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1950-04-06 第7回国会 参議院 法務委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年四月六日(木曜日) 午後一時四十分開会
—————————————
委員
の異動 本日
委員鈴木安孝
君辞任につき、その 補欠として
小野光洋
君を議長において 指名した。
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
の件(
五井産業事件
) (右件に関し
証人
の
証言
あり) ○
証人喚問
に関する件
—————————————
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
法務委員会
を開会いたします。 本日は
検察並び裁判
の
運営
の
調査
について、
五井産業事件
に関するところの
証人
の
証言
を求めることにいたします。
岡崎格
さんですね。お忙しいところどうも恐れ入りました。今日は御承知の、
五井産業事件
について、それに関連する事項についてお尋ねいたしたいと思います。御
証言
をお願いいたします。御
証言
をお願いする前に、
宣誓
をお願いいたします。勿論
宣誓
につきましては、制裁の規定があることを御了承下さい。御注意申上げます。 〔
総員起立
、
証人
は次のように
宣誓
を行な
つた
〕
宣誓書
良心に
従つて真実
を述べ、
何事
もかくさず、又、
何事
もつけ加えないことを誓います。
証人
岡崎
格
伊藤修
2
○
委員長
(
伊藤修
君) お住居はどちらでいらつしやいますか。
岡崎格
3
○
証人
(
岡崎格
君) 中野区塔山十番地。
伊藤修
4
○
委員長
(
伊藤修
君) お年はお幾つですか。
岡崎格
5
○
証人
(
岡崎格
君) 満四十歳。
伊藤修
6
○
委員長
(
伊藤修
君)
只今
お仕事は
東京地方検察庁特捜部長検事
にお勤めでございますね。
岡崎格
7
○
証人
(
岡崎格
君) そうでございます。
伊藤修
8
○
委員長
(
伊藤修
君)
佐藤昇
に対する
詐欺
及び
贈賄被疑事件
に関する
捜査
の
経過
を簡単に一つお述べ願いたいと思います。
岡崎格
9
○
証人
(
岡崎格
君) メモを見てよろしうございますか。
伊藤修
10
○
委員長
(
伊藤修
君) どうぞ。
岡崎格
11
○
証人
(
岡崎格
君)
佐藤昇
に対する
詐欺贈賄事件
の
捜査
の
経過
でありますが、昨年の十二月七日に
逮捕状
が発付されまして、十二月十四日に
逮捕
、十二月十六日に
検察庁
に
身柄送致
になりましたので、その日に
勾留
の
請求
をいたしまして、本年一月四日に
詐欺
の事実の一部を
起訴
いたしまして、引続き
詐欺
の
余罪
その他の
関係
について
捜査
してお
つたの
でありますが、一月三十日に
保釈
の
決定
がありましたために、一旦
釈放
しまして、その日に
贈賄
の事実で再び
警視庁
から
逮捕状
の
請求
がありまして、
逮捕状発付
と
なつ
て
逮捕
いたしました。その
贈賄
の
事件
が二月一日に
検察庁
に
送致
になりまして、
検事
の方で二十四時間の手持時間一杯に
調べ
をいたしましたが、
贈賄
の
容疑
の点が非常に疑わしくなりましたために、二月二日に
釈放
いたしております。
詐欺
の
余罪
の事実につきまして、二月十一日に追
起訴
をいたしております。で
目下贈賄
の事実の点につきましてはまだ
捜査
中に
なつ
ております。
伊藤修
12
○
委員長
(
伊藤修
君) その
佐藤昇
に対する
司法警察官
及び
検事
の
供述
録取書ですが、そういうものがある筈でありますね。これはいつ頃からいつ頃までの間に何回ぐらいとられておりますか。
岡崎格
13
○
証人
(
岡崎格
君)
司法警察員
の
調書
は昨年十二月十四日から本年二月一日までに二十七回とられております。これらは
本人
の分だけでございます。それから
検事
の
調書
は昨年の十二月十六日から本年の二月十までに十二回とられております。
伊藤修
14
○
委員長
(
伊藤修
君) その
只今お話
のありました
供述書
の中に、これから申上げるようなことが述べられておるかどうか一つお答え願いたいと思います。第一に
佐藤
の
経歴
、
前科等
ですね。それから第二に
岡田秀男
との
交際
、
金品授受
、
会食
、
商品
の納入、知事に
紹介等
、第三に
東舜英
、
渡邊年
之助、
渡邊良夫
、
江花靜
との間の
金品授受
、第四に
福田篤泰
との間の
金員授受
、その
使途
、
吉田茂
氏との
関係
、
小切手
の
受取人
、
吉田
氏
大磯私邸訪問
の事実、第五
岡崎英城
、
丹羽喬四郎
との
知合関係
、
金員授受
、その
使途
、
会食関係
、第六
増田甲子
七氏との
知合交際関係
、
増田
氏より礼を言われた
経過
、第七
藤井孝
との
知合
、
交際関係
、
昭電事件
前後の
証人
との
関係
、
藤井
より
釈放
の
請求書
、
領收証
の交付や
情報蒐集
を
依頼
した事実、
日野昇
を同人に
紹介
し
経過
、
日野昇
との、
日野
その他より
情報
を集めた
経過
、第八に
日野
との
知合交際関係
、
金品授受関係
、
会食関係
、
出入商人
として斡旋を受けた、その他
警察官
を
紹介
された
関係
、
昭電事件
の
情報蒐集
を
依頼
された
経過
、第九
監谷隆雄
との
知合交際関係
、
会食関係
、
金品授受
、
佐藤
の
自動車
を
消防庁
に売
つた経過
、
鈴木恭二
の
事件
に関して
種々依頼
を受けた
経過
、
消防庁衣料特別割当
について
依頼
を受け盡力した
経過
、
警視庁幹部
や
江花
氏を
紹介
された
経過
、
消防庁商品
を納入した事実、第十
自警会上野藤五郎
、
津久井萬太郎
、
吉里貞雄
、
遠藤竹頼
、
山崎謙次
、
綱井輝男
に
金品
を
寄付
した事実、第十一
間狩信義
が
和歌山
へ転出する際
絹靴下
千足を
マル公
で売
つた
事実、第十二
中西久夫
が
追放退職
後
送別会
を行い、
事業資金
を融通した事実、第十三
自警会
、
警視庁
、
消防庁
に
商品
を納入している事実、第十四
昭電事件鈴木恭二事件
に関し
情報蒐集
、
了解工作
をした事実、第十五
吉武辰男
氏との
知合
、
交際関係係金品授受
、
会食
の
関係
、
鈴木恭二
の件について
依頼
した事実、以上の諸点に対する
佐藤
の
供述
事実について御存知のことをお述べ願いたいと思います。
岡崎格
15
○
証人
(
岡崎格
君) 先ず第一の
経歴
の点でありますが、
昭和
十一年の三月に中央大学の商学部の三年を中途退学いたしまして、その
年鐘紡
に入社しております。その後
株式会社五井製作所
を経営して、
終戰後
の二十一年の二月に、
五井産業株式会社
を経営するようにな
つたの
であります。それと同時に二十一年の八月頃から
國友商事
、これは
國富繊維
と改称されましたが、これを
國富繊維株式会社
を経営することにな
つたの
であります。そう
間終戰後
に
物価統制令違反
で一度
罰金刑
に
なつ
ておりますが、これはその事実だけを申上げます。
岡田秀男
との
知合
の
関係
でありますが、
昭和
八年頃に
知合
いまして、
昭和
十一年
佐藤
が
鐘紡
に入りました後に、
岡田
が
商工省
の
商務局
にいた
関係
で、
鐘紡
にしばしば
出入
をしてお
つた
、その
関係
で懇意にな
つたの
でありますが、特に
終戰後
に
岡田
と懇意にな
つた
。で、
岡田秀男
に対して
佐藤
が金をやりましたのは、
昭和
二十一年の春頃から二十四年の春頃までに
合計
二十三万円ぐらいを出しております。このうち
岡田
の
職務関係
といたしまして、
職務
に関しと認められる疑いのあるものは
昭和
二十二年頃の二万円についてであります。
岡田
から
紹介
を受けて、
進駐軍関係
へカーテン、布地などを納入した事実はあります。尚
紹介
を受けた中には
岡田秀男
氏の叔父にあたる
岡田包義
などの
紹介
を受けております。それから
東舜英
との
関係
でありますが、これは
昭和
二十三年の七月頃に
昭和電工
の
藤井総務部長
から
紹介
をされまして、当時九万円を贈
つて
おります。但しこの九万円につきましては、
藤井総務部長
から
自分
のために立替えて置いて呉れということで贈
つて
おります。次にこの
渡邊年
之助の
関係
でありますが、
昭和
二十二年春頃から二十四年初め頃にかけまして
合計
十一万円を贈
つて
おります。これは
知合
にな
つた
という
関係
は、二十二年の春頃に
福家俊一
氏に
紹介
されておるということであります。次に
渡邊良夫
の
関係
でありますが、二十二年の春頃に
福田篤泰
の
紹介
で
知合つて
、当時
合計
二十万円を贈
つて
おります。次に
江花靜
の
関係
でありますが、二十三年春頃
塩谷隆雄
より
紹介
を受けまして、その頃から二十四年の二月頃にかけまして
合計
三十八万円を贈
つて
おります。
福田篤泰
の
関係
でありますが、二十三年の春頃から二十三年の暮頃にかけまして
合計
七十万円行
つて
おります。そのうち三十万円の
小切手
は、これは自由党の
事務所
に使う
費用
として
荻外荘
の方に贈
つた
ということであります。その
使途
につきましてはまだ判明いたしておりません。
福田
との
知合
は
友人
の
柴田記者
から
紹介
を受けている。で、二十三年の春頃に
福田
と共に
大磯
の
吉田邸
を訪れていることが一回ありますが、これは別段その会談の
内容等
については何もありません。次に
岡崎
、
丹羽
の
関係
でありますが、二十二年の九月頃から
渡邊良夫
より
紹介
を受けまして、二十二年の秋頃から二十三年の六、七月頃におけて
合計
六十万円を贈
つて
おります。これは
増田甲子
七
代議士
に援助して呉れということで贈
つた
と申しております。
増田甲子
七
代議士
との
関係
につきましては二十三年の春頃に
岡崎
、
丹羽
に連れられて
増田
氏の
事務所
を訪問したことがある。その後一回
国会附近
で会
つた
ことがある。その際いろいろお世話に
なつ
て有難うとお礼を言われたことがある。それから
藤井孝
との
関係
でありますが、その
関係
につきましては
昭和電工事件
の
関係
として
係検事
が詳細に
取調べ
をいたしておりまして、私の方にはその
関係
については詳しく分
つて
おりません。二十三年の六月頃にこの
藤井
から
昭和電工事件
の成行きがどうなるかというようなことについて、できるだけ
情報
を知らして貰いたいということを
佐藤
は頼まれまして、その後当時
警視庁
の
警備係長
でありました
日野昇
を数回訪ねた際に、いろいろその
捜査内容
について聞いておりますけれども、詳しい
内容
は話せない、で簡単に行く
事件
ではないぞということを言われているだけで、具体的な
事情
について話をされたことはないと
言つて
おります。
日野昇
との
関係
でありますが、
昭和
二十一年の春頃に先程申し上げました
柴田記者
から
紹介
をされましてねいろいろ
社会情勢等
について話をして、非常に
自分
も共鳴をした。そこで
情報
を取るには
いろいろ金
も要るだろうからというので、一回五千円或いは一万円
程度
の金を贈るようになりまして、二十四年暮頃までの間に
合計
十一万円を贈
つて
おります。次にその
塩谷隆雄
の
関係
でありますが、二十二年の春頃に
佐藤
が
東京警察後援会
に
寄付
をしたいということで、
寄付
をするについて
日野昇
から当時の
保安部長
でありました
塩谷隆雄
に
紹介
をされまして、そのとき初めて知
つた
。で
昭和
二十四年頃に
佐藤
の所有しておりました
自動車
一台を
消防庁
に
買つて貰つた事情
がありますが、これは
消防庁
の方で車を欲しいと
言つて
おるときに、それでは
自分
の持ている車を売ろうということで売
つたの
であります。その際
警視庁
の
調書
には、
塩谷
に五万円
機密費
として贈
つた
ということが載
つて
おりますが、
検事
の
調べ
の際にはこの点についてよく考えて見たところが、これは
自分
の
友人
である某
新聞
の
記者
がその際来合せてお
つて
、
自分
はそれに、そんな金があるならば俺に借して呉れと言われたので、そちらに借したように
記憶
するというふうに
検事
の
調べ
では訂正いたしております。尚この
塩谷隆雄
から、味の素の
鈴木常務
の
取調べ
について
吉武警部
の方に、成るべく早く
調べ
をして
貰つて
一日も早く出られれば皆安心するから一応話をして見て呉れということを頼まれて、そのことを
吉武警部
に話をした事実はあります。併しそのとき
吉武警部
は、これは飽くまでやらなければならない事実だと、それから
自分
の
知合
の者から成るべく早く
調べ
て貰いたいという頼みを受けたのだがどうだろうと言
つた
ら、や
つて
見なくては分らないが、できるだけ早くやるという答えであ
つた
ということであります。
江花
の
紹介関係
については、前に申上げましたから省略いたします。尚
消防庁
の方で
警視庁
から独立した後に、
自警会
と同じように
消防官
の被服も
消防庁
に独立して入れて貰うように骨折
つて
貰いたいという話を
塩谷
からいたしまして、二十三年の五月頃に
商工省
の
関係者
を
会食
をしている事実はあります。
警察後援会等
に
寄付
した事実につきましては、二十二年の暮頃、先程申上げましたように
東京警察後援会
に二十万円
寄付
いたしております。それから二十二年の暮頃及び二十三年の六月頃に、
警視庁
の
警務課
に五万円ずつ
合計
十万円
寄付
している事実があります。それから二十三年の二月頃、
帝銀事件
の
捜査費用
として、足りないだろうからとい
つて
刑事部
へ五万円
寄付
している事実があります。その
外神田警察署
の
後援会
に、二十二年の春頃から二十四年の春頃にかけまして
合計
十五万円を
寄付
しております。尚
富坂警察署
の
後援会
に二十二年から二十三年にかけて
合計
五万円を
寄付
しております。尚
京橋警察署
の
後援会
に三万円を
寄付
しております。この
東京警察後援会並び
に
警視庁
の
警務課
、
刑事部
、それから
神田
、
富坂
、
京橋
各
警察
の
後援会
にはいずれも正当な
寄付
の手続を取
つて寄付
をいたしているのであります。
中西久夫
に対しまして、
昭和
二十三年四月
広中西
が
追放
で辞めたときに
送別会
をいたしまして、尚十一万円を贈
つて
いる事実があります。
吉武辰男
に対する
関係
でありますが、これは二十三年の四月頃に
日野昇
から
紹介
されて知
つて
おります。その後二回
日野
その他と
会食
をいたした事実があります。尚
佐藤
から酒の
寄付
を受けた事実もあり、又二十四年九月頃一万円の
寄付
を受けた事実もありますが、これは
最後
の一万円というのは、当時
吉武
の
部屋
で何か会をやるについて、金が足りないから缶詰を買
つて
呉れないかという
申出
を受けたので、それで買
つて
やろうということで、その代金と共に一万円を
部屋
に
寄付
したように
なつ
ております。大体以上の通りであります。
伊藤修
16
○
委員長
(
伊藤修
君)
間狩信義
の分を……。
岡崎格
17
○
証人
(
岡崎格
君) これは
和歌山
県の
警察部長
へ転出の際に
絹靴下
一千足を、まあ初めは贈ろうとしたのでありますが、これは向うへ転任の後に
和歌山
県の
警察官
にこれを配給しまして、
マル公価格
で返して
貰つて
おります。結局
マル公
で売
つた
ということに
なつ
ております。
伊藤修
18
○
委員長
(
伊藤修
君)
佐藤
の
経歴
のところで
昭和
十七年懲役四ヶ年が落ちておりますね。
岡崎格
19
○
証人
(
岡崎格
君) それは
ちよ
つと私の方でも失念いたしまして……。
伊藤修
20
○
委員長
(
伊藤修
君) あるのですね。
岡崎格
21
○
証人
(
岡崎格
君) 今
はつ
きりいたしておりません。
伊藤修
22
○
委員長
(
伊藤修
君) 御
記憶
がない……。
岡崎格
23
○
証人
(
岡崎格
君) はあ、
調書
を見れば分りますが……。
伊藤修
24
○
委員長
(
伊藤修
君) 先程の三十万円、
福田篤泰
の十三万円は
荻外荘
の
費用
とかいうようなものですが、その余の分についてはどう
なつ
ておりますか。
岡崎格
25
○
証人
(
岡崎格
君) その余の分は
福田
の方へ献金したということに
なつ
ております。
伊藤修
26
○
委員長
(
伊藤修
君) それは現金と
小切手
ですか。
岡崎格
27
○
証人
(
岡崎格
君) その三十万円だけが
小切手
で、他の金と一緒に
福田
へ渡して、
福田
から
荻外荘
の
事務所
の
費用
として渡したわけであります。
伊藤修
28
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると
小切手
が三十万円なんですね。
岡崎格
29
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
伊藤修
30
○
委員長
(
伊藤修
君) その
小切手
は誰が
受取つたの
ですか。
岡崎格
31
○
証人
(
岡崎格
君) その点はまだ
捜査
中です。
伊藤修
32
○
委員長
(
伊藤修
君)
検察庁
で
佐藤昇事件
をお
取調べ
にな
つた係
の
検事
の方は、稲田、岩松、河合三
検事
の外にあなたと伺
つて
おりますが……。
岡崎格
33
○
証人
(
岡崎格
君) そうであります。はあ。
伊藤修
34
○
委員長
(
伊藤修
君) 以上のお係の四人の
検事
の方々が、
佐藤
をお
調べ
になる途中におきまして、
佐藤
は
警察
において
拷問
を受けたとかいうような旨を述べたというようなことはありますですか。
岡崎格
35
○
証人
(
岡崎格
君)
拷問
を受けたということは聴いておりませんが、多少
記憶違い
の点だとか、或いはこの
調書
に無理な点がある、特に金の出所なんかについて無理な点があるということは述べております。
伊藤修
36
○
委員長
