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1950-03-03 第7回国会 参議院 農林委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三日(金曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○農業災害補償法第十二條第三項の規  定の適用を除外する法律の一部を改  正する法律案内閣送付)   —————————————    午後二時五十一分開会
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。最初にお諮りをいたしますが、本委員会理事柴田さんから、都合によつて理事辞任方の申出でがございました。つきましてはその補欠理事選任をいたしたいのでありますが、先例に従いまして、委員長から指名することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、柴田さんの後任の理事として池田宇右衞門さんを指名いたします。池田さんどうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 柴田さんの御辞任でそれじや引受けることにします。   —————————————
  5. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは昨日に引続いて農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案を議題にいたしまして御質疑をお願いいたしたいと思います。  尚質疑をする前に配付されました参考資料について、例えば今までの共済金額掛金等その他の関係国庫支出関係等について、若し御説明することがありますれば、御証明を願いたいと思います。
  6. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 今回御審議を頂きたいと思います農業災害補償法の一部を改正する法律案であります。これは一つ共済事故として、農作物共済虫害鳥獣害を加える。それから又蚕繭共済蚕兒風水害、地震、噴火、虫害及び桑葉の病虫害を加える、こういう点が主な改正でございまして、これに関連いたしまして、共済掛金率がどうなつておるか、尚又この農家負担がどういうふうになつて行くかということを、御審議参考までに申上げて置きたいと考えております。  大体御存知でございますように、この共済掛金につきましては、国の負担区分農家負担区分とが、大体半分半分になつておるわけであります。それで今回の虫害及び鳥獣害を加えます結果、農家負担区分がどういうことになるかということでありますが、御配付いたしております農業災害補償法の一部改正する法律案概要というのがございますが、その中の参考の四というところをお聞き頂きたいと思います。十七頁でございます。それと別途又農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案概要、これの十四頁、これを併せて御参酌頂きたいと思いますが、この農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案概要、その方の参考の四で、農作物共済掛金農家国庫負担区分(二十五年度予算)と書いてございます。共済掛金水稻にいたしまして四十八億三千三百七十二万六千円でございます。これがそのパーセンテージが横に書いてございますが、これは五・〇三八とございますが、これは五・〇五八の誤りでございますので、ちよつと直して頂きたいと思います。その五・〇五八が共済掛金率でございますが、これが水稻について見ますると、その負担区分は下にございますように、その中二・七六一%これが農家負担なつております。それから食管特別会計つまり国一般会計負担をいたしておりまするものが二・二九七、かようなことになつております。同様に陸稻につきましても掛金率が一六%〇八〇の中農家負担が七・九%、それから食管特別会計が八・一八%、麦につきましては二・二五二%の中農家負担が一・一〇五、食管特別会計が一・一四七、総計いたしますと百分比は農家負担が五三・六六、それから食管特別会計つまり国負担区分が四六・三四、こういうふうに相成つておりますわけであります。それが別の資料の十七頁の方の共済事故拡充共済掛金率増加、これを御覧頂きたいと思いますが、今回は虫害鳥獣害の入りました関係で、二十四年度よりも増加をいたしております。二十四年度の共済掛金率水稻につきましては四・九二八でございましたものが二十五年度は、先程申しました五・〇五八、その倍数は一・〇二大、かように相成るわけであります。これの一・〇二六の倍数の中農家負担区分増加が大体五三・六六%、かようなことに相成るわけであります。それから麦は二十四年度一・五〇八%でございましたものが二十五年度は二・二五二%、倍数は一・四九三と相成つております。それから陸稻は、これは二十四年度二十五年度はいずれも変りません。それから蚕繭につきましても二十四年度、二十五年度変りません。陸稻及び蚕繭共済掛金率、これは従来共虫害が除かれず計算されております。従つてこれは増加しないのであります。その外のものについては区分されておりましたので、今回共済事項が追加されるに伴いまして掛金率が上つてつておる、さようなことに相成るわけであります。