○
政府委員(
武内征平君) それでは御指名によりまして御説明させて頂きます。
実は我々は十六名で
電力視察団を編成いたしたのでありますが、その十六名は八つの題目を選定いたしまして、おのおの大体二人が
一つの題目を研究するといつたよ女な方法で研究いたしたわけであります。例えば
ダムの
建設でありますとか、或いは
発電の実情でありますとか、或いは送電であるとか、或いはレート・メーキイング、或いはマネージ、経営という面から研究されたのであります。私は
レギユラトリー・ボデイ、
公共事業委員会を研究するということが私に與えられました題目であ
つたのでございますが、
只今委員長からのお話がありましたように、
アメリカの
電気事情をお話し申上げまして、その上で
公共事業委員会に関しまして、お話し申上げるというふうにいたしたいと思います。
アメリカの現在の
発電能力と申しますか、これは約六千九百万K・Wくらいであります。実際の
キロワツト・アワーは三千六百億くらい、これは一九四八年の研究によりますとさようにな
つております。
我が国の大体十倍というふうに考えればいいと思います。この十倍の
電気を
発電いたしますのに、
従業員は約二十七万八千と申されております。
我が国におきましては大体十四万なにがしでありますから、
倍足らずの人が約十倍の
電気を動かしておる、こういうような実情でございます。それで水、
火力の比率でございますが、大体
火力が
アメリカは主でございまして、七二%はこれは
火力でございまして、二八%が大体水力というような事情にな
つております。これは
アメリカの地域によりまして異ります。又官営と民営によ
つて比率は違いますが、
西海岸の方、カルフオルニアの地方におきましては大体水、
火力のパリテイが五〇、五〇ということにな
つておりますが、イーストの方になりますとこれが二〇と八〇といつたように
火力の方が更に多くな
つておる。こういうような
状況にな
つておるようであります。官業と民営の
関係でありますが、
TVAを初めといたしまして、広くルーラル・
エレクトリフイケーシヨン、
TVAグランドクーリー、コア・オブ・エンジニヤと申しまして、陸軍の
工兵隊とでも申しましようか、これが開発をや
つておりまして、政府の
発電は大体全体の二〇%くらい、八〇%が民営、こういうような
状況にな
つております。それで毎年々々四百万或いは五百万、六百万といつたように、
終戰直後は資材の不足、又人手の足りないということから年々増加ということは余りなかつたようでありますが、四八年、四九年、五〇年、五一年というふうになりますと、大体少い年で四百万、多い年は六百万というふうな計画が立てられておりまして、大体
遂行率は八、九〇%遂行されておりますので、大体四、五百万近くの数が年々殖す。丁度私は幸いにもマーシヤル・プランの
電気関係を担当せられました
シスリーという方が、デトレート・エジソンの副社長を現在や
つておられまして、その方の講演を
伺つたのでありますが、四八年から三〇年後、七八年に至りますれば
アメリカの
能力は大体二億KWになるだろう、こういうことを申しておられました。
只今民間におきましても
政府事業におきましても相当な大幅な
開発計画が進められておるのであります。それが着々進んでおる、こういうような
状況でございます。
アメリカにおきましては、金利は大体三分くらいでありまして、
電気会社の一般の利益は五分くらいであります。五分くらいの利益でや
つております。それから証券の発行につきましても、セキユリテイー・エツクスチエンジという
コミツシヨンがありまして、そこで
電気事業の株については、ここで買えば大丈夫だというところまで保証いたしますので、ポンドでも発行いたしますと比較的吸收され易いというような
状況でありますので、これらの民有の
会社が開発いたしますにつきましても、決して国家の資金から金を借りて開発するということでなしに、市中の金を吸收して十分開発して行く、こういうような
状況であります。一
キロワツト・アワーの値段は四八年の統計によりますと三セント○一という値段にな
つております。従いまして
日本に直しますと、三円六十銭をかけますと、大体十一円近くになるのであります。この
電気の一
キロワツト・アワーの値段は逐次下
つて来ておるのであります。一九三五年に較べますと確か八九%くらいにな
