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政府委員(川上為治君) 二十五年度の
電気事業の
收支の
関係から見まして、
電気料金を現在以上に仮に
引上げないということにいたしまするというと、
基本の
石炭の
割当をいたしますのを大体三百万トン
程度にしなければならないかという点につきまして、私から
簡單に御
説明申上げます。
お
手元に配付してございますが、二十五年度
電気料金原価と
現行料金原価比較というのがございますが、十二月の十三日に
料金を
引上げますときに作りましたのが
現行料金原価と言いまして、それが二十九番目のところに合計五百五十億四千四百九十六万三千円という
数字が出おるわけであります。これが即ち
石炭を四百六十五万トン焚きまして、そうして
石炭の価額につきましては
マル公の……即ち九月までにありました
マル公の大体一
割引ということにしまして、三千三百三十七円の
石炭代を見込みまして作りましたのがこの五百五十億
程度に
原価がな
つておりまして、それが
基本料金だけで行きましても、大体三割二分二厘
程度従来よりも上るという
数字になるわけであります。ところが二十五年度におきましていろいろな問題がここに起きて来たわけであります。その小さいものはいろいろありますけれども、大きなものとしましては、やはり
石炭代の問題、それから
税金の問題、この
二つが極めて大きな問題であります。で
最初に書いてあります二十五年度
原価補正調というのと比較いたしまして御
説明いたしますというと、
役員給與を二千七百三十六万円殖やしておる。それから
給料手当を九億九千八百八十九万六千円殖やしておる。それから
燃料費が三十六億五千五百十一万七千円殖えております。それから電球の取替費、これが二億九千五百五十二万二千円、それからその次の
特別費、これはいわゆる
固定資産税、それから
附加価値税、そういうのもでありますが、それが六十六億四千三百六万八千円、それからその次の
減価償却が六億七千二百八十四万、それから
税金が一億七百十八万三千円、
支拂利息が二億二千六百六十八万八千円、
法定準備金が八百八十二万五千円、
株主配当金が一億六千九百七十六万五千円、これだけが大体どうしても殖やさなければならないのじやないかというふうに私共の方で考えまして、それを一応
計算いたしますと、五百五十億よりも百二十五億五百二十六万四千円、これだけ殖えるというような
計算になるわけであります。
従つて二十五年度の
補正原価としましては、先程申上げましたように六百七十五億五千二十二万七千円、これだけになるかと考えられるのであります。
そこでこの中で一番大きいものは、
石炭の問題と、それから
特別費即ち税の
関係でございます。
石炭代につきましては、先程も申上げましたように、この三割二分アップのときにおきましては平均五千八百カロリーの炭を四百六十五万トン焚きまして、その九月頃の
マル公が三千七百一円ということになるものを大体一
割引にされまして……当時の
予想から見まして大体一
割引にしまして、三千三百三十七円にこの
原価を組んでおるのであります。今回におきましては、その後
石炭の
値段の
状況を見ますというと、必ずしも一割
程度下つていない。むしろ
運賃等の
引上によりまして、
石炭代は、最近におきましては
上級炭については上
つておるというような
状況にな
つておりまして、果してこの三千三百三十七円で、そのままこれをどこまでも維持することが適当であるかどうかという点につきまして
相当の疑問があるわけであります。
日発会社或いはその他の
方面におきましては四千円以上を実際必要としているのだ、こういうような話もありますけれども、私共の方としましては、いろいろの各
地方の
石炭の
値段を見まして、大体三千八百二十円
程度が現在においては妥当ではないかというようなふうに考えまして、この三千八百二十円と、それから
数量が四百六十五万トンというのが
相当殖えまして五百一万トン焚くということにいたしますというと、ここに書いてありますように三十六億五千五百十一万七千円
程度、若干
原価において
増額をしなければならんというような問題が出て来るわけであります。そこでこの
石炭代について、果してその
程度見るべきかどうかという点については
相当疑問があるかと思うのであります。この問題につきましては私共の方としましても
相当研究の
余地がありまして、
司令部等の
意向も現在いろいろ聽いておりまするが、果して三千八百二十円
程度に上げられるかどうかという点も
相当疑問があります。ただ最近
石炭の
値段は若干下向きにな
つているような傾きもありますので、この三千八百二十円というのを取ることがどうかという点につきましては、尚
