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政府委員(
始関伊平君) 昨日佐々木
委員から御
要求のございました
電気事業の再
編成問題が始まりましてから、今日までの経過を
最初に簡單に申上げたいと存じます。
これは今日お配り申上げました
資料で御覧を頂きたいと存じますが、この話が始まりましたのは
昭和二十三年の二月に、いわゆる過度経済力集中排除法によりまして、
日発と各
配電会社が指定を受けたのに始まるのでございます。この指定によりまして
日発並びに各
配電会社は再
編成計画の提出をいたすことにな
つたのでございますが、二十三年の五月に
日発は
全国を一まとめにいたしました発送
配電事業のいわゆる一社案を出しました。各
配電会社は現行
配電会社の営業区域を基礎にいたしました発送
配電一貫事業
会社を持株整理
委員会に提出をいたしたのでございます。これは
GHQと集中排除法の
関係で、持株
会社の系統の問題でございましたのでございますが、そこに書いてございますように、二十三年の四月に当時の水谷商工
大臣が
電気事業民主化
委員会というものを設置いたしまして、十九名の
委員の方々をお願いいたしまして、どういうふうにするのが一番よいかということを諮問されたのでございまして、この審議の経過、当時の
事情等、私自身は詳細に存じないのでございますが、結局結論といたしまして、いわゆる大山案というものが答申せられたのでございまして、その要旨は本州と
九州における
電気事業は当分の間現状のままにする。それから
北海道と四国の
電気事業は、発送
配電を一本にいたしまして新らしい
会社を設立する。それから
電力管理法、
日発法というようなものはこれを廃止いたしまして、自主的な責任のある
電気事業の経営ができるようにする。従いまして
政府の監督はできるだけ緩和するというような趣旨の答申でございます。この答申を
関係方面に連絡をいたした次第でございます。尚そこにございますように、電産には発送
配電全国一社案というものがございまして、府県の代表からは
配電事業は都道府県で経営することにする方がよかろうというような提案があ
つた次第でございます。
関係方面におきましては五人
委員会というものが置かれまして再
編成につきましていろいろ検討を加えたのであります。その結論は公式には発表されたものはないのでございますが、いわゆる七社案、これは中国と四国と、そこにございまするような
配電会社地区の中に関西の
地区と、
北陸配電の
地区と加えた
地区を
一つ加えまして、それ以外の七つの
配電会社の中の六つのものと合せまして、
合計七つの新らしい
会社を作るという案が、世間に伝えられておるのでございます。
それからその後通産省といたしましては、この
只今申しました七ブロック案によりまする再
編成指令が出て来るのではなかろうかというふうに考えまして、昨年の六月の十八日に通産
大臣から経済科学局長に対しまして再
編成の指令が出される場合には、予め
政府の意向を聞いて貰いたいというようなことと、それから指令の内容につきましては再
編成の基本的な
方針を規定するに止めまして、具体的な実施案として
政府が内閣に設けましたる
電力審議会で検討されたことを認めて貰いたいということ、それから再
編成の実施は経済の
状況によりまして、時間的な或いは
地域的な段階を設けてするようにしたい、更にその他の事項を懇請いたした次第であります。その後
GHQにミスター・ケネデーが参りましてこの問題を担当することにな
つたのでございますが、
政府の要望に応えまして
委員会を設置いたしまして、ここで
電力事業の再
編成の
方針と、それから実施のための具体的な措置と、それからもう
一つ問題にな
つておりまする
電力行政機構の再
編成案を審議させたいということを
政府側に通達して参
つた次第でございます。そこで
政府は昨年の十一月四日の
閣議におきまして通産
大臣の諮問機関といたしまして
電気事業再
編成審議会というものを設置いたしました。この審議会の内容につきましては別紙一にございます
通りでございます。
この
委員会が審議を重ねました結果、二月の一日に
委員会の答申を
大臣のところに持
つて参
つた次第であります。この答申の内容につきましては後で申上げることにいたしまして二月の十一日になりまして、先程
門屋さんの御
質問のときに申上げましたように、経済科学局長から十五日までに案を出せということを言われまして、そこで通産
大臣といたしましては、案を一応