つております。ところが一般の物資は三五年に較べまして一七〇%ということにな
つております。物価は上
つておりますけれども、
電気料金は下
つて来ております。然るに
電気事業におきましてもコンストラクシヨン、
建設の費用というものはやはり戰前に較べて倍くらいである。恐らく私の見ました計画でも一キロワツトに対しまして百五十ドル乃至八十ドルというようなところでありますから、
日本の七万八万ということになりますが、だんだん上
つて来ております。それから使用人の賃金はやはり物価の指数の向上と共に上
つております。コンストラクシヨントウエージの方は上
つておりながら一
キロワツト・アワーの値段が下
つておるということは、取も直さず新しい
建設によ
つてサプライが殖える、それによ
つて薄利多売というところでそういう数字が出て来ておるというふうに私は見て参りました。一
家庭あたりの
電気の
使用量の平均が千五、六百
キロワツト・アワーにな
つております。
TVAの
附近におきましては大体四千くらいのKW、
日本では総平均で三百
キロワツト・アワーくらいにな
つておりますから、非常に
使用量が違
つております。殊に
TVAの
附近におきましては、全
アメリカの平均よりも更に安く、二・五セントで一
キロワツト・アワーを売
つておりますから、ますますその地方は
電気を使う、家庭においても、台所も私拜見いたして来たのでありますが、クツキングから、皿を洗うのからお湯を沸かすのから全部
電気でやる、適当な
ウエスチング・ハウス等の機械ができておりまして、ますます家庭では
電気を使うということにな
つておりまして、一
キロワツト・アワーの
電力料金は安くな
つておりますけれども、家庭の使う量は殖え、
従つて絶対値の
料金は上
つております。それは
電気を余計使うということでありまして、
エレクトリフイケーシヨンが一層普及しておるというように私は考えて参
つたのであります。御承知のように
アメリカにおきましては先程申しました二〇%というものは官有でありますが、その最も大きなものが
TVAであります。
TVAは御承知のように
TVAという特別のオーソリテイができておりまして、
アドミニストレーシヨンができておりまして、すべての
発電をし販売をしておるのであります。ここでは大体二百七十万K・Wの
能力を持
つておりまして、百五十億
キロワツト・アワーを
発電いたしておりますから、
発電をいたしましてその
発電地点を販売する。或いは
附近の
市町村の組合というような建前をと
つておりまして、みずから最終の
需要者にデイストリビユードするということは極く稀な例外を除きましても、これは例えば
附近に
ナイロン工場があるとか、或いは
軍需工場があ
つて相当の
需要があるという
所以外は、すべて百四十四の
市町村、或いは
市町村組合に売りまして、そうして組合にデイストリビユーシヨンをやらしておるというのが
現状であります。私が
TVAに行きまして感じましたことは、
TVAの発達の歴史から申しまして、あそこがフラッド・ロントロールから、先ず第一に洪水の調節から出発いたしまして、更には舟行、ナヴイゲーションということ、そこで
ダムを
作つて、これによ
つて洪水を調節し、又その
ダムの横に
チヤネルがついておりまして、舟をそこで上げ下げするということ、そこに
ダムの水を落すときに
電気を起す、
電気は第三次的なるものである。
TVA附近では
イリゲーション、灌漑のために水を使うということはないようであります。適当に雨が降りまして、
イリゲーションのためには
TVAの
ダムの水は
使つてないようでありますが、
電気は第三次でありまして、その
TVAに課せられました職務はその
附近の産業に
電気を供給するということでありまして、従いまして
フラツド・コントロールの点、或いは
ナヴイゲーシヨンの点から、一定の水は船行に便利なためにそれ以上水深を下げてはいかんということでありますから、その水のある範囲において
電気を起すということでありますから、
電気は必ずしもその
発電能力にフルには動いておりません。
従つてそういう工業の用に供する
ナヴイゲーシヨンのできるような川については、又或いはその小さい川についても
フラツド・コントロール、
ナヴイゲーシヨン、或いは
ボールダー・ダムにつきましてはイリゲーシヨンというものを考えまして、それと相マツチした考で
