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1950-02-06 第7回国会 参議院 電気通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月六日(月曜日)    午前十時四十七分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○電波法案内閣送付) ○放送法案内閣送付) ○電波監理委員会設置法案(内閣送  付)   ―――――――――――――
  2. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) それじや只今から電気通信委員会を開会いたします。  予備審査になつております電波法案放送法案電波監理委員会設置法案に関する政府側の逐條の御説明を本日承りたいと思います。順序は今申上げたような順序と思いますけれども、政府側の御都合電波監理委員会設置法からやられる方が便利がよければ、電波監理委員会設置法案からでもよろしいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) 御異議ないようでございますから、政府側の御都合のよい法案から御説明願いたいと思います。
  4. 網島毅

    政府委員網島毅君) 御説明申上げます。この三法案提案理由に関しましては、休会前の本委員会におきまして、大臣から御説明があつたのでありますが、本日私からこの三法案内容概略を御説明申上げたいと思います。  最初にこの三つ法案の間の関係を御説明申上げまして、それから電波法放送法電波監理委員会設置法、これらの内容について御説明申上げたいと思います。  先ずこの三法案関係でございますが、今回提出されましたこの三つ法案は相互に密接な関連がございまして、これらが一体となりまして、電波及び放送行政基本となるのでございまするが、特にこの電波監理委員会設置法独立法案といたしましたのは、行政作用の方と行政組織の方を区別するためでございます。電波法案及び放送法案は、二つ共これは行政作用実体法でございまして、設置法におきましてはこの電波及び放送行政を掌る、国家行政組織の中におきまして、この行政を担当する委員会組織権限及び所掌を定めてあるのでございます。電波法放送法とにつきましては、放送無線通信の中におきましても、社会性及び文化性が特に高いものでございますので、特に放送だけを抽き出しまして放送法といたしました。放送事業在り方、即ち日本放送協会及び一般放送局在り方並びに放送番組内容在り方等につきまして、この大綱を制定いたしたのであります。これに対しまして、電波法放送を含む電波一般の有効且つ能率的な利用を確保するという面を直接の規律対象といたしまして、個々の放送局無線局一つとして、免許設備條件運用方法並びに監督等についてすべて電波法の適用を受けるというふうにしたのでございます。  次に各法案についてこの概略を御説明申上げます。先ず電波法案概要でございまするが、電波法案提出理由説明にございましたように、最近における電波利用の急速且つ広範囲の進展、これと期を同じういたしまして、新たに国際電気通信條約、いわゆるアトランテイツク・シテイ條約というものが成立いたしましたのに即応いたしまして、古い無線電信法に代えまして、無線電信無線電話、これにはラジオ放送も先程申しましたように含んでおりますが、その外テレビジヨン、フアクシミル、その他電波利用する一切の施設及びこれに妨害を與える施設に対する免許監督等の国の規律を定めております。この法案が現在の無線電信法に比べまして非常に違つておる点。言い換えますならば、この電波法の主な特色といたしますところを以下二三申上げたいと存じます。  第一に、現在の無線電信法は、無線局開設につきましては、その第一條に示す政府管掌の観念の下に、電波というものは政府の專有を原則といたしておりまして、制限列挙によりまして例外の場合のみに施設を許可いたしておるのでありまするが、電波利用範囲の拡大に伴いまして、電波法案におきましては、現在の法律建前を捨てまして、万人のこの無線局開設の自由を認めることにいたしたのでありまして、ただ電波の能率的な利用を確保するのに有効適切な統制をこれに加えるということにいたしたのであります。  第二に、無線電信法におきましては、国営無線通信事業経営と、それから国としての無線通信に対する監督に関する両方の規定を含んでおつたのでございまするが、これを分離いたしまして、電波法案におきましては專ら電波行政基本法律を定めておるのでございます。従いまして電気通信省の所管しておりますところの事業経営に関する無線電信法規定は、できるだけ速かに新しい法律を期待しているのでございまするが、それができるまでの間、効力を存続させることにいたしております。  第三といたしまして、行政対象が新しい電波応用分野発達に即応いたしまして、現在の無線電信法より格段の拡張をいたしまして、従来無線電信法制定されます時に考えていなかつたところのいろいろな電波応用部面にこれを拡げております。  