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委員長(
伊藤修君) ではお答えいたします。
本件につきましては私がくどくど御
説明申上げるまでもなく、
衆議院におきましてこれこそしばしば
発言がありまして、
法務委員会におきましては、
本件に対しまして
調査を
進行したい旨を申出でられて、これが遂に
否決になり、或いは
考査委員会におきましてこれが
調査要求がありましてこれ亦
否決になり、その他
予算委員会等におきまして
質疑が相当繰返されてはおるのでありますが、何故か
衆議院におきまして
本件に対する
ところの
調査が阻まれたのでありますが、本来かような問題に対しまして、いわゆる
国民の
代表者が疑義がありと信じこれを明らかにすることは、正に国会が
国民に対する
責任を果す
意味においてなさるべきものであるというような
趣旨においてこれが
要求をされたのに拘わらず、これが不幸にして阻まれたということに対しましては、
国民といたしましては、ますますこれに対して
疑惑を深からしむる一途を辿るのみであると私は考えます。かような場合におきましては、
参議院といたしましては、正にその制度の上から申しましても、これをと
つて以て
国民の前に、かような
疑惑に対しそれがあるかないかということを明らかにするということは、
参議院本来の
使命からいたしましても当然なさなく
ちやならんとかように考えておる次第であります。たまたま一
委員より
委員会にこれが
調査の
要求がありましてそれは三月の十三日でありましたが、直ちに
理事会を開きまして、
理事会におきまして
理事諸君に本案に対する
ところの
調査をなすべきや否やという点をお諮りいたしました
ところが、
満場一致只今委員長において
釈明申上げましたごとき
趣旨において、これは当
委員会において取上げ
調査すべきものである、かように御
決定を見た次第であります。
遠山さんの
理事会において諮らなか
つたとかどうとかというような御
趣旨は何かの御間違いであるとかように考えます。然る後
委員会に
理事会の
決定をお諮りいたしましてそうして
委員会におきましては、大多数を以ちまして
本件を
調査するという御
決定をお願いいたした次第であります。而してこれが
進行方法につきましては従来の当
委員会において執り行われて来た
ところの
一つの慣例に基きまして、この
証人の
喚問、
人選等につきましては
委員長に御一任を願いました次第でありまして、
委員長はその都度
理事会にこれをお諮りいたしまして、そうして御協力を得てこの
人選をして、
喚問手続を行な
つて行きたいとかように考えておる次第であります。又さようにして
参つたのであります。第一回の
証人としてお喚びした人は御
承知の
通りでありまして、それが今日執り行われておるのであります。
第二点の御
質疑は御
承知の
通りこれがなぜ
調査要求を出してしなか
つたかという御
質問でありますが、これは
遠山さんも十分御
了承のことと存じまして、釈迦に説法のような次第でありますが、当
委員会は
検察及び
裁判の
運営に関する
調査というものを継続して今日まで行な
つて参つた。それに対する
ところの
調査の
各種事件につきましては、今日までしばしば
一つ一つ報告して
参つたのであります。その
一環としてこの
事件が取上げられておるのでありまして、
議運にこれを諮り、そうして本
会議において、若しくは議長の承認を得てなされなく
ちやならんという
事案ではないのであります。いわゆる当
委員会において
検察及び、
裁判の
運営に関する
調査のその一
事項として行われておるのであります。
従つて議運やなんかに諮る
ところの必要はないのであります。又
検察及び
裁判の
運営に関する
調査としてこの
事件を取上げたゆえんのものは、これは御
説明するまでもなく十分御
了承のこととは存じますが、現在の
日本の
検察の
運営におきまして
捜査ということがこれは大きな事態であ
つて、
検察の
運営の中心をなすものは
捜査である。而してその
捜査は従来の
検察官の
捜査というものと離れて、別個に独立して、いわゆる
警察官が
捜査権の
自主性を持
つた今日の法制の上におきましては、我々司法に携わる者といたしましては、この
検察官に代
つて新らしい
法律の下において
捜査の主たる権限を持つ
ところの
警察官の
捜査というものに対しましても、
我我としては重大なる関心を持たなく
ちやならんと思うのです。殊に
全国の師表たる
ところの警視庁の
捜査というものは、あまねく
日本全国の
警察官に対する
ところの
一つの模範ともなるべきものでなく
ちやならんと思うのです。この
官庁におきまして或る
事件に対していろいろの揉消し運動がされたとか、或いはその
事件の
取扱に対しまして
金品その他の授受の
関係がなされて、その結果不当にその
捜査の
方法が曲げられたというような
疑惑があるといたしますれば、我々としてはこれを黙視することはできないのであります。
検察、
裁判の