(
伊藤修
君)
特段
に
威迫
とか、或いはその他の
身体拘束
について、不当な行為があ
つた
ということは聴いておりませんか。
岡崎格
37
○
証人
(
岡崎格
君) 聴いておりません。
伊藤修
38
○
委員長
(
伊藤修
君) 又
本人
も愬えておりませんね。
岡崎格
39
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
伊藤修
40
○
委員長
(
伊藤修
君)
勾留
中におけるところの
佐藤
の
健康状態
、或いは
心理状態
に
特段
にお気付にな
つた
ことがありますか。
岡崎格
41
○
証人
(
岡崎格
君) 別段ございません。
伊藤修
42
○
委員長
(
伊藤修
君) そうすると
通常状態
だ
つたの
ですか。
岡崎格
43
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
伊藤修
44
○
委員長
(
伊藤修
君)
佐藤
の
逮捕状
が十二月七日に出されましたですね。それがいわゆる
有効期間
の
最終日
であるところの十二月十四日まで執行が遅れてお
つた
、その経緯はどうですか。
岡崎格
45
○
証人
(
岡崎格
君) これは私の
特捜部長
になる前のことに属しますが、当時の係の
検事
に確かめたところによりますと、昨年の十二月初め頃に
警視庁
の
松本
二
課長
から当時の
部長
の
福島検事
に対しまして、
佐藤昇
が
吉村商店
から
繊維製品
の
ノイル
というものですが、これを
価格
にして約三十数万円、この
ノイル
を詐取したという事実が発覚したので、
佐藤
を
逮捕
したいという相談があ
つたの
です。そこでこの
佐藤
と
吉村商店
とは永年の
取引関係
がありますので、
福島部長
はそれは一応
逮捕
して
取調べ
る必要はあると思うけれども、この事実だけで外に
余罪
が出ないとすれば、
起訴
できるかどうかは疑わしいというふうに答えましたところが、
松本課長
はとにかく
本人
は
逮捕
されることを多少感ずいているらしい。そこで逃亡の虞れもあるから至急
逮捕
の必要があるというので、それならいいでしようと
言つて
、十二月七日に
逮捕状
の
請求
があ
つたの
で承認した。ところが、その直後
坂本刑事部長
から
馬場次席検事
に対しまして、
佐藤
の
逮捕状
が出ておるが、確実に
起訴
できるかどうかということを聴いて来たのであります。そこで
馬場次席検事
は、
起訴
が確実かどうかということは今引受けられないと答えたところが、
刑事部長
は別に
北海道
、
宮城
の
関係
に二千万円に近い
詐欺
の
余罪
があるが、どうかという話があ
つた
です。
次席検事
が、そんなら新
刑訴
の下で
勾留期間
も短かいことであるから、その方の
証拠固め
をしてから
逮捕
するのが本筋ではないか、こう言
つた
ところが
刑事部長
も了承して直ちに
北海道
、
東北方面
に
刑事
を派遣して
証拠固め
を行な
つた
という
事情
であります。そして十二月十三日に
佐藤逮捕
に行きましたところが、丁度
佐藤
の弟が亡く
なつ
て、お通夜の日であ
つた
。そういう
関係
で翌日の十四日に
逮捕
するようにな
つた
とこういう
事情
なんであります。で結果的に見まして、その後まあ
捜査
をしたところが
勾留期間
内にこの
吉村商店関係
の事実は
証拠固め
が非常に困難であるというので、
北海道
、
宮城関係
の
詐欺事件
について一月四日にこれを
起訴
し、
吉村商店関係
の事実は
最後
に二月十一日に追
起訴
をしておるのです。こういう
事情
であります。で
従つて
まあ
新聞等
でその点非常に疑惑を持たれておるようでありますけれども、今申上げたような
事情
でありまして、
警視庁
の
幹部
がこの
逮捕
を好まなか
つた
から特に抑えたというような噂は全然ないと、そういう事実は全然ないと考えております。
伊藤修
46
○
委員長
(
伊藤修
君) まあ巷間伝えられるいろいろな噂によりますと、
佐藤
が
警視庁
の
幹部
と非常に親しい、又行過ぎたところの
交際関係
にあるとかいう面からいたしまして、いわゆる
幹部
の方からこの
逮捕状
が殊更に執行されなか
つた
というようなことが伝えられておりますが、その点に対しまして御見解は如何ですか。
岡崎格
47
○
証人
(
岡崎格
君) この点は
馬場次席検事
、
福島部長
なんかに
事情
を聞きましたところ、以上申上げたような
事情
で現実に
起訴
を確実にするために、
北海道方面
にまで
事前
に人を派遣して
証拠固め
をいたしております。即ちその結果
起訴
が確実に
なつ
ておるわけでありますから、より愼重を期したというふうに考えております。
伊藤修
48
○
委員長
(
伊藤修
君) 次にこの二十五年の一月三十日に
佐藤
に対して
涜職容疑
で
逮捕状
が執行されましたですね。にも拘わらずその
涜職容疑
の
岡田秀男
ですかを一遍も
調べ
ることなく
佐藤
を
釈放
されておりますね。こういうことは
ちよ
つと異例のように考えられますが、この点は如何ですか。
岡崎格
49
○
証人
(
岡崎格
君) でまあ普通でありますと、
涜職事件
の
捜査
は、先ず
事前
に
贈賄者側
についてできるだけ
傍証
を固めまして、それから尚
收賄者側
の
職務関係等
も極秘にできるだけ
調査
しまして、或る
程度
の確信を持
つた
後に
贈賄者
を
逮捕
して、その後
收賄者
を
逮捕
する。こういう段取になるわけであります。ところがこの
岡田秀男
に対する
贈賄
の
容疑
事実というのは
詐欺罪
で
起訴
して
勾留
中発覚した事実なんであります。で、この場合本来ならば、その
余罪
については改めて
逮捕状
を
請求
して
勾留
して
調べ
る筈でありますけれども、そうすれば
却つて
結果的に見れば、
留置期間
が長くなり、或いは
勾留
の蒸返しというような非難を受ける虞れもありますので、
勾留
中に引続き
余罪
の
捜査
をするという事例もしばしばあるのであります。本件の場合もそれに
倣つて勾留
中に
余罪
の
捜査
をしたわけであります。併しまあ
詐欺積
として一旦
起訴
されておりますので、新
刑訴
の下ではいつ
検事釈放
で
釈放
されるかも知れないと、こちらの方では尚
起訴
した事実の
傍証関係
についても、又
詐欺
の
余罪
の取調についても、
証拠固め
が必要であるからというので、
保釈
の
請求
には一応反対の意見を附けて置いたのでありまして、まあ
弁護人
の方も大体一月一杯ぐらいは無理だろうと、こういうことであ
つたの
であります。
警視庁
の方に対しましても、すでに
保釈
の
請求
が出ておるとそういつまでも置けないかも知れない。
従つて
できるだけ早急にこの
余罪
の
全貌
を明らかにするようにということを話して置いたんでありますが、何分にも先程来申上げましたように、非常に沢山な
関係者
が出るわけでありまして、この事実の
全貌
を明らかにするだけでもまあ相当な日を要した。で
岡田
のこの
職務関係
につきましても大体の目安
はつ
いたんでありますけれども、細かい
職務関係
を
調査
するまでに至らない間に、一月三十日に
保釈
にな
つたの
であります。そこで
警視庁
の方でも、少くともこの
岡田
に対する
贈賄
の事実については尚嫌疑があるからというので、
逮捕状
の
請求
を求めて参りましたので、私の方でも
職務関係
をもう少し
はつ
きりさせる必要があるということで、
逮捕状
の
請求
を承認しまして、当日
逮捕状
が出て、再
逮捕
したのでありますが、
警視庁
に対しましてもこれはもうすでに一ヶ月余に亘
つて
勾留
しておるのだから、できるだけその
逮捕期間
中に
職務関係
についても分るものなら分るようにして貰いたいということで、二月一日に
事件
の
送致
にな
つた
わけであります。でその
警視庁
の
職務関係
の
調査検事
の方で、事実の
関係
並びに
職務関係
を仔細に検討して見ますと、
合計
二十三万円くらいの金が行
つて
おるのでありますが、
職務
を転々として変
つて
おりますために、問題になります点は先程申上げました
昭和
二十二年の
商工省特別資材部長
当時の二万円について
職務
の問題が起
つて
来る。併しながらこの点につきましても、
佐藤
の方は当時
岡田
が
病気
をして休んでお
つたの
で、
病気見舞
として贈
つた
という弁解も出しておりまして、その
はつ
きり
職務
に関して
贈賄
をしたということがなかなかデリケートな
関係
にありますために、
逮捕
後も
相当日
も経
つて
おりますし、又
保釈
の
決定
にも
なつ
ておる、こういう
事情
を考慮しまして、これ以上
勾留
して
捜査
するということは妥当でないという考えから、上司とも協議いたしまして、
釈放
した次第であります。で、この
釈放
するにつきましては、予め
坂本刑事部長
にもその
事情
を話しましたところ了承したしまして、尚
宗像警部補
にも来て貰いまして、その
事情
を話して
了解
を得てや
つて
おるのであります。
伊藤修
50
○
委員長
(
伊藤修
君) まあ
事情
はよく分りましたけれども、この種の
事件
において
当事者
が
釈放
されますれば、事後におけるところの
証拠湮滅
だとかいうことが容易に企てられることになりますので、
立検
上において大変お
差支
のことと存じますが。
岡崎格
51
○
証人
(
岡崎格
君) その点は確かにそうでございますが、まあ
保釈
にな
つた
ものを再
逮捕
して、又
勾留
する場合には、相当な
起訴
の見通しまで持
つて
おりませんと、徒らに
勾留
の蒸返しというようなことにもなりますので、まあ
昭和
二十二年、当時の二万円といたしますと、その
職務関係
にも尚多少の疑念が残
つて
おりますけれども、額の点から申しましても余り大きな額でもないということからまあ在宅で
調べ
るのも止むを得ないと思う、こういうことで
釈放
したのです。
伊藤修
52
○
委員長
(
伊藤修
君) 或いは巷間伝えられるように、
当事者
の
身柄
を拘束してお
つた
ならば、今の通産省、当時の
商工省関係
と
佐藤
との間にもその他のいろんなものがある得たかも分らないのですね。
岡崎格
53
○
証人
(
岡崎格
君) いやこれは少くとも
佐藤
の方は、もうすでに
詐欺
の事実以来、
逮捕
して
詐欺
で
起訴
しました後一月近く、一月四日以後三十日まで、その他の事実について金をや
つた
先を
調べ
ておりますので、
佐藤
自身が金を出した
関係
については大体もうこれ以上の新事実が出るという見通しは
ちよ
つと立たないのです。
伊藤修
54
○
委員長
(
伊藤修
君)
佐藤
に対する
涜職事件
の主任
検事
が当初屋代
検事
であ
つた
ようですね。
岡崎格
55
○
証人
(
岡崎格
君) いやこの点が非常に又誤まり伝えられておりますが、
詐欺
の最初の
事件
は稻田
検事
が担当しておりまして、丁度今年の一月から特別
捜査
部の機構が少し拡張されましたので、稻田
検事
を涜職の係にしたんであります。で涜職の
関係
は屋代
検事
を主任にいたしましたが、丁度その屋代
検事
が昨年以来
刑事部
から引続いて持
つて
おりました強盗、強姦致死
事件
の
捜査
に専従しておりまして、これが一月の二十三日に拘留満期になるというので、それまでは全然手が出ない、又その後二月の初めまで
傍証
固めに練馬
警察
署の方に連日出張しておりましたような
事情
で、これはまあ屋代
検事
にやらそうという心組で
警視庁
の方にもそのことを話したんでありますけれども、到頭屋代
検事
の方にやらせる暇なくして、まあ岩松
検事
が一月中旬に転任にな
つた
ために、岩松
検事
に担当させるということにな
つた
んであります。
伊藤修
56
○
委員長
(
伊藤修
君) 伊藤鑛壽に関することについてお尋ねいたしますが、伊藤鑛壽に対する涜職被疑
事件
を御
捜査
中において、同人が三回に亘
つて
警視庁
内部の問題に関して
供述
しておりますが、その
供述書
があるそうでありますね。
岡崎格
57
○
証人
(
岡崎格
君) そうでございます。この
事件
は
刑事部
で
捜査
した
事件
なんでありますが、この三通の
調書
につきましては、最近まで
警視庁
にありました。ところが丁度
昭和電工事件
の公判の進行につれまして、まあこれもそれに非常に密接な関連性を持つからというので、
検察庁
に取寄せたわけなんでありまして、現在
検察庁
にございます。
伊藤修
58
○
委員長
(
伊藤修
君) それは
検察庁
の方で自発的にお取寄せにな
つたの
ですか。向うから送
つて
参
つたの
ですか。
岡崎格
59
○
証人
(
岡崎格
君) これはこちらの方から取寄せたわけなんです。
伊藤修
60
○
委員長
(
伊藤修
君) あなたの方から……。それはいつお取寄せになりましたか。
岡崎格
61
○
証人
(
岡崎格
君) 三月二十日に取寄せました。
伊藤修
62
○
委員長
(
伊藤修
君) その
供述書
の中に、これから申上げるようなことがありますかどうか、お答え願いたいと思いますが、第一に土田精三との
交際関係
、特に土田が品川署長在任中の行動に関する事実や、土田のために世話したり、土田の世話にな
つた
りした事実、第二に
岡崎英城
、
丹羽喬四郎
等との
知合関係
のこと、電気クラブに貸して、それを
丹羽
に返して貰ろうまでの
経過
、第三に電気クラブで
岡崎
、
丹羽
が会合を開いた回数、出席者氏名中に、両名の外、上村とか、秋山、中西、町村、相川、田中楢一、松尾英敏、藤田次郎、土田精、
吉武辰男
の名が出ていたかいないか。
増田甲子
七は如何。次に
昭和
二十三年六月頃
昭電事件
がやかましか
つた
当時、右
事務所
で行われた会合の回数、出席者氏名中に誰々がお
つた
か、例えば
岡崎
、
丹羽
、藤田、秋山、土田、
吉田
弁護士等の氏名……。次に伊藤鑛壽は右会合の目的について如何なる観察を述べておるか。それから次に
岡崎
、
丹羽
等の会合場所としてどこどこを挙げているか。次に
岡崎
宅で行われた会合の回数、出席者氏名、原文兵衞、後藤田正味、倉井、河合、土田、
吉武
、石井等の
関係
、以上の点についてメモがありましたらお述べ願いたいと思います。
岡崎格
63
○
証人
(
岡崎格
君) この土田精三と伊藤鑛壽が
知合
いになりましたのは、土田が品川署長の頃に、伊藤が協会長の
紹介
で初めて
紹介
をされた。そうして伊藤は品川防犯協会長、それから
後援会
の副会長に就任した、こういう
関係
なんであります。終戦前その土田署長の
依頼
で、
昭和
十九年頃に
丹羽喬四郎
、
岡崎英城
の二人のために、戦災に遭
つたの
で
自分
の持家を貸しております。尚土田署長のために封鎖預金を新円に交換してや
つた
りなどいたしておりますが、まあ一面この土田署長の世話で
自分
の
事務所
、工場が戦時中の強制疎開の対象に
なつ
てお
つたの
を、その疎開の対象から除いて貰
つた
、こういう世話を受けたこともあるのであります。
岡崎
、
丹羽
との
関係
につきましては、前に申しましたように土田署長の
紹介
で知
つて
家を貸してや
つた
んでありますが、
昭和
二十二年の夏頃、
丹羽
から電気クラブの中のこの伊藤の
事務所
を会合の場合に貸して呉れという申込を受けて、まあ土曜、木曜あたりにこれを貸してお
つた
。で二十三年の六月頃に昭電の
事件
で、丁度
日野
原社長が検挙された当時は、約一ヶ月間は、毎日のごとくそこに会合が開かれてお
つて
、
岡崎
、
丹羽
、藤田、秋山、
吉田
弁護士、その他数名が集ま
つて
お
つた
。土田もそこに行
つて
お
つた
。勿論その会合の目的につきましては、
自分
は中へ入れて貰えず、秘密な会合だからというので、
自分
としてもよく分らない。で、会合場所は、まあそうい
つた
電気クラブ等であ
つたの
でありますが、
岡崎英城
の家へも会合したことが二回ばかりある。それには勿論土田も出席しておる、こういうようなことであります。
伊藤修
64
○
委員長
(
伊藤修
君)
増田甲子
七氏も出席している……。
岡崎格
65
○
証人
(
岡崎格
君) これは何か一回ぐらいあ
つた
ように
記憶
する……それは電気クラブの方なんでありますね。
伊藤修
66
○
委員長
(
伊藤修
君) ええ、電気クラブの方……伊藤鑛壽が同人の
涜職事件
で
取調べ
を受けた際、
丹羽
を通じて後藤田経済二
課長
に運動したということは述べているそうですね。
岡崎格
67
○
証人
(
岡崎格
君) その点はよく
はつ
きりしておりませんが、記録を
ちよ
つと見ないと分りません。
伊藤修
68
○
委員長
(
伊藤修
君) 伊藤鑛壽はお
調べ
になりましたですね。
岡崎格
69
○
証人
(
岡崎格
君) 私は
調べ
ません。
伊藤修
70
○
委員長
(
伊藤修
君) そうですか……
係検事
の方から御報告はお受けになりますか。こちらの問題が起
つて
から御報告をお受けにな
つたの
ですか。
岡崎格
71
○
証人
(
岡崎格
君) はあ、受けました。
伊藤修
72
○
委員長
(
伊藤修
君) その
係検事
の報告中に、いわゆる伊藤鑛壽は
警視庁
の
調べ
について不満を抱いている、例えば
拷問
を受けているとか何とかということは
言つて
おりませんでしたか。
岡崎格
73
○
証人
(
岡崎格
君) 別段聞いておりません。
伊藤修
74
○
委員長
(
伊藤修
君) 聞いておりません……何か
証人
にお尋ねの方はありますか。
大野幸一
75
○大野幸一君 先ず最初、あなたのメモを見て、最初の
供述
中には、自由党の事務
費用
として三十万円を
荻外荘
において渡した、こういうようにお聞きしたのですが……。
岡崎格
76
○
証人
(
岡崎格
君) いや、それは
福田
代議士
が、
佐藤
さんの方に、自由党の
事務所
の
費用
として、金が要るからということを申したので、その
費用
として三十万円の
小切手
と、他に現金を一緒に
福田
代議士
に渡した…‥。
大野幸一
77
○大野幸一君
福田
代議士
に渡した……
福田
代議士
がそういう話であ
つた
から、その趣旨に基いて渡した、こういうわけですね。
岡崎格
78
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