それから第四といたしまして、無線電信法におきましては、国民権利義務に関する重要な事項が極めて大巾に政府行政命令規定委任せられておつたのでございまするが、電波法案におきましては、これらを法律中に定めまして、行政命令委任範囲をできるだけ少くいたしたのであります。それでも尚法律委任によりまして、又法律執行のために、多少の命令を必要とする場合があるのでございまするが、この命令制定改廃いたしまするためには、利害関係者の参加する協議を経て民主的にこれを制定するということにしておるのでございます。  次に、免許その他の行政処分を行う点につきましては、極力この行政処分範囲を限定いたしますと共に、処分を行う際には、予め電波管理委員会規則で定められているところの準則に基かなければならないことになつております。又電波管理委員会におきましては、十分委員会議いたしまして、その会議の結果によつて行政処分を行うということにしているのであります。このような民主的な過程による行政処分に対しても、更に自由に異議申立をすることができるようにしてございまして、その申立がありますれば、愼重聽聞を経てこの決定をすることになつております。この聽聞を経た電波管理委員会決定に対して更に不服がある場合には、裁判所に出訴することも差支ないのでございます。  以上はこの法案の従来の無線電信法と違つた主な点でございまするが、更に電波法案規定内容を、章を追つて説明申上げたいと存じます。  第一章は総則でございます。この章におきましては、法の目的を定めて、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによりまして、公共福祉を増進するにあると定めてございます。又電波に関する條約の規定はこの法律に優先するものといたしまして、電波利用について国際協力をする日本の立場を明かにしてございます。それは昨年我が国郵便條約に次ぎまして現在のアトランテイツク・シテイ電気通信條約に加入することになつたのでありまして、殊に條約は五年毎に改廃せられまするし、又その間におきましても随時主管庁会議が行われまして、條約に附属いたしましたところの国際無線規則というようなものが改廃されるために、この規定を設けた次第でございます。尚無線局その他この法律に出て参ります言葉の解釈の相違を避けるために、若干の用語の定義をいたしました。  次に、第二章は無線局免許に関する問題でございます。無全局を開設しようとする際は、国の機関であろうと、個人無線局であろうと、すべて電波監理委員会免許を受けなければならないことになつております。放送局無線局の一種でございますから勿論そうでございます。現在電気通信省の営んでおりますところの公衆通信業務のための無線局は、今後も電気通信省でなければ開設できないことを明らかにしておりまするが、これは先程も申述べましたように、公衆通信に関する事業法規がまだ制定されておらないためにここに取入れた次第でございます。又外国人及び外国法人等、並びに期間を定めまして電波利用に関する一定の罪を犯した者及び免許取消を受けた者に、それぞれ免許を與えないことにしております。これは非常に少い電波を最も一般国民にために公平に能率なく使わせようという考え方から来たのでございます。それから免許手続を定めておりまするが、その免許には放送局は三年以内の有効期間一般無線局には五年以内の有効期間を定めることといたしております。そしてただこの法律政令によつて無線局を強制されいてる船舶無線局には期間を付せないということにしておるのでございます。これは、一方法律で以て無線局を強制しながら、他方においてこれに有効期間を付けるということの矛盾を避けるためでございまして、これらの免許の際には十分愼重な、而も委員会規則に基く取扱をいたしますと共に、免許された免許人の地位は十分尊重する趣旨でございます。  次に、第三章は無線設備の関する規定でございます。無線設備技術的條件に関しまいても、現在の無線電信法のような簡單な委任の根拠のみに定める方法を改めまして、電波法案におきましては、国民権利及び自由に影響する重要なものにつきましては法律事項といたし、又命令委任する場合におきましてもその範囲を明らかに限定しておるのでございます。  次に、第四章無線従事者でございまするが、ここでは無線従事者の関するいろいろな規定を定めてございます。無線従事者と申しまするのは、無線局を構成する無線設備操作を行う者でございまして、電波監理委員会免許を受けている者を指すことになつております。即ち受信専用以外の無線設備操作を行う者には、混信防止通信円満な疏通を確保するために、国家試験を経た一定資格を要求いたしておりますと共に、その資格に相応する能力を保持させるために、免許に五年の有効期間を設けまして、同時に免許無試験更新等制度を確立いたしてございます。又資格通信士技術士、アマチュア、その他実情に適した種類に分けまして、同時に船舶関係特殊性を考慮してございます。