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1950-04-19 第7回国会 参議院 文部委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年四月十九日(水曜日) 午後一時五十一分開会
—————————————
委員
の
異動
四月六日
委員小野光洋
君
辞任
につき、 その
補欠
として
鈴木安孝
君を
議長
にお いて指名した。 四月十日
委員大隈信幸
君
辞任
につき、 その
補欠
として、
門屋盛一
君を
議長
に おいて指名した。 四月十四日
委員鈴木安孝
君
辞任
につ き、その
補欠
として、
小野光洋
君を議 長において指名した。
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
・
衆議院送付
) ○
教育職員免許法施行法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
教育職員免許法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
) ○標準
義務教育
費問題の件
—————————————
山本勇造
1
○
委員長
(
山本勇造
君) それではこれから
会議
を開きます。 本日は、
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
前回
に引続きまして、
質問
を行いたいと思いますが、何か御
質疑
がございますか。
河野正夫
2
○
河野正夫
君 数点
質問
いたしたいと存じます。第五十條の
改正
において、
学校給食
に関する
企画
、
配給物資
の
管理
、
利用
に関することというようなのを
はつ
きりさせたことは大変結構だと思いまするが、これに
関連
して
ちよ
つと伺いたいと思います。 我々が
地方
を視察して参りますると、
学校給食
を、特に
進駐軍放出物資等
によ
つて
、
戰後
の低下した体位を向上させるべく骨を折
つて
おるのは非常に有難いのでありまするが、
実情
は、どうもその
地域
の
特殊性
というか、そういうものを無視して行われ易くな
つて
おるように思うのです。例えば、この
條文
で、
教育委員会
が
配給物資
の
管理
、
利用
に関することを掌ることにいたしましても、これは広い
意味
の
都道府県
全体に属するので、北海道で見るように、乳牛の非常に多い
地域
で
脱脂乳
を配給するというような非常に不合理が見出だされる。そういうような
意味
で、
もと
より
文部省
として
教育委員会
の
監督
というようなことはできないのでありますけれども、こういう
実情
の、土地々々に適応しない画一的な
運営
がなされるという実態から考えると、こういう
給食
、或いは
配給物資
の
管理
、
利用
を
都道府県
の
教育委員会
に任せるということは如何かと思うのでありますが、この点について御
意見
を伺いたいと思います。
辻田力
3
○
政府委員
(
辻田力
君) お答え申上げます。この
学校給食
につきましては、御承知の
通り
相当広範囲に
亘つて
、それぞれ
企画
をいたさなければ、
個々
の
町村
にこれを任せますると、全体の調整から言いまして適当でない面が出て参るのでございまして、それでこの
企画
とか、
配給物資
の
管理
につきましては、
都道府県
のような広い
地域
を所管する
教育委員会
で所管する方が適当だと考えて、一応こういうふうな
規定
を置いたのでございますが、現在におきましても、
実情
は
都道府県
の
委員会
で実際はや
つて
おるわけであります。それで先程お示しがありましたような、現在の
実情
から言
つて
適当でない部面がありますると、それは早急に直さなければならないと思いますので、我々の方で注意して、この
規定
の
運営
に当
つて
行きたいと考えております。
河野正夫
4
○
河野正夫
君 続いて伺いたいと思います。今の件につきましては
質問
はこれで打切りますけれども、どうも御答弁のままではやや納得の行きかねる点があるのであります。それは
運用
の面で御注意を願うことにして、
質問
は打切ります。 次に第五十
二條
の
改正
の場合に、
教育長
の職務につきまして、曾ては
教育委員会
は
教育長
の
助言
と
推薦
を求めることができるとな
つて
お
つた項
を省いてしま
つて
、「
教育長
は、
教育委員会
の行うすべての
教育事務
につき、
助言
し、
推薦
することができる。」こうまあ簡單に言えば
教育長
の方からの
積極性
を認める点は、いろいろ
意見
もありましようけれども、或る場合にはそれも原則的には惡くないでしようけれども、又或る場合にはこういうことのために、
教育委員会
の
自主性
というものが奪われるということが往々あり得ると思うのであります。
もと
より五十
二條
の三の一項で、「
教育委員会
の
指揮監督
を受け」と、
はつきり教育長
の
立場
