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1950-04-21 第7回国会 参議院 農林委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十一日(金曜日)    午後三時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、輸出農林水産物検査所の  出張所設置に関し承認を求めるの件  (内閣提出) ○造林臨時措置法案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれから委員会を開会いたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて下さい。  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出農林水産物検査所出張所設置に関し承認を求めるの件及び造林臨時措置法案を議題にいたします。この承認を求めるの件は、参議院の方が先議として提案されておりますので、案件内容も極めて簡單なものと存じますが、そのおつもりで御審議を頂くことにいたします。両法案とも、これより農林大臣から、提案理由説明を伺うことにいたします。
  4. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 輸出農林水産物検査所出張所設置承認につきまして、提案理由を御説明申上げます。  輸出品の声価の向上及び品質の改善を図り、輸出貿易の健全な発達を期するため、昨年三月十五日から輸出品取締法に基く検査実施して来ておるのでありますが、昨年は取敢えず本所を東京に、支所又は出張所を小樽、横浜清水、名古屋、神戸及び岡山の六ケ所に設置して実施して参つたのであります。然るに、その後貿易上の制限が緩和され、輸出数量が増大すると共に、門司港の航行が自由になりましたので、今後九州産のものは門司港を通じて輸出される場合が増大すると予想されるのであります。  九州で生産される蔵出農林水産物は、種子、百合根、花莚、本材、木ろう毛皮等であります。  現在九州地区には検査所が設置されておりませんので、必要のあるときは岡山等から出張して検査しておるのでありますが、検査業務を円滑にするため、門司出張所を設置いたしたいと存ずるのであります。  以上が出張所設置に関する提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御承認あらんことをお願いする次第であります。  次に、造林臨時措置法案につきまして、その提案理由を御説明申上げたいと思います。  すでに多くの人によつて指摘されておりますごとく、我が国の森林は、戦時及び戦後の過伐、濫伐により、年々森林蓄積への喰込伐採を強行して参りました結果、資源は漸次縮少化の一途を辿り、現在民有林だけで凡そ百二十万町歩を超える造林未済地が累積しておる有様でありまして、このような森林の再生産過程における著しい不易衡がい国土保全はもとより、将来の林産物需給の上にも重大な支障を招くにいたることは、多くを申上げる必要はないと存じます。植伐の均衡を取り戻し、更に森林資源長期維持確保して参りますことは、今後のわが民有林行政において最も重要にして、且つ困難な問題でありまして、あらゆる施策を結集してこの問題の解決に当らねばならないのでありますが、なかんずく再造林確保し、林業成立の基礎を確立することが、その重要な課題を達成する第一歩であると存ずるのであります。これがため政府は、昭和二十四年度より民有林造林五ケ年計画を樹立し、これが実施の裏ずけとして補助融資樹苗確保の対策を講じておるのでありますが、これと共に森林所有者自身造林意慾を喚起することが緊急の要務でありますので、ここに造林臨時措置法案を提出した次第であります。  以下本法案の主要な内容について、概略御説明申上げます。  第一は、造林地指定であります。この法律の施行のときから今後五ケ年間、現に存する伐採跡地、無立木地文は散生地たる森林原野であつて国土保全上急速に造林を必要とするものを、造林地として指定いたします。造林地指定するには、その造林計画を定めてすることとし、造林地指定があつたときは、その所有者又は使用収益権者が、造林計画に定められた期限までにその計画従つて植栽を完了することが期待される次第であります。  第二は、造林者指定についてでありますが、造林地所有者又は使用収益権者造林計画に基いて植栽を行う意思があれば、その旨を予め一定期日までに申出させることとし、その申出がないときは、別に造林者指定し、その者が代つて造林を行うのであります。