○
公述人(藤林益三君) 先ず
改正案に対する
意見といたしまして、第一にこの
改正案と我が国の
実情との
関係からお話したいと思います。今度の
商法改正の
法律案はアメリカにおいての
相当大きな
会社を規律する
法律をまあ貧弱な我が国の全部の
会社に対して輸入しようとするようなふうに感ぜられるのでございます。我が国の十六万余りに上ります
株式会社のうちで、
資本金の千万を超えるものはそう沢山はない。恐らく数百を算える程度ではないかと私は想像するのでございますが、そうしてその一部のものが証券
取引所に上場せられたる
株式を持つ
会社であろうと思います。そうしてその残りの殆んど大部分はどういう
会社かというと、私達の経験するところによりますと親戚知人を以て集められた小さな規模の
会社、即ち家族的な小さな
会社に過ぎないものが多いのでございます。それからこれは論外でありますけれども、又その中には
登記簿上の存在だけがあ
つて、実体のないものがある。それから又最初からインチキな預け合いなどによ
つてできました、成立の
形式だけは整つたものが多いわけであります。これなんか論外かも知れませんが、大体小さな
株式会社というものは元來合資
会社、
有限会社の組織によるべきものであ
つて、こういう
株式会社組織によるべきものでないのかも知れませんが、大体
日本の習慣が
株式会社でなくては銀行から金が借りられないというようなことで、大体
株式会社であれば世間が
信用して呉れるというような……
株式会社の
法律が非常に嚴格に外面的にはできておるが、案外それを利用することが
簡單である。そうしてこの
法律に違反いたしましても罰則というものが表向には嚴重にできておりますが、実際にこの
商法の罰則が適用されるということは殆んどない。こういうような
実情によ
つて株式会社制度というものが小さな組織にまで使われておるというような
実情でございます。それで
日本の現在の実際の状態に先ず着眼いたしまして、それで以て
考えなければなるまいと思うのでございます。それで今度の
改正案を見ますると、これに盛られておりまする大変結構な優秀な
制度も、今日の
日本の
一般民衆の
法律知識、或いは又経済の倫理というものの程度の低さとか、それから又
株主全般の自衞意識というか、自分の
権利の主張の弱さ、弱いどころか殆んどやらないという実態を見ますと、残念ながら今度の新らしい優秀な
制度も我が国の
会社に適用するのには未だしの感じを禁じ得ないものが多いように見受けられるのであります。そこで実際上の必要のないところにこのようなものを持ち来たりますと、その結果は空文に帰してしまう。それだけならよろしうございますが、却
つて逆に一部の人に
濫用せられまして、我が国の
経済界に多大の支障を来たすのではないかと案ずる点も見受けられるのでございます。
第二に、実際上の必要がないと認められるものを申しますと、先程から問題にな
つておりまする大きな
制度は授権資本
制度、これは非常に賛成する人もございますけれども、急にこのような
制度を採り入れなくても、いわゆるドイツでできました認許資本のような
制度を利用した方が、従来の
制度とよくマツチするのではないかと思うのでございます。併し法案によりますと、これは
定款の上で
会社の
発行する
株式の
総数というものと、
会社が
設立に際して
発行する
株式の
総数、これを最初から
定款の上で合致させて置きますれば、実際上は採用しないて済むのでありますから、実際にはこうして採用しない
会社も多く出るのではないかと思います。
それから二番目の大きな
制度といたしまして、今度の無
額面株式制度、これは授権資本
制度よりも余程注意しなければなるまいと思うのでございますが、
取締役によ
つて濫用される虞れが非常に多くあると思うのでございます。今日のように
株式の値段が額面を下廻
つておりますような時代に資本調達に困難を来たすような場合には、額面以下で
発行すること
裁判所なんかで許可して貰うというような額面下
発行許可
制度というものを設けたら済むのではないかと私は思うのであります。勿論今度の法案におきましても第二百八十條の十、十一などで
株式を非常に安い値段で
取締役が
発行しましたときには、これを
株主が差止める
権利を認めたり、それから公平な値段と安く売出した値段との差額を
株主から
会社に返還させる
義務を課したりしておりますけれども、これは理屈では成る程そうなるように思いますが、実際これをやるということは大変やりにくいことであり、又やりましても後手に廻
