○
石原幹市郎君 私は先般来、初めて
法務委員としてこの
委員会に列したのでありますが、丁度
五井産業事件を
中心とする
検察及び
裁判の
運営に関する
調査に千與することとな
つたのであります。そこでこの
事件に関しまする
速記録であるとか、
関係新聞記事等を蒐集いたしまして、又今日までときどき傍聴しておりましたときの
感想等からいたしまして、どうも若干不可解な感に打たれる点もありまするので、それらの点について
委員長にお尋ねしてみたいと思うのであります。
先ず第一に不審に思いますることは、この
取調中の
公判継続中の
被疑者、
被告人等の
警視庁等における
調書、これは私は
相当嚴祕に付しておられるものと思うのでありますが、これがいつの間にか漏洩いたしまして、
新聞紙上等に大々的に報道されておる。而も
本筋の
五井産業事件としてのいわゆる
詐欺事件等の
本筋の
事件よりも、どう見ても
事件にならない、ただ
政治的興味を惹くような部面が大々的に興味的に報道されまして、意外の迷惑を受けておる人が多いばかりでなく、いわゆるこの重大な時局に当りまして、
国家も信用を大いに高めて行かなければならないときであるに拘わらず、徒らに
国民に
政府に対する不信、
疑惑の念を高からしめておるようなことが多いように思うのでありまして、この非常のときに当りまして、
国家にとり大きな私はマイナスであると思うのです。我々は一ときも早くこの
疑惑を
国民から拭い去るべく努力をしなければならんと思うのでありまするが、事実はこれに反しまして更に一層
国民の
疑惑に拍車をかけるかのごときがつぎつぎと出て来るのでありまして、御
承知のように去る四月四日の
東京紙の
夕刊、五日の
朝刊等にかけまして、殊に
夕刊読売においては「嵐呼ぶか
五井産業、
佐藤社長長の
自供調査、
献金や派手な饗応、
政界官界警察方面」云々と題しまして、
アイ記者というアルファベットのIの署名で、
佐藤の自供
調書なるものが大々的に報道されたのであります。而もこれは当院におきまして、四月六日からの
証人喚問の前に、丁度直前にこのことが大々的に報道されたのであります。
これらのことは先般の
委員会でたしか
小林委員からであ
つたと思うのでありまするが、発言されておるのでありますが、今回の
五井産業事件は
佐藤昇氏が二十二三年頃、
金廻りのよい頃に各
方面に
献金をしておりまする
事件と、その後
佐藤が不調となりまして、
只今取調中のこの数箇の
詐欺事件、これは時期的にも
相当の間隔のあるこの二つの異
なつた
事件が
一緒くたにされまして、これを誇大に宣伝し、政治問題化しまして、
事件の
内容を詳細にしない
国民大衆に故意に
疑惑を起さしめるがごとき、お芝居と言いましては少し語弊があるかも知れませんが、何かこういうようなことが蔭で打たれておるのじやないか、打つ者があるのではないかと思わざるを得ないような
感じがするのであります。而もこの
佐藤の
調書というものは、
佐藤が数十日間拘留されまして、
威迫を加えられて作られたと称しておるものでありまして、現に
佐藤自身も今日
相当部分を訂正しておるのでありまして、いずれが真なりや否やは、今後の
公判によ
つて判明する問題であろうと思うのでありまするが、これを而も
吉田総理や、
増田官房長官が関連する
部分を特に大きく興味的に、誇大的に、計画的に世間に
発表されておるものとしか
考えられない、思われないような
感じがするのであります。これは私の
感じが誤
つておりましたならば十分直して頂きたいと思います。
そこでこの件につきまして
委員長に先ず質したいのでありまするが、先般の
委員会においても、
遠山委員からこの
調書漏洩事件について、軽い
質問があ
つたのであります。
委員長は
御存じになりませんから、
委員会から漏らしたことはないかという
質問があ
つたのでありまするが、
委員長は、断じてそんなことはないと答えられたように承
つておるのであります。我々もそれを固く信じておるのでありますが、又
法務委員長としての、これは当然のことと思うのでありますが、そこで重ねて
ちよつと伺
つて置きたいのでありまするが、
五井産業事件に関しまする四月四日の
夕刊読売、或いは五日の
朝日、
毎日等を初め五社のこの
記事について、何かこれらが大々的に
発表されたということについて、
御存じのことがありましようかどうか。その点を先ず第一に一つ承わりたいと思います。