又造林地所有者又は使用收益権者造林をするつもりでその申出をした場合でも、造林計画に定められた期限までに植栽を完了しなかつたときは、同様に造林者指定することとしております。  第三は、地上権設定であります。造林者指定を受けた者は、造林計画に定められた期限までにその植栽を行うために、造林地所有者に対して造林地地上権設定に関する協議を求めることができるものとし、協議がととのわないときは一都道府県知事が裁定することとしたのであります。指定造林者植栽した林木は、地上権設定の際取決めた割合で、指定造林者造林地所有者との共有となるのであります。  第四に農林地調整についてでありますが、自作農創設特別措置法により開拓適地として指定され又は未墾地若しくは牧野として買收されたものについては、造林地指定をすることができないこととすると共に、造林地については、自作農創設特別措置法による指定又は買収の処分ができないこととし、林地農地牧地との土地利用調整し、且つ造林地経営の安定を確保するよう措置したのであります。以上が本法案内容でありますが、森林の荒廃が災害の頻発等公共福祉に大きな支障となつておる現在において、この法案趣旨は、森林所有する人々に十分理解されておることと考えるのであります。何とぞ御審議の上、速かに可決あらんことをお願い申上げます。
  5. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 最初に、簡單でありますから、輸出農林水産物検査所出張所設置に関し承認を求めるの件について、若し御質疑がございますれば、御質疑をお願いいたします。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 提案理由書によつて見まするというと、九州で生産される輸出農林水産物は、種子、百合根、花莚木材木ろう毛皮、こう書いてあるのでありますが、水産物はないのでありますか、伺いたいと思うのであります。
  7. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 検査課長から説明させます。
  8. 田下武弘

    説明員田下武弘君) 今のお話の点は、輸出検査所は、食料品検査所と、それから農林水産物検査所二つになつておるのでございます。お話食料品関係罐詰とか、或いはその他の食料品は、輸出食料品検査所でやつておりますので、これは現在も門司出張所が置いてあります。農林水産物の方、ここに挙げました、花莚、百合根、木ろう或いは木材関係というようなものについては、現在ないものでありますから、そつちの関係出張所を設けると、こういうわけであります。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の知る範囲内においては、ここに書いてある百合根でありますというと、九州では長崎県、佐賀県が最も主なる産地であります。従つて、そういたしますといたしましたならば、長崎出張所を置くことが、この点から考えて見ますというと適当であろうと考えるのでありますが、この点お伺いしたいと思うのであります。
  10. 田下武弘

    説明員田下武弘君) お話の百合根につきましては、長崎県、佐賀県が百合根の中心産地になつておるのであります。併し、花莚につきましては福岡県が中心産地になつております。そういう品目別に見ますと、それぞれ産地県は違うのでございますけれども、輸出検査の本来の建前といたしますと輸出港において検査をするのが建前でございます。併し実際門司から積出す場合もございますし、或いは百合根のようなものは、神戸から積出す場合もございます。今度門司港に出張所を置きましても、門司港から出るものだけを検査するという意味ではございませんので、九州地区に置く検査所としまして、場所を門司港に置きたい、かように考えたわけでございます。従いまして、九州の各産地にもそれで検査品目によりましては長崎県、或る品目につきましては福岡県、或いはその他の品目につきましては佐賀県に行つて検査する場合もあると思います。
  11. 加賀操

    加賀操君 この出張所を置く必要な予算及び人の措置はできておるのでございますか。
  12. 田下武弘

    説明員田下武弘君) 予算の方は、大蔵省の二十五年度の予算で認められております。これは輸出農林水産物検査所で四千三百三十一万八千円と思いますが、四千三百三十一万八千円という予算で、すでに門司港について八人の人を置くという予算を認められております。ただ非常にこれを承認をお願いするのが遅れましたのは、行政管理庁新規増員の分は今年相当大きく削減するという話がございまして先だつてまで実は農林省の定員が決まらなかつたわけです。その削減の一つの項目に挙げられておりまして、非常に行政管理庁の初めのお話のように人を削減されるならば、とても門司出張所を置くことは無理だ、人数の点から言いますと……、ということで非常に遅れたわけでありますが、幸い先だつて定員が決まりましたので、大体これならば少し削減されましたけれども、門司にやはり出張所を置く方がいいじやないかということになりまして、実は今回遅れましたが、お願いいたした次第であります。人数は、さつき申しました大体八人を予定しております。