つてしま
つて、うまく行かないような場合が多いのではないかと思うのであります。併し又、その授権資本
制度と同じく、無
額面株式制度というものも
定款に記しておりますれば、排除することができまするから、実際はこれを採用する
会社が多いのじやないかと私は思うのでございます。要するに、この二つの
制度は、実際は余り必要ないのじやないかと思いますけれども、
定款の上で排除することができますから、何とかなるのじやないかと思います。併しこの両
制度を認めますにつきましても、
日本のように、先程申しますように大きい
会社が少くて、小さい
会社の多いような国では、小さい
会社にはこういうものは適用ができないように、
株式会社を二種類に分けるような
方法も
考えなければならんのじやないかと思います。こういう
意見は、
日本弁護士連合会でも、この
商法改正につきまして、研究会なり
委員会を開きましたが、そういう
意見でございました。
それから第三番目に、実際上そこまでしなくてもよいと思いまするのは、
株式の
譲渡制限、それから
株券の裏書
禁止を認めないというようにすることでございまするが、こういう
制限をしてはならないということを、
法律で以て
規定いたしませんでも、自然に
会社が大きくなりまして、大衆的に
株券を調達して資本を充実しようという必要がある場合には、自分でこの
譲渡制限とか
株券の裏書による
譲渡というものを
制限するような
規定は撤廃するのが従来のやり方でございますので、何もこれを
法律で以てわざわざ窮屈にする必要はないのじやないかとも思われるのでございます。実際問題といたしまして、割合に小さなグループでや
つておりまする知合いの
会社なんかで、
株式が他人の全然知らない人のところへ行
つてしまうというようなことは、大変不自由なこともありまして、又そういう一面、何もそうして
制限しても、
制限が邪魔になる、或いは害になるというような場合ばかりじやないのでございまして、そうして置いても決して差支ないと思うのでございます。実際こういうような
規定ができまするというと、
日本の
株式会社の中では、今度直ちに
有限会社、そういうものへ組織変えでもしなければなるまいと思われるものが沢山あるように見受けられます。
以上で私の実際に必要がないと思われるものを申述べたのでございまするが、この実際の必要のないところへいろいろの
制度を持込んだならば、
濫用されるのじやないかという心配のあるもの、これを申述べたいと思います。
第一に、先ず先程から問題にな
つておりますところの
株主権の拡張の問題でございまするが、
株主としての地位の保護というものは、主として
利益配当請求権と、株価の維持、株の値段の維持に向けられるべきものではないかと思うのでございまするが、この
利益配当請求権と株価の維持という限度を越えまして、企業の
経営を阻害するというようなことは、
考えなければなるまいと思いのでございます。殊に先程から繰返して申します通り、我が国には小規模の
会社が多うございまして、その小さい
会社におきましては、
株主は単なる
株主として存在するだけではないので、自分か又は自分の知人が
経営に殆んど
関係しているものが多いのでございますから、その
経営に直接繋がることによりまして、
会社の
利益を享受しておるものでございます。従
つて、単なる
株主としての
立場から、
利益配当請求権や株価の維持に関心を有しておるような
株主のある
会社というものは、大体
相当大きな
会社であろうと思われます。このような事実からしまして、
株主が
会社に対して、
会社法上において認められた
権利を振うというのは、大体立派な大
会社に対しまして、
会社荒しがその
権利を振う場合と、それから小さい
会社に対しまして、
会社の乗取りとか、或いは又いわゆる
経営権の争奪でございますが、そういうような
方法としての場合と、二大別せられまして、殆んど公正に
株主としての
会社法上の
権利が利用せられる場合は、まあ残念ながら余り多くないのではないかと思います。従いまして、今度
少数株主権が、
会社資本の
民主化に伴いまして、
発行済
株式の
総数の百分の三、
総会招集権なんかでございまするが、百分の三に緩和せられたり、又会計帳簿及び会計
書類の
閲覧権とか、謄写権が新たに十分の一の
少数株主に認められたりしましたようなことは、これはまあ止むを得ないといたしましても、各個
