○
説明員(
小室恒夫君) それでは
電気事業再
編成法案の方から
説明させて頂きます。
先ず第一條、これはこの
法律の
目的を明らかにした
規定でございまして、この
法律は
電気事業の
国家管理を廃止し、
発送配電を一貫して行う独立の
事業体制を確立して、公共の利益のために
電気事業の再
編成を行うことを
目的とする。これはまあ
一つの目標みたいなものでございますから、省略させて頂きます。
目的を明らかにしたものでございます。
第
二條は、
別表第一に掲げる
電気事業会社、つまり
日本発送電並びに九
配電会社が
別表第一に掲げるものでございますが、この
電気事業会社の再
編成に関しては、
過度経済力集中排除法及び
過度経済力集中排除法の施行に伴う
企業再建整備法の
特別等に関する
法律の
規定による外、この
法律の定めるところによる。この
趣旨は、現在
日発並びに九
配電会社は
昭和二十三年二月以降
過度経済力の
集中ということで指定せられておりまして、この
要請によ
つて再
編成をやらなきやならんということが第一に出て参りますので、この
法律は
集中排除に対する
関係では一種の
特別法となる。併しながら
集中排除ということだけで以て
電気事業再
編成をやるわけではない。大きなものを小さくするというだけの論理では
電気事業の再
編成は実行できないので、やはり
電気事業の
体制を平常化する、
戰時体制を切替えて平時の
体制にして、従来の
日発、九
配電の
国家管理体制に代えるのに、
民有民営会社の
発送配電一貫体制で行こう、こういう積極的な
狙いがございますので、これは
集中排除に対する
特例法であると同時に、
電気事業再
編成独自の
狙いを持
つた法律である、こういうふうに御了解頂きたいと思います。
第三條は、可なり根幹的な
規定でありますが、
持株会社整理委員会又は
公益事業委員会が、
指定会社の再
編成に関して
集中排除法の
規定によりまして
企業再
編成計画というものを、
会社から出たものを承認したり、或いはこれを変更して認可し、或いは又必要な場合には
委員会自身がこれを作成して再
編成を行わしめるわけでございますが、その場合に
一般の
集中排除の例と異なりまして、再
編成計画の中に記載すべき重要な
事項を
法律で以て定めておるわけでございます。その
法律で定める
事項が第一号、第二号、第三号というふうに
規定されておりまするが、その前に先ず第三條で
持株会社整理委員会又は
公益事業委員会、こう
規定してある点について御
説明申上げますが、従来
集中排除法の運営には
專ら持株会社整理委員会が当
つてお
つたのでありますが、第
二條の
説明で申上げましたように、この
法律は
電気事業の
体制を刷新するというか、平常化するというか、そういう積極な
狙いが
集中排除の外にございますので、この
電気事業並びに
ガス事業の
行政機構として新設せらるべき
公益事業委員会が
持株会社整理委員会の外に再
編成の実施の衝に当るということをここに明らかにしたわけでございます。尚第三條と対応いたしまして、附則の一番おしまいの第十二項、ここで
過度経済力集排除法の一部を改正いたしまして、特に
持株会社整理委員会は
電気事業の再
編成に関しては、この
集中排除法の
規定による
職権を
公益事業委員会に委任することができる。こういう
規定を設けておるわけでございます。で、この
法律による
職権、而も一部というふうに普通書くのでありますが、ここは全部、場合によ
つては
公益事業委員会に移すことができるという
立場から、一部という字を使わないで「
職権を
公益事業委員会に委任することができる。」という、
比較的異例の言い方をしておるのであります。これにはもとより
持株会社整理委員会が、大体
電気事業再
編成以外の
集中排除の
仕事を一応全部完了いたしまして、極めて近い将来に解消する。こういう
関係で
予算人員等もないということをも考慮せられておりまするけれども、主たる
狙いは
公益事業委員会が最も
電気事業の将来のことを考なえければならん
立場であるから、その将来のことを考えつつ同時に
集中排除の
要請を実現する。こういう積極的な
狙いがあるものと考えておるのであります。で次に、この
