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1950-04-12 第7回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査  (アメリカ電力事情に関する件)   —————————————
  2. 飯田精太郎

    委員長飯田精太郎君) 只今から開会いたします。本日は今年の一月初めに出発されまして、アメリカ電力事情を具さに研究されて四月の初めに歸朝されました武内電力局長から米国の電力事情について御説明をお伺いいたします。
  3. 武内征平

    政府委員武内征平君) それでは御指名によりまして御説明させて頂きます。  実は我々は十六名で電力視察団を編成いたしたのでありますが、その十六名は八つの題目を選定いたしまして、おのおの大体二人が一つの題目を研究するといつたよ女な方法で研究いたしたわけであります。例えばダム建設でありますとか、或いは発電の実情でありますとか、或いは送電であるとか、或いはレート・メーキイング、或いはマネージ、経営という面から研究されたのであります。私はレギユラトリー・ボデイ公共事業委員会を研究するということが私に與えられました題目であつたのでございますが、只今委員長からのお話がありましたように、アメリカ電気事情をお話し申上げまして、その上で公共事業委員会に関しまして、お話し申上げるというふうにいたしたいと思います。  アメリカの現在の発電能力と申しますか、これは約六千九百万K・Wくらいであります。実際のキロワツト・アワーは三千六百億くらい、これは一九四八年の研究によりますとさようになつております。我が国の大体十倍というふうに考えればいいと思います。この十倍の電気発電いたしますのに、従業員は約二十七万八千と申されております。我が国におきましては大体十四万なにがしでありますから、倍足らずの人が約十倍の電気を動かしておる、こういうような実情でございます。それで水、火力の比率でございますが、大体火力アメリカは主でございまして、七二%はこれは火力でございまして、二八%が大体水力というような事情になつております。これはアメリカの地域によりまして異ります。又官営と民営によつて比率は違いますが、西海岸の方、カルフオルニアの地方におきましては大体水、火力のパリテイが五〇、五〇ということになつておりますが、イーストの方になりますとこれが二〇と八〇といつたように火力の方が更に多くなつておる。こういうような状況になつておるようであります。官業と民営の関係でありますが、TVAを初めといたしまして、広くルーラル・エレクトリフイケーシヨンTVAグランドクーリー、コア・オブ・エンジニヤと申しまして、陸軍の工兵隊とでも申しましようか、これが開発をやつておりまして、政府の発電は大体全体の二〇%くらい、八〇%が民営、こういうような状況になつております。それで毎年々々四百万或いは五百万、六百万といつたように、終戰直後は資材の不足、又人手の足りないということから年々増加ということは余りなかつたようでありますが、四八年、四九年、五〇年、五一年というふうになりますと、大体少い年で四百万、多い年は六百万というふうな計画が立てられておりまして、大体遂行率は八、九〇%遂行されておりますので、大体四、五百万近くの数が年々殖す。丁度私は幸いにもマーシヤル・プランの電気関係を担当せられましたシスリーという方が、デトレート・エジソンの副社長を現在やつておられまして、その方の講演を伺つたのでありますが、四八年から三〇年後、七八年に至りますればアメリカ能力は大体二億KWになるだろう、こういうことを申しておられました。只今民間におきましても政府事業におきましても相当な大幅な開発計画が進められておるのであります。それが着々進んでおる、こういうような状況でございます。アメリカにおきましては、金利は大体三分くらいでありまして、電気会社の一般の利益は五分くらいであります。五分くらいの利益でやつております。それから証券の発行につきましても、セキユリテイー・エツクスチエンジというコミツシヨンがありまして、そこで電気事業の株については、ここで買えば大丈夫だというところまで保証いたしますので、ポンドでも発行いたしますと比較的吸收され易いというような状況でありますので、これらの民有の会社が開発いたしますにつきましても、決して国家の資金から金を借りて開発するということでなしに、市中の金を吸收して十分開発して行く、こういうような状況であります。