79
○大野幸一君 場所はどこですか。
岡崎格
80
○
証人
(
岡崎格
君) 場所は、確か
佐藤昇
の
事務所
ではなか
つた
かと思いますが、記録上
はつ
きりしておりません。記録しておりません。
大野幸一
81
○大野幸一君
岡田秀男
という人が、特別資材
部長
在任当時というのは、丁度二十二年の、
病気
治療代としての二十万円に相当するのですか。
岡崎格
82
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
83
○大野幸一君 特別資材
部長
というのは、どういう仕事をするのですか。
岡崎格
84
○
証人
(
岡崎格
君) これは
繊維製品
を
進駐軍関係
に入れる場合の配給等の認可の権限を持
つて
おる……。
大野幸一
85
○大野幸一君
佐藤
は
進駐軍関係
に品物を入れていたわけですね。
岡崎格
86
○
証人
(
岡崎格
君) 入れておりましたが……。
大野幸一
87
○大野幸一君 私の答弁に、がと言う必要はないのです。入れていたのですね。
岡崎格
88
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
89
○大野幸一君 その外に切符の割当、これを
岡田
がやる権限があ
つたの
じやないですか。
岡崎格
90
○
証人
(
岡崎格
君) ありました。
大野幸一
91
○大野幸一君
岡田
に対して綿糸若くは綿布の多額の切符が発行されておるということは今までにおいては分
つて
おりませんか。
岡崎格
92
○
証人
(
岡崎格
君) 分
つて
おりません。これは
佐藤
の方は入れる額が小さいのです。これは地方PDの方で大体問題が処理されるので、
岡田秀男
の
関係
は中央PDになりますので、多少そこに間接的なことになるわけなんであります。
大野幸一
93
○大野幸一君 その時期に二万円を受取
つた
贈賄
は、そのあとに金を
貰つて
も、
職務関係
が転勤したあとでその当時のお礼に、
職務関係
が変
つて
からでもその当時のお礼に金を貰えば
贈賄
になるのでしよう。
岡崎格
94
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
95
○大野幸一君 そういう見方をすると二十何万円というものが、ただ二万円だけじやなくて、二十二万円という見方もできるわけですね。
岡崎格
96
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。ただこれが二十一年頃から生活費の援助をや
つて
おりまして、それがずつとあとまで継続しておる。
大野幸一
97
○大野幸一君 いや
ちよ
つと待
つて
下さい。あなたはこれを弁護するつもりでおるようですが、そん
なつ
もりじやないのです。私は公平に聞いているのです。そういう場合には、私の言うそういう観点から考えれば、あとで貰
つた
金も
贈賄
になるのですね。そういうわけですね。
岡崎格
98
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
99
○大野幸一君 これで送
つて
来た
調書
の中には
増田
さんの名前や
吉田
さんの名前が出て来るということが直ぐ分りましたか。
岡崎格
100
○
証人
(
岡崎格
君) 分りません。その部分の
調書
は二月二十七日に追送に
なつ
ております。
伊藤修
101
○
委員長
(
伊藤修
君) これは二月ですか。一月じやないですか。
岡崎格
102
○
証人
(
岡崎格
君) いや二月です。
伊藤修
103
○
委員長
(
伊藤修
君) 一月の二十七日じやないですか。
岡崎格
104
○
証人
(
岡崎格
君) 二月です。
大野幸一
105
○大野幸一君 記録が離されて送
つて
来たのですか、二月二十七日というと……。
岡崎格
106
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。勿論その間に非公式にはこちらの方へ相談を受けておりますけれども……。
大野幸一
107
○大野幸一君 相談を受けるときには
増田
さんの名前も
吉田
さんの名前も出ておるということは知
つて
いますか。
岡崎格
108
○
証人
(
岡崎格
君) 知
つて
います。
大野幸一
109
○大野幸一君
調書
は見なか
つた
けれどもすでに記録が、そうい
つた
吉田
さんの名前も、或いは
増田
さんの名前もあ
つた
ということは分
つて
おりますか。
岡崎格
110
○
証人
(
岡崎格
君) 分
つて
おります。
大野幸一
111
○大野幸一君 それを上司に報告されてありますね。
岡崎格
112
○
証人
(
岡崎格
君) 報告してあります。
大野幸一
113
○大野幸一君 上司は何と言いましたか。別に愼重にやれということもなか
つた
でしようか、どうですか。
岡崎格
114
○
証人
(
岡崎格
君) これは
調べ
るだけは十分に
調べ
なければならない。すべて私の方でもそのつもりで
捜査
は徹底的にやる、併し法律的に駄目なものは仕方がない、こういうことです。
大野幸一
115
○大野幸一君 国民の疑惑を解くためですがね、普通の場合は
只今
委員長
の言われた通り、
職務関係
において、
友人
関係
であ
つて
、そうしてその仕事の
関係
があ
つて
、その
友人
関係
たる友達に金を送
つた
場合に、今まで東京
検察庁
のやり方が、後に公判に
なつ
て無罪になることはあるかも分らない、併しながら不
起訴
にな
つた
例は少いでしよう。
岡崎格
116
○
証人
(
岡崎格
君) それはあります。
大野幸一
117
○大野幸一君 それは少いでしよう。
岡崎格
118
○
証人
(
岡崎格
君) 額が‥‥。
大野幸一
119
○大野幸一君 いや、例えば例が少いでしよう。私は
友人
関係
でこういうふうに生活費を貰いました、家がないから家を建てて貰いました、とい
つた
弁解をする場合はあるでしよう。
岡崎格
120
○
証人
(
岡崎格
君) あります。
大野幸一
121
○大野幸一君 ところがあなた方はいつも
検察庁
としては一応犯罪の嫌疑ありとして
起訴
されておるのが通例じやありませんか。
岡崎格
122
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大野幸一
123
○大野幸一君 そこで
吉田
さんの名前が出て来たり、
増田
さんの名前が出て来たり、自由党の名前が出て来るから、これは愼重にやらなければならん、
調べ
るだけは
調べ
なければならんが、愼重にやらなければならんというような結論になるんじやありませんか。
岡崎格
124
○
証人
(
岡崎格
君) いや、そうではありませんで、それは誰が出て来ましようとも、
調べ
は
調べ
としてや
つて
行く。真相がどこにあるかということを確かめてや
つたの
です。
大野幸一
125
○大野幸一君 未だに
起訴
不
起訴
は
決定
していないのですね、その
岡田
に対しては。
岡崎格
126
○
証人
(
岡崎格
君) まだ
決定
しておりません。
大野幸一
127
○大野幸一君 或いは
岡田
の
贈賄
に対しても、
起訴
、不
起訴
は
決定
してないのですね。
岡崎格
128
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。
大野幸一
129
○大野幸一君
岡田
はその後
調べ
ましたか。
岡崎格
130
○
証人
(
岡崎格
君) まだ
調べ
ておりません。
大野幸一
131
○大野幸一君 相当長い時間あ
つたの
に、どうして
調べ
ないのですか。
岡崎格
132
○
証人
(
岡崎格
君) これはその当時相当
新聞
にも大きく出ましたし、
却つて
刺戟する虞れもありましたので、適当な時期に
調べ
るということで来ております。
大野幸一
133
○大野幸一君 東京
検察庁
では、これを国民の前に明らかにするために徹底的に
調べ
る用意はありますね。
岡崎格
134
○
証人
(
岡崎格
君) あります。
大野幸一
135
○大野幸一君 今のあなたの御説明にな
つたの
は、
調書
に基いて御説明にな
つたの
ですね。その外に
捜査
のために言えない部分がありますか。
岡崎格
136
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
大野幸一
137
○大野幸一君 ありますか。
岡崎格
138
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
大野幸一
139
○大野幸一君 法務庁の方から本件を
委員
会に記録を提出することにして、
捜査
上どうかということに対して、照会がありましたか。
岡崎格
140
○
証人
(
岡崎格
君) ありました。
大野幸一
141
○大野幸一君 そのときにあなたはどうお答えになりましたか。いや、
検察庁
としては、どうお答えになりましたか。
岡崎格
142
○
証人
(
岡崎格
君)
検察庁
としましては今公判にかか
つて
おる
事件
でもあるし、尚
捜査
が未了の分もある。
従つて
記録をそつくりそのまま出されるということは困る。先程私の申上げましたように概括的なことならば
差支
ないから、できれば主任
検察
官を
証人
として喚問して頂きたい。こういう御回答をしております。
大野幸一
143
○大野幸一君 それではこの
調書
が適当な時期に、適当な期限を切
つて
当
法務委員会
が取寄せを
請求
しましたら、公判と雖も毎日あるわけじやありませんし、記録謄写のためにあなた方も謄写の余裕を與えてある、その余裕時間に相当する時間があ
つた
ならば、当
委員
会に対して提出するということは何ら
差支
ないと思いますか、あなたは。
岡崎格
144
○
証人
(
岡崎格
君) 今公判がすでに近く開かれることに
なつ
ておりますので、これは新
刑訴
に
なつ
てから一件記録が
裁判
所に行かないものですから、
内容
を法定で明らかにした後ならば別に
差支
ないと思いますけれども、それ以前は御勘弁願いたいと思います。
大野幸一
145
○大野幸一君 いや、あなた方は法律がまだ分
つて
いないと私は思うのですが、国会から、又は
委員
会から書類の提出を求められた場合には……。
岡崎格
146
○
証人
(
岡崎格
君) その点は分
つて
おります。
大野幸一
147
○大野幸一君 これは国家の利益に重大なる影響を及ぼす場合に限るのですが、国家の利益に重大なる惡影響を及ぼすとは考えられないのです。我々はそれを公判進行中なりという理由、或いは
捜査
という理由は……。今拒否されておる理由が分らないのです。
岡崎格
148
○
証人
(
岡崎格
君) いえ、それはこの法律に基いて拒否しておるのではないのでありまして、まあ御勘弁願いたいということでお願いしておるわけです。
伊藤修
149
○
委員長
(
伊藤修
君) 大野さんに御注意申上げますが、
証人
と議論なさらず、それは
委員
会として適当に処理いたしますから……。
大野幸一
150
○大野幸一君 それから伊藤鑛壽の聽取書があるということはいつお分りにな
つたの
でしよう。
岡崎格
151
○
証人
(
岡崎格
君) これはこの前、
証人
で明らかになりました。
警視庁
関係
で。
大野幸一
152
○大野幸一君 それから以後
検察庁
が取寄せられたわけですね。
岡崎格
153
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
大野幸一
154
○大野幸一君 それもこの
委員
会から取寄せようとしておるところを、あなた方がさつと持
つて
行
つて
しま
つた
ような感じがするのだが、そんなことじやないですか。
岡崎格
155
○
証人
(
岡崎格
君) いやそうじやありません。
岡部常
156
○岡部常君
ちよ
つと関連して……。大野
委員
が御質問なさいました
佐藤昇
から金が
福田
氏に渡
つた
時期でございますね。時期はいつでございますか。
岡崎格
157
○
証人
(
岡崎格
君) 二十三年の春項と述べております。
岡部常
158
○岡部常君 そうすると大野
委員
が
福田
代議士
と言われたんですが、
代議士
ではない、まだ
代議士
になられる前のことでございますな。
岡崎格
159
○
証人
(
岡崎格
君) ええ、そうです。
遠山丙市
160
○遠山丙市君 先ず第一にお尋ねいたして置きたいと思うのは、
検事
としてお
調べ
のときに、
警視庁
の中には相当の派閥があ
つて
、逆
捜査
とか何とか言い伝えられておりますが、お
調べ
の上でそういうような臭いというか、点が見受けられたことがありますかどうか。
岡崎格
161
○
証人
(
岡崎格
君)
調べ
の上では別段私らの方では、その点は
佐藤
自身につきましては必要もないことでございますから
調べ
ておりません。
遠山丙市
162
○遠山丙市君 それから、次は
五井産業事件
大疑獄に発展かというような、まあ同一見出しで、本月の四日の夕刊と五日の朝刊に、非常に詳細に発表されておるんでありますが、その発表されておりまする事実、その人の名前、員数、それから
調書
の
内容等
と、
証人
が
只今
ここでお述べに
なつ
て来たのとは、全く同一なことが書いてありますが、事苟くも
捜査
の段階であろうと思
つて
おりますが、この発表は
証人
がやられたものでしようかどうでしようか。
岡崎格
163
○
証人
(
岡崎格
君) これは私も意外に考えております。実はこの
委員
会でいろいろお喚びに
なつ
て明らかにされるものと考えておりましたところが、あの夕刊に出ておりまして、むしろ私の方は司法
記者
クラブの方から、こういう事実が外の方面から分
つて
来たけれども、
検察庁
でこれは正しいものかどうか言えとい
つて
、随分責められたくらいで、私共としましては、非常に意外に感じております。
遠山丙市
164
○遠山丙市君 そうすると、今日ですね、
証人
に出て貰います前に、
委員長
から
証人
に訊問事項の
内容
は、細かく書類で書いて寄越しておりますか。
岡崎格
165
○
証人
(
岡崎格
君) いえ、これは概略のお話は聞きましたけれども、書面では頂いておりません。
遠山丙市
166
○遠山丙市君 概略の話というと、誰から誰にしたものでありますか。
委員長
があなたにせられたものですか、文書でなしにですね。そのことをお尋ねする趣旨はですね、先程
委員長
さんが書拔いておられまする書類によ
つて
、ずつと各人名を挙げてその訊問の
内容
を、事細かに非常な早口に言われて、我々の
記憶
にないようなことを言われておりますが、それに対してあなたは一々細かく答えておられまするから、そういうような細かい訊問事項が予めあなたにどういう形で伝えられておるものかどうかという点をお尋ねしたい。
岡崎格
167
○
証人
(
岡崎格
君) それは代理の方から口頭で概略のことをお聞きしておるのです。
伊藤修
168
○
委員長
(
伊藤修
君) 遠山さんに
ちよ
つと申上げて置きますが、これは訊問の時間の節約と便宜のために、予めこれとこれとの
関係
、これとこれとの
関係
をお尋ねするから、
調書
のメモをと
つて
頂きたいということを御注意申上げたのです。そうしないというと
調書
のどこかそこら中からお探し願うことも大変ですし、御
記憶
としても人事に及ばざるところであり、予めお分り願うために訊問の大体の概略だけを最上げて置いてあります。
遠山丙市
169
○遠山丙市君 そうすると、代理の方から要点だけをあなたにお知られ願
つて
本日用意しておいでにな
つた
、こういうわけですね。
岡崎格
170
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
遠山丙市
171
○遠山丙市君 今これは大野
委員
からのお尋ねで明らかにな
つた
ことでありますが、この犯罪事実
関係
については、もうあと申上げることはないとこういうようなことを言われた、隠して置くようなことはもうないのだ、こういうような趣旨のことを仰せになりましたが、間違いないですね。
岡崎格
172
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
遠山丙市
173
○遠山丙市君 そういたしますとお尋ねするのでありますが、横領
事件
と
涜職事件
と二つの形に
なつ
ておりますが、横領
事件
は一、二公判に対しておる。
伊藤修
174
○
委員長
(
伊藤修
君)
詐欺事件
…‥。
遠山丙市
175
○遠山丙市君
詐欺事件
では一、二公判に付しておる、こう言われたのでありますが、そうすると一、二というのでなしに、幾つ犯罪事実が過去…‥御
記憶
にあれば述べて頂きたい。
岡崎格
176
○
証人
(
岡崎格
君) これは第一回の
起訴
が二つ…‥いえ、三つ…‥。
遠山丙市
177
○遠山丙市君
起訴
は前後で三つやられたわけですね。
岡崎格
178
○
証人
(
岡崎格
君) 追
起訴
はあと一回で犯罪事実としましては五つの…‥。
遠山丙市
179
○遠山丙市君 全部で五つでしたか。
岡崎格
180
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
遠山丙市
181
○遠山丙市君 それは全部
詐欺事件
ばかりですか。
岡崎格
182
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
遠山丙市
183
○遠山丙市君 その五つの
詐欺事件
は、金額は如何程に上
つて
おりますか。
新聞
では数千万円とか非常に大きいことが書いてありますが、その通りでありますか、どうですか。
岡崎格
184
○
証人
(
岡崎格
君) 二千五百万円ぐらいに上
つて
おります。
遠山丙市
185
○遠山丙市君 これが
詐欺事件
でありますね。
岡崎格
186
○
証人
(
岡崎格
君) そうであります。
遠山丙市
187
○遠山丙市君 これは五つの犯罪事実の合算金額ですか。
岡崎格
188
○
証人
(
岡崎格
君) そうであります。
遠山丙市
189
○遠山丙市君 そういたしますと、
涜職事件
はまだ
起訴
しておられんようでありますが、
差支