法律において特に再
編成計画のうちで以て確定しておる点を申上げますが、第一に
集中排除の結果新らしい
電気事業会社がどういうふうにできるかということは
通常法律などの決める
事項ではありません。この場合に
指定会社が全部解消して、その代りに新たに
九つの
電気事業会社を設立せられるということを明らかにしておるわけであります。見様によ
つては今度の再
編成は、旧
配電地域において、それぞれその旧
配電地域を、
供給する
区域とする新らしい
会社を作るわけでございますから、現在の
配電会社が基礎にな
つて、これが
日発の
関係設備を吸收して新らしい
会社を作るというようなことも理論的に考えられますが、この第一号によりまして、
日発、
関東配電共に解消いたしまして、全然対等の
立場で新らしい
会社を、
両者相よ
つて設立すること、こういう原則をここで決めておるわけでございます。次の第二号、新
会社が
電気を
供給すべき
区域、即ち
供給区域を
別表で以て定めております。この
別表で以て定めておる
供給区域というものは、概ね現在の
配電の
供給区域をそのままと
つておりますけれども、ただ岐阜県の極めて一部の三つばかりの町村が、現在の
中部配電の
区域から
北陸の
区域に移動しております。これは
電力の技術的な検討からこういうことにな
つたのでございまして、大勢には何ら
影響がございませんので、ここにおいては御
説明申しませんが、尚御
質問があれば詳細に御
説明申上げます。それから第三号は
指定会社の有する
電気工作物であ
つて、
別表第三に定めるものは、同表に定める区分に従い、新
会社に出資し、又は譲渡すること、これは
比較的問題のある
規定でございまして、
別表第三は
九つの新らしい
会社が所有すべき
電気工作物をいろいろ
規定しておりますが、ただこの表を御覧にな
つてお分りの方は恐らく先ずないだろうと思います。我々が見ましてもなかなかこれでははつきりいたしません。それでこれにつきましては先程お手許に各
会社の所自すべき
発電所、
送電線、
変電設備その他についての詳細な表を差上げてございます。そこでその第三表の
概要だけを御
説明申上げますが、今回の九
ブロック案の特徴は、各
ブロックの
需給のバランスをできるだけとるという見地から、特にこの
関東、
関西の
電力大
消費地を担当しておる
会社には
供給区域外に相当の電源を保有せしめて、これによ
つて電力の
需給関係の均衡をとるということを狙
つております。又こういう
関東、
関西の
電気事業の体系ば
戰前の
五大電力の、当時の
電力の
運用改正ともほぼ見合うわけでございまして、これについては
司令部側としては
最初は賛成しなか
つたのでありますけれども、相当長い折衝を経て結局三月十日付のマーカット氏のサインのある覚書で以て、こういう考え方について全面的に賛成であるということを
言つて参つたのであります。で、この
発電所の
計画についてはそれぞれの
ブロック、
地域別にいろいろな希望もございますし、又いろいろな議論もあ
つたのでございますけれど、大体各
地域の
需給関係を顧慮し、又
発電所の
建設工事の
事情等も加味し、歴史的な
事情、現在の
事情、特に現在
電気の
供給の系統がどういうふうにな
つているか、そういうような点をいろいろ加味いたしまして、最後的な
政府案を決定しているわけでございます。これも又
一つ一つについて御
説明申上げますると、非常に長くなりますので、御
質問に応じて御
説明することにして、ここではこれだけ申上げておきます。
その次の第四條の
規定、これは再
編成の可なり根幹的な
規定でございます。「
公益事業委員会は、
指定会社が引き受ける新
会社の
株式の
比率を決定しなければならない。」ということが第一項で原則的に謳われてあるわけでございます。例を引きますると、
関東で申せば
関東配電が解消する、又
日発が
別表の第三によ
つて、決
つている
日発の
発出所、
送電線、その他の
設備を
関東配電と一緒にな
つて新らしい
会社に出資いたします。そういたしますると、
日発並びに
関東配電はその出資の見返といたしまして、新
会社の
株式を取得するわけでございますが、その場合に
日発の