  13. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質疑もなければ、この案件は極めて簡単な案件でありますから、これより直ちに採決いたしたいと思います。この輸出農林水産物検査所出張所を設置することについて承認することに御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  14. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて全会一致を以て本件は承認することに決しました。例により御署名願います。   多数意見署名    池田宇右衞門  藤野 繁雄    門田 定藏   北村 一男    柴田 政次   加賀  操    徳川 宗敬   山崎  恒    岡村文四郎   —————————————
  15. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に、造林臨時措置法案について御質疑を行うわけでありますか、これは一つ質疑の前に、林野庁の方からいろいろ従来の五ケ年計画関係もあり、又予算或いは資金計画等についても御計画があると思いますから、その方の御説明を予めして頂いたらと思います。それでは奥原林政課長から説明を聴取することにいたします。
  16. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 造林臨時措置法案の大体の要旨につきまして掻摘んでお話申上げたいと思うのでありますが、先ず第一は、この法案狙いとするところでございまするが、これは森林所有者及び使用収益権者という本権者が積極的に造林をしなければならないという意欲を起させるように推進するということがこの法律狙いであるのでありまして法案内容について入つて参りますれば、第三者造林者として指定されて、そうして造林をなし得る権利を取得すると、こういうふうな構成に相成つておりまするけれども、これは要しまするのに本権者をして造林をさせたいと、こういうふうなことを推進いたしまするための一つのからくりに過ぎない次第であるのでありまして、従いまして以下申上げまするごとく、飽くまでも本権者を優先させまして、本権者が明示又は黙示の造林行為放棄をいたしました場合でない限りは、第三者機会を取得することがないような法律構成をとつておりまする次第であります。併しながら林地に関しまする本権者造林をして行かなければならないという、こういう拘束を受けますることは、林地所有権又は使用收益権と申しまするものが、公共福祉から参りまする一つ制限を受ける。従つてそれに関しまする財産権公共福祉ということから来る要請の枠の中においてのみこれを行使し得る次第であるのでありましてこの程度拘束を加えますることは、憲法の認めておりまする財産権尊重精神にも反しないものであると考えております次第であります。この法律実施をいたして参ります前提措置といたしまして、法案の第一條第三項に謳つておりまするがごとく、造林に関する補助金交付資金融通苗木確保等施策は、政府としても十分責任を持つてこれをやつて参らなければならない次第であるのであります。補助金の問題に関しましては、昭和二十五年度におきまして、約十九億の公共事業費の計上をいたしておりまして、これによりまして、二十五万町歩、そのうち人工植栽の分が二十三万三千町歩であつたと承知いたしておりますが、これに対しまする財政的な裏付を拡充し得た次第であるのであります。  次に、苗木の問題につきましては、地域間のアンバランスの問題はございますけれども、とにかく日本全体を通じて見まするならば、二十五年度の造林予定面積に対しまする苗木補給は十分確保いたしておる次第であるのであります。ただ一つ尚はつきりいたしておりません点が金融の問題でございまして、これはエイド・フアンドの中で産業資金として計上せられておりまするのが四百億、尚外に二百八十億の予備が取つてあるのでございますが、長期資金融通産業界において絶対に必要といたしております現在の実情に鑑みまして、この予備の二百八十億に手を付けて参りたい、こういう観点から、かねて関係方面とも交渉を進めて参つたのでありまして、中間的には或る程度、十億の造林金融をするというふうな程度において、話が纏まりかけたこともあつたのでありますが、又その後におきましては四億六千万円、確か中金からの中金債券発行限度、拡張になります造林に対しまする融資と絡み合せまして、約七億六千万円ばかりの造林融資をいたしたいと、こういうような案も更に折衝をいたした次第あつたのであります。