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1950-02-27 第7回国会 参議院 本会議 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年二月二十七日(月曜日) 午前十一時四十二分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第十八号
昭和
二十五年二月二十七日 午前十時
開議
第一
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
)(
委員長報告
) 第二
郵便年金法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
)(
委員長報告
) ━━━━━━━━━━━━━
佐藤尚武
1
○
議長
(
佐藤尚武
君) 諸般の
報告
は朗読を省略いたします。
—————
・
—————
佐藤尚武
2
○
議長
(
佐藤尚武
君) これより本日の
会議
を開きます。 この際、
日程
第一、
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
、
日程
第二、
郵便年金法
の一部を改正する
法律案
、(いずれも
内閣提出
)、以上両案を一括して
議題
とすることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤尚武
3
○
議長
(
佐藤尚武
君) 御
異議
ないと認めます。先ず
委員長
の
報告
を求めます。
郵政委員会理事渡邊甚吉君
。 ———
—————
—————
〔
渡邊甚吉君登壇
、
拍手
〕
渡邊甚吉
4
○
渡邊甚吉君
只今議題
となりました
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
及び
郵便年金法
の一部を改正する
法律案
の
郵政委員会
における
審議
の
経過
並びに結果を御
報告
いたします。
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
は、
保險金削減期間
内に被
保險者
が
日本
脳炎によ
つて
死亡
いたしました場合に、十種
伝染病
による
死亡
と同様、
保險金全額
を
支拂
うこととし、又
災害死亡保險金倍額拂い
の
條項
を
昭和
二十一年十月一日以後に締結された
契約
にも遡及して適用すると共に、
行政簡素化
のため、
簡易保險郵便年金事業審議会
を
郵政審議会
に吸收することとし、現行の
契約乘換
に関る
條項
を削除しようとするものであります。
委員会
は法案の
内容
を精査すると共に、
簡易保險事業経営
上の重要問題についても
審議
したのでありますが、以下
質疑応答
の主要なるものを御
報告
いたしたいと思います。 先ず
災害死亡倍額拂い
の
條項
を
昭和
二十一年十月一日以降の
契約
のみに適用し、それ以前の
契約
に遡及しないのは不公平ではないかという
質問
に対しましては、
政府
より、それ以前の
契約
は
乘換整理
の対象たる
小額契約
であるから
遡及適用
を避けたいということでありました。又廢疾に対しても
保險金相
当額を
支拂
う
意思
がありかとの
質問
に対しましては、
経理状態
と睨み合せて将来改正したいという
答弁
がありました。又去る第五
国会
において両院の決議があつた
積立金運用事務
の
郵政
省復元問題に関しましては、その筋との
折衝経過
について
郵政大臣
より詳細な説明があり、尚、
山田委員
よりは、二十五年度
予算
上、
預金部
よりの本
積立金
に対する
利子繰入金
の利率四分五厘は低きに過ぎる感があるので、
預金部資金運用利廻
の
向上実績
に応じ、年度当初に遡
つて
繰入
利子
の引上げをなし得るような彈力性のある協定を、
郵政
、
大蔵両省
において締結せられたい旨の希望がありました。
