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黒田英雄君
只今上程されました四
法律案につきまして、
大蔵委員会におきまする
審議の経過並びに結果について御
報告をいたします。
先ず
大蔵省預金部特別会計の
昭和二十五年度における
歳入不足補てんのための
一般会計からする
繰入金に関する
法律案について御
報告をいたします。
大蔵省預金部特別会計の
昭和二十五年度における
收支の
状況を見ますると、
事務費、
預金利子等、
合計百二十四億一千三十万七千円の歳出に対しまして、
歳入は
利子收入、
有価証券の
償還益金等、
合計百二十億八千七百四万円でありまして、差引三億二千三百二十六万七千円の
歳入不足を生ずることになりますので、これを補てんするため
一般会計から繰入をなし、本
特別会計の円滑な
運営を図ろうとするものであります。尚この
繰入金は、本
特別会計の性質に鑑みまして、その
財政状況が健全と
なつた暁には、その
繰入金に相当する
金額を
予算の定めるところによりまして
一般会計に返済する
予定にな
つております。
本案審議に当りましては、種々熱心な
質疑応当が交されたのでありますが、詳細は
速記録によることをお許し願います。
かくて
質疑を終了いたしまして、
討論に入りまして、
油井委員から、
金融逼迫の
折柄、
預金部の
資金運営について、
貸付利子の低減、或いは貸出の公平を図るように十分留意されたいとの
希望を述べられて賛成されたのであります。
採決の結果、多数を以て原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
開拓者資金融通特別会計において
貸付金の
財源に充てるための
一般会計からする
繰入金に関する
法律案について御
報告をいたします。
開拓者資金融通特別会計におきまして、その
貸付資金の調達は、従来公債の発行又は借入金によ
つて行な
つて来たのでありますが、
健全財政の見地からいたしまして、前年度同樣、
昭和二十五年度においても
一般会計からの
繰入金を以て、
営農資金として十億九千五百四十五万円、
共同施設資金として九千四百三十五万円、
合計十一億八千九百八十万円の
貸付金の
財源に充てようとするものであります。尚この
繰入金については、将来
貸付資金が償還されることが予想されますので、この繰入額に相当する
金額に達しまするまでは
予算の定めるところに従いまして
一般会計に繰入れることを規定しておるのであります。
委員会におきましては種々熱心な
質疑応答が交されたのでありますが、これも
速記録によ
つた御
承知を願います。
かくて
質疑を終了いたしまして、
討論採決の結果、
全会一致を以て原案
通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に
国民金融公庫法の一部を
改正する
法律案について御
報告をいたします。最近における
経済情勢におきまして、
国民大衆が
生活再建のため
一般の
金融機関から融資を受けることは非常に困難な
状態にありますが、
国民金融公庫の
昭和二十四年六月一日発足以来、この種の
資金需要は極めて多いのでありまして、
昭和二十四年末に
生業資金七億一千万円、
更生資金三億円の
貸付実績を示しておりますが、
昭和二十五年度におきましても、この
小口生業資金に対しまする
需要は相当の額に上るものと思われますので、
昭和二十五年度
予算におきましては
国民金融公庫に対しまする
政府出資金として十二億円を
予定しており、
資本金十八億円を三十億円に
増加いたしまして、
国民大衆に
小口生業資金を供給して、その
生活再建を図り、民生の安定し
経済の
復興に
寄與せんとするものであります。
さて
本案の
審議に当りましては種々熱心なる
質疑応答があ
つたのでありますが、その詳細は
速記録によ
つて御
承知を願います。
かくて
質疑を終了いたしまして、
討論に入りまして、
天田委員より、
資金需要の
現状では
資本金三十億円でも僅少であるが、庶民の
生活をそれだけ豊かにするものであるから賛成するとの
意見が述べられ、次いで
板野委員より、
政府の
政策が悪いために最近
倒産者が続出しておる、然るに
政府は僅かの
金額で
国民が更生できるような
希望を與えてごまかして行こうとするやり方に反対であるとの
意見が述べられたのであります。
油井委員から、
政府出資十二億は過少と思われるが、実際に困
つている人に貸出されることを
希望する旨の
賛成意見が述べられまして、
採決の結果、多数を以て原案
通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に
証券取引法の一部を
改正する
法律案について御
報告いたします。今回