それで実際問題といたしまして、農家負担がどのくらい殖えるかということでありますが、これは一枚刷りのものを御覧頂きたいと思いますが、水稻についての例を取つたのでありますが、農作物水稻共済事故拡充いたします場合、農家負担の反当共済掛金がどうなるか。現在最高が大体反当り二百八十二円二十二銭、最低が二十七円七十四銭、これは危險階級に応じていろいろ違つて来るわけであります。平均が九十四円六銭となつております。それが今度の掛金率の結果改訂されますのが、最高が二百八十五円三銭、つまり二円八十一銭、反当り最高二円八十一銭の増加、それから最低は改訂の分が三十円七十九銭、結局三円五銭殖える。平均いたしまして改訂いたしますと、九十六円六十四銭であります。大体二円五十八銭増加です。かようなことに相成ります。
  7. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ついでに今までの共済掛金と、それから支拂金額との関係を……。
  8. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 農業災害補償制度が実施されましてからの共済金支拂い状況等を御説明申上げます。  農薬災害補償制度のあらましというものがありますが、それの十頁から書いてあるわけでありまして、昭和二十二年度の水稻から遡及適用されたわけでありまして、先ず昭和二十二年度の水稻につきまして申上げますと、農家支拂いました共済金総額が、これが丁度真中頃に書いてございますが、これが十八億四千九百九万六千十一円になつております。それに対しまして政府負担をいたしました再保險金額、これが十億九千七百五万九千六百五十五円と相成つております。差引政府特別会計不足金を生じております。六億一千万円、この年度におきましては不足を生じておりますので、これを日銀の方から借入れまして、補填をいたしましたわけであります。それでその次の二十三年度におきましては、麦でございますが、麦につきましては農家支拂いました共済金総額が六億六千八百三十万三千七百六十六円でございます。政府負担の再保險金が四億九千二百七万五千四十九円、政府特別会計のやはり不足金と相成りましたものが四億三千万円ございます。これもそのとき日銀からの借入によりましてこれを補つたわけであります。それから昭和二十三年度の水稻でございますが、これは支拂共済金額が二十億二千二百五十一万一千八百三十四円であります。それに対しまして政府負担の再保險金が十億四百四十四万九千七百三十七円、やはり政府特別会計不足金といたしまして六億六千万円、これがやはり不足金を生じております。こういうふうに初めから不足金が相当出ておりまして、これをいずれも次々と借換えをいたしましてやつてつておりますわけであります。それから陸稻につきましても支拂共済金額、これは一千二百十二万七千七百四十二円、これは政府負担の再保險金が百六十三万四千五百四十九円ございます。それから蚕繭共済及び家畜共済につきましても、それぞれその次に書いてございますように、この方面については大した問題もなく進んでおります。それから二十四年度でございますが、昭和二十四年度の水稻におきましては、この資料では見込なつておりますが、昭和二十四年度の麦類につきましては農家支拂共済金総額見込が二十億とありますが、これは十八億七千九百三十六万九千円うち政府負担金の再保險金見込が二十三億四百十万五千円であります。政府不足金が十一億五千五百万円、かようなことに相成つております。次に二十四年度の水稻支拂金でありますが、これが政府支拂金共済金見込額が大体五十三億八千七百九十六万円であります。それから政府負担金が二十六億九千四百八十八万八千円であります。次に政府の現在の手持保險金を調べて見ますると大体四億見当不足金を生じます。約二十三億程度手持保險金があるわけでございますが、これだけでは二十六億九千万円の再保險金支拂いができませんので、四億ばかり不足が生じますが、これにつきましては大蔵省ともいろいろ相談いたしまして、現在大体手持保險金は即座にこれを支拂う、そうして残りの不足の分につきましては、二十五年度の繰越によつてこれを支拂うと、かように考えております。尚五十三億八千七百九十六万円の支拂共済金の中、共済組合連合会支拂わなければならんところの保險金額が約二十六億ございます。これも約八億円程度不足金を生ずる実情でございます。これにつきましては取敢ず農林中金に対しまして、この一時融資をお願いしておるわけであります。ただこの融資によつて、それを借入れる保險金支拂に事欠かさないように迅速にやりたいということで進んでおります。大体そういうふうなことでございます。尚詳細のところは又御質問がございますれば、保險課長から御説明申上げます。
  9. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 二つの案件について一つ一つやるのが順序かと思いますが、併し一括してやる方が関連性のあることも多いと思われますが、どうしましようか、一括して……。(「一括」と呼ぶ者あり)では一括して御質疑を頂くことにいたします。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 別に大したお尋ねではないのですが、字句でちよつとお尋ねしたいのですけれども、ここに蚕の兒と書いて蚕兒ですね、これは幼齢の蚕のことを言うのですか、蚕という意味で蚕兒と書いたのですか。