かく
して
討論採決
に入りましたところ、全員一致可決すべきものと
決定
いたしたのであります。 次に
郵便年金法
の一部を改正する
法律案
は、
郵便年金
を
契約
し得る
最低制限額
が現在六千円でありますのを、
経済事情
の推移に鑑み、三千円に引下げようとするものであります。本案に対しては格別の
質問
もなく、
討論採決
の結果、これ又全員一致可決すべきものと
決定
いたしたのであります。 右御
報告
いたします。(
拍手
)
佐藤尚武
5
○
議長
(
佐藤尚武
君) 別に御
発言
もなければ、これより両案の
採決
をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
起立者
多数〕
佐藤尚武
6
○
議長
(
佐藤尚武
君) 過半数と認めます。よ
つて
両案は可決せられました。
—————
・
—————
〔
内村清次
君
発言
の
許可
を求む〕
佐藤尚武
7
○
議長
(
佐藤尚武
君)
内村清次
君。
内村清次
8
○
内村清次
君 本員はこの際、
国鉄仲裁裁定
に関する
東京地方裁判所
の
判決
に対する
政府
の
処置
に関して
緊急質問
をすることの
動議
を提出いたします。
門屋盛一
9
○
門屋盛一
君
内村
君の
動議
に賛成します。
佐藤尚武
10
○
議長
(
佐藤尚武
君)
内村
君の
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤尚武
11
○
議長
(
佐藤尚武
君) 御
異議
ないと認めます。よ
つて
これより
発言
を
許可
いたします。
内村清次
君。 〔
内村清次
君
登壇
、
拍手
〕
内村清次
12
○
内村清次
君 私は去る二月二十五日、
国鉄裁定
に関する
東京地方裁判所
の
判決
と、これに対する
政府
の
態度
につきまして
緊急質問
をいたしたいのでございます。 本
判決
は、平和的、
合法的運動
を原則とする
労働組合
は勿論、
国民
ひとしく注目待望して、国際的にも
日本
の
労働運動
の前途に
一つ
の道を與えたものでありまして、権勢に屈せず、極めて明快に公正に正邪を処断いたしましたものでありまして、
司法権
の
独立尊嚴
のために誠に欣快に堪えないところであると思うのであります。
判決
は主文において、「
仲裁委員会
が
国鉄
と
労働組合
間の
賃金ベース
及び年末
賞與金
の支給に関する
紛争
について、
昭和
二十四年十二月二日なした
裁定
に
国鉄公社
は従わなければならない。」と
判決
いたしておるのであります。本問題に関しましては、改めて詳しく申述べまするまでもなく、昨年十二月二日、
公共企業体仲裁委員会
で
決定
いたしました
裁定
につきまして、
政府
はその
全額支拂
を拒否し、十五億五百万円の内拂に止めたのでありまするが、これに対しまして、
労働組合
を初めといたしまして、
世論一般
は、これは
政府
の
違法行為
であると非難いたしまして、
参議院
は昨年末
院議
を以てその
全額支拂
を
議決
したことは、
議員諸氏
の
はつ
きりと記憶しておられるところであると思うのであります。然るに、
政府
はみずからの
違法行為
を欺瞞するために、
衆議院
に絶対多数の議席を持
つて
おりまするのを幸いといたしまして、残余の額の
支拂
を拒否せしめて、これを
国会
の
議決
がなかつたものと詐称しておるのであります。即ち十二月二十四日、
政府
の回答せられました
衆議院
の
議長
の
回答公文書
におきましては、
国鉄裁定
は
国会
において
承認
がなかつた点を通告いたしております。これは明らかに
衆議院
の
決定
のみを一方的に取上げて、
全額
を
支拂
うべしと嚴たる
議決
を
行なつ
たこの
参議院
の
議決
を無視いたしておるのでありまして、かかる
政府
の
国会無視
の非民主的な
行為
がしばしばとられておるのでありますが、我々は
国会
と
民主主義