決定いたしまして、向うにそれを出したわけでございます。それから尚この
委員会の審議の途中、二月の十九日でございましたが、いわゆる十ブロック案、信越
地区の
配電地区外の
一つの
会社を作りまして、この一社を別に設ける、
合計十の
委員会を置くという案が向うから提出されたのでございまして、審議会といたしましては後に申上げますような審議の結果、十ブロック案は実情に沿わないものであるというふうに答申をいたした次第であります。これが再
編成の今日までの経過の大要でございます。そこで
政府の
考え方を一応
決定するに至りました経緯等につきましては、昨日も
ちよつと申上げましたのでありますが、答申案の内容につきまして若干御
説明を申上げたいと存じます。これは刷りました
資料をお配り申上げてありましたが、この基本的な
考え方といたしましては、昨日も申上げましたように、民有民営の原則で参りまして、それから発送
配電を一貫経営とすること。それから適正規模の
地域別の
電気の事業
会社を作る。そうすることによりまして、企業の創意と努力によ
つて併給力の増強とサービスの改善を図
つて行きたい。同時に公益事業
委員会の指導監督によりまして、適正な
料金或いは投資者の保護乃至は事業相互間の
電力の融通ということを実行して参りたいというような
考え方であります。こういうような基本的な
考え方にいたしますと、よい惡いは別といたしまして、そういう基本的な立場から考えますと、
あとに申上げまするいわゆる松永案が、
一つの究極の形としましてはよいのでございますが、併しながら現在の
日本の経済の安定、或いは復興の度合いその他から考えまして、
日本産業の基盤が脆弱であることを免れませんので、暫定的な措置といたしましては、その融通
会社のというものを置きますと、これによりまして融通の不円滑から来る
電力の
不足を激化させないようにしたい。尚
料金関係につきましては、
料金の
地域差というものをそれ程大きくしないようにしたいというようなことからいたしまして、現在の
配電、
地区別の九つの
会社を設けますと共に、
日発の現在持
つておりまする施設の中の、発電設備の中の四二%を残しました、いわゆる融通
会社というものを残して置きたいということが答申に相成
つた次第であります。この点具体的にどうするのかというのでございまするが、この具体方策というところにございますように、発送電
会社と九つの
配電会社を解体いたしまして、これに照応します九つのブロック
会社を作ります。同時に分割によりまする
電力の
不足の激化、
料金の
地域的不
均衡の増大を防止いたしますために、
地域間の
電力融通を主眼といたしまする
会社を作る。それから九つのブロック
会社は、ここに書いてございますような、それぞれの
供給地域を持つ。但し若干の再
編成の実施の場合は、五十サイクル、六十サイクルの別を考慮いたしまして、
供給区域に若干の調整をするということを決められておるのであります。それで
電力の融通
会社でございますが、これはどういうものかということがこの次に
説明がございますが、これはそれ
自体といたしましては、
供給区域を持たないで、ブロック
会社に対する
電力の相互融通、それから大口消費者に対する直配だけをやる、一般
供給は従いましてやらない。こういう方法でございます。先程申上げましたように、現在の
日発の設備の中から、
水力で二百十二万
キロワツト、
火力で九十七万
キロワツト、
合計三百九万
キロワツトを、
つまり現在の発送電
会社の設備の四割二分に相当するものを融通
会社に引継ぎ、それから送電設備といたしましては主として十一万ボトル以上の送電幹線の相当部分を、これに帰属せしめるということにな
つております。九ブロツク
会社につきましては、いわゆる松永案によ
つて帰属せしめることにな
つております設備の中から、いわゆる融通
会社の方に参らないそれ以外の設備をここに帰属せしめる、こういうような構想でございます。この
説明といたしまして、何故
電力融通
会社が必要であるかということでございますが、いわゆる九ブロツクの
会社を設立いたしますと、
電力が
不足して参る。でそこの
説明によりますと、年間の
電力量では一〇・一%
最大電力では二三%の
不足がある。従いましていろいろ
電源の
開発事業をされておるわけでございます。若しこの現状のままで九つのブロツク
会社だけを設立いたしまして、発送電
会社の現有設備がすべてこれに帰属するということになるといたしますと、
電力の
不足が相当に激化する。そこの、
つまり案
自体の
説明によりますと、年間の