なければお答え願いたいのでありますが、これはお
調べ
の今までの模様では、
起訴
せられるよう事案がありますか。あるといたしますと幾つぐらいありますか。
岡崎格
190
○
証人
(
岡崎格
君) 今私共の方で涜職
関係
として問題になる点は
岡田秀男
の
関係
だけと考えております。これは
涜職事件
としてでございます。
遠山丙市
191
○遠山丙市君 それだけ…‥。
岡崎格
192
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
遠山丙市
193
○遠山丙市君 それから次は、前に出られました
証人
で、
はつ
きりしたようなせんような点もありましたから明らかにしたいと思うのでありますが、
詐欺事件
という
事件
は一体いつからいつまでの間に行われた
詐欺事件
ですか。
岡崎格
194
○
証人
(
岡崎格
君) これは
昭和
二十三年の十月頃から二十四年の夏頃までに行われたのであります。
遠山丙市
195
○遠山丙市君 それから涜職
関係
事件
はいつからいつまでの間に行われたと見ておられますか。
岡崎格
196
○
証人
(
岡崎格
君) 涜職
関係
と申しますと……。
遠山丙市
197
○遠山丙市君 犯罪事実に
なつ
ておるのは今言われた通り極く少いようでありますけれども、そういう
関係
ありという疑いで
調書
をとられたり何かなさ
つた
と思いますが、それは一体、金のばら撒かれたのはいつからいつ頃までに行われたのでありますか。
岡崎格
198
○
証人
(
岡崎格
君)
昭和
二十一年頃から二十四年の暮頃までに及んでおります。
遠山丙市
199
○遠山丙市君 二十一年のいつ頃から……。
岡崎格
200
○
証人
(
岡崎格
君) 春頃でございます。
遠山丙市
201
○遠山丙市君 春頃から……。
岡崎格
202
○
証人
(
岡崎格
君) 二十四年の暮まででございます。
遠山丙市
203
○遠山丙市君 そうしますと、お
調べ
の
内容
は分
つて
おると思いますが、
詐欺
した金で、その金を以てばら撒いたと見られますかどうか。
岡崎格
204
○
証人
(
岡崎格
君) これは
詐欺
の金というのは相当大きな金でありますし、その金かどうかは、これは分りません。この
詐欺
の金につきましては帳簿上その收支を
はつ
きりしておりますが、その金を遣
つた
関係
の方は額が非常に小さいものですから、この金かどうかは分りません。
遠山丙市
205
○遠山丙市君
最後
に一点だけ。これからの見通しで、ここに沢山
新聞
に発表したことは非常に数も多く回数も多く、金銭の授受が行われておりますが、この
起訴
以外で近く
起訴
せられるというようなのがございますかどうか。大体これで打切りに
なつ
ておるものかどうか。それともまだ続いて
起訴
せねばならんような状況にあると思われるものがありますか。あるといたしますれば、
只今
あなたが
証言
された中でどれとどれとが将来
起訴
になる虞れがあるとお考えでありますか。お
差支
なければ……。
岡崎格
206
○
証人
(
岡崎格
君) これは
起訴
不
起訴
の別は別といたしまして、
佐藤
自身の被疑事実として今後尚
捜査
として残
つて
おりますのは、この
岡田秀男
関係
の部分だと思います。ただそれ以外の事実につきましては
佐藤
自身の問題としてではなく、問題になる部分が多少あるようでございます。
遠山丙市
207
○遠山丙市君
ちよ
つと今、
証人
には結構でありますが、
証人
の
証言
で明らかにな
つた
点は、この
新聞
に四日五日と掲載せられましたる事実、これの発表は
証人
は全然知らざるところで意外に思うと
言つて
おられますが、この点について、
委員長
の代理……、
委員長
に
ちよ
つとお尋ねするのでありますが、
委員長
の代理で、煩雑を避けるがために予め打合せというような形で
証人
に代理の人が会われておるようでありますが、そうすると訊問される順序、人の名前、
内容
、こういうものは
委員長
はよく知
つて
おられる筈でありますが、
証人
が
新聞
に発表したのでないといたしますと、疑惑を持つのでありますが、まだ
証人
も何も呼ばないうちにこういうように
新聞
にでかでかと出ておる、
委員長
は掲載されたということがありますか。
伊藤修
208
○
委員長
(
伊藤修
君) ありません。
遠山丙市
209
○遠山丙市君 そういうことはございませんか。
伊藤修
210
○
委員長
(
伊藤修
君) ありません。
遠山丙市
211
○遠山丙市君 そういうことの掲載を命じたということはなくても、されるような何か臭いというようなことを感じられたことはありませんか。
伊藤修
212
○
委員長
(
伊藤修
君) ありませんです。
遠山丙市
213
○遠山丙市君 ございませんか。結構です。
大畠農夫雄
214
○大畠農夫雄君 多額の金を方々に
寄付
され又は贈與されておりますけれども、当時の五井産業の資本金と個人資産はどのくらいあ
つたの
ですか。
岡崎格
215
○
証人
(
岡崎格
君) 資本金は二十万円前後ではなか
つた
かと思います。記録を見ませんと
ちよ
つと今
記憶
はありませんですが……。
大畠農夫雄
216
○大畠農夫雄君 それでは個人資産はどのくらいです。
岡崎格
217
○
証人
(
岡崎格
君) 個人資産としましては、結局まあ、こう金を廻してお
つた
わけですから、その点メモを詳細持
つて
参りませんでしたから
はつ
きり申上げられません。
大畠農夫雄
218
○大畠農夫雄君 そうしますと、今の
証人
の
証言
によりますると、
詐欺事件
は二十三年の十月から二十四年の夏頃にかけて行われた。こういうのでありますが、今資本金二十万円の五井産業が、その
詐欺事件
前において、巨額の金をばら撒くというのは、一体どこからどういうふうに持
つて
来たというふうにその当時お
調べ
なか
つたの
ですか。
岡崎格
219
○
証人
(
岡崎格
君) これは
詐欺事件
のこの
使途
としまして、帳簿上
調べ
てございます。
大畠農夫雄
220
○大畠農夫雄君 そうしますと、今
証人
が言われたように、二十三年十月以前の二十三年の春頃に
寄付
した、或いは贈與したというその金が沢山あるのですが、その金は
調べ
た結果どこから持
つて
来た金だ
つたの
です。
岡崎格
221
○
証人
(
岡崎格
君) これはまあ利益金、個人のその財産と思います。
大畠農夫雄
222
○大畠農夫雄君 そういうふうにお解しにな
つたの
ですか。
岡崎格
223
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
大畠農夫雄
224
○大畠農夫雄君 それで先程
増田甲子
七
代議士
に援助して呉れと
言つて
六十万円を渡した、どこでいつ頃、どういう……、現金でございましたか、
小切手
でございましたか、それをお聞きしたい。
岡崎格
225
○
証人
(
岡崎格
君) それは先程申しましたように、三回に、
岡崎
、
丹羽
に渡しております。この
佐藤
の
事務所
で渡しております。現金で渡しております。
大畠農夫雄
226
○大畠農夫雄君 それからその後において、
岡崎
、
丹羽
に連れられて、
増田
の
事務所
を訪問し、且つ国会で一回あ
つた
、その際に
増田
がお礼を言
つた
、こういうのでありますが、何故お礼を言
つたの
か、その
内容
についてお聞きなさいませんでしたか。
岡崎格
227
○
証人
(
岡崎格
君) この点については分りません。
大畠農夫雄
228
○大畠農夫雄君 お聞きしなか
つたの
ですか。何故お礼を言
つたの
か……。
岡崎格
229
○
証人
(
岡崎格
君) まあ
佐藤
自身としてもその金のお礼かどうか
はつ
きりしないと申しております。
大畠農夫雄
230
○大畠農夫雄君 金を貰
つた
けれども、金のお礼かどうか分らん、こういうのでございますか。
岡崎格
231
○
証人
(
岡崎格
君) 金をや
つた
かどうかですね。やるときには、この
増田
氏に援助して呉れというので渡しておるんですが、それが行
つた
かどうかは
佐藤
自身には分らない、こういうわけです。
大畠農夫雄
232
○大畠農夫雄君 それから
昭電事件
頃に、丸の内の
岡崎
、
丹羽
の共同
事務所
に毎日のように
昭電事件
捜査
が始ま
つて
から会合があ
つた
。こういうことでありましたが、その当時
増田
氏がこの丸の内の
事務所
に
出入
をしたということを聞いておりませんでしたか。
岡崎格
233
○
証人
(
岡崎格
君) これは
佐藤
からでなくて、伊藤の
供述
の中に、
昭電事件
を起
つて
から
増田
が行
つて
おるということはありません。その前にときたまこの会合されてお
つた
ときに一回ぐらい出たこともあ
つた
ということをお聞きしております。
大畠農夫雄
234
○大畠農夫雄君 それから
昭電事件
が起きてから、その前は火曜とか、土曜とかに会合してお
つたの
ですが、
昭電事件
の
捜査
にかか
つて
から毎日のように会合したということは何らか昭電
捜査
に関して
関係
がなくても、ともかく何らかそれに影響すべき何ものかにおいて会合したというようなことじやなか
つたの
ですか。
岡崎格
235
○
証人
(
岡崎格
君) それは想像になりますから……。
大畠農夫雄
236
○大畠農夫雄君 それは別にお聞きしなか
つた
ですか。
岡崎格
237
○
証人
(
岡崎格
君) 伊藤自身としましても、これは
自分
の想像を
言つて
おるに過ぎないのです。
大畠農夫雄
238
○大畠農夫雄君 ああそうですか。それからもう一つ
吉武
関係
でありますが、
吉武
氏に一万円贈
つた
、それは罐詰の代金として一万円贈
つた
というのでありますが、罐詰の代金というのは幾らだ
つたの
ですか。
岡崎格
239
○
証人
(
岡崎格
君) これは僅かなものらしいんです。
大畠農夫雄
240
○大畠農夫雄君 お聞きしなか
つたの
ですか。
岡崎格
241
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
羽仁五郎
242
○羽仁五郎君
証人
に伺いたいのですが、伺いたいことは五つ、六つありますが、第一に伺いたいのは、これは念のためなんですが、
証人
の履歴の大体をお
差支
なければ伺いたいと思います。
岡崎格
243
○
証人
(
岡崎格
君)
昭和
八年に京都大学を卒業しまして、司法官試補になりまして、
昭和
九年の末に
検事
に任官しまして宇都宮の地方
検事
局におりました。十二年に五月東京に参りました。
昭和
十七年九月に司法事務官になりました。二十年の四月の末に当時の満洲国司法部の理事官に転勤しました。それから
昭和
二十二年の九月に帰国しまして東京高等
検察庁
に勤務し、二十三年の一月地方
検察庁
に勤務しました。
羽仁五郎
244
○羽仁五郎君 続けて、その間に
昭和
十九年に司法省
刑事
局思想課にお勤めにな
つた
ことはありますか。
岡崎格
245
○
証人
(
岡崎格
君) あります。
羽仁五郎
246
○羽仁五郎君 それはいつからいつまでですか。
岡崎格
247
○
証人
(
岡崎格
君) それは満洲国へ参るまででございます。
羽仁五郎
248
○羽仁五郎君
昭和
十九年のいつ頃からですか。
岡崎格
249
○
証人
(
岡崎格
君) 十九年の一月。
羽仁五郎
250
○羽仁五郎君 一月に正式にはどういう……、思想
検事
というのですか。
岡崎格
251
○
証人
(
岡崎格
君) 司法事務官。
羽仁五郎
252
○羽仁五郎君 それで思想
関係
をおやりにな
つた
わけですか。
岡崎格
253
○
証人
(
岡崎格
君) 思想
関係
と申しますと……。
羽仁五郎
254
○羽仁五郎君 元の思想
検事
ですね。特高……。
岡崎格
255
○
証人
(
岡崎格
君) これは
検事
の仕事は、いろいろ
調査
をするというようなことだけで、現実の
検事
の仕事は司法事務官はやらなか
つたの
です。
羽仁五郎
256
○羽仁五郎君 主におやりにな
つたの
は思想
関係
ですか。
岡崎格
257
○
証人
(
岡崎格
君) それは司法事務官に
なつ
てからでございますが、
昭和
十九年の所属はそうでありましたが、秘書課にも、それから総務課にも兼務をいたしておりました。
羽仁五郎
258
○羽仁五郎君 それからあなたは鍋山貞親という人を知りませんか。
岡崎格
259
○
証人
(
岡崎格
君) 知りません。
羽仁五郎
260
○羽仁五郎君 第二に伺いたいのは、この
佐藤昇
という方を
逮捕
せられたときに、それば昨年の十二月七日に
逮捕状
が出て、そうして十四日に
逮捕
せられておるということについての先程の
証人
の
証言
によりますと、
吉村商店
に関する三十数万円の
詐欺
の
容疑
というものがあるが、その外に
北海道
、
宮城
方面にも
詐欺
の
容疑
がある。そうしてそれが
起訴
になるかどうか分らないから、十分の
捜査
をした方がいいだろうということにな
つたの
で、その間に時間のズレができた。それからその十三日に
逮捕
の筈だ
つた
けれども、その晩に弟さんのお通夜があ
つた
ために翌日の十四日にな
つた
と言われるのですが、
検察
当局はいつもそういうような方針なんでしようか。そういうような方針と言いますのは、この
佐藤昇
という方についての
容疑
は相当濃厚ではなか
つた
かと思うのです。これまでにその
容疑
が相当濃厚な人であり、而もその
容疑
は
詐欺事件
と、いま一つの揉消しというような点についても
容疑
があ
つたの
じやないか。そういう
詐欺
の
容疑
が非常に濃い、且つ又揉消しということも相当やられるというような人に対して、このような七日に
逮捕状
が出たのを十三日まで延ばし、十三日は又お通夜であるから十四日にするということが、
検察
、或いは
警察
の方針として妥当なりとお考えですか。
岡崎格
261
○
証人
(
岡崎格
君) いや、これは
逮捕
して
調べ
ること自体は、これは三十数万円の事実でありますから、一応その必要があると認められたけれども、それじやこの事実で確実に
起訴
ができるかという点になりますと、特に
取引関係
の中にある一つの
詐欺
となりますから、十分
調べ
が困難なわけなんです。そこで他に何かもつとしつかりした事実が、
余罪
があれば、そちらの方と一緒に
逮捕期間
内に
傍証
を固めて、この
勾留期間
内に
調べ
をして
起訴
できる、こういうことになりますから、愼重を期してそこまで行
つた
わけなんです。
逮捕
はして見たが、結局何にも出なか
つた
、これじや非常に工合が悪い、こういうことなんであります。
羽仁五郎
262
○羽仁五郎君 その点がどうも御
証言
の趣旨がよく分らないのですが、
逮捕
して見たら何も出なか
つた
という種類の人ではないように我々は判断するのですが、相当に濃厚な
容疑
があ
つて
、それで
警視庁
部内においても、この人が揉消しを盛んにや
つて
おる。
従つて
この
詐欺
を除かなければ、今後
事件
の
捜査
ができないというような
証言
が、別の機会においてこの
委員
会になされておる。
警視庁
部内においても、この人に関してそれ程重大な
容疑
があるのに。あなた方は
逮捕
して見ても、何も出ないかも知れないというように判断されたのでか。
岡崎格
263
○
証人
(
岡崎格
君) いや、その何にも出ないというのは、これは極端ですけれども、要するに三十数万円の
詐欺
の
容疑
がある。これが単なる債務不履行であるというようなことに
なつ
て
起訴
できない。或いはその外にいろいろ疑わしい点はあるけれども、結局
本人
も言わないし、それから
傍証
としても出ないということになれば、これは
勾留
はしても
釈放
せざるを得ないことになりますので、少くとも確実に
起訴
できる事実を掴えてや
つた
方がいいのじやないかということも考えられるわけなんです。特にこれは
警視庁
の方からもそういう
申出
があ
つた
ものですから、それはその方が確実であろうということで、そうな
つたの
であります。
羽仁五郎
264
○羽仁五郎君 その次に伺いたいのは、
佐藤昇
という方を
釈放
されます当時、
岡田秀男
という方、その外相当重大な問題の疑いがありますが、それらに関する、さつきも御
証言
の中に、強いて
勾留
して置かなくても在宅で
調べ
ればいいということですが、在宅でお
調べ
にな
つたの
ですか、その後。
岡崎格
265
○
証人
(
岡崎格
君) その後
調べ
ております、係の
検事
が。
羽仁五郎
266
○羽仁五郎君 何回ぐらいお
調べ
にな
つたの
ですか。
岡崎格
267
○
証人
(
岡崎格
君) 確か三回、
詐欺
の事実も入れますと、五回ぐらい
調べ
ております。
羽仁五郎
268
○羽仁五郎君 その後これらの問題について輿論なり、一般国民が非常に疑惑を抱いているということは御承知ですね。
岡崎格
269
○
証人
(
岡崎格
君) それはまあ
新聞
でそういう非常に疑惑を抱かれているように思うのです。
羽仁五郎
270
○羽仁五郎君 その
新聞
、仮に
新聞
紙がそういう疑惑を述べておるとして、それらの疑惑を明らかにするために、
詐欺事件
及び
涜職事件
についての
捜査
については、特別に努力しておられるのですか。
岡崎格
271
○
証人
(
岡崎格
君) それを明らかにするためにですか、ですから私はこの
証言
において、先程来申上げましたような事実を申上げまして、その疑惑を一掃することにして頂きたいと思
つて
おります。
羽仁五郎
272
○羽仁五郎君 ああそうですか。それではその点について伺いたいのですが、第一に
佐藤昇
という方が、
詐欺事件
などについて疑いを受けている問題の人物が、
警視庁
にしばしば
出入
せられて、そうして
警視庁
の内部の方と非常に密接な
関係
を持
つて
おられるというような事実があるのですか。
岡崎格
273
○
証人
(
岡崎格
君) それは
本人
も以前は
日野
氏のところ等には
情報
関係
でときどき
出入
をしてお
つた
、こういうことを申しております。
羽仁五郎
274
○羽仁五郎君 そういう事実が好ましいとお考えになるのか、或いは好ましくないとお考えになるならば、そういうことについて
警察
当局は別に
捜査
をせられる必要はお感じにならないのでしようか。
岡崎格