を守るために嚴重にこの
責任
を追及するものであります。 この
政府
の企図いたしましたる
国会不承認
の問題につきましては、この
裁判
の
判決
の
理由書
におきまして、誠に適切に次のごとく申しておるのであります。即ち「
裁定
は
争議権
に代る
生存権
の
保障
の
裁判的制度
であり、この
裁定
の効力の発生を
国会
の
承認
にかからし
むる理由
は少しもない。
国会
は單に
財政
上の
観点
から
承認
か否かをなし得るに過ぎず、
裁定自体
の
当否
を決することは許されない」と、
はつ
きりと
国会
の
裁定
に対する権限を正しく規定しておるのであります。
従つて
我々は、
裁定
に関して
国会
が取扱うべきところの問題は、この
裁定
の
予算
上の財源についてのみその
当否
を論ずべきであることは、
はつ
きりと
法律
上の
解釈
を
司法
上からもこれを裏付けられておることを認めるものであります。而もこの
予算
上の問題につきましては、
判決
には次のような
理由
を述べておるのであります。即ち「又
予算
上、
資金
上不可能とは、
国鉄内部
の
資金
では賄えないところの
資金
を意味して、
予算
の
流用
、移用又は
予備費
で賄い得る
資金
はその
範囲外
である。尤も
流用
などについては、
内閣
又は
大蔵大臣
の
合目的性
の考慮により
自由裁量
に任せられると言えるが、本
仲裁裁定
に基く債務の
履行
の場合についてまで、これらの
自由裁量
に属するといたしたならば、
仲裁制度
は
否意味
とな
つて
、これに代る適切な
制度
がないにも拘わらず、
国鉄職員
から
争議権
、
団体交渉権
の実体を奪うこととな
つて
、
憲法
に
違反
する結果を来たすものである。」と
言つて
おるのであります。更に又この「
決定不承認
が
法規裁量
である以上は、
予算
の移、
流用玉
は
予備費
の使用が客観的に見て実質的に可能である限り、
予算
上、
資金
上不可能と称すべきものではなくして、
裁定
の
履行
は可能と言える。
裁判所
において
裁定
に基く債権の給付を命じ得ることは当然である。」と申しておるのであります。
かく
のごとく明確に予等上、
資金
上の
流用
による
全額支拂
が
判決
として下
つて
おりますることは、我々は本院におきまして、この点につきましては強く正しく主張して来たところでありまして、
加賀山国鉄公社総裁
も、曾ての
労働
、
運輸
の
合同委員会
の席上及びハン・ストの
收拾
時におきましても、
裁定
の実施については「当事者として当然拘束を受ける。」又「
政府
に対しては
十分責任
を以て交渉する、正式の
手続
をして
大蔵大臣
に
全額支拂
のための
予算流用
の措置を
構ずる
」と確約いたしておるのであります。更に
大蔵大臣
に対しましても、二十七億の
追加予算
の申請も提出いたしておるのであります。然るにここに奇怪なことには、二月二十六日、
東京地方裁判所
の
判決
に対しまして、
総裁談
といたして逆に「
政府
と協議するが、
不服
として
上訴
することになるであろう。」と放言しておるのであります。且つ又
増田官房長官
は「裁決が
政治
の
分野
に入ることは反対である。」などという
暴言
を吐いておられるのであります。
政府
の
非行
を
反省
もせず、ますます
法律無視
の
暴政
を行わんとするがごとき
言動
をなしておるのであります。ここにおいて私は
事態
は誠に緊急なものであると認めまして、次の諸点につきまして、
吉田総理
並びに
関係大臣
に
質問
をいたしたいのでございます。 第一点は、
加賀山総裁
の以上ごとき
言動
は、当然円滑に
運用
せらるべきところの
国鉄
の業務に大きな波紋を混乱を與えるものでありまして、五十万
従業員
の
勤労意欲
を阻害し、
国鉄
並びに
政府
への
信頼感
を全く喪失せし
むるところの二言的行為
である。更に又
公労法
第十
七條
に規定せられておりますところの、一方的に
