○楠見義男君
只今議題となりました四つの案件につきまして、農林
委員会における
審議の
経過並びに結果を順次御
報告申上げます。
最初に
肥料配給公団令の一部を
改正する
法律案について御
報告申上げます。
先ず
改正点の
内容及びその
理由を
政府の
説明によりまして
簡單に申上げます。
改正点は二つございまして、第一の点は、
肥料配給公団令の有効期間の延長であります。即ち肥料配給公団は本年三月三十一日を以て解消することにな
つておりますが、肥料の需要供給の現況に鑑み、且つ現在進行中の春肥の配給途上における機構を改革することは影響するところ少なからずと考えられまするので、一応本公団令の有効
期限を一年延長し、現在の春肥配給終了後、そのときの需給状況その他を勘案の上、できるだけ早い機会に公団の廃止をなさんとするものであります。
改正の第二の点は基本金の増額であります。即ち同公団に必要な什器、備品は、基本金により購入することにな
つておりますが、すでにこれが損耗甚だしく、義務上甚だしき支障を来たすに至
つておりますので、五百万円を増加して最小限の補充をいたすこととしておるのであります。
委員会は
本案の
審議に入るに先立ち、肥料の需給状況の現況につき、経済安定、農林省及び通産省より
説明を聽取いたしましたが、それによりますと、昨年八月より本年七月に至る
昭和二十四肥料年度の需給状況は、窒素質肥料については当初の硫安換算百九十七万トンの配給計画に対し、その後の国内生産事情において、渇水期電力事情の緩和等に伴う好転により約十三万トン余の生産増加の見込であり、輸入における約十万トン前後の増加見込を合せ、需給状況は著しく好転し、本年春肥は目下
追加配当も考慮中とのことであります。即ち窒素質肥料に関する限り、来肥料年度におきましては、硝安の輸入計画もなく、一方国内生産も本年より三十万トン程度増加して、約百八十五万トンの生産が見込まれる状況でありますが、他方補給金撤廃に伴う価格の値上りや、農村不況による有効需要減退の徴著しき見通しに鑑み、今後における需給状況の変貌は、食糧の生産事情にもこの面から相当大きな変化の起り得ることが今日より予想せられるところであります。燐酸肥料及び加里質肥料につきましては依然供給不足でありまして、特に良質の燐鉱石輸入の必要と加里肥料の輸入促進が強く要望されておる実情であります。
次に、
質疑のうち、二、三の点を御披露いたしますと、先ず第一に、
我が国が要請しておる以上に硝安等外国肥料が輸入せられておるかどうかの問題に対しての
政府答弁の要旨は、要請の時期と現実に輸入せられる時期との時期的な間隔に伴
つて、すでに外国において買付手当済のものが輸入せられたり、或いは前年度分の輸入ズレ等によ
つて変動はあるが、当方の要請以上のものの輸入はないとのことでありました。次に、例の食糧の輸入か、肥料の輸入かの問題に対しましては、
政府側の大体の意向は、国内における雇用の問題或いは国際收支の問題等から
言つて、食糧と肥料とのうち、仮にいずれか一を選ぶとすれば、肥料を、特に製品よりは、その原料を選ぶとのことでありました。その他の
質疑は省略いたします。
質疑終了後、
討論に入りましたるところ、羽生
委員から、肥料の統制制度改廃の問題は單に需給状況の変化に応じてのみ考慮すべきではなく、例えば農産
物価決定方式との関連において、或いはその他の農業施策との関連において、即ち農政の重要なる一環として考慮することを必要とし、この意味から
言つて肥料については強力なる統制が必要であるとの希望を付して、
本案に
賛成の
意見を述べられ、岡村、藤野、赤澤各
委員からも、それぞれ肥料価格の高騰によ
つて農家はその生産上必要なる肥料も買い得ず、そのために生産上にも重要なる悪影響を来たすことが目前明らかに予想せられるところであり、統制改廃の措置は従来常に生産農民の負担増加において行われている実情に鑑み、将来特に留意すべきこと、肥料資金の確保について努力を必要とすること、生産配給機構の合理化により価格の低下を図るべきこと、実効需要減退防止対策の必要なること、公団廃止に伴う退職職員に対する処遇について公正且つ適切なるべきこと等々の希望
意見を付して、
本案に
賛成の
意見を開陳せられました。
討論終結後、直ちに
採決に付しましたるところ、
本案は
全会一致を以て
原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に
油糧配給公団法の一部を
改正する
法律案について御
報告申上げます。