運営に対して正しい行き方を我々は常に支持しておる立場からいたしましても、これを軽々に黙過することは許されないと思うのです。正に我々としてこれを
調査するの必要は十分あり得るものと考えられます。又それに附随いたしまして、これらの
捜査機関を構成する
官庁内における
ところの、いろいろな忌わしい
ところの不評なり、或いはそういう批評なりというものに対してその真僞を確かめるということも、正に当然なされなくもやならないと思うのです。
而うしてこれらの
捜査機関に対しまして事実の真僞は別といたしまして、いわゆる
追放者と称せられるような人が或る種の
政治圧力をかけて、そうしてこれらの
捜査機関を曲げしむるということに至りましては、断じて許すことはできないと思います。これらの真否を又糺すことも、当
委員会の
職責として当然なさるべきことであると思います。それが又
一般政界方面の、或る
有力者から
関係者の
金品の贈與によ
つてそういう
行動が行われたといたしますれば、これ又国家の国政の上から見ましても軽視することはできない問題ではなかろうかと存じます。これらの
一環の繋がりを我々は事実を明らかにして、そうして
検察裁判の
運営の正しき方途を示唆するということは、我々が今日まで二年有余行な
つて来た
ところの
調査の目的であり、又
使命であると考えてこの問題を取上げた次第であります。
それから第三点の
証人の
取扱及び調書その他の
資料の
取扱でありますが、これは
遠山さんも十分御
了承のことと存じますが、他の
在外同胞の
調査会であるとか、或いはその他の労働においてなされる
ところの
調査というものとは性質が非常に異るのでありまして、
苟くも我々はこういう
事案に対してその真僞を明らかにするために
調査を行な
つて行く上におきましては、相当機微に属する
事項もあり得るのです。
従つて資料を各
委員の方に
事前に配付し得るものと得ないものとありましよう。こういう点は
一つ委員長の
取扱にお委せ
願つて今日まで運行されて来たのであります。若し
委員各位がその
内容を御
了承されたいという御
意思の方は、進んで
專門員室に備付けてある
ところの一連の
書類を御一読願いますれば、
只今遠山さんの御疑問になるような
内容は十分御
了承願えることと存じます。勿論この
書類は或る
段階に参りますれば、
皆様のお
手許へ御配付する
時機もあり得ることと存じますが、いわゆる
調査の
進行の過程におきまして、これを
一般に流すという場合と、この
記録を御一覧願うという場合とあり得ることはこれ又今日までの
取扱の上において当然なされて来た
ところであります。そういうような点を考え合せまして、一々これを
一つ一つ皆様へお渡しするということは或いは御指摘のように、これが機密が漏れるという点を
委員長が懸念してというようなお説がありますけれども、我々はそういうふうには考えておりません。賢明なる
各位がこの
調査を阻害するというようには考えておりません。又
各位がこれを漏洩するとも考えておりません。若しそういうようなことがありますれば
各位の
職責上の
責任というものは当然負われることでありますから、さような不信の下において
皆様の
手許へこの
調査資料をお渡ししないとこういう
意味じやありませんです。ですから
調査進行の上におきまして便宜そういう
取扱をいたしておる次第でありまして、若しお説のごとく
内容を十分御
了承願いたいというような御
趣旨ならば
專門員室にお出で下さいましてこの
記録を御一覧下さいまして、お分りにならん点は
調査員に御
釈明を願うというふうなことによ
つて十分
遠山さんの御
趣旨は通ることと存じますから、決して
委員長においてこれを殊更阻んでおるというのではありません。
尚誰を
証人に喚ぶかという問題、それから
証人の
訊問事項というような問題に対しましては、これは
法律家である
遠山さんにおいては十分御
了承のことと存じますが、この
事案が我々の
手許に
参つたのは、十三日に取上げるということが
決定いたされた次第であります。
委員長といたしましても、その
内容の盡くを知
つておるわけではありません。端的に申しますなれば、新聞、雑誌その他において、或いは
衆議院においての
発言、そういうものの
知識程度のものでありまして、この全貌を知るということは到底不可能なことであります。
従つて先ず以て
理事会におきましては、この
事案の
基礎をなす
ところの母体とも称すべき
証人三人を
喚問いたしまして、そうして
事件の大体のアウト・ラインを掴む、こういうことに先ず
基礎が置かれたのであります。この
証人の
喚問、
証言を得た後におきまして目下取寄せを
要求してある
ところの或る種の
書類が日ならずして
委員会に到達すると存じます。これらを総合いたしまして、その上におきまして今後における
ところの何人、
誰々を
証人に喚ぶということを
決定をいたしたいとかように考えておる次第であります。今日の
程度におきましては誰と誰を喚ぶとか、どれだけを喚ぶとかいうようなことは分か
つていない次第であります。
簡單にお答えいたして置きます。