電力量では一〇・九%、
最大電力においては一四・八%の
電力不足が加重することになります。この点は
日発の一元的な給電指名によりまして操作をいたしておる場合に比べまして、例えば五十サイクル、六十サイクルの地帶等の
電力の活用が若干鈍
つて参るということの外に、各
地区共それぞれその
電力が相当に
不足でございますから、融通
会社やいわゆるレギユラトリー・ボデイの監督がございましても、なかなか他の
地区には
電力が行きにくいだろうという点が考慮されまして、尚幾らに見積るかということにつきましては、
委員会といたしましては、ここにございますように大体一〇%乃至一四%というものが更に加重されて来るというような
説明をいたしておる次第でございます。尚そういう次第でございますので、九つの
会社ができますと、融通が不円滑になることに照応いたしまして、それを避けるために現在やらない設備が要
つて来るというような点がある。それから
料金につきましても現在の
料金が相当に上る、この外に
地域差につきましては最低と最高との開きが一対四になる、こういうような見解をこの案としましては持
つておる次第でございまして、それから尚いわゆるレギユラトリー・ボデイ、公益事業
委員会だけでは現在
日発がや
つております
通りの
電力融通は不可能であろう、こういうような
観点におきまして、融通
会社というものを設けるということにいたしておる次第でございます。で、結局融通
会社の規模につきましては、お
手許に差上げてございます
資料の四にどこの
地点、どこの
地点ということがそれぞれ書いてございますので御覽を頂きたいと存じます。昨日申上げましたように、この
電力融通
会社に、四国と
北海道、東北は
関係ございませんが、それ以外の
地帶間におきまして
電力自体の融通と、
電力料金の平均化を或る
程度や
つて参ろう、こういう構想でございます。それから
GHQのいわゆる十ブロツク案に対しましては、この
電力の
供給地帶と
需要地帶とを殊更に二分するというゆえんにおきまして、これは
日本の実亮に合わないということを言う理由からいたしまして、いわゆる
電力の移出ブロツク、移入ブロツクを対抗せしめるというような十ブロツク案には賛成しにくいのであるということが、はつきりされておる次第でございます。
これが
委員会といたしましての正式な答申でございまして、融通
会社におきまする
発電所の
地点、
出力等は表によ
つて御覽を頂きたいと思います。
それから、これに対しましていわゆる松永案というものが参考案として付いておるわけでございますが、その内容につきまして簡單に御
説明を申上げようと存じます。基本的な
方針といたしまして、民有民営でやる。それから
電源地帶と消費地とを直結いたしまして、同一の事業者をして発送
配電事業の一貫的な経営をやらせる。それから全体の規模といたしましては、発送
配電一貫でございますが、その規模は
全国一地帶というのは余り大き過ぎますので、九ブロツク別の
会社にする。又この計算といたしまして、完全な
独立採算制による責任経営とする。
電源開発はそれぞれの
地区別の
会社でやるというふうな基本的な
考え方に基きまして、具体的には、具体的方策といたしましては、発送電
会社と九
配電会社は解散をいたしまして、それと別に九つの
会社を新設する。その
供給地域は現在の
配電会社の
供給地域である。それからこの松永案の特色と申しますか、四にございまするように、発送電設備、
配電設備の分割の
方針といたしまして、設備がどの
地区にございましても主たる消費地に直結いたしておりまするものにつきましては、主たる消費地の
地区別会社に所属をさせるということが、その重要な特色にな
つておるわけでございます。それでどの
地区のどういう
会社が、どういう
発電所がどの
地区の
電力会社に所属するかということはそこに表がございますが、例えば東北
地区の猪苗代の
発電所は関東に帰属する、それから信濃川も同様、それから中部
地区のもので関東につくものがあり、又例えば木曾川本流等はこれは関西につくというように、それぞれどこのものがどこにということが別表についてございますが、こういうふうな
発電所をそれぞれ
地区別の
会社に持たして、そこで成るべく
地区的な自給自足、発送
配電の一貫運営というものをやろうということにな
つておる次第でございます。でそういうふうにやりますと、一体
地区間の
電力融通がどの
程度になるかということでございますが、それがここに表がついておるのでございますが、第二表といたしまして、
地区別の