新しい資格制度制定に伴いまして、従来の法令規定に基きまして、現在資格を有しております者は、電波法案の定めるそれぞれの資格を引続き所有し得ることにいたしてございまして、これによつて現在の有資格者を保護しておるのでございます。  次に、第五章無線局運用でございますが、無線局がその業務を遂行するに際しまして従わなければならない規律を定めてございます。その規律必要最小限度に止めておるのでございますが、海岸局及び船舶並びに船舶無線局につきましては、海上の安全の見地から必要とせられておる遭難通信関係、その他若干の原則をここに織込んでございます。  次に、第六章者督規定でございますが、ここで定めてございまする行政庁監督命令権限は、現行法による権限を大巾に縮減いたしまして、法律主力行政を確立いたしまして、国民権利を重んずるようにいたしております。先ず電波法案無線局免許取消運用停止運用制限等命令免許人法令又は処分に違反した場合に限ることを原則としておりまして、而もこの場合取消原則として、運用停止制限処分を先ず行なつてからでなければできないということになつておりまするし、その他の処分期間方法等にも相当の限定した條件が附けられておるのでございます。又無線施設につきましては、現在の無線電信法におきましては公安のたる或いは公衆通信の必要上というようないろいろな場合に、政府におきまして一方的にそれらの運用制限等をし得ることになつておりまするが、今度の法案におきまして混信防止を非常の場合等止むを得ない場合で而も事柄を極めて限定して制限し得るようにしてございます。  次に、第七章し聽聞及び訴訟でございます。電波行政を最も公正に確保する特色ある制度してたしまして、ここに聽聞制度を新たに導入してございます。これは米国におきましてはすでに行政手続法という一般法によりまして、行政一般的に制度としてすでに確立されておるところのものでございまして、我が国におきましてはこの電波行政分野におきまして最初にこの制度を採用することといたしたのでございます。これは單なる公聽会ではございませんで、第一に、聽聞を主催する独自の機能を有しまするところの審理官というものを定るまして、この審理官聽聞を行う。第二に、一切の行政処分について異議申立がありました場合だけでなく、委員会規則制定改廃の場合にもこの聽聞を行わなければならないととなつておりまするし、第三には、聽聞手続につきましては第一審の裁判手続に準ずるいろいろな手続を定めておりますと共に、この審理官の作成した調書及び意見書内容の基いて委員会は、委員会会議によつてそれを審議決定することになつておるのでございます。そうしてその結果普通の裁判手続に対する特例が定めてございまして、その提起は第二審裁判所に対して行うものにいたしておりまするし、又特に十分な証拠に基いて委員会が認定して事実につきましては、裁判所を拘束するということにしておるのでございます。  次に第八章の雑則でございまするが、ここで規定いたしておりまするところの主な事柄は、無線設備以外の設備に対する規律と、無線設備検査料、その他の行政手数料を徴收することを決めてございます。か第九章は罰則でございまするが、ここでは刑法が規律していない、又は十分には覇束していない反社会的に行為につきまして、電波利用する部面に特有なものだけを抽き出しまして規定しておるのでございます。本法案におきましては、罰則はすべて法律の上に規定してございまして、罰則命令委任しておるようなことはございません。この罰則につきましても罪となる場合を極力少くすると共に、その行為を明らかにいたしまして、個人の自由を尊重することに甫に留意しておるのでございます。  最後に附則でございまするが、附則におきましてはこの法律施行期日を四月一日までといたしてございまして、法案国会を通過したけれども、その施行が延び延びになつて、なかなか実施されないということを避けております。又この期日におきまして、同時に放送法並びに電波管理委員会設置法も同時に施行することになつております。その他は通常の例に做いまして、新旧両法の経過の円満を期しておる次第でございます。  次に放送法案内容について御説明申上げたいと存じます。本法案はこの第一條に示してございます放送の三大原則に従いまして、放送公共福祉に適合するように規律いたしまして、その健全な発達を図ることを目的として立案されたものでございます。この法案放送経営並びに規律に関する各国の例を研究調査いたしまして、その調書をとり、且つ我が国の国情も十分考慮いたしまして立案されたものでございまして、放送に関する立法といたしまして、世界に一つの新例を開くものではないかと考えておるのでございます。この放送法案の特色といたしまするところは、第一には我が国放送事業事業形態につきまして、これを二つに分けておる点でございます。即ち一つ全国津々浦々に至るまで、普く放送を聽取できるように放送設備をいたしまして、全国民の要望を充たすというような放送番組放送することを任務といたしますところの、国民的な、公共的な放送企業体でありまして、第二は個人の創意と工夫とによりまして、自由闊達に放送文化を建設高揚する自由な事業といたしましての放送企業体、いわゆる一般放送局、又は民間放送局、こういうものでございます。