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1950-03-09 第7回国会 参議院 法務委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年三月九日(木曜日) 午後一時五十二分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
商法
の一部を
改正
する
法律案
(内閣 送付) —————————————
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) これから
法務委員会
を開きます。
商法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。昨日に引続いて
逐條審議
に入ります。 本日は第四章
株式会社
、第
一節設立
、百六十
五條
乃至百九十
八條
について先ず
政府委員
の御
説明
をお願いいたします。
岡咲恕一
2
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 百六十六條から御
説明
申上げます。百六十六條はすでに御
承知
のように
定款
の絶対
的記載事項
を定めた
規定
でございまして、この度の
法律案
におきまして授権株の
制度
、無
額面株
の
制度
を採用いたしましたのに伴いまして、当然
改正
をいたさなければならない
規定
でございます。
改正
の最も重大な点は先日総括的に御
説明
申上げました際にも触れて置いたのでございまするが、
定款
の絶対
的記載事項
から
資本
の額というものの
記載
がなくなりまして、それに代るものといたしまして「
会社
が
発行スル株式
ノ
総数並ニ額面
無
額面
ノ別
及数
」、それから「
会社
ノ
設立
二際
シテ発行スル株式
ノ
総数並
二
額面
無
額面
ノ別
及数
」というものが新たに加えられた点でございます。
現行法
におきましては
資本
の
総額
は
株金額
の
総額
と一応一致いたします
関係
上、特に又
株式会社
がこの
資本団体
たる本質を明らかに示すにおきまして、おのおの百六十六條三号の「
資本
ノ
総額
」というものを特に掲げておるのでございまするが、この度の
改正
によりまして無額両
株式
を採用いたしまするならば、
資本
の
総額
は幾ばくになるかということを予め予測いたすことは困難でございまするし、仮に
額面株式
のみを
会社
が
発行
いたします場合におきましても、
資本
の
総額
というものを示すということにいたしますると、
授権資本
としての
資本総額
を
現実
に
会社
が
拂込
まれましていわゆる
法律
上の
資本
であるところの
資本
というものとの区別が困難になりまする
関係
を考えますると、この
授権資本
の
範囲
、及び
会社
が
設立
する際に
発行
せられる
株式
の
総数
というものは、
金額
で統一することは不適当であると申さなければなりません。従いまして
改正法律案
の百六十六條第一項の第三号及び第六号におきましては、この
授権資本
並びに
会社
が
設立
される際に
発行
いたしまする
株式
の
総数
において
表示
いたすということにいたしたわけでございます。 次に問題になりまするのは、
授権資本
の
範囲
、及び
会社
の
設立
の際に
発行
せられる
株式
の
範囲
と、
株式
の数を以て
表示
するのはそれでよろしいが、
定款
から
現実
に
拂込
まれました
会社
の
資本
をなしておるところのその
金額
というものを
定款
に
記載
する必要は果してないのであるかどうかということが問題になると考えまするが、これは結局、その便宜の問題に相成るわけでありまして、若し
現行法
のように
資本
の
総額
というものを
定款
の絶対
的記載事項
といたしますならば、無
額面株式
の場合におきましては、その
表示
において甚だ困難に遭遇いたしまして、場合によ
つて
はこの
定款
の無効という問題も起
つて
来るかと思いまするし、又仮にその点の困難は巧妙に抜け得たといたしましても、
会社
の
設立
後の
新株
を
発行
いたしまして、
資本
の額の
変更
を見る
度ごと
に常に
株主総会
を招集いたしまして、
特剔抉議
によりまして
定款変更
の
手続
を取らなければならないということになるわけでございます。そういたしますると、
新株発行
を
取締役会
の
專決事項
といたしました
授権資本
の妙味は殆んど失われてしまうと申さなければなりませんので、この観点から申しましていわゆる
法律
上の
資本
というものを
定款
に書くことは不適当と考えまして、これを除くことにいたしたわけでございます。 次にこの
定款
の絶対
的記載事項
として附加せられましたもので御注意を煩わしたいと思いまするのは、百六十六條の第一項の第五号の
規定
でございます。これは御覧になりまするように、
新株引受権
に関する定を
定款
に
記載
いたすということになるのでございます。
新株引受
のことは、その
関係
の
條文
の御
説明
のときに、やや詳細に申上げたいと考えまするが、旧
株主
の
権利
を害する慮れがあるという意味におきまして、
アメリカ等
におきましては、
原則
として旧
株主
に
新株発行
の際における
引受権
を與えるという
建前
を
とつ
ておりまして、最近におきましては、この
経済情勢
その
外会社
が数種の
株式
を
発行
するというふうな
取扱
をいたしまする
関係
上、
新株引受権
というものが、とかく
新株
の
発行
を制約するという面が多くなりまして、非常に不便であるということから立法におきましても、或いは
解釈
上も漸次旧
株主
に
新株引受権
を與えないという傾向を
とつ
ているやに承
つて
おりまするが、いずれにいたしましても、この旧
株主
に
新株引受権
が與えられるのであるか、與えられないのであるか、それとも一応與えるとしても
如何よう
な形において
制限
せられるか、或いはこの
会社
の
従業員
、若しくは
縁故者
、その
外特定
の
第三者
に
新株引受権
が與えられるのであるか、ないのであるかというふうなことは、この
株主
にとりましては極めて重大な
関心事
でありまするが故に、
原始定款
におきまして、少くとも授権の
範囲
における
株式
の
発行
におきまして、
新株
の
引受
が
如何よう
に
取扱
われるかという事を明示するのが適当である、かように考えまして特に第五号の
規定
を設けた次第でございます。それから第七号にございまする
最低発行価額
につきましては、かねて御
説明
申上げておりますので、これは省略いたすことにいたします。 それから
定款
の絶対的起載
事項
のその外の点につきましては、
現行法通り
でございまするので、これ又改めて御
説明
申上げることもないかと考えます。百六十六條の第二項は、これもしばしば御
説明
したかと思いますが、
会社
の
設立
に際して
発行
する
株式
の
総数
は
授権資本
の少くとも四分の一以上でなければならないという
趣旨
を
規定
いたしたものでございます。第三項は
現行法通り
でございまするので、これ又
説明
の要はないことと存じます。 次に百六十
八條
を御
説明
申上げます。これは、いわゆる
定款
の
相対的記載事項
に関する
規定
でございまして、
現行法
の第一項の一号から三号までを削除いたしましたことが
改正点
でございます。第一号を削除いたしましたのは、第一号につきましては、四百四條、
現行
の四百四條に
株式会社
の
解散原因
に関する定がございまして、その第一号によりまして、九十四條の第一号の
規定
を準用いたしておりまする
関係
上、特に
現行法
の
会社
の存立時期、又は
解散
の事由を明記する必要がないかと考えましたのでこれを削除いたしたのでございます。この第二号にありまする数種の
株式
の
発行
並びにその各種の
株式
の
内容
及び数を
定款
に
記載
するという
関係
は、二百二十
二條
の第二項に新らしい
規定
を設けましたので、これ又必要がないこととなりましたので、これを削除いたしたわけでございます。次に第三号の
規定
でございまするが、いわゆる
株式
の
額面
以上の
発行
の場合には、その
事項
を
定款
に掲げるという
現行法
の
規定
を削除いたした点について簡單に御
説明
申上げます。
現行法
におきましては、
株式
を
額面
以上の
価額
を以て
発行
する場合に、
額面超過額
について各
株主
の
挿込
の
義務
があるとされておりまするのは、
株主
の
有限責任
の
唯一
の
例外
であるとされましたので、特にこれを
定款
に掲げまして
有限責任
の
例外
の
責任
を認める場合のあることを明らかにいたしたのでございまするが、この
改正案
におきましては、この二百條の第一項の
規定
におきまして、
株主
の
責任
はその有する
株式
の
引受価額
を
限度
とする、言い換えれば
額面額
の
額面株
におきまして、
額面額
以上の
発行
をいたした場合であろうと、或いは無
額面株式
におきまして相当の
価額
においてこれを
発行
いたしました場合でありましようとも、いずれを問わず
株主
は、その
株式
の
引受価額
を
限度
として
有限責任
を負うものであるということを明らかにいたしました
関係
上、
額面超過額
につきましても、
有限責任
を当然負うのでございまして、
額面超過額
の
拂込
は、
有限責任
の
例外
であるという
解釈
を
改正法律案
においては許さないことになりましたので、特に
定款
に
相対的記載事項
といたしまして、これを掲げる必要がない、かように考えたわけでございます。その外の点につきましては、
現行法通り
でございまするので、
説明
を省略さして頂きたいと存じます。 次に百六十
八條
の二を御
説明
申上げます。これも総括的な
説明
の際に申上げておるのでございまするが、
会社
の
設立
の際に
発行
すを
株式
につきまして、如何なる
種類
の
株式
を
発行
するか、そうして
種類株
につきましては、先程も申上げましたように、一百二十
二條
の第二項の
規定
によりまして必ず
定款
にその定があることを必要といたすのでありますが、この
会社
の
設立
に当りまして如何なる
種類
の
株式
を幾株
発行
するか、
額面株
を
発行
するか、或いは無
額面株
を
発行
するか、優先株を
発行
するか、或いは後
配株
を
発行
するか、或いは
混合株
を
発行
するか、その
株式
の
種類
とその数並びに
株式
の
発行価額
、それから無
額面株
を
発行
いたしまする際に
拂込剰余金
として
資本準備金
に組入れる額、かかる
事項
は
株式
の
発行
に関する基本的な
重要事項
でございまするが故に特に
発起人全員
の
同意
を以てこれを定めるということにいたしたのでございます。従いましてここに掲げました
事項
以外の
事項
は、
発起人
の
過半数
の
決議
によ
つて
発行
し、定めることが要求されまするし、或いはその
発起人
の組合におきまして特に
執行機関
である
発起人
を定めた場合におきましては、その
発起人
において定めることは
差支
ないわけでございます。一号から三号に掲げまする