一キロワツト・アワーの値段は四八年の統計によりますと三セント○一という値段になつております。従いまして日本に直しますと、三円六十銭をかけますと、大体十一円近くになるのであります。この電気の一キロワツト・アワーの値段は逐次下つて来ておるのであります。一九三五年に較べますと確か八九%くらいになつております。ところが一般の物資は三五年に較べまして一七〇%ということになつております。物価は上つておりますけれども、電気料金は下つて来ております。然るに電気事業におきましてもコンストラクシヨン、建設の費用というものはやはり戰前に較べて倍くらいである。恐らく私の見ました計画でも一キロワツトに対しまして百五十ドル乃至八十ドルというようなところでありますから、日本の七万八万ということになりますが、だんだん上つて来ております。それから使用人の賃金はやはり物価の指数の向上と共に上つております。コンストラクシヨントウエージの方は上つておりながら一キロワツト・アワーの値段が下つておるということは、取も直さず新しい建設によつてサプライが殖える、それによつて薄利多売というところでそういう数字が出て来ておるというふうに私は見て参りました。一家庭あたり電気使用量の平均が千五、六百キロワツト・アワーになつております。TVA附近におきましては大体四千くらいのKW、日本では総平均で三百キロワツト・アワーくらいになつておりますから、非常に使用量が違つております。殊にTVA附近におきましては、全アメリカの平均よりも更に安く、二・五セントで一キロワツト・アワーを売つておりますから、ますますその地方は電気を使う、家庭においても、台所も私拜見いたして来たのでありますが、クツキングから、皿を洗うのからお湯を沸かすのから全部電気でやる、適当なウエスチング・ハウス等の機械ができておりまして、ますます家庭では電気を使うということになつておりまして、一キロワツト・アワー電力料金は安くなつておりますけれども、家庭の使う量は殖え、従つて絶対値の料金は上つております。それは電気を余計使うということでありまして、エレクトリフイケーシヨンが一層普及しておるというように私は考えて参つたのであります。御承知のようにアメリカにおきましては先程申しました二〇%というものは官有でありますが、その最も大きなものがTVAであります。TVAは御承知のようにTVAという特別のオーソリテイができておりまして、アドミニストレーシヨンができておりまして、すべての発電をし販売をしておるのであります。ここでは大体二百七十万K・Wの能力を持つておりまして、百五十億キロワツト・アワー発電いたしておりますから、発電をいたしましてその発電地点を販売する。或いは附近市町村の組合というような建前をとつておりまして、みずから最終の需要者にデイストリビユードするということは極く稀な例外を除きましても、これは例えば附近ナイロン工場があるとか、或いは軍需工場があつて相当需要があるという所以外は、すべて百四十四の市町村、或いは市町村組合に売りまして、そうして組合にデイストリビユーシヨンをやらしておるというのが現状であります。私がTVAに行きまして感じましたことは、TVAの発達の歴史から申しまして、あそこがフラッド・ロントロールから、先ず第一に洪水の調節から出発いたしまして、更には舟行、ナヴイゲーションということ、そこでダム作つて、これによつて洪水を調節し、又そのダムの横にチヤネルがついておりまして、舟をそこで上げ下げするということ、そこにダムの水を落すときに電気を起す、電気は第三次的なるものである。TVA附近ではイリゲーション、灌漑のために水を使うということはないようであります。適当に雨が降りまして、イリゲーションのためにはTVAダムの水は使つてないようでありますが、電気は第三次でありまして、そのTVAに課せられました職務はその附近の産業に電気を供給するということでありまして、従いましてフラツド・コントロールの点、或いはナヴイゲーシヨンの点から、一定の水は船行に便利なためにそれ以上水深を下げてはいかんということでありますから、その水のある範囲において電気を起すということでありますから、電気は必ずしもその発電能力にフルには動いておりません。従つてそういう工業の用に供するナヴイゲーシヨンのできるような川については、又或いはその小さい川についてもフラツド・コントロールナヴイゲーシヨン、或いはボールダー・ダムにつきましてはイリゲーシヨンというものを考えまして、それと相マツチした考で電気を起す。