資産と
関東配電の
資産というものが、同じような含みであり、同じような価値を持
つておれば、これで以て別に
株式の
比率を決定しなければならんという非常に困難な問題は生じないのでありますけれども、
帳簿価格は同じであ
つても、実体の
資産は違うということもございましようし、又それと同じことでありますが、
株式の額面は同じ五十円であ
つても評価が違うということが起
つて参ります。そこで以て新
会社の
株式を
日発の方がどういう
割合でとり、又
関東配電の方がどういう
割合でとるかということを決めることが、再
編成の場合に最も困難且つ重要な
仕事になるわけであります。
第四條は、最終的には
公益事業委員会が決めるということを明らかにいたしまして、第三條でも申上げましたが、再
編成の主
ため役割は、
公益事業委員会が担当するものであるということを明らかにしているわけでございます。ただこの
公益事業委員会が
比率を決定する場合の手順といたしましては、先ず
指定会社相互間、今の例で申せば、
日発と
関東配電とがこの引受の
比率に関しては
お互いに協議いたしまして、大体
お互いの相談としては、こういう
比率にしたらよろしいという事見を
公益事業委員会に提出させる。で、この問題については、
日発、
関東配電の間で、或いはその他でも同じことでありますが、なかなか協議が調わないということは容易に想像されますので、そういう場合にはそれぞれ別個に意見を
公益事業委員会に提出せしめる。で、最後に
公益事業委員会は協議の調
つた意見でも、又調わないで別々に出た意見でも、これをよく審査いたしまして、この
株式の引受の
比率を適正且つ公平に決めなければいかん。恐らく両者の意見が一致した場合には、
公益事業委員会としてはそれを承認して原案を作成する、原案をそのままとるということが多いと思いますけれども、とにかく
公益事業委員会はいずれの場合におきましても自分が
株式の引受の
比率を決める。
指定会社は
公益事業委員会の決定に従わなければいかんということにな
つております。この
株式の引受の
比率、
株式の
比率という言葉で現わされております。この
仕事は当然その裏付として実体
資産の評価というような問題も或る程度行わなければならないのでありまして、
公益事業委員会自身がこれに当り、或いは特に專門家の機関を設けて、そこで計算するというようなこともございましようけれども、そういう問題がございましたら、第四條に
公益事業委員会自体がこの問題を自分で取上げて、自分で最終的に判断することが適当であるという結論で挙げたわけでございます。
第五條は「
指定会社は、新
会社が成立するまでは、その事業を休止し、又は廃止してはならない。」これは御
説明の要らないことであると思いますが、
電力事業の公人事業である性格から考えまして、当然のことと考えます。
それからその次の第六條でありますが、新
会社が設立の際に登録税を大幅に免除して貰うということを認めて頂く
規定であります。で御承知のように
電気事業はその性質上極めて多額の資本金と厖大な固定
資産を持
つておりますので、例のシヤウプ・ミツシヨンの再評価の問題が起
つたときに、仮に計算したところでも、時価においては三千四百億円というような固定
資産を持
つておるというようなことが言われてお
つたんでありますが、若しこの再
編成によ
つて、
一般の例によ
つて登録税を課税いたしますると、十三億七千万円というような一応の計算になる、時価で計算すれば登録税として取られる。もとよりその評価を加減するとか、まあいろいろなことも出て参りましようけれども、仮にその時価が今の再評価の金額であるというふうに計算いたしますと、非常に大きな登録税を課せられることになる。併しながら今回の再
編成は
集中排除の
要請、それからその他の客観的な
要請によ
つて政府が強硬にこれを行うのでありまするし、こういう莫大な登録税を取りますことは、結局において、その負担が消費者にも転嫁せられることになりますので、消費者の方も又
電気事業の健全な発達を図る上から、特に新
会社が旧
会社から引継いだ資本金なり又は不動産については、登録税を免除するという
規定を設けた次第でございます。