そしてこの二つのものがそれぞれその長所を発揮すると共に、互いに他を啓発し合いまして、おのおのその欠点を補うことによつて放送により国民十分福祉を享受できるように図つておるのでございます。  次にこの公共的な放送企業体でございまするが、この放送企業体といたしましては、現在我が国放送を独占的に実施しておりますところの日本放送協会が、現在約六千人の社員によつて構成される社団法人であることに鑑みまして、新たにこれに代りまして、全国民に基盤を持つ公共的な特殊法人である日本放送協会を設けることにいたしております。そして現在の社団法人日本放送協会設備、人員、権利義務の一切をこの新しい日本放送協会に移しまして、現在の社団法人日本放送協会を解散することにいたしておるのでございます。従いまして新しい日本放送協会は公的の性格を持つものでございまして、全国民国会を通じてその業務運営財務等につきまして必要な監督を行うという精神ででき上つております。  以上は放送法案の大要でございますが、更にこれを敷衍いたしまして若干御説明申上げたいと存ずるのでありまするが、放送番組につきましては、第一條放送による表現の自由を根本原則といたして掲げてございまして、政府放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございます。放送番組編集放送事業者技術に任されておりまするが、これを全然放任しているのではございません。この法律のうちで放送準則というべきものが規律されております。そしてこの法律に基いて番組を編成することになつております。これが放送番組につきましての法律的な基準でございまして、これ以外に対しましては、政府行政命令その他によつてその番組に干渉するということは絶対行われない建前になつております。  次に日本放送協会性格でございまするが、この日本放送協会はこの法律によつて目的が與えられて設立される法人でございまして、民法に基いて設立される公益社団法人、又は財団法人でもございませんし、又商法に基いて設立されるところの会社でもございません。即ちこの法律によりまして社団法人日本放送協会から継承した財産を運用し、経営委員会という議決機関と、会長その他の執行機関を持つところの特殊な法人でございます。協会の行います業務は第九條に掲げてございまするが、その業務につきましては特に嚴重な制限を設けまして、放送事業関係ある事業協会が大きな支配力を持ち、又その事業の死命を制することのないように、或いは受信機等を認定し、無線用機器製造業者販売業者及び修理業者の行う業務規律又は干渉することのないように、これらの行為を禁止しておりまするし、又放送用受信機修理場所も、電波管理委員会が特に調査して規定する場所に限つて行えるようにいたしておるのでございまして、これによりましていわゆるラジオ業者という民業を圧迫することのないように顧慮されておるのでございます。協会業務経営を民主的に行うために、協会に先程申上げた経営委員会を置きまするが、この経営委員会協会経営方針決定し、且つその業務運営を指導、統制するものでございまして、委員八人と会長組織されまするが、委員は両議院同意を得て内閣総理大臣が任命するということにいたしておるのでございます。両議院同意を得るということにいたしましたのは、内閣総理大臣が独自の判断で一方的に任命することのないように、又国民の代表である両議院同意によつて国民の意思が反映されるというふうに取計らつたのでございます。又委員を選任する場合には、放送全国に、あらゆる分野に関連する文化事業であり、公共事業でありまするからして、文化、科学、産業その他各般の分野が公平に代表されるように顧慮いたしますると共に、全国を八つの地区に分けまして、各地区から一人づつ任命されるように定めておるのでございます。この経営委員会に対しまして、特にこのような考慮が加えられましたのは、先程御説明申上げましたように、放送番組編集につきましては、この協会に全権が委任されておるのでございまして、政府監督、或いは政府行政命令というものがこれに加え得ないということを決めてございまする上におきまして、特に必要だとこう思つたからでございます。  次に会長でございまするが、会長につきましては、会長協会事業執行する最高責任者でありまするが、議決機関でありまするところの経営委員会執行機関との一体制を保ちつつ、協会業務の能率的な、且つ円満運営を図りますために、経営委員会がその会長を任命するということにいたしました。又会長をこの経営委員会構成員といたしたのでございます。会長経営委員会同意を得て副会長及び理事を選任任命いたしまするが、これも同じく会長がその執行機関であるところの役員を任命することによつて協会事業執行円満図つた次第であります。  次に協会運営がこの法律に定められたところの目的に副つて行われることを確保するために、国といたしまし最少限必要な監督をすることにしておりまするが、而もこの監督は一行政機関の独善とならないように考慮いたしまして、或るものにつきましては電波監理委員会、或るものにつきましては会計検査院というふうに、それぞれその機関の使命に基きまして分担を定めております。