検討の
余地があると思いますけれども、
現実の問題として四千円近い、或いはそれ以上の炭を仮に買
つているといたしますれば、三千八百二十円というのもあながち高い
値段ではないのじやないかというようなふうに考えられるわけであります。この点が今度の二十五年度のこの
補正原価の最も大きな要素の
一つであります。
それからもう
一つはこの
特別費のところにあります六十六億四千三百六万八千円という、この
数字でありまするが、これは二十五年度においてかかるでありましよう。この
税金は
固定資産税、これは今国会でいろいろ議案に上
つておりますが、この
固定資産税、それから
附加価値税、それから
印紙税、
住民税、その他
水利使用料、
道路占用料、その他いろいろあるわけでありまするが、この
固定資産税というのが従来の
地祖とか、或いは
不動産税とか、そういうようなものに代
つてかかるわけなんでありますが、これが今月は
相当大きなものがあるわけであります。この六十六億というのは、これは
最初計画したときよりもそれだけ余計になるのでありまして、
税金そのものの
増額としましては、この
料金原価のところで八十二億ということにな
つております。この八十二億の中
現行料金に入
つておりまするのが十五億七千万円
程度でありますので、差引六十六億増になるということに相成るわけであります。この六十六億増の中で先程申上げましたように、一番大きいのは
固定資産税、これが五十八億八千六百万円、それから
附加価値税、これが五億九千二百八十万円、それからその他
印紙税とか、
住民税とか、そういうものが従来よりも若干殖えておりますので、それを合計いたしまして六十六億
程度上るということになりますが、この
固定資産税につきましては、今直ちにこの税を考えるべきかどうかという点があるわけであります。それはまだこの
法律が通りませんので、果してこの税がかかるかどうか分りませんけれども、仮にかかつたといたしまして、この
固定資産税の
評価基準をどんなふうに決められるかという点が非常に問題があると思うのでありまして、私共の方といたしましては
関係官庁の方といろいろ相談をいたしておりまするが、その点がまだ実は
はつきりしていないのであります。今提案されておる
法律によりますというと、来年の一月に
税金は二十五年度は一遍に徴收するというようなふうに聞いております。それから二十六年度以降におきましては
年間四期に分けて徴收することにな
つております。それからその課税の
対象物につきましては、
時価によりまして、とにかくその
時価の一・七五%を掛けるというふうに私共の方では聞いておるのですが、その
時価というのを大体どの
程度に見るかという点が非常に問題であるかと考えられるのであります。そこで私の方といたしましては、一応その
時価を一杯に考えて見ますというと、
固定資産税につきましては、少くとも二十五年度において五十八億
程度がかかるというふうに考えられるのであります。
従つて今直ちにこの問題を考慮に入れて、或いは四月から
料金改訂の問題にこれを組み入れるべきかどうか、或いは
割当の方で
調整すべきかどうかという問題につきましては、
固定資産税そのものをどの
程度果して
現実に取るかという点に一に縣か
つておるのではないかというように考えられるのであります。そこでそれがまだどうも
はつきりしてない。併し一応一杯に見ると五十八億は
固定資産税として取上げられるということになるというふうに考えますというと、
附加価値税等を入れまして六十六億の
原価増になるということに相成るわけであります。この問題は、仮に来年の一月に徴收されるというようなことであれば、その際これを考えて
料金で組むなり、或いは暫定的に金融の
措置を講ずるなり、そういうふうな
措置をしたらいいのではないかというような問題が出て来るかと考えるのでありますけれども、一応私共の方として二十五年度の
收支関係から見れば、六十六億というものが、
仮り固定資産税を一杯に取るとすれば、これだけはどうしても
原価増になるというわけであります。それからその他の大きなものといたしましては、
給料手当の九億九千万円
程度がありますが、この九億九千万円というのは、実はその三割二分アツプのときに今の
賃金ベースであります七千百円というのは認められなかつたわけでありまして、
ベースといたしましては五千三百五十八円、このべースで、それから外にいろいろなものを入れまして大体七千百円
ベースに近いところで認められたわけであります。それは
関係筋から、
企業三
原則の
関係もあ
つて七千百円
ベースをそのまま認めることはできないというような強い
意向もありまして、実質的には大体それと同じものを認めて
貰つたのですが、まだ九億
程度実際は足りないということになりますので、ここでは七千百円