改正いたそうといたしまする第一点は、証券業者及び証券取引所の健全化に関しまする諸規定を設けたことであります。即ち現行法におきましては証券業者の
資本金額について別段の制限がないので、そのために弱体証券業者の濫設を来たし、投資者の
保護にも欠ける虞れがありますので、今回証券業者は営業用純資本額といたしまして最低額五十万円以上を要することとし、この額に満たない登録申請者は更に登録を拒否され、又証券業者としてその営業用純資本額が五十万円を下
つた場合には営業の停止が命ぜられ、更に登録の取消を受けることとしたのでありますが、この制限規定を直ちに現在の証券業者に適用することは困難でありますので、二年後より適用することとな
つているのであります。又証券業者が営業又は財産経理の
状況に照らしまして過当な
数量の売買取引、不健全な方法による売買若しくは借入をいたし、又は不良と認められる資産を有しまする場合には、証券取引
委員会は当該行為を制限し、不良資産を償却する等の命令をなすことができることとするものであります。次に証券業者の特殊性に鑑みまして、損益の平準化を図るために証券業者の営業年度を六ケ月であ
つたのを一年に
改正しようとすることであります。又登録取消の
処分を受けた証券会社の役員は五年間証券会社の役員に就任できないとする等、現在の條文の不備を整理しようとすることであります。その他、証券取引
委員会は、証券取引所が上場しようとしました証券が公益又は投資者
保護のために不適当と認めますときは上場を拒否すべき旨を命ずることができること等、証券取引所の健全化を図る規定を設けたことであります。
改正の第二点は、
証券取引法の規定によりまして提出される貸借対照表、損益計算書等の財務書類の用語、樣式及び作成方法を証券取引
委員会規則を以て定める権限を証券取引
委員会に與えようとすることであります。又これらの財務書類は、それを提出する会社と特別の利害
関係のない公認会計士の監査証明を受けなければならないことといたし、この監査証明は証券取引
委員会規則で定める基準及び手続によ
つて行わなければならないが、その実施に当りましては、公認会計士の
現状に照らし、監査証明を受けなければならない会社等は証券取引
委員会規則で逐次漸進的に指定して行くこととし、これに必要な法的
措置を講じようとすることであります。
改正の第三点は、
有価証券の募集又は売出に際しまして、証券取引
委員会規則で届出を免除することができる範囲を現行の募集又は売出券面総額五百万円から一千万円に引上げようとすることであります。
改正の第四点は、投資について判断を提供すべき新聞雑誌等の記事に関する取締規定を設けることであります。
改正の第五点は、
証券取引法の規定によ
つて設立された証券業協会について、その活動に実効性を與えまするために事業者団体法の適用をしないこととしようとすることであります。
改正の第六点は、証券取引
委員会の
委員長及び委員は、その職務の特殊性に鑑みまして、
内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命することとし、特別職とすることであります。
本案審議に当りましては種々熱心なる
質疑応答が交されました。その主なるものを申上げますと、証券業者の負債倍率を二十倍と規定しているが、四大証券業者を初めとして、この規定に違反している業者があると思われるが、投資者
保護の立場より適当な
措置を講すべきであるとの
質疑に対しましては、
政府委員より、証券業者の資産内容について
報告を受けているが、その内容は悪いと思わないというような
答弁がありました。次に、
証券取引法第六十五條は
金融機関に対する証券業禁止の規定でありますが、
金融機関が株式の売買を行な
つているのは、この規定に違反しているのではないかという
質問に対しましては、
政府委員より、
金融機関が自己の計算において投資を目的とするために行う証券売買は差支ないとの
答弁があ
つたのであります。又
証券取引法第百二十五條は相場繰縦の禁止を規定しておるのであるが、
大蔵大臣の過般の言動はこの規定に違反していないかとの
質問に対しましては、
政府委員より、特定の
有価証券の買入を
金融機関に
要請したのではなく、決して違反していないとの
答弁がありました。
かくて
質疑を終了いたしまして、
討論に入りまして、
板野委員より、今回の
改正において証券業協会に事業者団体法の適用を免除することにな
つているが、これは独占資本の復活、財閥の
復興に重大な意義を持つものであるから反対するとの
意見が述べられ、
油井委員から、投資者の
保護を図るために証券取引
委員会はその
運営に十分留意すべきであるとの
賛成意見が述べられ、
採決の結果、多数を以て原案
通り可決すべきものと決定した次第であります。
右各法案の
報告を終ります。(
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