電気を起す。各方面の
需要と相調和して
電気を
発電して行くということにつきましては、
我が国におきましては大いに参考にしなければならんというように考えておるのでございます。ただ
TVAとかボールダー
ダムということになりますと、
一つの
アドミニストレーシヨンができまして、それが
ナヴイゲーシヨンの地区も、イリゲイシヨンの地区も、
フラツド・コントロールも考えて
電力を考えて行くといいますと割合にし易いのであります。
日本では各方面の役所に分れておりますから、尚費用の分担とかいうようなことで、我々の知
つている範囲においても
日本のような
電気開発においてそういう問題が非常にあるということは、又それが殊に
アメリカにおいて調節されるという点は、多少組織が違
つておりますけれども、大いに参考にすべきではないかというふうに考えて参
つたのであります。この
ボールダー・ダムも私拜見いたして来たのでありますが、これは一九三一年から六年間かか
つて完成されたということでありますが、その
ダムの高さが五百七十フイートありまして、現在
ボールダー・ダムの持
つておりますキヤパシテイは百三万K・Wでありますが、近き将来には三百三十万K・Wまでに、大体五十億
キロワツト・アワー出しておりますが、面白いことには
ボールダー・ダムは一九四七年に
フーバー・ダムと改称せられたのでありますが、この
ダムの
建設はビユーロー・オヴ・リクラメイシヨンが実施したのでありまして、これは向うの内務省に相当するデパートメント・オヴ・インテリアルでや
つております。
ダムの
建設はやりますが、そこに据わ
つている
発電機の運転及び送電という
関係は
ロスアンゼルス・シテイと、それからサウス・
カリフオルニヤ・エヂソンという両方の
会社が
会社の
スキツチ・ボールドに
座つて発電機を運転して、そうして持
つて行くというようなことにな
つておりまして、政府が作つたけれども、それに据えつけた
発電機はそれを利用する
ロスアンゼルス・シテイと、サウス・
カリフオルニヤ・エヂソンが運転して、そうしてやるというように、こういうように
発電者と
需要者、又
建設者と、それを買
つている人とのコンビネーシヨンというものが、官民の
関係にあるけれども、非常にうまく
行つているのではないかと思います。
ボールダー・ダムから
ロスアンゼルス・シテイに
行つております
送電線は確か二十七万八千のもので、非常にハイ・ヴオルテイジで、恐らく
世界随一であると言えるのではないかと思うのでありますが、二十七万と二十二万の両方の線が通
つているようでありまして、丁度
ボールダー・ダムによ
つてせき止められました湖はメツド・レークと言いますか、ベツク・ウオーターが百マイル先にありまして、人工の湖としては世界第一である。そこには魚を放流して、或いはモーター・ボートを浮かべ、
一つの散策の土地にな
つている。それからそのせき止められた水を灌漑の方に
フーバー・ダムは
使つておりまして、
南カリフオルニヤの発達はこの
ダムの水を引くことによ
つて農地の開発に、或は都市の水道といつたようなものに
使つておりまして、この
ダムの
建設によ
つて初めて
南カリフオルニヤの発達ができたというように非常に貢献いたしておる。こういう実情を見て参
つたのであります。あの
附近は御承知のように、ネヴアタ州と申しまして、
砂漠地帶であります。あそこに
ボールダー・シテイーというのがありますが、
ボールダー・シテイは、恰も砂漠の中のオアシスのごとく、砂漠の中に青々とした芝が生え、生き生きと木の芽が吹いております。私はどうしてこんなふうに生えたのかということを疑問に
思つたのでありますが、丁度このくらいの一インチにも足らないような小さいパイプが土の下にたくさん通
つております。これは銅管でありましたが、これは
ボールダー・ダムから引いて来た水でやりまして、そうして
地下水に代るべき水を供給している。だからボールダー・シテシーから一歩過ぎると広漠たる砂漠でありますが、
ボールダー・シテイーに入りますと、グリーンの芝生が青々と生えている。そこまで人工の、
ボールダー・ダムの水を
使つて、
アメリカ的都市の
建設というものができておる。ラスベガス市は必ずしもその水を
使つていないようでありますが、
ボールダー・ダムの水を
使つてボールダー・シテイができ……恐らくそういうような方法でやれば必要によ