275
○
証人
(
岡崎格
君) その点につきましては粛正すべき点は十分粛正しなければならん。併し不道徳なことが必ずしも犯罪に直ぐなるというわけではありません。例えば
取調べ
の間に、
日野昇
関係
について相談を再々受けました。これも涜職
関係
としまして、非常にこの
職務関係
がむずかしいものですから、上司と相談の上これは贈収賄
事件
としてはむずかしい、だからむしろ
警視庁
の方で監察の問題として、行政監察の方に付せしめるようにということを、こちらから
警視庁
の方に連絡いたしてあります。
羽仁五郎
276
○羽仁五郎君 それからそれと関連しまして、いわゆる
追放
されておる方々が、
警視庁
の方々とも、又重要な政治家達とも会見したり、連絡したりしておられるという事実があるのですか。
岡崎格
277
○
証人
(
岡崎格
君) この点は特別審査局の方に、私の方から連絡を取
つて
調査
して
貰つて
おります。
羽仁五郎
278
○羽仁五郎君 それから
最後
に現在の日本の政府の最高責任者である総理大臣、或いはそれを助けている官房長官という方々について、苟くも疑いをかけられているとこうことについて、
検察
当局としては、それらの問題が事実そういう疑惑に値いするものであるのかないのかを、お
調べ
になる必要をお感じにならないのですか。
岡崎格
279
○
証人
(
岡崎格
君)
只今
申上げましたように、金をや
つた
関係
につきましては、この
荻外荘
の
関係
は金は行
つて
いるわけなんですけれども、そういう
関係
で犯罪
捜査
として、そこから先まで
検察庁
調ベるということはどうかと思うのです。
羽仁五郎
280
○羽仁五郎君 それは
検察庁
としては、総理大臣や官房長官に関する疑いについては、十分
取調べ
るという
容疑
がないというお考えなんですか。
岡崎格
281
○
証人
(
岡崎格
君) そうじやありません。これは
増田
氏は今官房長官にな
つた
んでありますけれども、この
岡崎
、
丹羽
の
関係
において、特別審査局の方で
調査
しておりますから、いずれこちらに、
検察庁
に告発されるだろうと思うのですが、その上で
検察庁
として
調べ
るべきものは
調べ
なければならんと考えております。
羽仁五郎
282
○羽仁五郎君 併しその上でするというふうにおつしやいますが、少くとも一つの国の総理大臣とか、或いは官房長官という方々が、
詐欺事件
なり、或いは
涜職事件
の疑いがあるような人物から、その金が
詐欺
した金であるか、そうでないというようなこととは無
関係
に、そういう可なり問題のある人物から金を受取
つて
おるという疑いがあるということは、一日たりと雖も、国内、国民に向
つて
も、国際、世界に向
つて
も大問題だと思うのです。例えばこれはアメリカのトルーマンだとか、アチソンだとかいう人が、怪しげ金を受取
つた
というような噂だけでも我々は聞いたことがない。若しそういうことがあれば、アメリカなり何なりが直ちにそういうことを解決されるだろうと思うのですね。事実がないならばない。疑いがないということを明らかにしなければ、その責任者は辞職するということがあるのです。日本で現在その問題について、それを
調べ
るベき人々が、今お話のような或る
程度
の時期を待
つて
、或いはそのどこまで、その金が届いたかは立入ることはできないというような状態で、現在可なり永い間放置されておりますが、そういう問題については、
検察
当局は一刻も早く
調べ
て国民の疑惑を晴らすなり、或いはその責任を負うべき人に責任を負
つて
貰つて
、なすべきではないかというふうにお考えらならないのですか。
岡崎格
283
○
証人
(
岡崎格
君) これは犯罪の嫌疑としての
捜査
ならば、これはできるだけ徹底的にやらなければ、速かにやらなければならんと思いますけれども、この
吉田
関係
につきましては、犯罪の嫌疑として非常にこれはもう嫌疑をかけるのがおかしいように思われるのです。でそういう
関係
だけで、これは犯罪の嫌疑ということで、そこまで行くべき問題かどうかということは、
検察庁
としても問題だろうと思うのです。
羽仁五郎
284
○羽仁五郎君 この若し仮に渡された金が、
荻外荘
の建築費に使われておるというようなお話でしたが、そういうことは政治資金として登録されなければならないのではないですか。
岡崎格
285
○
証人
(
岡崎格
君) それは二十三年の春頃のことありますから、政治資金規正法はまだ施行に
なつ
ておりません。
羽仁五郎
286
○羽仁五郎君 そうするとこの重要な、国民の疑惑の的と
なつ
ていても、それに対していわゆる犯罪としての
容疑
が成立するかしないかということが明らかでない限りは、
検察
当局としては動かないということですか。
岡崎格
287
○
証人
(
岡崎格
君) その犯罪の嫌疑があり限り
捜査
を進めて行きますけれども、犯罪の嫌疑がない限りは、
検察庁
として
捜査
をすべきでないと考えております。
羽仁五郎
288
○羽仁五郎君 今伺
つた
ような点ですね、これは皆関連していのですが、つまり
佐藤昇
という方を
逮捕
せられる当時の
検察庁
の態度ですね、それからいわゆる
釈放
後に
捜査
を続けられているかいないかについての態度、それから又そういう問題がある人物が
警視庁
の内部において活動しているということについての態度、それからこの
追放
者と重要な政治家が関連を持
つて
いるのじやないかという問題についての態度、それから
最後
に国民に非常な犠牲を強いている国の政府の代表者が、疑惑を受けているという問題に対する態度、これらを一貫すると、何か
検察
当局はこういうような政治上、或いはいろいろな複雑な
関係
のある問題については、犯罪の
容疑
が動かせないようにならないと
はつ
きりした態度が取れないのじやないかという感じがございますが、その点はどうでしよう。
岡崎格
289
○
証人
(
岡崎格
君) これは一般的に申しまして、やはり犯罪の
捜査
として、
逮捕
し、或いは
捜査
をするという場合には、その相手方、或いは
事件
の
内容
と、世間の耳目を聳動するというようなものにつきましては、相当
傍証
があり、而も犯罪の嫌疑が濃厚である、こういうことなります。そこまで愼重に考えませんと、徒らにこれはこの
捜査
に名を籍りていろいろ社会の問題を起すようなことにもなる、こういうふうに考えまして、これは
涜職事件
の限らず、社会の非常に注目するような
事件
につきましては相当愼重に内偵をし、
傍証
を固めて、一部でも
起訴
ができるという確証を掴んでや
つて
おるわけであります。
羽仁五郎
290
○羽仁五郎君 一般のいわゆる市民というか、国民というか、別に政治上重要な地位にいる人でもない。又別に
警視庁
にそう
出入
しているような人でもないというような人に対しても、同じように愼重にや
つて
おられますか。
岡崎格
291
○
証人
(
岡崎格
君) この点も新
刑事
訴訟法の下では、一片の噂、
容疑
というだけでは、これはや
つて
おりません。
羽仁五郎
292
○羽仁五郎君 どうも有難うございました。
小林英三
293
○小林英三君
証人
にお伺いいたしますが、先程この遠山
委員
の質問に対しまして
証人
がお答えにな
つた
中に、この涜職
詐欺事件
の問題は大体五件ある。それは金額においては約二千五百万円くらいである。それからその
詐欺事件
のあ
つたの
は
昭和
二十三年の十月頃から二十四年の夏頃までであ
つた
。それから
涜職事件
と申しますが、いわゆる金のばら撒かれたという問題に対しては、これは二十一年頃から二十四年の暮頃までであ
つた
ということであ
つたの
であります。それから尚
証人
の御答弁の中に、まあ強いて言えば涜職として問題になる、
起訴
されるようなのは、現在としては
岡田秀男
だけでもあ
つて
、この外は
起訴
される虞れのあるものはどうかという問題に対して、
佐藤
自身の問題だと思う、強いてあれば
佐藤
自身の問題だと思う、こういう御答弁があ
つたの
でありますが……。
岡崎格
294
○
証人
(
岡崎格
君) その点は
最後
のところは
ちよ
つと違います。
佐藤
自身につきましては
起訴
、不
起訴
は別として
岡田秀男
に対する
贈賄
の
関係
だけが涜職の
捜査
としては残ると思われるのです。
小林英三
295
○小林英三君 尚お尋ねしますが、私は今羽仁
委員
の御質問にありました中で、苟くも
五井産業事件
につきましては一国の総理大臣に名前も出ておる、現在の官房長官の名前も出ておる、こういう問題は速やかに国民の疑惑を解くたけに明らかにすべきであるということには同感でありますが、それと同時に私は現在の五産業業
事件
というものどこから漏れるか知りませんが、とにかく各
新聞
全般はでかでかと我々の知ない間に出ておる。これはどこから漏らされたか知れません。併し今日
証人
の御答弁を先程から聞いておりますと、私は
証人
の、この取調に対して重大な地位にあられる
証人
のこの答弁というものは、これによ
つて
国民が相当疑惑を晴らして呉れると思う。例えば
吉田
総理の問題につきましては、これはその当時
代議士
ではなか
つたの
でありますが、
福田
という人がたまたま
佐藤昇
君と非常に知己であ
つた
。そうしてその当時自由党は野党時代であ
つて
、
荻外荘
の
事務所
の
費用
として
佐藤
氏の懇意のなかから貰
つた
、これがたたまたまでかでかと
五井産業事件
として天下に発表されました。国民は恰かも現内閣の総理大臣がこれに
関係
したかのごとき疑惑を持出し、これは今
証人
の御答弁によりまして、この問題については
吉田
総理が
貰つて
おるか
貰つて
いないか知りませんが、とにかくその当時
佐藤
に対する一つの献金、むしろ個人の
福田
君が貰
つた
献金として犯罪の嫌疑をかけることがおかしい、こういう
証人
の御答弁がありました。それから尚
増田
、現在の官房長官でありますが、その当時に遡
つて
は官房長官ではなか
つた
、一
代議士
であ
つた
、その
代議士
が誰か……
佐藤
君と非常に懇意な渡邊さんでありますか、渡邊さんのお言付けによ
つて
増田
さんに献金して貰いたいというようなことから、
佐藤
君が献金したかしないかこれは分りませんが、
本人
が受取
つて
おるか受取らないかこれは分りませんが、とにかく仮に
増田
が受取
つて
もそれは
増田
への献金であります。又
増田
が受取
つて
いなければ尚更渡邊さん自身の受取
つた
ものでありまして、こういう問題に対しても政治資金規正法の適用のない当時におきましては、何らこれに嫌疑をかけるのはおかしい、
従つて
今後これを今日
捜査
するのはおかしいという
証人
の御答弁であ
つた
と思いますが、そう考えてよろしうございますか。
岡崎格
296
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。
小林英三
297
○小林英三君 それでよく分りました。
大野幸一
298
○大野幸一君 先程の点でありますが、涜職で
逮捕
してそれを
釈放
するときに、
釈放
するかしないかということの協議に與か
つた
検察
当局は誰と誰ですか。例えば
検事
正とか
検事
長とか
検事
総長とか、どれだけの範囲がこれに加わりましたか。
岡崎格
299
○
証人
(
岡崎格
君) これは
検事
正と
次席検事
と、それから
検事
長、次長
検事
には事後報告をいたしております。
大野幸一
300
○大野幸一君 そのときに
吉田
さん及び
増田
さんの名前もあるということは……。
岡崎格
301
○
証人
(
岡崎格
君) これはずつと以前に連絡いたしております。
羽仁五郎
302
○羽仁五郎君 今小林
委員
から
証人
に対して質問があ
つたの
ですが、それに対する
証人
のお答えは、さつきと若干外れておるよう思うのですが、さつき
証言
されたときには、涜職なり或いは政治資金規正法なりというものには直接がからない、併しながら特審局なり何なりの
捜査
、又今後の必要に応じて
検察
当局も動かなければならないという場合があるかも知れないという御答弁があ
つた
ように思いますが。
岡崎格
303
○
証人
(
岡崎格
君) それは特審局で若し
事件
を告発して来れば、それに必要な範囲内において、例えば
増田
氏などは最も直接の
証人
関係
になるだろうと思うのであります。
羽仁五郎
304
○羽仁五郎君 それから
ちよ
つと続けてお尋ねしたいのですが、この
事件
が起
つて
から
証人
は
増田
官房長官に会われたことがありますか。
岡崎格
305
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
羽仁五郎
306
○羽仁五郎君 それでは現在の政府の閣僚のどなたかとお会いにな
つた
ことがありますか。
岡崎格
307
○
証人
(
岡崎格
君) これは法務総裁には外の要件で会
つた
ことは一度あります。
羽仁五郎
308
○羽仁五郎君 この要件については……。
岡崎格
309
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
羽仁五郎
310
○羽仁五郎君 自由党の方々とこの問題についてはお会いにな
つた
ことはありますか。
岡崎格
311
○
証人
(
岡崎格
君) 全然知
つた
方がありませんから……。
羽仁五郎
312
○羽仁五郎君 有難うございました。
大畠農夫雄
313
○大畠農夫雄君 自由党の
事務所
建築費とか修理費ですが、三十万円や
つた
、それと
福田
に連れられて
大磯
の
吉田
家に
佐藤
が行
つた
というのは、や
つた
方が先ですか、行
つた
方が先です。
岡崎格
314
○
証人
(
岡崎格
君) 行
つた
方が先のように聞いております。
松井道夫
315
○松井道夫君 二、三点お尋ねしますが、先程、今の
逮捕
を延ばしたことについては
警視庁
の方から
申出
があ
つた
と
ちよ
つと言われたようでしたね。その通りですか。
岡崎格
316
○
証人
(
岡崎格
君)
警視庁
の方から
次席検事
の方に申入があ
つたの
であります。
松井道夫
317
○松井道夫君
警視庁
の方から……。
岡崎格
318
○
証人
(
岡崎格
君) 延ばすということでなくて、
逮捕状
を
貰つて
、それからその直後に
坂本刑事部長
から
馬場次席検事
の方に
逮捕状
が出たが、
起訴
は必ずできるかということを聞かれたので、
馬場次席検事
としては、
起訴
が確実かどうかということは今は答えられない、こういう答えであ
つたの
であります。
松井道夫
319
○松井道夫君 それでその次にお尋ねしますが、そうするとあなたの方の特捜の方では、本件の
捜査
を犯罪としての
関係
、
詐欺
の方はもうすでに
捜査
としては打切
つて
おられるのですか。
起訴
の方は打切
つて
おられるのですか。
岡崎格
320
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
松井道夫
321
○松井道夫君 それから今の金の
関係
ですね。この方もあなたの
関係
としてはもう
捜査
は打切
つて
おられますね。そうすると今全然されておられないわけですか。
岡崎格
322
○
証人
(
岡崎格
君) いや、
岡田
の
関係
につきましてはまだこれは未済に
なつ
ております。
松井道夫
323
○松井道夫君 後は全部
捜査
はしておられないわけですね。
岡崎格
324
○
証人
(
岡崎格
君) 現在のところではや
つて
おりません。
松井道夫
325
○松井道夫君 それで先程
ちよ
つと言われたのですが、
岡田
関係
以外は道徳的の罪悪で、今の刑法上の罪悪とは言えないという趣旨の言葉があ
つた
ように思うのですが、そうでなくて、このうちには刑法上涜職その他の刑罪に触れるものをいわゆる
起訴
猶予ですね、あれに当るものもあるのじやないですか。
岡崎格
326
○
証人
(
岡崎格
君) 現在までのところでは
起訴
猶予にすべき事案もないと思
つて
おります。
岡田
関係
以外にはですね。
松井道夫
327
○松井道夫君 責任を持
つて
言つて
頂かなければ困りますよ。大問題です。そういうことで果して
警視庁
の綱紀というものを守ることができるかどうか、或いは一般官庁の綱紀というものを守ることができるかどうかという大問題ですから、そう簡単に
言つて
頂くと困ります。これは、この
新聞
に出たのは大体において
調書
にあることだというのでしよう。
岡崎格
328
○
証人
(
岡崎格
君) 少し作
つた
り何かしておりますが、今日申上げたことと一致する点は大分あると思います。
松井道夫
329
○松井道夫君 それではお尋ねしますが、ここに消防総監
関係
というのがありますね。ここにこういう項があるのです。二十四年四月から五月の間に五万円を
機密費
として贈與、
佐藤昇
氏の
自動車
を九十万円で
消防庁
に売り代金を受取
つた
際
塩谷
総監の
申出
により贈
つた
。こうい
つた
ようなものがすべて道徳的の犯罪……。
岡崎格
330
○
証人
(
岡崎格
君) その事実は先程申上げましたように、
検察庁
の
調べ
ではその部分は
記憶違い
であるということを申しております。でそれは他人に貸しておるんだ、それをお貸して、誤ま
つて
それは述べてお
つた
んだと……。
松井道夫
331
○松井道夫君 誰か述べてお
つた
……。
岡崎格
332
○
証人
(
岡崎格
君)
佐藤
がです。
松井道夫
333
○松井道夫君 それで五万円の
機密費
、その事実はどうなんですか。その事実はあるのですか。
岡崎格
334
○
証人
(
岡崎格
君) ですから先程申しましたように、それはその
自動車
を売
つて
五万円をお礼にやろうとしたところが、丁度そこに
自分
の
友人
の某
新聞
の
記者
が来てお
つて
、そんな金があるなら俺に貸して呉れということで、それに貸したんで、後でよく考えて見たらそういう……。
松井道夫
335
○松井道夫君 だからそういう、後の
供述
が本当か、或いは前の
供述
が本当か、それは外の
事情
によ
つて
、外の状況によ
つて
決すべきことで、私は先程あなたがその
関係
で述べておられるときには、恐らく
ちよ
つと外に出てお
つて
聞いておらないのでありますが、とにかくここに金銭というようなその事実が