御承知のように、食料品配給公団法及び
油糧配給公団法は、他の公団法令と同様、その成立以来毎年有効
期限を一年延長する措置をとりつつ今日に及んでおるのでありまして、現行法では、いずれも本年四月一日失効することとなるのでありますが、
政府は食糧品配給公団が現に取扱
つておりまする味噌、醤油及び乳製品につきましては、漸次需給状況が好転し、もはや公団方式による強力を統制を必要としないと認め、今回は食料品配給公団法の有効期間の延長の措置をとらず、従
つて食料品配給公団を解散せしむることとし、ただ従来同公団が取扱
つておりました砂糖だけは、尚、公団方式による統制を必要といたしまするので、同様に尚引続き統制を必要といたしまするところの油脂、油脂原料を取扱
つておりまする油糧配給公団において併せ取扱わしめ、油糧配給公団の名称を油糧砂糖配給公団と改めますると共に、その
存続期限を一年延長せんとする措置を本
法案においてとらんとしておるのであります。本
法案提案理由の骨子といたしまするところは右の
通りでございますが、かねて農林
委員会におきましては本院の
承認を得まして農林関係配給公団制度に関する
調査をいたしておりましたので、以下本
法案に関連する部分についての
調査報告も兼ね、
委員会の
審議の状況を御
報告いたしたいと存じます。
先ず食料品配給公団関係でございますが、食料品配給公団取扱物資たる味噌、醤油、乳製品、砂糖、罐詰のうち、罐詰は国内需給のバランスも大体とれ、公団統制方式の必要がなくな
つたので、昨年四月から除外いたしましたことは御承知の
通りであります。味噌、醤油につきましては、
昭和二十五年消費配給計画は大体本年
通りといたしまして、一人一年味噌二貫七十刄、醤油五升二合でございますが、これは戰前の味噌三貫三百刄、醤油八升に比べますると尚不十分ではございますが、
政府の方針といたしましては、最近漸次売手市場から買手市場へと移行し、従
つて価格もマル公と闇価格とが余り差がなく
なつたこと、将来も大体現状より悪くならない状況が期待せられること、もはや一手買取販売の統制方式を必要とせず、若し必要とすれば切符制度等でや
つて行けること、財政節約面からの要請、民間企業促進等の観点から、公団統制方式を排除せんとする考えであります。乳製品につきましては、統計上における需要関係ではまだ不足でございますが、ものによ
つては戰前の生産に
復帰したものもあり、事実、全体としての需給状況は、有効需要減退の最近の実情からすれば過剩状態とも言えるのでありまするので、もはや公団方式による統制はその必要なきのみならず、他の統制方式も、生産地方の偏在等の事情から消費地に対する極く
簡單な出荷指図の必要があるかどうかというような程度であります。砂糖につきましては、戰前の需要量約千八百万ピクルに対し、終戰後飛躍的に増加したと思われまする昨
昭和二十四年度においてすら尚且つ三分の一にも満たぬ五百万ピクル程度の供給で、国内産では北海道の甜菜糖が極く少量あるのみで、大部分の供給は外国よりの輸入にこれを仰ぐ実情であり、輸入関係からいたしましても一手買取販売により公団統制方式は尚今後も継続を必要とするという
政府の
説明でありました。
委員会といたしましては以上の需給状況、
政府の方針についての
検討に当り、特に味噌、醤油について
政府の方針
通り認めることが可能かどうかという点を具体的数字について
検討いたしたのであります。即ち第一に、昨年秋、
政府がこの方針を立てた当時の大豆の輸入計画と申しますか、希望輸入数量は約二十万トンでありまして、その大部分は中共地区からの輸入に期待をしておつたようでありますが、この期待は今日では全く空に終つたことが明らかにな
つたので、従
つて他の地区からの輸入が確実に実現するまで尚当分現行方式を継続してはどうかという点、第二に、公団統制方式をやめて、それよりも緩和した統制方式でありまするところの例えば切符制による需給調整をやるにいたしましても、それを可能にするためには最低九万八千トンの輸入を必要といたしまするが、それが現在までの実績に徴して可能かどうか、以上の二応が
検討の中心でありましたが、先日安本長官が本議場で答弁せられましたごとく、又事務当局の
説明に徴しましても、関係方面とのその後の折衝の結果、本年一月から六月までの間に、ガリオア・フアンドによる約十六万トンの輸入を含め、大体当初計画
通りの輸入可能の見通しが
はつきり付いたとのことでありますから、
委員会といたしましては、爾後の需給調整方策の巧拙は