然るに関係方面におきましては、明会計年度におきまする対日援助資金の問題がはつきり見通しが立つまで、この予備の金に手を付けることは見合せたいというふうな線が非常に強く出て参りまして、只今こういう数字で決まつたということをここでお話申上げるところまで話が進展いたしておらない次第であるのでありますが、目下の交渉の段階は、この四百億の産業資金の中に農林業関係といたしまして若干のものを入れたい、そうしてそれに造林金融も何がしか確保するという案と、少額の金をこの四百億の産業資金に付け足しをいたしまして、そうしてその中で四百億の中から出します場合よりは相当多額の造林金融をやつて行くというふうな二つの案を以ちまして、いろいろ交渉を進めておるような次第であるのであります。尚造林金融は性質上長期低利資金たることを必要といたしますので、これが利子補給の問題につきましてはエイド・フアンドから出まするものについては、或る程度大蔵省事務当局との間におきましても、四分五厘程度のものを利子補給はするという点について話合は一応付いておりまするような次第であるのであります。  以下法案内容につきまして、簡單に申上げますが、先ずこの法律で取上げまする造林と心らものの範囲は、人工植栽の方法によりまする針葉樹又は省令で定める濶葉樹森林造成を言うのでありまして、省令はお手許に配付いたしてございまする通り濶葉樹といたしましては、「かし」、「くり」、「くぬぎ」或いは「きり」、油「きり」等々の特用樹種を取上げたいと、かように存じておる次第であります。第五條において規定いたしておりまするごとく、知事伐採跡地等になつておりまする森林又は原野につきまして、国土保全という観点から、又総合的な土地利用という観点から、且つ技術的経済的に造林が可能である、こういうふうなものにつきまして、林地として保持すべきものを判定いたしまして、そのものについて緊急に造林を行う必要を認めました場合に、これを造林地として指定をする、こういうふうなことにいたした次第であります。第六條で規定いたしておりまするごとく、以下申述べまするものにつきましては、造林地指定はできないことにいたしておるのでありますが、その第一は、国の所有又は管理に属するものでございます。これによりまして、国有林につきましては造林臨時措置法は適用いたさないことに相成るのでありますが、これは国有林利用の問題は国有林野法規定によつて処理するのが適当と考える次第であるからであるのでありまして、国有林野法におきまする部分林の制度の現状におきましては、地元の福祉施設として恩恵的に狭い範囲にのみこれを承認いたしておりまするものを、今後は造林臨時措置法精神併わせまして、これと同じような基準に該当いたしますので、国といたしまして造林が困難なものにつきましては、申請によつて積極的に部分林設定をいたして参りまするように国有林野法の運用を改正いたして参りたいと、かように存ずるのであります。第二は、自作農創設特別措置法によりまする買收予定地指定でありまするとか、或いは売渡でありまするとか、そういうふうな措置のありました土地につきましては、造林地として指定をしない、こういうふうなことにいたしたのでありますが、これは先程も申上げましたごとく、造林地指定は飽くまでも、山からだけの見地だげでなしに、総合的な土地利用計画についてこれをやつて行く、こういうふうな考えでありまするので従つて一方におきましては、総合的な土地利用計画に基いて造林地指定いたしたものにつき冒しては、自作農創設特別措置法によりまする政府買収等措置をいたさないということになると共に、自作農創設特別措置法によりまする売渡しのありましたものにつきましては、これは造林地指定をしないということにいたしました次第であるのであります。造林地指定をいたしまするに当りましては、第七條に謳つてありまするように、造林計画を定めて、これを公表いたしまして、そうしてこれに対しまする異議申立機会を與える次第であるので、ありまするから、この造林計画は結局施業案編成のありまする林地につきましては、その施業案従つてこれを定める、こういうことにいたしておるのでありまして、すでに施業案につきましては、昭和二十六年度を以て民有林編成を完了いたす予定であるのでありまして、これにつきましては森林所有者というものは相当実情に習熟いたしておりますので、造林計画が決して森林所有者の意外といたしまするような不当な拘束を加えるということは全然ないわけでありまする次第であります。その造林計画におきましては、森林造林を完了すべき期限計画中に定めるのでありますが、これは短期の期間指定いたしまして、森林所有者又は使用収益権者に不当な拘束を加えないような趣旨から、伐採後二年を経過した日以後の時を定めなければならない。