事項
は、特に重大なる
事項
でありまするが故に、これを
発起人全員
の
同意
を以てこれを定めるということにいたしたわけでございます。 次に百七十條の
改正
でございますが、これは
字句
を
整理
いたしたに過ぎませんので、別段申上げることもないと考えます。 次に百七十
一條
を削除いたしてあります。この点につきまして、御
説明
申上げます。
現行法
の百七十
一條
によりますると、第一項は「
株式発行
ノ
価額ハ券面額
ヲ下
ルコトヲ得ズ
」と
規定
いたしておりますが、これは
改正案
の二百
二條
の第三項に新らしぐ
規定
いたしましたので、必要がなく
なつ
たわけでございます。次に
現行法
の第二項は「
額面
以上ノ
価額
ヲ
以テ株式
ヲ
発行シタルトキハ其
ノ
額面
ヲ超
ユル金額ハ株金
ノ
拂込ト同時
二之ヲ
挿込ムコトヲ
要ス」と
なつ
ておりまして、先程申しましたように
額面超過額
の支拂は
株式引受人
の
有限責任
の
唯一
の
例外
であるという点と、その
金額
は一体いつ拂うかということが問題になりまするので、特にこの
規定
を掲げておるわけであり、まするが、
改正案
におきましては百七十條の第一項にありまするように、「
発起人
が
株式
ノ
総数
ヲ
引受ケタルトキハ遅滞ナク
各
株ニ付其
ノ
発行価額
ノ
全額
ノ
拂込
ヲ為シ」ということに
なつ
ておりまするし、又百七十七條の第一項におきまして、「
会社
ノ
設立
二際
シテ発行スル株式
ノ
総数
ノ
引受アリタルトキハ発起人ハ遅滞ナク
各
株ニ付其
ノ
発行価額
ノ
全額
ノ
拂込
ヲ為サシムルコトヲ要ス」ということに
なつ
ておりますので、
現行法
の第二項はこれを存置する必要がなくなりましたので、これを削除いたしたわけでございます。次に百七十
二條
から百七十四條までは
條文
の
字句
の
整理
に過ぎませんので
説明
を省略いたすことにいたしたいと存じます。 次に百七十
五條
でございまするが、これは
株式申込証
に関する
規定
でございます。
申込証
の
記載事項
につきましては百七十
五條
の二項に詳細なる
規定
を掲げているのでございます。すでに御存知のように
現行法
におきましては
英米等
にありまするような
目論見書主義
を採りませんで、
株式
の
申込人
は
專ら株式申込証
の
記載
というものによりまして、
会社
の
内容
、その
株式発行
の條件というものを知るということにいたしております
関係
上、
株式申込証
の
記載事項
というものは甚だ重大な意義を持つわけでございます。
改正案
におきましてはその
趣旨
に従いまするように成るべく
会社
の
内容
、
株式発行
の條件というものを明らかにいたすように多少の
修正
を加えたわけでございます。大体
現行法
の
建前
を踏襲いたしたのですが、新たに加えられましたものは第五号、第六号、それから第八号、第十二号でございます。第五号と第六号とは
株式
を申込みまする者にとりましては極めて深い
利害関係
を持つことでございまするし、殊に
改正案
におきましては新らしく
償還株式
というものを認めることにいたしました
関係
上、この第六号に関する
事項
は是非とも
株式申込証
に明らかにすることが適当であろうと考えたのでございます。第八号竺先程申しました百六十
八條
の二に代る
事項
ですが、従来の
取扱
によりますと、一応この
定款
を見ればここに掲げてある
事項
は察知し得るわけでございますが、
改正法案
におきましては
発起人全員
の
同意
を以てこれを定めまする
関係
上、而も
株式申込人
にとりましては極めて重大な必ず知ることを要することでありまするが故に、この
株式
の
発行内容
を明らかにいたすことにいたしたわけでございます。十二号が新たに加えられましたのは、この度の
改正
によりまして、
名義書換代理人
又は
登録機関
というものを
会社
は置き得るということにいたしましたので、これを置いた際には、
株式移転
の
取扱関係
を明らかにする必要がありますので、新らしく十二号の
規定
を設けたわけであります。その外の点につきましては
字句
を
整理
いたしただけでありまして、特に御
説明
申上げることはないかと考えます。次に百七十七條、百七十
八條
は
字句
の
整理
でありまして、御
説明
を省略させて頂きたいと思います。 次に百八十條の第二項の
規定
について御
説明
申上げたいと思います。第一項と第三項は概ね
條文
の
整理
に過ぎませんので別段申上げることはないと考えます。第二項の
規定
は、いわゆる
創立総会
の
決議
の
方式
を定めたものでございまして、「
創立総会
ノ
決議ハ出席シタル株式引受人
ノ
議決権
ノ三分ノニ以上
ニシテ且引受アリタル株式
ノ
総数
ノ
過半数ニ
当ル多数ヲ
以テ
之ヲ為ス」これは一般的、
説明
的に申上げましたように、
株主総会
における
特剔抉議
の
方式
を改められましたのに伴いまして、
創立総会
の
決議
の
方式
を
株式総会
の
特剔抉議
の
方式
に準じて改めたものでございます。別段御
説明
することもないと思いまするが、従前は
引受人
の頭数を主にいたしておりましたが、それを止めまして、
議決権
の数で行く、
議決権
の三分の二以上で
決議
をする、而もその三分の二以上が
株式
の
総数
の
過半数
に当るということを必要とするということにいたしたのでございます。 次に百八十
一條
、百八十三條、百八十四條、百八十
五條
は「
監査役
」を廃止いたしまして新たに「
会計監査役
」を認めましたこと、その外
授権資本
制度
を採用いたしましたことに伴いまして必要なる
字句
の
修正
をいたしましたのでございます。 次に百八十條でございまするが、これはいわゆる
設立登記
に関する
規定
でございます。この第二項におきまして
登記事項
を法定いたしておりまするが、
授権資本
制度
、無
額面株式
及び
名義書換代理人
又は
登録機関
を採用いたしました
関係
上、これを登記いたすことにいたしたのでございます。
授権資本
に関しましては第一号にございまするように、第百六十六條第一項第三号に
掲ぐる事項
を登記いたさなければならないということに
なつ
ておりまして、第三号は
授権資本
の枠の
事項
でございまするので、これを掲げることにいたしたのでございます。
授権資本
を採用いたしました
関係
上、
発行済株式
の
総数
、
額面
無
額面
の別及びその数を登記する必要がございまするので、五号といたしまして、これを登記せしむることにいたしたわけでございます。次に
資本
の額は、これは
株式会社
が
資本団体
であるという性質上、後述することを適当と考えましたので、第六号に「
資本額
」というものを
規定
いたしておるわけでございます。
名義書換代理人
又は
登録機関
に関する
事項
は、第三号にありまするように、百七十
五條
の第二項の十二号は即ちその
規定
でございます。
名義書換代理人
又は
登録機関
に関する
事項
でございまして、これを掲げるということに
なつ
たのでございます。次に
現行法
によりますると、十号におきまして、「
取締役ニシテ会社
ヲ
代表セザル者アルトキハ会社
ヲ
代表スベキ者
ノ
氏名
」というふうに
規定
いたしてありまするが、
現行法
はこの
取締役
は当然
会社
を代表し、又業務を執行する
権限
があると、特に
会社
を代表せしむべき
取締役
を定めた場合には、この
取締役
のみ
会社
を代表するのであるという
建前
を
とつ
ておりまするが、
改正案
におきましては、
取締役
は当然
会社
を代表する
権限
はございませんで、特に
取締役会
において選ばれたる
代表取締役
のみが
会社
を代表いたすということに
なつ
ておりまするので、この八号におきまして
代表取締役
の
氏名
を掲げるということにいたしたのでございます。次に又
現行法
におきましては「数人ノ
取締役
が
共同シテ会社
ヲ
代表スル
又
ハ取締役
が
支配人ト共同シテ会社
ヲ
代表スベキコトヲ
定
メタルトキハソノ規定
」を掲げるということに
なつ
ておりまするが、
改正法律案
におきましては
代表取締役
が数人ありまして、これが
共同代表
するという
制度
は採用いたしましたが、この
支配人
との
共同代表
は廃止いたしましたので「数人ノ
代表取締役
が
共同シテ会社
ヲ
代表スベキコトヲ
定
メタルトキハソノ規定
」を掲げるというふうに改めたのでございます。次に百八十九條は別段御
説明
を申上げることはございません。 百九十條につきまして御
説明
申上げます。百九十條の第二項を削除いたしたのでございます。これは
現行法
によりますると、
発起人
は
権利株
を
讓渡
することができないということに
なつ
ておりまして、従いまして
発起人
が
権利株
を
讓渡
いたしました際には、その
讓渡
は無効と相成るわけでございます。ところが
発起人
以外の
引受人
が
権利株
を
讓渡
いたしました際には、第一項に
規定
いたしておりまするように、
会社
に対しては
効力
を生じないけれども、
讓渡当事者
間においてはこの
効力
を生ずるということに
なつ
ておるのでありまして、
讓受人
から見ますと果してこの
讓渡
せられておる
権利株
が
発起人
の
引受
けたる
株式
であるかどうかということが公明でない場合がしばしばございまして、取引の安全を害しておるのでございます。これに鑑みまして、
権利株
は
発起人
の
権利
であろうと、他の
一般引受人
の
権利
であろうと、差別を設けませんで、一様に
当事者
間においては
讓渡
を認めるけれども、
会社
には対抗できないということにいたす方が適当であると考えたのでございます。尤も
現行法
では、この
発起
その
讓渡行為
は好ましいものではないことに鑑みまして、
罰則
を以て
発起人
の
讓渡行為
を禁止いたしておるのでございますが、これはやはりこの
改正案
におきましても引継ぎまして別に
條文
を起しまして
発起人
の
権利株
の
讓渡
に対しては
罰則
を以て臨むということにいたしたのでございます。四百九十
八條
の第二項がその
規定
でございます。 次に百九十
二條
の御
説明
を申上げます。これは
現行法
にもありまする
原則
を承継いたしたものでございまするが、多少この
規定
の
内容
を変えたわけでございます。すでに御
承知
のように、
会社
の
設立
に当りまして
株式
の
引受
がないとか、或いは
拂込
がないにも拘わらず、
会社
の
設立登記
を
終つた
というような場合に、純理から申しますると、
設立手続
に
瑕疵
があるわけでございまするから、その
設立
を無効といたさなければならないのでございまするが、僅少なる
瑕疵
のために
設立手続
を無効といたしまして、再び
設立手続
を開始しなければならないということにいたしましたのでは、
株式
の
引受
が集団的に行われます
建前
上、善意の
一般第三者
、殊に
株式引受人
の
権利
を害することも多いのに鑑みまして、僅少なる
設立手続
の
欠陷
は、
発起人
がこれを補充いたしまして
株式
を
引受
ける
義務
を有し、且つ
拂込
の
義務
を有するということにいたしておるのでございます。ところが
現行法
によりますると、
引受
のない
株式
につきましては、
発起人
は連帶して