つては都市が次々生まれるのではないかというところまで
行つておるのであります。私は
技術者でありませんから、
発電所の
機械等につきましてはよく分りませんが、どこへ
行つても非常に設備が綺麗である。或る所はデパートメント・ストアに
行つたようでありまして、
TVAのワツパーという
発電所へ
行つたのでありますが、そこがずつと
大理石なんですね、建物が。丁度議会へ来たような感じですね。
大理石をどうして
使つたのですかと係の人に聽きましたら、この
TVAのテネシー・ヴアレーでは
大理石が沢山出るのだ、別に貰沢に
使つたわけじやないけれども、それを持
つて来て
使つたというわけで、非常に、外観も綺麗であり、中に入りましても、二、三の
建設中の
プラントにつきましては例外でありましたけれども、そうでない
プラントにつきましては、塵
一つ落ちていないというような
状況でありまして、殊に、
オートマテイツク・コムパスチヨン・コントロールという言葉で言
つておりますが、私はよく分りませんが、風と燃料との
関係を現す、ベーリイ・
メーター・コムパニーで造
つておる
メーターがありまして、風の多いときは常に赤……赤が
確か風だと思います。青の方が燃料だと思います。常にこれが併行して行かなければならん。その併行が破れた場合において、風が少いとか燃料が多いとかいうようなことからいたしまして、その
メーターを見ておる一人がチヤージすればすぐアジヤストができるというような
関係で、非常に
オートマテイツクなものであります。従いましてスヰツチ・ボールド、それから
メーター・ウオツチマンといつたようなところ以外には殆んど人がおらないのであります。我々は実に驚いたのでありますが、そういうふうに、まあ
オートマテイツク化してあるということにつきましては非常に驚いたのであります。この点は恐らく
日本でも将来、近い将来においてこれを採用し得るのじやないかと思います。送電につきましても、先程申しました
我が国においては、大体十五万ぐらいが一番大きいと思います。先ず二十二万とか二十七万というのも、恐らく近い将来に、必要が起ればやり得るのではないかと思いますが、それよりも先ず先に、
火力発電所におきますところの
オートマテイツク・コムバスチヨン・コントロールというものを採用していいのではないかというふうに、私は、素人ながら考えたわけであります。非常に能率的に、而も八万ならば八万キロワツトという銘を打
つてあるトランスにつきましては、現実に見て八万以下に
発電しておるところはないのであります。八万を超えて、而もそれが二十四時間続いている、実際の銘打つた八万なら八万以上に出ておるというのが
現状であります。それ以外にいろいろ事情があるかも知れませんけれども、それ以下の
発電している
発電機を私は見なか
つたのであります。というのは取も直さず非常に機械が
発電性がよくて、フルにキヤパシテイーを出しておる、
プレツシユアあたりも非常に高いということを
技術者は言
つておりますが、どのくらいだつたか私は知りませんが、そういうような
状況でありまして、財政的に
電気事業は非常に、概論いたしますと健全であり、逐次
能力を増し、又この
発電所のオペレーシヨンにおきましても
オートマテイツクな
システムを
使つて非常に能率よく
発電しておるというのが
現状である。
従つてその
従業員におきましても
日本の僅か二
倍足らずの人で十倍の
発電をしておるということであります。これは毎年
需要が殖えて参りますので、五%ぐらいの余裕があるということを言
つております。併し
需要も延びる、それに
建設が何して常に
需要と供給とはマツチしておる。従いまして
日本のように
使用制限、最近は
使用制限でなくして
標準料金による割当ということにな
つておりますが、使用の
制限ということは
アメリカにはあまりありません。ただ私達が向うにおりましたときに起りましたコール・
ストライキのために、
石炭坑夫の
ストライキのために一時
発電力が減りまして、
ニユーヨーク附近におきましては
ブラウン・
アウトという言葉を
使つておりますが一時、
制限があ
つたのでございます。こういう
エマージエンシーのときにその
附近の
知事が
コントローラーというものを決めまして、その
コントローラーが強制的でなしにギロンタリー・ベーシスで
制限をやつた。而もその
制限は法規によ
つてや