新聞
に載
つて
おるわけですね。そうしいその事実が真なりや否やはこれは分らない、実際ですね。ですからここに掲げてあるすべての事実の中に
起訴
猶予に当るものがない、あなたが事実として、あなたの
調べ
としてこういうことに
なつ
ておるという
程度
ならいいのですけれども、そうでなくして事実としてもう一つ涜職に当るものはないと、
起訴
猶予に当るものはないんだと断言されるならば相当大きな問題です。結局
起訴
に当るとすべきものはないと考えるということなら結構ですけれども、ここに何も、犯罪は何もないというふうに言われるのは、相当言い過ぎになるんじやないかと私は思うのですが、どうです。
岡崎格
336
○
証人
(
岡崎格
君) それは
起訴
猶予にするには尚疑問があるということです。ですから少くともこの
岡田
の
関係
についてはこれは
起訴
猶予にすべきか、或いは嫌疑なしになるか、
捜査
に点が残
つて
おるのですが、その外の点につきましては
勾留期間
中に
職務関係
その他についていろいろ
調べ
をしました結果、これは
起訴
猶予にすべき事案でもないと、結局刑法犯としましては嫌疑のない事案であ
つた
というふうに考えております。
松井道夫
337
○松井道夫君 それはそれで分りましたが、要するに
検察庁
の
調べ
の結果として、今の
起訴
猶予にすべきものも外にはないと思うというのですから、証拠不十分でそのために
起訴
猶予にもできないという
関係
のものは相当あるんじやないですか、この中に……。
岡崎格
338
○
証人
(
岡崎格
君) ですからその点は非常にデリケートな問題だと思うのですが、証拠不十分か、
はつ
きり罪とならず、と言い切り得るものか。ですから
はつ
きりこんなものは罪にならずということは私としてはそこまで全部言い切るわけに参りません。
松井道夫
339
○松井道夫君 結構です。
羽仁五郎
340
○羽仁五郎君 今松井
委員
からの御質問に対して
証人
がお答えにな
つたの
は、本件全体についての御意見であると思うのですが、さつき例えば
吉田
さんについても、或いはその他の方々についても刑法上の犯罪というふうに考えるような証拠が今のところないというふうにお答えに
なつ
ておりましたが、道徳上において好ましいことでないことは言うまでもないのであります。
詐欺事件
なり、何なり疑惑のある人物だから、その金を受取られたということが……。殊に国の大きな政党の責任者なり何なりとしては面白くない問題であることは言うまでもないわけであります。そういうような点については
検事
局としては別に道徳上それをお責めになるとこういうことはできないことだろうと思うのです。
岡崎格
341
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
羽仁五郎
342
○羽仁五郎君 そういうことについて何らの疑惑がないというのはテクニカルに、技術的に
刑事
上の疑惑をそれにかけるということまでには至
つて
いないということであ
つて
、青天白日である、道徳的にも非難の余地がないということではないと
了解
していいわけですね。
岡崎格
343
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。
大畠農夫雄
344
○大畠農夫雄君
警察
関係
方面にも相当ばら撒かれておるのですが、例えば
塩谷
に五万円や
つた
とか、或いは
吉武
に一万円や
つた
とか、
富坂
にや
つた
とかいう
事件
が沢山あるのですが、この方はお
調べ
は済んだんですか。
岡崎格
345
○
証人
(
岡崎格
君) 済んでおります。その
警察
の
後援会
に
寄付
したものは成規の手続を踏んで
寄付
をしております。
大畠農夫雄
346
○大畠農夫雄君 例えば
吉武
に一万円や
つた
というようなものでも一つの
後援会
の
寄付
として認めておるのですか、それとも
吉武
個人に一万円というように
なつ
ておるのですか。
岡崎格
347
○
証人
(
岡崎格
君) これは
吉武
個人と考えておりません。
大畠農夫雄
348
○大畠農夫雄君
警察
にや
つた
と……。
岡崎格
349
○
証人
(
岡崎格
君) その
吉武
の
部屋
全体のものに
寄付
したとこういうふうに考えております。
大畠農夫雄
350
○大畠農夫雄君 それはその処理の結果はどう
なつ
ておるのですか。
起訴
ですか、これは……。
岡崎格
351
○
証人
(
岡崎格
君) これは
事件
としてその事実を取上げて、特に
起訴
猶予とか嫌疑なしとかいう処分はいたしておりません。つまり
立検
をしておりません。
大畠農夫雄
352
○大畠農夫雄君 ただ単に金の行先、行途がどうであ
つた
とこういう
内容
を
調べ
ただけであ
つて
、刑法上の処理手続はしなか
つた
ということなんですね。
岡崎格
353
○
証人
(
岡崎格
君) いや、初めは一応涜職になりはしないかという嫌疑で
調べ
たのですが、
調べ
た結果がかような
事情
になりましたから、これは特に
立検
をしないままにしております。
大畠農夫雄
354
○大畠農夫雄君
塩谷
の五万円は
塩谷
が受取
つて
おるのですか。
岡崎格
355
○
証人
(
岡崎格
君) この点が先程来申上げますように
警視庁
で述べたことをまだ
勾留期間
中に
検察庁
の方で
佐藤
について
調べ
ましたときに、それは
記憶違い
であ
つた
と、某
新聞
の
記者
が丁度そのとき来合してお
つて
、そういう金があるならば俺に貸して呉れと
言つて
、そちらに貸したんだと……。この点はその
関係者
の方も
はつ
きりしております。
大畠農夫雄
356
○大畠農夫雄君
関係者
の方も
はつ
きりしておるというのは
塩谷
を
調べ
たという意味ですか。これは単に結局や
つた
んだかやらぬか分らぬ。これは
記憶違い
だとこう言
つた
ところで、それは決して
証言
じやないのです。証拠じやない。結局
塩谷
を
調べ
れば直ぐ分るのだけれども、何故それは
塩谷
を
調べ
なか
つた
んです。その場合、勘違いだと言われてああそうかとい
つて
放
つて
置くのはおかしいと思うのです。それは
塩谷
を
調べ
るのが当然だと思うのですが、その場合何故
塩谷
を
調べ
ないでお
つたの
です。
岡崎格
357
○
証人
(
岡崎格
君) ただこの場合、その
職務関係
としまして何のために
機密費
としてそれをやるかがやはり多少問題の点も起るかと思いますし、それと、
はつ
きりこの取調の進捗上これは
記憶違い
であ
つた
と、殊にそれが
釈放
にな
つた
後でなくて、
勾留
中に自己の
記憶
を訂正し、外の部分についてはお礼にや
つた
ことも
はつ
きり申しておりながら、そういう一、二の
記憶違い
の部分だとか、或いは日時の食い違い、こういう点をいろいろ確かめて行
つて
はつ
きりして来たものですから、特にその当時
塩谷
氏を
調べ
るところまで行
つて
おりません。
松井道夫
358
○松井道夫君 尚
只今
いろいろ述べられたのですが、そのうち、
立検
したのはどれとどれですか。
岡崎格
359
○
証人
(
岡崎格
君) さつき
岡田
関係
の点を
立検
しました。
松井道夫
360
○松井道夫君 それは後は
起訴
とか不
起訴
とかそういう問題は起らないのですね、初めから……。
岡崎格
361
○
証人
(
岡崎格
君) 初めからでなくて、そのとき
起訴
すべき必要があれば
起訴
のときに
立検
をしてやるわけであります。それから……。
松井道夫
362
○松井道夫君 併しすでに
警察
から
立検
して持
つて
来るとい
つた
ようなものならば、これは
起訴
とか不
起訴
の結末をつけざるを得ないわけですね。
岡崎格
363
○
証人
(
岡崎格
君)
警察
の方でもそれは
はつ
きり犯罪事実として取上げて
送致
をされたわけではないのであります。追送記録として、
関係
記録として送付に
なつ
て来たのでありますから……。
松井道夫
364
○松井道夫君 それか
検察庁
としてそれに対して必ずしも
立検
する必要もなければ
従つて
起訴
不
起訴
も
はつ
きりした結末をつける
職務
上の義務といいますか、それはないわけですね。
岡崎格
365
○
証人
(
岡崎格
君) はい。
大野幸一
366
○大野幸一君 その五万円というのは大畠
委員
の言われたのは
自動車
を
消防庁
に売
つた
金でしよう。
岡崎格
367
○
証人
(
岡崎格
君) そうだと思います。
大野幸一
368
○大野幸一君 そうすると
自動車
を買
つたの
は消防総監とした高く買
つて
、五万円というものはちつとも贈収賄罪の成立に
差支
ないのじやないのですか。一体
岡崎
証人
にお尋ねいたしますが、涜職罪としてあなたは相当検挙されたことがあるのか、そういう方面には余り
関係
されなか
つた
検事
でいらつしやいますか。
岡崎格
369
○
証人
(
岡崎格
君) それはや
つて
おります。
大野幸一
370
○大野幸一君 そうすると五万円は出した、そんな金ならば……、これは恐喝罪になりますが……。
岡崎格
371
○
証人
(
岡崎格
君)
友人
関係
でそれを俺の方に廻して呉れ、こういうなごやかな状況であれば、そういう恐喝とかいう意味はないと思います。
大野幸一
372
○大野幸一君 あなたの
検事
としてどうもこの
事件
をよい方よい方へと御解釈されるならばすべて犯罪にこう解釈されたい。国民の疑惑は何とい
つて
もこれは
吉田
さんや
増田
さんやその政界の多数の名士が
関係
しておるから問題になるのです。そういう
事件
に限
つて
世間から見ればこれは揉消しされた
事件
のように考える。あなた方専門家から言えば潰した
事件
だとも考えられる、そういう誤解がある。だからあなたがことにその他についてもこんなことは犯罪にならんと言われたならば、それは皆
委員
等は常識としてこれは行き過ぎでないか、言い過ぎでないかということはこれは当り前である、その点ですね。
岡崎格
373
○
証人
(
岡崎格
君) それで御承知のように
涜職事件
の贈收賄の
職務関係
につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますから、十分にその都度上司の方ともいろいろ検討しまして、こういう場合はどうか、こういう場合はどうかということを検討した上で、例えば收賄の問題、
岡田
の問題と私一存でなくていろいろ研究しました結果、法的にどうしても嫌疑が薄い、こういうことでそれは処置したわけであります。
大野幸一
374
○大野幸一君
検察
当局としてはこれは全く人権の尊重の立場から濫りに
起訴
できないという立場であ
つた
ら我々は満足する。併し上司とたびたび相談するということが法務総裁から
検事
総長、こういう人の指令を受けてこの
事件
はまあ適当に愼重にや
つて
置けとこういうふうに言われておりはしないか。それでこういうこの特例的の処置が講ぜられていやしないかというところに疑問を持つのですが、そういうことはございませんか。
岡崎格
375
○
証人
(
岡崎格
君) 法務総裁その他この
事件
の
捜査
中に上司の方からこの
事件
の
内容
がどう
なつ
ておるかということは、一度も上から聞かれたことはございません。ただ二月一日でしたか、この
岡田
関係
の
涜職事件
として再
逮捕
されて
送致
された、その日かその前日にある一、二の
新聞
に非常に大きく掲載されたのであります。そのために最高
検察庁
の方から、一体こういう事実があるのかと聞かれて説明した。それだけのことなんであります。
大野幸一
376
○大野幸一君 当り前だね、
新聞
が報道するままじやないですか。この
事件
が今に
なつ
て手が着けられないでそのままに放置されるということは何としても承服できませんよ。こんなものはいつも御承知の通り一応このくらいの嫌疑がある場合はやるのですよ、今の新
刑事
訴訟法では……。無罪になる場合もあるのでございましようが、嫌疑のある場合は誰も同じように
起訴
しなければならない。この
事件
は
起訴
に
なつ
ていないで今日まで放任されておるということはこれはどうもおかしいとこう思うのは当り前ですが、顧みてどう思いますか。
岡崎格
377
○
証人
(
岡崎格
君) これはまあ私共の方としましては、法律的の判断に
従つて
、事実の
捜査
をしてや
つて
おるわけなんであります。ですからこの
程度
のことでまあ
起訴
不
起訴
はしないということで判断をしたわけなんです。
大野幸一
378
○大野幸一君
釈放
後も何故收賄したか
贈賄
したかをもつと
調べ
ないのは不公平な取扱があるが、こういうふうに
刑事
的問題を起す
事件
だから殊更に手を着けないでおるのじやないかという点ですね。
岡崎格
379
○
証人
(
岡崎格
君) そういうことではありません。これはこの
事件
に限らず、例えば外の
事件
で
贈賄者
につきまして先ず
贈賄
の嫌疑で大分
調べ
た。ところがこれを相手方を
調べ
るまでもなく嫌疑が不十分であるという場合には、
調べ
ないままに処置しておる例もあるわけであります。でこの
事件
に限
つて
こういう措置をしたということではありません。
遠山丙市
380
○遠山丙市君
只今
ちよ
つと
委員長
からお確かめ願
つて
御訂正をして頂きたいと思いますが、大野君は
証人
に対する発言中
吉田
、
増田
関係
は天下の疑惑を生じておる。
吉田
、
増田
が
関係
しておるということを明らかに言われたが、
関係
しておるかどうかということを今
調べ
ておるのであ
つて
、
吉田
とか、
増田
というものが名前が出ておるということであればよいが、
関係
しておるということはどういう意味か。
大野幸一
381
○大野幸一君 それは名前が出ておるということです。
岡部常
382
○岡部常君 まだ名前が出ていないようでございますが、
佐藤
から金が五万円貰
つた
か、受取
つた
かした
新聞
記者
の名前もまだ聞きませんが、それは分
つて
おりますか。
岡崎格
383
○
証人
(
岡崎格
君) 分
つて
おります。朝日
新聞
の
記者
の川手といいます。
松井道夫
384
○松井道夫君 これは別にこだわるわけでないのですが、僕からも、外の
委員
からも二、三関連して出ましたから更に聴くのですが、今の五万円を
機密費
として贈與した云々ですね。五万円をここに書いてあることと、それからあなたが言われたことを総合すると、結局五万円を贈ろうとしたら、
新聞
記者
がわきから俺に寄越せと
言つて
持
つて
行
つた
。そういうことになりますが、総監の
申出
によ
つて
贈
つた
とここに出ておる。総監が五万円寄越せと総監が言われたから、わきから取
つて
行
つた
。こういうことになると、賄賂を要求したということになりますね。賄賂要求罪というものが成立する。それで勿論
立検
も何も
調べ
ていないのです。わざわざ不
起訴
にする必要はないわけです。
岡崎格
385
○
証人
(
岡崎格
君) これは
新聞
記事そのものについてお考えになりますからそういうことになるのじやないかと思いますけれども、実際の
調べ
に徴しますと、どうもそういう事実はないのであります。
松井道夫
386
○松井道夫君 そうするとこの
新聞
の出ておることは、総監の
申出
により贈
つた
ものということは、
調書
に出ていないのですか。
岡崎格
387
○
証人
(
岡崎格
君) その点は事実と違うように思います。
松井道夫
388
○松井道夫君 事実と違うのでなくして、
調書
に出ておるでしよう。
岡崎格
389
○
証人
(
岡崎格
君) それは
調書
そのままではありませんから……その
新聞
……。
松井道夫
390
○松井道夫君
調書
の中にもないと思うというのですか。
岡崎格
391
○
証人
(
岡崎格
君) はい。
松井道夫
392
○松井道夫君 そうですか、それならば。
大畠農夫雄
393
○大畠農夫雄君 さつき
詐欺事件
の年月ですが、
詐欺事件
は二十三年十月から二十四年の夏頃まで、これは間違いありませんか。
岡崎格
394
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大畠農夫雄
395
○大畠農夫雄君 二十二年じやないですか。
岡崎格
396
○
証人
(
岡崎格
君) いや、二十二年の事実はあり ません。
大畠農夫雄
397
○大畠農夫雄君 涜職は二十一年ですね。
岡崎格
398
○
証人
(
岡崎格
君) その涜職と言いますか、金をや
つて
おる
関係
は二十一年から始ま
つて
おります。
大畠農夫雄
399
○大畠農夫雄君 そうするとこの前に沢山の金をばら撤かれておるのですが、それは
証人
の御
証言
によりますと、何かの利益だろうという御
証言
があ
つた
ようですが、こうい
つた
莫大の利益あ
つた
かも知れませんが、併しこれについては別にお
調べ
なか
つた
ですか。
岡崎格
400
○
証人
(
岡崎格
君) いや、これは
詐欺
の係の
検事
が
調べ
ておりますが、私の方でその点について今日用意して来ませんでしたが……。
大畠農夫雄
401
○大畠農夫雄君
関係
が違いますか。
岡崎格
402
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。
大畠農夫雄
403
○大畠農夫雄君 ではこれは
調べ
はしたことはしたんですね。
岡崎格
404
○
証人
(
岡崎格
君) ええ、してあります。
鬼丸義齊
405
○鬼丸義齊君 私は初めから
ちよ
つと失礼しておりましたため、まだ十分分りませんが、あなたの担当は、
事件
としましては特捜部の
部長
ですね。
岡崎格
406
○
証人
(
岡崎格
君) そうでございます。
鬼丸義齊
407
○鬼丸義齊君 この
事件
をあなたがお
調べ
にな
つたの
は、特に指名によ
つて
なされたのであるか。或いは又特捜部の所管事項としてあなたが処理されておるのか。
岡崎格
408
○
証人
(
岡崎格
君) これは特捜部の所管としまして、
警視庁
の二課から直接
送致
になる
事件
は、特捜部で取扱うことに
なつ
ておりますので、私の方で所管しております。
鬼丸義齊
409
○鬼丸義齊君 そういたしますると、この
佐藤
事件
