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国務大臣(鈴木正文君) 各府県毎の詳細な
資料云々、これは当該課長も来ておりますから、その方から
出して貰いますけれども、今岩間さんの言われたような明確な府県別の
数字というようなものはないと思
つております。私から概括的にお答えしておいて、そうしていずれにせよ、やや詳細に当該の局長或いは課長から
説明して貰うことにしますし、労働省にあります
資料はお渡するようにしたいと思います。私の方が先廻りしてお答えするようになるかも知れませんけれども、起つた序に、失業者の数の問題が必らず出るだろうと思いますから、局長、課長にお答えして貰う前に私の方から
説明の節約上大体の
考え方を申上げます。岩間さん達の方では、一千万或いは二千万という数を挙げられるかも知れませんが、私達はそういう
数字は信頼しておりません。
衆議院でも共産党の方々がそういう
数字を挙げておりますけれども、これは観点が違います。私達はそういう
考え方は分らないと申したのであります。それから今日本にどれだけの、これは全国の問題でありますが、どれだけの失業者がいるかという問題、これは実に実態の掴みようがないのでありまして、例えば全国的の調査などを始めましても、集計されるまでには数ケ月かかる間に、もう実態はどんどん変
つてしまうというような
数字でありまするから、今日本で捕まえ得るところの二つの形と言いまするか、明確にする
一つは総理府の統計であります。それによりまするというと、四十万前後の、純粹の、狭義の中の、極く狭義の失業者というものが、四十万前後という
数字が出ていることはしばしば申上げた通りであります。併しこれはお答えしておきますが、そのときの不完全就業者というものは、例えば昨年の五月を例に引きますと、四百二、三十万はあつたわけであります。そのうちに今の、狭義の失業者、例えば現にその調査のときまでに一週間、調査の直前一週間、一時間も働いておらない、同時にその一週間の間に必ず安定所を通じてなり、或いは知人を通じてなり、就職運動をしたことがある。こういうような枠をかけてそうしてその枠の中に入つた人達が、これも
推定であります。この調査をした。それが四十万前後と、こう
なつているのでありまするからして、極端に言えば八日前に就職運動をした人ではこの枠に入らない、二時間働いた人も、五時間働いた人も入らないという結果になるのでありまして、この四十万前後という数に註釈をつけて
考えるべきものだと思
つております。
併しそれは不完全就業者、四百二十万の中の最低のところにそういう人達がいる。それから今度は二百万以上は、三十五時間以上働いている場合の不完全就業者で、不完全失業者じやなくて不完全就業者であります。三十五時間以上働いて、併し生活をもう少し充実したいからもう少し余計働きたいという希望の人が、この四百二十万の中で二百万以上いるのであります。これは成る程失業とも
考えられるかもしれませんけれども、むしろ生活充実の問題であると
考えて至当ではないかと、解釈の問題でありますが
考えております。それをそういうふうに
考えると、あと二百万前後が残る、而もその中には、四十万という狭義の枠をかけて
考えたところの、表れて来たところの失業者がある。あとの百五、六十万は一体どうなるのか、これは三十五時間以下働いている。それから段階的に一時間きり働いておらないというふうにいくつか分けられると思う。これは一体不完全失業者と見るべきか、それとも、もう失業者と見るべきかという解釈は経済界の推移によ
つて、例えば十九時間以上三十五時間まで働いたという人達が、どんどん下の方に降りて来ることもありましようし、経済が立ち直
つて来るときには、三十五時間以上働いておるという層の中に入
つて行く人達もあります。これはいわゆる変動するところの層、と同時にこの頃には今の完全失業者、嚴重な枠をかけて、事実上は完全失業者という人達も入
つて来るというふうに
考えなければならない。併し実態の明確な
数字は掴めない、
内訳は大体そう
なつている。もう一度繰返して申しますというと、当時四百二、三十万の不完全就業者があり、半分は不完全就業者と雖も、言わば形の上で、生活充実の問題であると
考えられ、それから残りの二百万ぐらいの下の方は完全失業者であり、真中の方はときに完全失業者に転落する可能性が十分あり、ときに上の方に上
つて行く可能性がある者併せて二百万ぐらい、これが
内閣の総理府の統計が示す。それにコメントをつけて
考えたところの解釈なのであります。それ以上この統計に絶対性を持つたところの分析は今のところはないのであります。これと労働省の職業安定所に現れて来るところの趨勢、これを見まするというと、その月々に労働省の職業安定所に就職の斡施を申し込んで来て置いて、そうしてできなかつたという人たちの
数字というものは、実際相当数で以て多く現れておる。これはそれを全部失業者と言い得るかどうかと申しまするというと、あつちこつちに口をかけて置いて、いつか知らんうちに就業しておつたという人たちもありまするし、又全然一週間働いておらないのではない、相当働いておる。いろいろの人たちがありますから、その数をただ失業者ということはできませんけれども、その数は今の
内閣の統計局に現われた今の完全失業者よりも相当多くなる。これらを先ず総合して、私たちはやはり明確な
数字、府県毎にどれだけある。何月にはどれだけあ
つて、何月にはどれだけあつたという
数字は正直のところ掴まえられません。併しこれを目あてに
考えるときに、百万乃至二百万の失業者と言いまするか、離職者及び追加労働希望者に対するところの措置というものを、
予算的にも政策的にも失業対策全体として組合てて置く必要があり、多々益々便ずであるけれども、そこまでして置けば一応次の機会まで持つことができるという
考え方の上に、つまりこの前申上げたように、これは失業保險制度の援用をも含んで、新らしい雇用等をも含めまして、二百万人ちよつとぐらいの吸收
計画というものを、この二十五
年度予算の各方面に、この労働省
予算だけではありません、公共企業全般を通じまして、労働省の
予算を通じましてそれが組立てられて、そうして挿入しておりますということを、すでに
衆議院で御
説明申上げた通りであります。私たちの失業者に対する数の凡その見通しはそうでありまして、それに対応するところの対策の組み立て方というものは、大体そういうふうに
考えておるわけであります。尚御質問がありましたならば、もつと詳細にこれは相当具体的に一々実数を挙げて
安本の
計画、大蔵省の
数字等と照し合して、二百万前後の吸收力というものはあるのかということを、これは具体的に労働者の失業者の数の各府県毎の把握と違いまして、申上げることができるということを一応お答して置きます。尚詳細は
政府委員より
説明いたします。