つていないにも拘らず、非常に嚴格に守られておるということを、私は見ませんでしたけれども我々の一員が
ブラウン・
アウトの
状況を見て来て、非常に整然たるものであつたということであります。
西海岸の方におきまして
カリフオルニヤ州におきましても一九三一年は非常な渇水がありまして、そのときサウス・カロライナーの方から
電気を北の方に持
つて来た。そのときに
コントローラーを任命して、そうしてそれの何によ
つてやつたという、そういう特別の
エマージエンシー以外は
電気の
制限、割当ということは全然ないのでありまして、むしろ沢山
使つて下さいというような
状況でありまして、需給がバランスになる。更にその需給が逐年平衡を保
つて殖えて行くというのが大体の
アメリカの
電気の
状況であろうと思うのであります。
次に私の
研究題目でございました
レギユラトリー・ボデイの問題でございますが、
アメリカは御承知のように四十八州ございますが、この中四十州というものは
ステート・
コミツシヨンを持
つております。パブリツク・
サーヴイス・
コミツシヨンというものを持
つております。その八州はそれではどういう
システムでや
つておるかと申しますと、或いは州の
知事がその
権限を持ち、或いはその
ステートの立法府が
コミツシヨンと同じような
権限を持ち、或いは或る州におきましては全然私有の
電気会社がないという
関係からいたしまして、そういうものが必要がないというような州もございますが、とに角四十州には
ステート・
コミツシヨンがあり、その他の州においてはおのおのそれに相当する機能を或る種の機関がこれを実施しておるというのが
現状でございます。
コミツシヨンの起りは
アメリカでなくして
イギリスでありまして、昔
イギリスでキングが或る渡し舟の
舟頭に
料金を決める
権限を與えた。併しそのフエリー・ボートは多くの人々をキヤリーするものであ
つて、舟の
舟頭のものかも知らんけれども、その使う人は大衆であるから、その
料金というものは
舟頭に決めさせてはいかんというところから、その
料金を決めるために
一つのコミツシヨナーができたというようなところから何しまして、
コミツシヨンの起りは
イギリスであるようでありますが、それがやはり
アメリカの方に
移つたのでありますが、
コミツシヨンというものは、
現状におきましては、バスの
料金とか、トラツクの
料金とか、或いは市電の
料金とか、或いは水道の
料金とか、ガス、それから
電気は勿論、そういうあらゆる
公共事業の……
料金以外のものもいろいろありますけれども、
サーヴイス、その
公共事業の
サーヴイスの点、而も幾らでやるかという
料金、このことを決めるのが主なる
権限であります。従いまして州の
コミツシヨンにおきましては、
電気、ガスばかりでなく、あらゆるそういうものに対する
権限を持
つているのが
現状であります。この
ステートの
コミツシヨンは一応その
料金を決める前に
公聽会つまりヒヤリングを開きまして、そうしてこれを決定する。若し或る
会社がその
料金に不服があるならば、
裁判所に申出ることができる。それは各州によ
つて違いますけれども、或いはサーキツト・コート、或いはシユープリーム・コートと言
つておりますが、そこに申出る。更に不服があれば州の
最高裁判所に申出ることができるということにな
つておりまして、
コミツシヨンの処分に対する
リヴイユーと申しますか、
リヴイユーは
裁判所がやるのであります。ただ州の
コミツシヨンの任命につきましては、
知事がこれを任命する、州によ
つて違いますが、
コミツシヨンの
委員は三名の所もありますし、五名の所もございます。大体三名の所におきましては、二年四年六年というふうに任期が決ま
つております。五年の所は一年二年三年四年五年、それは最初に任命される人であります。そういうようなことで、後は四年間というふうに同時に
委員の任期が切れないようにな
つておるのであります。
委員が
チエヤ・マンを任命して
チエヤ・マンが
委員会を代表してすべての指揮をする、こういうような
状況にな
つておるのであります。従いまして
任命権は
知事にある。その実際の処分につきましては
裁判所がこれを監督する、こういうような
状況にな
つておるのであります。而もこの
コミツシヨンはその一年間になした
処分等につきましては、その州の議会に報告するというふうに、議会、