  11. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは蚕のことでございます。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 それから続いてその場合に蚕の風水害ということは……、桑葉風水害ということは分りますが、蚕の風水害というのは、家が風水害で壊れた、その中にいたものが被害を蒙つた、こういうことでありますか。
  13. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) その通りであります。
  14. 北村一男

    北村一男君 この法案が提案されましたとき、これは誠に結構な制度でありますけれども、丁度国民健康保險がアメリカから非常に褒められておる制度に拘らず、なかなかうまく行つておらんのだが、私も誠に結構な趣旨には反対する理由はちつともないのでありますけれども、そういうことにならんかということを、当時念を押してお尋ねしたのでありますが、他の府県は知りませんが、單作地帶に参りますと、もうその掛金について非常な悲鳴を挙げで参つておることは、局長も或いはお耳に入つておるかも知れんと思うのであります。そこでこれは前にも希望があつたのでありますが、この共済掛金でなしに米を以て物納するということを、今一遍真劍にお取上げ下さつて、この制度を存続させるということで、お考えになる御意向があるかどうか、これは誠に農村の、特に米作地帶では非常に希望しておるところでありますから、若し今までお考えなかつたとしたならば、今後こういうこをお考えになる余地があるかどうかということを一つお示し願いたいと思います。
  15. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 保險掛金現物納する問題でございますが、この問題の1つの難点は、その現物で納めました場合の価格をどう見るか、それを一般価格で見るか、或いは超過供出のときの二倍価格に見るか、そこが問題になつておるわけであります。そうして又希望が出ております点は、つまり掛金として納めます場合には、超過供出の二倍価格供出完了の如何を問わず、これが引取られるような措置を講じて貰いたい、これが狙いであろうと思つております。その点につきましいろいろ研究をいたしておるわけであります。食糧庁におきましても研究をいたしておりますが、若干難点があるようでありますが、私共といたしましては、何とかこの趣旨が達成されるようなうまい方法がないものかということで、いろいろ食糧庁ともお話をし、又大蔵当局ともやつておるわけであります。その通りの形では私は非常にむずかしいと思います。実質上單作地帶対策一つといたしまして、何とか農家負担軽減趣旨に副うような解決ができないかということで考えております。
  16. 山崎恒

    山崎恒君 補償制度の問題に絡んで家畜の問題でありまするが、家畜保險政府支拂が非常に遅れておる。これは定款ではそれぞれ家畜保險支拂は二週間乃至は二十日と心得ておりますが、二十日以内には支拂うことになつております。ところが地方においてはそれぞれ定款規定によつて支拂をしておるのでありまするが、政府支拂が非常に遅れておるという点があるが、この問題はどうですか。又その支拂が遅延れておる額は凡そどのくらいであるか、定めし数字の上で恐らく地方からそれぞれ政府へ上つて来ておるので、数字的に統計が出ておると心得ておりまするが、その数字。又凡そ現在まで政府が当然支拂わなければならん期日以降に支拂を怠つておるものがどのくらいあるか。又若し政府がそれを怠つたとしたならば、それぞれ地方保險組合支拂つておるので、政府遅延したところの延滯利子を附加して地方に交付する意思があるかどうか。そうした問題を一つお尋ねしたいのであります。
  17. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御了解を頂きまして、説明員から説明をすることにいたします。
  18. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 二十四年度の家畜共済につきましては、御承知のように昨年の臨時国会に、新加入の総会の決議によりまして業務加入にする、そうしてその決議をやりました組合については、料率を引下げて行く、そういうような措置を講じましたことと、それからその後の国会で同じく業務加入いたしました牛馬につきましては、指定料金の二分の一を国庫において補助すると、こういうような法律改正が二回ありまして、手続的に計算が、非常に料率変更をやるとか或いは国庫負担を支出するという面で非常に遅れまして、二十四年度につきましては国の再保險金も遅延いたしております。現在のところ各県から帳簿を東京に持つて来まして、我々と一諸にその整理を毎日やつておるわけでありまして、年度内にに早急に支拂いたいとこういう考で整理中でございます。大体の予定といたしまして事故頭数は約二万頭ありまして、政府支拂分といたしましては二億五千万円程度見込まれておると考えております。
  19. 山崎恒