又協会目的に鑑みまして、これに受信料を徴收する利益を認めまして、強制的にこの日本放送協会放送を聽取し得る受信機を持つた者はこの協会と聽取契約を結ばなければならないというふうにしてございまするし、免税その他公共的な事業体として必要な若干の特権は認めてございます。  次に民間放送につきましては、先程申上げましたように、できる限りこれを自由に委せるという方針で立案されておるのでございまして、第三章に最少限度必要な規定を單に二ヶ條だけ設げておるのでございます。将来民間放送が如何なる発達をするか、現在それの見透しをつけることは困難でございまするし、或る特別な優遇方法を講ずることによつてこれに伴う政府監督を行うというようなことは、民間放送の将来の発達に対しましていろいろ障碍を及ぼすのじやないかということも考えまして、政府監督電波監理上必要な点にのみこれを行うということにしておるのでございます。そうして将来の発達の状況によりまして、そこで適当な法律的な規定が必要である場合には、又この法律案の改正によつてそれを行うというのがいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。ただこの民間放送優遇方法と申しますか、これに対しまして若干考慮されたのは、広告税の問題でございます。民間放送による広告に関しましては、地方税法を改正することによつて広告税を課さないということにしてございます。  次に放送用受信設備につきましては、電波法で従来のように許可を必要とせずに、自由に施設することができるようになつておりまするし、又現行地方税法を改正することによりまして、いわゆるラジオ税を課さないということにしてございます。  この法律規定しておりませんことで御参考に申上げたいことは、現在日本放送協会から特許料を極く僅かでございますが徴收しております。併しこの法律ではそういう性質のものは今後一切徴收しないということにしてございます。又この法律電波利用する放送事業だけを対象にしておりますので、電波を使わない有線放送につきましては規律してございません。以上で放送法案概要を終りたいと存じます。  次に電波監理委員会設置法婚概要について御説明申上げます。  電波監理委員会設置法案電波監理及び放送規律に関する行政重要性に鑑みまして、その担当行政機関といたしまして、アメリカ合衆国の独立行政委員会制度に範を採つたところの、いわゆる電波監理委員会というものを総理府の外局として設けようといたすものでございまして、この委員会の設立と共に、現在、以上の行政を担当しておりますところの電気通信省外局たる電波庁は、この電波監理委員会事務局でありますところの電波監理総局に移行させようということにしておるのでございます。  この法案趣旨概略申上げますると、現在電波監理及び放送規律に関する行政電気通信省の所管ということになつておるのでございますが、御承知のように電気通信省は他面自ら多数の無線施設を建設し、維持し、運用しておるのでございます。この無線通信事業経営するという面と、電波行政を行うという二つ機能は完全に相違しておるのでございまして、両者を同一の機関で行いますることは、電波監理行政の真に公平な実施を確保する意味におきまして妥当を欠く憾みがあるのでございます。従つて電気通信省の外に電気通信省或いは国家公安委員会、海上保安庁、気象台その他の国家機関、或いは都道府県等の自治体並びに船舶無線、漁業無線、日本放送協会日本国有鉄道等、すべての個人又は団体の無線施設についての行政を行う機関を設けることは非常に緊要でございまして、これを各省に対し最も公平な行政を確保する必要から顧慮いたしまして総理府の外局ということにした次第でございます。この行政機関を如何なる形で構成するかという点につきましては、第一に、電波監理及び放送規律が極めて公平に行われなければならないということ、第二に、そのためには一党一派その他一部の勢力からの支配から分離したものでなければならないということ、第三に、その機関の政策には相当長期に亘つて政変等によつて容易に変動しない恒久性を持たせることが必要であるということ、第四に、その機関機能といたしましては、先に電波法案の項で申上げましたように、單に行政執行ばかりでなく、半立法或いは又半司法的なものを多分に持つておりますので、その機能も果さなければならないということを考慮いたしました結果、いわゆる委員会行政制度を採ることにいたしまして、その委員長及び委員の任命、任命要件、適格事項、任期、罷免等につきまして詳細な規定を設けた次第でございます。  次に法案の條文の順に従いまして概略を申上げまするが、第一條法律目的、第二條には電波監理委員会を設けるということ及びこれを設けるのは総理府の外局として設けるのであるということを明らかにしております。  第三條は委員会の所掌事務、第四條は一般設置法の例に従いまして委員会権限を定めております。