がお手許に参りましたときに、当初からこの特捜部のこれは所管事項になることにして送られたのですか。
岡崎格
410
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
411
○鬼丸義齊君 その
送致
されました
警視庁
ですが、その送られた当時には、
佐藤
の
詐欺事件
という罪名の下に送られたのでありますか。
岡崎格
412
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。これは最初は
逮捕
から、
事件
送致
から
詐欺事件
で送られております。
鬼丸義齊
413
○鬼丸義齊君 そうすると第一的
捜査
としては、
警視庁
の方が手を着けたわけですね。
岡崎格
414
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
415
○鬼丸義齊君 あなたの方から特に犯罪の端緒を得てお
つて
、指名したわけじやないのですね。
岡崎格
416
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
鬼丸義齊
417
○鬼丸義齊君
送致
事件
として
検察庁
の方に繋属する。
岡崎格
418
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
419
○鬼丸義齊君 そこで金を撤かれたとかいうような問題は、
詐欺
時件と併せてあなたの方に指揮を仰いで参りました
事件
ですか。
岡崎格
420
○
証人
(
岡崎格
君) これは
詐欺事件
の
捜査
中に、外にこういう疑いがあるからというので
調べ
たということで、これは
捜査
の方は十分
調べ
をして貰いたいということで、その間連絡を取りつつや
つて
来たのです。
鬼丸義齊
421
○鬼丸義齊君
詐欺事件
がまだお手許の方に
送致
されない以前から、
詐欺事件
の
捜査
中に、こうした金の撤かれてるおるという
事件
等が含まれておる。それについての中間指揮を受けて、そうしてあなたの方から指揮をされつつ進行して来た
事件
ですか。
岡崎格
422
○
証人
(
岡崎格
君)
詐欺事件
で一応
事件
送致
になりまして、その
詐欺事件
の
起訴
が済んでから、その
余罪
として、連絡をしつつ
捜査
をしたのです。
鬼丸義齊
423
○鬼丸義齊君 そうするとお手許に
詐欺事件
とした来たときには、また黄白を撤いたということについての問題は、まだお手許に分
つて
いなか
つたの
ですか。
岡崎格
424
○
証人
(
岡崎格
君) 分
つて
おりません。
鬼丸義齊
425
○鬼丸義齊君 分
つて
いない。その分
つた
に至
つた
ことは、
検察庁
に
事件
が繋属してから後に分
つたの
であるか、或いは又
警視庁
の方ですでにその事実が分
つて
お
つて
、
捜査
を継続中だ
つた
と御覧に
なつ
ておりますか。
岡崎格
426
○
証人
(
岡崎格
君) いや、これは御承知のように
逮捕
して四十八時間で
検察庁
に
送致
になりますので、
本人
の
身柄
は、
警視庁
に
勾留
して
捜査
をいたしますので、その間に
詐欺事件
の
捜査
と並行して、
警視庁
の方で追及して
調べ
ていたわけです。
鬼丸義齊
427
○鬼丸義齊君 それは
身柄
のことは別といたしまして、その黄白を撤いたということについては、
詐欺事件
としては、あなたの方に
送致
されまするときに、並行してすでに
警視庁
の方の手許で明らかにな
つた
事実をあなたに御報告にな
つた
。こういう……。
岡崎格
428
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。その
送致
が何回にも
なつ
ておりますので。
鬼丸義齊
429
○鬼丸義齊君
送致
でなく、
逮捕状
の出たのが二回ですか。
岡崎格
430
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。そうですが。
鬼丸義齊
431
○鬼丸義齊君 その前の問題ですね。
岡崎格
432
○
証人
(
岡崎格
君) ええ。
鬼丸義齊
433
○鬼丸義齊君 前の問題の
逮捕状
による
逮捕
送致
の場合ですね。
岡崎格
434
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
逮捕
しまして
送致
になりまして、それからまあこの一月の初めになりまして、一月四日に
起訴
して……。
鬼丸義齊
435
○鬼丸義齊君 一月の四日に
起訴
したのですか。
岡崎格
436
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。その後にこういう金をばら撤いた事実が分
つて
来た……。
鬼丸義齊
437
○鬼丸義齊君 並行して分
つたの
ですか。その間に多少の余日があ
つた
わけですか。
起訴
後ですね、相当の余日があ
つて
後分
つた
わけですか。
岡崎格
438
○
証人
(
岡崎格
君) いいえ、その間もなく。
鬼丸義齊
439
○鬼丸義齊君 前後してですね。
岡崎格
440
○
証人
(
岡崎格
君) はあ、前後して。
鬼丸義齊
441
○鬼丸義齊君 そうすると、これは十分に私は分かりませんが、
逮捕状
の執行により
身柄
附で以て
事件
を
送致
して来たのですね。その結果
身柄
をまだ
釈放
しない以前にあなたの方で
起訴
して、そうして
勾留
処分したのですか。
岡崎格
442
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
443
○鬼丸義齊君 で
勾留
処分をいたします。
起訴
前に
検事
の
勾留
処分による
留置期間
が若干あ
つたの
ですか。
岡崎格
444
○
証人
(
岡崎格
君) それが十日間のところを二十日間まで延長して貰いました。それで一月四日……。
鬼丸義齊
445
○鬼丸義齊君 そうするというと、これは第一回の
身柄
拘束というのは、
逮捕状
による二日間と、それから
検事
勾留
による二十日間、それを
経過
して、一杯々々使
つて
一月四日に
起訴
されて
勾留
を継続したわけですね。
岡崎格
446
○
証人
(
岡崎格
君) そのとき
吉村商店
の事実で出ておりました
勾留
状ですから、その事実の
証拠固め
がまだ長引いたものですから、外の事実で
起訴
しましたから、そこで令状は一回切替
つて
おります。つまり
起訴
と同時に
裁判
所が別な
勾留
状を
請求
して、別な
勾留
状が
裁判
所から出ております。
鬼丸義齊
447
○鬼丸義齊君 そうするというと、最初の
勾留
状だけの二十日間を使
つた
切りで、
本人
の
身柄
拘束としては、
勾留
状によるものはない。
検事
勾留
だけで済ましておりますか。
岡崎格
448
○
証人
(
岡崎格
君) いいえ、そのあとも
起訴
と同時に又
勾留
を
請求
しまして、で
勾留
を引続きや
つて
、一月三十日に
保釈
にな
つた
わけです。
鬼丸義齊
449
○鬼丸義齊君 いや、そこであとで
請求
した
勾留
というのは、別件による
勾留
ですね。前の
起訴
による
事件
に係る
勾留
ではないのでしよう。
岡崎格
450
○
証人
(
岡崎格
君)
起訴
に係る
事件
の
勾留
なんです。そこが
ちよ
つと法律的にややこしいのですが、甲の事実で
逮捕
勾留
しまして、その甲の事実という
吉村商店関係
の事実だけでは、まだ
ちよ
つと証拠が固まらないから、そこでこの
余罪
の、外の
詐欺
の事実で三つを
起訴
するものですから、この
勾留
の、
起訴
にな
つた
犯罪事実に基く
勾留
はそれで無効にな
つた
わけです。ですからこちらの事実を
起訴
すると同時に、この事実について
裁判
所に
勾留
状の
請求
をする、それでこれは引続き
勾留
と同じように
なつ
ておるとお考え願いたいと思います。
鬼丸義齊
451
○鬼丸義齊君 別件の意味において
勾留
状を
請求
したということですか。
岡崎格
452
○
証人
(
岡崎格
君) はい。
鬼丸義齊
453
○鬼丸義齊君 このときには
逮捕状
は出さなか
つたの
ですか、第二の事実については。
岡崎格
454
○
証人
(
岡崎格
君) これは
起訴
と同時に
裁判
所所に
請求
しますから、
逮捕状
の必要ありません。
鬼丸義齊
455
○鬼丸義齊君 その第二の事実は
起訴
したのですか。
検事
勾留
請求
を第二回にしたのじやないですか。別件によ
つて
吉村
事件
で二十日間の
勾留
が終りますね。
岡崎格
456
○
証人
(
岡崎格
君) その間に吉村
事件
でない甲乙丙丁の
詐欺
事実が分
つて
こちらだけが証拠が固まりましたからそれによ
つて
起訴
する、それでこれについてこつちの
勾留
状が無効にな
つた
から、これについて
起訴
と同時に
裁判
所に
勾留
を求めたと、こういう
関係
になるのです。その一月四日のときには……。
鬼丸義齊
457
○鬼丸義齊君
裁判
所に
勾留
を求めるというのは、あなたの方から
勾留
を求めるのはどういう
勾留
ですか。
岡崎格
458
○
証人
(
岡崎格
君) ですからこれは
捜査
のためでなくてですね。
裁判
所に……。
鬼丸義齊
459
○鬼丸義齊君
裁判
所が職種による
勾留
ですね。
岡崎格
460
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。その職権の発動を促すために、運用上です。
鬼丸義齊
461
○鬼丸義齊君 そういうことはできますか、
検事
局で。
岡崎格
462
○
証人
(
岡崎格
君) これは職権の発動を促すために運用上や
つて
おることなんです。
裁判
所が……。
鬼丸義齊
463
○鬼丸義齊君 正式じやないのですね。
岡崎格
464
○
証人
(
岡崎格
君) 訴訟法上の権限に基いているわけではありません。
鬼丸義齊
465
○鬼丸義齊君 そこで
裁判
所が、あなたの方に一月四日に
起訴
された
事件
に基いて
裁判
所が
勾留
をすることになりましたね。その
勾留
されてから後に権利
保釈
をしたのですか。
岡崎格
466
○
証人
(
岡崎格
君) しました。
鬼丸義齊
467
○鬼丸義齊君 どのくらい経
つて
からです。
岡崎格
468
○
証人
(
岡崎格
君) 一月三十日です。
鬼丸義齊
469
○鬼丸義齊君 この間はすでにあなたの方で一月四日にこの
事件
の大体証拠の保全はこれで以て完了してお
つた
わけですか。
岡崎格
470
○
証人
(
岡崎格
君) その
詐欺
事実につきましては尚
関係者
を
調べ
る必要がありましたので、それと尚
詐欺
の
余罪
の
調べ
もあ
つた
わけです。そこで権利
保釈
の
請求
に対しましては、一応
保釈
不相当の意見を附けて
裁判
所にも廻して置いたのです。
鬼丸義齊
471
○鬼丸義齊君 これはいつですか。
岡崎格
472
○
証人
(
岡崎格
君) それは一月十八日でございます。
鬼丸義齊
473
○鬼丸義齊君 権利
保釈
相当の意見もあなたの方から附したわけですね。
岡崎格
474
○
証人
(
岡崎格
君) 不相当の意見です。
鬼丸義齊
475
○鬼丸義齊君 不相当ですか。それから今度一月三十日のときには更に
裁判
所の方から
保釈
についての意見を求められましたか。
岡崎格
476
○
証人
(
岡崎格
君) これは不相当で
裁判
所に廻した、それによ
つて
却下
請求
をしないで弁護士の方から
裁判
所に
検察庁
の方で暫くすれば同意が得られるだろうから改めて
保釈
の
請求
をしないで済むようにという頼みがあ
つた
そうでして、それで
裁判
所の方では却下の
決定
をしないままで持
つて
お
つた
わけです。
鬼丸義齊
477
○鬼丸義齊君 この一月十八日の分をですね。
岡崎格
478
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。ところが一月三十日に私の方に連絡なくして
保釈
が
決定
にな
つた
わけです。
鬼丸義齊
479
○鬼丸義齊君 それはその
程度
で、この点はそれといたしまして、現在の場合は
岡田
関係
を除くの外の分は一応五井
事件
に関する件についての
捜査
は
検察庁
としては打切りにしているのですか。
岡崎格
480
○
証人
(
岡崎格
君) 刑法の涜職犯は……。
鬼丸義齊
481
○鬼丸義齊君 涜職犯においては先ず嫌疑なしという……。
岡崎格
482
○
証人
(
岡崎格
君)
岡田
関係
を除きましては……。
鬼丸義齊
483
○鬼丸義齊君
岡田
関係
を除いては、その他のことについてはすべて犯罪嫌疑なしという趣旨において
捜査
の打切りをしたわけですね。
岡崎格
484
○
証人
(
岡崎格
君) すべてではありませんで、例えば特別審査局へ通知をして、向うで審査をしておる事実もあります。
鬼丸義齊
485
○鬼丸義齊君 それは別ですね。
岡崎格
486
○
証人
(
岡崎格
君) はい。少くとも刑法犯に関する
佐藤
の問題といたしましては嫌疑なしです。
鬼丸義齊
487
○鬼丸義齊君 ところが従来
検察庁
で以て、随分対世間的に問題に
なつ
ておりまする
検察庁
関係
、殊に犯罪に、
捜査
に
関係
いたしまする
事件
で以て、非常な輿論が高ま
つて
おるというようなことに対して、事実と著しく相違し、次から次へと臆測を逞しくして、徒らに世の中で騒ぐというような場合には、
検察庁
の権限によ
つて
、その疑惑を一掃するために何らかの適当なる処置をとるという方法は、従来
検察庁
としては考えていないのですか。
岡崎格
488
○
証人
(
岡崎格
君) 考えておりましたが、それは例えば
起訴
の時期、不
起訴
の時期等につきまして一部を
新聞
に発表する、こういう方法をと
つて
おります。
鬼丸義齊
489
○鬼丸義齊君 それのみならず、ただいろいろな誤解その他のために
検察庁
の観察と著しく世の中に伝えられておりまする事実と相違する場合には、やはりこの一般をして安定せしむる趣旨において
検察庁
の名を以てその疑惑を一掃するような意見等を発表をして、そうしてこの風波を抑えるというような、鎭めるというような行き方の場合も考えられますね。
岡崎格
490
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
491
○鬼丸義齊君 ありましようね。
岡崎格
492
○
証人
(
岡崎格
君) 具体的にはございませんが、本件の場合はむしろこの
委員
会で取上げられておりますので、
検察
当局といたしましては、
証人
として今日この席で事実
関係
を申上げてその疑惑を解くようにして頂きたいと思
つて
おります。
鬼丸義齊
493
○鬼丸義齊君 成る程、そこでこれが参議院の
法務委員会
に取上げられまする以前に
新聞
で御承知であられると思いまするが、衆議院の方において
法務委員会
の方で取上げると称し、或いは考査
委員
会の方で取上げると称し、可なり
新聞
ではこれを大きく扱われて、世の人は相当に疑惑を持たれておりますね。然るにその疑惑たるやどういうふうな
証言
であ
つた
か十分に分りませんが、結論を伺
つて
おりますと、あなたの本日の観察からいたしますれば、少くとも誤まれる一般に考え方を持
つて
おるというふうな事実があ
つた
といたしますれば、まだその間に成るべく早い機会においてそれを一掃するようなことの適当な措置を取り得られる余地があ
つたの
ではないでしようか。この機宜の措置を
検察庁
として或いは法務庁としてかの側において聊かその手遅れの感がありはしませんか。
岡崎格
494
○
証人
(
岡崎格
君) そのどういう措置をとるべきかですね。実は私の方も何らか意見表示をしたいと考えておりましたが、まあうまい方法がなか
つた
わけなんです。
鬼丸義齊
495
○鬼丸義齊君 そこでそれから尚この
事件
にはいずれ他の
委員
の諸君からも聴かれたことと思いますけれども、
捜査
官のとるべき態度がとかく逡巡して、躊躇しておるような点がある。例えば
逮捕状
の発令後において相当期間の執行が行われていなか
つた
、或いは又そのまだ
捜査
の途上において、通常ならば
保釈
の許可があり得べからざるに拘わらず、
保釈
許可が非常に早くできた、
身柄
の
釈放
が異例に早か
つた
とか、次から次へと疑惑を深めるような、事実かどうか分りませんけれども伝えられておる、そういうことにおいてあなたの方の手続上に何か行き違いの点はありはしないか。
岡崎格
496
○
証人
(
岡崎格
君) 第一の
逮捕
の遅れた理由につきましては、先程詳しく申上げましたが、それから
保釈
の問題は、これはもう
起訴
が一月四日で、一月六日に
保釈
の
請求
が出ていたわけなんです。
鬼丸義齊
497
○鬼丸義齊君 一月の三十日ですね。
岡崎格
498
○
証人
(
岡崎格
君)
請求
は一月六日に出たのです。それが事務当局の方なんかで遅れまして、もう一月の中旬に
検察庁
に廻
つて
来てお
つたの
です。本来ならば、これが
刑事
訴訟法第八十九條の権利
保釈
の対象になりますから、そのとき
保釈
相当として、改めて又別罪につきまして
逮捕状
からやり直して、
詐欺
の
余罪
の
捜査
、その他涜職の疑いのある事実の
捜査
をやるべきであ
つたの
ですけれども、これは
却つて
日数を要することになりますし、手続も面倒になりますので、
弁護人
の方にも、少くとも一月一杯は
余罪
の
捜査
で、
自分
の方としては
保釈
に賛成できないということを申しましたところが、それではまあ何とか相当の意見を附けないで呉れと、そのまま意見書を廻さずに握
つて
お
つて
呉れというような話もありましたけれども……。
鬼丸義齊
499
○鬼丸義齊君 それは一月六日前後ですね。
岡崎格
500
○
証人
(
岡崎格
君) 一月の中旬であります。併し、そういつまでもこちらに留めて置くわけに行かないから、一応相当の意見を附けて置くというので、まあ少くとも一月一杯は一つ御勘弁願いたいというので、
裁判
所にも連絡をしてお
つた
わけなんです。そういうわけで、他の事実の
全貌
を明らかにするという点につきましても、一月四日の
起訴
後、
警視庁
の方にはできるだけ早く、少くとももう二月になれば
保釈
になるかも知れないから、一月中に一つ