それから第七條、これも殆んど御
説明を要しない
規定でありますが、新
会社が成立した場合には、
公益事業法の
規定による公益事業の許可を受けたものとみなす。これは
公益事業委員会がみずから作
つた新
会社でありますから、許可を受けなくてもいいということは当然でありますけれども、こういう
規定がないと、一応形式的に別途の許可を要するような解釈になりますので、特に設けた次第であります。
それから第八條、これは極めてデリケートな
規定でございますが、国又は地方公共団体は、如何なる名義によるかを問わず、
指定会社即ち
日発並びに九
配電会社、又は新らしく成立する
会社の
株式を取得してはならない。そういう大原則を先ず謳
つておるわけであります。御承知のように今回の再
編成は客観的
情勢によ
つてどうしても実施しなければならん再
編成でありまするが、その際三月十日付の
司令部側の覚書においても明らかに示されておるごとく、国又は地方公共団体が
電気事業からできるだけ手を引く、民有民営の原則を徹底させる
意味において、凡そ
電気事業の運営は国又は地方公共団体に介入干渉されてはいかん、こういう精神が三月十日の覚書に出ておりますが、その止むを得ざる
要請に即して相当長い折衝を続けたのですが、その結果がこういう
規定に
なつたわけでございます。で原則は如何なる名義によるかを問わず、
電気事業会社の
株式は取得してはならないということにな
つております。ただ例外として先ず第二項のところでございますが、現に持
つておる
株式については、四ケ月以内にこれを処分しなければならん。それから又第三項によりまして、ただ
株式の処分が
株式市場に相当惡
影響を及ぼすというような場合には、
公益事業委員会は特に例外的な延長期間を認めることができる。それから又特に
株式の相場が額面を割
つておるような場合等を予想いたしまして、これを売ることが国又は地方公共団体に損害を與える、それによ
つて財政に甚だしい惡
影響を及ぼすというようなときには処分の延長の期間が三年まで延長される。それから又そういう処分の猶予が認められている間に新らしい
会社ができる。そうすると今までの
日発、旧
配電会社の
株式に換えて新らしい
株式会社の
株式が当然交付されることになりますが、この場合は特に例外として取得を認める。併しこれも原則としては新らしい
株式を取得してから四ケ月以内に処分しなければならない。そういう処分の
規定でありますが、更に又特に処分を猶予して
貰つている間にも、国又は地方公共団体が
電気事業会社の
株式について株主としての議決権を行使することがあると、
電気事業会社に国又は地方公共団体の介入干渉があるという見地から、議決権を行使してはならないという
規定を置いて、無議決権株と同様の扱いをしているわけでございます。尚現在国又は地方公共団体がどれだけの
株式を
電気事業会社について持
つているかと申しますと、大体総
株式の一割程度のものを持
つております。これは御承知のように
国家管理の際又
配電統合の際に、特に公営の大阪市電、東京都電、京都市電、そういう市営の
関係或いは県営の
関係、そういうものの
設備が出資されておりまして、その見返りとして、
株式を取得したということにな
つておりますので、国の場合は財産税の物納その他でほんの僅かしかございませんが、地方公共団体の場合には
只今申上げましたように総
株式の一割というものが地方公共団体の手にあるわけでございます。従
つてこの
規定は相当デリケートな
規定であるということは我々も承知しておるわけであります。
次に附則について簡單に御
説明いたします。第一項の「この
法律は、
公益事業法施行の日から施行する。」とこうありますのは、この
法律の実際の施行の任に当るといいますか、再
編成の主たる役割を果たすものは
公益事業委員会でありますから、
公益事業法の施行の日から
公益事業委員会がこれを施行するということになります。それから第二薄の
電力管理法はこれを廃止するということと、又第三項、第四項、この辺は旧
法律の廃止の
規定であります。
電気事業再
編成の
狙いは
国家管理を廃止することにあります。第二項で
電力管理法を廃止する、本来ならば
日本発送電株式会社法も