を明らかにしておるので、法文の問題ではありませんけれども、
運用
の面において、やはり
教育委員会
が
主体性
を持
つて
、專門的なことについて
教育長
の
助言
と
推薦
によ
つて
行うという、その
建前
は飽くまでも貫いて頂きたいと思うのでありますが、
文部当局
の御
所見
は如何でございますか。
辻田力
5
○
政府委員
(
辻田力
君)
只今
の御説は誠な全面的に
文部省
としては同感でございまして、
運営
に当りましてはさような考えで、あらゆる
機会
に
助言
と
指導
をいたしたいと
思つて
おります。
河野正夫
6
○
河野正夫
君 五十四條の
高等学校
に関する
通学区域
の設定に関する
改正條項
でございます。これに
関連
して
一つ
承
つて
置きます。
教育委員会法
が
施行
されましてから、
現地
で
文部当局
その他の
関係者
から余りにも親切な
指導
が行われ過ぎていやしないか、こう思うのであります。例えば
高等学校
について
通学区域
を設定するということに
関連
して、どうしても
農業高等学校
とか、
商業高等学校
とかというのが或る
地域
に存在すると、その
区域
の人はそういう
普通科
のない
高等学校
に通わなければならない。こういうために
総合制
の
高等学校
に全部してしまわなければならないという誤れる
指導
が行われておる例がある。それを
地域
的に挙げれば幾らでも挙げ得るのであります。ところが
教育委員会
の
規則
の定めるところによ
つて
、特に
教育
の
機会均等
を図るために、
通学区域
の問題を採上げられておるようでありますが、私の今申上げたような
現地指導
の実際に徴して、
教育委員会規則等
がどのように定められるのが好ましいのであるか、
文部当局
の御
所見
を伺いたい。もう
一つ
附加えますが、特に昨日か今日かのどこかの
新聞
でも、
職業教育
の問題を論ずる際にもこれが採上げられてお
つた
と思います。大きな
新聞
でこういうことを採上げたというのは非常に有難いと思うのでありますが、我々は昨年一年間の
教育委員会
の視察によ
つて
この点は痛切に感じ、
機会
あるごとに
文部当局
にもその話を通じておるわけでありますから、この際
はつ
きりした御
所見
を伺いたいと思います。
稻田清助
7
○
政府委員
(
稻田清助
君) 新らしい
高等学校
の
制度
が出発いたしまする場合に、
文部省
としては
高等学校設置
に関しまする
手引き
を発表いたしまして、そのうちに
教育
の
機会均等
という目的を達成する
一つ
の方法として、又当時非常に面倒でありました
新制中学校
の方に
校舍
を十分に当てるというような、その他二、三の観点からいたしまして、
高等学校
の
総合制
ということを掲げたわけでございます。併しながらその
手引き
におきましても、この点はよく
地方
の
実情
に応じて、
地方
の
人々
の民主的な意思を十分に聽いて
実施
して頂くようにということを示したのでありますけれども、その後の
状況
におきましては相当この
総合
ということが強行せられ過ぎた
地方
もあるように見受けたのであります。そこで
文部省
として再度通牒を発しまして、この点については十分その
條件
を充足した場合に実現すべきものであ
つて
、
地方
の
実情
に合わず、或いは
地方
の
人々
の
意見
を十分に聽かずに強行することはよろしくない、こう申して参
つた
わけであります。
文部省
の今日の
方針
といたしましてもその
通り
でございまして、
権限
は
地方教育委員会
にございますが、
地方教育委員会
がそれを
実施
せられる場合においては、今後と雖も
十分地方
の民意に聽き、且つ
総合
いたしました場合に
教育
の実際が低下するようなことのないように、十分
條件
の充足せられる場合にこれを
実施
して頂くように考えております。更に
お話
の
職業教育
の振興と
総合性
の問題につきましては、
教育刷新審議会
においても又
職業教育審議会
においてもほぼ同様な結論が出ておりまして、
職業教育
の
充実向上
が非常に大事であるから、
総合
のために損われないようにという
決定
がありますので、その点も又
地方
にお示ししておるわけでございます。
河野正夫
8
○
河野正夫
君 尚数点伺いたいと思います。第五十四條の三の
改正
で、「
教育委員会
は、
学校
その他の
教育機関
の
建築
の
実施
を、
地方公共団体
の長に、原則として委任するものとする。」、こういう案でございます。これは
前回
の流産に
なつ
た
改正案
においてはなか
つた
ところのものでありまして、
教育委員会
の部局に会計並びに
土木
の
局課
を置くことができるというふうに
最初
の
原案
がな
つて
お
つた
ものを、聞くところによれば
衆議院
の自由党の猛烈なる反対のためにこれが更に撤回されて、こういう形にな
つて
来た、こういうことでありますが、一体何故先の案を撤回してこういう形にしたのであるか、その
理論的根拠
はどこにあるかということを承わりたい。
辻田力
9
○
政府委員
(
辻田力
君)
土木建築
に関する
権限