知事、それからコートというふうに三つに繋がりまして
コミツシヨンが
一つの
行政事務も
行つている。こういうような
状況であります。私はウイスコンシンの
コミツシヨンに
行つてヒヤリングをや
つているところを拜見いたしたのでありますが、
ちようどメーソンという方がおられまして、その人が
コミツシヨンの
ヒヤリングをや
つておりましたが、私が参りましたら、
日本から使節が来たというので私と握手しまして、
メーソンの隣りに私が坐わらされて、
ヒヤリングを二時間ばかり聽かされたのですが、英語は必ずしも十分でなかつたものですから、よく内容は分りませんでしたけれども、やはり
委員長は一段高い所に坐りまして、丁度裁判官のように坐りまして、ただ聽いているだけであります。お互いの
原告被告の話はすべて録音に取りまして、これを記録に移すといつたような
システムにな
つておりまして、その
ヒヤリングをやつた後にオーダーを出す。それに不服のある者は更に裁判に申出る。こういうのであります。もう
一つフエデラル・パワー・コミツシヨンというのがありまして、これは
連邦動力委員会と訳しておるようでありますが、
連邦動力委員会と州の
委員会とは管掌いたしております事柄が違いまして、上下の
関係があるのではありません。連邦の
委員会は、
フエデラル・パワー・コミツシヨンの方は、ミスシツピー・
リバーでありますとか、コロンビア・
リバー、コロラド・
リバーでありますとか、国家が管理している
ナヴイカロル・ウオーターにおいて
水力発電をする場合においては、この
フエデラル・パワー・コミツシヨンの許可を受けなければ、
ステート・
コミツシヨンは
権限はないのであります。
従つてナヴイカロル・ウオーターにおける
水力発電の許可と、それから
インターステートの
コムマースと言われる、即ち州と州との間に跨
つて電力の供給をしている
会社があるとするならば、その
会社は州の
コミツシヨンに従わなくて
フエデラル・パワー・コミツシヨンに従う。こういうようにな
つておるのでありまして、おのずから
ステート・
コミツシヨンの
管轄下にある
会社と、
フエデラル・パワー・コミツシヨンの下にある
会社とはおのおのそこが違うわけであります。更にこの
フエデラル・パワー・コミツシヨンは
電気とガスだけしか管轄いたしておりません。その他のものはもうや
つておりません。それが州の
コミツシヨンとは大分違うところであります。ただ州の
コミツシヨンと
フエデラル・パワー・コミツシヨンとは共同の
ヒヤリングをやるとか、共同の調査をやるとかいうようなことについては、非常によく連絡がとれておるようでありますが、とにかく
権限も違い、その管掌する事業も違うわけであります。それで
フエデラル・パワー・コミツシヨンのオーダーに対しまして、不服のある人はサーキツト・コート・オブ・アツピールと申しておりますが、これは
日本の裁判制度と同じで、連邦の
裁判所の管轄というものは幾つかに分れておりまして、その
会社の所属する連邦の方と、只今のサーキツト・オブ・アツピール、控訴院とでも申しましようか、そういうところに先ず提訴いたしまして、更に憲法上の権利を侵害されたという事実があるとすればこれは連邦のシユープリーム・コート・オブ・ユナイテツド・
ステート、連邦の
最高裁判所に訴え出ると、州の
最高裁判所で決定せられた、判決せられた事件につきましても、やはり憲法上の権利を侵害されたという條件が満たされるならば、やはり州の
ステート・
コミツシヨンについてもやはり連邦
最高裁判所に訴え出ると、こういうふうにな
つております。然らばこの公益事業
委員会で扱
つている事柄で憲法上の問題になり得るものがあるかというようなことにな
つて参りますが、これはその他のものもあると思いますが、主として公益事業
委員会でいろいろ裁判沙汰にまでな
つておる事件は、やはりレート・メーキングでありまして、
料金の問題であります。
料金の問題は
アメリカにおきまして憲法上の自由権の問題とせられますので、
最高裁判所までしばしばこれが論議されるのであります。何故憲法上の問題であるかと申しますと、これは少し私は法律をや
つたので理窟つぽいかと思いまするが、憲法の條文の中に次のような文があるのでありまして、「ノオ・プロパーテイ・ホア・ザ・パブリツク・ユース・ビー・テエタン・ウイズ