株式引受
をなす
義務
を負うということに
なつ
ているのでございます。言い換えれば
株式
の
引受義務
を負うのみでございまして、
発起人
が
引受
の
意思表示
をしなければ、
発起人
は
株金
を
拂込む義務
がないことになりまして、
会社
といたしましては、先ず
発起人
に
引受
の
義務
の履行を求めて、然る上に出資の
責任
を追及するという二段の
手続
を経なければならないわけでございます。これは全く無用な
手続
を重ねることになりまするので、これを改めまして、
会社
の
設立
に際して
発行
する
株式
について
会社
の成立後
省引受
なきものあるときには、
発起人
は共同してこれを
引受
けたものとみなす、
法律
上当然共同して
引受
けたものとみなすということにいたしております。
法律
上当然共同して
引受
けたものとみなされますと、二百三條の第一項の
規定
が適用されまして、共同して
株式
を
引受
けたる者は連帶して
拂込
をなす
義務
を負うということになるので、ございまして、
発起人
の
責任
を追及することが極めて明確に相成るわけでございます。第二項の
規定
は
現行法通り
でございまするので、これは別に申上げることはないと思います。第三項も同様でございます。第百九十
五條
が
監査役
を廃止いたしまして
会計監査役
の
制度
を採用いたしましたのに伴う
字句
の
整理
でございます。 次に百九十六條でございまするが、これは
現行法
によりますると、
発起人
の
責任
を免除し得る場合を定めているのでございまするが、
発起人
の
責任
の重大なことに鑑みまして、
取締役
と同様に
取扱
う、言い換えれば二百六十六條の第四項を準用する、即ち
発起人
の
責任
は総
株主
の
同意
あるのにあらざればこれを免除することを得ずということにいたしているわけであります。二百六十七條乃至二百六十
八條
の三を準用いたしておりまするのは、これは
取締役
の
責任
を追及いたしますために、いわゆる
代表訴訟
を認めたのでありまするが、この
代表訴訟
を
発起人
についても認めることにいたしたのでございます。百九十七條は、
代表訴訟
を認めるということにいたしますると、全然、無用な
規定
となるのでありまして、これを削除いたしたわけでございます。 次に百九十
八條
でございまするが、
疑似発起人
の
責任
につきましては、
現行法
によりますると、
疑似発起人
を
発起人
なりと誤認して
株式
の
引受
をなしたる者に対して、
疑似発起人
が
発起人
と
同一
の
責任
を負うということにいたしているのでございます。言い換えれば、
疑似発起人
は
会社設立
の場合の
資本充実
及び
損害賠償
の
責任
のみを負うことになりまして、
不成立
の場合における
責任
は全然免れるということに相成るのでありまするが、
発起人
の
責任
の重大なことに伴いまして又
疑似発起人
の
責任
を
発起人
と
同一
にするということが適当ではないかと考えまして改めたわけでございます。
会社不成立
の場合の百九十四條に定める
責任
を
疑似発起人
が負うということにいたしたわけでございます。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君) 以上の諸点に対するところの御質疑をお願いいたします。
松井道夫
4
○
松井道夫
君 百六十六條の
規定
についてお尋ねいたしたいのでありますが、第七号の「
会社
ノ
設立
二際
シテ
無
額面株式
ヲ
発行スルトキハ其
ノ
最低発行価額
」というふうに
なつ
ておるのですが、この「
最低発行価額
」これについては別に
制限
はないのですか。
岡咲恕一
5
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 「
最低発行価額
」を
規定
いたせばいいのでございまして、その
価額
を
如何よう
に定めるかということにつきましては
法律
上別段の
制限
は置いていないのでございます。
松井道夫
6
○
松井道夫
君 この点について、
額面株
の方は
現行法
では二十円ということに
なつ
てお
つて
、
改正案
の方でも維持されておると存ずるのでありますが、やはり
会社
の
資本
というものを或る程度確立したいという
趣旨
からではないかと想像されるのでありますが、無
額面株式
についても
最低価額
を定める方がいいのではないかということも考えられるのでありますが、その点について……
岡咲恕一
7
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
額面株式
につきましては、
松井委員
のお尋ねのように、
改正法律案
の二百
二條
の第三項に「
券面額
ヲ下
ルコトヲ得ズ
」という
規定
を設けておりますが、
会社
が無
額面株式
のみを
設立
に際して
発行
するという場合には、
発起人
の
全員
の
同意
によ
つて価額
を定める。その
発起人
の
経済
上の良識に期待して委せて
差支
ないのではないかというふうに考えましたので、特にこの
法律
で
制限
を置かなかつたわけでございます。尤もこの
設立
に当りまして
額面株
と無
額面株
を同時に
発行
する、こういうことは普通株のみであります場合には先ずないことと考えます。優先株を
額面株
で
発行
する、そうして普通株を無
額面株
で
発行
するというふうなことはこれはあり得ることと考えまするが、無
額面株
と
額面株
とも併存して
発行
いたしますような場合には、これは
株主
も平等と申しますか、一方は二十円
拂込
まなければ
株主
となり得ないのに、無
額面株
においてはそれ以下の
価額
で
株主
になるということは許されません。その意味において二百
二條
の第三項が
制限
として働いて来るということはあり得るのでありますが、無
額面株
のみを
発行
するという場合には
法律
上は全然
制限
がありませんで、五円で
発行
してもよし、十円で
発行
してもよし、或いは五十円、百円、それは全く健全なる市場或いは
会社
の将来に対する見通しから判断されましてお定めになるということにして
差支
ないのではないかと考えたわけでございます。
松井道夫
8
○
松井道夫
君 今の御
説明
で
会社
の良識に委して置けばよい。それは尤もなのでありますけれども、そうしますと、
額面株
の方では一定の最低限というものが二十円というふうに決ま
つて
おるので、その権衡上おかしい。
額面株式
を
発行
する場合にもこれは勿論良識を以て決めるのであるのでありますけれども、ちよつとその辺権衡上おかしいように考えますが、その点を伺います。 それからもう一つは、二十円という
金額
は現在の貨幣の価値からいいますと甚だ僅かなものでありまして、実際界でぼつぼつその最低限を上げた方が適当じやないかという意見があつたと思うのでありますが、
改正
に当
つて
その点を考慮されたかどうか。
岡咲恕一
9
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 二つのお尋ねでございまするが、一括してお答申上げたいと思います。
額面株
につきまして
最低発行価額
を二十円といたしておりまするのは、
現行法
の
建前
をそのまま踏襲いたしたのに過ぎないわけでございます。この際
額面株式
の
発行価額
について無
額面株式
との均衡を考えまして、或いは
経済
上の要望、或いは実情と申しまするか、現在は貨幣価値が暴落いたしておりまして、二十円の価値必ずしも戰前の二十円とは等しくございませんので、貨幣価値の変化に伴いまして適当なる
額面株式
の
最低発行価額
というものを計上いたすことが適当かと考えましたけれども、現在二十円株、或いは五十円株というものも相当、相当と申すよりも、実は大部分の
株式
は五十円株、興行株その外特殊の
株式
が二十円株、或いは二十五円という株があるような実情でありまして、これを
法律
上当然
変更
いたしますといたしますると、各
関係
会社
に相当迷惑を及ぼすのみならず、幾ばくの
金額
を以て適当とするかということになりますると一暫定法であれば格別でございまするが、恒久的な基本法としての
商法
といたしまして、幾ばくの
金額
が適当であるかは俄かに判断し難い点もございましたので、これは多少保守的かと思いまするが、現状を尊重して余り大きな
変更
を加えないという
建前
で
額面株
につきましては全く
現行法通り
の
取扱
をいたすことにいたしたのでございます。
鬼丸義齊
10
○鬼丸義齊君 第一にお尋ねいたしたいのは、
会社
の
設立
ですが、
会社
の
設立
は如何なる
手続
を
終つた
るときに
会社
が
設立
されたりというふうに解しているのかということを一点伺います。 それから第二に伺いたいと思いますのは、無
額面株式
の
制度
をこの際お換りになるについては、何かやはり従来の
商法
の
会社
の方法だけでは賄い得身ない情勢下にあるのであるか。或いは又この無
額面
の
株式
というものの
制度
を採ること自体によりまして、我が
経済
界において大なる利益を期待しておられるかということについての、もう少し具体的の理由を一つ伺いたいと思います。 それから尚これは一般にも言われているようでありまするが、元来無
額面株式
については専門家の人は別としまして、未だ日本においては誠にこれは未知の
制度
であ
つて
これが聊かも予備知識を持たない財界に対して突如としてこの
制度
が布かれますのには、少しく実施上において困難が伴わないかと考えまするが、その点政府の方ではどうお考えに
なつ
ているのかを伺いたい。それで一番最初伺いました
会社設立
の時期がいずれの
手続
を終り、どうしたことによ
つて
会社
が
設立
されたと法的に見るものであるか、対内的と対外的と二方に分
つて
の
説明
を伺いたい。私の考え方はやはり
会社
の
設立
にはすべての
株式
の
引受
というものがやはり
設立
の成立條件じやなかつたかと思います。今百九十
二條
の
改正
法によりまするというと、
会社
が
設立
後においても
引受
なき
株式
というものがあることになるのであります。これがために根本的に
会社設立
の時期に対する従来の考え方と異
なつ
たる
解釈
をしなければならんのであるかどうかという点を伺いたいと思います。
岡咲恕一
11
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 第一点のお尋ねでございますが、この
会社
の
設立
の時期の問題でございまするが、これは
現行
の
会社
法の
改正
前におきましてはいろいろ議論もございまして、只今鬼丸委員の御指摘のような点が御指摘のような
解釈
も行われたものと考えまするが、これを明らかにいたします
趣旨
を以ちまして、
現行
商法
では五十七條の
規定
を設けまして
会社
ハ本店ノ所在地二於テ
設立
ノ登記ナ為スニ因リテ成立ス」ということにいたしまして、登記の完了を以て
設立
されたものとするという
取扱
をいたすように
なつ
ているのでございます。百九十
二條
の問題は、
当事者
が注意深く誠実に仕事をいたしまするならば、
引受
けない
株式
或いは
拂込
未済の
株式
というものは殆んどなくなるのではないかと考えまするが、万一不注意によりまして