に関しての
規定
の問題でございますが、これは四十四條、四十九條、五十四條の三、この三つの
條文
に
関連
のある問題でございます。この前の
国会
に提出いたしましたものと、今回提出いたしておりますものとの間に相違がある点に関しての御
質問
でありますが、これは
教育委員会
の
立場
からと申しますか、
教育委員会
の側から申しますと、
前回
に提出したような案を
理想
とするのでありますが、併し
理想
を実現する場合におきまして、急激にそこへ持
つて
行くか、或いは漸進的にそこへ持
つて
行くかという問題でありますが、諸種の
事情
を
考慮
いたしまして、漸進的に持
つて
行く方が最もスムースに、円滑に事が運ぶという場合にはその方が適当ではないかと考えたのでありまして、急激に事を運びましてそれが必ずしも円満な解決を得ないということになりますと、結局オール・ナツシングになるのでありまして、今回におきましては
漸進主義
をと
つた
のであります。
河野正夫
10
○
河野正夫
君 今の御
説明
は甚だ奇怪至極なことであ
つて
、
理想
を漸進的に実現して行くという
建前
を
文部当局
が
教育委員会法
に関してだけでも、若しも
最初
から採
つて
おるとするならば、我々が
最初
の
教育委員会法
を
審議
する際に問題とし、そうして
都道府県教育委員会
と、
五大都市
の
教育委員会
は直ちに設けても、その他の
地方教育委員会
は
実施
の
期日
を遅らしてもいいように訂正をしたのは御存じのことと思いますが、一体
日本
の
教育行政
を
教育委員会
によ
つて
行うということは、重大な根本的な変化であ
つて
、これを
理想
とすることは非常にいいのですけれども、これをやはり
現実
に適用するという
考え方
に従えば、今
辻田
さんのおつしやるようなお
考え方
は非常によろしいのですけれども、それに従えばまだ多くの無理の急激な
改革
がなされないでも済んだのではないかと、こう思うのでありますが、
文部省
はときによると多数党の威力によ
つて現実主義者
となり、ときによると非常に高邁なる
理想主義者
になる、この点を今後聊か反省をする必要があろうかと御忠告申上げて、この点に関する
質問
を打切ります。 次に第六十
八條
でありまを姿、ここに
地方公共団体
は
給料
、退隠料その他の
給與
を支給しなければならないとな
つて
おります。この退隠料の
規定
というものは自治体の
條例
で定めることにな
つて
おりまするので、非常に
統一
を欠くと思うのであります。
地方
々々の
事情
、
財政状況等
によ
つて
不
統一
な
傾き
がある。
給料
も
もと
よりそうなりまするけれども、
給料
については今までいろいろな点ゐ
義務教育
に関する
半額国庫負担
の法がありましたために、他の
義務教育外
のものも大体それに釣合いをと
つて
そのことができた。けれども退隠料などについてはそういう
基準
が示されておらんと思うのであります。各
教育委員会
乃至
地方自治団体
の
事情
によ
つてアンバランス
が生じ易い。
従つて
又最近においては
標準教育費
の問題も出ておりまするが、ああいう
法律
でもしつかり定められない以上は、又定められても、尚
地方
の
教員
の
給與
に
アンバランス
を生ずる
可能性
があるのであります。そこでこれらのことを願慮すると、
教員
の
異動
ということがうまく行かない。
従つて
いわゆる
教育
の
機会均等
ということ、
兒童生徒
にと
つて
の
機会均等
ということが実現しにくい
実情
になりはしないか、この点について何らかの
考慮
を要すると思うのですけれども、
文部当局
の御見解を伺いたいのであります。
辻田力
11
○
政府委員
(
辻田力
君) 六十
八條
についての御
質疑
にお答え申上げますが、
只今お話
がございましたように、理論的には
條例
によ
つて
退隠料を定めることになりますと、その
地方
々々によ
つてアンバランス
の結果ができるというふうなことになるのでありまするが、併し実際上の問題といたしましては、各
地方
におきまして
條例
を定められまする場合におきまして、
国家
の
恩給制度
の例によ
つて
や
つて
おられますので、
実情
は
アンバランス
にな
つて
いないのでございまして、我々といたしましては今後
教育委員会
に対して
助言
又は
指導
をいたしまする場合に、その
方針
でや
つて
参りたいと
思つて
おる次第でございます。
河野正夫
12
○
河野正夫
君 最後に
一つ
だけ、第七十條第一項の
改正
でございます。これは
理由
等承
つて
みると非常に適切な
改正
と存じまするけれども、
大臣
乃至は局長の
提案理由
の
説明
の中にもありましたが、事実上
地方教育委員会
というものを二十七年十一月一日に
設置
するということは、これもまだ大いに
研究
を要するのではないか。
法律
は二十七年十一月一日にしておいて、その間においていろいろと
地方行政機関等
を
研究
の結果、又
改正
をする御意向のようでありますが、その
研究
の際にもつと
日本
の
風土
