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政府委員(平井富三郎君)
国土総合開発法案につきまして、その概要を條文に即しまして御
説明申上げます。
第一條は、この法律の目的でございまして、「国土の自然的條件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。」第一條はこの法律の目的を謳
つておるわけであります。提案理由の
説明で御
説明申上げましたような現在の日本の経済
事情からいたしまして、国土の開発ということが経済復興に欠くべからざる
一つの大きな施策の
一つでございますから、これは單にいわゆる経済的な意味からでなく、これが社会的見地或いは文化的見地からも総合されたものとして、国土の開発、保全、
保護の計画が設定されて行くべきである。こういう見地から国土計画につきましていわゆる総合という字を入れまして、国土総合開発ということをこの法案の狙いにしておるわけであります。
第二條は、この国土総合開発計画とは如何なるものであるかということにつきまして、定義をいたしておるわけであります。その内容は本條に規定しておる
通り、「国又は
地方公共団体の施策の総合的且つ基本的な計画で、左に掲げる事項に関するものをいう。」ということで、国土総合開発計画というものにつきましては、国全体から見ました
一つの総
合計画、
地方公共団体のいわゆる
地方計画、或いは都市計画というようなものがこの内容をなすものであります。一号から五号までございます。各号におきまして、従来国土計画として考えられました事項を並べまして、これらの事項を総合的にまとめた計画を本法における総合開発計画というふうに考えておる次第であります。
第二項は、只今申上げました総合開発計画というものには、国全体を引くるめました総合開発計画、都府県の総合開発計画、
地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画と、開発計画の種類をここに挙げてあります。以下それらの開発計画の定義を六項まで掲げておる次第でございます。
第三條は、開発
審議会の
設置でございますが、国土総合開発が第二條にございますような国土の開発、保全に関しまして、これを経済的或いは社会的或いは文化的な面からします策の総合的な計画でございます
関係上、この
審議会を内閣に
設置いたしまして、ここにおいて成案を得ようという狙いでございます。
第四條以下、国土総合開発
審議会の目的、業務の内容、組織等につきまして規定があるわけでございます。ここで條文からちよつと離れますが、この国土総合開発
審議会というものの運営の面からいたしまして、総
合計画が如何にして
審議会に
審議され決定されるかということについて簡單に御
説明申上げます。本法は第一條に規定しておりますように、国土の自然的な條件というものが先ずこれが国土計画の基本になるわけでございますが、先ず都府県というものにおきまして総合開発計画、本條において地域計画というものを都府県或いは
地方或いは特定地域につきまして都府県が主体になりまして計画を設定いたします。これをこの
審議会に付議いたすわけであります。この
審議会におきまして出ました計画を第四條の二項にあります事項につきまして、これを総合的に調整を行うわけであります。而してこの調整に当りましては都府県から出ました意見、計画というものの外に国としての意見もここに総合いたしまして、都府県の自主的な
考え方、国の
行政機関としての意見というものがここに総合されて計画が設定されるわけでございます。これらの事項につきまして、第四條以下にその内容が規定されておるわけであります。で第四條の二項におきましては、特に開発
審議会におきましての
調査審議する対象をここに掲げておるわけであります。即ち
地方からはその各
地方地方の
状況に応じまして計画を設定して、
審議会に出て来るわけでありますが、これらを総合的に取りまとめまして、或いは投資の面から、或いは全体の計画の面からこれを実施可能の計画としてまとめて行かなければならん、この国土開発につきましては、例えば資金について見ますれば非常に大きな資金を要する
仕事でございまするし、これらの
地方から出ました計画を如何なる基準によ
つて調整して行くかというその基準を設定することが先ず第一の
仕事でありまして、その基準によ
つてこの
地方の計画及び国の意見というものを調整して行くわけであります。それで計画ができますると、これが内閣総理大臣に答申されまして、内閣総理大臣はその
報告或いは勧告を受取りました措置につきまして第五條に規定をしてございます。
第六條は国土総合開発
審議会の組織でございますが、
委員を三十人以内で組織いたしまして、その
委員は総合開発計画に関しまする学識経験を有する者及び
関係行政機関の
職員のうちから、内閣総理大臣が任命する、かように規定してございますが、先程申上げましたように、この総合開発計画が各種の分野から総合的に検討されなければならません。特に民間の学識経験者というものを
委員にお願いいたしまして、且つそれが国の
行政にも密接に関連を持ちまする
関係上、
関係行政機関の
職員のうちから
委員を選任するようにな
つております。但しこの
委員会の運用が
行政機関の意見に捉われるということがありませんように、特に
行政機関の
委員というものの数を制限しておるわけであります。三項は、都道府県知事と兼ねる場合も起
つて来ることを予想いたしまして、兼ねることができるという規定を置いてございます。四項は、任期その他につきまして、ここに規定があるわけでありますが、この総
合計画の
性質上
委員の任期といたしましては四年という相当長期の任期を予定いたしているわけであります。五項は別段御
説明申上げることもございません。六項は專門の事項を
調査審議するために專門員を置く制度でございます。それから七項は
委員及び專門
委員は非常勤とする。これは
委員及び專門
委員は常勤のいわゆる
職員でなく、非常勤といたしたわけであります。学識経験者その他
行政機関の
職員ということになります。広く選考の
範囲を広めまして、專属の
委員というよりもむしろ非常勤にいたしまして、より適当な方々を
委員にお願いしたい、こういう趣旨であります。八項は以上の規定でございますものの外、必要な事項は
政令で定めると、こういうふうに規定してございまして、「
審議会の
事務をつかさどる