且つ七條の四項で謳つてございますように、その地方におきまずる造林の慣行でありますとか、或いはその段地面積、その大きさ、そういうふうなものを勘案いたしまして適当な期限を定めさせる、こういうふうなことにいたしておりまする次第であります。造林計画に対しまする異議申立がありました場合に、その申立のすべてについて決定がありました場合、又は異議申立が全然なかつた場合におきましては、そのときを以て造林計画を確定いたしまして、そうして知事はこれによつて造林地指定を公告によつて行うとこういうふうなことに相成る次第であります。  次は、造林地指定がありました場合に、これについて造林を行いまする者の問題でございまするが、第十三條において謳つておりまするごとく、造林地所有者、又は使用収益権者というものは、造林計画に基きまする限り自由に植栽を行うことができる次第であるのであります。ただその造林行為放棄ということに基きまして、第三者造林者として指定するという事後の手続きに移ります関係上、造林地指定がありましてから、定められた期間内に届出をしなければならないということが要請されるだけの次第であるのであります。造林地所有者と、使用收益権者と両方がありまする場合に、どちらに造林者として優先させるかとこういうふうな問題に関しましては、これは行政関與外にこの問題を置きたいと、かように存じておるのであります。これは当時者間の権利関係によりまして、使用収益権者から届出がありますれば、当然使用収益権者がやり、又使用收益権者造林行為を全然拠棄いたしまして、そうして所有者から届出がありますれば、これは所有者が行う。その際におきまする権利関係調整につきましては、尚後程必要なる規定を挿入いたしておりまする次第であります。造林地所有者、又は使用收益権者から届出がございません場合におきましては、知事はその造林地について造林をなすべき者を募集するのでありますが、知事がこの申出をして来ました者に対しまして、造林者指定をするに当りましては、山村の実情に鑑みまして、林業経営権というものが兼併されるというような恐れを防止いたしますために、一応自家労力及び経営能力を持つている個人及び個人の集団、又は自家労力はないが必要なる経営能力を持つておる個人、こういいふうな者を一般企業者よりも優先させると、こういうふうな工夫をいたしておりまする次第でありますが、地方実情によりまして学校林或いは公共団体基本財産林等造成図つた方が適当であると思われるところにおきましては、これら団体造林者として指定することができると、こういうふうなことにいたした次第であるのであります。造林者造林計画に定められた期限までに植栽を完了しなかつたとき、或いは植栽はしたが極めて成績不良で問題にならない、こういうふうな場合、或いは指定ざれた造林者造林計画に基く植栽を中止するというふうな積極的な届出をした場合、こういう場合におきましては、改めて只今申上げましたと同じ手続によりまして、知事造林者となるべき者を募集する、こういうふうなことに相成る次第であるのであります。その点は第十七條あたりに必要なる規定を挿入いたしておる次第であります。併しながら造林者造林を完了すべき期限までに植栽をやつておらないということにつきまして、努力はしたが苗木を手に入れることができなかつたとか、或いは造林に必要な資金融通、又は補助金交付を受け得る資格を持つておるに拘わらず、その融通又は交付を受けることができなかつたために造林ができなかつた。そういうふうな場合におきましては、造林計画で定めました期限延長を申請することができる。これに対しては知事としてはその事由が正しいかどうかという判定をするだけでありまして、正しいと認めた場合には当然期限延長をしなければならないというふうな規定を第十五條に置きまして、要するに不当なる強制を加えることのないように工夫をいたしておりまする次第であるのであります。  次に、造林者として指定せられました者が、その造林実施いたしまするためにどういう権利を取得するか。これにつきましては第四章の第十九條に規定いたしておるのでありますが、結局これは地上権又は賃借権というふうなものを当事者間において協議をして、その内容については自由に話合を付けさせるこういうふうなことで進みたいと存じておるのでありますが、ただ第十九條におきましては地上権設定に関しまする申入れをして、話が付きません場合におきましては、知事が必要なる裁定をする、こういうふうなことにいたした次第であるのであります。この規定によりまして、地上権設定せられました場合におきましては、第二十條に謳つておりますがごとく、指定造林者造林地所有者との間におきまして林木を共有する。