に合
つた
ような、又
地域
の
特殊性
に合
つた
ような、
区域
乃至は
教育委員会
の
運営
全体についても
考慮
をする必要があると思うのです。その点について御
意見
を承わりたいと思います。
辻田力
13
○
政府委員
(
辻田力
君)
地方教育委員会
の
設置
の範囲と申しますか、
單位
につきましては、
只今お話
がございましたように、
政府
としても
十分考慮
をし、又
研究
を続けておるものでございます。
本案
につきましては全国的に、
個々
の
町村
にまで
地方行政
、
財政
の
調査
をいたしまして、その結果によりまして、どの
程度
の
地域
であれば
財政
的にも、勿論
教育
的にも効果を現わすことができるかということを
研究
いたしまして、それによりまして一定の
基準
を設けて、二十七年までに
研究
いたしまして、その上で場合によ
つて
は
教育委員会法
の
改正
ということも又お願いしなければならんということになろうかと思うのであります。尚その他の
部分
につきましても
研究
を続けておりますので、適切でないということが分りますれば、適宜
改正
をいたしたいと考えておる次第でございます。
山本勇造
14
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
質問
はございませんか。……外に御
質問
がご
ざいませんければ本案
につきまして
討論
に入りたいと思まいすが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
15
○
委員長
(
山本勇造
君) それではこれから
討論
に入ります。御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。
河野正夫
16
○
河野正夫
君
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律案
は、先の
国会
以来
審議
を重ねて来たのであります。然るに今回の
政府原案
、並びに
衆議院
において
修正
したものを通観いたしまするというと、先の
国会
で問題と
なつ
た、
改正案
に関するいろいろな議論が大分取入れられておる。その点では大変進歩しているものと思います。それ故に更に又我々の
主張点
である
施行期日
の問題、
地方教育委員会
の
区域
に関する
研究
の
問題等
も十分に
考慮
せられておる。
教育委員会
の
主体性
、
教育長
の
権限
の問題についても、まだ納得行きかねる点がありますけれども、比較的緩和されて事態を明瞭にしようとする
努力
の跡が窺われることによ
つて
、大体難点がなくな
つて
来ているものと存じますので、一応この
程度
の
改正
であるならば納得できるというふうに
思つて
、社会党は
賛成
をいたすものであります。 けれどもこの際二つの点について
希望
を申上げておきたいと思います。その
一つ
は
教育委員会法
の
施行
される……。
最初
の教異
委員会法案
が
国会
に上程されたときに問題とな
つて
お
つた
、
教育委員会
の
財政
的な裏付けがない、こういう問題であります。この問題はその後事実において証明されておりますし、昨年我々
参議院議員
が
地方教育委員会
の
運営
の
状況
を視察して参りましても、
都道府県教育委員会等
においては、五十名ぐらいの実際の
現職教員
を
事務当局
で
事務員
として採用しておる。
事務員
と言いますか、いろいろな吏員として採用しておる。それは何故かというと、
教育委員会
に
予算
がないので、いわゆる
半額国庫負担
の
教員
を
事務当局
の方に採用しているというような
現実
もあるのでありまして、最近の
調査
によ
つて
もまだそういうものが消えてなくな
つて
おりません。いわゆる
定員定額
のやかましてときに、その不足の
教員
を教壇から去
つて
、
教育委員会
に移しているということも、実は
教育委員会
に
財政
的な裏附けを
法律
的にしていないということに
欠陷
があるからであります。今回は
根本的改正
でないので、この点は我々も触れませんけれども、将来に
亘つて
何とかしてこういう点について根本的な措置を
研究
しなければならんと我々も
思つて
おりまするが、
当局
もその点について格段の
努力
を拂われたいと思うのであります。 第二の点は、私の
質問
においても申上げておるのでありまするが、一体
終戰後
の
教育改革
がいほゆる
理想
に捉われて、
現実
を顧みない、或いは又この国の
風土
に合わないものをそのままに採入れようという点が多々見られるのであります。
教育委員会
の
運用
についても、その
地域性
を尊重するとか、
住民
の
希望
を重んずるとかということこそ、
教育
の
地方分権
ということで……、
教育
ばかりじやなくして、一般に政治の
地方分権
というような
趣旨
を徹底させ、
民主主義
の徹底になり得るのだろうと思うのであります。この点についてむしろやはり
天降り式
な
法律改正
、
制度
の
改正
、
従つて
又