株主、単独
株主に対しまして、先程も問題にな
つておりまするところの、
取締役や発起人に対する責任追及権、これは従来
少数株主権でございましたけれども、こういうものや、それから
株式買取請求権、それから
取締役の
行為差止
請求権とか、
取締役の
株式発行停止
請求権、こういうものを與えるということは、大変
会社荒しに対しまして好餌を投げ與えるようなことになりはせんかと思うのでございます。従来
少数株主権でありましたところの
取締役や発起人に対する責任追及権、今度の二百六十七條等でございまするが、これはどうしても認めなければならんということでございまするならば、この訴訟は取下げを認めないようにして貰いたいと思うのでございます。殊に無條件に取下げするということはいけないと私は思うのでございす。ただ
会社を脅かして何とかするためにこういう
権利を振廻す、ただ訴訟だけ起すというような結果になりまして、
会社から幾らせしめたら取下げするというようなことではいけないので、これはどうしても取下げに一定の
制限を加えて貰いたい。どうしても止むを得なければそうして貰いたい。殊に二百六十八條の中で、この訴訟に対しましては補助参加が認められておりますけれども、補助参加というやつは、誰かが訴訟を起したのに対して、外の人が補助をするために参加するのでありますから、最初に訴訟を起した人間が取下げた場合には、後でそれに参加した人間はすつかりおじやんにな
つてしまうというようなことになると、これはどうにもならないことになりまするから、その点をどうか
考えて貰いたと思うのでございます。それからやはりこの責任追及訴訟におきまして、二百六十八條の二に、訴訟
費用、殊に弁護士の報酬などを、勝訴した方の
株主に対して
会社から出さなければならんような
規定がございまするが、これは結構だろうと思うのです。ところが、外の
買取請求権とかいうものを訴訟でやりました場合のことは、弁護士の
費用とか、そういう訴訟
費用のことは書いてございません。併しこういうものは実際はどうしてこれにはお書きにならなかつたか。ひよつとするとそこまで保護してやると濫訴の弊を生ずるものと思われたのかも知れませんが、実際やる必要のある訴訟ならばどんどん
会社から金を出してでもその訴訟
費用は
負担してでもやらしたらいいので、そのを取下げのできないように、それを
濫用できないようにして貰いたい。こう思うのでございます。又
取締役の
行為差止
請求権、
株式発行停止
請求権ということが書いてございますけれども、実際に差止めの
請求権を
法律手続でやりますということは大変にむずかしいことでございまして、こういう点についても何かもう少し
考える余地がなかつたものかと私は
考えるのでございます。殊にこの責任追及訴訟というものは、
株主が
取締役に対してやるだけでなしに、馴合いで
取締役から或る
株主を使嗾いたしまして馴合訴訟を起す。そうしてその確定判決の効力が
会社や
株主全般に及ぶことを利用するというようなこともございます。これに対しましては二百六十八條ノ三で再審の訴も起せるということにな
つておりまするから、なかなか理論の上どこ結構でありますけれども、こういう点も実際は行い難いのであります。こういう実際を余程
考えて貰いたい。これが単なる
株主に認められたる
権利でございますから、私達は非常に大事に思うのでございます。それから殊に
株式買取請求権、これは実際は理論的にも
日本の
会社制度では変なものでありまして、民法上の組合とか、
合名会社とか合資
会社とかの社員の持分権でも論ずるような場合の、
ちよつと契約法的な財団法人を論ずるには不向きな
法律論であると思うので、理論的にもこの
株式買取請求権というものを
日本の
株式会社に認めるということはどうかと思うのでございます。要するにどんなに罰則を強化いたしましても、
日本の現在の状態では
会社荒しというものは実際上取締りができていないのでございますから、このような現状ではこういういろいろの
権利を
株主個人に認めるということは、狂人に刃物を持たせるようなことにな
つて、危なくてしようがないと我々は心配するのであります。それから次に
株主権の
濫用について申上げたいのは、今度の
改正案を見ますと、
株式会社だけでなく
合名会社、合資
会社にも
関係いたしまして、
会社編の
規定には訴について担保の提供を要しないものとしておりますが、この
株主総会の