罷業
や怠業を煽動する者はこれを罷免することができるという
條文
は、まさに
総裁
御自身に適用されるものと認めるものであります。更に又、
日本国有鉄道法
第二十
二條
におきまして、「
内閣
は、
総裁
に
職務
上の
義務違反
その他
総裁たる
に適しない
非行
があると認めた場合には、
監理委員会
の同意を得て、これを罷免することができる。」と規定されておるのであります。
参議院
の
議決
を
履行
せず、
公述人
としての証言を
履行
せず、まさに
職務
上の
義務違反者
であります。この
総裁
の
責任
は当然即ち
国鉄法
に該当するものであると思うのでありまするが、
総理
はこれを罷免する
意思
があるかどうか、
理由
を付けて説明して頂きたいと思うのであります。 第二点に、
増田官房長官
は、
司法
が
政治
上の
分野
に入るのは不可なりと
言つて
、理解し得ぬところの
暴言
を吐いておられるのでありますが、然らばお聞きしたいのであります。昨年末、
衆議院
が
仲裁裁定そのもの
の
否認等
の
行為
をと
つて
行政
並びに
仲裁
の
裁判的制度
に
容捨
なく侵入いたしましたときに、
政府
みずからがこれを行わしめて、且つ又、これを唯一の
理由
として
裁定
を拒否する等の
暴政
をとられておるのであります。これは
労働運動
の
最終的裁判制度
を侵害し、冒涜するものと言わざるを得ないのであります。更に又、みずから
反省
もせず、異
なつ
た他の
意思
を飽くまでも非難屈服せしめようとする
官房長官
及び
内閣
の性格は、明らかに反動であり、
フアツシヨ内閣
であると申すことは又当然と言わなければならないと思うのであります。(「その
通り
」と呼ぶ者あり)
かく
のごとき
法律
の嚴守につきましては、
立法府
たる
参議院
が
院議
を以て
決定
し、これまで
司法権
の
独立
と法の
尊嚴
という点につきまして
東京地方裁判所
が確乎たる
判決
を下したる以上は、
政府
はこれに対して如何なる
処置
をとらんとするのであるか。更に
上訴
する
意思
があるかどうか。
司法権
が
政治
に侵害しておるというその根拠をお伺いしたいのであります。又
総理
を初め
関係
各
大臣
は、かかる
裁判所
の
判決
に対しまして、今日まで法に
違反
し、又
立法府
に
責任
を転嫁するがごとき
言動
を常にと
つて
おられる、その
責任
は如何にしてとろうとするのであるか、辞任をして不明を
国民
の前に陳謝すべきであると思うが、この点に対する御
答弁
を要求するものであります。 第三点といたしましては、
かく
のごとく明確に
全額支拂
の
判決
が下されて、たとえ
国会
が
不承認
を
議決
しても、本
裁定
の性質、
内容
から見て、後日
支出
が可能と
なつ
たときに
履行
せられても、その
目的
即ち
全額支拂
を意味しておりまするが、これを達し得る
裁定
であるならば有効に存続し得ると明確に
判決
を下しておるのであります。
政府
は後日
予算流用
の
許可
をなさるべきは当然のことと思われるのでありますが、
政府
のこの点、実行を確言するかどうかにつきまして、これは
大蔵大臣
に御
答弁
を要求するものであります。 私は
最後
に
政府
に警告して置きたいことは、この
判決
で尚も
政府
及び会社が不明の点を
反省
せずに、
参議院
や
司法機関
で当然と認めているところの
法律
が守られないといたすならば、今回の
賃金ベース
改訂問題と相待
つて
事態
は
不測
の方向に発展するとさえ考えられるのであります。即ち
判決
の
理由書
におきまして、
裁定
は
争議権
に代る
生存権
の
保障
の
裁判的制度
であると明言せられまして、若し
政府
が
国鉄従業員
の
最後
の
権利
まで蹂躪することがあるといたしましたならば、
公社職員
も又
正当防衛権
を以てこれに対抗するものでありまして、すでに
国会共闘委員会
に集まりました
民主的労働組合員
はそのような