事大小
となく
文部当局
の指示に従い、或いは他の権威ある者の言葉に盲従し、そして真実の
住民
の要求というものを考えて
運営
をしないという
傾き
がある。この点について今後
文部当局
は十分にその
助言
と
指導
の
立場
を活用されんことを
希望
する次第であります。
文部当局
の一言というものは
地方
へ行きますると非常に強響くく。今日の時代であ
つて
も、
文部当局
の單純な忠告が強制的な命令のように響く。こういうまだ
日本
は民主化されていない状態なんであります。だからこの際、
文部当局
の言動は頗る責任重且つ大なるものがある今日においては、この
運用
については
十分気
を付けて頂きたい。以上の
希望條件
を附してこの
改正案
に
賛成
するものであります。
山本勇造
17
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
意見
はございませんか……。別に御
意見
もないようでありますから、討議は終局したものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
18
○
委員長
(
山本勇造
君) それではこれから採決に入ります。
教育委員会法
の一部を
改正
する
法律案
を
原案
通り
可決することに御
賛成
の方は御
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
山本勇造
19
○
委員長
(
山本勇造
君)
全会一致
と認めます。よ
つて本案
は可決と
決定
をいたしました。 尚本
会議
における
委員長
の
口頭報告
の内容は、慣例によりまして
委員長
に御一任を願いたいと思います。 それから尚
委員長
が議院に提出する
報告書
には、多数
意見者
の
署名
を附することにな
つて
おりまするから、
本案
を可とせられました方は順次御
署名
をお願いしたいと思います。 多数
意見者署名
若木 勝藏
木内キヤウ
藤田
芳雄
河崎 ナツ
河野
正夫
左藤
義詮 岡崎 真一 星 一 三島
通陽
鈴木
憲一
—————————————
山本勇造
20
○
委員長
(
山本勇造
君)
ちよ
つと
速記
を止めて下さい。 〔
速記中止
〕
山本勇造
21
○
委員長
(
山本勇造
君)
速記
を始めて下さい。 次に、
教育職員免許法施行法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
にいたします。
玖村敏雄
22
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 第
二條
の
改正
につきましては、今までにたびたび御
質問
があり、御
説明
いたした
通り
でありますが、要するに
施行法制定
後の
研究
に基いて相互のバランスを取るために
改正
するものであります。 第
八條
の
改正
は、
校長
になるには
教諭
の
一級普通免許状
が必要でありますが、
昭和
二十六年三月までに
教諭
の
一級普通免許状
を取ることは困難でありますので、これを
昭和
三十年までに延期しようとするものであります。 附則第五項につきましては、今までしばしば御
説明
いたした
通り経過的特例
でありますので、
新制大学完成
を期に
免許法
の本則によるようにしようとするものであります。
鈴木憲一
23
○
鈴木憲一
君
旧制大学
三年で退学したような場合は、如何なる取扱を受けるのですか。
玖村敏雄
24
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
旧制高等学校卒業
(
施行法
第
二條
第二項の表の第十五
号該当者
)で
高等学校
、
中学校
の二級になり、その
資格獲得
後
大学
で勉学した者は、
上級免許状
を受ける場合の
必要單位
に計算して貰えます。
河野正夫
25
○
河野正夫
君
教職科目
を履修しておらない
旧制大学
を卒業した者に、
高等学校中学校
一級を與えるのは問題があると思いますが……。
玖村敏雄
26
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
既得権
を侵害することになるので認めるべきであります。
鈴木憲一
27
○
鈴木憲一
君
改正案
の備考第2によれば、
養護教諭
の場合にも
講習
、
通信教育
でよいとな
つて
いますが、その事由を伺いたい。
玖村敏雄
28
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
養成機関
を卒業し
免許状
を受けました者が、更に
上級免許状
を受ける為に
養成機関
に再入学しなくてもよいようにし、
上級免許状取得
を容易にしたのであります。
鈴木憲一
29
○
鈴木憲一
君 この場合の
講習
はどこで行うのでありますか。
玖村敏雄
30
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
大学医学部
で行うようになると思います。
鈴木憲一
31
