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政府委員(
牧野寛索君)
土地台帳法等の一部を改正する
法律案につきまして、
提案の
理由を御
説明申上げます。
現在の土地台帳及び家屋台帳は、土地家屋の
状況を明かにし、地租及び家屋税を徴収するために必要な事項を登録する課税台帳でありますと同時に、地籍、家屋籍に関する台帳といたしまして、不動産登記
制度の基礎ともな
つているのであります。然るにこの土地台帳及び家屋台帳に登録する賃貸価格の調査決定は、税務署においてこれを行うこととな
つております
関係上、その台帳の
事務は税務署の所管とされていたのでありますが、他方不動産登記の
事務が登記所の所管でありますために、不動産
制度の見地から考えますならば徒らに
手続を煩雑にし、
事務処理の円滑を欠く憾みがあつたのであります。今回、税制改革の
一環といたしまして
地方税法の改正が行われようとしておりますが、これによりますと地租及び家屋税は市町村がこれを徴収することといたしますとともに、その課税は、右の賃貸価格を
基準とせず、毎年市町村において認定する土地家屋の価格を
基準として行われることになりますが、その結果は賃貸価格の登録をする必要がなくなり
従つて又税務署において台帳
事務を掌る
理由も消滅することとなるのであります。ここにおいて、土地台帳及び家屋台帳の
事務は、これと最も
関係の深い不動産登記の
事務を掌る登記所に移管し、併せて土地台帳及び家屋台帳の
事務と不動産登記の
事務との間に、或る
程度の
手続上の簡易化を図りますとともに、従来
通り市町村に土地台帳、家屋台帳の副本を備え、市町村の課税上支障を生じないように相互の連絡を図ることといたしたのであります。以上申述べました趣旨によりまして、土地台帳法、家屋台帳法、不動産登記法その他
関係法律の
規定に所要の改正を加えるため、この
法律案を提出いたした次第であります。
以下この
法律案の要点を申し上げますと、先ず土地台帳法の改正におきましては、第一に、土地台帳の
事務を登記所に移管いたします結果、登記所に土地台帳を備え、その登録の
事務は、当該土地につき登記の
事務を掌る登記所が掌るものといたしました。第二に、今後は土地台帳に賃貸価格を登録する必要がなくなりますので、土地の賃貸価格に関する
規定は、全部廃止することといたしました。尚市町村におきましては、土地台帳の副本に課税の
基準となる土地の価格を記載することとなりますので、今後は土地台帳にも市町村長の通知により土地の価格を記載するものといたしました。第三に、土地の異動に関する所有者の申告は、現在ではすべて市町村を経由してすることとな
つておりますが、今後は直接登記所に対してすることもできるものといたしました。第四に、
法令により登記名義人又はその相続に代位して、不動産の表示の変更その他の前提登記を申請し、又は嘱託することができる場合でも、従来は土地台帳法による申告を代位してすることができませんでしたため、種々
手続上の不便を生じましたので、今後は代位してその申告をすることができるものといたしました。第五に、現在土地台帳の閲覧は許されないこととな
つておりますが、今後土地台帳が登記所に移管されますと、登記との
関係が現在以上密接となり、その閲覧の必要を生じて参りますので、従来の謄本の交付の
制度の外に、新たに土地台帳の閲覧を認めることといたしました。第六に、現行の土地台帳法は、申告、土地台帳の副本等に関する重要な事項をもその
施行規則においてこれを
規定いたしておりますが、これらの
規定を整理しまして、土地台帳法中に採り入れることといたしました。第七に、罰則につきまして、必要な整備を行うことといたしました。
次に家屋台帳法の改正におきましては、土地台帳法の改正と同様の趣旨によりまして、第一に、登記所に家屋台帳を備え、その登録の
事務は、当該家屋につき登記の
事務を掌る登記所が掌るものとし、第二に、家屋の賃貸価格に関する
規定を廃止するとともに、家屋台帳には市町村長が通知した家屋の価格を記載するものとし、第三に、家屋台帳法
施行規則中重要な
規定を家屋台帳法中に採り入れることといたしました外、家屋に関する申告、家屋台帳の閲覧、罰則の整備につきましても、土地台帳法とほぼ同様の改正を加えることといたしました。
更に不動産登記法の改正におきましては、第一に、現在、登記所が土地の所有権、質権若しくは地上権又は家屋の所有権の得喪変更等に関する事項の登記をしました場合には、これを税務署に通知して、税務署はこれに基いて土地台帳又は家屋台帳の登録を修正することとな
つておりますが、今後はその必要がなくなりますので、その通知を廃することといたしました。第二に、現在不動産の所有権の保存の登記及び不動産の分割、合併その他表示変更の登記を申請する場合には、土地台帳又は家屋台帳の謄本を添附することとな
つておりますが、今後はその必要がなくなりますので、これらの謄本の添附を要しないものといたしました。第三に、不動産又は登記名義人の表示が、登記簿と土地台帳又は家屋台帳と符合しない場合には、その一致を図るための
措置としまして、当該不動産又は登記名義人の表示の変更の登記により、先ずこれを符合させた後、他の登記をすべきものといたしました。第四に、登記申請の
手続の簡易化を図る意味におきまして、土地台帳法又は家屋台帳法による申告をする場合に、別に登記の登録税の納付があれば、その申告の外に、不動産の表示若しくは登記名義人の表示の変更の登記、又は所有権保存の登記の申請があるものとみなして、その登記をすることといたしました。
以上申上げましたのが、この
法律案の概要であります。何とぞ慎重御
審議の
上速かに可決あらんことをお願いいたします。