各方面の需要と相調和して電気発電して行くということにつきましては、我が国におきましては大いに参考にしなければならんというように考えておるのでございます。ただTVAとかボールダーダムということになりますと、一つアドミニストレーシヨンができまして、それがナヴイゲーシヨンの地区も、イリゲイシヨンの地区も、フラツド・コントロールも考えて電力を考えて行くといいますと割合にし易いのであります。日本では各方面の役所に分れておりますから、尚費用の分担とかいうようなことで、我々の知つている範囲においても日本のような電気開発においてそういう問題が非常にあるということは、又それが殊にアメリカにおいて調節されるという点は、多少組織が違つておりますけれども、大いに参考にすべきではないかというふうに考えて参つたのであります。このボールダー・ダムも私拜見いたして来たのでありますが、これは一九三一年から六年間かかつて完成されたということでありますが、そのダムの高さが五百七十フイートありまして、現在ボールダー・ダムの持つておりますキヤパシテイは百三万K・Wでありますが、近き将来には三百三十万K・Wまでに、大体五十億キロワツト・アワー出しておりますが、面白いことにはボールダー・ダムは一九四七年にフーバー・ダムと改称せられたのでありますが、このダム建設はビユーロー・オヴ・リクラメイシヨンが実施したのでありまして、これは向うの内務省に相当するデパートメント・オヴ・インテリアルでやつております。ダム建設はやりますが、そこに据わつている発電機の運転及び送電という関係ロスアンゼルス・シテイと、それからサウス・カリフオルニヤ・エヂソンという両方の会社会社スキツチ・ボールドに座つて発電機を運転して、そうして持つて行くというようなことになつておりまして、政府が作つたけれども、それに据えつけた発電機はそれを利用するロスアンゼルス・シテイと、サウス・カリフオルニヤ・エヂソンが運転して、そうしてやるというように、こういうように発電者需要者、又建設者と、それを買つている人とのコンビネーシヨンというものが、官民の関係にあるけれども、非常にうまく行つているのではないかと思います。ボールダー・ダムからロスアンゼルス・シテイ行つております送電線は確か二十七万八千のもので、非常にハイ・ヴオルテイジで、恐らく世界随一であると言えるのではないかと思うのでありますが、二十七万と二十二万の両方の線が通つているようでありまして、丁度ボールダー・ダムによつてせき止められました湖はメツド・レークと言いますか、ベツク・ウオーターが百マイル先にありまして、人工の湖としては世界第一である。そこには魚を放流して、或いはモーター・ボートを浮かべ、一つの散策の土地になつている。それからそのせき止められた水を灌漑の方にフーバー・ダム使つておりまして、南カリフオルニヤの発達はこのダムの水を引くことによつて農地の開発に、或は都市の水道といつたようなものに使つておりまして、このダム建設によつて初めて南カリフオルニヤの発達ができたというように非常に貢献いたしておる。こういう実情を見て参つたのであります。あの附近は御承知のように、ネヴアタ州と申しまして、砂漠地帶であります。あそこにボールダー・シテイーというのがありますが、ボールダー・シテイは、恰も砂漠の中のオアシスのごとく、砂漠の中に青々とした芝が生え、生き生きと木の芽が吹いております。私はどうしてこんなふうに生えたのかということを疑問に思つたのでありますが、丁度このくらいの一インチにも足らないような小さいパイプが土の下にたくさん通つております。これは銅管でありましたが、これはボールダー・ダムから引いて来た水でやりまして、そうして地下水に代るべき水を供給している。だからボールダー・シテシーから一歩過ぎると広漠たる砂漠でありますが、ボールダー・シテイーに入りますと、グリーンの芝生が青々と生えている。そこまで人工の、ボールダー・ダムの水を使つてアメリカ的都市建設というものができておる。ラスベガス市は必ずしもその水を使つていないようでありますが、ボールダー・ダムの水を使つてボールダー・シテイができ……恐らくそういうような方法でやれば必要によつては都市が次々生まれるのではないかというところまで行つておるのであります。私は技術者でありませんから、発電所機械等につきましてはよく分りませんが、どこへ行つても非常に設備が綺麗である。