国家管理の有力な一翼でありますから、同時廃止するという考え方も出るのでありますが、
日本発送電株式会社は新
会社成立まではこれは存続するわけでありますし、今
日本発送電株式会社法を俄かに廃止いたしますと、発送電は商法の対象として又別に一時的な再
編成を又やらなければならない。これは多額の費用を費すだけであ
つて何ら利益がない。従いまして第三項によりまして、
日本発送電株式会社法と
電力管理に伴う社債処理に関する
法律、この二つは
昭和二十六年四月一日というふうにここに書いてございますので、この
法律の
規定の
関係上、
日本発送電株式会社の解散ということは、少くとも三月三十一日には行われなければならない。こういうことになるわけでございまして、この
法律が
通りますれば
日発、九
配電会社を解体し、新
会社の成立は来年の三月三十一日が最後のデツド・ラインである、こういうことになるわけであります。第四項の方は、
日発法の中で
国家管理に直接
関係のある監督及び義務という第六章、この
規定はこれを適用しない、
日発法それ自体は存続させるため、直接
国家管理に
関係しておる
規定は適用しない、こういうことを明らかにしておるわけでございます。
その次に第五項、第六項、第七項、第八項、第九項、これは工場財団に関する
規定でございまして、先に
国家管理を実施いたしました際にも、第三項に出ております
電力管理に伴う社債処理に関する
法律というものを特に設けまして、内外の社債権者が
国家管理によ
つて損害を被ることのないように特別の
措置をと
つたのでありますが、今回特にこの
日発が分断せられますに当りまして、従来から存した工場財団というものは分裂して
一つの財団にならないということになりますると、社債権者の保護が全うせられないということになりますので、
指定会社の財団であ
つて工場財団に属するものは、新
会社ができて財団の
資産が二つに分れても三つに分れても、尚原財団に属するということにいたします。又従来の
法律的な観念からいうと多少異例に属することでございまするけれども、「原財団は、当該財団の上に存する抵当権の消減の後といえども、なお存続するものとする。」これは御承知のように
電力外債は相当厖大な金額のものがございますが、これは戰時中外債処理法によりまして政府が一応債務を承継して抵当権が消減した形にな
つておりまするけれども、これは国内法的にはそれで片附いておるのでありますが、国際法的にはまだ完全にその問題は片附いておると言い切れない状態にありますので、特にその点を考慮してこういう
規定を置いたわけでございます。ただ原財団が残るということになりまして、この原財団に残るものは新たな担保を提供することができないということになりますと、新
会社の資金調達の問題がございますので、支障が起る虞れがございまするので、六項、七項で「新たな担保に供することができる。」道を
開き、別に
法律で以て必要な
事項を定めることにいたしております。この
法律は来
国会に大体提出されるという見込みであります。又第八項は「
持株会社整理委員会又は
公益事業委員会が
過度経済力集中排除法の
規定により、当該財団により担保される債務を特定の新
会社に承継させ、又は当該債務について当該財団に代えて新たな担保を提供させることを妨げるものではない。」これは
法律に特にそういう
規定を設けなくても、
集中排除の
過程でできるかと思いますけれども、債務
関係、或いは担保
関係というものを整準するために必要な
措置があれば、
公益事業委員会が集排法の手続によ
つて実施できる、そういうことを
規定しておるわけでございます。それから第九項は登記の手続でありますから
説明を省略します。第十項「
指定会社は、その
資産について、
資産再評価法第六條第一項の
規定にかかわらず、同法の
規定による再評価を行うことができない。」この十項と、それから十一項「新
会社は、その
資産について、
資産再評価法により再評価を行おうとするときは、
公益事業委員会の承認を得なければならない。」この二つが再評価に関する制限の
規定でございます。この
日発並びに九
配電会社が
一般の例に倣
つて基準日で以て
資産を再評価いたしますと、これは解体直前の