これになりまして所有者がその取得すべき分收歩合について権利確保し得るような措置を講じておりまする次第であるのであります。尚、先程も申上げましたように、本権者が、所有権又は使用收益権を持つております本権者届出をしたに拘わらず、他に届出をしないそういう使用收益権者がおつて、そうしてその権利だけが後に残つておりまするものの措置を付けまするためと、又造林者として指定を受けました者があるのでありますが、その際においてすでに届出をしない使用收益権者だけがありまする場合の、やはり同じようなその使用收益権との間の調整を図りまする必要に鑑みまして、第二十一條におきまして、造林地についての他の権利の消滅に関しまする協議を求めることができる、こういうことにいたしたのであります。又造林の完遂上、林木育成以外の目的にやはり造林地を使用するというふうなものがありましだ場合には、その使用が植栽に妨げになります場合におきまして、その使用の制限又は停止に関する協議を求めることができる、こういうことにいたしておるのでありまして、その内容について話合が付きません場合につきましては、裁定によつて必要なる解決を図るこういうふうに考えたのであります。要しまするに、この法律造林地につきまして、植栽が完了するまでを規定いたしておるのでありまして、その後の森林利用に関しましては、これは一般に森林法の規定によつて規律さるべきものと考えるのでありますが、施業案尊重という観念をはつきりさせます関係上、二十二條におきましては、この施業案従つて育成伐採をしなければならないという趣旨精神規定を挿入いたして置きました次第であるのであります。  以上を以ちまして法案の大体の構成を掻摘んでお話申上げました。
  17. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 法案の裏打になる造林五ケ年計画、それから苗木の手当等の問題について引続いて御説明をお願いいたします。
  18. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 御承知のように戰時から引続きまして非常な濫伐、過伐に陥つておりまして、民有林におきまして百六十万町歩の人工植林の予定地を残しておるような次第であります。昨年度から造林五ケ年計画実施いたしまして速かにこの要造林地の解消を図りたいということで、お手許に差上げました二枚目の資料にありますが、造林五ケ年計画を樹立いたしたのであります。昨年度は人工造林におきまして、十七万町歩植栽を大体予定いたしまして、完了いたしております。二十五年度におきましては、予定は三十一万町歩でありまするが、そのうち人工造林地二十三万町歩予算を獲得いたしまして、目下着々事業を実行中であります。幾分五ケ年計画はズレておりますので、二十九年度まで幾分の五ケ年計画がズレて参ると考えております。尚これに伴いまする所要の苗木でありまするが、昭和二十一年度から五割、二十二年度は四割の苗木養成の補助をいたしまして、二十三年度は二割の補助をいたしましたために、苗木養成の意欲が非常に高揚いたしまして、本年度の所要約十億本の苗木確保が只今見通しが付いておるわけであります。そのために尚造林事業の増加に伴いまして、苗木事業も事業として成立つようになりましたので、二十五年度からは苗木補助金は停止されることになつたのでありますけれども、その他金融措置或いは所要の肥料の確保、或いは不足県に対する生産者の結び付きというような方途によりまして、苗木生産業者の事業の安定というようなことを図つてつておるのであります。数字につきましては、御覧を願えば分ると思いますので、この点省略いたします。
  19. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) どうぞ御質問がありましたらお願いいたします。  それではこれは尚よく御検討頂いて、次の機会に御質疑を頂きたいと思います。  それから最初に委員長申落しましたが、この法案は、衆議院と参議院の林業関係の議員の方々で以て構成されておりまする林業懇話会でかねて御検討になつておつた案件でありまして、実は前国会に議員提案で以て、こういうような法律案を提案するような計画もあつたのでありますが、たまたま政府でも同様な計画がございましたので、国会側の案と政府の案とを突きまぜ、その間林業懇話会の議員の方でも、林野庁と協力せられまして、結局政府提案ということになつて、前国会に提案を待つてつたのでありますが、予算関係その他の関係提案が遅れて、この国会になつたのであります。林業懇話会の議員の方々に代つてそのことを委員長から申上げて置きます。   —————————————