○
鈴木憲一
君
私立大学
が、
認定講習
を開設する場合には、
文部省
に通知があるのですが、又開設するために
予算
で
補助
は出来ませんか。
玖村敏雄
32
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
認定講習
は、
文部大臣
の認可を必要としています。
補助
に関しては、法的には可能と思いますが、実際問題として、制限された
国家予算
では
実施
困難と思います。
河野正夫
33
○
河野正夫
君
施行法
第一條第一項の表の「第十五の二」は旧
免許状
を受けた者が、新
免許状
に切換える
規定
でありますか。
玖村敏雄
34
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 直接新
免許状
を受ける
規定
であります。
河野正夫
35
○
河野正夫
君
施行法
第
八條
の
改正
によれば、
校長
の場合のみその期間を延長していますが、助教の場合を現行のまま、二十六年三月までとすると、実害が起ると思いますが……。
玖村敏雄
36
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 助教の場合、二十六年三月まではそのまま勤められるわけでありますから、それから一ケ年即ち
昭和
二十七年三月までは、その身分は保障されるわけであります。
河野正夫
37
○
河野正夫
君
免許法
としては、
教育職員
の
免許状
を幾段階にも分けていますが、これは職階に
関連
を持つのでありますか。
玖村敏雄
38
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 人事院には、当分の間結びつけて考えないよう申入はしてあります。
山本勇造
39
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
質疑
はございませんですか。……では
質疑
はないものと認めまして、
本案
について
討論
に入りたいと思います。
藤田芳雄
40
○
藤田芳雄
君 この際、教異
職員免許法施行法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正案
を提出したいと思うのですが、皆様のお手許へその一部は廻
つて
行
つて
おると思いますが、その際の
提出者
の
議員
の
名前
が六名上
つて
おりますが、これは
司令部
の方の許可を得るためにこれだけの
名前
を連ねましたので、
修正案
としては
河野議員
なんかも中へ入
つて
頂き予定でおりますが、
説明
を
河野議員
からお思いをしたいと思います。
山本勇造
41
○
委員長
(
山本勇造
君)
只今藤田
君から今のような動議がありましたが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
42
○
委員長
(
山本勇造
君) それでは
河野委員
。
河野正夫
43
○
河野正夫
君 本
施行
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正案
として、殆んど各会派の御
賛成
を得て、次のような
修正案
を提出いたします。一応読みます。 その
修正
の
理由
は、七の一と挿入した
部分
につきましては、旧
国民学校
の
專科教員
としての免状を持
つて
いる者は、
中学校
の
教員
の
仮免許状
しか貰えないことにな
つて
いるのであります。ところがこの
專科教員免許状
を有する者でも実は旧
專門学校
に準ずるところの
各種学校
を卒業した者があるわけでございます。新
免許法
の主眼とするスクーリングという点から行くと、
專門学校卒業程度
のものと考えてよい者でございまするから、当然
中学校教員
の二級
普通免許状
を與えてもよかろうと、こういうのが
改正
の
趣旨
でございます。 次の第
二條
第一項の表第二十四号の
改正規定
の前に附加えたところの十八号の
改正規定
につきましては、
高等学校
教諭
仮免許状
を有するものとみなされた者に
高等学校
の
教員
の二級
普通免許状
を與えるということは現行法
通り
なんであります。ところがこれは專門的な、実習的な
教員
の
免許状
でございまするので、当然に科目別の、教科別の
免許状
を考えているところの
中学校
にも適用するのが当然であるという
意味
で、
中学校
の
教員
の二級
普通免許状
をも與えることができるというふうに改めたものであります。大体ごたごた言いましたけれども、この二点が
改正
の主眼点でございます。
山本勇造
44
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
意見
ございませんか。別に御
意見
もないようでございまするから
討論
は盡きたものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
45
○
委員長
(
山本勇造
君) 御
異議