引受
けない
株式
があつた場合、或いは
拂込
未済の
株式
があつた場合、若しくは
引受
の取消された
株式
があつた場合、僅少なる
瑕疵
によ
つて
遡
つて
設立
全部を無効にいたすということは、小さな
瑕疵
のために多数の利益を害すること甚だしいのでありましで、
発起人
に特別の
責任
を與えて、出資を完遂せしめるということにいたしたわけであります。 第二の無
額面株
の採用のお尋ねでございますが、実はどうも現在の日本における
経済
界が、アメリカにおきまするような無
額面株
という
制度
を受入れるという程度に熟しているかどうか、或いはそういうこの
制度
に果して適応しまして、これを濫用しないで活用して企業の発展のために寄與し得るだろうかどうだろうかということは多少疑いを持つたわけでございますが、
授権資本
制度
と無
額面株
というものは、理論的には必ずしも不可分なものではございませんけれども、
取締役
の
株式発行
の際に甚だ多くのものを期待する、
取締役
の賢明な判断によ
つて
資金調達の面において十分弾力あり軌道性ある
発行
方法を認めるということが、
資本団体
としての
株式会社
の企業を発展せしめる上に極めて合理的であるというふうに考えますると、
法律
的には不可分じやございませんけれども、実際の面では甚だ深い結び付きを持つわけでございまするので、
授権資本
制度
を採用するからにはここで踏み切りまして、一応無
額面
の株も採用して見ようということを考えたおけでございます。法制審議会の委員の中には実業家の専門家もいられましたので、特にその委員を通しまして実業家の意見なり希望なりというものを確めて頂いたのでございまするが、全体といたしまして結構である、
授権資本
の
制度
を採用するからには、思い切
つて
その
制度
を採用するのがよろしいだろう。或いは多少実業界におきましても危惧の念を持
つて
おられる向もあるのでございまするが、全体といたしましてはむしろ賛成である、無
額面株
の採用につきましては、審議会或いは商工会議所におきましても殆んど反対的の論議がありませんで、極めてこの点はなだらかにお認めを願つたのでございます。外の点につきましては、随分白熱的な論議をなして、原案を作りましたときは大いに苦境に立つたこともございますが、無
額面株
につきましては、殆んど反対論はございませんで、むしろ採用することが適当ではないか、ただその無
額面株
の
発行
なりその評価において不正、不当のことがある場合には、この
責任
を徹底的に追及し得る、又
取締役
なり
発起人
の
責任
を明らかにするという措置を講じますことによ
つて
差支
ないではないか、こういう意見が支配的でございまして、採用いたすことにいたしたのでございます。又先程の
松井委員
のお尋ねにも関連いたしますが、無
額面株式
の
発行
につきまして、
設立
に際して
発行
する場合は
最低発行価額
を
定款
に
記載
する、ところがその
最低発行価額
については
法律
上何らの
制限
がないということについては無
額面株
との対照上、やや立法上の手落ちではないかということも考えられるのでありますが、証券取引法の施行によりまして
株式
の公募につきましては相当嚴重な公示主義を採用いたしておりまして、非常識なる
最低価額
の決定、或いは非常識な
価額
における無
額面株式
発行
というものは、それ自体
会社
の信用を害しまするし、又証券委員会においても、十分これについて監督をせられるのでございますから、この点は公の監督と、それから企業の
責任
者である
発起人
、或いは
取締役
の誠実且つ賢明なる判断に委してや
つて
差支
ないであろう。まあかように考えまして、多少危惧の念を持たないでも、ございませんでしたけれども、採用いたしてもよろしいであろう、かように考えたわけでございます。
鬼丸義齊
12
○鬼丸義齊君 私はまだ全体の
改正案
を読んでおりませんから、お尋ねについて甚だ不用意な点があるかも知れませんが、お許し願いたいと思います。この無
額面
の
株式
について、
発起人
の
引受
ける株についての
価額
と、一般公募の
価額
というものは、全然常に
同一
でなければならないのである、即ちこの
価額
というものは單一
価額
でなければいけないのであるか、それとも時日の経過、或いはズレ等によ
つて
多少売出した際に
価額
が、非常に好況のために高く売れる、或いは非常なる不良のため売れない場合には、売れなければその
価額
を動かすことができるかどうか、それから大体この立法の狙いとしては、
額面
価額
の
最低価額
より上のものが多い、というふうな狙
つて
おるのであるか、或いはそれとも
額面
価額
では売出し得ないので
資本
を集め得ないというために、それをしも内輪に決定して売出すということもでき得るという利益等もある、こういうふうに解されておられるのであるか、この点を一つお願いいたしまか。
岡咲恕一
13
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 第一点のお尋ねは、
額面株
或いは無
額面株
共通の問題であろうと考えますが、私は現在では
法律
上は
発起人
の
引受
ける
株式
についての
発行価額
というものと、公募される
株式
の
発行価額
というものとの間に差別が設けられることは、
法律
上
差支
ないのではないかと考えております。先日も当委員会の事務局の方面からそのお尋ねがありまして、
差支
ないのではないかと考えておる、併し或いはこれは私の研究不十分で、もう暫く検討いたしまして、或いは誤
つて
おりまするならば訂正の機会をお與え頂きたいと思いまするが、現在では
差支
ないのではないか、最初
発起人
は或る
価額
を以て
引受
けた、例えて申しますと、
額面株
についてプレミアムを附けて七十円で
引受
けた。ところが非常に
会社
に対する人気が沸きまして、公募する際には百円にも百五十円にも相場が立つような気配が見えた場合に、
発起人
としての善良な忠実な注意を以ていたしますれば、やはりこの場合には百五十円の相場がするものならばそれに近い
発行価額
を定めることが
発起人
としての
義務
ではないか、かように考えまするし、又逆に七十円で
引受
けたところが、とても無理である、
額面
が辛うじての値段であるということになりまするならば、公募の際は
額面
五十円によ
つて
発行
するということも許されるのではないか、かように考えております。尤もそこに
発起人
が悪意で特に不当な利益を得る目的を以てやつたという場合には、任務懈怠として
発起人
は
責任
を負わなければならんことはこれは申上げるまでもないと思います。現に私共が噂を聞いておりまするところでは、全く
発起人
は
会社
を
設立
して、そうして企業に奉仕するというためではなくて、いろいろな方便を講じまして、先ず自分は非常に安く株を
引受
けて極端に申しますると、
権利株
の状態においてそれを他に転売して利益を得る、或いは安く
引受
けておいていろいろ工作をして株価を煽
つて
、そうして煽つた状態においてその
権利株
を売
つて
、そうして免かれてしまうというふうなこともあるやに聞いておりまするが、これはもう明白に
発起人
の悪意のある任務懈怠の行為でございまするから、
責任
を追及されることは当然と考えます。
法律
的には
発起人
が
株式
を
引受
けて全株を
引受
けない場合には募集することを要するということに
なつ
ておりますので、二段に、先ず
発起人
の
引受
、それから第二に一般の
発起人
外の申込というふうに分けて
取扱
うことを、私は
法律
が禁止してはいないであろうと考えております。 次に第二のお尋ねでございまするが、
会社
の
設立
に際しましては、私は
経済
的に申しまして無
額面株
を
発行
する必要も、又利益もないであろうと思います。例えば数種の
株式
を
発行
いたしまするような場合には、これは
額面株
と無
額面株
を
発行
するということもあるかと思いまするが、普通株を
発行
いたしまするならば、若し五十円が高きに過ぎると思えば三十円にいたしても二十円にいたしてもよろしいわけでございまするから、先ず一応
設立
の際は
額面株
で
発行
せられることが普通ではないかと思います。ただ問題は
会社
の
設立
後
会社
が非常に発展をいたすという場合に、むしろプレミアム附の
額面株
を
発行
するより、思い切
つて
その際に無
額面株
を
発行
するということが
会社
に
とつ
て経理上、或いは
会社
の信用を維持する上から考えまして非常に有利なことである。殊に無
額面株
を
発行
いたしますると、
資本
に組入れられる額が多く組入れられます
関係
上、
額面株
におきまする場合より、相当多額の
金額
が
資本
に組入れられるというようなことに相成りまする
関係
上、
会社
の信用を強化するという方面から申しますると、或いは
額面株
よりも無
額面株
を
発行
される方が適当であるという場合もあり得るかと思います。それから、
会社
が不況に立ち至りまして、
会社
の
設立
の目的なり、
会社
の
資本
必ずしも不良ではないにも拘わらず、例えば現在のように非常に
株式
が氾濫いたしておりまして、いわゆる株のインフレというような時代に遭遇いたしますると、有力
会社
と雖も場合によ
つて
は
額面
を割つた
株式
を
発行
しなければならないどいうことになるかも知れない。そういう場合には無
額面株
という
制度
が、非常に妙味を発揮いたします。
額面
が五十円であつた場合に、三十円の無
額面株
の
発行
をするというと、眞の力を発揮するのではないかと思います。一体
額面
を割るような
発行
の場合と、
額面
を超過した
発行
の場合と、いずれにおいて無
額面株
が活用されるかというと、私この点知識も不十分でございまして、断定いたすことはできませんが、少くとも
会社
が資金調達において非常な困難に遭遇いたしまして、
額面
以下の
発行
が許されないという場合に、無
額面株
によ
つて
その窮境を切り拓いて
会社
の
資本
を充実して企業を発展せしめるというこの機会を用いることはこれは明白でありまするし、むしろその場合に威力を発揮するのではないかと考えております。
鬼丸義齊
14
○鬼丸義齊君 そういたしますと例えば最低
引受
と申しますか、最低の
価額
を決めまして、その
最低価額
は決めましてもそれ以下の
価額
で以て売出すことも許されることになるわけですか。尚今度の
改正
について先程も御
説明
がありました百九十條の二項を削除いたしまして、
権利株
であろうとも
法律
上許されることになりましたときに、たまたまこの無
額面株
がその
制度
を布かれたということになりますると、例えば物を一つ売却するというような場合には、先ずその
株式
を……余り例としてはよくありませんが、ともかくも
引受人
の方で
価額
を安く
引受
けて、公募の方で非常に高くして売出してよい、而もいやが上にも釣上げて売
つて
よろしいという、いわゆる買い方の意欲を高めて高価な売り方をして行くことが
会社
資本
の充実する一つの方法であり、同時に又営利
会社
の営利を狙いといたしますることはこれは言うまでもありませんので、これは好むと好まざるとに拘わらずこの
制度
自体によ
つて