    山崎恒君 今保險課長の御意見では二億円支拂う金があつて年度内中にに支拂いたいというのですが、この二億円はそれぞれ各府県なり或いは町村なりの組合が当然支拂つておるのでありまして、当然これはもう政府の代拂をしているのであるから、政府建前利子を当然支拂うべきであろうと思いまするが、その利子支拂意思があるかどうか、その点一つお尋ねしたい。
  20. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 現在のところ予算の中に遅延利子というものが見込まれておりませんので、予算上の措置といたしましては支拂われない建前なつております。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つの方の農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案の方ですが、これはこの前の提案の時にも問題になつたことですけれども、臨時立法でこういう形を取つて、毎年こういう形の提出をしておるわけですが、これを恒久立法にして、毎年こういう提出形式を取られるということを止められるという御意思はありませんですか。
  22. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 災害補償制度の本来の建前農家負担と、それから一部は消費者負担と、こういうふうな考え方でありまして、それを消費者価格に織込んで行くという考え方なつておりましたのが、暫定的、暫定的で一般会計から繰入れまして、国が負担する、こういうわけであります。併しながら尚果してどちらがいいか、将来とも一般会計負担するのがいいのであるか、或いは又消費者価格に転嫁させて、そして負担するのがいいか、その根本問題について私共尚検討余地があると、かように考えております。これは将来の問題として十分なる研究をいたして行きたい。差当りのところはやはり昨年以来引続き暫定的な措置として提案いたしておりますようなやり方で進みたい、かように考えております。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 お話のことはこの前の審議の過程にもあつたことで、保險という建前で、受益者負担が一部織込まれるということは、必ずしも原則的に規定するということではないのでありますが、要するに保險から災害補償法という名前に転化しておるという建前からでも、消費者負担はいけないのだ、それを消費者価格に織込む従来の建前は間違つておるという意見が相当強く反映して、この臨時立法ができたと我々は解しておるので、御意見が中に二つあるように考えられますけれども、私は自分が申上げた方の意見を中心に、少くとも今後臨時立法的なものではなしに、恒久立法的なものに組替えられることを希望するのであります。
  24. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 今の点は私からも申上げますが、農政局長保險課長災害補償法ができた後で、現在の職にお就きになつたので、補償制定当時のことはよく御承知でないのでありますが、補償法制定のころ第一国会において、羽生さんからお話があつたことは、この委員会としてに随分もんだのであります。本来補償法という看板を掲げた以上は、これは国家的に又社会政策的にそういう観点を十分に加味したものでなければならないのであります。そこで現行法の十二條第三項というものは、一体方針としてこれが正しい方針か、或いは差当り国家財政観点から万止むを得ず消費者負担さしておるのか。その点について随分突つ込んだ議論があつたのです。その結論はまるまるはつきりはいたしませんけれども、八・九まではとにかく国家財政状況から見て止むを得ないので、消費者負担して貰うのだ、こういうふうの考え方が強かつたのであります。その考え方政府当局から答弁もあつたのです。従つて将来の恒久的立法としてお考えになる場合は、この法律については、第一国会以来殆んど毎国会ごと改正法案が出ておりますが、初めからの速記録等検討して、将来行われる場合の参考にして貰いたいとこう思います。
  25. 山崎恒

    山崎恒君 この保險金支拂の問題でありまするが、各府県連合会はいずれもこれは保險金支拂に非常に苦しんでおる。先ず借入金がいずれも季節季節借入をしなければならんのでありますが、金融の途ですが、現在中央銀行地方銀行では借入利子が二厘乃至三厘の開きが最近あるというような情勢ですが、これを中央銀行が系統的に使われるのに、地方銀行の……、二銭七厘乃至は二銭八厘で、最近は地方銀行は二銭五厘乃至は二銭六厘くらいで融通しておるという情勢から考えて、何とかこの辺の手が打てないものかどうか。又予備金等の流用によつて保險金の一時支拂貸付金の方に廻すことができんものかどうか。その辺一つ政府意見をお聽きしたい。こう思うのであります。
  26. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 御承知のように中金金利というものは、いろいろ資金コストの方から考えて高くつくことに相成つております。従いましてやはり農林中金といたしましては、公定をいたしております金利でやる以外にちよつと方法はないんじやないかと思います。勿論中金全体の何と申しますか、運用上の問題につきまして工夫をするとか、或いは資金コスト全体を切下げることについて努力する必要はあると思いますが、現在については当分やはり公定金利によらざるを得ない。従つて一般金利との差額というものについて、従来からもこれを何か、若しも中金で面倒を見られなければ国で見るとか、そういうことができないかというような御意見もあつたんですが、国自身これを見るということは困難な状況でありますので、その点は、ちよつと実際問題としては……或いは県において財政が許しますならばお願いいたしたいと思いますが、全般的な対策といたしましては非常に困難かと思います。