態度
をとらざるを得ないという態勢にまで来ておることも御
承知
の
通り
であります。万一かかる
不測
の
事態
を生じました場合、我々は、今まで
最後
の
生存権
をすら蹂躪して、
法律
を無視し、人事院の勧告をも拒絶するがごとき
政府
の
暴政
に、その挑発の
責任
ありと申さざるを得ないと思うのであります。かかる
事態
が生じました場合、
政府
はその
責任
を如何にしてとろうとするのであるか。極めて重大なことでありまするから、愼重にして且つ明快に
総理
及び
関係大臣
の
答弁
を要求するものでございます。(
拍手
) 〔
国務大臣増田甲子
七君
登壇
〕
増田甲子七
13
○
国務大臣
(
増田甲子
七君)
内村
君の御
質疑
にお答え申上げます。 先ず第一に、我々は今回
国鉄関係
の
裁定
についてなされた
仮処分
の
判決
については、法理上の
解釈
から見まして
不服不満
の
観念
を持
つて
おります。でございまするから、
内村
君も御
質疑
されましたが、早速
上訴
をいたしたい、こう思
つて
おります。 それから
内村
君は
判決
の
内容
を指摘されて種々論議されましたから、そのうち一部
政府
に対する
質疑
の点について私も御
答弁
申し上げます。 先ず第一に、
判決
は、
国会
は
裁定
の
内容
の妥当か不妥当かについて
審議
する機能がないのであるという
判決
の
文章
があるということを言われましたが、私はこの点については
判決
と根本的に
観念
の
違つた見解
を持
つて
おるのでございます。
国会
は国権の
最高機関
である、あらゆる事項について私は
審議
することができる、こう確信しておるのであります。(「
ノーノー
」と呼ぶ者あり)而して
裁定
が妥当か不妥当であるかを認定しなかつたならば、あの第十六條第二項のいわゆる
承認
を與えるか否かはできないのでございます。従いまして、
判決
の
文章
と違いまして、
国会
は
裁定
の
内容
の妥当、不妥当、
合法
、非
合法
、あらゆる点において
審議
できる、又すべきであると、こう考えておるのであります。(「その
通り
」と呼ぶ者あり) それから、その次に第十六條第一項というものは
法規裁量
か
自由裁量
か、我々は
自由裁量
と考えております。この点は恐らく争いの点になるでございましよう。
従つて
我々は
上訴
をいたすつもりでございます。即ち
法規裁量
といたしますと、
予算
上不可能とかいうような問題も起きないのでございまして、第十六條第一項が死んでしまう。結局我々は
判決
と同様に、
国民諸君殊
に
労働者諸君
の
生存権
は、健康にして文化的な
生存
をなすということについての
権利
は、最も尊重しなければならぬと思
つて
おります。併しながら今日
憲法
の
條章
がございまして、これらの諸
権利
、
基本的人権
は、
公共
の
福祉
の
範囲
内において認められる、これ又
憲法
に明定してあるのでございまして、
予算
上不可能であ
つて
も
裁定
の
内容
を実施しなくてはならぬということになりますと、結局、今
政治
上の一番大きな問題である
税金
の問題或いは
運賃
の問題というようなものが又々深刻化する。即ち
税金
は減税するを得ざるのみならず、御
承知
のごとく、
内村
君は最もよく
運輸関係
について御経験がありますから御存じのごとく、
一般会計
から三十億を廻しまして漸く三月末プラス・マイナス零というところになるところでございましたけれども、今回十五億五百万円の
流用
をいたしましたために、三月末には
一般会計
即ち
税金
から三十億の
流用
がありましても、尚且つ八億ぐらいの赤字になると
言つて
歎いておる状況でございます。従いまして、
税金
に基礎を持
つて
いるところの
一般会計
から、より多くの繰入がなされなければならず、又
運賃等
も値上げをしなくてはならない。即ち
公共
の
福祉
というような
條件
に触れて来るのであります。でありまするから、
労働者諸君
の