機関」とございますのは、この総合開発計画が現在の
各省の
事務及び都道府県からの計画を調整いたしますために、相当の
事務量もございまするので、この
事務局につきましては、一応現在まで総合的な開発計画等につきまして、
各省と協力して
仕事をして参りました安定
本部を
事務局に、
事務局と申しますか、安定
本部が
事務を行う。こういうふうに予定をいたしている次第でございます。
第七條は都府県の総合開発計画に関しまする事項の規定でございます。この都府県からの総合開発計画は、これが都府県において決定されますると、建設大臣を通じまして、内閣総理大臣に
報告しなければならない。内閣総理大臣はその
報告を受けました場合に、国土総合程発
審議会に諮問すると同時に
関係各
行政機関の長にその写しを送付するわけであります。その送付を受けました
関係行政機関の長は、これに対する意見を
経済安定本部総裁に提出いたしまして、
経済安定本部におきましては、これら
各省の
行政機関の長の意見を取りまとめて国土総合開発
審議会に提出するわけであります。ここにおいて、いわゆる都府県から出ました計画は、建設大臣を通じて内閣総理大臣に、そうして国土総合
審議会に出基のであります。同時にそれに対する
行政機関としての意見が安行
本部を中心といたしましてとりまとめられて
審議会に提出されるわけであります。ここにおいて都府県の計画というものと、国の
行政機関の意見というものの調整について
審議を行うわけでございます。
次に、
地方総合開発計画、これは第七條は
一つの一府県についての計画でございます。自然的な條件その他の理由で二つ以上の都府県の区域に亘る場合には、
地方総合開発計画として、
一つの計画を立てるわけであります。先程申上げましたように、自然的な條件に即した計画でなければなりません
関係上、
地方総合開発計画というものを予想いたしたわけであります。これらの都府県の総合開発計画及び
地方総合開発計画につきましては、それぞれ都府県双合開発
審議会を
設置いたしまして、ここにおいて並府県の立てまする計画につきまして、
審議を行うわけであります。これらに関しまする事項が九條に規定しております。
次に特定地域総合開発計画でございますが、特定地域としては資源の開発が十分に行われていない地域、特に災害の寂除を必要とする地域、或いは都市及びこれに隣競する地域で特別の建設若くは
整備を必要とするもの等につきまして、特定地域というものの設定を考えております。例えば只見川の建設というような場合に、これを特利地域に指定いたすというような
考え方であります。現在建説省が十四
地区を特定地域に指定しておるのでございますが、今後この法律が制定されました以後は十條に規定してありますように、
経済安定本部と建設大臣というものが協議をしてその意見を聞いた上で内閣総理大臣が指定するのでありますが、その特定地域の指定につきましても、国土総合開発
審議会に諮問し、その
報告に基いて指定いたすことに相成
つております。
経済安定本部におきましては、
関係各
行政機関の長の意見を聞くわけであります。使えば資源の開発であるとか、或いは農業
関係であるとか、或いは災害防除の
関係であるとか、いろいろ
各省の
関係に亘りますので、
関係行政機関の意見というものは安定
本部でこれを取りまとめまして、建設大臣は
関係をいたします都府県の意見を聞いてその同意を得た上で指定をいたすわけでございます。この規定にもありますように、これらのこの特定地域の指定につきまして、中央からこれを天降り的に指定をしてしまうというようなことは考えておりません。この條文の六項は、国は
地方公共団体が行う特定地域の総合開発計画の事業につきまして、国が開担する経費の割合につきまして特例を設けることができる。従来の半額補助、或いは三分の二補助というような例以上に国が開担する割合を
増加するというような処置をここで取り得る規定を置いた次第でございます。
次に
関係各
行政機関の長の助言についての條でございますが、都府県がその計画の設定するに当りまして、
関係各
行政機関の長といたしましても、その
行政の分野においてそれぞれ專門的な知識経験を有しておるのでありますので、その知識経験というものを都府県の計画政定に当りまして必要な助言をいたすことができるという規定を置いております。
一十條は
資料の提ででございます。国土総合開発
審議会の求めに応じて
関係行政機関の
職員は
資料を提出し、或いは意見を述べ、或いは
説明をしなければならないという義務を課しております。
十三條は国土総合開発
審議会というものがその
調査審議の結果につきまして、必要があると認めた場合においてはその要旨を公表するのだという規定を県きまして、この総
合計画につきまして広く一般の批判を仰く、或いはその
関係都府県の協力を得るということを予想いたしております。
十四條の規定は
北海道総合開発庁との
関係でございます。この法案の提案に先だちまして、
北海道の資源開発に関しまする特殊の地位に鑑みまして、先般両院において御
審議を願いました
北海道開発法に基きまして
北海道の総
合計画につきましては、
北海道総合開発庁というものが設けられ、これに
北海道開発
審議会というものが附置されてあるわけであります。この法律全体の立て方といたしましては、都道府県ということでなく、都府県という言葉を使
つておりますが、これはいわゆる
北海道につきましてはこういう特別の機構がございますので、
北海道についてはその開発庁が計画を立てまして、
審議会の意見を聞いて内閣の方に提出するわけであります。従いまして、この法律に規定されました
地方計画は、
北海道以外の
地区についての計画の設定、それが調整される道筋を規定しておるわけでありますが、この法案の狙
つております総合開発計画は、全国開発計画につきましては全国的な規模において検討されることを必要といたしまするので、この国土総合開発
審議会においても
北海道の開発についての当然の検討を行うわけであります。従いまして、
北海道の開発庁の意見というものと、国土総合開発
審議会の意見というものとの調整を要する場合も予想され得るのでございますから、十四條におきまして、若しその意見が違うというような場合におきましては、
北海道開発庁長官及び国土総合開発
審議会両者の意見を聞きまして、内閣総理大臣がこれを行うというふうに規定しておるわけであります。以下附則は公布の時期及び
審議会を附加えまする
改正でございます。
以上逐條の
説明を終ります。