  20. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この問題はこれで申しませんが、丁度大臣がおいでになつておるので、どうも顔を見ると……いい顔はしないのでありますが……(笑声)長いこと大臣も苦心をされ、我々も非常に期待を持つております報奨物資のことがどうなつているのか。(笑声)実は昨日閣議でお諮りを願うというお話を聞きまして、首を長くして待つてつたので、この際あとは聞きませんから、そのことだけを……。
  21. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) 昨日でありましたが、この問題について内容を御報告申上げておつたのでありますが、別段それが進展したわけでもないわけであります。ただ何だかおかしい、口約束だけでははつきりせぬではないかという御心配がおのずからそこに湧いて来るのではないかと思うのでありますが、これにつきましては、農林省といたしましても、自分が財務当局でないために、一つの不安は皆さんと同じことなんであります。事が何を申しましても国家の経費を使用するのでありまするから、確かな上にも確かめてルーズな処置はいずれの場合におきましてもでき得ないのであります。今日も朝からこの問題で関係閣僚が寄ることになつておりましたが、大蔵大臣が少し遅れまして、閣議の途中でこの問題を御相談申上げる考えをいたしておりましたら、參議院でありましたか、緊急質問がありましたので、呼び出しを受けまして、その会議の結末まで私はおらなかつたのでありますが、大体財務当局の考え方では、十三億とか或いは十五億とか、茫漠なものであつては処置のしようが困る。三億四千万円の価格差補給金に対してはこれは処置することができる。その後における在庫品の時価との差額がどれだけになつておるかということをはつきり掴んで貰わなければ困る。それは全鉱連の調査もあつたでありましよう。又農政局の又食糧庁関係の調査もあつたわけですが、ただ茫漠と十二億、十四億、こういうのであつては処置のしようがない、而もそれは現在予備金から支出するわけでもない。又予備金があつたところが、これは一方的に支出するわけでもない。併し閣議で昨日、一昨日でありましたか、了解いたした通り、在庫品に対しては政府として現在の時価に合うように何とか処置しなければならん。この方針は変りないのであります。ところが在庫品がどういうような状況にあるか、これをもう一つはつきり掴えて欲しい、これが財政当局の考え方であります。それで十分申しますれば、單位協同組合の手持が、いわゆる在庫品がどれくらいあるか、目減りがどうなつておるか、この数字を掴えて貰つて、初めてその金額に対してどう処置するか、何とかするについては処置の方法も具体的に考えなければならん。今のようなただこういう数字で約十三億ではどうも処置のしようがない、こういうことであつたのであります。それでありまするから、農林省といたしましては、直ちに内容について具体的な数字を掴むということに今朝から指令しまして、その調査を進めておるわけであります。これは財務当局で言うのも無理のないことだろう思います。その金額をどういうように処置するかということについては、今関係方面へ持つて行けば、一遍にはねつげられるに決まつておりますから、それに対しての処置をどういうふうに講じて行くか。そうしてそれをどういうように将来処置して行くかということは、政府として更に研究を進めて行かなければならん。いずれにしましても正確な数字を掴むということは、先ず以て今日といたしましては必要であろうと、こういう今日の会議の要望であつたわけであります。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 農林大臣お話のようならこれは聞くところもあり、そうであると思うのですが、実は私は聞きませんが、随分心配しておりますことは、大蔵大臣がこんな約束は聞いたことはない。こんなものは知らぬ、こういうので、それはどうも怪しからんじやないかというのが今から挙つておる証拠なんです。そんなことはない筈だ、農林大臣も閣議で一応決定になつておるのだから、あとの処置は事務局がやるということも言つたことがあるし、そんな話は知らないということ自体が困るじやないか。そこで財務当局が如何にどうするにしても、大臣からそうしろということはどうにもならぬので、駄目になつておるのじやないかというのが一般の関係者の心配なんであります。大臣の言うようなら、そういう知らないのは当然でしようが、そこでそうなるというと、今まで配給をした、私共が元から言つております五十二億に対しての全額の何ぼということにはならぬのですか、どうなんですか。