ないものと認めます。 それではこれから採決に入ります。
教育職員免許法施行法
の一部を
改正
する
法律案
について採決いたします。 先ず
討論
のうちにありました
河野
君外六名提出にかかる
修正案
を
議題
に供します。
河野
君外六名提出の
修正案
に
賛成
の方は御
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
山本勇造
46
○
委員長
(
山本勇造
君)
全会一致
でございます。よ
つて
河野
君外六名提出の
修正案
は可決されました。 次に
修正
の
部分
を除いた
原案
を
議題
に供します。
修正
の
部分
を除いた
原案
に
賛成
の方は御
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
山本勇造
47
○
委員長
(
山本勇造
君)
全会一致
と認めます。よ
つて
教育職員免許法施行法
の一部を
改正
する
法律案
は
全会一致
を以て
修正
可決いたされました。 尚本
会議
における
委員長
の
口頭報告
の内容等につきましては、慣例に従いまして
委員長
に御一任を願いたいと思います。それから
委員長
が議院に提出する
報告書
につきましては多数
意見者
の
署名
を附することにな
つて
おりまするから、これに御
署名
を順次願いたいと思います。 多数
意見者署名
若木 勝藏
木内キヤウ
藤田
芳雄
河崎 ナツ
河野
正夫
左藤
義詮 岡崎 真一 星 一 三島
通陽
鈴木
憲一
—————————————
山本勇造
48
○
委員長
(
山本勇造
君) 次に、
教育職員免許法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
玖村敏雄
49
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 第三條第三項の
改正
中の特殊教科と申しますのは盲
学校
高等部の理療即ちあん摩、マツサージ、はり、きう及び盲人の音楽、ろう
学校
高等部の理容即ち理髪、美容をいうのであります。これらの教科を担任する者は
高等学校
の普通の教科の
免許状
を持つことが困難であり、又必要も認めないのであります。 附則第六項は
施行法
の一部
改正
によ
つて
旧制
学校
卒業者等で経験年数の多い者も少し者もすべて
免許法
別表第四によることになるので不公平の起らないように基礎
資格獲得
後の経験年数を計算に入れ得るようにしたものであります。 附則第七項、第八項は
学校
教育
修業年数を基礎にし新旧
制度
の間のバランスをとるために考えたものであります。
河野正夫
50
○
河野正夫
君 現在
中学校
教諭
仮免から二級になる場合の
單位
数は何
單位
ですか。
玖村敏雄
51
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 十五
單位
であります。
河野正夫
52
○
河野正夫
君
中学校
教諭
二級から一級になる場合は、四十五
單位
とな
つて
いるが、それでよいのですか。
玖村敏雄
53
○
説明員
(
玖村敏雄
君) 御見解の
通り
であります。
鈴木憲一
54
○
鈴木憲一
君 附則第七によれば、
高等学校
の二級から一級になるための
單位
を「十五」から「四五」に改めているが、その事由を伺いたい。
玖村敏雄
55
○
説明員
(
玖村敏雄
君)
施行法
第七條の廃止に伴いまして、旧制の
專門学校
卒業者で中等
教員
の
免許状
を有する者も別表第四によることになりますが、新制
大学
卒業者よりもスクーリングが二年少いので均衡上四十五にする必要があります。このことは
免許法
立案当時はまだ考えていなか
つた
のであります。
山本勇造
56
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
質疑
ございませんか。……御
質問
がなければ
討論
に入ることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
57
○
委員長
(
山本勇造
君) それでは
討論
に入ることにいたします。
河野正夫
58
○
河野正夫
君 実はすでに一事不再理という原則から言えば、もう
只今
万場一致で可決になりました
免許法
施行法
の点にも
関連
があ
つて
、
免許法
の一部を
改正
する
法律案
は両方相
関連
するものであるのでありまするが、この法案に関する
討論
に際して、或いは
施行法
の点についても触れることがあろうかと存じまするが、御了承を頂きたいと思うのであります。
最初
に賛否の態度を明らかにいたしますると、この法案の
修正
部分
には可なりこの法
施行
後の
実情
から
現実
に即応して改めた
部分
があるのでありまして、その点は極めて結構かと存じますけれども、我々といたしましてはこの
免許法
の一部を
改正
する
法律案
につきましても、或いは
施行法
の一部を
改正
する
法律案
につきましても尚多くの
修正
要求を持
つて
お
つた