ベースそのもので行くと、大体
プラス十億
程度の
経費増が見込まなければならんというような、
現実の姿をとりましてここに入れたわけであります。それからその他小さいものがいろいろありまするが、大した
数字でもありませんので、いずれにしましても今申上げました税の
関係と、それから
燃料費の
関係と、それから
給料、
手当、これがその大部分を占めておりますが、合計いたしまして、百二十五億
程度はどうしても
原価増になるということに相成るわけであります。そこで五百万トン焚いて、そして六百七十五億の
支出を仮に賄うといたしますれば、現在の
現行料金を上げないで、そして
割当をどの
程度にいたして、そして
超過料金はそのあと取るとして、どれくらいの今度は
收入の
予想になるかという問題になるわけであります。この
收入の
計算につきましては、まだ不十分な点もありますが、大体これくらいになるんじやないかというようなふうに私共の方で
計算をいたしておるのでありまするが、三百万トンの
石炭を焚いて、それはいわゆる
割当の方に入れる。それからあとの二百万トン
程度はこれは
火力の方の
收入にする。そして
石炭全部で五百一万トン焚くという
計算で行きますというと、
收入が六百五十八億五千万円
程度になるわけであります。この六百五十八億五千万円に対しまして、先程申上げましたように、六百七十五億五千万円
程度の
経費になりますので、約十七億
程度の
赤字が出て来るという
計算になります。即ち三百万トン見込みましても、そして残りは全部
超過料金に廻しましても、
現行料金を維持する限りにおきましては、どうしても更に又十七億
程度は
赤字が出るというような
計算になるのであります。
従つて仮に
現行料金をどうしても是正しないで、上げないで、そのままにするといようなことになりますれば、三百万トン
程度くらいしか
割当の方には焚けないというような
計算に相成
つて来るわけであります。この十七億のマイナスに対しましては、二十四年度の
黒字が或る
程度出ますので、そちらの方らら埋めたいというような考えを持
つておるわけであります。二十四年度の下期におきまして、どれくらいの
黒字が出るであろうかという点につきましては、まだ決算いたしておりませんので、
はつきりとした
数字は分りませんが、特に私共の方としましては、一月、この
割当以上に四億
キロワツト・アワー程度余計出ておりますし、二月におきましても、四億四千万
キロワツト・アワー程度出ております。三月におきましても約四億
程度の
キロワツト・アワーが余計出あおりまして、勿論その中には、
追加割当が十二月におきまして約一億ありますし、それから一月、二月、三月におきましても
サープラスがやはり各月一億
程度がありますので、そういうものも考えますというと、大体六十五億
程度の従来よりも大体
收入増になるんじやないかというふうに考えております。併しながらこの六十五億に対しまして、第三・
四半期までに
相当の
欠損を
日発及び
配電会社においてはや
つております。その
欠損が約四十億
程度ありますので、それを差引きますというと、二十四億
程度結局
繰越利益金が出て来るというようなことになるかと考えられます。この二十四億の中には、勿論
配当をするものもこの中に入
つて来るわけなんですが、これを仮に来年度に
繰越すというようなことになりますというと、これに更に又或
程度の
税金がかか
つて参りますので、こういう
繰越をしまして、まあこの
年間において三百三十万トン
程度焚くというような
計算に一応考えいおるわけであります。
今申上げましたように、私共の方の
計算としましては、この二十五年度の
補正原価の中に非常に
はつきりしない点が
二つあるわけでありまして、
一つは
石炭の
値段がどういうようなふうに今後動いて行くかという問題が
一つ、それからもう
一つは、
税金が、即ち
固定資産税が、これは一杯にかかつたときを見ておるのだけれども、果してこれがどれくらい取られるかということがまだ
はつきりしていない。この
二つの点がありますので、
料金を四月におきまして、今直ちに、じやこの
程度は
引上げるというようなこともなかなかむずかしい問題でありますし、それかとい
つて、これを直ぐ頭に置いて、第一・
四半期の
割当ての
調整をするということも非常に問題でありまして、結局こういう点がもう少し
はつきりしてから、二十五年度の
割当計画等につきまして、或いは又どの
程度料金を一律に上げるかという問題につきまして研究しなければならないんじやないかというふうに私共の方は考えておるわけであります。以上申上げましたように、三百万トンを一応二十五年度の
計画として見込みました私共の方の概略の
数字を申上げました次第であります。