決議取消の訴とか、監査役に対する訴等の訴におきましては、訴訟を起す側におきまして担保を提供しなければならないというふうにな
つておりましたけれども、今度これを削除することになりましたが、これは訴訟を
濫用する弊害をますます助長するのではないかと思いまして心配するのでございます。それからもう一つ、この昭和二十三年の
商法改正のときにわざわざ置かれましたところの
裁判所の裁量により
請求棄却を認める
規定が廃止されました。これは例えば二百五十一條におきまする
株主総会の
決議取消の訴等、この
規定が削除せられておりますが、これも大いに
考えて貰いたいと思うのであります。と申しますのは、例えば
株主総会の
招集の場合に十四日を置かなければならない。その場合に十三日でありますと、ただ一日郵便の消印が遅れたばつかりに、わざわざ多数の
費用と労力をかけました
株主総会の
招集が取消されるということは、疵があるから、瑕疵があるからいたし方ないといたしましても余りにつまらぬ、こういうふうに
考えます。
会社荒しなどのために、僅かな瑕疵に乗せられまして、
会社が大損をするような場合が沢山あるのでございます。又アメリカなんかでは
裁判所の裁量権を非常に狭くしておるように聞いておるのでございまするけれども、我が国の
裁判所では、こういう点につきまして余り間違つたことがあるようには聞いておりません。私達は
裁判所をその点は
信用しております。それからたとえ少々間違いましても、上訴
制度も認られておりまするし、この
規定を今度削除されることになりますることは、甚だ残念に思うのでございます。
それから次に申上げたいのは、
株主総会とか
取締役会におきましても、そういう
会社の機関の定足数に伴いまして先程来も申されておりまする問題について申上げたいことがございます。
先ず
株主総会につきまして、先程申す通り我が国には小さな
会社が多うございまして、中には沢山こういう
会社があるのです。殆んど
株券がない
会社……。今度は
株式を
発行することはどうも
会社の
義務に
なつたように見受けるのでございますけれども、実際は私達の拵えた
会社でも
株式を
発行していない。
株券はあらたかそうなものでなくても、画用紙に謄写版で印刷してもよいと思うのでありますが、そういうものさえも
発行していない
会社があるのでございます。そういうような小さな
会社では
株主総会の定足数は問題はないので、皆寄
つて来ます寄らないでも大体問題がないのであります。問題になるのは結局大
会社、それから小さな
会社でも
会社の乗取りの喧嘩をするような場合の定足数が問題になりますので、こんなのは大して大きな問題ではないと思います。結局我が国産業界で重きをなすところの大
会社の定足数が問題になります、財閥の解体とか、
株式の
民主化に伴いまして、殊に企業の再建整備がなされました今日では、大
会社の
株式は数万というか数十万の
会社もございまするが、大勢の
株主に保有せられております。そうしてこれらの
株主総会を
招集しますのに
会社の使いまする手数と
費用というものは非常に莫大なものにな
つておるのでございます。この戦争中の昭和十九年の三月に施行せられましたところの
会社等臨時措置法は、本来臨時の特例でございまして、当然今日になりますると廃止せられなければならん運命にあるものでありまして、いたし方ございませんけれども、その中には大きな
会社にとりまして非常に便利な
規定もございまして、その第三條は
定款で定めて置きさえすれば
招集の
通知を公告で以て代えることが許されておりまして、この
規定の努力は去年の末を以てなくなりましたが、実際言いますると、私達は今度
商法が
改正になるということを聞きまして、こういう
規定を入れて貰いたい、そういうような安易な気持でおつたのでございます。実際大変便利に思いました。然るに時勢は私の
考えとは勿論逆行でありまして、証券取引法のこれは百九十四條でございますが、上場株につきまして
総会の
委任状を集めるのに大変な
制限を定めまして、それで今日では
定款変更など、どうしても定足数を要しまする
株主総会の場合には、大
会社の
委任状を集めます努力と経費が大変なんです。そうして折角印刷しましたものをどつさり送りましても、
株主の人は全然見えないのでございます。併しこれは仕方がないので、証券取引法が変らん限りはどうにもならんと思うのでございますが、実際そうなんでございます。聞きますところによりますと、アメリカではヴオーテイング・トラスト、
議決権の信託という