ものでありますけれども、諸般の
事情
からそれらの
修正
が手続上不可能でありましたので止むを得ず
賛成
をする、今回の
改正案
の
改正
部分
のよい点を生かさなければならん必要上から止むを得ず
賛成
するという態度をと
つて
おるものであります。これが社会党の
立場
でございます。ただこの際是非
希望
を申述べて置きたいのでありまするが、
免許法
並びに
施行法
の
改正
に関してはこの内容の一々についていろいろ問題を含むことは勿論であるのでありまするが、全体としては
免許法
を免何に活用するかということにかか
つて
来るのであります。この
立場
に立ちますると、どうしても国費により、或いは
地方
費によ
つて
相当の
予算
が組まれなければならない。これは我々が
質問
の場合にも明らかにしたことなんであります。然るにそれらのことが極めて不完全な間に
免許法
が、又
施行法
が
改正
せられようとしている。その点にもう少し愛情を持
つて
改正
がなさるべきではなか
つた
かというのが、我々の不満とするところであります。それ故にこの両法案の
運用
に当
つて
は、成るべく
実情
に即し
個々
の非常に錯雑した、入組んだ
個々
人の要求というものを
考慮
しながら、本年は止むを得ないとしても来年度においてでもつと多くの
予算
的措置を講じて、
教員
の質の向上ということに努めて頂きたい。これを
希望
して本法案に
賛成
するものでございます。
山本勇造
59
○
委員長
(
山本勇造
君) 外に御
意見
はございませんか。別に御
意見
もないようでありますから
討論
は終局したものと認めて御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山本勇造
60
○
委員長
(
山本勇造
君) それではこれから採決に入ります。
教育職員免許法
の一部を
改正
する
法律案
を
原案
の
通り
可決することに御
賛成
の方は
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
山本勇造
61
○
委員長
(
山本勇造
君)
全会一致
と認めます。よ
つて
本法案は可決と
決定
をいたしました。 尚本
会議
における
委員長
の
口頭報告
の内容は、慣例に従いまして
委員長
に御一任を願います。尚
委員長
が議院に提出する
報告書
には多数
意見者
の
署名
を附することにな
つて
おりまするから、
本案
を可とされた方は順次御
署名
をお願いいたします。 多数
意見者署名
若木 勝藏
木内キヤウ
藤田
芳雄
河崎 ナツ
河野
正夫
左藤
義詮 岡崎 真一 星 一 三島
通陽
鈴木
憲一
—————————————
河野正夫
62
○
河野正夫
君 この際、我々の
委員会
において各会派の
委員
からしばしば問題にな
つて
いたところの平衡交付金法案と
関連
を持
つて
おります
義務教育
の面における
標準教育費
法というようなものが、
文部省
で用意され、本
国会
に提出せられるということを承
つて
お
つた
し、その行方について非常に重大な関心を我々一同持
つて
おるものであります。この際この点について、
文部当局
から現在の情況、立案過程或いは交渉手続中の情況を承
つて
おきたい。皆様に御
異議
がなければ、この緊急
質問
をお許可下さることを
希望
いたします。
平島良一
63
○
政府委員
(平島良一君) 憲法で義務付けられました
教育
の国庫の
補助
がなく
なつ
たときに、
文部省
といたしましては、どうしてもああいうふうな
標準教育費
に関する
法律
というものを定めたいというので、皆さんにもいろいろ御高配を頂いてお
つた
のでありますが、それにも拘わらず提案の遅れておりますることは、何とも申訳ないと存じておりまするので、会期も切迫いたしておるときでありまするから、一日も早く提案いたしたいと焦慮いたしておるのであります。いろいろな情勢から遅れておりまして、先程申上げまするように何とも申訳がないような次第でありますが、その経過につきまして、今稻田局長から報告いたしたいと思いまするので御了承頂きまして、今後とも御協力を頂きたいと存ずる次第であります。
山本勇造
64
○
委員長
(
山本勇造
君) それでは
速記
を止めて下さい。 〔
速記中止
〕
山本勇造
65
○
委員長
(
山本勇造
君)
速記
を始めて下さい。 それではこれから稻田
政府委員
から今の問題について詳しく聽きたいと思いますが、懇談会に移してそれを聽きたいと思いますから、
委員会
はこれで閉じることにいたします。それでは散会いたします。 午後二時四十四分散会 出席者は左の
通り
委員長
山本 勇造君 理事 若木 勝藏君
木内キヤウ
君
藤田
芳雄
君
委員
河崎 ナツ君
河野
正夫
君
左藤
義詮君 岡崎 真一君 星 一君 三島
通陽
君
鈴木
憲一
君
政府委員
文部政務次官 平島 良一君 文部事務官 (初等中等
教育
局長) 稻田 清助君 文部事務官 (
調査
普及局 長)
辻田
力君
説明員
文部事務官 (教職員養成課 長) 玖村 敏雄君