  23. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) これはいつかも申上げました通り、その理論は立たない。どうしても売れない在庫品だけに対して処置する。これより処置の途の立てようがない、こういうことです。それから大蔵大臣がそんなことはおれは知らぬといつたという噂が伝わつておるようでありますが、大蔵大臣といたしましては、今手持は三億四千万円しか財務当局として考える金はないのであります。それでありますから、その立場において十三億、十五億なんということは言い得ないのであります。ただ在庫品に対しての価格差というものに対しては、政府として責任を持つて考慮する。その金が何ぼになるかということは、今のような調査をはつきりしなければ分らない。大蔵大臣としては、今公然というのは三億四千万円しか持つていない。その後は勝手に大蔵大臣がこうします、ああしますということは関係方面との事情もありますから、それは財務当局としては言い得ないと思う。こういう立場におるのだろうと私は思います。決して大蔵大臣が在庫品に対するものをおれは知らぬ。そういうことは考えないというようなことは絶対言つておりません。在庫品に対しては処置する。併しその金が十五億になる、三億四千万円はあるが、後の差額の九億、十億、それは何とかしようということは、今の段階においては大蔵大臣は言い切ることができない。だから在庫品に対しては適当に処置をする。併しその金額が何ぼであるということは、今財源を持つておるわけではないから、大蔵大臣の立場といたしましては、よろしい、九億でも、十億でもやるということは言い得ないが、併し原則として在庫品に対しましては自転車にしても、或いは魚肥にしましても、在庫品に対しては適当な処置をとるべきであるということははつきりしておるのであります。ですから、財務当局の立場として残りの九億をどうするか、それは引受けて何とかしよう、こういうことは今のところ言い得ないと思いますから、そこは一つ御了察を願つて、がちがちと、こう隅から隅まで一つずつ理窟を言うておると突当つてしまうのでありますので、その辺御了承願いたいと思います。
  24. 山崎恒

    ○山崎恒君 只今大臣おつしやられる三億四千万円だけは大蔵大臣は持つておるというのは、先般説明された織物消費税或いは物品税のなくなつたものがそれだけの大体額になる、こういうことに私共は了解しておるのですが、それと問題はこの先般来私共十三億という線を大体言い出して、それによつてまあ全国の農民も、あの当時代表者も大体その線が呑めるものだというような考え方で帰つておるのですが、今になつてこの予算的の処置が非常に大蔵省としても困るというようなことでありまするが、大体現在の在庫品に対する価格差益、価格差というものは、政府が補償し得るということになりまするというと、むしろその二十四年度の報奨物資約五十二億かのものに対して、これを十三億値引きするということに、これはもう先般の大体意見で十三億という案が出たのでありますが、そうしますと、配給をすでにとつてしまつたものと、現在ストツクしてあるものとが、そこに配給を受けてしまつたものが、その恩恵に浴することができないということであつた。あの当時プールにすることがよいのじやないか、こういうような意見が出て、まあそういうプールで計算して貰おうというような考え方でおつたのですが、大体十三億という線が出ておるのですから、五十二億の報奨物資に対して十三億というものを大体引いたものによつて、現在のストックというものが急速に全国隅々まで調査をすることに非常に期日がかかるというような点がありはせんかと、こう思われますので、十三億という線によつて、この全般で按分したらば大蔵省としても呑めるんじやないかと、こう思われますが、その辺はどういうものですか、一つお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を止めて……。    〔速記中止
  26. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて……。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事           池田宇右衞門君            藤野 繁雄君    委員            岡田 宗司君            門田 定藏君            北村 一男君            柴田 政次君            加賀  操君            徳川 宗敬君            山崎  恒君            岡村文四郎君   国務大臣    農 林 大 臣 森 幸太郎君   政府委員    農林事務官    (大臣官房長) 平川 守夫君    林野庁長官   横川 信夫君   説明員    農林事務官    (林野庁林政課    長)      奥原日出男君    農林事務官    (大臣官房検査    課長)     田下 武弘君