会社の年間の
需給対照表というものがございます。大体東北につきましては七・三%他の
地区の
供給を受ける。関東につきましては六・三%
程度を他
地区からの
供給に待たなければならん。それぞれ
地区間の必要といたしまする融通の量がそこにあるわけでございまして、これを平均いたしますと、それ程大きくございませんので、この
程度の
電力需給の不
均衡は融通経理によりまして
地区的に解決することができますし、又必要がありますれば、新設を
予定されておりまする公益事業
委員会の調整、地方的な調整によりまして目的を達することができるであろうというのが、松永案の基本的な
考え方でございます。
それから
開発の問題につきましては、原則といたしましては
地区別の
会社でやるわけでございますが、ただ只見川の水系というような特別の
地区については、独立の
会社を創設いたしましてや
つたらいいじやないかというようなことに相成
つております。
それでこういう案の主張の論拠というものがそこにございますが、これはまあ一々申上げるまでもないことと思いますが、民有民営を可とする理由、これは現在のような国営乃至は半国管の統制機構の下にあ
つては、
電力事業の発展が思うようにできないということ。それからその次に発送電車業と
配電事業との一元化を可とする理由、これは責任の明確化によりましてサービスの改善その他ができて参る、こういうようなわけでございます。
それから適正規模の
地区別会社による経営を可とする理由、これはまあ経営の能率が上りますためには規模が適正でなければならない。それからその次に九つの
地区に分割することを可とする理由というふうにございまして、まあ案といたしましては五つの案、七つの案、或いは九つの案いろいろあるわけでございますが、七つの案では大体関西の
地区が少し過大になり過ぎるのではなかろうか、十の案につきましては先程申上げましたような弊があるのみならず発送
配電の一貫化という立場からも、おかしいだろうというようなことでございまして、新
会社の設立が一番簡單に行き、在いは過渡期の混乱を少なくするというような
意味合からいたしまして、現在の
配電会社の
地区別に
会社を作ることが、一番いいのじやなかろうかというように申しておる次第であります。
それから
独立採算制を取るべき理由には、現在の
配電会社と
日発との
関係におきましては、全体がプール的な計算の制度を採用いたしておりますので、
全国の
会社の数は十でございますが
全国恰かも一社的な経営とな
つておりますので、経営責任の所在が不明確でありまして、企業の能率を上げにくいような実情があるというようなことを申しておる次第であります。
それからこれは先程御議論のありました点とも関連するのでありますが、
電源の
開発は各
地区別に行う、こういうふうに分けた方が
電源の積極的な
開発を促進するだろう、こういうような立場に立
つた主張をいたしておるわけであります。これがいわゆる松永案でございまして、これと
一つの
電力再
編成というものをやるとすれば、
一つの究極的な形としては松永案のような案がよろしいということを、正式の答申におきましても認めておるのでありますが、過渡期の措置といたしましては、融通
会社というもので調整して行く必要があるというのが答申でございます。その点が大きい違いでございます。
地域間の
需給の融通を必要とする量、それの関連いたしまして又相互の契約とレギユラトリー・ボデイの監督で
地域間の融通がうまく行くかどうか、その点に関する見解の相互が結局二つの案の唯一の岐れ道にな
つておるというふうに考えられております。そこで然らば一体今度できまする公益事業
委員会というものはどういうものかということでありまして、これは
資料の中の
電気及びガス事業、及びこれが行政機構等に関する立法措置に関する意見というようなものがございますが、基本的な
考え方といたしましては
日本の経済の民主化の要請に即応いたしまして、いわゆる
電力の国家管理態勢を刷新して、
電気事業再
編成をやる。一方において
電気事業及びガス事業のいずれも民有民営の基礎の上に、企業運営上活溌な創意を発揮せしめると共に、他方においては公益事業
委員会の適切な指導監督によりまして社会公共の福祉と、文化の興隆とに寄與せしめるために、成るべく公共事業
委員会というものを置くと同時に、公益事業に関する法律というものを制定したい、こういう基本的な
考え方に基いて、公共事業
委員会を設置することにな
つておるわけであります。公共事業
委員会の問題につきまして一番の問題点は……。