ここにはいろいろの権限を挙げておりまするが、勿論これらの権限はそれぞれの法律に基いて行われなければならないのでございまして、この條項に基いて委員会がこの範囲のことは何でもやつてよろしいということではございません。第五條は委員会組織でございまして、委員長一人及び委員六人を以て構成することにいたしております。  第六條から第十七條までは、委員長及び委員の任命その他いずれも他の委員会等の例に準ずるものでございます。  第十八條は委員会の議決事項を総理大臣に報告すること及び委員会の調査事項を総理大臣経由で国会に報告することを定めておるのでございまして、委員会政府並びに国会との連絡関係を密ならしめるということを明らかにしたものでございます。  第十九條は、先刻申上げました電波法によりまするところの聽聞を行うためにその機関を置くということ並びにその任命及び罷免に関する規定でございまして、アメリカのいわゆるエクザミナーの制度我が国に採用しようとする最初の試みでございます。  第二十條は委員会事務局として電波監理総局を置くとの定めでございまして、その設置、所掌事務、長官に関する規定等及び事務局への委任権限委任の根拠等を定めてございます。  第二十一條から第二十六條までは電波監理総局の内部組織及び地方機関に関する定めでございまして、今後放送関係その他相当事務量も増加いたすことが予定されるのでございますが、極力行政組織簡素化の趣旨に従うことにいたしまして、今回のところは現在の電波庁組織をそのままここに移す、踏襲するということにいたしたのでございます。  第二十七條は附属機関の定めでございまして、電波技術審議会、電波観測所、職員訓練所、これらはいずれも電気通信省設置法に掲げてあるものをそのままここに移したのでございます。  第二十八條は職員、第二十九條は定員に関する定めでございまして、いずれも一般設置法の例によるものでございます。  第三十條の罰則委員長及び委員の兼職の禁止若しくは退職後の就職制限規定に違反した場合の罰則でございまして、これは国家公務員法にございませんので、ここに特別に挙げた次第でございます。  次に附則に参りまして、第三項は六年の任期を持つた委員を毎年一人ずつ交替して行うようにするための、第一回の任命される委員の任期に関する特例でございます。第四項は委員会の設置に伴う電気通信省設置法中一部改正の規定でございますが、近く電気通信省設置法中の一部改正案が提出される予定でございますので、それが決定いたしましたならば、この第四項は一部訂正することになると存じております。次に第五項から第七項まで及び第九項はこの委員会設置に伴う関係法令の改正を行うというものでございまして、これらはそれぞれこの委員会設置に伴う行政組織その他委員の俸給等に関するものでございます。  以上を以ちまして、概略ではございますが、三法案説明を終りたいと思います。
  5. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) 以上を以ちまして、大体三法案説明が終つたのでございますが……。
  6. 千葉信

    ○千葉信君 只今は定足数も欠いておりますので、この次の委員会において質疑をするということにいたしたいと思います。
  7. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) 今千葉委員から御動議のあつたように、本日は政府の、立案当局の説明を聽くのみにいたしまして、質疑はこの次に讓りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) ではさように取計らいます。
  9. 千葉信

    ○千葉信君 この法案はいずれも非常に重要な法案でございますし、先にも全国の調査に参つたり、相当両院の動向も高まつて来ておりますし、更に又本院においては、先にも公聽会を開いておるというような状況でございまして、国民の関心が非常に高まつておることから考えましても、只今のように、本委員会が定足数を欠いているというようなことは、誠に我々として反省しなければならない点があるのではないかと思われるのでございます。従いまして、この次の委員会からは委員会中途より定足数を欠くというがごときことのないように、委員長においても十分手配をお願いする次第であります。
  10. 小林勝馬

    理事小林勝馬君) 了承いたしました。よつて次会は明後八日午後一時から開会することにいたします。これを以て本日は散会いたします。    午前十一時三十九分散会  出席者は左の通り。    理事            小林 勝馬君           橋本萬右衞門君    委員            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            千葉  信君   政府委員    電気通信政務次    官      尾形六郎兵衞君    電波監理長官  網島  毅君    電気通信事務官    (電波法規経済    部長)     野村 義男君