  27. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 他にありませんか……ちよつと伺いますが、さつき羽生さんの説に関連してのことなんですが、例えばシャウプ勧告等を見ても、災害復旧というものについては、これは勿論規模にもよりましようけれども、大体国が持つ、国が全額負担するというような方向が段々とはつきりして来たのです。災害補償法の問題についても、やにりそういう機運に乗じてというか、即応したような考え方が当然私は起つていいのじやないか。そこで、一方そういう機運があるにも拘わらず、例えば虫害とか、鳥獣害があるというような場合に、保險事務拡充というのは結構だが、結局それは農民の負担等によつて賄うということは、一般災害復旧に関して正に今後採られんとする政府の施策と逆行するようなふうにも実は思えるのであります。従つて、そういうふうな一般災害復旧に対しての考え方が出た場合に、この農業災害補償法について同じような考え方が、政府部内、特に農林部内では考えられなかつたかどうか、又考えられたとすれば、どういうふうにそれが取上げられたか、そういう点を一つ参考のために伺つて置きたいと思います。  それからついでにもう一つ特別会計は、結局継続性のある特別会計ですから、今仮に特別会計が赤字でも、これは借入金で将来は保險収入で賄つて行くという建前なつておるのでありますが、一応現在の、昭和二十四年度で打切つたとした場合に、政府の、どうせこれは持出しているのですから、政府がどれだけ持出をしておるか、即ち通常の再保險金額を拂うつもりで徴收しておる保險料ではどうせ足りないのだから、その間持出を……先程も麦、それから見込水稻も入れて、大体政府がどれだけ持出しているか、ということは結局政府国民にどれだけの金を出しておるかということに、逆に言えばなるのです。その金額参考のために伺つて置きたいと思うのであります。
  28. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは、農業災害補償制度関係いたしまして、まだ私日が浅いのでありまして、或いは、いろいろ御批判を仰がなければならん点があるかと思いますが、私の感じておることを率直に申上げて見たいと思います。  本来これは、今委員長からお話もございましたように、保險制度から、名前農業災害補償制度と、こういうふうに改めたわけであります、従つて、そこに国家がこの制度について相当援助をするという建前が、当然私はあつて然るべきだと考えております。それで、先程からいろいろお話のございますように、災害補償制度が開かれましてから、毎年々々不足金が出て来ておる、それを一時の借入でやりくりやりくりして来ておるわけです。これがどういう原因から来るかということになりますと、一つ保險料率計算が、掛金率計算が正しかつたかどうかという問題が一つと思うのです。これは従来の農林統計その他によりまして、いわゆる長期バランスというふうな考え方から災害を算定をして、この基礎ができて来ておる。そうして料率は毎五年毎に改正して行く。そうしてバランスを又変更して行く。こういう建前で進んでおるわけであります。ところが御承知通り、最近は非常に災害が重つて来たということが一つの一問題である。同時に又災害に対するプロバビリテイ、推測の問題もあることであろう。従つて根本的な問題としては、やはり保險金共済金支拂うに必要なものは、確実に政府がその資金というものを確保して、支拂に事欠かないように制度をやらなければならんのでありますが、やはりこれは共済掛金率というものについても、或る程度検討を加える必要があると私は思います。そうして共済掛金制についても或る程度検討を加え、そうして本当に賄えないならば、これを賄い得るような掛金率に変更して行くべきだ。ただそのときに、その掛金の半分を農家負担する、こういうことになつて来る。ところが農家は一方農家経営の面から言いまして、おのずから負担に耐え得る限度がある。従つて私共は、掛金率は当然これは特別会計の收支のバランスを取るために上げて行かなければならんが、その農家から要求するところの負担というものは、これは一定の限度に止めまして、その残りのものはこれはむしろ国が持つべきである。国がそれに対して負担する部分を更に大きく持つように、私共としては考えて行きたいというふうに思つております。そういうふうなことで、いろいろ研究はいたしておりまして、その一つの現れといたしまして考えましたのは、特別会計一つの基金を持ちたい。長期バランス考えます場合には、最近はこういうふうに不足金が生じておりますけれども、ずつと長い眼でこれを考えます場合に、まだそう不足金が生ずるとも言えない部面があるだろう。従つてこの基金がここにあるならば、それは仮に或る年度において非常に災害が大きいという場合にはその基金で拂う。そうして災害が少い場合には、それが又基金として残るということもできるわけであります。