アウト・ジヤスト・コムペンセーシヨン」、如何なる所有権も、それに対する、相当する補償なしに公の用に取上げてはならないと、こういう、
日本で申しますと公用徴收のような規定があるのであります。その規定の引用によりまして、この
電気とかガス事業
会社の財産というものは公に
サーヴイスをするために提供した財産である。
従つてその財産を運用して事業するにはそれに応じたこのフエアー・ヴアリユー・オブ・リターンスという言葉を
使つておりますが、それに相応するリターンが、利益がなければならんというふうにですね、嵌めて考えております。
従つて会社はこれこれの理由によ
つてこれだけの
料金を貰わなければやれない。又
サーヴイスをよくするためにはこれだけが必要であるという正当な計算を出して行つたにも拘わず、
コミツシヨンがこれを認めない、或いはコートが認めないという場合においては、これは事業を侵害されたと同じ意味においてという意味におきまして、これは
最高裁判所まで行き得る事件であるというふうにされておるのであります。この事件につきましては、やはりこの財産の評価の基礎をどこに取るかという問題、それから償却の問題は如何に考えるかというような問題がありまして、聊か研究したのでありますが、余り細かくなるといけませんから申上げませんが、大体申しますと、オリヂナル・コストであるか、或いはリ・プロダクシヨン・コストを採るか。評価について採算の條件とか、それからデイプリシエーシヨンにして、即ち償却いたしました場合におきまして、その除却の額を評価の採算から引くかどうかということにつきまして、区々の意見があるのであります。それで一番有名な事件といたしましては、一八九八年にデナイカス・パーケスイングスという事件がありまして、これによりまして
最高裁判所は、これはリプロプロダクシヨン・コストを取
つたのであります。ところが事件の判決によりまして一九四四年のポール・ナシヨナル・ケースということで、オリヂナル・コストでコーポレーシヨンは引いたもので計算するということが
最高裁判所の判決にな
つておりますが、併しながら
最高裁判所まで来る事件というものはまあありませんので、州の意見によ
つて大体決まりますから、州のコートは必ずしも
最高裁判所の意見通りにな
つていない。
最高裁判所まで行くと大体今のような判決によ
つて現在は律せられるというのが実情のようであります。併しながら
アメリカにおきましては、先程申上げましたように段々プラレツト・ウオーターのレートは下
つて来ておるのでありまして、而もそのレートで
会社は相当の利益を有し、更に
建設もや
つて行くという
状況でありますので、そう始終上
つて行く傾向でありません。それ程切実ではないと思いますけれども、たまにはやはりそういう特殊の
会社がありまして、そういい問題が出て来ると見えまして、ポール・ナシヨナル・ケースというように、最近のレートを決めて行きます上におきまして重大なケースにな
つておるのであります。
飜
つて我が国の新しく出発いたします
公共事業委員会につきましては、この
アメリカのように
一つのコンプレイント、
一つの訴えに対してこのものを裁定するというような立場を大体
アメリカのポヂシヨンは持
つておりますけれども、
日本におきましてはやはりアロケーシヨンという問題がありまして、更に又いろいろ事件の調整というような問題もありますので、性格が果して
アメリカ通りに、本当に受身に、而もそこをレギユレートするものは、そういうふうに命ずるということは全然ないのであります。即ち訴えによ
つてそれを調整し、オーダーするというのが
アメリカの
システムのように考えております。私は今度の旅行によりまして、コントロールとレギユレートというものは如何に違うか、レギユレートとコントロールというのは字引を引けば
日本語における差違というものは書いてありますけれども、そういうレギユレートとコントロールとの差違というものは、
日本においては分らなかつたと思いますがゐ
アメリカに行きまして、
委員会のやり方、それからレポート等を読みまして、初めて本当のレギユレートとコントロールの意味が本当によく分つたような状態でありまして、そういう点は今後自分のために参考になると考えて参
つたのであります。
大体内容を申し上げたのでありますが、若し御質疑等がございますればまだ少し時間がございまするので、私の知
つておる範囲におきましてお答え申上げたいと思います。