そういうことはもう忽ちにして起ることが想像されます。そこで私はこの
資本
を集めるということが目的ではありましようけれども、非常な
規定
によ
つて
不正を禁止してはおりまするけれども、而もそうした不正の方法によ
つて
不正な利益を、
資本
を集めるということをこの
制度
によ
つて
醸成するようなことになりはしないかということを非常に憂える。先程本法案を立案するに当りまして、各方面の意見を徴されて、この無
額面株式
の
発行
については異論はなかつたという御
説明
がありましたが、学者間においてはそうかも知れませんけれども、併しこれでいよいよ本案が議会に運ばれまして新聞に報道されまするや、各商工会議所あたりの実除の衝に当
つて
おります者から見ると夜権
資本
制度
は勿論、又この無
額面株式
発行
につきましても相当強力な反対の声があるようであります。学者間の説と実際に当ります生産業者とが或いは
会社
、事業をやります現業者の方の側におきましては、相当これは強い反対意見もあるようであります。そうしたようなことで何らかいわゆる
会社
組織の前途に対して一波紋を投ずるというようなふうにも感じられます。この点十分考慮に入れてこの
制度
を採られたこととは思いますけれども、如何にもどうも何らかそこにもの足らないと申しますか一用意の足らないと申しますか、
株式
界に一つの波紋を投ずるようなふうな
制度
ではなかろうかということを憂うるのであります。不正行為によ
つて価額
の釣上げ等を十分に防ぎ得るものと、そうして所期以上の結果をもたらし得るという確信があるには相違ございますまいけれども、一面におきましては、何だかまだ十分な用意が備わ
つて
いないのじやないかというような感じがしてならないのでありますが、尚一つこの点についての率直なる御意見をお願いいたします。
岡咲恕一
15
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 第一のお尋ねの無
額面株式
の
発行
につきまして
最低発行価額
を定めてある場合に、その
最低発行価額
をも割
つて
発行
するということが許されるかというお尋ねでございますが、
会社設立
に際して
発行
いたします際に
最低発行価額
を割つた
発行
を許さないことはもとよりでございすが、
会社設立
後に一体
最低発行価額
を割つたことを許されるかという点ですが、私が現在考えておりますところでは、この
金額
はアメリカにおいてよく申されますスティテッド・バリユーを定めたものと考えておりませんで、
会社設立
後の
発行
におきましては
最低発行価額
を割つた
発行
も
差支
ないのではないか。
会社
が
設立
に際して
発行
する際には少くとも
資本団体
たる性質上一定の
金額
が
資本
として
資本
、或は
資本
に準ずべき
資本準備金
として
会社
に積立てられるということを、
法律
が強く要求する理由があるのでございまして、その意味におきまして第百六十六條の第一項の七号を設けた次第でございまするが、その後の
発行
におきましては必ずしも
最低発行価額
というものが
発行
の制約にはならないだろう、かように考えております。 それから第二の無
額面株
の
発行
に伴
つて
発起人
に不正行為を激発をせしむる虞れがないかというお尋ねでございまするが、これは率直に申しますると、必ずしも善良なる
発起人
のみを期待し得ない現状を考えますると、実は
発起人
が
権利株
を
讓渡
するというふうなことは徹底的に抑えたい、若しそういう事実があればこれを摘発いたしまして、
罰則
によ
つて
抑えて行くという措置を講ずることが強く要望されるのではないかと思います。少くとも
発起人
は
法律
上はともあれ道徳的に考えますると、
発起
事務をやりながら、その
権利株
を他に
讓渡
するということは誠に不当なことでございまして許し難いと思いまするし、
法律
も実はこれを禁止いたしておるわけでございまするから、実業界からそういう悪風というものが拂拭されるように政府としても努力したいと思いまするし、産業界におかれましてもこの点は深く自粛されましてそういう悪徳の
発起人
というものは再び産業界に顏を向けることはならないという相当高い倫理が守られなければならないと同じことを、私はお願いしいと思うのでございます。で、
権利株
の
讓渡
さえ
発起人
がいたしませんならば、
会社設立
後でなければ
株式
の
讓渡
は許されない、特に株券
発行
後でないと一応この
讓渡
は困難なわけでございまするので、特に
発起人
が安く株を
引受
けておいて、そうして途中でこれを
讓渡
して、多額の不当な
金額
を利得するということは、少くなるのではないかと考えます。のみならず証券取引所の
建前
によりますると、現にこの
株式
の
発行
関係
につきまして、
発起人
が如何なる
株式
の
引受
をしておるかというこの
引受
の態様につきましては、これは飽くまで登記でなければならないように
なつ
ておりまするし、又この
株式
の申込書に、
発起人
が
引受
けたる
株式
の
種類
、数、その
引受価額
というものは当然
記載
いたすことに
なつ
ておりまするので、若し
発起人
が甚だしく低い
価額
で
引受
けておりながら、一般公募の場合には又これを甚だ高い
価額
を以て公募するということになりますると、それは
発起人
自体の
責任
を疑われる原因にもなりまするので、私は少くともこの
株式
申込書にこれを
記載
せしむることにいたした
関係
、それから証券取引法が円滑に運用されている状態から考えますると、鬼丸委員の御心配になりまするように、
発起人
が特に安い
価額
を以て
引受
けて、利鞘を稼ぐというようなことは、少くとも将来に向
つて
は困難になるのではないかというふうに考えまするので、この点に関連いたしまして、無
額面株
は非常な不安を伴うという御心配は余りなさらないでもよろしいのではないかと考えております。 次に
授権資本
制度
と無
額面株
の採用について、現在実業の第一線から相当反対の声を聞くではないかというお話でございまするが、
授権資本
制度
、無
額面株
を採用するということを考えまして、私共が外部にも意見を発表いたしましたのは、一昨年の十二月であつたかと思います。で、その前後
関係
官が、或いは実業家の団体或いは
株式
界の連中といろいろ話をいたしましたし、私も一二度そういうような席に参りまして、政府が考えている
授権資本
制度
、無
額面株
というふうなことを
説明
いたしたこともございまするが、私共が当時触れました
範囲
では、これはとんでもない
改正
だ、日本の産業界に思わない衝撃を與えるであろういうふうな話をまあ殆んど承わりませんで、むしろ
株金
分割拂いを止めたからには、ここまで踏切つた
制度
を採用するのが適当であろうというふうな意見が多かつたのでございます。いよいよ法制審議会を設けまして、その会に御意見を求めるようになりました。当時は東京の商工会議所はもとよりのこと大阪、京都、名古屋、或いは東京のこの経団連、その外の有力な実業団体の御意見も聽いて見たのでございまするが、
授権資本
制度
に対しては殆んど全面的に賛成でございまして、無
額面株
につきましても私今明確に記憶いたしておりませんが、先ず異論がなかつた。極く一部で多少疑問があるのではないだろうかというふうな声はございましたけれども、正面からこれは極めて危險な立法であるから絶対に政府は思い止まるべきものであるというふうな強い意見は私は聽かなかつたのでございます。審議会は鬼丸委員或いは多少学問に偏したような会議のように御了解かと思いまするが、審議会の中にはいろいろな委員がおられまして、殊に産業、実業界からも委員が出ておられまするし、その委員がやはり
商法
部会に入られまして……
商法
部会は鬼丸委員のお仰せのように主として学者、学界方面の委員が割合に多うございまして、学界の意見というものは相当強くこの懸案の中に取入れられているわけでございまするが、必ずしも学問的見地からのみこの法案を作つたわけでございませんで、むしろ私共といたしましては学問、学者の方の要求よりも実務家がどうこれをお受取りになるだろうか、これを本当に運用するのは学問上の議論ではございませんで、日本の産業
経済
の実際面でございまするから、この方で運用されないで、この
法律
によ
つて
経済
の再建を傷つけるというふうなことがあ
つて
は誠に申訳ないのですが、その方面の御意向というものに対しては、非常に私は神経過敏に実は考えて参つたのでございます。学者からは相当痛烈に非難され、ながらも、実は学者の意見よりも、実業界の本当の要望がどこにあるかということに非常に関心を拂
つて
来たつもりでございます。ところが率直に申上げますると、この度の
法律案
の要綱におきまして、会計書類の閲観権というもの、それから累積投票というものにつきましては、これは随分激しい反対がございました。或いは
特剔抉議
の
方式
というものについても、現状ではやや困難ではないだろうかというふうな問題がございましたけれども、無
額面株
につきましては、少くとも私耳にいたしましたところでは、これは困るというふうなことは殆んどなかつたのでございます。そういう次第でございまして、私は先ず大丈夫ではないかと考えましてこの法案の中へ取入れたわけでございます。ところが最近或いは松本先生その外実業界の方面において、多少疑問を持
つて
おられるような意見を承わるのですが、結局問題は国家的な強い監督というものによつで
取締役
を抑えて行く、
発起人
を抑えて行くという方が、日本の現状では適当であるのか、それともむしろ
発起人
なり
取締役
に十分倫理的な高さを求めつつ、この経営上の手腕を十分振わせるというふうな法制にしつつ、又他面その
責任
に対しては仮借なく追究して行くという
制度
を取る、
商法
の
建前
の方では少くとも相当自由な権能というものを経営
責任
者であるところの
取締役
に與えて行くということの方が、私はむしろ現状に適するのではないか。
発起人
の不当行為、或いは
株式
の募集における不正行為というようなものは、証券取引法、或いは証券取引委員会というふうな、そういう機関を通して監督することが適当なのであ
つて
、
商法
自体の中に非常に活動を窮屈に抑えて行くということは、必ずしも立法上適当でないのではないかというふうな考えもございまして、実は思い切
つて
むしろ私は十分の期待を以て無
額面株
を採用いたしてよろしいのではないかと考えたのでございます。
松井道夫
16
○
松井道夫
君
権利株
の売買の話が出ましたが、
現行
第百九十條の第二項を削るということに
なつ
ておりまして、
罰則
でも結局それを削つたことになるのではないかと思いますが、只今の御
説明
によりますと、
発起人
がこういつたようなことをするのはよくないことだということには別に違つたお考えはないのでありますから、この二項を削つたから
罰則
をなくしてしまわなければならんということにはならんだろうと思います。これはまあ
第三者
の
関係
に
効力
を生ずる場合もあ
つて
も一向
差支
ない。又
会社
に対して
効力
を生じないという場合であ
つて
もそういう行為をした人を罰する……。まあこれは自分の名前で
株式
申込書に書いてあるようなものを讓らなくても、
発起人
は外の、例えば自分の子供の名前であるとか、或いはしめし合せた者の名前で