団結権
なり或いは
罷業権
その他の
権利
、又
一般国民
の享受せられるべき
生存権等
も、
公共
の
福祉
というような
範囲
を明定いたしました
国家公務員法
或いは
公共企業体労働関係法
というようなものの制約を受けておるのであります。即ち
予算
上無理な、不当な
支出
はしないでもよろしい、
予算
上可能な
範囲
において、できるだけ
生存権
を尊重し、又
労働者諸君
の
労働権
を尊重しろというのが、第十六條第一項の精神であり、又これについての認定をし、
審議
をされるのが、第十六條第二項による
国会
の権能であると我々は確信しておる次第でございます。(
拍手
、「了解」と呼ぶ者あり)
佐藤尚武
14
○
議長
(
佐藤尚武
君) 今
暫らくお待ち
を願います。
運輸大臣
は
出席
を約されておりますから……。(「
総理
はどうした」と呼ぶ者あり)
総理大臣
並びに
大蔵大臣
の
答弁
は他日に留保されております。 〔
内村清次
君「
大蔵大臣
は院内にいるのじやないですか」と述ぶ〕
佐藤尚武
15
○
議長
(
佐藤尚武
君)
大蔵大臣
は
衆議院
の
予算委員会
でどうしても手が外せないということを今断わ
つて
参りました。 〔「本
会議
の方が大切だよ」と呼ぶ者あり、
門屋盛一
君「小
委員会
の
申合せ
の
違反
になる。
総理
の
出席
ができないということを
承認
しているが、
大蔵大臣
は
出席
することにな
つて
いる、あなたの方で勝手に留保すると
言つて
も、
出席
を約されている、又
予算委員会
と
参議院
の本
会議
と、
委員会
のウエイトについては、
一つ
のルールが決ま
つて
いるわけだ」と述ぶ〕 〔
国務大臣大屋晋
三君
登壇
、
拍手
〕
大屋晋三
16
○
国務大臣
(
大屋晋
三君)
只今
の
内村
君の御
質問
に対しましてお答えいたします。 一昨日土曜日に
国鉄裁定
に対しまして
仮処分
の
判決
が下りましたが、
政府
といたしましては、何分一昨日の今日で、詳細な
態度
を決めておりません。尚、
加賀山総裁
の
態度
につきまして、不都合ではないかというような御
質問
であつたそうでありますが、
政府
は
加賀山
君の
言動
に対して何ら不都合の点を認めないのであります。(笑声、
拍手
) 〔「
委員会
と本
会議
を混同しては困る」「そんなことをやると
議長彈劾演説
をやるぞ」「
法務総裁
」「
議長
しつかりしろ」「
休憩
」と呼ぶ者あり〕
佐藤尚武
17
○
議長
(
佐藤尚武
君) 先程の私の
発言
を訂正いたします。
大蔵大臣
の
出席
を待つこととなりました。 〔「当り前だ」「
休憩
」「默
つて
待
つて
いる、雛祭みたいだな」と呼ぶ者あり〕 〔
栗山良夫
君「
議長
、
発言
を求めます」と述ぶ〕 〔「
大臣
が来るまで待つのは悪例になる、
休憩
して小
委員会
を開け」と呼ぶ者あり〕
佐藤尚武
18
○
議長
(
佐藤尚武
君)
議事
の都合によりまして暫時
休憩
いたします。 午後零時十三分
休憩
—————
・
—————
午後三時五十五分
開議
佐藤尚武
19
○
議長
(
佐藤尚武
君)
休憩
前に引続き、これより
会議
を開きます。 先程の
内村清次
君の
緊急質問
に対する
答弁
のため、
大蔵大臣
から
発言
を求められております。この際
許可
いたします。
池田大蔵大臣
。 〔
国務大臣池田勇人
君
登壇
、
拍手
〕
池田勇人
20
○
国務大臣
(
池田勇人
君) 本日午前、本議場におきまして、
内村清次議員
より、
国鉄
の問題に関し、先般
東京地方裁判所
において
判決
のありましたあの
判決
に
従つて
、
政府
は
予算
の
流用
につき
許可
を與えるべきではないかという御
質問
があつたそうであります。私は本問題に関しましては、従来
本国会
におきまして自分の意見を申述べておりまする
通り
に、
予算
の
流用
を
許可
する考えは持
つて
おりません。(
拍手
) 〔
内村清次