政府の責任に委ね、ここに公団統制方式をやることを可と認める結論に達した次第であります。乳製品の統制廃止、砂糖の統制継続に関する
政府の方針は、
委員会における
調査の結果に基く
意見ともほぼ一致いたしまするので、
政府の方針をそのまま認めることといたしました。
次に油糧配給公団関係でありますが、油脂需給状況は御承知のように戰時中より連年窮屈の度を増加いたしまして、供給面では、内地産動植物油脂の漸減、外地よりの移入減によ
つて、
昭和十二年乃至十五年平均の三十三万八千トンに対し、終戰後の二十一年度は最悪の状況で七千トン、二%にまで低落いたしたのでありますが、二十二年度より外国産油脂の輸入により漸次
上昇傾向を辿り、昨二十四年度は十六万六千トンとなりましたが、尚戰前の四五%程度であります。尚、消費事情につきましては、供給減に伴い極めて窮屈でありますことは当然で、戰前の状況に比し、食用、工業用を合し、
昭和二十一年度の九%を最低とし、その後漸次よくな
つて参りましたが、
昭和二十四年度において尚戰前の五三%に過ぎず、而して配給面におきましては、先ず食用充当に考慮が拂われていることと、他面、工業用需要が工業自体の回復度合にも応じて実効需要が戰前に比し依然低いという事情もあり、食用に関する限り大分明朗にはなりましたが、それでも油脂全体の需給状況は国外に多くを期待せざるを得ない関係上、前に申述べましたごとく、未だ甚だしく窮屈であります。従
つて現在の公団方式による統制は尚継続する必要があるわけでありますが、
昭和二十五年度計画について
政府の
説明によりますと、大豆を主とし、コプラ、棉実、亜麻仁、菎麻子等の外国産原料から得る油脂約十六万六千トン、国産油脂の最高利用による約五万五千トン、合計二十二万一千トンの油脂が確保できれば、需給状況は戰前に比すれば尚七割程度ではあるが、大体公団方式による統制を不必要とするに至るのではないかとの観測であります。併し右の計画は輸入に大半の成否がかか
つており、外貨資金七千七百万ドルの獲得が重点でありますから、その推移を見るまでは前に申述べましたごとく現公団は尚暫定的に存置を必要とするという結論であります。但し油糧統制はできるだけ効率的に行わねばならぬことは勿論でありまして、この意味におきましては、品目の
整理等は最も必要でありますが、国内産のものについては従来のこまごまいたしましたものは一切廃止し、今後は大豆及び菜種関係のものに止め、この二種類と輸入油脂原料及び油脂並びに南氷洋鯨油のみを公団統制方式の対象とすることにな
つております。
委員会の
調査の結論も例ね右と同様でございます。
調査の結果は以上の結論
通り、各物資ごとに公団統制方式の撤廃或いは存続が決定せられたのでありますが、次に公団の統合に関する
政府の方針は、今回の
提案のごとく食料品配給公団はこれを廃止し、その現に取扱
つておる砂糖は油糧配給公団に取扱わせることとし、油糧公団の名称も油糧砂糖配給公団と改め、実質上二つの公団を統合せんとしておるのでありますが、これに対し
委員会の意向は昨年の場合と全く同様の
態度でありまして、即ち單なる統合のための統合は、公団そのものが暫定的に臨時的存在であるだけに全く無意味であるばかりでなく、却
つて短期間的存在の中で統合に伴う事務機能の澁滯や人事問題のいざこざによるロスが大き過ぎ、従
つて公団の
整理に関する取扱い方は、原則としてその取扱物資ごとに、需給状況の変化を十分に
検討し、その必要がなく
なつたものから漸次脱落せしめ、又それに伴う機構の縮小を図り、やがて全物資の消滅と共に公団そのものも解消せしめることが最も妥当なやり方と考えたのでありまして、勿論右の方針は原則論ではありますが、今回の砂糖、油糧については右の原則論を適用すべき場合に該当するものと認め、
政府の方針に則らず、別途各派共同
提案の議員
提出の形を以ちまして、実質上本
法律案を
修正すべき立法を試みたのでありましたが、この試みは遺憾ながら関係方面の了解を遂に取付けることができなか
つたのであります。
以上の
経過を経ましたる後、昨三十日、
委員会は
衆議院より送付せられました
政府原案について
討論採決に付しましたる結果、
本案は右に申述べました経緯に鑑み、この際止む得ざるものと認め、公団統合に際してのロスを
最小限度に止めること、公団廃止に伴う職員の処遇に適正を期することの希望を付し、
全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
食糧管理法の一部を
改正する