引受
けてそれをどうこうするというようなことはできんわけです。そういつた
発起人
を処罰しないということも起
つて
来ておかしいのじやないかと考えるのですが、その点を伺います。
岡咲恕一
17
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
松井委員
のお尋ねですが、
発起人
が
権利株
を
讓渡
いたしました場合には、当然処罰を受けるのでございまして、それは四百九十
八條
の第二項に別の
規定
を起しまして、この行為を飽くまでも違反の行為として
発起人
を処罰するということにいたしてあるのでございます。言い換えれば三十万円以下の過料に処すということに
なつ
ておるわけでございますから相当重い制裁を受けるわけでございます。取引の安全という面から
第三者
に対してまで無効を主張するのはやや行過ぎではないかというので本法を作つたわけでございます。
松井道夫
18
○
松井道夫
君 第百六十六條の中の第三号、一体「
額面
無
額面
ノ別」とありますが、
設立
に当
つて
額面株
と無
額面株
の双方を
発行
するということが何らかの合理的理由で相当行われるものと思
つて
いらつしやるかどうか、この点を……
岡咲恕一
19
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 百六十六條第一項の三号は、いわゆる
授権資本
の
範囲
と申しますか、
授権資本
の枠を示したわけでございます。言い換えれば或る
会社
が幾株の株数を
発行
するか、その
会社
は一体
額面株
を
発行
するのか、無
額面株
を
発行
するのか、これを
発行
する場合に数は幾らであるかということを
規定
いたしますと、大体
授権資本
の枠が分るわけでございます。そうして第六号におきしては
設立
の際は然らば一体その
会社
は幾株を
発行
するまであるか。例えば
授権資本
の三分の一に当る
株式
を
発行
する
会社
もございましようし、或いは二分の一を
発行
する
会社
もございましようし、或いは四分の一に止まる
会社
もあるかと存じます。これを要するに
設立
の際に発せらるべき
株式
の
総数
、
額面
、無
額面
の別を
記載
するということにいたしたわけでございます。それから
設立
に際して
額面
と無
額面
の双方を
発行
する場合があるか、その実益があるかというお尋ねでございまするが、普通株を
発行
する場合には私は
額面株
のみ
発行
されるだろうと思います。強いてこの無
額面株
を
発行
する必要が殆んどないのではないか。或いはその
会社
の
発行
額面株
・式の
発行価額
を二十円未満にいたすという必要がある場合には或いはこの
発行
の必要があるかと思いますけれども、先ずこういうことは実業界の事業から見ましても、只今お尋ねがありましたように、二十円という
金額
のその
限度
そのものがすでに低きに失するのではないかと思われますので、これは恐らくもう絶無ではないか、かように考えます。然らば
額面株
と無
額面株
を並行して
発行
することがあるかということになるわけですが、これは普通株のみならばないと考えます。若しごの普通株に加えて優先株を
発行
する、或いは優先株においては利益配当において甚だ有利な
株式
である、そうして適当な期間にこれが償還されるというふうなことになりまするというと、
額面株
は五十円で
発行
いたしましても
発行
條件が甚だ好ましいし、又遠からざる将来にこれが償還されるということになりますと、社債的な働きを持ちまするし、或いは償還株でございませんで、これは転換株になり、普通株に転換される、特に非参加的優先株であるというような場合は普通株に転換されるということは非常に有利な条件を持つことになりまするので、この場合には
額面
が仮に五十円で
発行
されました際に七十円或いは八十円というふうな高値で
発行
されるともあり得るわけですから、この場合には優先株……、償還附、転換附の優先株で無
額面株
で
発行
して
発起人
の裁定によ
つて
七十円でこれを売出すということも一部にはあり、資金調達の面から申しますると極めて有利な調達方法ではないかと考えられるわけであります。
松井道夫
20
○
松井道夫
君 今の三号を読みまするというと、将来
発行
する
株式
の
総数
が決ま
つて
いる、最高の枠が決ま
つて
おりまして、それから
額面
、無
額面
の別
及数
というものを
規定
しておるのでありますし、そのすべての枠の内訳に更に
額面
、無
額面
のもう一つの枠が決ま
つて
おりまして彼是融通することもできないのではないか、そういう気持もされるのでありますが、これは諸外国の立法例、或いはアメリカの立法例もこういうふうに
なつ
ておるのかも知れませんけれども、これは大変不便なことではないかと考えられるわけであります。尤も私のこの三号に対する
解釈
が間違
つて
おるのかも知れません。
経済
界の情勢によりまして
額面株
を
発行
するか、無
額面株
を
発行
する、いずれがいいかということは予見することができないような状態であります。これを何らかの形で彼是融通して残りを全部無
額面
にするのが適当だと思う。無
額面
でやる、或には全部
額面
にするかる
額面
でもやれたというようなのが実際上
経済
界の実態に即した方法じやないかと考えられますが、その点一つ。
岡咲恕一
21
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
松井委員
の御意見は誠に御尤でございまして、私共できればそういうふうになることが望ましいと思うのであります。三号の御
解釈
は
松井委員
の
解釈
通りで結構でございます。問題はこの
株式
の
総数
とそれから
額面
、無
額面
の別さえ明らかにすれば足りるので、
額面
、無
額面
の株数まで明らかにすることは
会社
にむしろ迷惑な束縛を與ることになるのではないかというお尋ねでございまするが、全くその通りだと考えますけれども、無
額面株
というものが十分国民に馴染まない
関係
上、
会社
が将来一体どういう
株式
の
発行
の仕方をするのか、
額面
、無
額面
と書いておるだけでは全部無
額面株
を
発行
するかも知れませんし、
額面株
の場合は何となく国民が、先程鬼丸委員のお尋ねがございましたように、従来馴れております
関係
上一種の安心を伴うわけですが、無
額面株
は一体どういう工合に
発行
するのか、而もその
価額
は場合によ
つて
は予想外に低い
価額
で
発行
されることがあり得るということになりますと、相当な不安を伴うだろうということを考えまして一応現在の段階では資金の枠を決めます際に荷くも無
額面株
を
発行
するならばその
会社
は無
額面
については或る特定の数までしか
発行
しないのだということを明らかにする方が却
つて
国民に対して一種の何といいますか、安心感を與えるのじやないか、こういうふうな意見がございまして一応この
額面
無
額面
の別のみならず、更に数をも
定款
の
記載事項
といたしたのでございます。若しこれが不自由なれば
定款変更
によりまして改めることは一向
差支
ないわけですが、
定款変更
をいたすここが一つの煩瑣な
手続
でございまするので、若し
差支
ないものならば三号における数というのは削る方が私は合理的であると考えております。現に大阪の商工会議所でございましたか、この数を削ることが適当であるというような意見も出ておりますので、私共としましては若しこれは当委員会の御意見によりまして削る方がいいというふうな御意見が有力になりました際にはもとよりこれは削除することには反対いたすものでございません。
松井道夫
22
○
松井道夫
君 それから今の百六十六條の二項でありますが……。その前に七号に関連してでありますが、
設立
の場合はこの七号の
規定
によりましてこれも勿論登記されるわけになりましようから、一般に無
額面株
がどのくらいで売出されるか、これがどの程度
資本
金を構成しておるかということぐらい分るのでありますが、その後の
発行
の場合に、それが幾らぐらいで
発行
されるかどうかというようなところは、やはりいろいろの
関係
上登記その他で分つたら非常に便利だろうと思うので、その売出
価額
、或いは債券
発行価額
ですか、そういつたようなものが
設立
の場合でなく、その後において
発行
した場合に分るようにして頂きたい。
伊藤修
23
○
委員長
(
伊藤修
君) 今の御質問に関連してでありますが、第百八十
八條
の第六号の「
資本
ノ額」ということについて一応御
説明
を願いたいと思います。
岡咲恕一
24
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 無
額面株式
の
発行価額
は
登記事項
ではございません。第六号の「
資本
ノ額」と申しまするのは、後の第二百八十四條の二の
規定
にございまする
資本
の額でございまして、これは
新株
の
発行
を基に
変更
を受けるわけでございます。従
つて
その場合には、
変更
の登記をすることによ
つて
改められて行く次第でございます。それから、この無
額面株式
、或いは
額面株式
の
発行価額
は登記はいたされませんけれども、
株式
申込書には明らかに
記載
されるわけでございます。即ち百七十
五條
の第二項の八号によりまして古六十
八條
の二に関する
事項
を申込書に
記載
いたすわけでございまするから、百六十
八條
の二の第二号に「
株式
ノ
発行価額
」というものがありまして、これはまあ登記ではございませんが、公示されることに相成ろうかと考えます。 それから、
会社設立
後の
発行
につきましても、大体
株式
申込書によるということにいたしておりますので、これに
記載
されますし、又
取締役会
において
如何よう
に
発行
関係
が
決議
せられたかということは、
取締役会
の議事録に必ず明確に
記載
いたす、そうして各
取締役
の決定に対する賛否も議事録に明らかにいたすということに相成
つて
おりますし、この議事録は
会社
に備えて
株主
は何時でも閲覧し得るわけでございますので登記はいたしませんけれども、
発行価額
を如何に定められたかということは
株主
は何時でも知り得るということに
なつ
ておるわけでございます。
松井道夫
25
○
松井道夫
君 私のお尋ねしておるのは、これは
発行価額
が分らなければ
株主
は申込ができないのでありますけれども、
株主
はよく分るわけであります。その他の
利害関係
人に対して登記は
株主
の
関係
もありますけれども、売買や
第三者
に対する何が多いのであります。から、
会社
の数やその他ずつと以前の第二項とか第三項の
発行
はどうであるかということを取決めて行くのは登記で分るのが一番簡單であるという意味でお尋ねしたのであります。 次に第百六十六條の第二項でありまするが、「
会社
ノ
設立
二際
シテ発行スル株式
の
総数
ハ
会社
が
発行スル株式
ノ
総数
ノ四分ノーヲ下
ルコトヲ得ズ
」ということに
なつ
ておりまして、どうも廃止されました前の未
拂込
の
株式