君
発言
の
許可
を求む〕
佐藤尚武
21
○
議長
(
佐藤尚武
君)
内村
君の再
質問
を
許可
いたします。
内村清次
君。 〔
内村清次
君
登壇
、
拍手
〕
内村清次
22
○
内村清次
君
国鉄裁定
問題につきましての
東京地方裁判所
の
判決
の誠に我が国の
合法
的な
労働運動
に及ぼす影響の
重大性
に鑑みまして、
政府
の
責任者
である
吉田総理
及び
関係大臣
に
質問
したのでありまするが、
吉田総理
の
出席
を見ず、又先程の
答弁
の中におきまして、
増田官房長官
は、みずからのこの
違法行為
を
反省
せずして、
上訴
すると明言されておるのでありまするが、この
増田長官
は、
内閣
の如何なる
資格
として、いわゆる
内閣
の
代表者
として
発言
せられたのであるか。この点が私達はまだ納得行かないところでありまして、いわゆる
公労法
によりまして、今回の
裁定
問題があらゆる
法律
的な
最終裁定
であるという点も今回の
判決
においても明らかでありまするが、又この
公共企業体
になりましたのが一昨年の六月でありまするが、その直接の
監督者
は、これは
運用
上は
総裁
でありまして、
監督
は
運輸大臣
である。その
運輸大臣
が、先程の
答弁
によりますると、一昨日、土曜日に
国鉄裁定
に対して
仮処分
の
判決
が下されましたが、
政府
といたしましては何分一昨日のことで詳細な
態度
を決めておりません、こういうような
発言
をしておる。こういうような直接
監督者
が何ら
態度
を決めておらないというのに、この
増田長官
は如何なる
資格
で
上訴
するというような、こういうような点を
発言
されておるのであるか。この点が私達がまだどうも納得行かない点でございます。 それと、もう
一つ
は
加賀山総裁
に対しまして、私はこの際、いわゆる
国鉄法
第二十
二條
によ
つて
、本院のこの嚴粛なる
議決
に対するところの忠実なる
履行者
じやない、こういう
観点
から、二十
二條
に照らして、これを罷免すべきであるということを提言いたしておりますが、これに対しましての
運輸大臣
の
答弁
も又要を得ておりません。而も又占今
大蔵大臣
がいわゆる今回の判定に対しましての
答弁
といたしまして、何ら
予算流用
、
全額支拂
に対しても、これは前回の
国会
で答えた
通り
に、考えておらないというような
発言
をいたしておられまするが、この
判決
の
内容
の中に次のようなことが示されているのであります。「
日本国有鉄道法
の第三十六條、
財政法
の第三十三條第二項、
予算決算
及び
会計令
の第十
七條
によ
つて
、
大蔵大臣
の
承認
がなければ
予算
の経費の
全額
を
流用
し得ないが、その
流用
によ
つて裁定
の
履行
が可能となるときには、
大蔵大臣
の
公共企業体労働関係法
第
一條
第二項にいうところの、この
法律
で定める
手続
に関與する
関係者
の一人としてその
流用
を
承認
する
義務
を負い、その
資金
の
支出
は
予算
上可能である。」かように判定せられているのであります。然らばこの
公共企業体労働関係法
第
一條
第二項にどういうことが謳われているかと申しますと、いわゆるこの「
手続
に関與する
関係者
は、
経済的紛争
をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」という規定を以ちまして、そうして、この
公共企業体従業員
の
罷業権
を剥奪いたしておるのであります。こういうような重要な問題につきまして、今尚、
予算
の
流用
もしない、而も又
公共企業体
が
独立採算制
を以ちまして、そうして
財政経済
をこの線に沿うて
運用
して行こうというような点に対しましても、これを剥奪する、これを阻害するようなことを今尚考えておられることは、全くこれは
日本
の
労働組合
の
運動
を本当に非
合法
に外らす張本人であると私は考えていいと存じます。(「その