或る所はデパートメント・ストアに行つたようでありまして、TVAのワツパーという発電所行つたのでありますが、そこがずつと大理石なんですね、建物が。丁度議会へ来たような感じですね。大理石をどうして使つたのですかと係の人に聽きましたら、このTVAのテネシー・ヴアレーでは大理石が沢山出るのだ、別に貰沢に使つたわけじやないけれども、それを持つて来て使つたというわけで、非常に、外観も綺麗であり、中に入りましても、二、三の建設中のプラントにつきましては例外でありましたけれども、そうでないプラントにつきましては、塵一つ落ちていないというような状況でありまして、殊に、オートマテイツク・コムパスチヨン・コントロールという言葉で言つておりますが、私はよく分りませんが、風と燃料との関係を現す、ベーリイ・メーター・コムパニーで造つておるメーターがありまして、風の多いときは常に赤……赤が確か風だと思います。青の方が燃料だと思います。常にこれが併行して行かなければならん。その併行が破れた場合において、風が少いとか燃料が多いとかいうようなことからいたしまして、そのメーターを見ておる一人がチヤージすればすぐアジヤストができるというような関係で、非常にオートマテイツクなものであります。従いましてスヰツチ・ボールド、それからメーター・ウオツチマンといつたようなところ以外には殆んど人がおらないのであります。我々は実に驚いたのでありますが、そういうふうに、まあオートマテイツク化してあるということにつきましては非常に驚いたのであります。この点は恐らく日本でも将来、近い将来においてこれを採用し得るのじやないかと思います。送電につきましても、先程申しました我が国においては、大体十五万ぐらいが一番大きいと思います。先ず二十二万とか二十七万というのも、恐らく近い将来に、必要が起ればやり得るのではないかと思いますが、それよりも先ず先に、火力発電所におきますところのオートマテイツク・コムバスチヨン・コントロールというものを採用していいのではないかというふうに、私は、素人ながら考えたわけであります。非常に能率的に、而も八万ならば八万キロワツトという銘を打つてあるトランスにつきましては、現実に見て八万以下に発電しておるところはないのであります。八万を超えて、而もそれが二十四時間続いている、実際の銘打つた八万なら八万以上に出ておるというのが現状であります。それ以外にいろいろ事情があるかも知れませんけれども、それ以下の発電している発電機を私は見なかつたのであります。というのは取も直さず非常に機械が発電性がよくて、フルにキヤパシテイーを出しておる、プレツシユアあたりも非常に高いということを技術者は言つておりますが、どのくらいだつたか私は知りませんが、そういうような状況でありまして、財政的に電気事業は非常に、概論いたしますと健全であり、逐次能力を増し、又この発電所のオペレーシヨンにおきましてもオートマテイツクシステム使つて非常に能率よく発電しておるというのが現状である。従つてその従業員におきましても日本の僅か二倍足らずの人で十倍の発電をしておるということであります。これは毎年需要が殖えて参りますので、五%ぐらいの余裕があるということを言つております。併し需要も延びる、それに建設が何して常に需要と供給とはマツチしておる。従いまして日本のように使用制限、最近は使用制限でなくして標準料金による割当ということになつておりますが、使用の制限ということはアメリカにはあまりありません。ただ私達が向うにおりましたときに起りましたコール・ストライキのために、石炭坑夫ストライキのために一時発電力が減りまして、ニユーヨーク附近におきましてはブラウンアウトという言葉を使つておりますが一時、制限があつたのでございます。こういうエマージエンシーのときにその附近知事コントローラーというものを決めまして、そのコントローラーが強制的でなしにギロンタリー・ベーシスで制限をやつた。而もその制限は法規によつてつていないにも拘らず、非常に嚴格に守られておるということを、私は見ませんでしたけれども我々の一員がブラウンアウト状況を見て来て、非常に整然たるものであつたということであります。西海岸の方におきましてカリフオルニヤ州におきましても一九三一年は非常な渇水がありまして、そのときサウス・カロライナーの方から電気を北の方に持つて来た。