、あれので、まあその四分の一という数を引用されたのではないかというような気がするのでありますが、私の感じからいたしますればすでに廃止されておる、而も当時よりもいろいろ弊害があるということで禁止されております数字が現われて多少何らか味があるという感じがいたすのであります。この四分の一ということは本当に無
額面株式
というものを将来盛んにいたす、むしろその特長を発揮するという面からいたしますれば、何らかような
制限
をする必要はないのではないか、或いは同じ
制限
をするにしても四分の一という法理的根拠は分らないと思いますので、その辺の四分の一ということにいたしました経過、その他いろいろ議論が出たと思いますが、どんな工合か述べて頂きたい。又
政府委員
の御意見がありましたならばお聞きしたいと思います。
岡咲恕一
26
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) この
設立
に際して
発行
する
株式
の
範囲
を
授権資本
の
株式
の四分の一に定めましたのは、今
松井委員
の仰せのように従来の
株式
分割拂いの
取扱
の四分の一に
なつ
ておつたということも二つの何と申しますか、縁由的な働きは持つたかと思いますけれども、これは実は余り論議もございませんで、先ず
授権資本
の四分の一の程度は
発行
しで
会社
が
資本団体
として企業界に乗出すためには必要とする程度の
資本
であるのではないだろうか、この程度は尤も最初から
会社
が保有すべき資金であり、それは適当ではないか、それから或いは五分の一、或いは六分の一及至は十分の一というふうに定めてもいいのですが、この枠を余りに低くいたしますと
授権資本
の
範囲
が拡がりまして、言い換えれば
取締役会
に大きな
権限
を設定することになるわけでございますので、先ず大体四分の一程度が適当ではないか、かように初め考えたわけであります。そうしてこの点につきましてもいろいろ産業界方面の意見を聞いて見ましたところによりますると、まあ一応適当な
制限
だろう、「或いは五分の一にしても余り反対はなかつたかと思いますけれども、大体授権の枠を四分の三にして置けばまあ大体普通の需要には応じ得るであろうというふうに考えられていたようでございます。でこれに関連いたしまして法務総裁が諮問いたしました最初の原案には、その後の
定款変更
によりまして授権の枠を拡げる際には必ずしもこの四分の一というものに拘束されない、従
つて
発行
済総株数の四倍、五倍、六倍とこう
会社
が適当と考えられる
範囲
に
授権資本
を拡げて行くことがむしろいいのではないか、そういたしませんと昨年来行われましたように、例えば三倍増資或いは四倍増資ということになりますると、忽ち
定款
を
変更
しなければならないので、それでは折角
取締役会
に
新株発行
の
権限
を與えた妙味がなくなるので、これは
株主総会
の判断に委せて、
特剔抉議
によるわけですから、
特剔抉議
によるような大多数の
株主
の意向に委せることにして、五倍或いは六倍の
授権資本
の枠の拡張もいいのではないかと考えたのですが、これは四分の一という
制限
を初め置きました
関係
ですか、相当反対がございまして、それは余りに
取締役会
に大きな
権限
を與えることを
株主総会
が認めることになるので、やはり四分の一という
制限
は
授権資本
の枠の拡張の際にも一つの
制限
として働くという方が好ましいという意見が強くなりまして、三百四十七條の第一項にございますように、
授権資本
の枠も拡げる際にやはり四倍も超えてはならないということに
なつ
たわけであります。出発といたしまして四分の一というのは、必ずしもそう深く検討いたしたわけではございませんが、一応こういう基準が定まりますと如何にも四分の一が合理的なような印象を與えてしまいまして、三百四十七條の第一項に
授権資本
の枠の拡張の際には
制限
を加えるということに
なつ
たのであります。実は四分の一につきましては、
松井委員
のお尋ねに対して少し不十分かと思いますが、余り
商法
部会におきましても、或いは小委員会におきましても活溌な意見が出ませんで、大体極めて常識的に妥当だと、こういうふうに受入れられたように考えております。
松井道夫
27
○
松井道夫
君 次に百八十條でありますが、これは
創立総会
の
決議
で、
現行法
と比べると大変に定足数その他
決議
方法が厳格に
なつ
ております。まあ
創立総会
のみならず総会の
決議
方法が、
特剔抉議
の
関係
等で実際界の実情と比べまして二度も三度もやらなければならない、流会というようなことになりまして三度も繰返さなければいかん、又
会社
荒しといつた者達にその虚に乗せられる虞れがあるというような多くの非難が出ておるように聞いておるのでありますが、
創立総会
でありまするから、そういつた流会を繰返すというようなことはまあないだろうと想像されますけれども、併しそう楽観もばかりしておれないので、果して立案当局でこれで推して行
つて
今の最も弱く
なつ
ておる
経済
界に大きな負担をかけたり、又今日本の敗戰後の精神的な状態は頗る変態的に
なつ
ておりまして
会社
の暴力的の傾向だとか、いろいろその他道徳的に非常にゆがんだ状態に現在相成
つて
おりまするそういう状況の際に、この
規定
で行
つて
会社
荒しということ、その他今の所有と経営の分離といつたような当然の
経済
界の
原則
といつたものから、非常に
経済
界に大きな負担をかけるというふうにならないという自信が果しておありであるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
岡咲恕一
28
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
創立総会
は
会社
の創立
手続
における最後の結末をつける重大な会議でありまするので、やはりその総会の
決議
の
方式
は相当の厳格さを持つということは必要ではないと思います。
特剔抉議
の
方式
を
現行法
も取入れておりまするし、それに倣いまして
改正法律案
では百八十條のニ項の
規定
を設けたわけですが、独占禁止法その外企業の集中排除に関する一連の
法律
によりまして
株式
が分散される傾向のあることは、これは否定できないと思いますし、
現行法
のように総
引受人
の半数以上が出席するというようなことは、分散されてしまつた
株式引受
の状態を考えますると、殆んど不可能に近い。そういたしますると、それに代る方法ということになるわけですが、本日は手許に持
つて
参りませんでしたけれども、イギリスにおきまする
特剔抉議
の
方式
などは極めて嚴格でございまして、殆んど総
株主
に近い
株主
の出席並びに殆んど
全員
一致に近い程度の
決議
を要求しておつたかと記憶いたしておりまするが、結局その
決議
の
方式
をどの程度にするかということは、只今お述べに
なつ
たように政策の問題かと思います。この三分の二以上の多数ということが一つの重要
決議
の要件ではないかと考えます。これは出席した
株式引受人
の三分の二ということにいたしますると、極く少数の出席者によりましても重大
決議
が可能になるわけでございまして、やはり三分の二の大多数の賛成を得ると同時に、その賛成者が総株数の半数以上に当る、言い換えれば
議決権
の
過半数
の
決議
によるというようなことはやはり必要ではないか、これ以上に
決議
要件を緩めるということはちよつと私行過ぎではないかと考えまして、
株主総会
の
特剔抉議
と同様に一応
議決権
の三分の二以上で、且つ
総数
の
過半数
に当る多数という
方式
を取つたわけでございます。これがいわゆる総会屋によ
つて
濫用され得る危険がないか、流会に次ぐ流会ということに
なつ
ては、結局
会社
の負担を増すし、
会社
の負担を増すということは善良なる一般
株式引受人
の負担になるというわけですから、これは避けなければならないということはお説の通りかと考えますが、これは少し理窟つぽい言い方で恐縮とは思いますが、
株主
に與えられた
権利
といたしましては、やはり
議決権
は非常に重大な
権利
ではないかと思います。頭から
議決権
が多くの場合行使されないで、
株主
乃至
引受
入の大多数というものは不在
株主
として、総会などには全く無関心であるというのが実態なんです。そ’れでよろしいということであれば、それも一つの考え方でございますけれども、とにかく
議決権
というものは尊重されなければならないという立場を取りますと、やはり定足数と言いますか、或る一定数以上の
引受人
なり
株主
が出席するということは、総会の
議決権
を尊重するゆえんになるわけでございます。その
限度
を
如何よう
にするかということは、結局ばポリシイの問題になりますが、アメリカなりイギリスにおける立法例あたりを斟酌いたしますると、
議決権
の三分の二以上で、そうして
総数
の
過半数
ということは先ず穏やかな
方式
ではないかと、かように考えます将来これが運用されて、万遺憾ないかどうか、政府はその確信があるかというお尋ねでございますが、頭数をなくしたという点においては、何と言いましても非常に
会社
当局にとりましては便利でございまして、
創立総会
でございますから、これは仮
決議
という方法を認めるわけには参らないので、どうも止むを得ない
限度
ではないか、この程度の
決議
方式
であれば、これは企業界、産業界に対して非常な負担をかけることになるまいと、かように考えたわけでございます。
松井道夫
29
○
松井道夫
君 成る程、
現行法
の
創立総会
の方の形の
引受人
の半数以上、これは頗る現在としては、或いは大きな
会社
では実行不可能でありましようし、その点におきましてはこの新らしい
規定
が頗る結構であろうと思うのであります。先程も申しましたように、まあ創立のときであるからこれは大体において出席して呉れる人もあるかと考えられますが、この
創立総会
に限らず、今度の
改正案
は
決議
方法を非常に嚴格にしておる場合が多々あるのであります。まあそれで先般の委員会で多少質問したのでありますが、衆議院におきまして前の
会社
等臨時措置法の
内容
と同じ
会社
の
決議
方法、招集方法ですか、
決議
方法を採用しておる、そういう方法ができることには
政府委員
、政府当局も賛成であるというお説であつたのであります。それから見ますると、当局といたしましてもどうも新
改正
法の
建前
がやや現状に対しては無理であるというふうに考えておられるのではないかとも察するのでありますが、勿論私まだ衆議院で提出いたす案の
内容
を見ておりません。
株主
が一千人以上とかそういつたような
制限
が仮に附いておるといたしますれば、それ以下のものにつきましては新法の
建前
で、すべて総会というものをや
つて
行かなければならないというふうになるので、実業界では相当心配しておると存ずるのであります。
経済
界でそういう一体声があるのを当局は勿論聞いておられると思いますが、そういう意見に対しては一体どう思
つて
いらつしやいますか。
岡咲恕一
30
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
株主総会
の
特剔抉議
の
方式
につきまして、
経済
界の要望と申しまするか、成るべく
会社
等臨時措置法に認められたような
方式
を希望されておるということは私も
承知
いたしておりまする、この度の
改正案
に盛
つて
おりまする