法律案について御
報告申上げます。
改正法律案の骨子は、第一に「いも」類についての
政府の取扱方式の
改正、第二に食糧配給公団関係の
改正の二点でありますが、先ずこれらの
改正点の
内容及びその
趣旨について御
説明申上げます。
第一の「いも」の取扱方式の問題でありますが、統制存続論及び統制撤廃論がかねて相鬪わされましたことは御承知の
通りでありまして、統制存続論の根拠は、国内における食糧自給度の向上という見地から、過去においてあれだけ食糧の危機の突破に役立ち、そうして又今後においても大きな力を期待し得る「いも」は食糧管理上重要視すべきであり、同時に従来閑却せられていた加工、貯蔵及び利用の面において、
政府は今後更に一段の研究と努力をなすべきであるということに存しております。統制撤廃論の根拠は、食糧事情の安定を見て来た今日、消費者の立場から、従来と
かくの批判があり、特に
政府その他の
機関の配給操作の拙劣乃至困難性もあり、昨秋以来一部配給辞退の起つた事例に徴しても、更に又別の観点から、即ち国家財政の点から見て速急に統制を廃止すべきであるとし、この主張を強調し来たつたことは御承知の
通りであります。
政府は従来から後者の主張に立ち来たり、すでに旧臘一日より供出完了後の自由販売を認めたことは御承知の
通りでありますが、統制撤廃による「いも」作農家への急激且つ甚大なる影響を顧慮し、同時に又作付転換その他に関する十分なる対策の整備や、更に又輸入食糧の確実な見通し難等の事情に鑑み、今回
提出した
改正案におきましては、従来のごとく食糧確保臨時措置法に基く事前割当、供米制度等のごとき高度の統制の廃止は勿論、
食糧管理法における米麦等に対する管理方式もとらず、別途の取扱方式、即ち
予算の範囲内において一定の
政府買上数量を定め、その数量の範囲内においては農家からの売渡申込に応じてこれを買上げるという方式をと
つているのでありまして、右の方式によ
つて本年産の甘藷及び馬鈴薯につきましては合して四億貫の買入れを予定し、過去の生産実績、今後の生産見込その他を勘案して、道府県別買入予定数量を割当指示し、その指示数量の範囲内で申込に応じ買入れることとし、価格は米麦等の
政府買入価格並びに「いも」類の需給事情を参酌し、適切なる価格を定むることといたしているのであります。尚、右の買上げを行う「いも」類は総合配給用の生「いも」のみとし、品質の上級なるものに限定し、農家の出荷時期についても或る程度の調整を行うことといたしておるのであります。
次に
改正第二点の食糧配給公団関係でありますが、
政府は明年三月までに食糧配給公団を廃止するという方針の下に、その間において末端配給機構及び中間卸売機構等の民営移管乃至その確立、消費者の利便の増大を目途とする登録制度の
実施等の措置を漸次行い、以て公団の
整理解体を円滑に遂行せんと企図いたしているのでありまして、
整理完了後は食糧需給
特別会計から卸
機関、小売を通じ、購入券制度により消費者に主要食糧が配給せられる構想であります。今回の
改正法案は、右構想実現のため、差当り公団の
存続期限を本年四月一日より明年三月三十一日まで一ケ年延長し、且つその期間延長に伴う業務運営に必要な什器、備品、運搬具等の取得に必要な九千万円の基本金増額を行うと共に、新たに小売及び卸売の販売業者の存在並びにこれに対する都道府県知事の監督権その他に関する
規定を設けんとしているのであります。
委員会における本
法案の
審議に際しましては、事柄が
我が国食糧政策に関する重要問題であり、又現に食糧供出制度の改変が種々
論議せられ、中には無責任な放言もあり、徒らに生産者及び消費者を不安昏迷に陷れつつある際でもあり、更に又農政の転換期に処しての今後の農政確立上の基本にも触れる極めて緊要なる問題でありますので、各
委員より真劍な
質疑が数多く重ねられたのでありまして、即ち農家経済窮迫の現状に対する具体的対策如何、食糧に関する国内自給度向上についての目標及びその実現のための具体的対策如何、食糧共出制度改変に関する基本的構想如何、新農政確立に関する基本的構想如何、外国食糧に関する将来の輸入対策、「いも」に関しての将来の生産指導対策、供出報奬物資の値下り及び滯貨処理対策等等で、いずれも極めて重要な論題でありますが、これらの問題はかねて本議場におきましても多くの同僚議員
諸君から
質疑のあつた点でありますから、重複を避け、詳細は速記録に讓ることといたします。ただこれらの
質疑に対する
政府の答弁は遺憾ながら必ずしも