そのときにコントローラーを任命して、そうしてそれの何によつてやつたという、そういう特別のエマージエンシー以外は電気制限、割当ということは全然ないのでありまして、むしろ沢山使つて下さいというような状況でありまして、需給がバランスになる。更にその需給が逐年平衡を保つて殖えて行くというのが大体のアメリカ電気状況であろうと思うのであります。  次に私の研究題目でございましたレギユラトリー・ボデイの問題でございますが、アメリカは御承知のように四十八州ございますが、この中四十州というものはステートコミツシヨンを持つております。パブリツク・サーヴイスコミツシヨンというものを持つております。その八州はそれではどういうシステムでやつておるかと申しますと、或いは州の知事がその権限を持ち、或いはそのステートの立法府がコミツシヨンと同じような権限を持ち、或いは或る州におきましては全然私有の電気会社がないという関係からいたしまして、そういうものが必要がないというような州もございますが、とに角四十州にはステートコミツシヨンがあり、その他の州においてはおのおのそれに相当する機能を或る種の機関がこれを実施しておるというのが現状でございます。コミツシヨンの起りはアメリカでなくしてイギリスでありまして、昔イギリスでキングが或る渡し舟の舟頭料金を決める権限を與えた。併しそのフエリー・ボートは多くの人々をキヤリーするものであつて、舟の舟頭のものかも知らんけれども、その使う人は大衆であるから、その料金というものは舟頭に決めさせてはいかんというところから、その料金を決めるために一つのコミツシヨナーができたというようなところから何しまして、コミツシヨンの起りはイギリスであるようでありますが、それがやはりアメリカの方に移つたのでありますが、コミツシヨンというものは、現状におきましては、バスの料金とか、トラツクの料金とか、或いは市電の料金とか、或いは水道の料金とか、ガス、それから電気は勿論、そういうあらゆる公共事業の……料金以外のものもいろいろありますけれども、サーヴイス、その公共事業サーヴイスの点、而も幾らでやるかという料金、このことを決めるのが主なる権限であります。従いまして州のコミツシヨンにおきましては、電気、ガスばかりでなく、あらゆるそういうものに対する権限を持つているのが現状であります。このステートコミツシヨンは一応その料金を決める前に公聽会つまりヒヤリングを開きまして、そうしてこれを決定する。若し或る会社がその料金に不服があるならば、裁判所に申出ることができる。それは各州によつて違いますけれども、或いはサーキツト・コート、或いはシユープリーム・コートと言つておりますが、そこに申出る。更に不服があれば州の最高裁判所に申出ることができるということになつておりまして、コミツシヨンの処分に対するリヴイユーと申しますか、リヴイユー裁判所がやるのであります。ただ州のコミツシヨンの任命につきましては、知事がこれを任命する、州によつて違いますが、コミツシヨン委員は三名の所もありますし、五名の所もございます。大体三名の所におきましては、二年四年六年というふうに任期が決まつております。五年の所は一年二年三年四年五年、それは最初に任命される人であります。そういうようなことで、後は四年間というふうに同時に委員の任期が切れないようになつておるのであります。委員チエヤ・マンを任命してチエヤ・マン委員会を代表してすべての指揮をする、こういうような状況になつておるのであります。従いまして任命権知事にある。その実際の処分につきましては裁判所がこれを監督する、こういうような状況になつておるのであります。而もこのコミツシヨンはその一年間になした処分等につきましては、その州の議会に報告するというふうに、議会、知事、それからコートというふうに三つに繋がりましてコミツシヨン一つ行政事務行つている。こういうような状況であります。私はウイスコンシンのコミツシヨン行つてヒヤリングをやつているところを拜見いたしたのでありますが、ちようどメーソンという方がおられまして、その人がコミツシヨンヒヤリングをやつておりましたが、私が参りましたら、日本から使節が来たというので私と握手しまして、メーソンの隣りに私が坐わらされて、ヒヤリングを二時間ばかり聽かされたのですが、英語は必ずしも十分でなかつたものですから、よく内容は分りませんでしたけれども、やはり委員長は一段高い所に坐りまして、丁度裁判官のように坐りまして、ただ聽いているだけであります。お互いの原告被告の話はすべて録音に取りまして、これを記録に移すといつたようなシステムになつておりまして、そのヒヤリングをやつた後にオーダーを出す。