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藤野繁雄君 次は農地改革と登記の問題であります。農地及び牧野の買収、及び売渡しということは、登記によ
つて初めて完了するのであります。又完全に登記が行われて所有権も分けになり、徴税上も便利に
なつて来るのであります。そういうふうにいろいろの
関係がありますから、これ又毎国会ごとに急いで登記事務を完了するようにという督励を加えて来たのでありますが、遂に今日まで現在の状況に
なつて来たと、こういうふうな状況であるのであります。
然るに先般その筋からの要請もあ
つたために、本年に至
つてから政府の方では非常手段を講ぜられて、各
都道府県知事を督励せられて、三月末で登記が完了するようにという督励をされて、ややその成績を現わしたであります。政府が参考資料として示された資料によ
つて見まするというと、農地で買收登記が済んでおるのが八二・二%、この売渡し登記が済んでおるのが六二・六%、牧野で買収登記が済んでおるのが四三・五%売渡し登記が済んでおるのがと二七・三%であります。而して私の想像するのに、この登記が完了しておると、こういうふうなものでも、本当に完全に登記が済んだものはその或る部分で、ただ登記所が登記書類を不完全ながら受理したのみである、こういうふうなことに私は考えておるのであります。然らばなぜそういうふうに登記が遅れたのであるか。こういうことを考えて来ますというと、登記が遅れたところの原因は、農地
委員会の人員が手不足であ
つたということ、又
土地台帳関係の事務が税務署から登記所に四月一日から移管されたということ、その移管されたためにいろいろの仕事がごたごたとしたというようなこと、又登記所の人員は何人増加されたか存じませんけれども、登記所の人員に限りがあり、而してその登記所は
一般の登記所でなければできない、農地改革の登記のみに専念することはできない、こういうふうなことで登記が遅れたのじやなかろうか。又各登記所の実際の状況を見てみますというと、税務署から
土地台帳は送り込まれたが、これを完全に整理するところの設備もない。それで四月一日に
なつて、受付けたところのものを整理しようと
思つても、完全に整理することができない、こういうふうなのが現在における登記の遅れておるところの原因、或いは現在まで進行しないところの原因ではなかろうかとこう思うのであります。又登記事務ということは国家の事務でありますから、これに要するところの
経費は全額国家負担としなくちやできないにも拘らず、その登記事務に要する
経費を政府から支出される登記の金額が少いからであるという、こういうふうに断ぜざるを得ないであろうと存ずるからであります。この点については
予算委員会で
農林大臣に
質問をしたのでありますが、私の計算によ
つて見まするというと、政府が過去において支出されたところの費用が二億二千六十万円、一筆当りの費用が八円弱であります。実際に要した一筆当りの費用は十五円乃至三十円で、平均二十五円ぐらいじやなかろうかと思うのであります。そういたしますというと、一筆当りの支出金が約十七円になるのであります。必要の総
経費は四億四千九百二十万円になるのであ
つて、四億四千九百二十万円の内、政府が支出したところの金が二億二千六十万円というような数字に
なつて二億数千万円の
経費が足らなか
つたために登記が遅れたのだ。そうして一例を挙げて見まするというと、私の村は、完全に予定の期日までに登記が済んだ、こういうふうなことでお褒めを
農林大臣から頂いたのでありますが、これには土地を自作農にして貰
つた、自作農に
なつたところの農民が、各反別に応じて相当の負担をや
つたからである。即ち農民の犠牲によ
つて初めて登記が完了したのだ。こういうふうに考えられるのであります。私は一日も早くこの登記の完了を希望しておるのでありますが、又今後残されたるところの登記というものは、所有権の移転その他について非常に煩雑なものであ
つて、
簡單に登記が済むことはないのであります。こういうふうな残されたところの登記を完了するためには、又残務を整理するためには、担当の費用を要して行くのにも拘らず、今回農地
委員会の員数を減少せられたということは如何なる
理由であるか。農地改革は大体においてでき上
つたというようなことでありますけれども、農地改革は登記完了して初めてでき上り、更にさつき申上げたように、農地改革から農業改革に進んで来なくちやできない、こういうふうに
なつて来るのでありますが、現在の
予算では、農地
委員会の書記を減少しておられるのでありますが、現状から考えて見れば、これは減少したのは間違
つておる。
予算作成の当時は三月末日で完了しようとする見込であ
つたからあの
予算でよか
つたのであるけれども、現在で行
つたならば間違いであ
つた。であるから減員するということにせずして、従来通りにして、一日も早く登記を完了させる。こういうふうな考があるかどうか。未済の登記をいつまでに完了される見込であるか。又現在の
予算で一人減しておるのであるから、これは二人にすることは
予算上できないということで行かれる考であるかどうか。この点お伺いしたいと思うのであります。