そういう意味から、私共といたしましては、現状におきましては、やはり八十億程度の基金というものがここにあるならば、これは何とか凌いで行けるだろうというふうな見当を付けまして、やはり八十億程度の基金を積立てるために、五年間に八十億を積みたいということで、それを年度割にいたしまして十九億、昭和二十五年度の当初予算に要求いたしたのであります。併しながらこれは財政その他の事情によりまして、実現はできなかつたわけであります。その代り本予算に九億一千万円の金が、農業共済保險保險特別会計の歳入不足金が生じます場合に、一般会計から繰入れすることができる限度額というふうな意味合から、九億一千五百二十万六千円、この金が認められましたわけであります。私共といたしましては、従来の常識から考えれば、決してこれでは満足いたしておらないのでありまして、将来の問題といたしましては、やはりできる限りこの基金を持ちたいというふうに考えております。それで先程一般会計で持つべきか、或いは消費者に転嫁すべきかということでいろいろ御意見がございましたが、これはやはり私の感じといたしましては、国家財政が許しますならば、これは財政の事情でありますが、国家財政が許しますならば、これは全部一般会計で持つこともこれは理想であり、我々もそれについて何ら異存はないわけであります、併しながら果してそういうふうなことが又許されるかということも、考えてみなければならんわけであります。場合によりますれば、消費者に転嫁し得る部分はこれを転嫁する、尚足らざる部分はこれをやはり一般会計で持つと、こういうふうな両建の、考え方もやつてみて、考えられることもあろうかと、要は、基金がはつきりし、それから又国家の持つところの金というものが相当額できるということが一つの問題であります。それを作るためには、どういうふうな方法を講ずることが現在の財政その他の事情からより容易であるか、より可能であるかというような問題から、私はこの問題を解決した方がよいのではないかと、さような見地で研究をいたしておるわけであります。  それから二十四年度の災害に対して保險金支拂をいたします結果、收支においてどれだけの不足が生じておるかということでございまするが、その点については保險課長から説明いたします。
  29. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 二十四年度につきましては、先程局長から御説明がありましたように、麦につきましては、非常に暖冬異変というような災害がありまして、当初不足金に充てる予定で予算にありました八億五千六十八万八千円、これを使いまして、尚四億四千六十六万三千円というものが補正予算で繰入れられまして、現在のところ十二億九千百三十五万一千円というものが特別会計不足金支拂財源として繰入れられております。尚水稻につきましては、御承知のように、台風が何回も来たと、それから西の方におきましては、高知を初め広島、或いは大分といつたところに、「いもち」が非常に激発いたしまして、先程局長から御説明いたしましたように、政府といたしましては、四億の不足が出ておるわけでありますが、これは二十五年度に繰越して支拂うように措置したいと、こういうことになつております。
  30. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、仮に今年度で特別会計打切つたという場合に、政府持出の金というものは一体どうなるのですか。
  31. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 現在のところは、二十三年度の分がまだ特別会計の繰入金として債務を持つております。それが大体十億九千万円であります。これは二十二年度の水稻、麦について生じた不足金を、二十三年度の会計において、日銀から四億三千万円、大蔵省から六億六千万円、合せて十億九千万円借りた。これが特別会計の債務であります。それから二十四年度は、さつき申しました約十三億一般会計から繰入れられております。尚この一般会計から操入れられました分は、将来余裕が出たときには、一般会計に繰戻すと、こういうように法律では規定されております。
  32. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、結局特別会計打切つたという場合を仮定しての話なんですが、二十三年度の十億と、二十四年度の十三億と、それから今年の水稻の四億と、大体二十七億が持出しと、こういうふうに考えてよいのですか。
  33. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) そうです。
  34. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、その持出しに当る二十三億というものは、全体の保險支拂金頭の何割くらいになりますか。
  35. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 後程計算いたしまして御報告いたします。
  36. 羽生三七

