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政府委員(鈴木正勝君) この点につきましては新聞出版界と申しますか、新聞出版の業界の状況を御
説明申上げますと、大体統制を存続したい、して欲しいという分野は、新聞で申上げますれば大体小さい新聞、主として三十万以下というような新聞、それから
地方新聞が統制を存続して欲しいというふうな
意見が強いのであります。統制を撤廃しても大丈夫だという新聞は大体非常に大きな新聞、大きいと申しましても、
地方にも相当大きい新聞がありますが、大体
地方紙は、統制撤廃に反対というふうな
意見を持
つております。それから出版界から申しますと、大体当初は昨年の十月頃までは統制問題に関する出版界の
意見というものは、可なりはつきりと現われてお
つたように見受けられました。大体大きな雑誌社、出版社というものは統制撤廃という線が可なり強か
つた。小さいものは統制撤廃反対、時期尚早とい
つた意見が強か
つたのであります。最近はいろいろ出版界の不況その他によりまして、むしろ紙よりは金の方が問題だというふうな空気に
なつて来ておるやに見える。つまり金さえあれば紙は買える、多少高くても紙代というふうなものはそう大した影響はない。こうい
つた気運が多少出ておるのじやないかと思われますが、大体において大きな出版社、雑誌社は今以て統制撤廃賛成、小さなものは反対、さような状況であります。紙を生産する立場のものはこれはいろいろ立場によ
つて違いまして、大体大きな生産業者、旧王子系の生産者とか、そういうものは大体いわゆる正規の、統制されておる紙を生産しておる。従
つて非常に統制外のものよりも安い値段で紙を生産しなければならないという立場にありますので、できるだけ早く統制が撤廃された方が自分達の立場として望ましい。又一方統制外の紙を生産しておるものは統制があるから、つまりそういう統制外の紙に対する需要が、或る程度高い、統制された紙より高い値段で売れるという立場から、統制があ
つた方がいいという立場のものもある。又読む方の立場から申しますと、これはいろいろ見方によ
つて違いまするが、とにかく今までは割当制度というような制度によ
つて、或る程度読者の意思というものかはつきり掴めないために、余り読まない新聞に紙が行
つてお
つたり、或いは読者は沢山あるのだけれども紙が貰えないために読者にその新聞が行かないとい
つたような面がいろいろあ
つたわけで、その点我々当局としても努力をいたして参
つたわけでありますが、そうい
つた面から申しますと、自由な新聞が自由な価格で読める、こうい
つたような読者の立場から言えば大体いいのじやないかという面が
一つ考えられる。併しながら必ずそうなるかどうか、例えば
地方新聞というふうな面を考えますと、これは
地方の読者としては相当その新聞を読みたいというものが仮にありましても、新聞の非常に不合理な競争が仮に起きたとしますれば、そのために読者がありながら新聞が潰されるというような状況も考えられるのじやないか。従
つてこれは今後の統制撤廃をした暁に、自由競争に
なつた場合に、どういうふうな事態が起きるかによ
つて読者として利益がある場合もあるし、被害を受ける場合も考えられるのじやないか、こんなふうに観測しているわけであります。