委員各位をして十分に納得せしむるに至らなかつたことだけを申上げて置きます。
かくて昨三十日
質疑を終了し、
討論に付しましたるところ、先ず社会党を代表して羽生
委員より、現段階においては食糧事情全般を考慮の上確定せらるべき
食糧管理法が、その全般の事情が未確定のとき、特に食糧確保臨時措置法の改廃方針も定まらず、又食糧輸入の見通しも確としていない現在の状況の下において、
法律の一部の
改正を行うことは不可であり、又ポツダム政令まで出して強行せんとした食確法から「いも」を外すことを本
法案において行うことも同意いたし難い、その他一二の
理由を挙げて本
法案に反対の
意見を述べられ、次に緑風会の藤野
委員から、速かに新事態に即応した食糧政策を確立し、日本農業を安定せしめ、農民をして安んじてその生産に従事することができるようにすること、食糧政策は国内生産による自給度の向上、輸入食糧をできるだけ少くして、よ
つて生じた補給金はこれを農村施策、農業保護に振向けること、公団廃止の場合、退職者に対する処遇に万全を期すること等、十項目の希望を付して本
法案に
賛成せられ、又民主党の鈴木
委員からも、同様、
政府の農村不況対策において十全を期すべきであるとの希望を付して
賛成、新政クラブの小川
委員からも、国内食糧自給体制の確立、農産
物価の適正を期すとの希望を付して
賛成意見が開陳せられました。以上の
討論を終り、
採決に付しましたるところ、本
法律案は多数を以て
原案通り可決することに決定いたした次第であります。
最後に松くい
虫等その他の
森林病害虫の
駆除予防に関する
法律案について御
報告申上げます。
先ず本
法案提出の
趣旨について申上げます。普通に松くい虫という名で総称されております穿孔虫類に属する森林害虫で近畿、九州の一角に発生を見ましたのは、すでに二十年も前のことでありますが、これが戰時から戰後にかけて急速な勢いで蔓延いたしまして、今や北海道を除く殆んど全国の松林、名勝旧蹟の松、海辺の防風林など、至る所の松を非常な繁殖力を以て喰い荒しておりますことは御承知の
通りでありますが、この松くい虫は戰時、戰後における濫伐により森林環境が激変いたしましたのに伴
つて俄かに大量発生を見たのであります。而して従来相当熱心に
実施されておりました駆除事業が十分の効果を挙げ得なか
つたのは、第一に、害虫発生の早期発見、
被害状況の
調査、それに基く防除計画の樹立、その
実施のための措置等の一連の組織が
はつきりいたしておらなかつたこと、第二に、森林法に基く害虫駆除法規自体にも不備欠陷があつたため行政庁が有効適切な処分をなし得なかつたこと等の事情に基くものでありまして、これらの点に鑑み、今回
政府は防除の
実施を促進するための制度及び組織を確立することの急務たることを認め、新たに本
法律案を立案したとこのとであります。
次に
本法の
内容を
簡單に御
説明申上げますと、第一は
本法の適用範囲であります。従来森林害虫の防除は森林法第八十條及び第八十
一條に基いて行われてお
つたのでありまして、駆除の対象が森林に限られてお
つたのでありますが、松くい
虫等の防除に徹底を期するためには、森林のみならず街路樹、公園の樹木及び土地から分離した伐採木等に対しても適用する必要がありますので、対象を森林、樹木及び伐採木等に拡げますると共に、伐倒、剥皮、燒却等、それぞれに対する駆除措置の
内容を明確にいたしておるのであります。第二は、
政府の行う防除措置であります。従来森林害虫の防除は都道府県知事がそれぞれ実情に応じて適当な方法を講じてお
つたのでありますが、森林害虫の種類により、或いはその害虫の発生状況によ
つては、国みずからも必要な防除措置を講じ得るようにいたしておるのであります。第三は、農林大臣又は都道府県知事の行う防除措置に対する森林所有者等の救済制度であります。即ち防除のため必要な命令を受けた者のために、その命令に対する不服を申立てる機会を與えますると共に、防除のため必要な命令又は処分により損失を受けたる者に対し、一定の基準による補償金を交付することといたしておるのであります。以上が本
法案の主なる
内容でありますが、
委員会は去る二十九日及び昨三十日の両日に亘り愼重
審議をいたしましたる結果、
本案は
全会一致を以て
衆議院送付原案通りこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。尚、
審議の状況の詳細につきましては、速記録によ
つて御覽頂きとう存じます。
以上を以て御
報告を終ります。(
拍手)