制度や、
株主総会の
委任状が大変数年間も使える。今度の
改正案では、それが
制限せられましたけれども、アメリカでは現在そういう
制限はせられない。数年間も努力のある
委任状を使
つておる。この
委任状をヴオーテイング・トラストの
方法で以て定足数を満足さすことが容易にな
つておるように聞いております。
日本はそういうことがありませんので、先程も
会社の
関係の方からおつしやつた通り、大変苦労しておる状態でございます。こういうような実際の状態の際に、通常
総会におきましても
定款に別段の定めをして置きませんと、
発行済
株式数の過半数に亘る
株主の出席をしなければならんということは、どうかと思うのでございます。殊に通常
総会でも
取締役選任
決議の場合には、
定款の
規定によりましても、
総数の三分一未満に下すことはできないという二百五十六條ノ二の
規定がございまするが、これは大変厄介なことでございまして、今度の
改正案によりますると、
取締役の地位というものが大変重要になりまして、それを選ぶということは非常に大事なことでございまするけれども、現在の
日本の状態から言いますと、それは余計な
制限じやないか、こう思うのでございます。それから
株主総会に関しまして、
取締役の選任について
累積投票の
規定でございまするが、これは多分各
会社が
定款で排除いたしまして、空文に帰するんじやないかと存じます。四分の一以上の
株主がこれを望むというならばやらなければならんとありまするが、実際これをや
つて呉れとい
つて出て来る場合は余り想像できないのでございます。それから
特剔抉議の
議決権の数は大変加重されました。従来は頭数と
株式数の半数以上が出席して、その過半数でというのでありまするから、大体資本の四分の一でやれたわけでありますが、少くとも資本の半分が出て満場一致でやらなければできないということになりますので、大変これは困難なことじやないかと思います。併し実際は
実情から申しますると、数さえ集めますれば満場一致でやりますので、本当は大して問題ではないかとも思うのでございますが、少くとも前の
特剔抉議の倍は寄せなければならんということになりますので、大変な
制限であらうと思います。併し幸いなことに頭数をのけられましたので、この点は非常に便利になりました。これは非常にいいと思うのであります。それから
定款変更なんかをいたしまする
特剔抉議におきまして、どれもこれもいつしよくたにむずかしくいたしませんので、原始
定款と通常
定款と分けまして、原始
定款を変更する場合はちつとむずかしくして、それから例えば
支店の設置、
支店なんかの点を
改正するような場合には、もつと簡単にやれるように同じ
定款変更でも
特剔抉議でも、二つの場合を分けるようにしたらどうかと思うのでございます。
それから
株主総会を離れまして
取締役会のことでございまするが、
取締役会が
法律上
規定せられまして、これは実際はこれまで普通の
会社では
定款で以て決めておりましたから問題ないのでございまするが、この
取締役会に定足数をやはり求めておるということは、実際は無理なんじやないかと思うのでございまするが、実際は脱法的な持廻り
決議が行われるということになりまして、この持廻り
決議をやつた場合の努力、これに対しまして対策はどういうふうにな
つておるのか、実は疑問い思うのでございます。
大体私の申上げたいのは沢山ございましたけれども、かい摘まんで申上げますと、こんなものでございますが、今度の
改正案はこれは通りますと、我が国
会社法の基本構造に大変な影響を與えまして、殆んど明治三十枚年に
商法ができまして初めての大改革で、殆んどひつくり返してしまうような変化でございまするから、みんながその頭になりまして勉強したり、
準備したり、それからこの
改正に応じまして組織変更、例えば
有限会社に直すというようなのには、
相当時間もかかることだろうと思いますので、この
改正の附則に定められておりますのは、来年の六月一杯に施行しなければならんということにな
つておりますけれども、実際はもつと必要なんじやないかとこう思うのであります。殊に外国
会社に関しまする
規定なんかは、外資導入のために必要な分だけを早くして、残りの分はもう少し先にしてもらいたい、こう思うのでございます。弁護士連合会におきましても、この施行
準備期間をもう少し沢山おいて呉れということは
一般の要望でございました。併し私は今日は固人の資格で申上げるのでございます。