方式
、三百四十三條の
方式
につきましては、私の
承知
いたしておりまする
範囲
では、大体に賛成されておるようでございます。
会社
法この度の
改正
は、来年の七月一日以前に施行するということに
なつ
ておるわけですが、できればこの三百四十三條だけを切り離して、少し早目に施行することはできないであろうかというふうな話も承つた程でございまして、三百四十三條の
決議
方式
についてはむしろ一般には実業界は賛意を表されておると私は考えております。然らば今衆議院の
法務委員会
において何故臨時の便法を認める立案をされておるかということになるわけですが、これは恐らく
関係
方面の了解も得られまして、
法律案
として提案されるであろうと思いまするが、その
法律案
によりますると、公布の日から施行になりまして実は
商法
施行までの期間適用されるという
建前
に
なつ
ておるのでございます。言い換えれば三百四十三條の
特剔抉議
方式
は、むしろよろしい、この
規定
が実施されなければ
現行法
の頭数で行かなければならん、これは何とい
つて
も堪え難い、殊に大
会社
、何十万株、或いは何百万株という
株式
が
発行
されて十数万の
株主
があるような
会社
では殆んど不可能である。何とか頭数を落すという点は是非や
つて
頂きたい。そのために臨時の措置として
会社
等臨時措置法の
建前
を酌んだ暫定的立法をされたいというので衆議院の方の
法務委員会
が立案されているのでございます。そういう経緯かち見ましても三百四十三條が眞ちに施行されるならばその暫定的立法の必要は半ばなくなるのでございまして、三百四十三條については大体産業界は賛成であると、かように
承知
いたしております。
松村眞一郎
31
○松村眞一郎君 私ちよつと質問したいのですが、この無
額面
の
発行
ということについていろいろ私は疑問を持
つて
おるのですが、この百六十
八條
を見ると「無
額面株式
ノ
発行価額
中
資本
二組入レザル額」という書き方をしているが私は組入れざる額というよりも。入るる額の方が大事ではないかと思う。組入れざる額というのは意外である。元来この思想は無
額面株式
を
発行
するには割引
株式
と違つた形で同じ効果を得ようというのが重点である。組入れないのは何も問題でない。どうしても
株式会社
としては
資本
維持の
原則
というものがなければならん。これは私の考えです。だから組入るる額ということから出発点にしなければならんというのが一つの点。それから
最低発行価額
を決めるには
設立
の場合のみであると、途中でも
最低発行価額
を決めてもよくはないか多々ますます弁ずる、そういうことを考えておられるかどうか、そうなると更にさつき申した議論に入るのであ
つて
、
資本
に組入るる額ということを決めて置いた方がいいのではないか、非常に区々に
なつ
て幾ら
金額
が入るか分らない。だから
資本
維持の
原則
から行かないと計算が確実でないと思います。そういう考え方が、ここに欠けているんじやないかということと、それから
最低価額
であるというといろいろな申込みがありわけですね。その場合に
最低価額
よりも高く売
つて
最高よりも低いというところに
資本
維持の
金額
を決めてもいいんじやないかという気が私は起る。このやり方はいつでも
最低価額
を標準にしてその中からその
資本
の
金額
を出すことを考える。そういうことを何も限定する必要はないじやないか。最低を維持すれば最高まで沢山区々に
なつ
た場合にそれよりもちよつと上のところに
資本
の維持を決めてもいいんじやないか。元来割引
発行
の代りに無
額面
の
発行
をれはやるのでありますから、非常にこれは折角の無
額面
の
発行
を認めるならば、私言つたように自由に決めていいんじやないか。
資本
に組入るる額一それを法文の議論で行くというと四分の一を超えないような工合にしようというようなことがどこかに書いてありますが一
資本
維持のところに、しれは計算的のことになりますから関連して議論しなければならんと思いますが、二百八十四條ノニですね、「其ノ
発行価額
ノ四分ノーヲ超エザル額ヲ
資本
ニ組入レザルコトヲ得」と書いてある。私はこれだけならば
資本
に組入れるべしという考え方から立法されなければならんというのが私の考え方である。そういう考え方をなぜしなかつたか。元来
資本
の額というものはこれだけであるということを二百八十四條ノニの一項に書いてある。
資本
維持の大事なことは十分分
つて
おる。それならば
資本
維持の
金額
から決めるのが当り前である。組入れられない
金額
は幾らでも
差支
ない。組入るる
金額
が大事である。
資本
増加のためにやるのですから、どのくらいの
資本
増加をするか多多ますます弁ずるのであるから予想以上に入
つて
来れば結構である。それは利益として見ればいいのであるから、
会社
の確実な計算から言えば、
資本
維持の
原則
を徹底して行かなければならん。それは徹底しておりますから、それと同時に株券の中に
最低発行価額
を掲げていいのではないかということを考えることが一つ。もう一つは二十円を下ることを得ずという
規定
がある間は、無
額面
の
株式
を
発行
されても自然五十円、今日は五十円が市場の慣例でありますから、
額面
の
株式
の形にやはり無
額面
の方が引摺られるのではないかということを私は考えますが、その点如何ですか。大体五十円を標準にして最低
発行
価場額は二十円になるか三十円になるか知りませんが、とにかくそんなところに引摺られるのであ
つて
、幾ら無
額面
とい
つて
も
額面
の形に引摺られて行く傾向を持
つて
いるのではないかという点、そういうような点を御答弁願いたい。
岡咲恕一
32
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松村委員のお尋ねになりました
資本
に組入れざる額というこの表現が不適当ではないか、むしろ
資本
に組入るる額というようにするのが適当ではないかというお尋ねでございますが、御指摘にかりました二百八十四條ノニにございまするように、本来無
額面株式
を
発行
いたしました際には
発行
額の
金額
が
資本
となるものでございます。これが申すまでもなく
資本充実
の
原則
というものを現わすという意味におきまして、一応
総額
を以て
資本
を構成するという
原則
を明らかにいたしたのでございます。ただ例えて申しますと、
額面株
を
発行
いたしました際その
額面株
が五十円であるものが仮に百円なり、或いは百五十円で
発行
された場合には、五十円のみが
資本
に組入れられまして、あとの残額は
現行法
におきましても
資本
に組入れられませんし、
改正法案
によりますと、それは
資本準備金
として
資本
に準ずる
金額
として積立てるという
制度
を認めておりまするので、その
額面株式
の
発行
との関連におきまして無
額面株式
でも相当高い対価を以て
発行
せられました際には一部これをいわゆるペイド・イン・サーブラスとして組入れないということを認めることが権衡を保つゆえんである。かように考えまして、
資本
に組入れざることを認める
金額
を二百八十四條ノニにおいで認めたるでございます。従いまして何にも
発起人
組合において決定いたしませんならば、これは当然
全額
が
資本
に組入れられるわけでございます。併しただ相当の多額を以て無
額面株式
が
発行
せられたと、これが
額面株式
であるならば当然プレミアムが附いているという場合に
拂込剰余金
を認めることはむしろ
会社
の経理上、適当であると認めますので、これは
例外
として
資本
に組入れざる額として留保することを認めてよかろう。言い換えれば一つの
原則
に対する
例外
になるわけでございますから、二百八十四條ノニのにおきましては
資本
に組入るる額といたしませんで、
資本
に組入れざる額として
例外
の決定をいたす場合の何と申しますか
取扱
を示したわけでございます。
松村眞一郎
33
○松村眞一郎君
例外
とか
原則
とかいうことは、計算上の問題と思想上の問題とは違うのです。私の今言うのは思想上から考えなければならん。何のために無
額面株式
を
発行
するかという点から御出発にならんといけない。それは全部を
資本
に組入れては困るからこれをや
つて
おるのですから……初めからそういう
制度
なんです。割引
発行
に代る
制度
なのでありますから、初めかち全部組入れるつもりであれば
額面
で
発行
して一向
差支
ない。その思想が、初めから全部は組入れないという思想で出発しておる無
額面
の
制度
を、
原則
として組入れるならこれは計算上の問題である。計算の書き方と、思想の書き方と混同した議論であると私は思う。思想通りに
條文
は書くべきである。こういうのが私の考えですからもえになれば私の方が正しいということはお分りになると思います。
岡咲恕一
34
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松村委員のお尋ねですが、多少誤解がおありではないかと思います。と申しますのは、無
額面株
は仰せのように
券面額
の拘束を受けないという点で
券面額
以下に
発行
される場合がございますけれども、
額面
を超えて、言い換えれば、通常五十円
額面株
であります場合に七十円、八十円で無
額面株
を
発行
する場合も決して少くはないと考えます。
資本
に満たない
金額
で
発行
するというのではございませんで、若し
額面額
を割
つて
無
額面株
を
発行
するという場合には
資本
に組入れざる額を決めるというような
発起人
もおるまいかと思います。これは素直にお読み願えれば分ると思います。
松村眞一郎
35
○松村眞一郎君 そういうことをおつしやるならば無
額面
にやりまして、
発行価額
より更に大きな
金額
を
資本
に組入れるということを書いてよろしいのですか。割引と同じことをやるのですから、
発行価額
よりも大きいものを
資本
として計上する、その方が健全である。割引
発行
は僅かの金しか取れない。そして
資本
維持の外に更に
額面
を維持しなければならん
責任
がある。それであるならば無
額面
の場合にもそういう考えを持
つて
よかろう。無
額面
で
発行
するけれども、
発行価額
を見ると十万しか入らない。併しながら
資本
の
総額
としては二十万円と認めるというお考えがあ
つて
立法が、できておるかというと、そういう考えは入
つて
いない。それがいけないと申しておる。無
額面
なるが故に一部を
資本
に組入れざることを得という思想はいけない。無
額面
であるけれども更に
発行価額
より大きいものを
資本
として計上するというお考えをしなかつたのかと伺
つて
お参る。しなかつたのでしよう。それが抜けておる。
伊藤修
36
○
委員長
(
伊藤修
君) 静かにその点はお考えを願いまして又
逐條審議
のときに御両君にお願いします。本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会 出席者は左の通り。
委員長
伊藤 修君 理事 鬼丸 義齊君 岡部 常君 宮城タマヨ君 委員 齋 武雄君 松井 道夫君 松村眞一郎君
政府委員
法制意見長官 佐藤 達夫君 検 事 (法制意見総務 室第一局長) 岡咲 恕一君