    羽生三七君 先程の私のお尋ねに関連して、委員長からいろいろお話がございましたが、又局長からもそれについて御説明がありましたけれども、要するにこの前のこの法律案の出たときに問題になつたことは、本来消費者負担よりも国家支拂うことが適当だとは思うが、当面の財政上の立場から、止むを得ず消費者負担という考も織り込まれておるという意見が実は強かつたのであります。ところが、今度御承知のように食糧管理特別会計が、消費者負担として、大部分が一般会計で賄われるようになつたわけなんで、これは従来消費者負担しておつたものをはずした代りに、一般会計で今度は実質上、農家は勿論一部負担いたしますが、大部分消費者負担すると、こういう建前に変化したわけであります。そうでありますから、当然私はそういう建前から言つても、国家財政負担するというもう原則がここに一つ出て来ておるのですから、こういう臨時立法という形式をいつまでも繰返すことは意味のないことだと、つまり実質上からも形式上からも意味のないことだと、こういうふうに私は考えておるのであります。  それからさつきの委員長の御質問の点でちよつと私局長の御答弁で分らんことがあつたのですが、つまり委員長のお尋ねは、シヤウプ勧告の精神から言つて災害補償は国家が持つという建前に強くなつて来ているが、この場合これも同じ性質でないかと、これに対して、当局がこれと同じような考を持つて働かれたことがあるかというお尋ねだつた思うのですが、これは問題になつたことがあるのですか。
  37. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは例のシヤウプ勧告は、例えば土地の災害とか、いわゆる公共事業で従来見ておりますようなものについて、それは全額を国が持つべきであると、こういうふうなシヤウプ勧告だと私は存じております。その趣旨を更に徹底いたしますれば、やはりこういうふうな災害補償制度につきましても、ずつと押し進めますれば、むしろ国が全額国庫負担すると、こういうふうな議論まで来るだろうと思います。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 来るのではなしに、そういうことが論議されたことがございますか。
  39. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 私は、そこまでシヤウプ勧告が含んでいるかどうかということは、尚研究いたしたいと思つております。これはその時々の財政の事情にもよることであります。先程申しましたように、極力国の持つべき部分を多くすると、農家からの負担農家経営に支障なき程度に止める、この原則は飽くまでも主張して行きたいと、こういうふうに思つております。
  40. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 私の言つたのは、こういう意味なんですよ。シヤウプ勧告がああいうふうに出た際に、とにかく災害補償制度の担当局課として、常に農家負担軽減ということを心掛けておられる当局者としては、そういう客観情勢に直ちに乗つかつて、問題とせられるだけのことがあつたのじやないか、若しあつたら、どういう経過であつたかということを伺つておるのです。そういう意味なんです。
  41. 山崎恒

    山崎恒君 今度の改正案の骨子は、都道府県知事に、共済組合連合会に対する業務報告を徴取する、会計検査等の監督上の権限を加えるというのが骨子でありますが、各府県のそれぞれ災害の監督をしている職員が、果してこうした教育を十分受けているかどうか、又それだけの指導をするだけの力のない者が各府県におつて、やたらに権限を振り廻すということがないかどうか、そうした点を惧れるのでありますが、地方の各府県庁にいるところの、災害関係あるところの、この種の指導に当つておられる人達の教育その他の方面について、何か政府考えているかどうか、そうした点について一つお尋ねしたいと思います。
  42. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 共済組合連合会について特に農林大臣の外、都道府県知事にも一定の事項について監督の権限を持たせましたのは、共済組合の共済事業が円滑に実施され、又共済組合なり共済組合連合会が健全に発達して行くためには、実際問題といたしまして、やはり都道府県知事において相当積極的にこれを指導し、又いろいろ協力をして貰う面が多いわけであります。それか従来は主務大臣が監督権限があるということになつております結果、ともすれば都道府県はもう構わない、連合会は主務大臣が監督するのだからどうでもいいということでありましてはうまく行かないということから、むしろもつと積極的に連合会に対する面倒も見、いろいろの協力をするという意味合から、もう一つは、そういうような態勢を取ることによつて連合会の事業内容も亦はつきりし、改善されるということが期待される。延いては信用もよくなる、共済事業も円滑に進むというような効果を私共は狙つております。決して徒らに官僚が分らずに連合会の内部に立入つて、とやかく小さいことを突つつき廻すというような趣旨ではないのであります。その意味において、お話のようにこれをやります職員の指導或いは啓蒙の面もあるであろう。こういう点は十分私共も機会あるごとにその点を話しておるわけであります。尚専任職員にその趣旨が徹底いたしますように、今後とも努めて参りたい、かように考えております。
  43. 山崎恒