それに不服のある者は更に裁判に申出る。こういうのであります。もう一つフエデラル・パワー・コミツシヨンというのがありまして、これは連邦動力委員会と訳しておるようでありますが、連邦動力委員会と州の委員会とは管掌いたしております事柄が違いまして、上下の関係があるのではありません。連邦の委員会は、フエデラル・パワー・コミツシヨンの方は、ミスシツピー・リバーでありますとか、コロンビア・リバー、コロラド・リバーでありますとか、国家が管理しているナヴイカロル・ウオーターにおいて水力発電をする場合においては、このフエデラル・パワー・コミツシヨンの許可を受けなければ、ステートコミツシヨン権限はないのであります。従つてナヴイカロル・ウオーターにおける水力発電の許可と、それからインターステートコムマースと言われる、即ち州と州との間に跨つて電力の供給をしている会社があるとするならば、その会社は州のコミツシヨンに従わなくてフエデラル・パワー・コミツシヨンに従う。こういうようになつておるのでありまして、おのずからステートコミツシヨン管轄下にある会社と、フエデラル・パワー・コミツシヨンの下にある会社とはおのおのそこが違うわけであります。更にこのフエデラル・パワー・コミツシヨン電気とガスだけしか管轄いたしておりません。その他のものはもうやつておりません。それが州のコミツシヨンとは大分違うところであります。ただ州のコミツシヨンフエデラル・パワー・コミツシヨンとは共同のヒヤリングをやるとか、共同の調査をやるとかいうようなことについては、非常によく連絡がとれておるようでありますが、とにかく権限も違い、その管掌する事業も違うわけであります。それでフエデラル・パワー・コミツシヨンのオーダーに対しまして、不服のある人はサーキツト・コート・オブ・アツピールと申しておりますが、これは日本の裁判制度と同じで、連邦の裁判所の管轄というものは幾つかに分れておりまして、その会社の所属する連邦の方と、只今のサーキツト・オブ・アツピール、控訴院とでも申しましようか、そういうところに先ず提訴いたしまして、更に憲法上の権利を侵害されたという事実があるとすればこれは連邦のシユープリーム・コート・オブ・ユナイテツド・ステート、連邦の最高裁判所に訴え出ると、州の最高裁判所で決定せられた、判決せられた事件につきましても、やはり憲法上の権利を侵害されたという條件が満たされるならば、やはり州のステートコミツシヨンについてもやはり連邦最高裁判所に訴え出ると、こういうふうになつております。然らばこの公益事業委員会で扱つている事柄で憲法上の問題になり得るものがあるかというようなことになつて参りますが、これはその他のものもあると思いますが、主として公益事業委員会でいろいろ裁判沙汰にまでなつておる事件は、やはりレート・メーキングでありまして、料金の問題であります。料金の問題はアメリカにおきまして憲法上の自由権の問題とせられますので、最高裁判所までしばしばこれが論議されるのであります。何故憲法上の問題であるかと申しますと、これは少し私は法律をやつたので理窟つぽいかと思いまするが、憲法の條文の中に次のような文があるのでありまして、「ノオ・プロパーテイ・ホア・ザ・パブリツク・ユース・ビー・テエタン・ウイズアウト・ジヤスト・コムペンセーシヨン」、如何なる所有権も、それに対する、相当する補償なしに公の用に取上げてはならないと、こういう、日本で申しますと公用徴收のような規定があるのであります。その規定の引用によりまして、この電気とかガス事業会社の財産というものは公にサーヴイスをするために提供した財産である。従つてその財産を運用して事業するにはそれに応じたこのフエアー・ヴアリユー・オブ・リターンスという言葉を使つておりますが、それに相応するリターンが、利益がなければならんというふうにですね、嵌めて考えております。従つて会社はこれこれの理由によつてこれだけの料金を貰わなければやれない。又サーヴイスをよくするためにはこれだけが必要であるという正当な計算を出して行つたにも拘わず、コミツシヨンがこれを認めない、或いはコートが認めないという場合においては、これは事業を侵害されたと同じ意味においてという意味におきまして、これは最高裁判所まで行き得る事件であるというふうにされておるのであります。