全貌
を明らかにして貰うようにということでや
つて
お
つた
わけです。
鬼丸義齊
501
○鬼丸義齊君 そこで一月三十日に、これはあなたの方には無交渉で出したわけですか、
裁判
所が……。
岡崎格
502
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。これはもう前に意見を聞いてありますから……。
鬼丸義齊
503
○鬼丸義齊君 前に出ておる意見書に基いて、一月三十日に、
裁判
所の方では、あなたの方には何ら通告なしに、意見を聞くことなしに……。
岡崎格
504
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
505
○鬼丸義齊君 このために、一月三十日に
裁判
所が
保釈
を許して、
本人
の
身柄
を出したということに対して、あなたの方の
捜査
の段階は、黄白を撒いた点に対する
捜査
の段階としては、どの
程度
に進んでおりましたか。
岡崎格
506
○
証人
(
岡崎格
君) これは今日申上げましたような事実に関する
全貌
は、これはもう出盡した形に
なつ
ておりまして……。
鬼丸義齊
507
○鬼丸義齊君 この一月三十日当時には……。
岡崎格
508
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。ただ各事実の涜職になりそうな
岡田
の
職務関係
につきまして、十分な
調査
ができておらなか
つた
わけなんです。
鬼丸義齊
509
○鬼丸義齊君 そうするというと、
只今
あなたが
証言
された
岡田
関係
を除く外の分は、一月三十日の当時には、すでに犯罪の嫌疑なしという結論に至
つて
おりましたか。
岡崎格
510
○
証人
(
岡崎格
君) 犯罪といいますか、近くとも……。
鬼丸義齊
511
○鬼丸義齊君 金を撒いた、贈収賄ですかね。
岡崎格
512
○
証人
(
岡崎格
君)
贈賄
という嫌疑につきましては、これは検討済であ
つた
わけです。
鬼丸義齊
513
○鬼丸義齊君 一月三十日には……。
岡崎格
514
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
鬼丸義齊
515
○鬼丸義齊君 そうすると、或いは
贈賄
、収賄、涜職の問題に限らず、規正令その他法律
関係
においての犯則というものではないのだと、だから、これは犯罪の嫌疑なしということに、すでに一月三十日の
本人
の
身柄
釈放
のときには、大体の目安はあなたの方でつけてお
つた
わけですな。
岡崎格
516
○
証人
(
岡崎格
君) 大体の目安
はつ
いてお
つた
わけです。
鬼丸義齊
517
○鬼丸義齊君 その後は、そうするというと、新らしく新事実も
佐藤
の
関係
においては出ないのですね。
岡崎格
518
○
証人
(
岡崎格
君) 出ません。
鬼丸義齊
519
○鬼丸義齊君 そうするというと、一月四日に
起訴
されたことと、それから
岡田
関係
の涜職の一点のみが問題に
なつ
てお
つて
、あとはすべてその後新らしい事実は出ないと、こういうわけですね。
岡崎格
520
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
鬼丸義齊
521
○鬼丸義齊君
従つて
、
本人
は、一月三十日の自由を得て後は、依然として自由を得ておるわけですね。
岡崎格
522
○
証人
(
岡崎格
君) いや、二月二日に
釈放
になりました後……。
鬼丸義齊
523
○鬼丸義齊君 二月二日ですか。
岡崎格
524
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
鬼丸義齊
525
○鬼丸義齊君 二月二日
釈放
に
なつ
て……。
岡崎格
526
○
証人
(
岡崎格
君) それは、すでに一月三十日に
保釈
になりまして……。
鬼丸義齊
527
○鬼丸義齊君 又
逮捕状
か何か……。
岡崎格
528
○
証人
(
岡崎格
君) その
岡田
関係
の……。
鬼丸義齊
529
○鬼丸義齊君 この
関係
ですね。一月三十日に直ぐ
保釈
で出て、そこで普通であるならば、
検察庁
の方で強制
捜査
の
勾留
権限がありますわね。
岡崎格
530
○
証人
(
岡崎格
君) これは新
刑訴
では、
逮捕状
から始めなければならないことに
なつ
ております。
鬼丸義齊
531
○鬼丸義齊君 繋属の
事件
だから……。
岡崎格
532
○
証人
(
岡崎格
君)
釈放
した後に、もう一遍
逮捕状
を発しないと、
勾留
を継続するというわけに参りませんです。
鬼丸義齊
533
○鬼丸義齊君
逮捕状
を、一月三十日に出したのではないですか。
岡崎格
534
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
535
○鬼丸義齊君 出したのですね。出したのならば、今度続いて
涜職事件
を指示してのではないのですか。
岡崎格
536
○
証人
(
岡崎格
君) いえ、これは
職務関係
の
調査
が残
つて
おりましたので、
逮捕期間
の、
警察
の四十八時間と、
検察
官の二十四時間と、この三日間の中に、
職務関係
を仔細に検討しました結果、一部分についてのみ問題が残ることになりましたので、それで
保釈
に
なつ
ておることを考えて、
釈放
したと……。
鬼丸義齊
537
○鬼丸義齊君 そうすると、この場合に、
検事
の
勾留
はできませんか。
岡崎格
538
○
証人
(
岡崎格
君) やろうと思えばできます。
鬼丸義齊
539
○鬼丸義齊君 できましよう……。その
検事
勾留
の手段に出でず、ただ
逮捕状
だけによ
つて
、こういう涜職なんという重大
事件
を、僅かに
逮捕状
の
勾留
というようなことで済まして、特にその
勾留
状の執行をなさず而も
捜査
の途上において
本人
を出したということは、やはり一部の疑惑を招いたということになりはしませんか。
岡崎格
540
○
証人
(
岡崎格
君) それが、すでに
保釈
に
なつ
て、一月半近くも入れてお
つた
ものを、
保釈
にな
つた
途端に再
逮捕
するということが、これは異例といいますか、余り運用上やりたくない事案なんでございます。
鬼丸義齊
541
○鬼丸義齊君 ところが、やりたくない事案だ
つた
けれどもや
つたの
ですから、や
つたの
なら、その結末が……。
岡崎格
542
○
証人
(
岡崎格
君) そこで、その
勾留
を
請求
しまして又十日間、場合によ
つて
は又延長して二十日間ということになりますと、これは見通しとして、非常に
起訴
できるとか何とかの犯罪ならばともかくとしまして、すでにもう一日以上
勾留
して
調べ
てお
つて
、その間に大体事実
関係
としては否認の事実は出ておる。そういうところで、これを
勾留
して
調べ
て新事実が出るかどうかという点も非常に疑問を持たれる。そういう
関係
で、これはもう
勾留
の
請求
をしないと……。
鬼丸義齊
543
○鬼丸義齊君 そのときにあなたの方では、この
岡田
関係
の涜職について、成否についての疑問を抱いたわけですね。確信を失
つた
わけですね。
岡崎格
544
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
545
○鬼丸義齊君 そうすると、見通しとしては、これは
起訴
まで行く
事件
かどうか分らないから、もう一つ突き進んで、異例を破
つた
上にもう一つ異例を破ることはできないという趣旨で、あなたの方では良心的にこれを
検事
勾留
の
請求
をしなか
つた
と、こういう
事情
ですね。
岡崎格
546
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
鬼丸義齊
547
○鬼丸義齊君 それは併し、今日あなたがここで
証言
されますこと以外に、何かそういうことが明白なことに
なつ
ていましたか、今まではそういう
事情
であるということが。
岡崎格
548
○
証人
(
岡崎格
君) これは世間一般にですか。
鬼丸義齊
549
○鬼丸義齊君 そうです。
岡崎格
550
○
証人
(
岡崎格
君) その措置はと
つて
いないのです。
鬼丸義齊
551
○鬼丸義齊君 そのときに何か、その際に或る他の方面から何か
検察庁
の方に注文をつけるものがあ
つた
というふうなことはないのですか。
岡崎格
552
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
鬼丸義齊
553
○鬼丸義齊君 全然ないのですか。
岡崎格
554
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。その措置をとるにつきましては、当時の
坂本刑事部長
にも、主任の
宗像警部補
にも、
事前
に一応話をして、
了解
を得た上で
釈放
したのです。
鬼丸義齊
555
○鬼丸義齊君 そういう方面の
了解
云々は別としまして、それは別としまして、この点について誰からも、併しそれについて、
検察庁
内においてそういう軟論が出るに至
つた
ことについて何か
証人
として、多少不可解だな不愉快だなというふうな点はなか
つたの
ですか。
岡崎格
556
○
証人
(
岡崎格
君) これは軟論としましては……。むしろ私が当面の責任者で、この法律的に疑問を持
つた
わけなんでして……。
鬼丸義齊
557
○鬼丸義齊君 私が
ちよ
つと感じますこととしましては、一ヶ月有余に亘
つて
捜査
した結果、すでに
起訴
し、
勾留
に繋属しておる
事件
が
釈放
されておりますに拘わず、そこであなたの方で敢然として異例を破
つて
逮捕状
の執行をなすというにつきましては、これはあなたが
逮捕状
を
請求
当時に、曖昧模糊のうちにそういうことになりましたか。やはり
逮捕状
の
請求
については、涜職罪の成立に対するあなたの確信に基くことでなければならんと思いますね。それが一朝にして、その前にすでに一ヶ月以上に亘
つて
の
勾留
があるのに、僅か二、三日で以てぽんと出してしま
つて
、而もその
事件
は涜職だということになりますると、何らかのそこに介入すべき何ものかがあ
つたの
ではなかろうかということの考えを普通なら持ちます。だからそのあなたの、異例を破
つて
逮捕状
執行の、あなたの勇気が挫けているように感じますね。そこは涜職罪の成否について、あなたが疑問を抱くに至
つた
ということは、私には
了解
しにくいものがある。そこで何かあなたが、これは繋属することは、結局何らか不安である、或いはあなたの予想以上の何ものかがあ
つた
、これは責任問題が起るとかという問題については恐れを抱くような
事情
がこの間になか
つた
か。
岡崎格
558
○
証人
(
岡崎格
君) そういう
事情
はありませんが、一面再
逮捕
に対しまして
弁護人
側からはこれは非常に不当であるということは再三
申出
があ
つた
わけなんです。
鬼丸義齊
559
○鬼丸義齊君
弁護人
……。
岡崎格
560
○
証人
(
岡崎格
君) それで
弁護人
からそういう
申出
がありましても、それは我々として余りそういう措置はとりたくない措置でありますけれども、
事件
は
事件
として
はつ
きりさせなければならんというので一応
逮捕
して、それで
逮捕期間
の三日以内にできるだけ早く
調べ
ようとして見通しをつけて、これは
起訴
できる、或いは新事実が出る見通しならばこれは
勾留
して、再
逮捕
で又や
つて
行く。併しどうも一月以上も
勾留
して新事実も出そうもないし、一面
弁護人
の方は人権蹂躙とまでは言われなくても相当問題にされているということで、
詐欺事件
の公判の結果にも余り影響することになりはしないかという点は考慮したわけです。
鬼丸義齊
561
○鬼丸義齊君 そうすると、
弁護人
側の方から、強硬にやはり異例に対する抗議の
申出
があ
つた
わけですか。
岡崎格
562
○
証人
(
岡崎格
君) 強硬といいますが、私に対しては、これは余りひどいじやないかと…‥。
鬼丸義齊
563
○鬼丸義齊君 人権の問題を持出して…‥。
岡崎格
564
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
鬼丸義齊
565
○鬼丸義齊君 その
弁護人
は誰ですか。
岡崎格
566
○
証人
(
岡崎格
君) どなたでしたか……、堂野という方がおられました。
鬼丸義齊
567
○鬼丸義齊君 堂野……。
岡崎格
568
○
証人
(
岡崎格
君) もう一人……二人です。併し私は別にその抗議を恐れたわけではないのですが、
保釈
に
なつ
ておる者について再
逮捕
をして再
勾留
をするということにつきましては、相当な見通しを持
つて
いなければ、これは余り妥当な措置ではない、こういうことは十分考えております。
鬼丸義齊
569
○鬼丸義齊君 あなたの用意の周到なることには敬意を表しますが、如何にも、私共は
ちよ
つとここで伺いますと、一ヶ月有余に亘る
勾留
が繋属しておる期間に、相当な涜職なんというような
事件
に対する
調査
は進められておると思います。その進められておることに対して、あなたが異例を破
つて
勇敢に
逮捕状
の再執行をしたということにしては……而も
事件
は涜職なんで、而もその
佐藤
に絡んでは幾多の疑惑を持
つて
おる人もあるようだ、こういう際に……、又あなたの今度の
勾留
請求
をしないことが異例の異例に
なつ
ておる。それが非常にあなたの勇気がその間にぽんと立消えに
なつ
ておるような感がするものですから、やはり自然余計疑惑を深めるのじやないかということに
なつ
て、何かあなたがこの際それはこういうわけで決してそういうわけじやないというふうに述べて頂けばいいと、かように思うのです。
岡崎格
570
○
証人
(
岡崎格
君)
只今
申上げましたように再
逮捕
については、
職務関係
について尚疑問の点が残
つた
から再
逮捕
を認めてや
つたの
ですが、その
逮捕期間
内にまあ問題に
なつ
ておる
職務関係
を十分一つ
調べ
て…‥。
鬼丸義齊
571
○鬼丸義齊君 その結果は得ましたか。
岡崎格
572
○
証人
(
岡崎格
君) 結果は得ました。
鬼丸義齊
573
○鬼丸義齊君 期間内に結果を得たの。
岡崎格
574
○
証人
(
岡崎格
君) 見通しを得ました。
鬼丸義齊
575
○鬼丸義齊君 見通しを得たことによ
つて
先ずそうすると一応これで以て
身柄
は
釈放
しても
差支
ないというあなたの方に確信を得たところから
勾留
請求
をされないで
釈放
した、こういうことですか。
岡崎格
576
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
羽仁五郎
577
○羽仁五郎君 さつきからの
証人
の
証言
を伺
つて
おると、
裁判
の結果を見なければ分りませんけれども、相当まあ
詐欺
をや
つた
り何かするような方が
警視庁
の中を随分うろうろしてお金をや
つた
り、一緒に飯を食
つた
り、それからそういう人が
紹介
したり
紹介
されたりして
追放
された人々が会合されたり、それがまあ
吉田茂
とか
増田甲子
七とかの政府の要路の人とか政党の要人に
いろいろ金
をや
つた
りしたということが白晝公然と行われてお
つて
も、現在の日本の
検察
当局としては手は出せないという感じがしますね、結論としては……。
岡崎格
578
○
証人
(
岡崎格
君) いやそうでなくて、白晝公然と……嫌疑の事実があればこれはどこまでもやるのですけれども、まあそれは
詐欺
をや
つて
おると言いましても、いわゆるその辺の
詐欺
と違いまして、相当事業をや
つて
おる者が、大きな取込みをや
つた
わけなんですから、まあ
ちよ
つとこの
事情
は違うと思うのですが、とにかく
詐欺
は
詐欺
なんですが、いろいろ
出入
りしておりましても、その間に犯罪の
容疑
としての証拠を掴まなければ
ちよ
つと手が出せない…‥。
羽仁五郎
579
○羽仁五郎君 つまりその
詐欺
を行うような疑いを受ける人が
警視庁
内部に密接な
関係
を持
つた
り、或いは
追放
者と密接な
関係
を持
つた
り、或いは有力な政治家と密接な
関係
を持
つた
りしてお
つて
も、その
程度
のことでは
検察
当局としては手が出ないというわけですか。
岡崎格
580
○
証人
(
岡崎格
君) そうです。
大畠農夫雄
581
○大畠農夫雄君 そうしますと、五井商業
事件
について
起訴
されている者、涜職
関係
で
起訴
されている者は、誰と誰なんですか。
岡崎格
582
○
証人
(
岡崎格
君) ありません。
大畠農夫雄
583
○大畠農夫雄君 全然ないのですか。
岡崎格
584
○
証人
(
岡崎格
君) はあ。
伊藤修
585
○
委員長
(
伊藤修
君) じやよろしうございますか。じやどうも長時間お忙しいところ有難うございました。本日はその余の
証人
として
警視庁
捜査
第二課第一係長上田良三君と伊藤鑛壽君と両名が喚問してありましたですが、訊問の
証言
を求める事項について、伊藤鑛壽の
証言
を先へ求めたいと思
つて
おるに拘わらず、伊藤鑛壽は四日附の診断書によりまして急性腺嵩性扁眺腺炎兼頸部フレグモーネという
病気
だそうでございます。和田伴彦という医者の診断書が添えて欠席の届出が出ております。然るに同人はその診断を受けて一週間安靜していなくちやならんというにも拘わらず、四日の日は市内をうろついてお
つた
らしいです。而も参議院に出頭するのは困るが少し延ばしたいと
言つて
放言してお
つた
らしいのですが、同人の行動と届出とは非常に食違
つて
おりますから若しこれが事実とすれば出頭拒否に関するところの制裁もあることと存じますから一応明日この医者を、この点だけは簡單に訊問したいと思います。そして本日はこの
程度
にいたしまして、明日
佐藤昇
とこの医者とを午前十時から喚問することにいたします。 じやあ本日はこれを以て散会いたします。 午後四時五十二分散会 出席者は左の通り。
委員長
伊藤 修君 理事 鬼丸 義齊君 岡部 常君
委員
大野 幸一君 大畠農夫雄君 小野 光洋君 小林 英三君 遠山 丙市君 松井 道夫君 松村眞一郎君 羽仁 五郎君
証人
検事
(東京地方
検察庁
特捜部 長)
岡崎
格君