時五十五分休憩 —————・————— 午後四時四十八分開会
山田佐一
50
○
委員長
(
山田佐一
君) 休憩前に引続きまして、
会議
を開きます。 本日、本
委員会
において、
地方税法案
提出
遅延の経緯及びその外貌について
総理大臣
及び
本多国務大臣
より
説明
を聽取しましたところ、
予算案
提出
の
方法
については原則として遺憾であることを確認し得た。未
提出
関係
法案
中、
地方税法案
は今週末までに、
地方財政平衡交付金法案
は来週初めに
提出
の運びに相成るべき旨
答弁
があり、又
予算審議
に一応支障なき
程度
の
地方税法
の
内容
につき、
本多国務相
より発表ありましたに徴し、期間切迫の折から
予算審議
を促進せしめるため、変則ながら一応これを
了承
の上、
予算案
の本
審議
に入りたいと思います。
内村清次
51
○
内村清次
君 私は
吉田総理
の本
委員会
において
答弁
せられました
国会軽視
に対する
答弁
及び
態度
に対しましては、未だ了解しがたいところがあることを表明いたしまして、爾余の点に対しましては、
委員長
から御報告になりましたすべての点につきまして、賛成を表明するものであります。
岩木哲夫
52
○
岩木哲夫
君 私は先程来
総理
並びに
本多国務大臣
の言明に基きまして、これを信頼して、
只今
委員長
の報告されたような
原案
に原則といたしまして賛成いたしますが、但し
本多国務大臣
が言明せるごとく、
地方税法
は今週の末、
平衡交付金法
案は来週の初めに議会に
提案
されなか
つた
場合には、
予算審議
につきましては、又重大なる
態度
を改めて協議いたしたい、
決定
いたしたいことを條件といたしまして
了承
いたしたいと思います。
山田佐一
53
○
委員長
(
山田佐一
君) 他に御発言がなければ、
只今
委員長
の発言
通り
取計うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山田佐一
54
○
委員長
(
山田佐一
君) 御異議ないと認めます。さよう
決定
いたしました。本日はこれを以て散会いたします。 午後四時五十二分散会
出席
者は左の
通り
。
委員長
山田 佐一君 理事 内村 清次君 岩木 哲夫君 高橋龍太郎君 田村 文吉君 寺尾 博君 堀越 儀郎君 岩間 正男君
木村禧八郎
君 岩男 仁藏君
委員
岩崎正三郎君 岡田 宗司君 羽生 三七君 石坂 豊一君 岡崎 真一君 小林米三郎君 小林 英三君 島津 忠彦君 城 義臣君 團 伊能君 堀 末治君 安達 良助君 小林 勝馬君 鈴木 順一君 藤森 眞治君 前之園喜一郎君 赤木 正雄君 飯田精太郎君 井上
なつ
ゑ君 西郷吉之助君 玉置吉之丞君 藤野 繁雄君 松村眞一郎君 川上 嘉君 小川 友三君
国務大臣
内閣総理大臣
外 務 大 臣 吉田 茂君 国 務 大 臣 本多 市郎君
政府
委員
大蔵事務官 (主計局長) 河野 一之君