会社が資金の再評価をやるということになりまするが、今回の
資産の再評価は任意の再評価でありまして、各
会社がそれぞれ自社の收益性とか、いろいろな点を考慮に入れまして、再評価の倍率を決めればいいという考え方でありますので解体直前の
会社がそういう任意の再評価をやるということは殆んどナンセンスなので、特に例外として解散さるべき
会社は再評価はできないということにしておるわけでございます。新
会社は新
会社成立の日現在を以て
資産の再評価ができるわけでございますが、ただ
電気事業会社の
資産の再評価につきましては、これが再評価の結果が
料金に織込まれ、或いは減価償却等についても再評価の結果を織込むということが認められませんと再評価の
意味をなさない。若し自由価格の品物を作
つておる
会社であれば、任意に再評価しても、大体後は市場で以て価格が決まるということになるので差支ないわけでございますが、公益事業である
電気事業につきましては、
料金は
公益事業委員会が当然決める、承認するということになりますので、
料金と不可分の
関係にある資金の再評価については
公益事業委員会の承認を得なければや
つてはならない、こういうことにしておるわけでございます。非常に簡單でございますが、
電気事業再
編成法についての……、尚それから
別表について、
只今の
説明で
ちよつと落ちておるところがございますので附加えます。
別表の第三の冒頭でありますが、「この表に掲げる新
会社に出資され、又は議渡されるべき
電気工作物は、実際上の運営に関し、更に検討を加えるものとし、その区分は、新
会社が
公益事業委員会の認可を受けて協定し、又は当該新
会社がその成立後四箇月以内にその協定をすることができなか
つた場合において
公益事業委員会が公共の利益を図るため命令したときは、変更されるものとする。
委員会は、新
会社の成立後八箇月以内に、且つ、聽聞を経た後でなければ、前項の命令をすることができない。」
別表の冒頭にこういうふうな具体的な
規定を書くことは
法律的に異例でございまするが、いろいろな止むを得ざる
事情でこういうふうなことが書いてあるのでございます。それでこれを碎いて申上げますと、新
会社ができますときには、この
別表通りに
発電所その他の
電気工作物が新
会社に帰属する。併しながら新
会社ができますかどうかということについて、さつきも申上げましたように、一番遅い場合は来年の三月三十一日にできるということが予想されるわけでございます。ほぼ一年先の話でございますので、一年先の状態を今日明確に
一つの
発電所、
一つの
送電線、
一つの
変電設備も動かさないで、今決めたことをそのままどうしても実行しなければならんというふうに、寸毫も変更を許さないということにするのは適当でない。従
つて新会社はこの
設備を以て発足するが、その新
会社ができた後で、新
会社相互の間に、この
設備はあなたの方に取
つて貰つて、その代りこれを
貰つた方がいいとか、そういうようなことについて話合いがついて、而もその話合いの
内容が合理的であるというような場合には、
公益事業委員会がこれを認可する、又こういう話はなかなか当事者の間で話が付きにくいものでありますから、新
会社が成立してから四ヶ月経
つても話合いができなか
つたという場合に、話合いができないからとい
つて放
つて置いては公共の利益に反するという事態が起りました場合には、特に更に四ヶ月の期間を置きまして、その四ヶ月の期間のうちで聽間即ちヒヤリング、
関係者の意見を十分聽きまして、その上で以て公共の利益を図るために止むを得ない場合には
委員会が命令によ
つて発電所の所属を変更することができる。公共の利益のを図るために必要であるということでなければその命令は出せない。又いつまでも
発電所の帰属をペンデイングしておきますことは、
一般産業経済に及ぼす
影響もよろしくございませんので、ぎりぎり新
会社成立の八ヶ月以内でなければそういう転属の命令と申しますか、帰属を変える命令は出せない。こういうことにいたしておるわけであります。
電気事業再
編成法案についての概略の御
説明はこれを以て終ります。
この後引続いて
公益事業法について御
説明水上げますか、どうですか。