    山崎恒君 この種の事業の発展を期するのには、問題は指導者の熱の如何であるのでありまして、特に只今局長からおつしやるように、地方庁が密接に連絡することを必要とすることは、私共希望しておるのでありますが、このために地方庁が連合会等に対する検査等の権限も付與されるのであるので、地方連合会に対して、地方庁が相当の予算的の援助を與えるような方向に、政府から地方庁に対する指令等を出して、そうして連合会等に対する予算的の援助の方法等の措置考え方法考えられているかどうか、そうした点を一応お尋ねしたいと思います。
  44. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 現在も共済組合の指導に従事いたします県の職員につきましては、農林省におきまして助成をいたしております。そういうふうな、国が、尚県がいろいろの仕事をいたします上に必要な経費等については、今後とも財政の許す限りこれを要求いたしまして充実をして行きたい、かように考えております。
  45. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと私から伺いますが、農作物共済に今度虫害鳥獣害を加えたのでありますが虫害、鳥獣の種類、被害率算定の基礎、こういうものをちよつと伺いたいと思います。それが一つと、もう一つは、この「農業災害補償制度のあらまし」にも書いてあるように、この制度は進んで災害を予防し防止し、損害を軽減せしむることを目的として、消極的な保險制度の外に、こういうような積極的な施設を講ずるのが目的だと書いてあるのですが、災害補償御度の見地から、この予防、防止等の措置を採つておられる実情を、この機会に説明して置いて頂きたいと思います。
  46. 庄野五一郎

    説明員庄野一郎君) 農作物の害虫の種類といたしましては、水稻につきまして現在のところ最も被害の大きいのは、「うんか」でありまして、「うんか」はこれを「夏うんか」、「秋うんか」に分けて、「うんか」、それから二化螟虫、三化螟虫、「あわよとう」「えびがに」、「くろかめむし」、「どろおいむし」、「いねつとむし」、それから「よぶのめが」、「あおむし」が大体水稻についての害虫でございます。それから麦類につきましては、「とびむしもどき」、「きりうじ」、これを予定しております。  それから災害の防除についてでございますが、私達といたしましては、この災害事故を未然に防止して、保險金支拂を成るべく減少して、農家の食糧増産に資するということが、これは保險運営の建前から申しましても、保險金支拂ということと災害の防除ということは、車の両輪のようなものでございまして、制度実施以来、炭害防除ということに非常に強く団体を指導してお願いして来ているわけでありますから、特に災害防除の中でも、病害虫の防除ということは、経済的な面からも非常にたやすくやれまして、その効果が大きいのでございまして、特に災害防除の重点は病害虫防除という点に置きまして団体を指導しております。その結果、団体におきましては、動力噴霧器の導入、或いはダスターの導入、それから煙霧器の導入というものが昨年、一昨年頃から非常に活溌になりまして、現在、昨年の「いもち」の激発ということと一緒に、非常に動力噴霧器が導入されまして、共同防除が水田或いは麦畑というようなものに、組織的にかかるように、共済団体の手で非常に活溌になつて参りました。それで現在のところで動力噴霧器の団体設置数が約二千五百台を超えておりまして、三千台近くになつておると思つております。これは大体団体の事業資金の中から出ておるのでありまして、政府からは余り補助金は出ておりません。ただ家畜共済につきましては、国家施設といたしまして、共済団体に家畜診療所一千ヶ所を補助金を出してやつておりますが、二十五年度で一応一千ヶ所の予定が終りますので、その後は何か別の方法で、そういうような家畜診療の面から家畜災害の予防をやつて行きたいと、こう考えております。
  47. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これらの予備審査の案件でありますけれども、衆議院の方は委員会が上がりまして、恐らく明日本会議で可決されることと想像されるので、その方が決定をして本付託になりますれば、大体余り日にちを置かずに、こちらの方も上げたいと思いますのでできるだけ……勿論本審査の際における質疑は別といたしまして、予備審査の質疑としては大体本日一応終了して置いて頂きたいと思いますので、皆さん大変お疲れのところ誠に恐縮でありますけれども、どうぞお続け頂きたいと思います。(「簡單だ、この法律は」「異議なしだな」と呼ぶ者あり)
  48. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本日はこの程度で散会いたします。次会は来週の火曜日に開きます。    午後四時二分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君           池田宇右衞門君            藤野 繁雄君    委員            門田 完藏君            北村 一男君            柴田 政次君            深水 六郎君            鈴木 順一君            加賀  操君            山崎  恒君  政府委員    農林政務次官  坂本  実君    農林事務官    (農政局長)  藤田  巖君   説明員    農林事務官    (農政局農業保    險課長)    庄野一郎