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説明員(神尾正夫君) 或いは
ちよつと長くなるかも知れませんけれども、実はこの
改正法律案の原法にな
つておりますところの種蓄法を作りました
経過につきましては、種蓄法を作りました当時、現在の山根局長がおられませんのだ私からお答え申上げたいと思うのでございますが、従来の種牡牛検査法及び
種馬統制法という二つの法律がございましたが、これは御
承知のように非常に、何と言いますか、強制的な、特に
種馬統制法は專らその目標を軍馬の生産確保というところに置いてりおましたので、法律の内容は非常に強制的な内容ばかりでございまして、御
承知のように一々配合検査までをして全部国が統制しておる。
種馬につきましても全部国が強制的な種付をし、強制的な
放牧政策をや
つて行くようなことにな
つております。一方又種牡牛検査法では、單に病気の点だけではなくて、資質の点につきましても強制的な検査をいたしまして、それによりまして合格不合格を判定いたしまして、合格しないものは種付に供與してはいけない。こうい
つたような規定にな
つてお
つたのでございます。総
司令部の方でその点を強く指摘せられまして、こういうふうなものは即刻改めて根本的に民主的な法律に作り代えるか、然らずんば全然これは野放しにしなくてはいけないという強い注意がありましたために、従来むしろ等閑に附せられておりました病気の点だけにつきまして検査をいたしまして、その伝染性の疾患、その他の遺伝性の疾患、こうい
つたものを検査の一応対象にいたしまして、苟くも他に悪影響を及ぼしまするところのそうい
つた欠点を持
つておるものは全部種蓄としての資格がないということにいたしたのであります。但しその際、従来のように
一般の民間の方々は、やはり国なり或いは県なりの技術者が判定いたしまするところの資質についての判定を依頼しておりました。それによ
つて国が、或いは県が資質がいいという批評したものを頼
つて種付をするというような多年の習慣にな
つておりますので、單にこの
種馬なり、或いは種牡牛は病気がないという程度だけで合格不合格を決めてしまいますと、
一般のこの技術者はその種蓄に対する甲乙判定の拠りどころがなくなりますので、少くとも
一般の鑑識眼が技術的に
相当向上して来るまでは、やはり従来と同じように或る程度資質についての民間に対する指導なり、その拠りどころといたしたいというような考から、合格不合格の基準は只今申上げました伝染性の疾患であるとか、或いは遺伝性の疾病、その他の点につきまして決めるだけでございますけれども、合格をいたしましたものにつきましては、御
承知のように血統、或いは能力、それからその種蓄の資質とい
つたようなものを一応判定の基準にいたしまして、大きな三段階に分けまして、一級、二級、三級というように分けまして、そうして種蓄の証明書にその旨を記載いたしまして、
一般に対する或る程度の種蓄としての資質を判定する拠りどころを示して行くというのが現行の種蓄法の
行き方であ
つたわけであります。そういうようなわけでございまして、現在のものにつきましては、單に過去の
種馬統制法なり、種牡牛検査法による種蓄の検査ということだけを、一応そうい
つた新しい方向に変えておるわけでございますが、その
意味から申しまして、單に種蓄を検査するということだけでできましたものを本当に積極的に効率的に
利用するという面が現在の種蓄法には欠けてお
つたわけであります。
従つてここで新たに段々と普及の過程にありますところの人工授精における本当の
意味の指導を與えて、立派な種蓄をより一層効率的に
利用するという面を採入れてや
つて行きたいということにな
つておる。新たにここに今回
提案いたしておりますところの人工授精を採入れた案でございますが、もともとこの名前は改良増殖法にな
つておるのでござまして、当時いろいろと論議せられまして、もう少しいろいろの要素をこれに取入れたいというような意向もあ
つたわけでございますが、取敢ずこの改良増殖法には、いわゆる種蓄と、それの効率的
利用、それを通じて改良増殖を積極的にや
つて行こう、その線だけを一応今回取りまとめたわけでございまして、只今御指摘に相成りましたように、確かにこれは生産なり、或いは生産増強という点だけでございまして、広い
意味の、あれから申しますと、更に一層そうい
つた面も、将来今回の法律を何時か、何らかの形において総合していくような形のものを作り上げれば非常に結構じやないか、こういうように
考えております。