通り
」と呼ぶ者あり) 第二の点は、曾て
政府職員
、即ち
行政機関
の
職員定員法
の際におきまして、あのような
国鉄
におきましては九万五千というような首切りをや
つて
いることは御
承知
の
通り
であります。そのときに私もこの席において
質問
いたしましたように、退職手当金はこれは政令で、即ち一方的に決めております。当然これはああいうような首切りをやるといたしましたならば、その
法律
の中に退職して行く人達の老後を、又その退職後の生計を考えて、規定に
従つて
支出
すべきでありまするけれどもが、そういうようなことは政令で決めている。而も又
増田長官
も今日
言つて
おられたようでありまするが、赤字である、赤字であると
言つて
おる、この
公共企業体
の経理
内容
から五十四億という金を以て退職者に対する退職金をや
つて
おる。五十四億の金を
流用
しておる。どういう費目
流用
をしておるか分りませんが、この点につきましても私は
運輸
委員会
で
運輸大臣
に
答弁
を求めましたときに、これは、五十四億は確かに
流用
をしておるということも
発言
いたしております。こういうようなことをしながら、今回いわゆる
仲裁裁定
という、あの
公労法
の平和的な解決の
法律
條文
に
従つて
、專門の方々が四ケ月も費し、同時に又その
関係
労組の方々が今日まで忍ぶべからざるを忍んで、そうして平和的解決を求めておるに拘わらず、一方には、自分の都合のよう問題につきましては、これは
国民
の知らないうちに
予算流用
をや
つて
いる。そうして、こういうような恐らく又更に正当防衛的なことが発生することも予測されるような、こういう
事態
に対してさえ、今尚その言葉を堅持しておるというがごときことは、誠に
大蔵大臣
といたしまして不見識極まる問題であると私は思いますが、これに対しまして
大蔵大臣
は、この
法律
上からしてなぜ
流用
ができないのであるか、同時に又
加賀山総裁
が二十七億の
予算
追加を、これを
法律
に
従つて
申請したときに、なぜこれに対してその
流用
を
許可
しなかつたのか、この点を明らかにして頂きたいと私はかように考えまして、再
質問
をいたした次第であります。(
拍手
) 〔
国務大臣池田勇人
君
登壇
〕
池田勇人
23
○
国務大臣
(
池田勇人
君) 再
質問
のうち私に関しまする点につきましてお答えを申上げます。 先ず第一は、私は今回の
東京地方裁判所
のあの
判決
には承服し難いのであります。従いまして適当な措置を今後とることを閣員といたしましてここに申上げて置きます。尚、
公共企業体労働関係法
第十六條によりまして、私はあの
裁定
は
政府
を拘束するものでないという考えの下に、今までの措置をと
つて
おるのであります。而して退職のときに数十億を出したではないか、こういうお話であります。勿論
行政
整理のためにできるだけ退職金を出しておるのであります。而してその後におきましても
仲裁裁定
の趣旨を尊重いたしまして、十五億五百万円を出しておることは御
承知
の
通り
であります。 次に
加賀山総裁
が今後
予算
の
流用
を申請したならばどうするかという御
質問
でありまするが、私は
只今
のところ
予算
の
流用
を
許可
する考えは持
つて
おりません。先程の答えと同様でございます。(
拍手
)
佐藤尚武
24
○
議長
(
佐藤尚武
君)
日本
の
議事日程
はこれにて終了いたしました。 次会は明日午前十時より開会いたします。
議事日程
は
決定
次第公報を以て御通知いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会
—————
・
—————
○本日の
会議
に付した事件 一、
日程
第一
簡易生命保險法
の一部を改正する
法律案
一、
日程
第二
郵便年金法
の一部を改正する
法律案
一、
国鉄仲裁裁定
に関する
東京地方裁判所
の
判決
に対する
政府
の
処置
に関する
緊急質問