この事件につきましては、やはりこの財産の評価の基礎をどこに取るかという問題、それから償却の問題は如何に考えるかというような問題がありまして、聊か研究したのでありますが、余り細かくなるといけませんから申上げませんが、大体申しますと、オリヂナル・コストであるか、或いはリ・プロダクシヨン・コストを採るか。評価について採算の條件とか、それからデイプリシエーシヨンにして、即ち償却いたしました場合におきまして、その除却の額を評価の採算から引くかどうかということにつきまして、区々の意見があるのであります。それで一番有名な事件といたしましては、一八九八年にデナイカス・パーケスイングスという事件がありまして、これによりまして最高裁判所は、これはリプロプロダクシヨン・コストを取つたのであります。ところが事件の判決によりまして一九四四年のポール・ナシヨナル・ケースということで、オリヂナル・コストでコーポレーシヨンは引いたもので計算するということが最高裁判所の判決になつておりますが、併しながら最高裁判所まで来る事件というものはまあありませんので、州の意見によつて大体決まりますから、州のコートは必ずしも最高裁判所の意見通りになつていない。最高裁判所まで行くと大体今のような判決によつて現在は律せられるというのが実情のようであります。併しながらアメリカにおきましては、先程申上げましたように段々プラレツト・ウオーターのレートは下つて来ておるのでありまして、而もそのレートで会社は相当の利益を有し、更に建設もやつて行くという状況でありますので、そう始終上つて行く傾向でありません。それ程切実ではないと思いますけれども、たまにはやはりそういう特殊の会社がありまして、そういい問題が出て来ると見えまして、ポール・ナシヨナル・ケースというように、最近のレートを決めて行きます上におきまして重大なケースになつておるのであります。  飜つて我が国の新しく出発いたします公共事業委員会につきましては、このアメリカのように一つのコンプレイント、一つの訴えに対してこのものを裁定するというような立場を大体アメリカのポヂシヨンは持つておりますけれども、日本におきましてはやはりアロケーシヨンという問題がありまして、更に又いろいろ事件の調整というような問題もありますので、性格が果してアメリカ通りに、本当に受身に、而もそこをレギユレートするものは、そういうふうに命ずるということは全然ないのであります。即ち訴えによつてそれを調整し、オーダーするというのがアメリカシステムのように考えております。私は今度の旅行によりまして、コントロールとレギユレートというものは如何に違うか、レギユレートとコントロールというのは字引を引けば日本語における差違というものは書いてありますけれども、そういうレギユレートとコントロールとの差違というものは、日本においては分らなかつたと思いますがゐアメリカに行きまして、委員会のやり方、それからレポート等を読みまして、初めて本当のレギユレートとコントロールの意味が本当によく分つたような状態でありまして、そういう点は今後自分のために参考になると考えて参つたのであります。  大体内容を申し上げたのでありますが、若し御質疑等がございますればまだ少し時間がございまするので、私の知つておる範囲におきましてお答え申上げたいと思います。
  4. 飯田精太郎

    委員長飯田精太郎君) 内閣の方で速記が必要だそうでございますので、この程度で速記を中止します。    午後二時三十一分速記中止    —————・—————    午後二時四十四分速記開始
  5. 飯田精太郎

    委員長飯田精太郎君) 速記を始めて。本日はこの程度で散会いたします。    午後二時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     飯田精太郎君    理事            下條 恭兵君            石坂 豊一君            赤木 正雄君    委員            島   清君            田中 利勝君            吉田 法晴君            石原幹市郎君            廣瀬與兵衞君            油井賢太郎君            鎌田 逸郎君            田村 文吉君            久松 定武君            村上 義一君            結城 安次君   政府委員    通商産業事務官    (資源庁電力局    長)      武内 征平君